説明

梱包構造体および梱包方法

【課題】位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止する梱包構造体を提供する。
【解決手段】梱包構造体1は、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成された支持部材10を備える。支持部材10は、垂直方向Zに積み重ねられる基体部11と、基体部11の側面から水平方向に突出するように形成された支持部12と、基体部11の側面に設けられ、隣接する一方の支持部材10と係合するように構成された係合部14と、基体部11の側面に設けられ、隣接する他方の支持部材10の係合部14が係合されるように構成された凹部15とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池モジュールを梱包する梱包構造体、および梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包する梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽電池モジュールを水平な状態で積み重ねて梱包する梱包構造体が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、光起電力モジュールの角部が載置される支持異形材が内側に突出するように形成された成形品部材を備えた差込みシステムが開示されている。成形品部材には、上側にほぞ(突部)が形成され、下側に空所が形成されている。この差込みシステムでは、4個の成形品部材が、それぞれ、1枚の光起電力モジュールの4つの角部を支持している。また、成形品部材のほぞは、その成形品部材の上方に配置される成形品部材の空所に差し込まれている。すなわち、この差込みシステムでは、成形品部材のほぞ−空所構造により、隣接する成形品部材が結合されることによって、成形品部材が垂直方向に積み重ねられており、積み重ねられる成形品部材により光起電力モジュールが支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−32978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来の差込みシステムでは、ほぞが空所に差し込まれることにより、隣接する成形品部材が横ずれするのを防止することが可能であるが、空所をほぞに嵌め込むために、高精度の位置合わせを行う必要があるという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止する梱包構造体を提供することを目的とする。
【0007】
また、本発明は、位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止する梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包する梱包方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る梱包構造体は、太陽電池モジュールを水平な状態で積み重ねて梱包する梱包構造体であって、梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成された支持部材を備え、前記支持部材は、垂直方向に積み重ねられる基体部と、前記基体部の側面から水平方向に突出するように形成された支持部と、前記基体部の側面に設けられ、隣接する一方の支持部材と係合するように構成された係合部と、前記基体部の側面に設けられ、隣接する他方の支持部材の係合部が係合されるように構成された凹部とを含むことを特徴とする。
【0009】
この構成によって、隣接する一方の支持部材の凹部に係合部が係合されることにより、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれするのを防止しながら、支持部材を垂直方向に積み重ねることができる。そして、垂直方向に積み重ねられた各支持部材により、太陽電池モジュールを支持することができるので、太陽電池モジュールを水平な状態で積み重ねた場合にも、上に積まれた太陽電池モジュールの荷重が下の太陽電池モジュールに伝わるのを防止することができる。また、基体部の側面に係合部および凹部が設けられることにより、基体部の上端面にほぞを形成し、基体部の下端面に空所を形成する場合に比べて、位置合わせの精度が要求されるのを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る梱包構造体では、前記基体部は、平面的に見てL字状に形成され、前記支持部は、L字状の前記基体部の内側面に形成されており、梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成により、支持部材が太陽電池モジュールの角部を支持することができる。
【0012】
本発明に係る梱包構造体では、前記基体部は、平面的に見て直線状に形成され、前記支持部は、直線状の前記基体部の一方側面に形成されており、梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成されていることを特徴とする。
【0013】
この構成により、支持部材が矩形状の太陽電池モジュールの直線部分を支持することができる。
