説明

梱包用スリーブ

【課題】折り畳んで横倒しにした状態における十分なコンパクト化が図ることができ、コンテナへの収納効率を向上し得る梱包用スリーブを提供する。
【解決手段】横断面がほぼ長方形となる角筒状に形成され、1対の側壁構成部に縦方向へ沿って設けられた曲折部B1,B2を介して折り畳み可能に構成された梱包用スリーブ11において、前記各曲折部B1,B2を1対の長辺側壁構成部22,24に設けると共に、展開状態における前記長方形の四隅をそれぞれ面取り状に構成し、かつ、当該面取り隅部25〜28のうち一方の対角線上に位置する1対の面取り隅部26,28の横幅Wc2を、他方の対角線上に位置する1対の面取り隅部25,27の横幅Wc1よりも長く設定して、対向する前記各曲折部B1,B2を前記各長辺側壁構成部22,24の横幅方向において所定量X分だけ互いにオフセットさせるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば内部に製品等が収容された複数のダンボール等の梱包に供する梱包用スリーブであって折り畳み可能に構成されたものに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、製品等の輸送に際しては、これら製品等が収容された複数のダンボールを一纏めに梱包するなどの目的で、ダンボールや樹脂材等によって形成された梱包用スリーブが用いられている。この梱包用スリーブは、ほぼ角筒状に一体形成されていて、立設時における上下の開口部をそれぞれ閉塞するように外嵌する1対の蓋体と共に1つの箱体を構成するものである。そして、この箱体はパレット上に載置されることでフォークリフト等によりコンテナに積載され、車両や船舶、航空機等によって輸送される。
【0003】
ここで、前記梱包用スリーブには、1回の輸送のみに用いられて当該輸送先にて廃棄されるものと、輸送後に返送されて回収されるものとがあって、後者の場合には、例えば以下の特許文献1に掲載されたもののように、当該梱包用スリーブを折り畳み可能に構成することにより、返送時においてコンテナ内にコンパクトに収容できるようになっている。
【0004】
かかる従来の梱包用スリーブについて具体的に説明すれば、図9に示すように、当該梱包用スリーブ1は、1対の側壁構成部2,4の各横幅方向の中間部に、該両側壁構成部2,4を凹状に内方へ曲折可能とする曲折部B1,B2が上下方向に沿って設けられていて、該両曲折部B1,B2を介して前記各側壁構成部2,4を内方へと曲折させることで、当該梱包用スリーブ1を折り畳み可能にしている。すなわち、かかる構成から、製品等の輸送の際には、同図に示すような角筒状に展開され、その下側開口端部がパレット6上に載置された下蓋7に嵌挿されると共にその上側開口端部に上蓋8が外嵌されることにより1つの箱体9が構成されて、該箱体9内に収容される製品等の輸送に供される一方、前記製品等の輸送後には、図10に示すように、上蓋8が外された状態で前記各側壁構成部2,4が前記各曲折部B1,B2をもって内方へ曲折され、当該各側壁構成部2,4において前記各曲折部B1,B2を介して連結される左右1対の重畳壁2a,4aがそれぞれ重合されるように折り畳まれることにより、当該梱包用スリーブ1をよりコンパクトに折り畳むことが可能となっている。これによって、梱包用スリーブ1の返送時における図外のコンテナ内の収容密度を高めることが可能となり、当該梱包用スリーブ1の効率的な返送に供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−328125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の梱包用スリーブ1にあっては、図9に示すように、展開状態における上下開口部の形状が長方形となるように構成した場合、横幅が比較的小さい1対の短辺側壁構成部2,4に前記各曲折部B1,B2を設けるとすると、当該梱包用スリーブ1を横倒しにしたときに横幅が比較的大きい長辺側壁構成部3,5の面積分に相当するスペースが必要となって、当該折り畳み時における十分なコンパクト化を図ることができない。
