説明

椅子の座板角度調節装置

【課題】
座部の下方に設けたハンドルを回転させて座部の傾斜角度を調節可能な椅子において、どのような角度調節状態でもボルトが露出することがなく、外観性に優れた状態を常に維持することが可能な椅子の座板角度調節装置を提供する。
【解決手段】
脚部に支持されたベース部材11と、ベース部材に枢支部にて上下傾動可能に枢支して座板を支持する傾動部材12と、傾動部材の傾斜角度を調節する角度調節手段13とからなり、角度調節手段は、ベース部材に上下貫通して設けた雌ネジ孔(ナット42)にボルト16を螺合し、ベース部材の下面に定位置回転可能に装着したハンドル17の非円形孔18にボルトの下部を遊挿し、非円形孔に相対回転不能且つ孔に沿ってスライド可能に内嵌した回転伝達部材19をボルトの下端に回転不能に連結し、ボルトの上端を傾動部材の下面に回転可能に係着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子の座板角度調節装置に係わり、更に詳しくは椅子の座板の上下傾斜角度を調節することが可能な座板角度調節装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、脚部に取付けた支持体の上部に座板を支持し、前記支持体は前記脚部に支持されたベース部材と、該ベース部材の上位に配して上下傾動可能に枢支した傾動部材と、前記枢支部から離れたベース部材と傾動部材の間に連係して設け、前記傾動部材の傾斜角度を調節する角度調節手段とを備えた座部構造を有する椅子は各種提供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、座受が、前端部を脚に前後に傾動可能に枢支され、かつ、この前端部から後方へ偏位した部位を、脚に上下に貫通する雌ネジ孔に上下動可能に嵌合してなるボルトの上端により当接支持されているとともに、この当接支持されている位置からの回転上動を前記ボルトの上端により抑止されている椅子が記載されている。ここで、前記座受の下面に設けた受座と前記ボルトの上端とが摺動可能に当接し、更に前記ボルトの上端に頭とくびれ部分とを有し、前記受座がボルトのくびれ部分が前後に遊嵌可能でかつ前記ボルトの頭の径よりも狭い幅をもつ後端が開口したスリットを有している構造が開示されている。
【0004】
尚、角度調節手段として、一部又は全部に雄ネジを形成した雄ネジ部材(ボルト)と雌ネジを形成した雌ネジ部材(ナット)とからなる螺進退機構を用いることは周知である。
【0005】
しかし、前記特許文献1の構造の角度調節手段は、脚に固定された部分に雌ネジ孔を設け、該雌ネジ孔に下方からボルトを螺合してその上端で傾動可能な座受を支持し、ボルトの下端に固定した取手(ハンドル)を回転して座受の角度を調節する構造であるため、脚の下方にボルトが突出しており、取手を回転させてボルトを下方へ移動させた際に、その突出長さは長くなり、外観的に醜くなるばかりでなく、ボルトが露出しているので、その露出部分に指が触れると指に汚れが付着するといった問題点がある。
【特許文献1】特許第2915856号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、座部の下方に設けたハンドルを回転させて座部の傾斜角度を調節可能な椅子において、どのような角度調節状態でもボルトが露出することがなく、外観性に優れた状態を常に維持することが可能な椅子の座板角度調節装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前述の課題解決のために、脚部に支持されたベース部材と、該ベース部材の上位に配して該ベース部材に枢支部にて上下傾動可能に枢支して座板を支持する傾動部材と、前記枢支部から離れたベース部材と傾動部材の間に連係して設け、前記傾動部材の傾斜角度を調節する角度調節手段とからなる椅子の座板角度調節装置であって、前記角度調節手段は、前記ベース部材に上下貫通して設けた雌ネジ孔にボルトを螺合し、中心に非円形孔を設けたハンドルを、該非円形孔に前記ボルトの下部を遊挿した状態で前記ベース部材の下面に定位置回転可能に装着するとともに、前記非円形孔に相対回転不能且つ孔に沿ってスライド可能に内嵌した回転伝達部材を前記ボルトの下端に回転不能に連結し、前記ボルトの上端を前記傾動部材の下面に回転可能に係着したことを特徴とする椅子の座板角度調節装置を構成した(請求項1)。
