説明

椅子型マッサージ機用の操作装置

【課題】 施療部の動作遅延を低減させ、被施療者に生じる操作上の違和感を低減させることができる椅子型マッサージ機用の操作装置を提供する。
【解決手段】 椅子型マッサージ機1に設けられたマッサージ機構200の動作を制御すべく、オペレータの操作変位量に応じた信号を出力する操作装置400は、略直線的に往復動させることが可能なグリップ部403と、該グリップ部403の動作距離を検出するセンサ409と、該グリップ部403の動作に粘性抵抗を付与する抵抗部407,410とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子型マッサージ機に設けられた施療部の動作を制御すべく、オペレータの操作変位量に応じた信号を出力する椅子型マッサージ機用の操作装置に関し、特に、該操作装置の操作に対して前記施療部の動作の追従性を向上させることができる操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被施療者の身体を施療することが可能な従来の椅子型マッサージ機には、被施療者の身体に刺激を与える施療部と、この施療部の位置を変更させるのに被施療者が操作する操作装置とを備えるものがある。一例として、特許第2566275号公報(特許文献1)に開示された椅子型マッサージ機がある。この椅子型マッサージ機は、背凭れ部に上下動可能な施療子(施療部)を備え、肘掛け部の上部に、立設された棒状の操作子を有するジョイスティック型の操作装置を備えている。そして、被施療者が該操作装置の操作子を前後方向に傾倒操作することにより、これに対応して施療部の上下位置が変更されるようになっている。
【特許文献1】特許第2566275号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上述した特許文献1に開示された椅子型マッサージ機は、操作子の傾倒操作によって出力する信号は、単純なオン/オフ・スイッチからのものであり、傾倒方向に関する信号しか出力することができない。このため、操作装置の操作性に関して被施療者に違和感を与えてしまう。即ち、施療部の動作と操作装置の操作動作とは、その変位量が比例関係にあると、被施療者にとっては施療部を目標位置まで容易に移動させることができるようになるため好適である。
【0004】
しかしながら、操作装置の変位量と施療部の変位量とが比例するように椅子型マッサージ機を構成すると、一般にモータ及びギヤ等を用いて機械的に駆動される施療部は、操作装置の変位に対して遅延して動作してしまう。このような施療部の動作遅延は、被施療者に対して新たな違和感を与えてしまう可能性があるため、これを解消することが望まれている。
【0005】
そこで本発明は、施療部の動作遅延を低減させ、被施療者に生じる上述したような操作上の違和感を低減することができる椅子型マッサージ機用の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述したような事情を鑑みてなされたものであり、本発明に係る操作装置は、椅子型マッサージ機に設けられた施療部の動作を制御すべく、操作変位量に応じた信号を出力する椅子型マッサージ機用の操作装置であって、直線的に往復動させることが可能なグリップ部と、該グリップ部の動作距離を検出する検出手段と、該グリップ部の動作に所定の抵抗を付与する抵抗部とを備える。
【0007】
このような構成とすることにより、グリップ部の動作距離を自由に設定することができ、比較的長い動作距離を確保することができる。この場合、グリップ部の変位の検出分解能(検出精度)が向上するため、施療部のより正確な動作制御が可能であって施療部の動作遅延を低減することができる。また、抵抗部によってグリップ部の動作速度を抑制することができるため、施療部の動作遅延を更に低減させることができる。
【0008】
また、前記椅子型マッサージ機側に固定されるラックと、該ラックに噛合して前記グリップ部と共に往復動するギヤとを更に備え、前記抵抗部は、前記ギヤに回転抵抗を付与するロータリーダンパを有していてもよい。このような構成とすることにより、簡単な構成によってグリップ部の略直線的な往復動作を実現することができ、グリップ部の変位に対して所定の抵抗を付与することができる。なお、ラックの長さに対してギヤの径を小さくすることにより、グリップ部の変位の検出精度はより向上する。
【0009】
また、前記抵抗部は、前記椅子型マッサージ機側に固定されるシリンダと、該シリンダ内に一端部が挿通されると共に他端部が前記グリップ部に支持されたプランジャとから構成されたエアシリンダダンパを有していてもよい。この場合も、簡単な構成によってグリップ部の変位に所定の抵抗を付与することができる。
【0010】
また、前記エアシリンダダンパは、シリンダ内の流体圧を調整する調整部を有していてもよい。このような構成とすることにより、グリップ部の変位に対する抵抗を適宜最適値に設定することができる。
【0011】
また、前記エアシリンダダンパが有する調整部は、前記グリップ部の動作の速度又は加速度に比例する流体圧に前記シリンダ内を調整すべく構成されていてもよい。このような構成とすることにより、被施療者がグリップ部を大きな力で操作した場合であっても、グリップ部が大きな速度又は加速度をもって変位するのを抑制することができ、施療部の追従性の向上に貢献することができる。
【0012】
また、前記グリップ部は前後方向へ往復動するように構成され、前記椅子型マッサージ機が有する施療部の前後方向への往復動作制御に係る信号を出力すべく成してあってもよい。このような構成とすることにより、グリップ部の操作方向と、椅子型マッサージ機が有する施療部の動作方向とが一致するため、操作装置の操作上に違和感が生じにくく、操作性の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、施療部の動作遅延を低減させ、被施療者に生じる操作上の違和感を低減することができる椅子型マッサージ機用の操作装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機用の操作装置について、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る操作装置を備えた椅子型マッサージ機の全体構成を示す斜視図である。この椅子型マッサージ機1は、座部2、背凭れ部3、フットレスト4、及びアームレスト(肘掛け部)5から主として構成されている。座部2は、図示しない基台の上部に、上面が座面として用いられるように略平坦に形成されたクッション部2cが配置されることにより構成されており、前記基台の下部両側にはそれぞれ脚部2a(図1では左側の脚部2aのみを示す)が設けられている。クッション部2cは、ウレタンフォーム,スポンジ,又は発泡スチロール製の内装材(図示せず)が前記基台の上面に載置されており、更にこれをポリエステル製の起毛トリコット,合成皮革,又は天然皮革等からなる外装材(カバー)にて覆って構成されている。