【0007】
また、ここで、前記各側壁構成部21〜24の高さHsがパレット6の短辺の長さL1よりも長い場合には、図11に示すように、当該梱包用スリーブ1を横倒しにしたときに、この梱包用スリーブ1を下蓋7内に収容できないばかりか、一部がパレット6からはみ出してしまうこととなる。そうすると、通常、パレット6はこれを所定の個数並べたときに前記コンテナの底面内にちょうど収まるような寸法設定となっているために、梱包用スリーブ1を当該パレット6の前記所定(規定)の個数分だけ並べることができなくなってしまい、その結果、前記コンテナへの収容効率が著しく悪化してしまう。
【0008】
一方、図12(a)に示すように1対の長辺側壁構成部3,5に前記各曲折部B1,B2を設けた場合には、当該各長辺側壁構成部3,5を内方へと曲折して折り畳んだ際に、図12(b)に示すように曲折部B1,B2同士が相互に干渉してしまい、当該各長辺側壁構成部3,5における1対の重畳壁3a,5aを完全に重合させるように折り畳むことができない。これによって、当該折り畳み状態における梱包用スリーブ1の厚さ幅方向の十分なコンパクト化を図ることができず、この梱包用スリーブ1の厚さ幅Dが増大してしまうため、パレット6上に重ね得る梱包用スリーブ1の数量が減少してしまう。この結果、かかる構成によっても、前記コンテナへの収容効率を悪化させてしまうこととなる。
【0009】
本発明は、かかる技術的課題に着目して案出されたものであって、折り畳んで横倒しにした状態での十分なコンパクト化を図り得る梱包用スリーブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、横断面がほぼ長方形となる角筒状に形成されて、1対の側壁構成部の各横幅方向の中間部に縦方向へ沿って設けられた曲折部を介して当該各側壁構成部を内方へと曲折することによって折り畳み可能に構成された梱包用スリーブにおいて、前記各曲折部を1対の長辺側壁構成部に設けると共に、展開状態における前記長方形の四隅をそれぞれ面取り状に構成し、かつ、該面取り隅部のうち一方の対角線上に位置する1対の面取り隅部の幅を、他方の対角線上に位置する1対の面取り隅部の幅よりも長く設定して、対向する前記各曲折部を、前記長辺側壁構成部の横幅方向において互いにオフセットさせるように構成したことを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の梱包用スリーブにおいて、前記長方形の面積を、運搬時に前記箱体が載置されるパレットの底面積よりも小さくなるように設定すると共に、前記縦方向の寸法を、前記1対の長辺側壁構成部の横幅よりも短く設定したことを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の梱包用スリーブにおいて、前記縦方向の寸法を、前記1対の短辺側壁構成部の横幅よりも長く設定したことを特徴としている。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の梱包用スリーブにおいて、前記折り畳み状態にて、その全体が前記蓋体内に収容されるように構成したことを特徴としている。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の梱包用スリーブにおいて、その全体を樹脂材によって形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、長辺側壁構成部を曲折して折り畳むことで、横倒しにした際の必要スペースを短辺側壁構成部の面積分に抑えることが可能になることは勿論、とりわけ、対向する曲折部を長辺側壁構成部の横幅方向において互いにオフセットさせるように構成したことにより、長辺側壁構成部を内方へ曲折して折り畳む際に各曲折部同士が干渉してしまうことがなく、当該曲折した長辺側壁構成部の全てがほぼ平行となるように折り畳むことが可能となる。