【0008】
ここで、前記ベース部材の下面に、前記ボルトを取り囲むように軸筒を同心状に固定するとともに、該軸筒との間に間隙を設けて合成樹脂製の支持部材を取付け、前記ハンドルの上部に前記非円形孔に連通し且つ前記軸筒に回転可能に嵌合する筒部を突設するとともに、該筒部の外周部で前記間隙内に位置する部位に前記支持部材に回転可能に抜止め係合する係合部を形成してなることが好ましい(請求項2)。
【0009】
また、前記支持部材には、前記軸筒を挿通する円筒状本体部の下端に半径方向内方へ向けて環状突部を形成し、該環状突部と前記軸筒との間に前記間隙を形成し、前記ハンドルの筒部の外周上端部に、前記環状突部に回転可能に抜止め係合する前記係合部として弾性爪を突設してなることがより好ましい(請求項3)。
【0010】
そして、前記ボルトの上端には、少なくとも頂部が球形凸面である拡径した頭部を一体的に形成し、前記傾動部材の下面に前記球形凸面が当接した状態を維持すべく係止部材を取付けてなり、前記係止部材は前記頭部を収容する断面略コ字形の包持部と該包持部の両側に広がり前記傾動部材の下面に取付ける固定板とを有し、前記包持部の底面には前記ボルトの軸部を挿通し且つ頭部を係止し得る長円孔を形成するとともに、前記包持部の底面は該長円孔の長手方向を弦とする上方に凸の円弧面としてなることも好ましい(請求項4)。
【発明の効果】
【0011】
以上にしてなる請求項1に係る発明の椅子の座板角度調節装置は、ハンドルを定位置で回転させるだけでボルトがベース部材の雌ネジ孔に対して螺進退して、ボルトの上端に回転可能に係着した傾斜部材の傾斜角度を調節することができ、この際にどのような角度調節状態でもボルトが露出することがなく、外観性に優れた状態を常に維持することができる。また、座板にかかる荷重はボルトで支持するので、ハンドルには一切荷重がかからないので、強度における設計の制約が少なく、安価な合成樹脂でハンドルを成形できる。
【0012】
請求項2によれば、ハンドルの筒部をベース部材の下面に突設した軸筒に外嵌するとともに、筒部を軸筒と支持部材との間の間隙に挿入して、該筒部の外周部に形成した係合部を該支持部材に回転可能に抜止め係合するだけで、ハンドルを簡単に装着することができるにも係わらず、ハンドルの筒部が軸筒に回転可能に外嵌しているので、ハンドルの回転が非常に安定である。
【0013】
請求項3によれば、ハンドルの筒部をベース部材の下面に突設した軸筒に外嵌するとともに、支持部材の環状突部と軸筒の間の間隙に強制的に挿入するだけで、筒部の外周上端部に突設した弾性爪が前記環状突部の内周縁に抜止め係合するので、ハンドルの装着をワンタッチで行うことができる。
【0014】
請求項4によれば、ボルトの頭部で傾動部材を支持し、座板に着座した場合には着座者の体重も支持するが、前記頭部の球形凸面が前記傾動部材の上面に点接触するので、座板に着座したままでもハンドルを回転操作して楽に傾斜角度を調節でき、また傾動部材に持ち上げ力が作用した場合には、前記ボルトの頭部が、前記係止部材の円弧面に係止するが、上方に凸の円弧面の存在により前記傾動部材がどのような傾斜角度になっても、球形凸面が傾動部材の上面に接触した状態で、頭部と円弧面との間隔が常に最小になるので、ガタつきなく係止できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、添付図面に示した実施形態に基づき、本発明を更に詳細に説明する。図1は本発明に係る椅子を示し、図2は座部の傾斜角度を調節する様子を示した椅子の側面図、図3は背凭れ部の前後位置を調節する様子を示した椅子の側面図を示し、図4〜図9は本発明の要部を示し、図中符号1は脚部、2は座部、3は背凭れ部、11はベース部材、12は傾動部材、13は角度調節手段をそれぞれ示している。