【0014】
本発明に係る梱包構造体では、前記係合部および前記凹部は、前記支持部が形成される側面と同じ側面に設けられていることを特徴とする。
【0015】
この構成により、隣接する一方の支持部材の凹部に係合部が係合されることにより、支持部材が外方向(太陽電池モジュールから側面へと向かう方向)に横ずれするのを防止することができる。
【0016】
本発明に係る梱包構造体では、前記係合部は、前記基体部の下端側に設けられ、前記凹部は、前記基体部の上端側に設けられていることを特徴とする。
【0017】
この構成により、支持部材を積み重ねる際に、支持部材の係合部を隣接する一方の支持部材の凹部に係合させることができる。
【0018】
本発明に係る梱包構造体では、前記係合部は、弾性を有する板状部と、前記板状部の先端に設けられた突部とを含むことを特徴とする。
【0019】
この構成により、基体部の側面に設けられた凹部に係合部を容易に係合させることができる。
【0020】
本発明に係る梱包構造体では、前記係合部は、前記基体部の側面に形成されたアーム部と、前記アーム部の先端に設けられた突部とを含むことを特徴とする。
【0021】
この構成により、基体部の側面に設けられた凹部に係合部を容易に係合させることができる。
【0022】
本発明に係る梱包構造体では、前記支持部材により支持される太陽電池モジュールは、フレームレスであることを特徴とする。
【0023】
この構成により、フレームレスの太陽電池モジュールを梱包することができる。
【0024】
本発明に係る梱包方法は、上記のいずれか一つに記載の梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包することを特徴とする。
【0025】
この構成によって、位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止する梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る梱包構造体によれば、位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る梱包方法によれば、位置合わせの精度が要求されるのを抑制しながら、支持部材が隣接する一方の支持部材に対して横ずれすることを防止する梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係る梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包する状態を示した斜視図である。
【図2A】本発明の実施の形態1に係る梱包構造体を示した平面図である。
【図2B】図2AのA−A断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る梱包構造体を示した断面図である。
【図5A】本発明の実施の形態3に係る梱包構造体を示した平面図である。
【図5B】図5AのB−B断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0030】
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係る梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包する状態を示した斜視図である。図1を参照して、実施の形態1に係る梱包構造体1の概略について説明する。
【0031】
梱包構造体1は、太陽電池モジュール3を水平な状態で積み重ねて梱包するように構成されている。梱包構造体1は、パレット2の表面に4個取り付けられている。この4個の梱包構造体1は、パレット2に対して位置決めされている。そして、4個の梱包構造体1は、それぞれ、矩形状の太陽電池モジュール3の4つの角部を支持している。
【0032】
また、パレット2の表面に取り付けられた4個の梱包構造体1には、垂直方向Zに複数(図1の例では、8個)の梱包構造体1が積み重ねられている。そして、各段の4個の梱包構造体1により、1枚の太陽電池モジュール3が支持されている。すなわち、図1の例では、パレット2上に、9枚の太陽電池モジュール3が水平な状態で積み重ねられている。
【0033】
なお、パレット2上の太陽電池モジュール3は、段ボールなどにより包まれ、PP(ポリプロピレン)バンドなどによりパレット2に巻き付けられた状態で搬送される。
【0034】
また、梱包構造体1により支持される太陽電池モジュール3は、フレームレスである。すなわち、梱包構造体1によりフレームレスの太陽電池モジュール3を梱包することができる。
【0035】
図2Aは、本発明の実施の形態1に係る梱包構造体を示した平面図である。図2Bは、図2AのA−A断面図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。図2A、図2Bおよび図3を参照して、実施の形態1に係る梱包構造体1の構造について説明する。なお、図2Bでは、積み重ねられる梱包構造体1の一例として、3個の梱包構造体1が積み重ねられた状態を示した。
【0036】