これによって、折り畳み時におけるスリーブの厚さ幅を最小限に抑えることができ、当該折り畳み時におけるスリーブの十分なコンパクト化が図れる。この結果、スリーブを返送する際の当該スリーブのコンテナへの収容効率の向上に供される。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、スリーブを横倒しにした際に当該スリーブをパレットの範囲内に収めることが可能となるため、前記十分なコンパクト化に基づく当該スリーブのコンテナへの収容効率向上の実効が図れる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、スリーブ内の容積の増大化に供され、より多くのダンボールや、より大きな高さを有する製品の収納が可能となる。また、特に、本発明のような構成の場合において、前記コンテナへの収容効率を向上させるにあたって前記各長辺側壁構成部を曲折させるようにした構成が有効にはたらくこととなり、前記従来の課題解決に供される。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、特に、スリーブと蓋体の両部材を返送するにあたって、これらを一纏めにすることが可能となり、当該両部材の取り扱い性の向上に供される。また、前記両部材をコンテナに収容するにあたり、その必要スペース(体積)を蓋体単体分とすることができることから、当該両部材のコンテナへの収容効率の向上にも供される。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、スリーブをダンボール等の紙材で形成する場合に比べて当該スリーブの耐久性を向上させることができ、当該スリーブをいわゆる通い箱等として再利用する場合に、特に有効となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る梱包用スリーブの使用状態を現した分解斜視図である。
【図2】図1に示す梱包用スリーブ単体の斜視図である。
【図3】図1に示す梱包用スリーブ単体の平面図である。
【図4】図2の要部拡大図であって短辺面取り隅部の詳細を現した図である。
【図5】図2の要部拡大図であって長辺面取り隅部の詳細を現した図である。
【図6】図2に示す梱包用スリーブの折り畳みの過程を表した概略図である。
【図7】図1に示す梱包用スリーブを立設状態で折り畳んだ状態を現した斜視図である。
【図8】図7に示す梱包用スリーブを横倒しした状態を現した斜視図である。
【図9】従来の梱包用スリーブの使用状態を現した分解斜視図である。
【図10】図9に示す梱包用スリーブを立設状態で折り畳んだ状態を現した斜視図である。
【図11】図10に示す梱包用スリーブを横倒しした状態を現した斜視図である。
【図12】従来の梱包用スリーブの他の形態を現した斜視図であって、(a)は展開状態を現した図であり、(b)は折り畳み状態を現した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る梱包用スリーブの実施形態を図1〜図8に基づいて詳述する。
【0022】
すなわち、この梱包用スリーブ11は、図1に示すように、上下が開口するほぼ角筒状に形成され、当該上下開口部に1対の蓋体である上蓋12及び下蓋13が外嵌されることによって、1つの箱体10を構成するようになっている。そして、この箱体10は、従来と同様、パレット14に載置され、該パレット14を介してフォークリフト等により車両、船舶、航空機に設置等された図外のコンテナ内に積載されることによって、その内部に収容した製品等の輸送に供される。このことから、前記箱体10が多段積みとなる場合にパレット14が上積みされる上蓋12及びパレット14上面に載置される下蓋13は、各蓋面12a,13aがパレット14の上下面に対応した長方形となるように設定されていると共に、梱包用スリーブ11は、前記各蓋12,13の蓋面12a,13aに対応した横断面ほぼ長方形となるように構成されている。
【0023】
