説明

棒金収納装置

【課題】棒金の整列状態を精度良く検出して、カセット内に装填された棒金の異金種検出を正確に行うことができる棒金収納装置を提供する。
【解決手段】スキャニング時に一の棒金に対して所定の間隔で磁気センサと棒金とのギャップを検出し、一対の磁気センサにより検出されたギャップに基づいて一方の円弧を求めると共に他方のギャップに基づいて他方の円弧を求め、一方の円弧および他方の円弧に基づき各円弧中心位置を求め、これら円弧中心位置が互いに一致しているか否かを判定する一方、求められた円弧に対して誤差が最小となる予め記憶された金種別のマッチング判定用データを特定し、一方の円弧および他方の円弧の各円弧中心位置が一致していると判定された場合に、マッチング判定用データに基づいて棒金の金種を特定し、この特定された金種に基づいてカセット50に装填された棒金が異金種棒金であるか否かを判定することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、棒金を収納する棒金収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
棒金を並列状態でカセットに装填し、装填している棒金を出金指令に基づいて繰り出す棒金収納装置があり、このような棒金収納装置において、カセット内の棒金の在り高(本数および金種)を確認可能なものがある(例えば、特許文献1参照)。このような棒金収納装置では、一般に、光学センサを用いてカセット内の棒金の在り高を検出するようになっており、このように構成することで、棒金の自動精査および誤操作(異金種棒金の誤装填)の防止を可能とし、信頼性の向上を図ることができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−249139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の棒金収納装置のように光学センサを用いて棒金を検出する場合、棒金の外形寸法を計測して棒金の真偽判定を行う方式となるため、実際には異金種の棒金であったとしても、例えばカセット内の棒金の整列状態が不適切であった場合、光学センサによって異金種の棒金の外形が同金種の棒金の外形と同じ寸法で計測されて棒金の異金種検出が正確に行えない虞があるという課題がある。
【0005】
ここで、上記棒金の整列状態が不適切である場合としては、例えば、棒金の放出時の動作過程において後続の棒金が当該棒金の前後の棒金に挟まれて乗り上げてしまった状態や、棒金をカセット内に手操作で装填する際に正しい整列状態で装填されなかった状態や、カセット内に異物や包装がバラけた硬貨の混入の影響により棒金が異物やバラ硬貨の上に乗り上げてしまったり異物やバラ硬貨が棒金間に挟まってしまった状態などがある。
【0006】
このように、カセット内の棒金が不適切な整列状態にある場合おいては、上述した異金種棒金の検出が正確に行えず、さらには棒金の出金取引時に正常な繰り出しや放出動作を行うことができずに取引異常状態に陥る可能性があることから、異金種検出と共に棒金が不適切な整列状態にあることを精度良く検出することが望まれている。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、棒金の整列状態を精度良く検出して、カセット内に装填された棒金の異金種検出を正確に行うことができる棒金収納装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、カセットに、該カセットの長さ方向に並列状態で棒金を装填する棒金収納装置であって、前記カセットの長さ方向に沿って移動可能なキャリアと、該キャリアを前記カセットの長さ方向に沿って移動させる駆動手段と、前記キャリアに支持されて前記カセットに装填された棒金を直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサによって、前記カセット装填された棒金の磁気データをスキャニングして検出する磁気データ検出手段と、予め記憶された正常棒金の基準磁気データと、前記磁気データ検出手段で検出した磁気データとに基づいて、正常棒金の有無、異金種棒金の有無、および正常棒金の在り高を確認する確認手段とを備え、一対の前記磁気センサは、スキャニング時に一の棒金に対して前記カセットの長さ方向に沿って所定の間隔で磁気センサと棒金とのギャップを検出し、前記確認手段は、一対の磁気センサにより検出されたギャップに基づいて一方の円弧を求めると共に他方のギャップに基づいて他方の円弧を求め、これら一方の円弧および他方の円弧に基づき各円弧中心位置を求め、さらにこれら円弧中心位置が互いに一致しているか否かを判定する一方、求められた円弧に対して誤差が最小となる予め記憶された金種別のマッチング判定用データを特定し、一方の円弧および他方の円弧の各円弧中心位置が一致していると判定された場合に、前記マッチング判定用データに基づいて棒金の金種を特定し、この特定された金種に基づいて前記カセットに装填された棒金が異金種棒金であるか否かを判定することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載の発明において、前記確認手段は、一方の円弧および他方の円弧に基づき求められた各円弧中心位置が互いに一致しない場合、棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記確認手段は、前記カセットの長さ方向に沿って隣り合う各円弧中心位置の間隔が一定か否かを判定し、一定でないと判定した場合に棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載した発明は、カセットに、該カセットの長さ方向に並列状態で棒金を装填する棒金収納装置であって、前記カセットの長さ方向に沿って移動可能なキャリアと、該キャリアを前記カセットの長さ方向に沿って移動させる駆動手段と、前記キャリアに支持されて前記カセットに装填された棒金を直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサによって、前記カセットに装填された棒金の磁気データをスキャニングして検出する磁気データ検出手段と、予め記憶された正常棒金の基準磁気データと、前記磁気データ検出手段で検出した磁気データとに基づいて、正常棒金の有無、異金種棒金の有無、および正常棒金の在り高を確認する確認手段とを備え、一対の前記磁気センサは、スキャニング時に一の棒金に対して前記カセットの長さ方向に沿って所定の間隔で磁気センサと棒金とのギャップを検出し、前記確認手段は、一対の前記磁気センサの一方の磁気センサにより検出されたギャップに基づき一の棒金に対する一方の最小ギャップを求めるとともに、一対の前記磁気センサの他方の磁気センサにより検出されたギャップに基づいて一の棒金に対する他方の最小ギャップを求め、これら一方の最小ギャップおよび他方の最小ギャップと、一対の前記磁気センサ間の既定の距離とから棒金の外径を求め、さらにこの外径に基づき棒金の金種を特定して前記カセットに装填された棒金が異金種棒金であるか否かを判定することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載した発明は、請求項4に記載の発明において、前記確認手段は、一対の前記磁気センサにより検出された磁気データに基づき、前記ギャップの方向とは垂直な前記磁気センサの移動方向に沿う外径を求め、該外径と前記最小ギャップに基づき特定された金種の外径とを比較して、前記磁気センサの移動方向に沿う外径が大きいと判定された場合に棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載した発明は、請求項1乃至5の何れか一項に記載の発明において、前記確認手段は、前記カセットに装填された棒金の中に異金種棒金または異常姿勢の棒金があると判定した場合に当該棒金の位置を特定する特定手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した発明によれば、確認手段によって、キャリアに支持された一対の磁気センサの一方の磁気センサにより所定間隔で検出された一方の磁気センサと棒金とのギャップに基づいて円弧中心を求めるとともに、他方の磁気センサによって所定間隔で検出されたギャップに基づいて円弧中心を求め、円弧中心位置がそれぞれ一致している場合つまり、一方および他方の円弧を組み合わせたものが正常な棒金の断面である略真円とみなせる場合に、磁気データ検出手段によって検出された磁気データと予め記憶された正常棒金の基準磁気データすなわち、磁気データ検出手段によって検出された棒金の外形と正常棒金の外形とを比較して異金種棒金か否かを判定することができるため、異金種棒金を精度良く検出することが可能になるという効果がある。
【0015】
請求項2に記載した発明によれば、一対の磁気センサにより検出された円弧に基づく一方および他方の円弧中心位置が、例えば棒金が整列方向に対して斜めになっている等によって互いに一致しない場合、確認手段により棒金が異常姿勢であることを検出できるため、例えばこの検出結果に従い棒金の姿勢を適正姿勢に修正することができ、したがって、正確な異金種判定を行うことができる効果がある。
【0016】
請求項3に記載した発明によれば、磁気データ検出手段により検出されたカセットの長さ方向に沿って隣り合う円弧の各円弧中心位置の間隔が一定か否か、すなわち、カセットの長さ方向に並列状態で装填される棒金同士の間隔が一定であるか否かを判定して、この判定の結果、間隔が一定でない場合に棒金の異常姿勢を検出することができるため、例えばこの検出結果に従い棒金の姿勢を適正姿勢に修正することができ、したがって、正確な異金種判定を行うことができる効果がある。
【0017】
請求項4に記載した発明によれば、一対の磁気センサによる一方の最小ギャップおよび他方の最小ギャップと、磁気センサ間の既定距離とから求められた棒金の外径に基づいて金種を特定し、この特定された金種に基づき棒金が異金種棒金であるか否かを判定することで、金種を特定する処理を簡素化することができるため、迅速に異金種判定を行うことができる効果がある。
【0018】