【0015】
座部2の上部前側には、被施療者の足首及び脹脛をマッサージするためのフットレスト4の上端部が枢着されている。これにより、フットレスト4は、その上端部を中心にして前後に揺動可能とされている。このフットレスト4には複数の空気袋47(図4参照)が備えられており、これらの空気袋47は、座部2及び背凭れ部3に内蔵されたポンプ及びバルブ等からなる給排気装置46に、エアホース48(図4参照)を介して接続されている。従って、該給排気装置46からの給排気によって膨張及び収縮し、被施療者の下腿の外側部分並びに足の側部及び上部に対して押圧刺激を与えることができる。また、空気袋47は、フットレスト4以外にも、必要に応じて各所に設けられている。なお、本実施の形態の説明において以下で用いる方向の概念は、文中に特に説明を付している場合を除き、椅子型マッサージ機1の座部2に着座した被施療者(図示せず)から見たときの方向の概念と一致するものとする。
【0016】
座部2の後部には、背凭れ部3が設けられている。背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1の座部2に着座した際に、この成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で略長方形状になっている。背凭れ部3の下端部は、座部2の後部にて左右方向の枢軸(図示せず)によって枢支されており、この枢軸を中心に背凭れ部3は回動して前後にリクライニングが可能になっている。また背凭れ部3の両側部には、座部2の基台に固定支持されたアームレスト5が夫々設けられている。このアームレスト5は、背凭れ部3の両側部から前方へ延びていて、椅子型マッサージ機1が内蔵する制御部40(図4参照)に接続された後述する操作装置7が右側のアームレスト5上に取り付けられている。また、椅子型マッサージ機1には、前記操作装置7とは別個にして、前記制御部40と接続されたコントローラ8が備えられている。
【0017】
背凭れ部3の内部には、着座した被施療者の背部に刺激を与えるマッサージ機構(施療部)6が、このマッサージ機構6を移動させるための移動装置6aに搭載された状態で設けられている。図2は、このマッサージ機構6及び移動装置6aの構成を示す背面図であり、図3は、このマッサージ機構6の動作原理を説明するために該マッサージ機構6の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【0018】
図2及び図3に示すように、マッサージ機構6は、被施療者の身体に機械的刺激を与えるための複数個のローラ状の施療子(施療部)10を有している。また、この施療子10を変位駆動するDCサーボモータであるモータ11,12が設けられている。図3に示すように、施療子10は、前方へ開くV字状であって左右に配された2つのアーム13の先端にそれぞれ取り付けられている。それぞれのアーム13は、途中で屈曲して略V字状の2つのコンロッド14のそれぞれの上端部にて、所定の範囲内で回転可能なように取り付けられている。左右のコンロッド14の間には、左右方向へ延びる回転軸16が配置されており、この回転軸16の左右の端部には、該回転軸16の軸芯に対して所定角度だけ傾斜した軸芯を有する傾斜軸17が設けられている。そして、左右のコンロッド14の屈曲部分に設けられた嵌合孔15に、上述した傾斜軸17が遊嵌している。
【0019】
回転軸16の左右方向の中央部分には、ヘリカルギヤ18aが同軸的に設けられており、このヘリカルギヤ18aがウォーム18bと噛合している。このように、ヘリカルギヤ18aとウォーム18bとでウォームギヤ機構18が構成されている。また、ウォーム18bの上端部には、プーリ19aが同軸的に設けられており、ベルト19bによってこのプーリ19aとモータ11の出力軸に設けられたプーリ19cとが連結されている。
【0020】
従って、モータ11の出力軸の回転運動はベルト19bを介してウォーム18bへ伝達され、ウォーム18bの回転によって回転軸16が回転する。そして、回転軸16の回転に伴い、傾斜軸17が円錐形の軌跡を描くように変位し、これによってコンロッド14が規則的に動作して、左右の施療子10が近接及び離反するように左右及び上下方向へ略楕円軌道に沿って移動可能になっている。このような移動動作が、施療子10の揉み動作となる。この施療子10の揉み動作には、左右の施療子10が近接するときに前方(被施療者側)へ移動し、左右の施療子10が離反するときに後方へ移動する動作も含まれる。このように、揉み動作では、施療子10が3次元的に移動することとなる。
【0021】
また、図3に示すように、コンロッド14の下部には下方へ開いた嵌合孔20が設けられており、この嵌合孔20には、連結部材21の上部に設けられた突出部22が挿入されている。左右の連結部材21の夫々には、互いに対向する側部に孔23が設けられている。また、左右の連結部材21の間には、左右方向に延びる回転軸24が配置され、この回転軸24の両端部に設けられた偏心軸25が、連結部21の側部に設けられた上記孔23に遊嵌している。また、回転軸24の左右方向の中央部分にはプーリ26aが同軸的に設けられており、ベルト26bによってこのプーリ26aとモータ12の出力軸に設けられたプーリ26cとが連結されている。
【0022】
従って、モータ12の出力軸の回転運動はベルト26bを介して回転軸24に伝達され、回転軸24の両端の偏心軸25の公転によって連結部材21が略上下に移動する。この結果、コンロッド14が嵌合孔15を中心にして往復回動し、施療子10が円弧を描くように略上下に往復移動する。モータ12を一定速度で回転させたときには、一定の周期で施療子10が往復移動することとなり、これが施療子10のたたき動作となる。また、モータ12をその回転速度を変化させながら回転させたときには、変則的な周期で施療子10が往復移動することとなり、これが施療子10の指圧動作となる。
【0023】
このように、モータ11の駆動によって施療子10の揉み動作が行われ、モータ12の駆動によって施療子10のたたき動作及び指圧動作が行われ、モータ11,12を同時に駆動することにより、揉み動作及びたたき動作、または揉み動作及び指圧動作が合成されて行われることとなる。もちろん、各動作を独立に行うことも可能である。
【0024】