【0016】
本発明に係る椅子は、図1及び図2に示すように、脚部1に対して傾斜角度を調節可能に支持された座部2と、該座部2の下方に前後方向に延び、手前側が低く後部が高くなるように側面視で傾斜させて設けたガイド手段4と、該ガイド手段4に沿って移動可能に設けた移動フレーム5と、該移動フレーム5に下端を固定した背凭れ部3とを備え、前記座部2に対して背凭れ部3を前後方向へ移動調節可能となした基本構造を有している。
【0017】
具体的には、前記椅子は、前記背凭れ部3は、前記座部2の両側から立ち上がった両背凭れ杆6,6の上端部に背支持部材7を固定するとともに、該背支持部材7の下方に間隔を置いて腰支持部材8を配し、該腰支持部材8の両側部を両背凭れ杆6,6の中間部に上下移動可能に支持して設け、前記腰支持部材8の下端が常に前記座部2の上面に接触するように付勢したのである。
【0018】
そして、前記座部2は、図2及び図3に示すように、前記脚部1に取付けた支持体9の上部に座板10を支持して形成し、前記支持体9は前記脚部1に支持されたベース部材11と、該ベース部材11の上位に配して該ベース部材11に枢支部14にて上下傾動可能に枢支して座板10を支持する傾動部材12と、前記枢支部14から離れたベース部材11と傾動部材12の間に連係して設け、前記傾動部材12の傾斜角度を調節する角度調節手段13とから構成されている。
【0019】
本実施形態では、前記支持体9は、前記ベース部材11の後部に前記傾動部材12の後部を上下傾動可能に枢支し、前記ベース部材11と傾動部材12の前部間に前記角度調節手段13を連係して設けている。それにより、前記角度調節手段13を操作して前記ベース部材11に対して傾動部材12の前部を昇降させ、その上面に支持した座板10の傾斜角度を調節し、着座者の腿裏の圧迫を緩和するようにしている。また、前記ベース部材11にガイド手段4を設け、座部2に対して背凭れ部3の位置を前後方向に移動調節可能とし、着座者の体格に応じて座部2の実質的な奥行幅を調節できるようにしている。
【0020】
更に詳しくは、図2〜図5に示すように、前記角度調節手段13は、前記ベース部材11に上下貫通して設けた雌ネジ孔15にボルト16を螺合し、中心に非円形孔18を設けたハンドル17を、該非円形孔18に前記ボルト16の下部を遊挿した状態で前記ベース部材11の下面に定位置回転可能に装着するとともに、前記非円形孔18に相対回転不能且つ孔に沿ってスライド可能に内嵌した回転伝達部材19を前記ボルト16の下端に回転不能に連結し、前記ボルト16の上端を前記傾動部材12の下面に回転可能に係着したものである。
【0021】
更に、前記ベース部材11の下面に、前記ボルト16を取り囲むように軸筒20を同心状に固定するとともに、該軸筒20との間に間隙を設けて合成樹脂製の支持部材21を取付け、前記ハンドル17の上部に前記非円形孔18に連通し且つ前記軸筒20に回転可能に嵌合する筒部22を突設するとともに、該筒部22の外周部で前記間隙内に位置する部位に前記支持部材21に回転可能に抜止め係合する係合部23を形成している。
【0022】
また、前記支持部材21には、前記軸筒20を挿通する円筒状本体部24の下端に半径方向内方へ向けて環状突部25を形成し、該環状突部25と前記軸筒20との間に前記間隙を形成し、前記ハンドル17の筒部22の外周上端部に、前記環状突部25に回転可能に抜止め係合する前記係合部23として弾性爪23を突設している。
【0023】
