説明

梱包箱

【課題】対向する側壁に取っ手孔が形成された梱包箱において、両手で抱えやすく、重量のある梱包箱を持ち上げるときでも腰に大きな負担のかからないようにする。
【解決手段】取っ手孔を、水平方向に対して傾斜をもった長孔とし、側壁11b,11dの幅方向略中央を中心として対称に形成する。両手で抱えたときにより持ちやすくする観点から、取っ手孔の形状は、側壁11b,11dの幅方向略中央に向かって上方に傾斜した形状とするのが好ましい。また取っ手孔から梱包箱内に異物が混入するのを抑える観点から、取っ手孔が、切り込み又はミシン目で外周の少なくとも一部が形成された折り曲げ片2a,2b,3a,3bを折り曲げて形成されるものであるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は梱包箱に関し、より詳細には、対向する側壁に取っ手孔が形成された梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、これまでの梱包箱1’の多くには、対向する側壁11b,11dの略中央部に一組の長孔形状の取っ手孔6が形成され、この取っ手孔6に手を引っ掛けて梱包箱1’を持ち上げ運んでいた。しかしながら、梱包後の梱包箱の重量が軽い場合はともかく、10kg程度の一人で持てる範囲の重量で、抱え込むような大きさの梱包箱の場合、このような梱包箱を持ち上げようとすると、図7に示すように、身体を”く”の字に折り曲げて両手を鉛直方向に下ろした状態で、梱包箱1’を持ち上げるので背筋力を始めとする腰の筋肉および手首に大きな負担が掛かっていた。そして負担が大きすぎるといわゆるぎっくり腰などになることがあった。
【0003】
ところが梱包箱に関する出願について本出願人が調べた限りでは、片手で提げやすくするといった観点からの提案はこれまでになされているものの(例えば特許文献1など)、ある程度の重量の梱包箱を両手で抱えやすくするという観点からの提案は見られなかった。
【特許文献1】特開2000−351166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、両手で抱えやすく、重量のある梱包箱を持ち上げるときでも腰に大きな負担のかからない梱包箱を提供することにある。
【0005】
また本発明の目的は、複数人でも持ち上げやすく、また運びやすく、さらにはいずれの方向からも持ち上げられる梱包箱を提供することにある。
【0006】
さらに本発明の目的は、取っ手孔から梱包箱内に異物が混入することを抑えることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、対向する側壁に2組の取っ手孔が形成された梱包箱であって、前記取っ手孔が、水平方向に対して傾斜をもった長孔であって、側壁の幅方向略中央を中心として対称に形成されていることを特徴とする梱包箱が提供される。
【0008】
ここで、両手で抱えたときに一層持ちやすくする観点から、前記取っ手孔の形状は、側壁の幅方向略中央に向かって上方に傾斜した形状であるのが好ましい。
【0009】
また取っ手孔から梱包箱内に異物が混入するのを抑える観点から、前記取っ手孔が、切り込み又はミシン目で外周の少なくとも一部が形成された折り曲げ片を折り曲げて形成されるものであるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の梱包箱では、2組の取っ手孔がそれぞれ水平方向に対して傾斜をもった長孔であるので、身体を”く”の字に曲げることなく両手で抱えて持ち上げることができるようになる。これにより、腰や手首に大きな負担が掛からなくなる。また取っ手孔が、側壁の幅方向略中央を中心として対称に形成されているので、一人で持ち上げる場合にはどちら側からでも持つことが可能で、また二人で持つことも可能となる。
【0011】
また前記取っ手孔の形状を側壁の幅方向略中央に向かって上方に傾斜した形状とすると、梱包箱を両手で抱えたときに一層持ちやすくなる。
【0012】