請求項5に記載した発明によれば、磁気センサにより検出された磁気データに基づいて、ギャップ方向の外径と、これと垂直な磁気センサの移動方向の外径とを比較することで、ギャップ方向の外径と磁気センサの移動方向の外径とが一致していない場合に、例えば、棒金の姿勢がカセットの長さ方向に対して斜めに装填されているなど、棒金が異常姿勢であることを検出することができるため、例えばこの検出結果に従い棒金の姿勢を適正姿勢に修正することができ、したがって、正確な異金種判定を行うことができる効果がある。
【0019】
請求項6に記載した発明によれば、特定手段によって異金種棒金または異常姿勢の棒金の位置を特定することができるため、異金種棒金の除去や異常姿勢の棒金を迅速に適正姿勢に修正する処置を担当者に明確に報知して促すことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態の棒金収納装置を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態の棒金収納装置に付設される硬貨入出金機を概略的に示す側面図である。
【図3】本発明の一実施形態の棒金収納装置の下部構造を概略的に示す平面図である。
【図4】本発明の一実施形態の棒金収納装置の後部構造を示す側面図である。
【図5】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金搬送部の上部構造を示す側断面図である。
【図6】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金搬送部の下部構造を示す側断面図である。
【図7】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構および駆動機構を示す側面図である。
【図8】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット等を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構等を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す上側から見た斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態の棒金収納装置における棒金保持機構を示す下側から見た斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図13】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図14】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図15】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび受取位置より前方にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図16】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセットおよび前端位置にある棒金保持機構を示す部分側断面図である。
【図17】本発明の一実施形態の棒金収納装置におけるカセット、調整位置にある棒金保持機構および基準磁性部材を示す部分側断面図である。
【図18】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図19】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す斜視図である。
【図20】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および退避状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図21】本発明の一実施形態の棒金収納装置における受入台部および検出状態にある基準磁性部材等を示す側面図である。
【図22】本発明の一実施形態の棒金収納装置における磁気データ検出部による検出状況を示す斜視図である。
【図23】本発明の一実施形態の棒金収納装置における磁気データ検出部によるギャップの検出間隔と2つの磁気センサ間の既定の距離を示す概略図である。
【図24】本発明の一実施形態の棒金収納装置における縦軸をギャップ、横軸を検出間隔としたグラフであり、検出されたギャップに基づく円弧とその円弧中心位置の一例を示すグラフである。
【図25】棒金が斜めに装填された場合を示す説明図である。
【図26】棒金が斜めに装填された場合の円弧中心位置のずれを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の第1実施形態の棒金収納装置10を図面を参照して以下に説明する。図1に示すように、本実施形態の棒金収納装置10は、硬貨入出金機11に付設されて用いられるものである。
【0022】
まず、硬貨入出金機11について説明する。
硬貨入出金機11は、図2に概略的に示すように、バラ硬貨が投入される入金口15と、入金口15に投入されたバラ硬貨を一枚ずつに分離して繰り出す分離繰出部16と、分離繰出部16から繰り出されたバラ硬貨を搬送する入金搬送部17と、入金搬送部17で搬送中の硬貨を鑑別しつつ金種別に計数する入金鑑別部18と、入金鑑別部18の鑑別結果から真以外のバラ硬貨を入金搬送部17から排除するリジェクト部19と、リジェクト部19で入金搬送部17から排除されたバラ硬貨を案内するリジェクト搬送部20と、リジェクト搬送部20で案内されたバラ硬貨が機外に取り出し可能に放出されるリジェクト口21とを有している。
【0023】
また、硬貨入出金機11は、入金鑑別部18で真と鑑別され入金搬送部17でさらに下流に搬送されるバラ硬貨を金種別に選別する金種別選別部22と、金種別選別部22で金種別に選別されたバラ硬貨を金種別に一時貯留させる金種別一時貯留部23と、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を返却のため案内する返却搬送部24と、返却搬送部24で案内されたバラ硬貨が機外に取り出し可能に放出される返却出金口25とを有している。
【0024】
また、硬貨入出金機11は、金種別一時貯留部23に一時貯留されたバラ硬貨を金種別に収納するとともに収納しているバラ硬貨を計数しつつ出金可能な金種別収納出金部27と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を返却出金口25に案内する出金搬送部28と、金種別収納出金部27から出金されたバラ硬貨を棒金収納装置10に向けて搬送する棒金作成搬送部29とを有している。硬貨入出金機11は、棒金収納装置10と共用の操作部30、制御部31および表示部32を有している。
【0025】
ここで、上記した硬貨入出金機11は、入金のためのバラ硬貨が入金口15に投入されて、操作部30にスタート操作が入力されると、制御部31が、入金口15内のバラ硬貨を分離繰出部16で一枚ずつ入金搬送部17に繰り出させて入金搬送部17で搬送する。
制御部31は、入金搬送部17で搬送中に入金鑑別部18で真以外と鑑別された硬貨をリジェクト搬送部20でリジェクト口21に送り、真と鑑別された硬貨を計数しつつ金種別選別部22で選別して金種別一時貯留部23に一時貯留させる。そして、入金口15に投入されたバラ硬貨がすべてリジェクト口21あるいは金種別一時貯留部23に送られると、制御部31は、表示部32に鑑別結果を出力する。この鑑別結果を見て操作者が操作部30にキャンセル操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を返却搬送部24を介して返却出金口25に返却する。他方、鑑別結果を見て操作者が操作部30に承認操作を入力すると、制御部31は、金種別一時貯留部23に一時貯留させていた硬貨を金種別収納出金部27に収納させる。
【0026】
また、出金操作が操作部30に入力されると、制御部31が、金種別出金収納部27から入力に応じた金種および数のバラ硬貨を出金搬送路28に繰り出させて、出金搬送路28で返却出金口25に出金させる。
【0027】
さらに、金種別出金収納部27に収納中の硬貨を包装するために、適宜のタイミングで、制御部31が、金種別出金収納部27からバラ硬貨を棒金作成搬送部29により棒金収納装置10に搬送する。
【0028】
図1に示す本実施形態の棒金収納装置10は、金種別出金収納部27から棒金作成搬送部29によって搬送されてきたバラ硬貨を受け入れて一旦貯留させる貯留部35と、貯留部35から一枚ずつ分離して繰り出された硬貨を所定枚数ずつ集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする包装部36とを有している。
【0029】
また、棒金収納装置10は、図3にも示すように、機体中間位置で左右に延在するように配置され、包装部36から、左右方向に沿う姿勢で送り出された棒金Bを振り分けのため機体左右方向に搬送する横型ベルトコンベア式の振分搬送部37と、振分搬送部37で一端側に向け搬送される棒金Bを中間位置で機体前面側に振り分ける中間振分部38と、この中間振分部38で機体前面側に振り分けられた棒金Bを収納するローカル時クリアボックス39と、中間振分部38では機体前面側に振り分けられずに振分搬送部37で一端側にさらに搬送される棒金Bを振分搬送部37の一端部で機体前面側および後面側に選択的に振り分ける端末振分部40と、この端末振分部40で機体前面側に振り分けられた棒金Bを収納する機内クリアボックス41と、端末振分部40で機体後面側に振り分けられた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま機体後面に向けて搬送する横型ベルトコンベア式の後方搬送部42と、振分搬送部37で他端側に向け搬送される棒金Bを機体前面側に案内する前方案内部43とを有している。
【0030】
加えて、棒金収納装置10は、後方搬送部42で機体後面側に搬送されてきた棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま受け入れて機体左右方向逆側に向け搬送する横型ベルトコンベア式の横搬送部45と、横搬送部45の棒金Bを上流位置で機体後面側に振り分ける上流振分部46と、上流振分部46で振り分けられずに横搬送部45で搬送されてきた棒金Bを端末位置で機体後面側に案内する端末案内部47と、上流振分部46および端末案内部47で機体後面側に案内された棒金Bを左右方向に沿う姿勢のまま上昇搬送する図4に示すエレベータ49を有する左右一対の上昇搬送部48とを有している。