一方、前記ボルト16の上端には、少なくとも頂部が球形凸面27である拡径した頭部26を一体的に形成し、前記傾動部材12の下面に前記球形凸面27が当接した状態を維持すべく係止部材28を取付けている。ここで、前記係止部材28は、前記ボルト16の頭部26を収容する断面略コ字形の包持部29と該包持部29の両側に広がり前記傾動部材12の下面に取付ける固定板30,30とを有し、前記包持部29の底面には前記ボルト16の軸部31を挿通し且つ頭部26を係止し得る長円孔32を形成するとともに、前記包持部29の底面は該長円孔32の長手方向を弦とする上方に凸の円弧面33としている。
【0024】
次に、更に各部の詳細を説明する。前記ベース部材11は、上方開放したスチール製の箱状部材であり、底面の中央部に前記脚部1に立設したガスシリンダー34の上端を固定する支持筒35を溶接し、前端部に前記雌ネジ孔15と軸筒20を設ける支持台36を一体的に設けている。ここで、前記支持台36は、前記ベース部材11に一体形成しても、別部材としてベース部材11に溶接しても良い。前記傾動部材12は、前記ベース部材11よりも横幅が広い下方開放したスチール製の箱状部材であり、上面の前後に左右に張り出した座板取付部37,37を固定している。そして、前記ベース部材11の両側板38,38の外側に、前記傾動部材12の両側板39,39を少なくとも後部が重なるようにし、その重なった後部において両部材の側板38,38と側板39,39を貫通するように支軸14を挿通し、該支軸14で前記ベース部材11に対して前記傾動部材12が上下傾動可能に枢支されている。
【0025】
そして、図5に示すように、前記ベース部材11の支持台36の底板40に円孔41を形成し、その上面に前記雌ネジ孔15を有するナット42を溶接するとともに、底板40の下面に前記円孔41及び雌ネジ孔15と同心状に前記軸筒20と溶接して下方へ突設している。更に、前記支持台36の底板40で、前記円孔41の外側に係合孔43,43を形成するとともに、直交する方向に螺孔44,44を形成している。そして、前記支持部材21の本体部の上面に突設した係合爪45,45を前記係合孔43,43に係合するとともに、本体部24から両側へ延出した取付部46,46を下方から挿通したネジ47,47を前記螺孔44,44に螺合して取付ける。
【0026】
前記ハンドル17の筒部22には、図4に示すように、半径方向に多数のスリット48,…が形成され、該筒部22の外周上端部に突設した弾性爪23が内外へ弾性変形することを許容している。そして、前記ハンドル17の筒部22を前記軸筒20に外挿するとともに、該軸筒20と前記支持部材21の環状突部25との間の間隙に強制的に挿入し、前記弾性爪23を該環状突部25の内縁に係止して取付ける。このように、前記支持部材21を介して装着した前記ハンドル17は、前記ベース部材11に対して定位置回転可能であり、筒部22が軸筒20に回転可能に外嵌しているので、回転が正確で非常に安定である。
【0027】
そして、本実施形態では、前記ハンドル17に形成した非円形孔18は、コーナーを丸くした正方形の断面形状であり、それに応じて前記回転伝達部材19もコーナーを丸くした正方形の板部材である。ここで、前記ボルト16の下端の両側面にDカット部49,49を形成し、前記回転伝達部材19には前記ボルト16のDカット部49を含む下端部を回転不能に嵌挿する長孔50を形成し、前記回転伝達部材19の長孔50を貫通したボルト16の下端に割りピン等の抜止め具51を装着して連結する。
【0028】