梱包構造体1は、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成された支持部材10を備えている。支持部材10は、基体部11と、支持部12と、押さえ部13と、係合部14と、凹部15とを含んでいる。支持部材10は、たとえば、PPやABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)などの樹脂により一体的に形成されている。
【0037】
基体部11は、垂直方向Zに積み重ねられるように構成されている。基体部11は、平面的に見てL字状に形成されている。すなわち、基体部11は、板状部材が直角に折り曲げられたような形状に形成されている。
【0038】
支持部12は、基体部11の側面から水平方向に突出するように形成されている。具体的には、支持部12は、L字状の基体部11の内側面111に形成されており、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成されている。この構成により、支持部材10が太陽電池モジュール3の角部を支持することができる。なお、内側面111は、第1内側面112と、第1内側面112と直交する第2内側面113とにより構成されている。
【0039】
押さえ部13は、太陽電池モジュール3を支持部12と挟持するために支持部12の上方に形成されている。押さえ部13は、L字状の基体部11の内側面111から水平方向に突出するように形成されている。この構成により、太陽電池モジュール3が垂直方向Zにばたつくのを防止することができる。
【0040】
支持部12および押さえ部13は、基体部11の垂直方向Zにおける中央部に設けられている。支持部12および押さえ部13は、平面的に見て三角形状に形成されている。なお、支持部12および押さえ部13は、平面的に見て、矩形状に形成されていてもよいし、円弧状に形成されていてもよい。
【0041】
係合部14は、隣接する一方の支持部材10と係合するように構成されている。なお、隣接する一方の支持部材10とは、たとえば、所定の支持部材10に対する1つ下の支持部材10である。
【0042】
係合部14は基体部11の下端側に設けられ、凹部15は基体部11の上端側に設けられている。この構成により、支持部材10を積み重ねる際に、支持部材10の係合部14を隣接する一方の支持部材10の凹部15に係合させることができる。
【0043】
係合部14は、基体部11の内側面111に設けられている。すなわち、係合部14は、支持部12が形成される面と同じ面に設けられている。具体的には、係合部14は、基体部11の第1内側面112に1個設けられ、基体部11の第2内側面113に1個設けられている。
【0044】
第1内側面112に設けられた係合部14により、支持部材10が外方向Y(太陽電池モジュール3から第1内側面112へと向かう方向)に横ずれするのを防止することができる。また、第2内側面113に設けられた係合部14により、支持部材10が外方向X(太陽電池モジュール3から第2内側面113へと向かう方向)に横ずれするのを防止することができる。そして、内側面111に設けられた2個の係合部14と、支持部材10により支持される太陽電池モジュール3とにより、支持部材10が水平方向に横ずれするのを防止することができる。
【0045】
係合部14は、弾性を有する板状部141と、板状部141の先端に設けられた突部142とを含んでいる。板状部141は、支持部12の下面から内側面111に沿って下方に延びるように形成されている。板状部141は、内側面111から離れる方向R(図2B参照)に弾性変形可能に構成されている。突部142は、基体部11の下端よりも下方に配置されており、板状部141から基体部11側に突出するように形成されている。また、突部142は、垂直方向Zに対して直交する上面部と、側面視円弧状の下面部とを有する。
【0046】
係合部14をこのように構成することにより、隣接する一方の支持部材10の基体部11の内側面111に形成された凹部15に係合部14を容易に係合させることができる。すなわち、支持部材10が積み重ねられる際に、係合部14の円弧状の下面部が隣接する一方の支持部材10と接触することにより、係合部14の板状部141が弾性変形して、係合部14の突部142が隣接する一方の支持部材10の凹部15に係合されるので、高精度の位置合わせを行うことなく、隣接する支持部材10を係合させながら、支持部材10を積み重ねることができる。
【0047】
凹部15は、隣接する他方の支持部材10の係合部14が係合されるように構成されている。なお、隣接する他方の支持部材10とは、たとえば、所定の支持部材10に対する1つ上の支持部材10である。
【0048】
凹部15は、基体部11の内側面111に設けられている。すなわち、凹部15は、支持部12が形成される面と同じ面に設けられている。具体的には、凹部15は、基体部11の第1内側面112に1個設けられ、基体部11の第2内側面113に1個設けられている。また、凹部15は、係合部14の上方に係合部14と対応する領域に配置されている。
【0049】
支持部材10は、太陽電池モジュール3の側面と基体部11の内側面111とが間隔を隔てた状態で、太陽電池モジュール3を支持することが可能なように構成されている。
【0050】
次に、実施の形態1に係る梱包構造体1を用いて太陽電池モジュール3を梱包する梱包方法について説明する。なお、以下の梱包方法は、たとえば、自動機などにより行われる。
【0051】