さらに取っ手孔が、切り込み又はミシン目で外周の少なくとも一部が形成された折り曲げ片を折り曲げて形成するものであると、取っ手孔が未使用の場合は折り曲げ片で取っ手孔が封鎖されているので、梱包箱内に外部から異物が混入するのが防止できる。また必要なときに折り曲げ片を折り曲げることによって取っ手孔が簡単に形成できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る梱包箱について図に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではない。
【0014】
図1に、本発明に係る梱包箱の一実施形態を示す斜視図を示し、図2に図1の梱包箱1の展開図を示す。図2に示すように、この図の梱包箱1は、4つの側壁11a,11b,11c,11dが折り曲げ線71a,71b,71cを介して連続して形成されている。そして側壁11aの側辺には糊代片10が折り曲げ線71dを介して形成されている。また各側壁11a,11b,11c,11dの上端縁にはそれぞれ上フラップ12a,12b,12c,12dが折り曲げ線72a,72b,72c,72dを介して連設され、同様に各側壁11a,11b,11c,11dの下端縁にはそれぞれ下フラップ13a,13b,13c,13dが折り曲げ線73a,73b,73c,73dを介して連設されている。なお、上フラップ12a,12c及び下フラップ13a,13cの上辺および下辺の側壁11a,11cからの長さは、側壁11b,11dの横幅L(図3に図示)の略半分とされている。
【0015】
組み立てたときに対向する側壁11b,11dには、折り曲げ片2a,2bと折り曲げ片3a,3bが側壁11b,11dと一体に形成されている。図3に、これらの折り曲げ片の具体的構成を示す。なお、折り曲げ片2a,2bと折り曲げ片3a,3bとは同一形状であるので、代表して折り曲げ片2a,2bについて説明する。図3に示すように、折り曲げ片2a,2bの合体形状は逆ハート型であり、逆ハート型の左右中央がちょうど側壁11bの幅方向中央に一致している。すなわち、折り曲げ片2a,2bは側壁11bの幅方向中央を中心として左右対称形状となしている。そして、折り曲げ片2a,2bは水平方向に対して傾斜角度θを有している。傾斜角度θに特に限定はなく、収納する被梱包物の重量や梱包箱の大きさなどから適宜決定すればよいが、一般に30°〜60°の範囲が好ましい。
【0016】
折り曲げ片2a,2bの上辺は折り曲げ線21a,21bで形成され、折り曲げ片2a,2bのそれ以外の外周はミシン目20,22a,22bで形成されている。もちろん、折り曲げ線21a,21bをミシン目に代える、あるいはミシン目20,22a,22bを切り込みに代える、さらには折り曲げ片2a,2bの外周のすべてをミシン目としても構わない。折り曲げ片2a,2bの外周の加工状態は梱包箱の材質などから適宜決定すればよい。
【0017】
このような構成の梱包箱1の組み立てはまず、糊代片10が側壁11dの側辺に固着されて立体形状とされる。そして、向かい合う下フラップ13b,13dが側壁11b,11dに対して略垂直に内方へ折り曲げられる。次に、下フラップ13b,13dに重ねて下フラップ13a,13cが同様に側壁11a,11cに対して略垂直に内方へ折り曲げられる。このとき、前述のように、下フラップ13a,13cの下辺の側壁11a,11cからの長さは、側壁11b,11dの横幅の略半分とされているので、下フラップ13a,13cを内方に折り曲げると、下フラップ13a,13cの下辺同士が接触する。そして、下フラップ13a,13cの接触部分を覆うように粘着テープが貼り付けられて梱包箱の底壁が形成される。もちろん下フラップ13a,13cの接合をステープルなどを用いても構わない。このようにして梱包箱の底壁が形成された状態が図1の斜視図である
【0018】
図1に示す状態で、梱包箱内に被梱包物が収容されると、上フラップ12b,12dが側壁11b,11dに対して略垂直に内方へ折り曲げられた後、同様に上フラップ12b,12dに重ねて上フラップ12a,12cが側壁11a,11cに対して略垂直に内方へ折り曲げられる。このとき、前述のように、上フラップ12a,12cの上辺の側壁11a,11cからの長さは、側壁11b,11dの横幅の略半分とされているので、上フラップ12a,12cを内方に折り曲げるとの上辺同士が接触する。そして、上フラップ12a,12cの接触部分を覆うように粘着テープが貼り付けられて一連の梱包処理が完了する。