そして、前記角度調節手段13を組立てるには、先ず前記ベース部材11と傾動部材12が分離した状態で、前記係止部材28の長円孔32に上方からボルト16の軸部31を挿通するとともに、該軸部31を前記ベース部材11のナット42の雌ネジ孔15に上方から少し螺合し、それから前記ベース部材11と傾動部材12を支軸14で枢着する。そして、前記前記ベース部材11と傾動部材12の前部間に指を差し入れて、前記支持部材28を持ち上げて前記傾動部材12の上面に当接し、該上面の所定位置に形成した通孔52,52に上方から挿通したネジ53,53を、前記支持部材28の固定板30,30に形成した螺孔54,54に螺合して取付ける。それから、前記ボルト16を手で回転させてねじ込み前記軸筒20よりも十分に下方へ突出させた後、前記支持部材21を前記支持台36の下面に嵌着するとともに、ネジ止めして取付ける。そして、前記ハンドル17をボルト16の下部に挿通しながら、筒部22を軸筒20に外嵌するとともに、該軸筒20と支持部材21の環状突部25の間の間隙に強制的に押し込んで弾性爪23を該環状突部25に係止する。そして、前記ハンドル17の非円形孔18内に前記回転伝達部材19を嵌挿すると同時に、該回転伝達部材19の長孔50を前記ボルト16の下端に嵌合し、抜止め具51を装着する。最後に、前記枢支部14よりも後方位置で、前記傾動部材12の両側板39,39にストッパーピン55を嵌挿して装着する。
【0029】
前記ストッパーピン55は、前記傾動部材12の前部を最大限に上昇させた際に、前記ベース部材11の両側板38,38の上端に当止し、それ以上の上昇を抑制し、もって前記ベース部材11と傾動部材12の前部及び支持台36と傾動部材12の間に、指を挿入し得る間隔が生じないようにすると同時に、前記ボルト16の軸部31とナット42の雌ネジ孔15との螺合関係を保障するのである。
【0030】
図6は、前記座板10の前部が最も高い状態、即ち後方へ最も傾斜したリクライニング状態を示し、この状態からハンドル17を左回転させると、該ハンドル17は定位置で回転するが、該ハンドル17の非円形孔18と回転伝達部材19を介して回転が伝達されたボルト16は、左回転してナット42に対して下降し、前記傾動部材12の前部が下降し、前記座板10がより前傾した状態になる。図7は、座板10の前部が最も下降した前傾状態を示し、この状態では着座者の腿裏が座板10の前部で圧迫されないので、長時間のデスクワークに適している。このように、前記ハンドル17を定位置で回転させるだけで、前記ボルト16はナット42、即ち支持台36、即ちベース部材11に対して昇降し、その際に回転伝達部材19もハンドル17の非円形孔18内で上下にスライド移動する。そして、どのような状態においても前記ボルト16はハンドル17の非円形孔18の内部に位置しているので、外観性に優れ、しかも常に同じ外観を維持するのである。
【0031】
また、前記ボルト16の頭部26で傾動部材12を支持し、つまり座板10に着座した場合には着座者の体重も支持するが、前記頭部26の球形凸面27が前記傾動部材12の上面に点接触するので、座板10に着座したままでもハンドル17を回転操作して楽に傾斜角度を調節できるのである。また、前記傾動部材12に持ち上げ力が作用した場合には、前記ボルト16の頭部26が、前記係止部材28の円弧面33に係止するが、上方に凸の円弧面33の存在により前記傾動部材12がどのような傾斜角度になっても、球形凸面27が傾動部材12の上面に接触した状態で、頭部26と円弧面33との間隔が常に最小になるので、ガタつきなく係止できるのである。
【0032】
また、図8は前記ストッパーピン55の代わりに、前記ベース部材11の両側板38,38の後部の一部を上方へ延設してストッパー片56,56を突設した実施形態であり、前記座板10の前部を最も上昇させて後傾角度を大きくした場合に、前記ストッパー片56,56が前記傾動部材12の上面を当止するようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る椅子の全体斜視図である。
【図2】同じく椅子の側面図である。
【図3】本発明の要部を示す分解斜視図である。
【図4】同じく部分拡大斜視図である。
【図5】組立てた状態の角度調節手段を示す部分拡大断面図である。
【図6】座板が最も後傾した状態の部分断面図である。
【図7】座板が最も前傾した状態の部分断面図である。
【図8】ストッパー構造の他の実施形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0034】
