説明

椀状流水反射板を取り入れた改良型鼻咽喉軟性内視鏡洗浄器

【課題】パイプ内で鼻咽喉軟性内視鏡挿入部を洗浄する流水洗浄器において、内視鏡先端レンズ面を従来の流水洗浄器より効果的に洗浄する。
【解決手段】垂直に固定した透明パイプ(1)の中で鼻咽喉軟性内視鏡挿入部(2)を流水洗浄する際に、内視鏡先端レンズ面(3)直下にパイプ内径より小さな直径の円柱状構造(4)をパイプと同心に設置し、この上面を椀状に窪ませて椀状流水反射板(5)とした。この椀状流水反射板の上で、落下する流水の中心部の水は上方中心に向かって反射・反転し、さらに上方から落ちてくる流水と衝突して乱流を起こし、内視鏡先端レンズ面(3)を洗浄する。これらの水は円柱状構造(4)の周囲を下方に流れ落ちて排水される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は椀状流水反射板を用いることにより内視鏡先端のレンズ面をより効果的に洗浄する、改良型鼻咽喉軟性内視鏡洗浄器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、次のような鼻咽喉軟性内視鏡用の流水洗浄器が市販されている。
垂直に設置したパイプ内に入れた鼻咽喉軟性内視鏡を、パイプ上方から注入させる流水によって洗浄し、先端のレンズ面については、その直下にパイプ内径より小さな平面円板を水平に設置することにより流水の一部を反転させ、レンズ面に水を当てて洗浄する構造のものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これには次のような欠点があった。
流水の一部が内視鏡先端直下に設置された平面円板の存在により下方に直接落ちず、円板上で反転された水が乱流を起こして内視鏡先端レンズ面に当たることによりこれを洗浄するという理論であるが、実際は流水が横方向に流れを変えるだけで乱流がほとんど発生していないため、内視鏡先端レンズ面の洗浄力が物理的に強力とは言いがたい。これについてはレンズ面付近に木綿糸を取り付けて内視鏡先端付近の水の流れを見る実験を行った結果、糸がレンズ面から斜め下方に流れたままであまり動かないことにより明らかである。
本発明はこの欠点を除き内視鏡先端レンズ面を十分に洗浄できるよう工夫したものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
垂直に固定した透明パイプ(1)の中で鼻咽喉軟性内視鏡挿入部(2)を流水洗浄する際に、パイプ内の内視鏡先端レンズ面(3)直下10mmの位置にパイプ内径より直径の小さい円柱状構造(4)をパイプと同心に設置した。この円柱状構造の上面は、従来のものは平面円板であったが本発明では椀状に窪ませて椀状流水反射板(5)と名づけた。落下する流水中心部の水が椀状流水反射板(5)により上方向かつ中心方向に反射・反転され、内視鏡先端レンズ面(3)に当たることにより洗浄出来る構造とした。
本発明は以上のような構成よりなる改良型鼻咽喉軟性内視鏡洗浄器である。
【発明の効果】
【0005】
透明パイプ(1)の中の鼻咽喉軟性内視鏡挿入部(2)側面は、その周囲を上方より供給された水が勢いよく流れることにより洗浄されるのは従来どおりであるが、先端レンズ面(3)については、透明パイプの中心に設置された椀状流水反射板(5)によって上方向かつ中心方向に戻された水が上方から落下する水と衝突し、確実に乱流を生ずることで効果的に洗浄される。これはレンズ面付近に木綿糸を取り付けて洗浄を行う実験で、糸が激しく振れ回ることから確認された。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
垂直に設置された内径16mmの透明パイプ(1)の上端付近に設けた側管の流水口(7)より水道水を管内を満たす流量で流す。パイプの中には鼻咽喉軟性内視鏡挿入部(2)が挿入され、内視鏡保持部(8)が内視鏡固定具(9)によって固定される。
内視鏡先端レンズ面(3)の直下には椀状流水反射板(6)がパイプと同心で設置してあり、その周囲のパイプ内径は上方よりも漸増(6)させた。この構造によりパイプ内中心付近の水のみが円柱状構造(4)の上面すなわち椀状流水反射板(5)に当たって上方かつ中心方向に戻され、上方から落ちてくる水と衝突し、乱流を起こしてレンズ面にあたることで効果的なレンズ面の洗浄が行われる。外側の水はパイプの内面に沿って勢いよく下方に流れ、乱流を起こした中心付近の水が合流して円柱状構造(4)の周囲から下方に排水される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】 本発明の斜視図である。
【図2】 本発明使用中の一部断面図である。矢印は流水方向を示す。
【符号の説明】
【0008】
(1)透明パイプ (2)鼻咽喉軟性内視鏡挿入部 (3)内視鏡先端レンズ面
(4)円柱状構造 (5)椀状流水反射板 (6)パイプ内径漸増部 (7)流水流入口
(8)内視鏡保持部 (9)内視鏡固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鼻咽喉軟性内視鏡挿入部を垂直に立てたパイプの中に固定し、上方から注入する流水によって洗浄する際に、内視鏡先端直下にパイプと同心に設置した椀状に窪んだ流水反射板によって流水の一部を反転し、乱流を起こさせて内視鏡先端のレンズ面を洗浄する工夫をした鼻咽喉軟性内視鏡洗浄器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−101016(P2012−101016A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−262951(P2010−262951)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(593137244)
【Fターム(参考)】