【0031】
そして、各上昇搬送部48の前側に、上下方向に多段状に配置されたカセット50がそれぞれ設けられている。各エレベータ49のカセット50とは反対側には、エレベータ49で搬送されてきた棒金Bを複数段のカセット50のいずれか選択された一つに向けてプッシャ51aで押し出す収納振分部51が設けられている。すべてのカセット50は、収納振分部51で上昇搬送部48から押し出された棒金Bを機体後面側の後端部の一段高い受入台部54から左右方向に沿う姿勢のまま受け入れる。すべてのカセット50は、機体前面側の前端側が機体後面側の後端側に対して低く傾斜している。二列のカセット50の機体前面側には、図5に示すように、進退可能な持上部材52によって各列のカセット50の前端部から棒金Bを選択的に持ち上げて取り出す棒金取出部(棒金取出手段)53がそれぞれ設けられており、各棒金取出部53の機体前面側には、棒金取出部53によってカセット50から取り出された棒金Bを搬送する縦型ベルトコンベア式の棒金搬送部55が設けられている。ここで、各カセット50は金種別となっており、同一のカセット50には同一金種の棒金Bのみが収納される。例えば、最も上側のカセットには1円硬貨の棒金が、上から二番目のカセットには5円硬貨の棒金が、上から三番目のカセットには10円硬貨の棒金が、上から四番目のカセットには50円硬貨の棒金が、上から五番目のカセットには100円硬貨の棒金が、最下段のカセットには500円硬貨の棒金が、それぞれ収納される。
【0032】
各棒金搬送部55は、移動方向に対して傾斜形成された載置片56を等間隔で外側に有する縦型ベルトコンベア57と、この縦型ベルトコンベア57の外側を覆うように設けられた搬送空間形成部58とを有している。そして、棒金取出部53のカセット50側に前進状態の持上部材52で持ち上げられることによって持上部材52の傾斜で転動しつつ移動する棒金Bを、搬送空間形成部58に形成された開口部58aを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。載置片56を移動させることで載置片56に載置された棒金Bを昇降させる。なお、棒金取出部53の持上部材52は、下降するときはカセット50から後退した状態で下降する。
【0033】
ここで、棒金搬送部55の一方は、図6に示すように、その下部が、上記した振分搬送部37で搬送され前方案内部43で機体前面側に案内された棒金Bを受け入れて搬送し、シュート61を介して機体前面に設けられた放出口59に案内することになり、放出口59から放出された棒金Bは、その前に載置される別体の図1に示す受入ボックス60に収納される。つまり、前方案内部43で機体前面側に案内された棒金Bを、搬送空間形成部58に形成された開口部58bを介して縦型ベルトコンベア57と搬送空間形成部58とで形成される搬送空間に受け入れて、搬送空間内の載置片56に載置させる。載置片56を下方から前方、さらには上方に移動させることで棒金Bを収納空間内で同様に移動させ、搬送空間形成部58に形成された開口部58cおよびシュート61を介して放出口59に案内する。
【0034】
各棒金搬送部55の機体前面側には、図5に示すように、搬送空間形成部58に形成された開口部58dを搬送空間形成部58に沿って開閉する開閉部材62と、この開口部58dを介して棒金Bを収納する棒金出金部63が設けられている。すなわち、開閉部材62が開口部58dを開放しているとき、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58dに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58dから棒金出金部63に向けて移動することになる。また、各棒金出金部63の下側には、搬送空間形成部58に開口部58eを形成し、この開口部58eを介して棒金Bを収納する棒金一括収納部65が設けられている。すなわち、棒金搬送部55の載置片56で下降搬送中の棒金Bが開口部58eに達すると、棒金Bは、載置片56の傾斜で、開口部58eから棒金一括収納部65に向けて移動することになる。棒金出金部63および棒金一括収納部65は機体から着脱可能な箱状をなしている。
【0035】
以上の構成の棒金収納装置10は、適宜のタイミングで金種別収納出金部27のいずれか一つから棒金作成搬送部29によって搬送されてきた同一金種のバラ硬貨を貯留部35に一旦受け入れると、制御部31が貯留部35から一枚ずつバラ硬貨を繰り出させて包装部36に送り、包装部36で所定枚数集積して包装紙を巻き回し包装紙の両端部を加締めて棒金Bとする。棒金Bが作成されると、制御部31は、この棒金Bを振分搬送部37で搬送し振り分ける。
【0036】
例えば、棒金Bを振分搬送部37で前方案内部43側に搬送し前方案内部43で棒金搬送部55に案内して、棒金搬送部55の下部で搬送する。つまり、図6に示すように、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で下方に案内した後、機体前面側で上方に案内する。載置片56に載置された棒金Bが放出口59に対応した開口部58cの位置まで移動すると載置片56の傾斜で放出口59に案内され、放出口59から放出される。
【0037】
また、例えば、端末振分部40で後方搬送部42に振り分けられた棒金Bが、後方搬送部42で搬送され、図4に示すように、横搬送部45を介して上昇搬送部48で搬送され収納振分部51で上昇搬送部48から押し出されて対応する金種のカセット50に収納されることになる。
【0038】
また、例えば、制御部31は、棒金Bの出金指令を受けると、棒金取出部53で対応する棒金Bをカセット50から取り出し棒金搬送部55の中間部および上部で搬送して棒金出金部63に出金する。つまり、図5に示すように、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、棒金Bは棒金出金部63に案内される。あるいは、制御部31は、カセット50が満杯となると、棒金取出部53で対応する棒金Bをカセット50から取り出し棒金搬送部55の中間部および上部で搬送して棒金一括収納部65に収納する。つまり、棒金Bを縦型ベルトコンベア57の載置片56で上方に案内した後、機体前面側で下方に案内すると、載置片56に載置された棒金Bが棒金出金部63に対応した開口部58dの位置に至ることになり、このとき開閉部材62によって開口部58dを閉じておくことで、棒金Bは棒金出金部63に対応した開口部58dの位置をそのまま通過し、棒金一括収納部65に対応した開口部58eの位置に至ると、常時突出する受取部材64で棒金出金部63に案内される。
【0039】
次に、本実施形態の棒金収納装置10の要部について説明する。
図5に示すカセット50は、長さ方向を機体前後方向に向けて配置されており、長さ方向一側の前端側(機体前面側)が後端側(機体後面側)より低く、且つ幅方向を横方向(機体左右方向)に沿わせて配置されている。カセット50は、同一形状のものが水平方向の位置を合わせ上下方向に間隔をあけて図7に示すように複数具体的には金種と同じ六個、多段状に配置されている。
【0040】
より具体的に、カセット50は、図5に示すように、長さ方向一側の前端側が後端側より低く、且つ幅方向を水平方向に沿わせて配置された長方形状の底板部70と、底板部70の幅方向の両側縁部から垂直に立ち上がる一対の側板部71と、底板部70の前端縁部から垂直に立ち上がる前端板部72と、両側板部71の上縁部から相互近接側に延出する上板部73とを有している。そして、底板部70の前端側から前端板部72にかけて、その幅方向の中間部に、棒金取出部53の持上部材52を通過させるための切欠部75が形成されている。
【0041】
なお、カセット50は、図4に示す上昇搬送部48から収納振分部51で押し出された棒金Bを、その長さ方向(軸線方向)をカセット50の幅方向に沿わせた姿勢で、後端部の受入位置から両側板部71の間、且つ底板部70の底面70a上に受け入れることになり、棒金Bは、カセット50の傾斜によって、図5に示す前端板部72から順に隙間無く当接して、カセット50の長さ方向に並列する状態でカセット50に収納されることになる。
【0042】
また、棒金取出部53は、持上部材52を前進状態とし切欠部75内において下から上に移動させることで、カセット50に収納された棒金Bのうち前端板部72に当接する前端の棒金Bを持ち上げてその傾斜により棒金搬送部55に搬送し、持上部材52を後退状態としカセット50から離れた位置で上から下に移動させ、再び持上部材52を前進状態として下から上に移動させることを繰り返す結果、カセット50に収納されている棒金Bを前端側のものから一本ずつ順に取り出すことになる。
【0043】
各カセット50の上側には、図7に示すように、それぞれ昇降可能な棒金保持機構80が設けられており、これら棒金保持機構80は、これらをカセット50の長さ方向に沿って移動させる駆動機構(駆動手段)81に連結されている。
【0044】
駆動機構81は、最も下側のカセット50の下側でカセット50と平行に延在するスライド軸85と、このスライド軸85に摺動自在に支持されるスライドブロック86と、スライドブロック86から上方に延出する保持板87と、スライド軸85の両端側の下方に配置された一対のプーリ88と、これらプーリ88に掛けられることでスライド軸85と平行に配設される駆動ベルト89と、一方のプーリ88に連結されたモータ90とを有しており、駆動ベルト89の一部がスライドブロック86に固定されている。これにより、駆動機構81は、モータ90の正逆回転で、スライドブロック86および保持板87をカセット50の長さ方向に往復動させる。
【0045】
保持板87は、図8に示すように、上下に多段状に配置されたカセット50の左右方向側方で上下に延在しており、この保持板87に各カセット50側に延出するように図9に示す棒金保持機構80が取り付けられている。
【0046】
棒金保持機構80は、保持板87にカセット50側に延出するように固定されて保持板87とでキャリア91を構成するキャリア本体(支持部)95と、このキャリア本体95にキャリア本体95から後方に延出するように連結された受けブロック(第1部材)96と、この受けブロック96に受けブロック96よりも後方に延出するように連結された押さえブロック(第2部材)97とを有している。すべての棒金保持機構80のキャリア本体95が保持板87に固定されていることから、保持板87および複数のキャリア本体95で構成されるキャリア91が、カセット50の長さ方向に沿って移動可能に設けられている。