1 脚部、 2 座部、
3 背凭れ部、 4 ガイド手段、
5 移動フレーム、 6 背凭れ杆、
7 背支持部材、 8 腰支持部材、
9 支持体、 10 座板、
11 ベース部材、 12 傾動部材、
13 角度調節手段、 14 枢支部(支軸)、
15 雌ネジ孔、 16 ボルト、
17 ハンドル、 18 非円形孔、
19 回転伝達部材、 20 軸筒、
21 支持部材、 22 筒部、
23 係合部(弾性爪)、 24 本体部、
25 環状突部、 26 頭部、
27 球形凸面、 28 係止部材、
28 支持部材、 29 包持部、
30 固定板、 31 軸部、
32 長円孔、 33 円弧面、
34 ガスシリンダー、 35 支持筒、
36 支持台、 37 座板取付部、
38 側板、 39 側板、
40 底板、 41 円孔、
42 ナット、 43 係合孔、
44 螺孔、 45 係合爪、
46 取付部、 47 ネジ、
48 スリット、 49 Dカット部、
50 長孔、 51 抜止め具、
52 通孔、 53 ネジ、
54 螺孔、 55 ストッパーピン、
56 ストッパー片。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
脚部に支持されたベース部材と、該ベース部材の上位に配して該ベース部材に枢支部にて上下傾動可能に枢支して座板を支持する傾動部材と、前記枢支部から離れたベース部材と傾動部材の間に連係して設け、前記傾動部材の傾斜角度を調節する角度調節手段とからなる椅子の座板角度調節装置であって、前記角度調節手段は、前記ベース部材に上下貫通して設けた雌ネジ孔にボルトを螺合し、中心に非円形孔を設けたハンドルを、該非円形孔に前記ボルトの下部を遊挿した状態で前記ベース部材の下面に定位置回転可能に装着するとともに、前記非円形孔に相対回転不能且つ孔に沿ってスライド可能に内嵌した回転伝達部材を前記ボルトの下端に回転不能に連結し、前記ボルトの上端を前記傾動部材の下面に回転可能に係着したことを特徴とする椅子の座板角度調節装置。
【請求項2】
前記ベース部材の下面に、前記ボルトを取り囲むように軸筒を同心状に固定するとともに、該軸筒との間に間隙を設けて合成樹脂製の支持部材を取付け、前記ハンドルの上部に前記非円形孔に連通し且つ前記軸筒に回転可能に嵌合する筒部を突設するとともに、該筒部の外周部で前記間隙内に位置する部位に前記支持部材に回転可能に抜止め係合する係合部を形成してなる請求項1記載の椅子の座板角度調節装置。
【請求項3】
前記支持部材には、前記軸筒を挿通する円筒状本体部の下端に半径方向内方へ向けて環状突部を形成し、該環状突部と前記軸筒との間に前記間隙を形成し、前記ハンドルの筒部の外周上端部に、前記環状突部に回転可能に抜止め係合する前記係合部として弾性爪を突設してなる請求項2記載の椅子の座板角度調節装置。
【請求項4】
前記ボルトの上端には、少なくとも頂部が球形凸面である拡径した頭部を一体的に形成し、前記傾動部材の下面に前記球形凸面が当接した状態を維持すべく係止部材を取付けてなり、前記係止部材は前記頭部を収容する断面略コ字形の包持部と該包持部の両側に広がり前記傾動部材の下面に取付ける固定板とを有し、前記包持部の底面には前記ボルトの軸部を挿通し且つ頭部を係止し得る長円孔を形成するとともに、前記包持部の底面は該長円孔の長手方向を弦とする上方に凸の円弧面としてなる請求項1〜3何れかに記載の椅子の座板角度調節装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−273679(P2009−273679A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127992(P2008−127992)
【出願日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】