前記梱包用スリーブ11について、図2、図3に基づいてより具体的に説明すれば、この梱包用スリーブ11は、上述の構成から、パレット14上面の各短辺(上下蓋面12a,13aの各短辺)の長さL1(図1参照)に対応する横幅Ws1に設定された1対の短辺側壁構成部21,23と、パレット14上面の各長辺(上下蓋面12a,13aの各長辺)の長さL2(図1参照)に対応する横幅Ws2に設定された1対の長辺側壁構成部22,24と、を備え、前記各側壁構成部21〜24の高さHsは、パレット14上面の各長辺(上下蓋面12a,13aの各長辺)の長さL2よりも若干小さくなるように設定されている。そして、かかる梱包用スリーブ11は、その全体が所定の樹脂材によって形成されると共に、前記各側壁構成部21〜24は、それぞれ3層構造を成し、各層内にはいわゆるトラス状の補強がなされている(図4、図5参照)。このような構成から、当該梱包用スリーブ11の耐久性の向上が図られ、いわゆる通い箱等として再利用するのに適したものとなっている。
【0024】
また、前記梱包用スリーブ11には、前記1対の長辺側壁構成部22,24にのみ、それぞれの横(幅)方向のちょうど中間部に、当該各長辺側壁構成部22,24を内方へ曲折容易にする1対の曲折部B1,B2が、その縦(高さ)方向に沿って設けられている。これら各曲折部B1,B2は、とりわけ、前記各長辺側壁構成部22,24の内側部に、横断面がほぼV字形状となる凹状の切り込みC0が設けられることによって構成されていて、この切り込みC0によって、前記各長辺側壁構成部22,24の当該部分の剛性を低下させて曲折容易とすると共に、その曲折方向が規制されるようになっている。すなわち、前記各曲折部B1,B2は、前記切り込みC0が前記各長辺側壁構成部22,24の内側部に設けられることによって、前記各長辺側壁構成部22,24をそれぞれ内方へと曲折可能に構成すると共に(図6(a)参照)、当該各曲折部B1,B2によって、前記各長辺側壁構成部22,24において当該各曲折部B1,B2を介し連結される左右1対の重畳壁22a,24aをそれぞれ重合するようにして折り畳むことが可能となっている(図6(d)参照)。
【0025】
さらに、前記梱包用スリーブ11においては、その横断面に係る前記長方形の四隅に相当する各隅部が、それぞれ稜角を落としたような、いわゆる面取り状を成す面取り隅部25〜28として構成されていると共に、これら各面取り隅部25〜28は、一方の対角線上に位置する1対の面取り隅部25,27と、他方の対角線上に位置する1対の面取り隅部26,28とが、互いに異なる横幅Wc1,Wc2に設定されている。すなわち、この梱包用スリーブ11の各隅部には、比較的小さい横幅Wc1に設定された1対の短辺面取り隅部25,27と、該各短辺面取り隅部25,27の横幅Wc1よりも大きな横幅Wc2に設定された1対の長辺面取り隅部26,28と、が設けられている。ここで、短辺面取り隅部25は短辺面取り隅部27と、長辺面取り隅部26は長辺面取り隅部28と、それぞれ同形状に設定されているため、以下では、前記各1対の短辺面取り隅部25,27及び長辺面取り隅部26,28につき、それぞれ短辺面取り隅部25及び長辺面取り構成部26を例に説明する。
【0026】
前記短辺面取り隅部25は、図3、図4に示すように、その横幅Wc1が、少なくともこれに隣接する短辺側壁構成部21及び長辺側壁構成部24に係る厚さ幅Tの2倍以上の大きさに設定されていて、後述する梱包用スリーブ11の折り畳み時において、前記各側壁構成部21,24がほぼ平行となるように折り畳むことが可能となっている(図6(d)参照)。なお、かかる短辺面取り隅部25の内側両端部には、前記各側壁構成部21,24との間に、前記各曲折部B1,B2と同様に、それぞれ横断面V字形状を成す1対の切り込みC1が設けられていて、これら両切り込みC1によって、前記梱包用スリーブ11の折り畳み時における当該短辺面取り隅部25と前記各側壁構成部21,24との干渉を回避して、該両側壁構成部21,24をほぼ平行状態に折り畳むことが担保されている。
【0027】