【0047】
キャリア本体95には、カセット50の幅方向に沿って回動軸100が設けられており、受けブロック96は、この回動軸100に基端側が回動可能に支持されている。受けブロック96は、回動軸100から後方に延出する図10および図11に示す左右一対の延出部101と、これら延出部101の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部102とを有している。先端連結部102は、延出部101よりも下側に突出するように形成されている。
【0048】
ここで、受けブロック96は、キャリア本体95に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。受けブロック96は、最も下側に下降した一側下降状態にあるとき、図14に示すように、先端連結部102を、カセット50の底面70a上にある棒金Bの前後一側である前側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、受けブロック96は、最も上側に上昇した一側上昇状態にあるとき、図15に示すように、先端連結部102を、カセット50の底面70a上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0049】
また、受けブロック96とキャリア本体95との間には、図示は略すが、受けブロック96がキャリア本体95に対し下側に、中間の所定の付勢方向切替位置(中間所定位置)よりも揺動すると、これを下側に付勢して一側下降状態に維持する一方、受けブロック96が上側に付勢方向切替位置よりも揺動すると、これを上側に付勢して一側上昇状態に維持する図示略の受けブロック付勢スプリング(付勢部材)が設けられている。つまり、この受けブロック付勢スプリングにより、受けブロック96はキャリア本体95に対して上下に、いわゆるスナップアクションを行う。
【0050】
図10および図11に示すように、受けブロック96の延出部101の前端側には、カセット50の幅方向に沿って回動軸105が設けられており、押さえブロック97は、この回動軸105に基端側が回動可能に支持されている。押さえブロック97は、回動軸105から受けブロック96よりもさらに後方に延出する左右一対の延出部106と、これら延出部106の後端部同士を連結させるように左右方向に延在する先端連結部107とを有している。延出部106の先端連結部107側および先端連結部107は、延出部106の先端連結部107とは反対側よりも下側に突出する湾曲状に形成されている。
【0051】
ここで、押さえブロック97は、受けブロック96に対して、図示略のストッパによって、後方に延出する姿勢のまま上下に所定の角度範囲で揺動するように揺動範囲が規制されている。押さえブロック97は、一側下降状態にある受けブロック96に対して下降した他側下降状態にあるとき、図14に示すように、先端連結部107を、カセット50の底面70a上にある棒金Bの前後他側である後側に、棒金Bの通過を規制する高さに配置する。また、押さえブロック97は、一側下降状態にある受けブロック96に対して上昇した他側上昇状態にあるとき、図12に示すように、先端連結部107を、カセット50の底面70a上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置する。
【0052】
また、押さえブロック97は、図15および図16に示すように、受けブロック96が一側上昇状態にあるときには、受けブロック96に対して下側に最も下降した状態にあっても、カセット50の底面70a上にある棒金Bの通過を許容する高さに配置される。
【0053】
キャリア本体95には、図11に示すように、前後に二本の回転軸110,111が設けられている。前側の回転軸110の受けブロック96側には、後方に延出するようにアーム112が固定されており、このアーム112の先端側には受けブロック96側に突出して受けブロック96の側部の係合溝113に係合する係合ピン114が固定されている。また、前側の回転軸110の受けブロック96とは反対側にも後方に延出するようにアーム115が固定されており、このアーム115の先端側には受けブロック96とは反対側に突出する作動ピン116が固定されている。この作動ピン116が昇降することで、これと一体に設けられたアーム115、回転軸110およびアーム112が回動し、アーム112に固定された係合ピン114が昇降して、受けブロック96を昇降させる。
【0054】
また、後側の回転軸111の押さえブロック97側には、後方に延出するようにアーム120が固定されており、このアーム120の先端側には押さえブロック97側に突出して押さえブロック97の係合溝121に係合する係合ピン122が固定されている。また、後側の回転軸111の押さえブロック97とは反対側にも後方に延出するようにアーム123が固定されており、このアーム123の先端側には押さえブロック97とは反対側に突出する作動ピン124が固定されている。この作動ピン124が昇降することで、これと一体に設けられたアーム123、回転軸111およびアーム120が回動し、アーム120に固定された係合ピン122が昇降して、押さえブロック97を昇降させる。
【0055】
棒金保持機構80は、図12に示すように、カセット50の後端側の所定の受取位置で停止して、収納振分部51からの棒金Bを受け取ることになり、カセット50には、棒金保持機構80の後端側への移動時に、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン116を下降させて、後述するように一側上昇状態にあった受けブロック96を付勢方向切替位置よりも下側に揺動させる、後下がり形状の下降変換部材130が固定されている。この下降変換部材130によって受けブロック96が所定の受取位置では一側下降状態となる。
【0056】
また、カセット50には、棒金保持機構80の後端側への移動時に、下降変換部材130および図示略の受けブロック付勢スプリングにより一側下降状態となる受けブロック96に対し、受取位置より手前の所定位置で、この移動の力を利用して作動ピン124を上昇させて、後述するように他側下降状態にあった押さえブロック97を上側に揺動させて、図12に示すように他側上昇状態とする後上がり形状の退避変換部材131が固定されている。なお、退避変換部材131は前部が後上がり形状をなし、中間部がカセット50の底面70aと平行をなし、後部が後下がりの形状をなしており、棒金保持機構80が受取位置にあるとき作動ピン124は中間部上に位置する。
【0057】
以上により、棒金保持機構80は、図12および図13に示す受取位置にあるとき、受けブロック96をキャリア本体95に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック97を受けブロック96に対し上側に揺動させた他側上昇状態とする。この状態で、収納振分部51から棒金Bがカセット50の幅方向に沿う姿勢でカセット50の後端部の底面70a上に放出されると、この棒金Bが底面70aの傾斜によって前側に移動し、押さえブロック97の下側を通って受けブロック96に当接しカセット50の幅方向に沿う姿勢で停止する(図13に示す状態)。なお、棒金保持機構80は、待機状態にあるときこの受取位置で停止することになる。また、棒金保持機構80が受取位置に位置したことを保持板87の位置から検出する図示略の受取位置センサが設けられている。
【0058】
そして、このように棒金Bを受け取った状態から棒金保持機構80がカセット50の前端側へ移動すると、その初期に、図14に示すように、退避変換部材131に沿って作動ピン124が下降し、その結果、押さえブロック97が下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構80は、受けブロック96が一側下降状態となり、押さえブロック97が他側下降状態となって、共に下降した状態となり、カセット50の底面70a上の棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となる。言い換えれば、棒金保持機構80は棒金Bを上側から囲むように保持する状態、さらに言い換えれば、棒金保持機構80は棒金Bを上側から前後に相対移動不可に一体的に保持する状態となる。このとき、棒金Bは、前側が受けブロック96に当接し、後側が押さえブロック97に当接し、下側が底面70aに当接した、軸方向視で三点支持の状態となり、棒金保持機構80のカセット50の前端側への移動で、この三点支持状態のまま前端側へ移動する。つまり、棒金保持機構80により棒金Bが、カセット50の幅方向に沿う姿勢のまま、ふらついたり、斜行したり、棒金保持機構80に対し遅れたりすることなく移動する。
【0059】
ここで、棒金保持機構80の受けブロック96には、棒金保持機構80のカセット50の前端側への移動時に、カセット50に既に収納されている棒金Bに接触して一側下降状態にあった受けブロック96を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる接触部133が先端連結部102における回動軸100側の下部に形成されている。
【0060】
つまり、棒金保持機構80が、上記のようにその受けブロック96を一側下降状態とし押さえブロック97を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット50の前端側に移動すると、保持している棒金Bが既にカセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック96の接触部133が既にカセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接し、その移動の力を利用してこの棒金Bに乗り上げる。これにより、受けブロック96が付勢方向切替位置よりも上側に揺動させられることになり、図15に示すように、受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。その結果、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。このとき、接触部133が最後尾の棒金Bに接触する前に、最後尾の棒金Bに、受けブロック96および押さえブロック97で保持されていた棒金Bが当接して停止することになるが、後側の押さえブロック97は、保持していた棒金Bによって上方に揺動させられてこの棒金Bよりも前方に移動する。なお、棒金保持機構80が、受取位置に位置したときに、受けブロック96および押さえブロック97が既にカセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接することがないように、棒金Bの収納スペース(満杯量)が設定されている。つまり、カセット50の棒金Bを収納する収納スペースの後端部は、受取位置よりも前側に設定されている。