まず、1段目の4個の支持部材10(図2B参照)が、それぞれ、1枚目の太陽電池モジュール3(図2B参照)の4つの角部に取り付けられる。具体的には、支持部材10の支持部12および押さえ部13の間が、太陽電池モジュール3の角部に嵌め合わされる。そして、支持部材10が取り付けられた太陽電池モジュール3が、パレット2(図2B参照)の上方において所定の位置に位置合わせされる。なお、所定の位置とは、太陽電池モジュール3に取り付けられた支持部材10が、パレット2の凹部21と対応する領域に配置される位置である。ここで、パレット2には、4個の支持部材10を取り付けることが可能なように、8個の凹部21が形成されている。
【0052】
次に、支持部材10が取り付けられた太陽電池モジュール3が下方向に移動される。そして、支持部材10がパレット2の表面に載置される際に、支持部材10の係合部14が、パレット2に接触することにより内側面111から離れる方向R(図2B参照)へ撓んだ後、パレット2の凹部21に係合される。これにより、1段目の梱包構造体1がパレット2に取り付けられ、1段目の4個の梱包構造体1により1枚目の太陽電池モジュール3が支持される。
【0053】
次に、2段目の4個の支持部材10が、それぞれ、2枚目の太陽電池モジュール3の4つの角部に取り付けられる。そして、2枚目の太陽電池モジュール3が、パレット2の上方において所定の位置に位置合わせされる。
【0054】
次に、2枚目の太陽電池モジュール3が下方向に移動される。そして、2段目の支持部材10が1段目の支持部材10の上に載置される際に、2段目の支持部材10の係合部14が、1段目の支持部材10に接触することにより内側面111から離れる方向Rへ撓んだ後、1段目の支持部材10の凹部15に係合される。これにより、2段目の梱包構造体1が1段目の梱包構造体1の上に積み重ねられ、2段目の4個の梱包構造体1により2枚目の太陽電池モジュール3が支持される。
【0055】
そして、同様の作業が繰り返し行われることにより、複数段の梱包構造体1が積み重ねられ、各段の4個の梱包構造体1により1枚の太陽電池モジュール3が支持される。その後、パレット2上の太陽電池モジュール3が段ボールなどにより包まれ、PPバンドなどにより太陽電池モジュール3がパレット2に巻き付けられる。
【0056】
実施の形態1では、上記のように、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成された支持部材10を備え、支持部材10は、垂直方向Zに積み重ねられる基体部11と、基体部11の側面から水平方向に突出するように形成された支持部12と、基体部11の側面に設けられ、隣接する一方の支持部材10と係合するように構成された係合部14と、基体部11の側面に設けられ、隣接する他方の支持部材10の係合部14が係合されるように構成された凹部15とを含む。
【0057】
このように構成することによって、隣接する一方の支持部材10の凹部15に係合部14が係合されることにより、支持部材10が隣接する一方の支持部材10に対して横ずれするのを防止しながら、支持部材10を垂直方向Zに積み重ねることができる。そして、垂直方向Zに積み重ねられた各支持部材10により、太陽電池モジュール3を支持することができるので、太陽電池モジュール3を水平な状態で積み重ねた場合にも、上に積まれた太陽電池モジュール3の荷重が下の太陽電池モジュール3に伝わるのを防止することができる。そして、太陽電池モジュール3を水平な状態で積み重ねることができるので、太陽電池モジュール3を1枚ずつ梱包する場合に比べて、梱包資材の削減によるコストダウンと、輸送効率の向上とを図ることができる。また、基体部11の側面に係合部14および凹部15が設けられることにより、基体部11の上端面にほぞを形成し、基体部の下端面に空所を形成する場合に比べて、位置合わせの精度が要求されるのを抑制することができる。
【0058】
また、実施の形態1による梱包方法は、梱包構造体1を用いて太陽電池モジュール3を梱包する。
【0059】
<実施の形態2>
図4は、本発明の実施の形態2に係る梱包構造体を示した断面図である。図4を参照して、実施の形態2に係る梱包構造体1aの構造について説明する。なお、以下では、実施の形態1に係る梱包構造体1と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。また、図4では、積み重ねられる梱包構造体1aの一例として、3個の梱包構造体1aが積み重ねられた状態を示した。
【0060】
梱包構造体1aの支持部材10aは、基体部11と、支持部12と、押さえ部13と、係合部14aと、凹部15とを含んでいる。支持部材10aは、たとえば、PPやABSなどの樹脂により一体的に形成されている。
【0061】
係合部14aは、弾性を有する板状部141と、板状部141の先端に設けられた突部142aとを含んでいる。なお、係合部14aのその他の構成は、上記した係合部14と同様である。
【0062】
突部142aは、基体部11の下端よりも下方に配置されており、板状部141から基体部11側に突出するように形成されている。また、突部142aは、側面視において三角形状に形成されている。
【0063】
なお、梱包構造体1aを用いた梱包方法は、上記した梱包構造体1を用いた梱包方法と同様である。
【0064】
実施の形態2では、上記のように、突部142aを側面視において三角形状に形成することによって、パレット2上に積み重ねられた支持部材10aを上方向に移動させることにより、支持部材10aの係合部14aと、隣接する一方の支持部材10aの凹部15との係合を解除しやすいので、積み重ねられた支持部材10aを容易に取り外すことができる。