前記長辺面取り隅部26は、図3、図5に示すように、その横幅Wc2が、少なくともこれに隣接する短辺側壁構成部21及び長辺側壁構成部22に係る厚さ幅Tの3倍以上の大きさに設定されていて、後述する梱包用スリーブ11の折り畳み時において、短辺側壁構成部21と長辺側壁構成部22の両重畳壁22a,22aとがそれぞれほぼ平行となるように折り畳むことが可能となっている(図6(d)参照)。なお、かかる短辺面取り隅部25の内側両端部には、短辺側壁構成部21及び長辺側壁構成部22(重畳壁22a)との間に、前記各曲折部B1,B2と同様に、それぞれ横断面V字形状を成す1対の切り込みC2が設けられていて、これら両切り込みC2によって、前記梱包用スリーブ11の折り畳み時における当該長辺面取り隅部26と前記各側壁構成部21,22との干渉を回避して、該両側壁構成部21,22をほぼ平行状態に折り畳むことが担保されている。
【0028】
このように、前記梱包用スリーブ11の各隅部が、その横幅Wc1,Wc2が相互に異なる1対の短辺面取り隅部25,27と1対の長辺面取り隅部26,28とによって構成されていることによって、当該梱包用スリーブ11では、図2に示すような展開状態で、図3に示すように、それぞれ対向する短辺側壁構成部21,23及び長辺側壁構成部22,24が各横幅方向において相互にずれた(オフセットした)状態となっている。これにより、前記各曲折部B1,B2も、前記各長辺側壁構成部22,24の横幅方向において所定量X分だけ相互に位置ずれした(オフセットした)状態となっている。
【0029】
前記各蓋12,13は、図1に示すように、その蓋面12a,13aの各辺に、所定の高さHcに設定された側壁12b,13bが立設されていて、該各側壁12b,13bをもって梱包用スリーブ11の前記各開口端部に外嵌されるようになっている。ここで、前記各側壁の高さHcについては、前記折り畳み時における梱包用スリーブ11の厚さ幅D(図6(d)参照)よりも大きくなるように設定されていて、折り畳んで横倒しにした梱包用スリーブ11が、前記各蓋12,13のいずれにおいても、外部へはみ出すことなくその内部に完全に収容されるようになっている(図8参照)。
【0030】
次に、前記梱包用スリーブ11の折り畳み作業について図6に基づいて詳細に説明すれば、前記箱体10内に収容された製品等を取り出した後、パレット14に載置された下蓋13に当該梱包用スリーブ11を嵌挿(立設)した状態で、まず、図6(a)に示すように、前記各曲折部B1,B2を内方へと押し込むようにして前記各長辺側壁構成部22,24をそれぞれ内方へ曲折する。その後、図6(b)に示すように、前記両短辺側壁構成部21,23の一端側(図中左側)を内方へ押圧することで前記各曲折部B1,B2をさらに内方へと押し込み、前記各長辺側壁構成部22,24をより大きく曲折させる。
【0031】
この際、本発明に係る梱包用スリーブ11では、その横幅Wc1,Wc2が相互に異なる短辺面取り隅部25,27と長辺面取り隅部26,28とにより対向する短辺側壁構成部21,23及び長辺側壁構成部22,24がそれぞれオフセットされた、すなわち前記各曲折部B1,B2が前記各長辺側壁構成部22,24の横幅方向において互いにオフセットされた状態となっていることから(図3参照)、上述のように各長辺側壁構成部22,24をより大きく曲折させても、前記各曲折部B1,B2が従来(図12(b)参照)ように相互に衝突(干渉)してしまうことがなく、当該各曲折部B1,B2をさらに内方へ押し進めることに供される。
【0032】
そこで、図6(b)の状態から、今度は前記両短辺側壁構成部21,23の他端側を内方へ押圧するようにして前記各曲折部B1,B2をさらに内方へと押し進めると、図6(c)に示すように、当該各曲折部B1,B2は前記各重合壁22a,24aの各内側面に沿って前記各長辺面取り隅部26,28へと向かって進んでいくこととなる。そして、この状態から、当該梱包用スリーブ11を押し潰すようにして前記両短辺側壁構成部21,23をさらに内方へ押圧すると、図6(d)に示すように、前記各長辺側壁構成部22,24の重畳壁22a,24a同士がそれぞれ隙間なく重合すると共に、この重合した重畳壁22a,24aもまた相互に重合することとなって、梱包用スリーブ11の折り畳みが完了する。