このようなマッサージ機構6は、図2に示すように移動装置6aに搭載されて、背凭れ部3(図1参照)内を上昇動及び下降動が可能になっている。詳述すると、マッサージ機構6はプレート状の昇降台28に取り付けられており、この昇降台28の左右の側部には、それぞれ3つのガイドローラ28aが設けられている。図1に示すように、椅子型マッサージ機1の背凭れ部3内には、略矩形状の枠体29が設けられている。この枠体29は、所定間隔を隔てて左右に配置されて背凭れ部3に沿って略上下方向へ延びるガイドレール29aを有している。左右のガイドレール29aは、左右方向に長寸で板状の基礎部材29bから上方へそれぞれ延設され、互いの上端部間には梁部材29cが架設されている。このように、左右のガイドレール29a,基礎部材29b,及び梁部材29cによって、矩形状の枠体29が構成されている。そして、マッサージ機構6のガイドローラ28aは、ガイドレール29aに沿って転動可能なようにしてこのガイドレール29aに支持されている。
【0025】
また、昇降台28には図示しないナットが設けられており、このナットには、左右のガイドレール29aの間でこれと平行にして略上下方向へ延びるように設けられたネジ棒30が螺合している。ネジ棒30はその上下端が枢支されており、また、その下端部は、基礎部材29bに配設されたモータ27の出力軸との間で、図示しないプーリ及びベルトを介して接続されている。従って、モータ27の駆動によってネジ棒30が回転したときには、ガイドローラ28aがガイドレール29aに係合しているために、前記ナットを有する昇降台28がネジ棒30と一体的に回転することが規制される。従って、前記ナットとネジ棒30とが相対的に回転し、昇降台28と共にマッサージ機構6が昇降することとなる。そして、被施療者が背凭れ部3に上半身を凭れかけた状態でマッサージ機構6を昇降させると、被施療者の背中を施療子10が上下に転動するローリング動作を行うことができる。
【0026】
図4は、椅子型マッサージ機1の構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように椅子型マッサージ機1は制御部40を備え、この制御部40は、背凭れ部3(図1参照)の下部などに配設されている。制御部40は、CPU41、ROM42、RAM43、及び入出力インタフェース44から主として構成されている。また、入出力インタフェース44には、制御部40の外部に設けられてアームレスト5(図1参照)上に配設された操作装置7が接続されている。
【0027】
CPU41は、ROM42に記憶されているプログラム及び/又はRAM43にロードされたプログラムを実行することが可能である。ROM42は、CPU41にて実行されるプログラム及びこれに用いるデータ等が記憶されている。CPU41は、ROM42に記憶されているプログラムを実行することにより、椅子型マッサージ機1に上述したような揉み動作、たたき動作、指圧動作などのマッサージ動作の他、上述したようなマッサージ機構6の昇降動作を行わせることができる。また、RAM43は、ROM42に記憶されているプログラムを実行するときに、CPU41の作業領域として利用される。
【0028】
入出力インタフェース44は、例えばUSB、IEEE1394、RS−232C等のシリアルインタフェース、SCSI、IDE、IEEE1284等のパラレルインタフェース、D/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等により構成されている。上述したようにこの入出力インタフェース44には操作装置7及びコントローラ8が接続されており、この操作装置7及びコントローラ8からの信号を受信することができる。
【0029】
また、入出力インタフェース44には、給排気装置46を駆動するための駆動回路45が接続されている。給排気装置46は、電磁弁等の切換バルブ及びエアポンプ等から構成されており、フットレスト4及び座部2などの各所に設けられた複数の空気袋47との間でエアホース48を介して接続され、この空気袋47に対して各々独立的に給排気を行う。
【0030】
また、入出力インタフェース44には、モータ11,12,27を夫々駆動するための駆動回路50〜52が接続されている。これらの駆動回路50〜52は、図示しない電源に接続されており、入出力インタフェース44から出力された回転指示信号に応じた電力をモータ11,12,27に夫々供給するようになっている。更に具体的に説明すると、操作装置7又はコントローラ8から受信した信号に基づき、CPU41がモータ11,12,27の回転方向及び回転速度を決定し、決定した回転方向及び回転速度に応じた回転指示信号を入出力インタフェース44に発生させる。駆動回路50〜52は、夫々パルス発生器を備えており、該パルス発生器が、入出力インタフェース44から与えられた回転指示信号に応じたパルス幅の電圧(パルス信号)を夫々発生し、該電圧が夫々モータ11,12,27の端子間に印加される。このようなPWM制御により、モータ11,12,27に電力が供給され、モータ11,12,27が所要の回転方向、回転速度により駆動される。
【0031】
なお、本実施の形態においては、モータ11,12,27はDCサーボモータとしているが、ACサーボモータであってもよい。また、このような駆動対象のモータの種類の変更に応じて駆動回路50〜52の構成も変更されることは言うまでもない。
【0032】
入出力インタフェース44には、更にエンコーダ53及び磁気センサ54が接続されている。エンコーダ53は、マッサージ機構6を昇降させるモータ27の回転に応じてパルス信号を発生するようになっている。CPU41がこのパルス信号のパルス数を計数することにより、マッサージ機構6の上下方向の位置を検出することができる。また、磁気センサ54は、回転軸16の軸長方向の所定箇所において、円周方向の複数位置に配置された磁石(図示せず)と対向するように、回転軸16の近傍に配置されており、周囲の磁気の強さに応じた出力電圧を発生するようになっている。回転軸16が回転した場合には、磁気センサ54の近傍を磁石が順次通過するので、CPU41が磁気センサ54からの出力電圧のピークを係数することにより、回転軸16の回転角度、即ち、施療子10の位置を検出することができる。
【0033】
次に、椅子型マッサージ機1に設けられた操作装置7の構成について説明する。図1に示すように、椅子型マッサージ機1が有するアームレスト5は、座部2の両側に設けられたアームレスト基部5bと、このアームレスト基部5bの上部に覆い被せられた上部カバー5aとを備えている。そして、操作装置7は、右側のアームレスト5の上部カバー5aの上に取り付けられている。また、操作装置7はいわゆるジョイスティック型の構造になっており、図1に示すように、アームレスト5の上部カバー5aに固定されるベース部70と、該ベース部70に立設されたロッド部71と、該ロッド部71の上部に外嵌して被施療者に把持される筒状のグリップ部72とから構成されている。