【0061】
また、カセット50には、棒金保持機構80の前端側への移動時に、棒金保持機構80で保持している棒金Bがカセット50の前端板部72に当接する直前に、この移動の力を利用して作動ピン116を上昇させて、一側下降状態にあった受けブロック96を付勢方向切替位置よりも上側に揺動させる前上がり形状の図16に示す上昇変換部材135が固定されている。
【0062】
つまり、棒金保持機構80が、その受けブロック96を一側下降状態とし押さえブロック97を他側下降状態として棒金Bを抱えつつカセット50の前端側に移動すると、カセット50にすでに収納されている棒金Bがない状態では、保持している棒金Bが前端板部72に当接する直前に、上昇変換部材135が棒金保持機構80の移動の力を利用して作動ピン116を上昇させることになり、受けブロック96が付勢方向切替位置よりも上側に揺動し受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となる。これにより、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから離れ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構80で保持されていた棒金Bが、カセット50の前端板部72に当接して停止する。なお、棒金保持機構80は、上昇変換部材135によって作動ピン116が上昇させられた後に、前端位置で一旦停止して、後端側の待機位置に戻ることになり、棒金保持機構80が前端位置に位置したことを保持板87の位置から検出する図示略の前端位置センサが設けられている。
【0063】
図7に示すように、各カセット50の上側に設けられたキャリア本体95には、最上段のカセット50の上側のキャリア本体95を除いて、図9に示すように、下側および上側に磁気センサ140,141が取り付けられている。キャリア本体95に支持された下側の磁気センサ140は、直ぐ下側のカセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを検出する。同じキャリア本体95に支持された上側の磁気センサ141は、直ぐ上側のカセット50に収納されている棒金Bをスキャニングしてその磁気データを底板部70に形成された図示略の検出溝を介して検出する。つまり、キャリア91のうち、最上段のカセット50の上側のキャリア本体95を除くキャリア本体95は、上下に隣り合うカセット50の間位置にあってこれらカセット50に共通の支持部となり、上下に隣り合うカセット50のうちの一方上側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ140,141のうちの下側の一方である磁気センサ140と、隣り合うカセット50のうちの他方下側のものに収納された棒金B用の一対の磁気センサ140,141の上側の一方である磁気センサ141とを支持する。
【0064】
ここで、カセット50の直ぐ上側に設けられたキャリア本体95の下側の磁気センサ140と同じカセット50の直ぐ下側に設けられたキャリア本体95の上側の磁気センサ141とが、互いにキャリア本体95の移動方向における前後左右の位置を合わせて対向し、互いの間にあるカセット50の底面70aと直交する方向に配置されていて、このカセット50に収納された棒金Bの磁気データを検出する磁気データ検出部(磁気データ検出手段)142を構成している。つまり、磁気データ検出部142は、カセット50に収納された棒金Bを直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサ140,141で構成されている。
【0065】
なお、最上段のカセット50の上側のキャリア本体95には、下側の磁気センサ140のみが取り付けられており、上から二番目のカセット50の上側のキャリア本体95の上側の磁気センサ141と対向して、最上段のカセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部142を構成する。
【0066】
また、最下段のカセット50の下側には、キャリア91を構成するとともに磁気センサ141を支持するのみの最下キャリア本体95Aが保持板87から延出しており、この最下キャリア本体95Aには上向きに磁気センサ140が取り付けられている。この磁気センサ140は、最下段のカセット50の上側のキャリア本体95の下側の磁気センサ141と対向して、最下段のカセット50に収納されている棒金Bを検出する磁気データ検出部142を構成する。
【0067】
すべてのカセット50には、収納振分部51から放出された棒金Bを受け入れる後端部の受入位置から、収納振分部51からの棒金Bを棒金保持機構80によって受け取る受取位置の若干後方まで、図17に示すように、カセット50の底面70aと略平行で底面70aよりも上側に一段高い受入台部54が形成されている。この受入台部54には、受入位置よりも前側に上下に貫通する図18および図19に示す穴部146が形成されており、この穴部146から受入台部54上に突出可能に基準磁性部材150が設けられている。
【0068】
受入台部54の下側には、カセット50の幅方向に沿って回転軸151が位置固定で回転可能に設けられており、基準磁性部材150は、この回転軸151に固定されている。
基準磁性部材150は、図17に示すように、同心状をなして180度異なる位置に配置される一対の円弧状部152と、これら円弧状部152の円周方向の中間部同士を連結させる連結板部153とを有している。そして、基準磁性部材150は、一方の円弧状部152において、回転軸151に固定されており、両側の円弧状部152の中心軸線を回転軸151に平行させている。
【0069】
基準磁性部材150は、これが設けられるカセット50に収納されるべき棒金Bの金種と同一材質で形成されており、しかも、円弧状部152の外径が同カセット50に収納される棒金Bの硬貨と同外径に形成されている。つまり、1円硬貨の棒金Bを収納するカセット50に設けられる基準磁性部材150は、1円硬貨と同一材質且つ同径に形成されている。同様に、5円棒金用のカセット50の基準磁性部材150は、5円硬貨と同一材質且つ同径に、10円棒金用のカセット50の基準磁性部材150は、10円硬貨と同一材質且つ同径に、50円棒金用のカセット50の基準磁性部材150は、50円硬貨と同一材質且つ同径に、100円棒金用のカセット50の基準磁性部材150は、100円硬貨と同一材質且つ同径に、500円棒金用のカセット50の基準磁性部材150は、500円硬貨と同一材質且つ同径に、形成されている。
【0070】
ここで、基準磁性部材150は、上記した受入位置と受取位置との間に設けられている。また、基準磁性部材150は、カセット50の底面70a上にある棒金Bと底面70aから中心までの高さを合わせている。
【0071】
基準磁性部材150は、回転することで、図18および図20に示すように、カセット50の受入台部54から下に退避したり、図19および図21に示すように、カセット50の受入台部54からカセット50内に突出したりする。つまり、図17、図19および図21に示すように、一対の円弧状部152を結ぶ方向が受入台部54と交差して受入台部54から突出する検出状態と、図18および図20に示すように、一対の円弧状部152を結ぶ方向が受入台部54と平行して受入台部54から退避する退避状態とに切り替え可能となっている。なお、基準磁性部材150は、退避状態に維持されるように図示略の基準磁性部材付勢スプリングで付勢されている。回転軸151には、アーム部材156が半径方向に沿って固定されている。このアーム部材156は、回転軸151とは反対側に、回転軸151と平行をなして回転可能なローラ157を有している。
【0072】
ここで、図17に示すように、検出状態にある基準磁性部材150を直径方向において挟む位置が、磁気データ検出部142の一対の磁気センサ140,141でこの基準磁性部材150の磁気データを検出する所定の調整位置となり、キャリア91は、磁気データ検出部142を基準磁性部材150が設けられたこの調整位置に配置可能となっている。
この調整位置は、受入位置と受取位置との間、つまり受入位置と棒金Bを収納する収納スペースとの間に設けられている。棒金保持機構80の磁気データ検出部142が調整位置に位置したことを保持板87の位置から検出する図示略の調整位置センサが設けられている。
【0073】
そして、図20に示すように、基準磁性部材150が退避状態にあるときアーム部材156は後下がりに突出しており、キャリア本体95が磁気データ検出部142を調整位置に位置させるように受取位置を越えて後方まで移動すると、保持板87の一部に形成された作動傾斜面160がアーム部材156のローラ157に当接してその移動力によりアーム部材156を揺動させてアーム部材156と一体に設けられた基準磁性部材150を退避状態から回転させる。そして、キャリア91が磁気データ検出部142を調整位置に配置して停止すると、図17、図19および図21に示すように、基準磁性部材150が検出状態となる。逆に、この状態からキャリア91が例えば受取位置まで移動すると、保持板87の一部の作動傾斜面160がアーム部材156のローラ157への当接を解除しつつ基準磁性部材付勢スプリングの付勢力でアーム部材156を揺動させて基準磁性部材150を図18および図20に示す退避状態に戻す。なお、棒金保持機構80の受けブロック96および押さえブロック97は、受取位置よりも後方に移動し、磁気データ検出部142が調整位置に位置する直前に、基準磁性部材150よりもカセット50の後端側に位置することになり、これら受けブロック96および押さえブロック97が、突出する基準磁性部材150に対し干渉することがないように設定されている。
【0074】