【0033】
このようにして折り畳んだ梱包用スリーブ11は、その後、図7に示す状態から下蓋13上において図8に示すように横倒しにされ、その上に同様にして折り畳まれた他の梱包用スリーブが所定の高さまで上積みされ、さらにこれらをパレット14ごと前記コンテナに積載することにより、車両等によって前記製品等の輸送元に返送され、再利用されることとなる。
【0034】
なお、前記梱包用スリーブ11は、前述のようにして完全に折り畳んでも、例えばその外周をバンド等によって固定するなど何も外力を加えない限りは、図7に示すように、樹脂材の有する弾性により、前記各重畳壁22a,24aの相互間並びに重畳壁22aと重畳壁24aとの間に多少の隙間が形成された状態となるが、少なくとも前述したような完全な折り畳み状態における梱包用スリーブ11の厚さ幅Dは下蓋13の側壁13bの高さHcよりも小さくなるように設定されていることから、当該梱包用スリーブ11を横倒しにした状態で他の梱包用スリーブ11を上積みすることで、当該他の梱包用スリーブ11の重量により上方から押圧されて、下蓋13内に完全に収容されることとなる、
以上のように、本発明に係る梱包用スリーブ11によれば、前記各長辺側壁構成部22,24を曲折して折り畳むことで、横倒しにした際の必要スペースを前記各短辺側壁構成部21,23の面積分に抑えることが可能になることは勿論、とりわけ、対向する前記各曲折部B1,B2を、前記各長辺側壁構成部22,24の横幅方向において互いにオフセットさせるように構成したことにより、前記各長辺側壁構成部22,24を内方へ曲折して折り畳む際に前記各曲折部B1,B2同士が干渉してしまうことがなく、当該曲折した各長辺側壁構成部22,24の全てがほぼ平行となるように折り畳むことが可能となる。これによって、折り畳み時における梱包用スリーブ11の厚さ幅Dを最小限に抑えることができ、当該折り畳み時における梱包用スリーブ11の十分なコンパクト化が図れる。この結果、前記梱包用スリーブ11を返送する際の、当該梱包用スリーブ11の前記コンテナへの収容効率の向上に供される。
【0035】
しかも、前記梱包用スリーブ11では、前記長方形の面積がパレット14の底面積よりも小さくなる、つまり前記各側壁構成部21〜24の横幅Ws1,Ws2が対応するパレット14の各辺の長さL1,L2よりも小さくなるように設定すると共に、前記各側壁構成部21〜24の高さHsが前記各長辺側壁構成部22,24の横幅L2よりも短くなるように設定したことから、梱包用スリーブ11を横倒しにした際に、当該梱包用スリーブ11をパレット14の上面の範囲に収めることが可能となるため、前記十分なコンパクト化に基づく当該梱包用スリーブ11の前記コンテナへの収容効率向上の実効を図ることができる。
【0036】
さらに、前記梱包用スリーブ11では、前記各側壁構成部21〜24の高さHsが前記各短辺側壁構成部21,23の横幅Ws1よりも長くなるよう設定したことから、当該梱包用スリーブ11内の容積の増大化に供され、その内部に、より多くのダンボールや、より大きな高さを有する製品の収納等が可能になると共に、前記コンテナへの収容効率を向上させるにあたり、前記各長辺側壁構成部22,24を曲折させるようにした構成が有効にはたらくこととなり、前記従来の課題解決に供されることとなる。
【0037】
また、本実施形態に係る梱包用スリーブ11にあっては、前記折り畳み状態において、その全体が前記各蓋12,13内に収容されるように構成したことから、とりわけ、梱包用スリーブ11に加え前記各蓋12,13を返送するにあたって、これらを一纏めにすることが可能となり、当該両部材の取り扱い性の向上に供されると共に、これら両部材を前記コンテナに収容するにあたり、当該収容に要するスペース(体積)を前記各蓋12,13単体分とすることができるため、当該両部材の前記コンテナへの収容効率の向上にも供される。