【0034】
図5は、図1に示す操作装置7のベース部70とロッド部71とのジョイント機構73の構成を一部分を省略して示す斜視図であって、右斜め後方からの視線に基づく構成を示している。また、図6は、図5に示すジョイント機構73の構成を示す斜視図であって、左斜め後方からの視線に基づく構成を示している。また、図8は、図1に示す操作装置7の構成を示す機能ブロック図である。なお、図5及び図6において、ジョイント機構73を上方から覆うカバー73a(図1参照)は省略している。図5及び図6に示すように、ベース部70には複数のネジ孔70aが形成されており、ベース部70は、ネジ孔70aに挿通された複数の取付ネジ(図示せず)がアームレスト5の上部カバー5aを貫通してその下のアームレスト基部5b(図1参照)に螺着されることにより、上部カバー5aの上部に固定されている。
【0035】
図5及び図6に示すように、ジョイント機構73は、ベース部70の左右の上面にそれぞれ立設されたロッド枢支台75a,75b(左側のロッド枢支台75aは二点鎖線で示している)を有している。ロッド部71の下端部の左右の側部からは、左右のそれぞれへ枢支軸76が突設され、該枢支軸76は、ロッド枢支台75a,75bの上部に形成された枢支孔75cに挿通されている。その結果、ロッド部71は、枢支軸76を中心として前後方向に揺動可能にしてベース部70上に枢支されている。
【0036】
図5に示すように、ロッド部71と右側のロッド枢支台75bとの間には、2つのバネフック77a,77bが設けられている。バネフック77a,77bは上部が枢支軸76に貫通され、一方のバネフック77aは枢支軸76から斜め前下方へ向けて延設され、他方のバネフック77bは枢支軸76から斜め後下方へ向けて延設されている。そして、両者の下端部間にスプリングバネ77cが架け渡され、両下端部はスプリングバネ77cによって互いに近接する方向へ付勢されている。
【0037】
斜め前下方へ延びるバネフック77aは、ロッド部71が後傾したときに該ロッド部71と共に枢支軸76回りに揺動して下端部が前方へ向かい、ロッド部71が前傾したときには、ロッド枢支台75bの内側面から突設された図示しない突起に係止されて揺動しないようになっている。また、斜め後下方へ延びるバネフック77bは、ロッド部71が前傾したときに該ロッド部71と共に枢支軸76回りに揺動して下端部が後方へ向かい、ロッド部71が後傾したときには、ロッド枢支台75bの前記突起に係止されて揺動しないようになっている。従って、ロッド部71が前傾したとき及び後傾したときの何れの場合も、バネフック77a,77bの下端部間のスプリングバネ77cが伸長され、ロッド部71は直立状態に戻るように付勢される。
【0038】
図6に示すように、ロッド部71と左側のロッド枢支台75aとの間には、平歯車の所定の中心角部分に相当する歯車片78が配設されている。この歯車片78は、そのピッチ円の中心部分が枢支軸76に固定的に支持され、ロッド部71の前傾時及び後傾時に該ロッド部71と共に枢支軸76回りに揺動する。歯車片78は別の平歯車である第1歯車79と噛合しており、この第1歯車79は、ベース部70上に立設された図示しない支持部に枢支された枢支軸80に、同軸芯状に取り付けられている。また、第1歯車79には、図示しない前記支持部に固定されたロータリーダンパ81の回転軸に取り付けられた第2歯車82が噛合している。更に、第1歯車79が取り付けられた枢支軸80の端部には、ロータリースイッチ83が取り付けられており、このロータリースイッチ83は、図示しない信号線を介して図4に示す入出力インタフェース44に接続されている。
【0039】
被施療者がロッド部71を傾倒させた場合、歯車片78の回転が第1歯車79を介してロータリーダンパ81の第2歯車82に伝達される。このとき、ロータリーダンパ81が発揮する第2歯車82の回転方向の粘性抵抗により、ロッド部71の傾倒速度が緩和される。また、ロッド部71の傾倒角度及び傾倒方向に関する信号が、ロータリースイッチ83から出力され、入出力インタフェース44から制御部40へ入力される。そして、制御部40はこの信号に基づいて椅子型マッサージ機1に所定の動作をさせることができる。なお、この所定の動作とは、例えば、各所に設けられた空気袋47(図4参照)の膨張及び収縮や、バイブレータ(図示せず)の駆動であってもよく、また、マッサージ機構6の後述する上下動(図9参照)の動作速度を変更するものであってもよい。
【0040】
図7は、図1に示す操作装置7のグリップ部72と、該グリップ部72内のロッド部71との構成を示す斜視図である。図7に示すように、グリップ部72は、右側のグリップ部材72a(実線で示す)と左側のグリップ部材72b(二点鎖線で示す)とによって左右割りに構成され、グリップ部材72a,72bが左右から合わさって成るグリップ部72は下端部が開口した略筒状になっている。そして、グリップ部72の内部空間にロッド部71の上部が挿通されたようになっており、下記に説明するように、ロッド部71に対してグリップ部72は相対的に上下動可能に連結されている。
【0041】
ロッド部71は、その下部に断面略矩形状の角柱部71aを有し、また、角柱部71aの上端から上方へ延びてグリップ部72に内嵌する段付き円柱状の円柱部71bを有している。更に、円柱部71bは下側から順に、第1小径部91、この第1小径部91より径の大きい第1大径部92、この第1大径部92より径の小さい第2小径部93、及び、この第2小径部93より径の大きい第2大径部94によって構成されている。また、第1大径部92には、その全長に亘って前後方向に貫通する縦長の貫通穴92aが形成されている。
【0042】
第1大径部92を上下から挟むようにして、第1小径部91の上端部と第2小径部93の下端部とには、グリップ部72を支持するための略矩形のグリップ支持板95,95が配設されている。この上下のグリップ支持板95は、それぞれの中央部分に穴(図示せず)が形成されており、下側のグリップ支持板95の穴にはロッド部71の第1小径部91が内挿し、上側のグリップ支持板95の穴には第2小径部93が内挿している。また、第2小径部93の上端部には、同様に略矩形状であって中央部分に穴(図示せず)を有するスプリング支持板96が、前記穴に第2小径部93が内挿して設けられている。
【0043】