【0019】
梱包処理が完了した梱包箱を両手で抱えて持ち上げて運ぶ場合には、対向する側壁11b,11dにそれぞれ形成された、対向する2組の折り曲げ片2a,2b,3a,3bの一方を折り曲げて取っ手孔を形成し、取っ手孔に指を差し入れて梱包箱を持ち上げ運べばよい。具体的には、図4に示すように、必要とする取っ手孔5bを塞いでいる折り曲げ片3bに外方から内方に向かって外力を加える。折り曲げ片3bの外周はミシン目32bと折り曲げ線31bとで形成されているので、加えられた外力によってミシン目32bが破断して、連続した切り込みとなり、折り曲げ線31bを境に折り曲げ片3bが梱包箱内に折り曲げられる。これによって取っ手孔5bが形成される。このとき他方の折り曲げ片3aは依然として側壁と一体をなしている。
【0020】
なお、段ボールなどの材料原板から展開状態の梱包箱を打ち抜き形成する際に、取っ手孔も同時に打ち抜き形成してももちろん構わないが、梱包箱の組み立て後、取っ手孔から梱包箱内に異物が混入するおそれがある。この点、前述の構成のように、取っ手孔5bが必要なときに、折り曲げ片3bを折り曲げて取っ手孔5bを形成するようにすれば、取っ手孔5bから梱包箱内に異物が混入するのを防止できるので望ましい。
【0021】
図5に、本発明に係る梱包箱の他の実施形態を示す斜視図を示す。図5の梱包箱が、前述の実施形態の梱包箱と異なる点は、取っ手孔4a,4bが離隔して形成されている点にある。すなわち、取っ手孔4a,4bは、側壁11bの幅方向中央を中心として左右対称で離隔した位置に形成されている。このように取っ手孔4a,4bが離隔して形成されていると、二人が向かい合う形で梱包箱を持ち上げ運ぶことができるようになるので、梱包箱が一人では持てない場合に特に有用となる。取っ手孔4a,4bの間隔は、梱包箱の材質や被梱包物の重さなどから適宜決定すればよい。
【0022】
また図5の梱包箱では折り曲げ片が図示されていないが、前記実施形態と同様に異物混入防止の観点から、折り曲げ片を折り曲げることによって取っ手孔を形成するようにするのが好ましい。
【0023】
以上説明した実施形態では、対向する一組の側壁に2組の取っ手孔を設けていたが、対向する二組の側壁にそれぞれ2組の取っ手孔を設けてももちろん構わない。また本発明の梱包箱は側壁が4つのものに限定されるものではなく、より多くの側壁を有するものであっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る梱包箱の一例を示す斜視図である。
【図2】図1の梱包箱の展開図である。
【図3】側壁に形成される折り曲げ片の説明図である。
【図4】折り曲げ片を折り曲げて取っ手孔を形成するときの説明図である。
【図5】本発明に係る梱包箱の他の例を示す斜視図である。
【図6】従来の梱包箱を示す斜視図である。
【図7】図6の梱包箱を人が持ち上げる際の状態図である。
【符号の説明】
【0025】
1 梱包箱
2a,2b 折り曲げ片
3a,3b 折り曲げ片
5a 取っ手孔
11a,11b,11c,11d 側壁
20 ミシン目
21a,21b 折り曲げ線
22a,22b ミシン目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する側壁に2組の取っ手孔が形成された梱包箱であって、
前記取っ手孔が、水平方向に対して傾斜をもった長孔であって、前記側壁の幅方向略中央を中心として対称に形成されていることを特徴とする梱包箱。
【請求項2】
前記取っ手孔が、側壁の幅方向略中央に向かって上方に傾斜した形状である請求項1記載の梱包箱。
【請求項3】
前記取っ手孔が、切り込み又はミシン目で外周の少なくとも一部が形成された折り曲げ片を折り曲げて形成されるものである請求項1又は2記載の梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−201458(P2008−201458A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−40886(P2007−40886)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】