受入台部54の穴部146には、受入台部54よりも若干上側に突出する緩衝部材161が設けられている。この緩衝部材161はバネで上向きに付勢されており、収納振分部51から受入位置に放出された棒金Bの受入台部54への衝突を緩和する。
【0075】
以上の構成の棒金収納装置10において、例えば、包装部36で作成した棒金Bを対応金種のカセット50に収納する場合、制御部31は、収納振分部51のプッシャ51aで上昇搬送部48から棒金Bを押し出して対応するカセット50の後端部の受入位置に放出させる。すると、棒金Bは、基準磁性部材150が退避状態にある受入台部54をその傾斜により前方に移動し、受入台部54より一段低いカセット50の底面70aに落下してさらに前方に移動する。このとき、受取位置で待機している棒金保持機構80は、図12に示すように、受けブロック96をキャリア本体95に対し下側に揺動させた一側下降状態とし、押さえブロック97を受けブロック96に対し上側に揺動させた他側上昇状態としているため、棒金Bは、図13に示すように、押さえブロック97の下側を通って受けブロック96の先端連結部102に当接しカセット50の幅方向に沿う姿勢で停止する。
【0076】
上記のように収納振分部51のプッシャ51aを作動させた後、棒金Bが受取位置にある棒金保持機構80の受けブロック96に当接すると想定される時間経過後のタイミングで、制御部31は、モータ90を駆動して保持板87を前方に移動させる。すると、棒金保持機構80がカセット50の前端側へ向け移動し、その初期に、退避変換部材131に沿って作動ピン124が下降し、図14に示すように、押さえブロック97が自重で下降して棒金Bに当接する。これにより、棒金保持機構80の受けブロック96および押さえブロック97が受け取った棒金Bを上側から抱えるように保持する状態となって前方に移動し、棒金Bを前方に搬送する。
【0077】
そして、このカセット50に既に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構80は、保持している棒金Bが既にカセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに当接した後に、受けブロック96の接触部133が既にカセット50に収納されていた棒金Bの最後尾のものに接触して、図15に示すように上側に揺動させられることになり、その結果、受けブロック96が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。
【0078】
また、既にカセット50に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構80は、保持している棒金Bがカセット50の前端板部72に当接する直前に、図16に示すように、上昇変換部材135により作動ピン116が上昇させられることになり、受けブロック96が上方に揺動させられて受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから上側に逃げ、棒金Bの受けおよび押さえを解除する。すると、棒金保持機構80で保持されていた棒金Bが、カセット50の前端板部72に当接して停止する。
【0079】
そして、制御部31は、前端位置センサによって保持板87が検出されると、棒金保持機構80が前端位置に到達したと判断して、モータ90を停止し逆転させる。すると、保持板87が後方に移動し、棒金保持機構80も、受けブロック96を一側上昇状態としたまま、つまりカセット50の棒金Bよりも受けブロック96および押さえブロック97を上側に逃がした状態のまま、後方に移動する。
【0080】
そして、後方に移動する棒金保持機構80は、受取位置より手前の所定位置で、図12に示すように、下降変換部材130によって、作動ピン116が下降させられることになり、一側上昇状態にあった受けブロック96が下方に揺動させられて受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側下降状態となる。また、このとき、棒金保持機構80は、退避変換部材131によって、作動ピン124が上昇させられることになり、押さえブロック97が上側に揺動させられて他側上昇状態となる。
【0081】
そして、図示略の受取位置センサで保持板87が検出されると、制御部31は、棒金保持機構80が受取位置に至ったと判定して、モータ90を停止させる。
【0082】
以上のようにして、一つのカセット50に対して、棒金保持機構80で一本ずつ棒金Bを収納する。なお、一本のみの棒金Bの収納に対しても、同じ保持板87に保持されていることから、すべての棒金保持機構80が、同様に動作することになり、その内の一つの棒金保持機構80が棒金Bを保持して搬送する。
【0083】
また、操作部30を介して、すべてのカセット50についての正常棒金の在り高を確認する在り高確認操作が入力されると、制御部31の確認手段31a(図2参照)によって在り高確認処理を開始し、すべての棒金保持機構80が受取位置にある待機状態から、まず、補正値算出処理(キャリブレーション)を行う。
【0084】
つまり、まず、モータ90を駆動して保持板87を後方に移動させる。すると、保持板87が、すべての基準磁性部材150に連結されたアーム部材156のローラ157に、作動傾斜面160を図20に示すように当接させることになり、その移動力によりアーム部材156を揺動させてアーム部材156と一体に設けられた基準磁性部材150を退避状態から回転させる。そして、制御部31は、調整位置センサによって保持板87が検出されると、モータ90を停止させることになり、これにより、保持板87に設けられた作動傾斜面160が、図21に示すようにすべての基準磁性部材150を検出状態とする。
また、このとき、図17に示すように、すべての磁気データ検出部142が対向する一対の磁気センサ140,141間に基準磁性部材150を配置する状態となる。
【0085】
この状態で、制御部31は、すべての磁気データ検出部142により基準磁性部材150の磁気データ(基準磁気データ)を検出する。ここで、図示略の記憶部には、すべての磁気データ検出部142が基準温度にあるときに調整位置で基準磁性部材150を検出して得られた基準温度データが各磁気データ検出部142別に記憶されており、この基準温度データと、今回基準磁性部材150を検出して得られた検出データとを比較して、温度変化によるデータのずれ量(感度変化)を各磁気データ検出部142別に算出し、これを補正値として各磁気データ検出部142別に記憶部に記憶する。これにより補正値算出処理が終了する。
【0086】
上記補正値算出処理の直後に、制御部31の確認手段31aは、在り高確認処理を行う。つまり、まず、モータ90を駆動して保持板87を前方に移動させる。すると、保持板87に設けられた作動傾斜面160が、アーム部材156の押圧を解除し、図18および図20に示すように、すべての基準磁性部材150を基準磁性部材付勢スプリングの付勢力で退避状態とした後、棒金保持機構80が受取位置を越えることになり、図14に示すように退避変換部材131に沿って作動ピン124が下降し、押さえブロック97が自重で下降して他側下降状態となり、一側下降状態にある受けブロック96と共に前方に移動する。
【0087】
そして、カセット50に収納されている棒金Bがある場合、前方に移動する棒金保持機構80は、受けブロック96の接触部133が既にカセット50に収納されている棒金Bの最後尾のものに接触して上側に揺動させられることになり、その結果、図15に示すように受けブロック96が受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となって、受けブロック96および押さえブロック97が共に棒金Bから上方に逃げる。
【0088】
また、既にカセット50に収納されている棒金Bがない場合、前方に移動する棒金保持機構80は、図16に示すように、上昇変換部材135により作動ピン116が上昇させられることになり、受けブロック96が上方に揺動させられて受けブロック付勢スプリングの付勢力で一側上昇状態となり、受けブロック96および押さえブロック97が共に上方に移動する。
【0089】
そして、制御部31は、前端位置センサによって保持板87が検出されると、棒金保持機構80が前端位置に到達したと判断して、モータ90を停止し逆転させる。すると、保持板87が後方に移動し、すべての棒金保持機構80が、受けブロック96を一側上昇状態としたまま、つまりカセット50の棒金Bよりも受けブロック96および押さえブロック97を上側に逃がした状態のまま、後方に移動する。その結果、すべての棒金保持機構80は棒金Bと接触することなく後方に移動する。この後方への移動時に、図22に示すように、磁気データ検出部142は一対の磁気センサ140,141の間に棒金Bを通過させることになり、その際に制御部31が、すべての磁気データ検出部142にカセット50に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。そして、制御部31は、図示略の受取位置センサで保持板87が検出されると、すべてのカセット50の収納スペースに存在するすべての棒金Bを走査するようにカセット50の長さ方向の全体に亘ってすべての磁気データ検出部142が一度移動し、棒金保持機構80が受取位置に至ったと判定して、モータ90を停止させる。なお、検出にミスが生じた場合等には、もう一度、つまりカセット50の長さ方向の全体に亘って磁気データ検出部142を複数回移動させるようにする。
【0090】
制御部31は、すべての磁気データ検出部142で検出した磁気データに基づいて、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認する。
【0091】
ここで、磁気データ検出部142は、保持板87が後方に移動される際に、棒金Bの磁気データをスキャニングして、磁気データの検出間隔を所定の等間隔として磁気センサ140と棒金Bとのギャップ、および、磁気センサ141と棒金Bとのギャップを検出する。上記検出間隔は、図23に示すように、例えば、一の棒金Bに対して検出ポイントが4点または5点以上(例えば、図23では7点)となる間隔すなわち、検出されたギャップから棒金Bの外形である円弧(図23中、太線で示す)が検出できる程度の検出間隔に設定されている。
【0092】