そして、下側のグリップ支持板95の下面と角柱部71aの上端面との間には、第1小径部91に外嵌するようにしてコイルスプリング97が配設され、上側のグリップ支持板95の上面とその上方に位置するスプリング支持板96の下面との間には、第2小径部93に外嵌するようにして別のコイルスプリング98が配設されている。これらのコイルスプリング97,98は、共に圧縮された状態になっており、下側のグリップ支持板95を上方へ、上側のグリップ支持板95を下方へ、それぞれ付勢している。
【0044】
グリップ部72のグリップ部材72a,72bの内側の壁部には、上下のグリップ支持板95に対応するそれぞれの部分に、周方向へ延びる第1切欠溝100が形成されている。この第1切欠溝100は、深さ寸法に比べて幅広になっており(即ち、図7において上下方向に若干長寸になっており)、この第1切欠溝100には上述したグリップ支持板95の周部が係合している。なお、図7では右側のグリップ部材72aについてのみ詳細な構成を図示しているが、左側のグリップ部材72bは右側のグリップ部材72aと左右対称の構成を有しており、ここでの詳細な説明は省略する。
【0045】
このような操作装置7は、例えばグリップ部72を中立位置(非操作位置)から上方へ操作した場合、該グリップ部72は、下側の第1切欠溝100が有する幅寸法の距離だけ上方へ移動可能であり、即ち、グリップ部72は、下側の第1切欠溝100の下部内面に下側のグリップ支持板95が当接する位置(最上方位置)まで上方へ操作可能である。また、上側のグリップ支持板95は上側の第1切欠溝100に係合した状態でグリップ部72と共に上方へ移動され、コイルスプリング98が圧縮されてグリップ部72は下方へ付勢される。そして、上方への操作を止めた場合、圧縮されたコイルスプリング98の伸長力により、グリップ部72は下方へ戻され、グリップ部72は中立位置に復帰する。
【0046】
他方、グリップ部72を中立位置から下方へ操作した場合は、該グリップ部72は、上側の第1切欠溝100が有する幅寸法の距離だけ下方へ移動可能であり、即ち、グリップ部72は、上側の第1切欠溝100の上部内面に上側のグリップ支持板95が当接する位置(最下方位置)まで下方へ操作可能である。また、下側のグリップ支持板95は下側の第1切欠溝100に係合した状態でグリップ部72と共に下方へ移動され、コイルスプリング97が圧縮されてグリップ部72は上方へ付勢される。そして、下方への操作を止めた場合、圧縮されたコイルスプリング97の伸長力により、グリップ部72は上方へ戻され、グリップ部72は中立位置に復帰する。
【0047】
また、左右のグリップ部材72a,72bの内側部の前部及び後部であって、上側の第1切欠溝100の下方近傍と、下側の第1切欠溝100の上方近傍とのそれぞれには、周方向へ延びる第2切欠溝101が形成されている。上側の前後に形成された第2切欠溝101には、前後方向に長寸の長方形状を成すスイッチ支持板102uが、前端部及び後端部のそれぞれが嵌め込まれて支持されている。このスイッチ支持板102uは、ロッド部71の第1大径部92に形成された貫通穴92a内の上部を通って設けられており、下面には押しボタン式の第1スイッチ103uが取り付けられている。この第1スイッチ103uは、グリップ部72が上下方向に操作されたとき、該グリップ部72と一体的に上下動する。
【0048】
同様にして、グリップ部材72a,72bの内側部における下側の前後に形成された第2切欠溝101には、前後方向に長寸の長方形状を成すスイッチ支持板102dが、前端部及び後端部のそれぞれが嵌め込まれて支持されている。このスイッチ支持板102dは、ロッド部71の第1大径部92に形成された貫通穴92a内の下部を通って設けられており、上面には押しボタン式の第2スイッチ103dが取り付けられている。この第2スイッチ103dも、グリップ部72が上下方向に操作されたとき、該グリップ部72と一体的に上下動する。
【0049】
ロッド部71の第1大径部92に形成された貫通穴92aにおける上下方向の中央位置には、第1大径部92の左右の側壁部間に架け渡されるようにしてリブ105が設けられており、第1大径部92の剛性が強化されている。また、このリブ105の上下には、それぞれ板バネ106u,106dが設けられており、上側の板バネ106uは弾性的に下方へ湾曲可能であり、下側の板バネ106dは弾性的に上方へ湾曲可能になっている。そして、上述した上側の第1スイッチ103uは、リブ105の上側に配された板バネ106uの上方に所定間隔を隔てて(即ち、遊びを有して)対向して設けられ、下側の第2スイッチ103dは、リブ105の下側に配された板バネ106dの下方に所定間隔を隔てて(即ち、遊びを有して)対向して配されている。なお、上述した板バネ106u,106dに代えて1つの板バネのみでもよく、この場合、この板バネは弾性的に上方及び下方へ湾曲可能なものを用い、上下方向から夫々第1スイッチ103u及び第2スイッチ103dに挟まれるようにして配置すればよい。
【0050】
そして、例えば上述したようにして被施療者がグリップ部72を上方へ操作した場合、下側の第2スイッチ103dも上方へ移動し、下側の板バネ106dに対して下方から接近する。そして、この板バネ106dに当接することによって第2スイッチ103dはオフからオンへと切り換えられ、板バネ106dから離反するまでの間、第2スイッチ103dはオン状態の信号を出力する。出力された信号は、図示しない信号線によって第2スイッチ103dと接続された制御部40(図4参照)へ、前記信号線を通じて入力される。制御部40は、入力された信号に基づいてモータ27(図4参照)を一方向へ回転駆動させ、マッサージ機構6を上昇動させる。
【0051】
同様にして、被施療者がグリップ部72を下方へ操作した場合、上側の第1スイッチ103uも下方へ移動し、上側の板バネ106uに対して上方から接近する。そして、この板バネ106uに当接することによって第1スイッチ103uはオフからオンへと切り換えられ、この板バネ106uから離反するまでの間、第1スイッチ103uはオン状態の信号を出力する。出力された信号は、図示しない信号線によって第1スイッチ103uと接続された制御部40(図4参照)へ、前記信号線を通じて入力される。制御部40は、入力された信号に基づいてモータ27(図4参照)を他方向へ回転駆動させ、マッサージ機構6を下降動させる。
【0052】
また、板バネ106u,106dが弾性を有するため、第1スイッチ103u,103dがこの板バネ106u,106dに当接するときの衝撃が緩和される。また、第1スイッチ103u,103dが板バネ106u,106dに当接した後、さらにグリップ部72が上方又は下方へ操作された場合であっても、板バネ106u,106dが湾曲するため、この板バネ106u,106dとの接触によって第1スイッチ103u,103dが破損するのを防止することができる。