【0065】
なお、実施の形態2による梱包構造体1aのその他の効果は、実施の形態1による梱包構造体1と同様である。
【0066】
<実施の形態3>
図5Aは、本発明の実施の形態3に係る梱包構造体を示した平面図である。図5Bは、図5AのB−B断面図である。図6は、本発明の実施の形態3に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。図5A、図5Bおよび図6を参照して、実施の形態3に係る梱包構造体1bの構造について説明する。なお、以下では、実施の形態1に係る梱包構造体1と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。また、図5Bでは、積み重ねられる梱包構造体1bの一例として、3個の梱包構造体1bが積み重ねられた状態を示した。
【0067】
梱包構造体1bは、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成された支持部材10bを備えている。支持部材10bは、基体部11と、支持部12と、係合部14bと、凹部15bとを含んでいる。支持部材10bは、たとえば、PPやABSなどの樹脂により一体的に形成されている。
【0068】
係合部14bは、隣接する一方の支持部材10bと係合するように構成されている。なお、隣接する一方の支持部材10bとは、たとえば、所定の支持部材10bに対する1つ下の支持部材10bである。
【0069】
係合部14bは基体部11の下端側に設けられ、凹部15bは基体部11の上端側に設けられている。この構成により、支持部材10bを積み重ねる際に、支持部材10bの係合部14bを隣接する一方の支持部材10bの凹部15bに係合させることができる。
【0070】
係合部14bは、基体部11の内側面111に設けられている。すなわち、係合部14bは、支持部12が形成される面と同じ面に設けられている。具体的には、係合部14bは、基体部11の第1内側面112に1個設けられ、基体部11の第2内側面113に1個設けられている。
【0071】
第1内側面112に設けられた係合部14bにより、支持部材10bが外方向Y(太陽電池モジュール3から第1内側面112へと向かう方向)に横ずれするのを防止することができる。また、第2内側面113に設けられた係合部14bにより、支持部材10bが外方向X(太陽電池モジュール3から第2内側面113へと向かう方向)に横ずれするのを防止することができる。
【0072】
そして、内側面111に設けられた2個の係合部14bにより、支持部材10bが取付方向S(図5A参照)の反対方向以外の方向に横ずれするのを防止することができる。なお、取付方向Sとは、基体部11の第2内側面113と直交する方向Xに対して約45度傾斜し、基体部11の第1内側面112と直交する方向Yに対して約45度傾斜する方向である。また、取付方向Sの反対方向への横ずれは、支持部材10bにより支持される太陽電池モジュール3により防止される。
【0073】
係合部14bは、基体部11の側面111に形成されたアーム部141bと、アーム部141bの先端に設けられた突部142bとを含んでいる。アーム部141bは、内側面111の下端部から下方に延びるように形成されている。突部142bは、基体部11の下端よりも下方に配置されており、アーム部141bから基体部11側に突出するように形成されている。具体的には、突部142bは、アーム部141bから取付方向Sに突出するように形成されている。また、突部142bは、テーパ状に形成されている。
【0074】
係合部14bをこのように構成することにより、隣接する一方の支持部材10bの基体部11の内側面111に形成された凹部15bに係合部14bを容易に係合させることができる。すなわち、支持部材10bが積み重ねられる際に、支持部材10bが内側(平面的に見て支持部材10bが積み重ねられる領域よりも太陽電池モジュール3側)から取付方向Sに移動されることにより、係合部14bを隣接する一方の支持部材10bの凹部15bに係合させることができるので、高精度の位置合わせを行うことなく、隣接する支持部材10bを係合させながら、支持部材10bを積み重ねることができる。
【0075】
凹部15bは、隣接する他方の支持部材10bの係合部14bが係合されるように構成されている。なお、隣接する他方の支持部材10bとは、たとえば、所定の支持部材10bに対する1つ上の支持部材10bである。
【0076】
凹部15bは、基体部11の内側面111に設けられている。すなわち、凹部15bは、支持部12が形成される面と同じ面に設けられている。具体的には、凹部15bは、基体部11の第1内側面112に1個設けられ、基体部11の第2内側面113に1個設けられている。また、凹部15bは、係合部14bの上方に係合部14bと対応する領域に配置されている。凹部15bは、テーパ状の突部142bを受け入れるために、取付方向Sに沿ってテーパ状に形成されている。
【0077】
支持部材10bは、太陽電池モジュール3の側面と基体部11の内側面111とが間隔を隔てた状態で、太陽電池モジュール3を支持することが可能なように構成されている。
【0078】