確認手段31aは、上記のように、確認動作の直前に求められ各磁気データ検出部142別に記憶部に記憶された補正値に基づいて、各磁気データ検出部142の検出データまたは各磁気データ検出部142用のマッチング判定用データ(後述する)を補正し、温度補償を行ってから、検出磁気データとマッチング判定用データとを比較することになる。つまり、補正値の分だけ補正したマッチング判定用データと検出磁気データとを比較するか、あるいは、検出磁気データを補正値の分だけ補正した値と、マッチング判定用データとを比較する。
【0093】
さらに、確認手段31aは、検出磁気データすなわち磁気センサ140と棒金Bとのギャップに基づき各棒金Bの直径方向の一側である上方側の円弧を求めると共に、磁気センサ141と棒金Bとのギャップに基づき棒金Bの直径方向の他側である下方側の円弧を求める。より具体的には、図24に示すように、磁気データ検出部142による検出タイミング間隔でギャップを並べて、上方側のギャップの端部を通る曲線K1に近似する真円の円弧C1および下方側のギャップの端部を通る曲線K2に近似する真円の円弧C2をそれぞれ個別に求める。なお、図示都合上、図24のグラフでは上方側のギャップおよびこのギャップに基づく曲線K1のみ示しているが、下方側のギャップや下方側のギャップに基づく曲線K2および曲線K2に近似する真円の円弧C2は図24に示す上方側のギャップに基づく曲線K1および円弧C1を略上下反転させたものとなる。また、図24では、図示都合上、ギャップの検出間隔を図23よりも狭く設定した場合を示している。
【0094】
確認手段31aは、さらに記憶部に予め記憶された金種別のマッチング判定用データの中から円弧C1,C2に対して誤差が最小となるマッチング判定用データを特定する。このマッチング判定用データは、正規の棒金の金種別の円弧データとして予め記憶部に記憶されたものである。このマッチング判定用データの特定によって棒金Bの金種が特定される。なお、全てのマッチング判定用データが円弧C1,C2に対して所定誤差以上ずれた場合、何れの正規の棒金の金種が特定できない異常状態と検出するようにしても良いし、もしくは磁気センサ140,141の異常状態を検出するように構成してもよい。
【0095】
確認手段31aは、上方側の円弧C1および下方側の円弧C2がそれぞれ求められると、上方側の円弧C1の円弧中心位置T1および下方側の円弧C2の円弧中心位置T2をそれぞれ求める。これら円弧中心位置T1,T2は、例えば円弧C1,C2の曲率および、円弧C1,C2の位置に基づき求めることができる。
【0096】
次いで、確認手段31aは、上方側の円弧C1の円弧中心位置T1と、下方側の円弧C2の円弧中心位置T2とが一致しているか否かを判定する。この判定の結果、各円弧中心位置T1,T2が一致していると判定された場合、より具体的には、上方側の円弧C1の円弧中心位置T1と下方側の円弧C2の円弧中心位置T2とのズレが所定以内である場合、当該棒金Bが適正な姿勢でカセット50に装填されていると判定する。
【0097】
ここで、図25に示すように、カセット50の長さ方向(図25中、一点鎖線で示す。)に対して棒金Bの径方向が斜めに配置される異常姿勢の場合、棒金Bのカセット50の長さ方向に沿う断面がカセット50の長さ方向に沿う長円となる。そして、この斜め状態の棒金Bに対して求められたギャップに基づき当該ギャップの端部側を通る曲線K1,K2に近似する真円の円弧C1,C2を求めると、長円の長軸程度またはこの長軸よりも長い直径の真円の円弧C1,C2が求められる。しかし、実際には長円の円弧であるため、上方側の真円の円弧C1の円弧中心位置T1と下方側の真円の円弧C2の円弧中心位置T2とを求めて比較すると、これら円弧中心同士は、例えば図26に示すように、上記長円の長軸と短軸との差によりギャップの測定方向に沿ってずれることとなる。つまり、棒金Bの断面が長円になっていることを上記ギャップに基づく上方側および下方側の真円の円弧C1,C2の円弧中心位置T1,T2の位置ズレに基づいて判定することで棒金Bが異常姿勢であることが検出可能となっているのである。
【0098】
確認手段31aは、上方側の円弧C1の円弧中心位置T1と下方側の円弧C2の円弧中心位置T2が一致すると判定した場合つまり、棒金Bの姿勢が斜め装填による異常姿勢でなく正常姿勢である場合、円弧C1又は円弧C2に基づいて特定されたマッチング判定用データに基づき異金種判定を行う。より具体的には、上記マッチング判定用データによる円弧と、カセット50に装填されるべき金種の円弧すなわち基準磁性部材150の磁気データによる円弧とを比較し、これらの円弧が一致する場合には棒金Bが同金種であると判定する一方、円弧が一致しないと判定された場合には棒金Bが異金種であると判定する。
【0099】
また、上述した異常姿勢以外に、確認手段31aは、隣り合う棒金B,B間の挟み込み等による異常姿勢を検出する。確認手段31aは、磁気データ検出部142が検出した磁気データに基づきカセット50に装填された全ての棒金Bに対するギャップに基づき円弧中心位置T1・・・,T2・・・を求め、カセット50の長さ方向に沿って隣り合う棒金Bの円弧中心位置T1,T1同士又は円弧中心位置T2,T2同士の間隔L(図24参照)が一定か否か、より具体的には当該カセット50に装填されるべき金種の棒金Bの直径程度になっているか否かを判定する。ここで、カセット50の長さ方向に沿って隣り合う棒金Bの円弧中心位置T1,T1又は円弧中心位置T2,T2同士の間隔Lが一定でない場合としては、例えば、隣り合う棒金Bと棒金Bとの間に硬貨など異物が挟まっている場合がある。確認手段31aは、これら隣り合う棒金Bの円弧中心位置T1,T1又は円弧中心位置T2,T2同士の間隔Lが一定でないと判定した場合、棒金Bが、バラ硬貨の挟み込みなどによる異常姿勢にあることを検出する。
【0100】
確認手段31aによって異金種棒金が検出された場合、および、棒金Bの異常姿勢を検出した場合には、制御部31の特定手段31b(図2参照)によって異金種および異常姿勢の棒金Bの位置を特定する。この棒金の位置の特定は、例えば、該当するカセット50に設定された装填されるべき金種名、および、該当するカセット50の長さ方向一側の前方側から何番目に装填されているか等により特定される。そして異金種または異常姿勢の棒金Bが検出された場合、特定手段31bで特定された棒金Bの位置は、異金種または異常姿勢の棒金Bが検出された旨のメッセージとともに表示部32に表示される。その後、担当者によって異金種棒金は取り除きの処理がなされ、または、異常姿勢の棒金Bの修正操作がなされると再度上述した異金種または異常姿勢の検出を行い、異金種または異常姿勢の棒金Bが解消されるまで、上記の異金種または異常姿勢の検出と担当者による修正操作とを繰り返す。
【0101】
そして、異金種または異常姿勢が無い場合、同時並行で実行されたすべてのカセット50についての確認結果である、カセット50別の正常棒金の計数値を、記憶部に記憶させるとともに表示部32に表示させることになる。これにより、在り高確認処理が終了する。
【0102】
したがって、上述した第1実施形態の棒金収納装置10によれば、確認手段31aによって、キャリア91に支持された一対の磁気センサ140,141の一方の磁気センサ(例えば、磁気センサ140)により所定間隔で検出された一方の磁気センサ140と棒金Bとのギャップに基づいて円弧中心位置T1を求めるとともに、他方の磁気センサ(例えば、磁気センサ141)によって所定間隔で検出されたギャップに基づいて円弧中心位置T2を求め、円弧中心位置T1,T2がそれぞれ一致している場合つまり、一方および他方の円弧C1,C2を組み合わせたものが正常な棒金の断面である略真円とみなせる場合に、磁気データ検出部142によって検出された磁気データと予め記憶された正常棒金の磁気データすなわち、磁気データ検出部142によって検出された棒金Bの外形(円弧)と基準磁性部材150の外形(円弧)とを比較して異金種の棒金Bか否かを判定することができるため、異金種の棒金Bを精度良く検出することが可能になる。
【0103】
さらに、一対の磁気センサ140,141により検出された円弧C1,C2に基づく一方および他方の円弧中心位置T1,T2が、例えば棒金Bが整列方向に対して斜めになっている等によって、互いに一致しない場合、確認手段31aにより棒金Bが異常姿勢であることを検出できるため、例えばこの検出結果に従い棒金Bの姿勢を適正姿勢に修正することができ、この結果、正確な異金種判定を行うことができる。
【0104】
また、磁気データ検出部142により検出されたカセット50の長さ方向に沿って隣り合う円弧C1,C1の円弧中心位置T1,T1または円弧C2,C2円弧中心位置T2,T2の間隔が一定か否か、すなわち、カセット50の長さ方向に並列状態で装填される棒金B同士の間隔Lが一定であるか否かを判定して、この判定の結果、間隔Lが一定でない場合に棒金Bの異常姿勢を検出することができるため、例えばこの検出結果に従い棒金Bの姿勢を適正姿勢に修正することができ、この結果、正確な異金種判定を行うことができる。
さらに、特定手段31bによって異金種棒金または異常姿勢の棒金Bの位置を特定することができるため、異金種棒金の除去や異常姿勢の棒金Bを迅速に適正姿勢に修正する処置を担当者に明確に報知して促すことができる。
【0105】
次に本発明の第2実施形態の棒金収納装置について図面を参照しながら第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、この第2実施形態における棒金収納装置10は、異金種判定および棒金Bの異常姿勢検出の方法がそれぞれ異なるだけであるので第1実施形態と同一部分に同一符号を付してその説明は省略する。
【0106】
本実施形態の棒金収納装置10は、上述した第1実施形態と同様に、操作部30を介してすべてのカセット50についての正常棒金の在り高を確認する在り高確認操作が入力されると、制御部31の確認手段31aによって在り高確認処理が開始され、まず、補正値算出処理を行う。
次いで制御部31によってモータ90を駆動して保持板87を前方に移動させ前端位置に到達すると、モータ90を停止し逆転させ、保持板87を後方に移動させる。この際、すべての磁気データ検出部142にカセット50に収納されている棒金Bの磁気データを検出させる。
【0107】