【0038】
さらに、本実施形態に係る梱包用スリーブ11の場合、その全体を樹脂材料によって形成したことから、この梱包用スリーブ11をダンボール等の紙材で形成する場合に比べて、当該梱包用スリーブ11の耐久性を向上させることができ、当該梱包用スリーブ11をいわゆる通い箱等として再利用する場合に、特に有効となる。
【0039】
本発明は、前記実施の形態の構成に限定されるものではなく、その趣旨からして、前記各長辺側壁構成部22,24に設けた前記各曲折部B1,B2が、当該各長辺側壁構成部22,24の横幅方向において互いにオフセットされた構成を具備してさえいれば、前述のような十分なコンパクト化に係る本発明の特異な作用効果を奏することができるのであって、例えば前記梱包用スリーブ11の材質や大きさ等は、その使用用途や梱包する内容物(製品等)の大きさに応じて自由に変更することができる。
【0040】
また、前記梱包用スリーブ11は、上下の開口部が閉塞されれば1つの箱体10を構成するものであるため、必ずしも上下の開口部が前記各蓋12,13により閉塞されている必要はない。すなわち、梱包用スリーブ11及びこれに梱包されるダンボール等をパレット14上に直接載置して、上端開口部のみを上蓋12により閉塞させることによって使用することも可能である。さらに、段積みを前提とする場合には、前記上下開口部をパレット14により閉塞するかたちで使用することも可能である。
【符号の説明】
【0041】
10…箱体
11…梱包用スリーブ
12…上蓋(蓋体)
13…下蓋(蓋体)
21,23…短辺側壁構成部(1対の短辺側壁構成部)
22,24…長辺側壁構成部(1対の長辺側壁構成部)
B1,B2…曲折部
25,27…短辺面取り隅部(他方の対角線上に位置する1対の面取り隅部)
26,28…長辺面取り隅部(一方の対角線上に位置する1対の面取り隅部)
Wc1…短辺面取り隅部の横幅
Wc2…長辺面取り隅部の横幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下が開口形成され横断面がほぼ長方形となる1対の長辺側壁構成部と1対の短辺側壁構成部とを有する角筒状を成し、前記上下の各開口部のうち少なくとも上側に蓋体が外嵌されることで1つの箱体を構成すると共に、対向する前記各対の側壁構成部のうち1対の側壁構成部の各横幅方向の中間部に縦方向に沿って設けられた曲折部を介して当該1対の側壁構成部をそれぞれ内方へ曲折することで折り畳み可能に構成された梱包用スリーブにおいて、
前記各曲折部を前記1対の長辺側壁構成部に設けると共に、
展開状態における前記長方形の四隅をそれぞれ面取り状に構成し、かつ、該面取り隅部のうち一方の対角線上に位置する1対の面取り隅部の幅を、他方の対角線上に位置する1対の面取り隅部の幅よりも長く設定して、対向する前記各曲折部を、前記長辺側壁構成部の横幅方向において互いにオフセットさせるように構成したことを特徴とする梱包用スリーブ。
【請求項2】
請求項1に記載の梱包用スリーブにおいて、
前記長方形の面積を、運搬時に前記箱体が載置されるパレットの底面積よりも小さくなるように設定すると共に、
前記縦方向の寸法を、前記1対の長辺側壁構成部の横幅よりも短く設定したことを特徴とする梱包用スリーブ。
【請求項3】
請求項2に記載の梱包用スリーブにおいて、
前記縦方向の寸法を、前記1対の短辺側壁構成部の横幅よりも長く設定したことを特徴とする梱包用スリーブ。
【請求項4】
請求項3に記載の梱包用スリーブにおいて、
前記折り畳み状態にて、その全体が前記蓋体内に収容されるように構成したことを特徴とする梱包用スリーブ。
【請求項5】
請求項4に記載の梱包用スリーブにおいて、
その全体を樹脂材によって形成したことを特徴とする梱包用スリーブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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