【0053】
図7に示すように、グリップ部72の上部であってロッド部71の上方にはローラ収容室107が形成されており、このローラ収容室107には左右方向に向けられた軸芯回りに回転するローラ108が収容されている。また、グリップ部72の上部後面には上述したローラ収容室107に通じる矩形の窓109が形成されており、ローラ収容室107内に収容されたローラ108の周部の一部分が、この窓109から外部へ露出している。ローラ収容室107内にはボリュームスイッチ110(図8参照)が収容されており、このボリュームスイッチ110の回転軸はローラ108の回転軸に連動するようになっている。
【0054】
このローラ108は、マッサージ機構6が有するモータ11,12(図3参照)の回転速度を調節するためのものであり、被施療者が親指などでローラ108を一方へ所定角度だけ回転操作すると、回転角度に応じた信号がボリュームスイッチ110から図示しない信号線を通じて制御部40(図4参照)へ入力され、施療子10のマッサージ動作が速められる。また、ローラ108を他方へ所定角度だけ回転させると、回転角度に応じた信号がボリュームスイッチ110から前記信号線を通じて制御部40へ入力され、施療子10のマッサージ動作が遅められる。
【0055】
図16に、操作装置7が有するグリップ部72の構成の変形例を示す。ここで、図16(a)はグリップ部72の上部の外観形状を部分的に示し、図16(b)は当該部分の機能ブロック図を示している。図16(a)に示すグリップ部72の上部のローラ収容室107内には、図7に示すローラ108に換えて2つのローラ108a,108bが収容されている。このローラ108a,108bは共に、左右方向に向けられた軸芯回りに限度なく回転自在であって、それぞれの回転軸に対して図16(b)に示すボリュームスイッチ110a,110bの入力軸が連動連結されている。そして、ボリュームスイッチ110a,110bからは図示しない信号線が制御部40(図4参照)へ延びており、ローラ108a,108bの回転角度に対応して検出された各スイッチ110a,110bからの出力信号が制御部40へ送信される。
【0056】
このローラ108aは、モータ11の回転速度を変更することにより、施療子10の揉み動作速度を調節するものであり、ローラ108bは、モータ12の回転速度を変更することにより、施療子10のたたき動作速度を調節するものである。即ち、ローラ108aが回転操作されると、ボリュームスイッチ110aから出力された信号に基づき、制御部40がモータ11の回転速度を変更し、その結果、施療子10の揉み動作速度が調節される。また、ローラ108bが回転操作されると、ボリュームスイッチ110bから出力された信号に基づき、制御部40がモータ12の回転速度を変更し、その結果、施療子10のたたき動作速度が調節される。このように、図16に示す操作装置7では、揉み動作の速度調節用とたたき動作の速度調節用とに、ローラ108a,108bがそれぞれ対応して設けられており、揉み動作及びたたき動作をそれぞれ個別に調節することができる。
【0057】
ローラ108a,108bの操作による揉み及びたたきの速度制御について更に詳細な説明をする。初めに、椅子型マッサージ機1の電源が入れられると、その時点でのローラ108a,108bの位置が基準位置として設定される。また、制御部40には、この基準位置からのローラ108a,108bの変位量と、該変位量に対応する施療子10のマッサージの動作速度とが予め設定されており、このマッサージの動作速度には、停止状態から最高速度動作状態に至る所定の速度範囲が設定されている。また、予め設定されたローラ108aの変位量としては、マッサージが停止状態となる停止角度から、マッサージ動作が最高速度動作状態となる最高速角度に至る範囲が設定されている。
【0058】
施療子10による揉みマッサージの実行中に、揉み速度調整用のローラ108aを基準位置から後方(左側から見て時計回り)に回転操作した場合、基準位置からの回転角度(変位量)に応じた揉み速度になるよう減速される。即ち、基準位置から後方へのローラ108aの回転角度が小さいと、基準位置での揉み速度から少しだけ減速した状態で動作し、基準位置から後方への回転角度が大きくなればなるほど、基準位置での揉み速度から大きく減速した状態で動作する。そして、後方への回転角度が所定の値、即ち「停止角度」(例えば、後方へ90度)に達した場合は揉み動作が停止され、この停止角度以上の後方への回転操作に対しては揉み動作の停止状態が維持される。
【0059】
一方、施療子10による揉みマッサージの実行中、又は揉みマッサージの停止中に、ローラ108aを基準位置から前方(左側から見て反時計回り)に回転操作した場合は、基準位置からの回転角度(変位量)に応じた揉み速度になるよう加速される。即ち、基準位置から前方へのローラ108aの回転角度が小さいと、基準位置での揉み速度から少しだけ加速した状態で動作し、基準位置から前方への回転角度が大きくなればなるほど、基準位置での揉み速度から大きく加速した状態で動作する。そして、前方への回転角度が所定の値、即ち「最高速角度」(例えば、前方へ90度)に達した場合は、施療子10は、予め設定された速度範囲内での最高の速度で揉み動作を行い(最高速度動作状態)、この最高速角度よりも前方へ続けて回転操作したとしても揉み動作は加速されず、上述した最高速度動作状態が維持される。
【0060】
更に、ローラ108aの切り返し操作時の施療子10の動作制御について、まず、ローラ108aを停止角度以上後方へ回転操作した後に前方へ回転させるような、前方への切り返し操作を行った場合について説明する。この場合、切り返し操作が行われたときのローラ108aの位置が停止角度として改めて設定され、その後、前方への回転操作に伴って上述したような揉み動作の加速制御が行われる。これにより、ローラ108aが停止角度を超えて後方へ回転操作されている場合であっても、その超過角度分だけ前方へ回転操作せずとも、前方への切り返し操作の直後から揉み動作を加速制御することができる。
【0061】
ローラ108aを最高速角度以上前方へ回転操作した後に後方へ回転させるような、後方への切り返し操作を行った場合は、切り返し操作が行われたときのローラ108aの位置が最高速角度として改めて設定され、その後、後方への回転操作に伴って上述したような揉み動作の減速制御が行われる。これにより、ローラ108aが最高速角度を超えて前方へ回転操作されている場合であっても、その超過分だけ後方へ回転操作せずとも、後方への切り返し操作の直後から揉み動作を減速制御することができる。
【0062】