上記保持板87が後方に移動される際に棒金Bの磁気データをスキャニングして、磁気データ検出部142による磁気データの検出間隔を所定の等間隔として磁気センサ140と棒金Bとのギャップ、および、磁気センサ141と棒金Bとのギャップを検出する。この際の検出間隔は、第1実施形態と同様に図23に示す、例えば、一の棒金Bに対して検出ポイントが4点または5点以上(例えば、図23では7点の場合を示す)となる間隔に設定される。なお、ギャップの検出は連続的に行うほど、つまり検出間隔が狭いほど好ましい。
【0108】
そして、すべての磁気データ検出部142で検出した磁気データを、それぞれ、予め記憶部に記憶された正常棒金の磁気データと比較して、正常棒金の有無、何れの金種の棒金であるかを特定できなかった異常状態を含む異金種棒金の有無、棒金装填状態の姿勢異常の有無、および正常棒金の在り高を確認する。
より具体的には、図23に示すように、一の棒金Bに対して一方の磁気センサ140により所定の等間隔で検出されたギャップのうち、最小ギャップGsを求めるとともに、他方の磁気センサ141により所定の等間隔で検出されたギャップのうち、最小ギャップGsを求める。そして、これら一方の最小ギャップGsおよび他方の最小ギャップGsと、磁気センサ140,141間の既定の距離Lsとから、棒金Bの直径(外径)を求める。次いで、求められたこの棒金Bの直径と、当該棒金Bが装填されたカセット50に装填されるべき金種に対応した上記基準磁性部材150の磁気データによる正常棒金Bの直径とを比較して、一の棒金Bの異金種判定を行う。
【0109】
また、確認手段31aは、磁気センサ140,141により検出された磁気データ(図24参照)に基づき上述したギャップの測定方向とは垂直な方向すなわち、磁気センサ140,141の移動方向に沿った棒金Bの外径R1を求め、この外径R1と上述した最小ギャップGsに基づき求められた棒金Bの外径(直径)とを比較する。そしてこの比較の結果、磁気センサ140,141の移動方向に沿う方向の外径R1の方が大きいと判定された場合、棒金Bが異常姿勢であることを検出する。これは、検出された棒金Bの、磁気センサ140,141の移動方向に沿う断面形状が磁気センサ140,141の移動方向に沿う長円となっているからであり、第1実施形態と同様に棒金Bが斜めに装填されているからである。なお、最小ギャップGsに基づく直径と外径R1とが一致した場合、確認手段31aは、棒金Bを正常姿勢であると判定する。
【0110】
そして、異金種の棒金Bが検出された場合、および、棒金Bの異常姿勢を検出した場合には、特定手段31bによって異金種および異常姿勢の棒金Bの位置が特定されて、第1実施形態と同様に表示部32によって担当者に報知される。さらに、異金種棒金の除去、棒金Bの異常姿勢が解消されると、すべてのカセット50の在り高が確認されて、カセット50別の正常棒金の計数値が表示部32に表示されて在り高確認処理が終了する。なお、第1実施形態と同様に特定手段31bにより異金種および異常姿勢の棒金Bの位置を特定するようにしてもよい。
【0111】
したがって、上述した第2実施形態の棒金収納装置10によれば、一対の磁気センサ140,141による一方の最小ギャップGsおよび他方の最小ギャップGsと、磁気センサ140,141間の既定距離Lsとから求められた棒金Bの外径に基づいて金種を特定し、この特定された金種に基づき棒金Bが異金種棒金であるか否かを判定することで、金種を特定する処理を簡素化することができるため、迅速に異金種判定を行うことができる。
【0112】
なお、以上については、所定の等間隔で検出されたギャップのうち、最小ギャップGsと規定距離Lsとから棒金Bの直径を求める事によって、求められたこの棒金Bの直径と、当該棒金Bが装填されたカセット50に装填されるべき金種に対応した上記基準磁性部材150の磁気データによる正常棒金Bの直径とを比較して、一の棒金Bの異金種判定を行うものとした。しかしこれに限らず、この比較対象範囲を広げても良い。つまりは、所定の等間隔で検出されたギャップのうち、最小ギャップGsのみをギャップデータとして使用するのではなく、検出した全てのギャップからギャップの合算値を求めたり、もしくは逆に規定距離Lsから検出した各ギャップを減算した値の全ての合算値(棒金弦部)を求めて利用する事も可能である。上述したように、ギャップの検出は連続的に行うほど、つまり検出間隔が狭いほど好ましく、正確な最小ギャップGsを求めることができるのみでなく、これを極めるとこれらの合算値は面積として求めることもできるようになる。つまりは合算値が大きければ大きい程、棒金Bの金種別における差異は大きくなるため、異金種判定の精度をさらに向上する事もできるようになる。そして、これらの合算値を利用して判定する場合には、これら何れかの合算値と予め記憶部に記憶された正常棒金Bに係る所定の値を比較すれば良いことになる。
【0113】
また、磁気センサ140,141により検出された磁気データに基づいて、ギャップ方向の外径と、これと垂直な磁気センサ140,141の移動方向の外径R1とを比較することで、ギャップに基づく外径と磁気センサ140,141の移動方向の外径R1とが一致していない場合に、例えば、棒金Bの姿勢がカセット50の長さ方向に対して斜めに装填されているなど、棒金Bが異常姿勢であることを検出することができるため、例えばこの検出結果に従い棒金Bの姿勢を適正姿勢に修正することができ、この結果、正確な異金種判定を行うことができる。
【0114】
なお、以上これまで説明した実施形態においては、硬貨入出金機11に並設されてバラ硬貨から棒金Bを作成し収納する棒金収納装置10を例にとり説明したが、棒金Bが手作業で装填されて出金のみを行う棒金支払機にも、むろん適用可能である。
【符号の説明】
【0115】
31a 確認手段
31b 特定手段
50 カセット
81 駆動機構(駆動手段)
91 キャリア
140,141 磁気センサ
142 磁気データ検出部(磁気データ検出手段)
150 基準磁性部材
B 棒金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセットに、該カセットの長さ方向に並列状態で棒金を装填する棒金収納装置であって、
前記カセットの長さ方向に沿って移動可能なキャリアと、
該キャリアを前記カセットの長さ方向に沿って移動させる駆動手段と、
前記キャリアに支持されて前記カセットに装填された棒金を直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサによって、前記カセット装填された棒金の磁気データをスキャニングして検出する磁気データ検出手段と、
予め記憶された正常棒金の基準磁気データと、前記磁気データ検出手段で検出した磁気データとに基づいて、正常棒金の有無、異金種棒金の有無、および正常棒金の在り高を確認する確認手段とを備え、
一対の前記磁気センサは、スキャニング時に一の棒金に対して前記カセットの長さ方向に沿って所定の間隔で磁気センサと棒金とのギャップを検出し、
前記確認手段は、一対の磁気センサにより検出されたギャップに基づいて一方の円弧を求めると共に他方のギャップに基づいて他方の円弧を求め、これら一方の円弧および他方の円弧に基づき各円弧中心位置を求め、さらにこれら円弧中心位置が互いに一致しているか否かを判定する一方、求められた円弧に対して誤差が最小となる予め記憶された金種別のマッチング判定用データを特定し、一方の円弧および他方の円弧の各円弧中心位置が一致していると判定された場合に、前記マッチング判定用データに基づいて棒金の金種を特定し、この特定された金種に基づいて前記カセットに装填された棒金が異金種棒金であるか否かを判定することを特徴とする棒金収納装置。
【請求項2】
前記確認手段は、一方の円弧および他方の円弧に基づき求められた各円弧中心位置が互いに一致しない場合、棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする請求項1に記載の棒金収納装置。
【請求項3】
前記確認手段は、前記カセットの長さ方向に沿って隣り合う各円弧中心位置の間隔が一定か否かを判定し、一定でないと判定した場合に棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする請求項1または2に記載の棒金収納装置。
【請求項4】
カセットに、該カセットの長さ方向に並列状態で棒金を装填する棒金収納装置であって、
前記カセットの長さ方向に沿って移動可能なキャリアと、
該キャリアを前記カセットの長さ方向に沿って移動させる駆動手段と、
前記キャリアに支持されて前記カセットに装填された棒金を直径方向において挟むように配置された一対の磁気センサによって、前記カセットに装填された棒金の磁気データをスキャニングして検出する磁気データ検出手段と、
予め記憶された正常棒金の基準磁気データと、前記磁気データ検出手段で検出した磁気データとに基づいて、正常棒金の有無、異金種棒金の有無、および正常棒金の在り高を確認する確認手段とを備え、
一対の前記磁気センサは、スキャニング時に一の棒金に対して前記カセットの長さ方向に沿って所定の間隔で磁気センサと棒金とのギャップを検出し、
前記確認手段は、一対の前記磁気センサの一方の磁気センサにより検出されたギャップに基づき一の棒金に対する一方の最小ギャップを求めるとともに、一対の前記磁気センサの他方の磁気センサにより検出されたギャップに基づいて一の棒金に対する他方の最小ギャップを求め、これら一方の最小ギャップおよび他方の最小ギャップと、一対の前記磁気センサ間の既定の距離とから棒金の外径を求め、さらにこの外径に基づき棒金の金種を特定して前記カセットに装填された棒金が異金種棒金であるか否かを判定することを特徴とする棒金収納装置。
【請求項5】
前記確認手段は、一対の前記磁気センサにより検出された磁気データに基づき、前記ギャップの方向とは垂直な前記磁気センサの移動方向に沿う外径を求め、該外径と前記最小ギャップに基づき特定された金種の外径とを比較して、前記磁気センサの移動方向に沿う外径が大きいと判定された場合に棒金が異常姿勢であることを検出することを特徴とする請求項4に記載の棒金収納装置。
【請求項6】
前記確認手段は、前記カセットに装填された棒金の中に異金種棒金または異常姿勢の棒金があると判定した場合に当該棒金の位置を特定する特定手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の棒金収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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