次に、実施の形態3に係る梱包構造体1bを用いて太陽電池モジュール3を梱包する梱包方法について説明する。なお、以下の梱包方法は、たとえば、自動機などにより行われる。
【0079】
まず、1段目の4個の支持部材10b(図5B参照)がパレット2(図5B参照)の表面の所定の位置に取り付けられる。なお、所定の位置とは、梱包する太陽電池モジュール3(図5B参照)の4つの角部に対応する位置である。具体的には、各支持部材10bが取付方向S(図5A参照)に移動されることにより、支持部材10bの係合部14bがパレット2に形成された凹部22に係合される。これにより、1段目の4個の支持部材10bがパレット2に取り付けられる。ここで、パレット2には、4個の支持部材10bを取り付けることが可能なように、8個の凹部22が形成されている。
【0080】
そして、パレット2に取り付けられた支持部材10bの支持部12上に太陽電池モジュール3が載置される。これにより、1段目の4個の梱包構造体1bにより1枚目の太陽電池モジュール3が支持される。
【0081】
次に、2段目の支持部材10bが1段目の支持部材10bに取り付けられる。具体的には、2段目の支持部材10bが内側(平面的に見て支持部材10bが積み重ねられる領域よりも太陽電池モジュール3側)から取付方向Sに移動されることにより、2段目の支持部材10bの係合部14bが1段目の支持部材10bの凹部15bに係合される。これにより、2段目の支持部材10bは、1段目の支持部材10bに積み重ねられた状態で、1段目の支持部材10bに取り付けられる。
【0082】
そして、2段目の支持部材10bの支持部12上に太陽電池モジュール3が載置される。これにより、2段目の4個の梱包構造体1bにより2枚目の太陽電池モジュール3が支持される。
【0083】
そして、同様の作業が繰り返し行われることにより、複数段の梱包構造体1bが積み重ねられ、各段の4個の梱包構造体1bにより1枚の太陽電池モジュール3が支持される。その後、パレット2上の太陽電池モジュール3が段ボールなどにより包まれ、PPバンドなどにより太陽電池モジュール3がパレット2に巻き付けられる。
【0084】
なお、実施の形態3による梱包構造体1bの効果は、実施の形態1による梱包構造体1と同様である。
【0085】
また、実施の形態3による梱包方法は、梱包構造体1bを用いて太陽電池モジュール3を梱包する。
【0086】
<実施の形態4>
図7は、本発明の実施の形態4に係る梱包構造体の支持部材を示した斜視図である。図7を参照して、実施の形態4に係る梱包構造体1cの支持部材10cについて説明する。なお、以下では、実施の形態1に係る梱包構造体1と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0087】
梱包構造体1cの支持部材10cは、基体部11cと、支持部12cと、押さえ部13cと、係合部14と、凹部15とを含んでいる。支持部材10cは、たとえば、PPやABSなどの樹脂により一体的に形成されている。
【0088】
基体部11cは、垂直方向Zに積み重ねられるように構成されている。基体部11cは、平面的に見て直線状に形成されている。
【0089】
支持部12cは、基体部11cの側面から水平方向に突出するように形成されている。具体的には、支持部12cは、直線状の基体部11cの一方側面111cに形成されており、梱包する太陽電池モジュール3を水平な状態で支持するように構成されている。この構成により、支持部材10cが矩形状の太陽電池モジュール3の直線部分を支持することができる。
【0090】
押さえ部13cは、太陽電池モジュール3を支持部12cと挟持するために支持部12cの上方に形成されている。押さえ部13cは、直線状の基体部11cの一方側面111cから水平方向に突出するように形成されている。この構成により、太陽電池モジュール3が垂直方向Zにばたつくのを防止することができる。
【0091】
支持部12cおよび押さえ部13cは、基体部11cの垂直方向Zにおける中央部に設けられている。支持部12cおよび押さえ部13cは、平面的に見て矩形状に形成されている。なお、支持部12cおよび押さえ部13cは、平面的に見て、三角形状に形成されていてもよいし、円弧状に形成されていてもよい。
【0092】
なお、直線状の梱包構造体1cのみで太陽電池モジュール3を支持するようにしてもよいし、L字状の梱包構造体1および直線状の支持部材1cで太陽電池モジュール3を支持するようにしてもよい。
【0093】
また、梱包構造体1cを用いた梱包方法は、上記した梱包構造体1を用いた梱包方法と同様である。
【0094】
また、実施の形態4による梱包構造体1cの効果は、実施の形態1による梱包構造体1と同様である。
【0095】
本発明は、上述した実施の形態1〜実施の形態4に限定されるものではない。たとえば、実施の形態1〜実施の形態4では、太陽電池モジュール3がフレームレスである例を示したが、太陽電池モジュールがフレーム付きであってもよい。
【0096】
また、実施の形態1〜実施の形態4では、係合部が基体部の下端側に設けられ、凹部が基体部の上端側に設けられる例を示したが、これに限らず、係合部が基体部の上端側に設けられ、凹部が基体部の下端側に設けられるようにしてもよい。
【0097】