なお、ローラ108aの停止角度から最高速角度に至る間での切り返し操作に対しては、加速制御と減速制御とが切り替わるだけであり、例えば、この間において前方から後方への切り返し操作が行われたときは加速制御から減速制御へと切り替わる。また、もう1つのローラ108bの回転操作による施療子10のたたき動作速度の制御に関しても、上述したローラ108aの回転操作時と同様であるので、ここでの説明は省略する。
【0063】
上述した説明では、ローラ108a,108bが限度なく回転自在な構成を有する場合について言及したが、ローラ108a,108bは所定の角度範囲内でのみ回転自在に構成されていてもよい。この場合にあっても、ローラ108a,108bの前方への回転操作によって施療子10のマッサージ動作(揉み又はたたき)が加速するよう制御され、後方への回転操作によってマッサージ動作が減速するよう制御される。また、ローラ108a,108bの可動角度の全範囲と、揉み動作又はたたき動作が停止状態から最高速度動作状態に至る全速度範囲とを一対一に対応付けてもよい。
【0064】
次に、上述した椅子型マッサージ機1が備えるマッサージ機構6の動作、特に、操作装置7のグリップ部72が上下方向に操作されたときのマッサージ機構6の動作について、図9に示すフローチャートを用いて説明する。なお、マッサージ機構6は、すでに述べたように揉み動作、たたき動作、指圧動作などの様々のマッサージ動作を行うことができ、このようなマッサージ動作は、本実施の形態においては操作装置7とは別のコントローラ8を用いて実現可能である。また、コントローラ8を操作してマッサージ機構6の動作を制御することに関しては、公知の技術を用いて実現することができ、ここでの詳述な説明は省略する。
【0065】
図9に示すように、被施療者によって操作装置7のグリップ部72が下方へ操作されると(S1)、第1スイッチ103uと上側の板バネ106uとの間の遊び分だけ下降した後、第1スイッチ103uが板バネ106uに当接し、第1スイッチ103uはオフ状態からオン状態に切り換えられる(S2)。すると、第1スイッチ103uから制御部40へ信号が出力され(S3)、制御部40はこの信号に基づいてモータ27を回転駆動し(S4)、マッサージ機構6はガイドレール29aに沿って下降動する(S5)。なお、グリップ部72を操作する際、コイルスプリング97,98がグリップ部72を中立位置へ向けて付勢するため、グリップ部72の操作速度が緩和され、第1スイッチ103u,第2スイッチ103dと板バネ106u,106dとの接触時の衝撃は緩和される。
【0066】
その後、制御部40は、第1スイッチ103uからのオン状態を示す信号の入力が引き続き存在するか否かを判断する(S6)。被施療者が操作装置7のグリップ部72を引き続き下方位置に保持し、第1スイッチ103uからオン状態を示す信号が制御部40へ入力され続けている場合には(S6:YES)、ステップ4からの動作を繰り返す。一方、被施療者が、グリップ部72を中立位置へ戻すよう操作するか、又は、グリップ部72から手を離して下側のコイルスプリング97の作用によりグリップ部72が中立位置へ復帰した場合は、第1スイッチ103uが板バネ106uから離反し、制御部40は、ステップ6にて第1スイッチ103uからのオン状態を示す信号の入力がないと判断する(S6:NO)。そして、制御部40はモータ27の回転駆動を停止させ(S7)、マッサージ機構6の下降動を停止させる(S8)。
【0067】
従って、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、被施療者が操作装置7のグリップ部72を下方へ操作している期間だけ、マッサージ機構6が下降動し、被施療者がグリップ部72から手を離すなどして操作装置7の操作を止めると、マッサージ機構6はその位置にて維持される。なお、被施療者が操作装置7のグリップ部72を上方へ操作した場合も同様の動作をし、被施療者がグリップ部72を上方へ操作している期間だけ、マッサージ機構6が上昇動し、グリップ部72から手を離すなどして操作を止めると、マッサージ機構6はその位置にて維持される。また、被施療者がグリップ部72の操作を止めて操作装置7が非操作状態になった場合(即ち、第1スイッチ103u及び第2スイッチ103dの何れからもオン状態を示す信号が制御部40へ入力されなくなった場合)には、マッサージ機構6が所定の位置(例えば、最上方位置又は最下方位置)へ復帰するように制御部40を構成することも可能である。
【0068】
また、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、座部2に着座した被施療者の視点を基準にすると、操作装置7のグリップ部72の上述した操作方向(即ち、上下方向)と、マッサージ機構6の動作方向(即ち、上下方向)とが一致する。従って、被施療者は、直感的に操作装置7のグリップ部72を上下方向へ操作して、マッサージ機構6(即ち、施療子10)を所望の位置(高さ)に移動させることができ、操作装置7の操作に違和感を感じることがなく、操作性の向上を図ることが可能である。
【0069】
ところで、上述した操作装置7の説明では、グリップ部72の上下方向への操作を検出するのに、オン/オフの何れかを出力する第1スイッチ103u,第2スイッチ103dを備えた構成について言及したが、他の構成を採用してもよい。図10は、操作装置7のグリップ部72の上下方向への操作を検出するための他の構成を有する操作装置7aを示す機能ブロック図である。なお、図8を用いて既に説明した操作装置7の構成と同様の機能を有する部分には、同一の符号を付してその説明は省略する。
【0070】
図8に示す操作装置7と図10に示す操作装置7aとを比較しながら、図10に示す操作装置7aの構成について説明する。図10に示す操作装置7aには、上述した操作装置7が有するコイルスプリング97,98(図8参照)に代えて、ラック120及びピニオン121とロータリーダンパ(緩衝部)122とが備えられている。ラック120は、ロッド部71に取り付けられて、上下方向へ延設されている。ピニオン121は、グリップ部72に枢支され、ラック120に噛合して該ラック120に沿って上下方向へ転動可能になっている。また、ロータリーダンパ122は、グリップ部72においてピニオン121と同軸状に設けられており、グリップ部72にかかる重力に対抗できる程度の粘性抵抗を有している。即ち、グリップ部72自身の重みのみでは該グリップ部72が下降動しないように、ロータリーダンパ122は、適当な粘性抵抗を発揮し得る特性を有している。
【0071】