また、実施の形態1〜実施の形態3では、1組の係合部および凹部が第1内側面112に設けられ、1組の係合部および凹部が第2内側面113に設けられる例を示したが、これに限らず、複数組の係合部および凹部が第1内側面112に設けられ、複数組の係合部および凹部が第2内側面113に設けられるようにしてもよい。同様に、実施の形態4において、係合部14および凹部15が一方側面111cに複数組設けられていてもよい。
【0098】
また、実施の形態1において、基体部11の外側面に係合部および凹部が設けられていてもよい。なお、実施の形態2および実施の形態4についても同様である。
【0099】
また、実施の形態1では、支持部材10に押さえ部13が設けられる例を示したが、これに限らず、支持部材10に押さえ部13が設けられていなくてもよい。この場合には、支持部材10により支持される太陽電池モジュール3の上方に緩衝部材を設けることが好ましい。また、この場合における梱包方法としては、支持部材10を隣接する一方の支持部材10の上に載置した後、支持部材10の支持部12上に太陽電池モジュール3を載置するようにすればよい。なお、実施の形態2および実施の形態4についても同様である。
【0100】
また、実施の形態3において、支持部材10bにより支持される太陽電池モジュール3の上方に緩衝部材が設けられていてもよい。このように構成すれば、太陽電池モジュール3が垂直方向Zにばたつくのを防止することができる。
【0101】
また、実施の形態4では、板状部141と突部142とを有する係合部14が支持部材10cに設けられる例を示したが、これに限らず、アーム部と突部とを有する係合部が支持部材に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1、1a、1b、1c 梱包構造体
3 太陽電池モジュール
10、10a、10b、10c 支持部材
11、11c 基体部
12、12c 支持部
14、14a、14b 係合部
15、15b 凹部
111 内側面
111c 一方側面
141 板状部
141b アーム部
142、142a、142b 突部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池モジュールを水平な状態で積み重ねて梱包する梱包構造体であって、
梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成された支持部材を備え、
前記支持部材は、
垂直方向に積み重ねられる基体部と、
前記基体部の側面から水平方向に突出するように形成された支持部と、
前記基体部の側面に設けられ、隣接する一方の支持部材と係合するように構成された係合部と、
前記基体部の側面に設けられ、隣接する他方の支持部材の係合部が係合されるように構成された凹部とを含むこと
を特徴とする梱包構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包構造体であって、
前記基体部は、平面的に見てL字状に形成され、
前記支持部は、L字状の前記基体部の内側面に形成されており、梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成されていること
を特徴とする梱包構造体。
【請求項3】
請求項1に記載の梱包構造体であって、
前記基体部は、平面的に見て直線状に形成され、
前記支持部は、直線状の前記基体部の一方側面に形成されており、梱包する太陽電池モジュールを水平な状態で支持するように構成されていること
を特徴とする梱包構造体。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一つに記載の梱包構造体であって、
前記係合部および前記凹部は、前記支持部が形成される側面と同じ側面に設けられていること
を特徴とする梱包構造体。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一つに記載の梱包構造体であって、
前記係合部は、前記基体部の下端側に設けられ、
前記凹部は、前記基体部の上端側に設けられていること
を特徴とする梱包構造体。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の梱包構造体であって、
前記係合部は、弾性を有する板状部と、前記板状部の先端に設けられた突部とを含むこと
を特徴とする梱包構造体。
【請求項7】
請求項1から請求項5までのいずれか一つに記載の梱包構造体であって、
前記係合部は、前記基体部の側面に形成されたアーム部と、前記アーム部の先端に設けられた突部とを含むこと
を特徴とする梱包構造体。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一つに記載の梱包構造体であって、
前記支持部材により支持される太陽電池モジュールは、フレームレスであること
を特徴とする梱包構造体。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか一つに記載の梱包構造体を用いて太陽電池モジュールを梱包すること
を特徴とする梱包方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−229040(P2012−229040A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98291(P2011−98291)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】