また、図10に示す操作装置7aには、上述した操作装置7が有する第1スイッチ103u、第2スイッチ103d、及び板バネ106u,106d(図8参照)に代えて、ボリュームスイッチ123が備えられている。このボリュームスイッチ123は、例えばピニオン121と同軸状にしてグリップ部72に設けられ、グリップ部72が上下方向へ操作されたときに、その方向と中立位置からの距離とに応じた信号を制御部40(図4)へ出力するようになっている。
【0072】
このような操作装置7aが被施療者に操作された場合の、椅子型マッサージ機1が備えるマッサージ機構6の動作、特に、操作装置7aのグリップ部72が上下方向に操作されたときのマッサージ機構6の動作について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0073】
図11に示すように、被施療者によって操作装置7aのグリップ部72が上方又は下方へ操作されると(S11)、ボリュームスイッチ123がグリップ部72の操作方向(即ち、上方又は下方)、及び中立位置からの操作距離に応じた信号を出力し(S12)、この信号が制御部40へ入力される(S13)。制御部40は、入力された信号に基づき、グリップ部72の操作方向に応じた方向へ、グリップ部72の操作距離に応じた分だけ、モータ27(図4参照)を回転させる(S14)。その結果、マッサージ機構6は、グリップ部72の操作方向に略一致する方向へ、グリップ部72の操作距離に応じた距離だけ移動させられる(S15)。次に、制御部40は、ボリュームスイッチ123からの入力信号の存否を判断し(S16)、入力信号が存在すると判断した場合は(S16:YES)、ステップ14からの動作を再び実行する。一方、入力信号が存在しないと判断した場合は(S16:NO)、制御部40はモータ27を停止させ(S17)、マッサージ機構6の昇降動が停止させられる(S18)。
【0074】
従って、このような構成の操作装置7aを用い、且つ、ボリュームスイッチ123からの信号に基づいて上述したように制御部40がモータ27の制御を行うことにより、被施療者によるグリップ部72の操作と、マッサージ機構6の動作とをリニアに対応させることができる。即ち、座部2に着座した被施療者の視点を基準にして、グリップ部72の操作方向(上下方向)と、マッサージ機構6の動作方向(上下方向)とを一致させ、且つ、グリップ部72の操作距離に応じた(例えば、比例した)距離だけマッサージ機構6を移動させることができる。また、被施療者がグリップ部72から手を離すなどして操作を止めた場合は、ロータリーダンパ122の作用によりグリップ部72はその位置にて維持される。従って、このときマッサージ機構6もその位置にて維持される。
【0075】
ここで、ステップ15におけるマッサージ機構6の移動距離は、グリップ部72の操作距離に比例するようにしてもよく、また、グリップ部72の操作距離の2次、又はそれ以上の高次関数で近似的に表されるようにしてもよい。また、グリップ部72の操作距離の指数関数で近似的に表されるようにしてもよい。更には、これらの関数の組み合わせによってマッサージ機構6の移動距離が表されるようにしてもよい。この場合、比例関数、2次、又はそれ以上の高次関数、指数関数に関して、入力値とこれに対する出力値とが関連付けられたテーブルデータ等を予め制御部40のROM42に記憶しておく。そして制御部40は、操作装置7aが有するボリュームスイッチ123から信号が入力された場合に、ROM42内のテーブルデータを参照し、入力信号に対応する出力信号を取得し、これによりモータ27を駆動すればよい。また、上記テーブルデータに代え、演算用のプログラムを用いてもよく、更には、フリップフロップなどにより演算回路を別途設けてもよい。
【0076】
なお、図10に示す操作装置7aの構成において、ラック120をグリップ部72に配置し、ピニオン121及びロータリーダンパ122をロッド部71に配置してもよいことは言うまでもない。また、図5〜図8に示した操作装置7に関し、コイルスプリング97,98を取り除き、図10に示す操作装置7aが有するロータリーダンパ122と同様の機能を発揮するロータリーダンパを取り付けてもよい。これにより、操作装置7の非操作時にグリップ部72をその位置にて維持させることができ、この場合にはマッサージ機構6はグリップ部72の維持位置(上又は下)に応じて上方又は下方へ移動し続ける。また、ロータリーダンパが発揮する粘性抵抗により、グリップ部72の操作速度を緩和でき、第1スイッチ103u,第2スイッチ103d(図8参照)と板バネ106u,106dとの間に生じる衝撃を緩和することができる。
【0077】
次に、上述の実施の形態において示したマッサージ機構6とは異なる構成をなすマッサージ機構200と、このマッサージ機構200を移動させる移動装置200aとについて説明する。図12は、図1に示した椅子型マッサージ機1の背凭れ部3に搭載可能なマッサージ機構200と移動装置200aとの構成を示す斜視図であり、該移動装置200aは昇降機構200bと揺動機構200cとを備えている。そして、マッサージ機構200は、昇降機構200bの駆動により、背凭れ部3(図1参照)の内部において該背凭れ部3に沿って上下方向へ昇降動するようになっており、また、揺動機構200cの駆動により、背凭れ部3の内部において前後方向へ揺動するようになっている。このマッサージ機構200が、揉み動作、たたき動作、及び指圧動作などの基本的なマッサージ動作を行うその動作原理について図21に示す。その動作原理は、図3を用いて説明したものと比較して異なる点が多々あるが、叩き用のモータ11と揉み用のモータ12とを備え、これらを駆動することによって左右の施療子10,10を動作させる点において共通している。
【0078】
以下、マッサージ機1の移動装置200aが備える昇降機構200b及び揺動機構200cについてそれぞれ説明する。図12に示すように昇降機構200bは、プレート材から成る左右の側部フレーム251,251、該側部フレーム251の上部間に架設されてこれらを支持するプレート材から成る上部フレーム252、及び側部フレーム251の下部間に架設されてこれらを支持する丸棒状のポールから成る下部フレーム(揺動軸)253によって構成された昇降枠体250を備えている。
【0079】
側部フレーム251の下部には、左右方向へ貫通してネジ254が通される貫通孔255が形成されている。また、丸棒状のポールから成る下部フレーム253の両端には、ネジ254と螺合するネジ孔253aが左右の外方へ開口するように形成されている。下部フレーム253は、側部フレーム251の貫通孔255に左右方向の内側からネジ孔253aを一致させた状態で、貫通孔255を挟んで外側からネジ254をネジ孔253aに螺合することにより、側部フレーム251に固定される。逆に、左右のネジ254を取り外すことにより、側部フレーム251から下部フレーム253を容易に取り外すことが可能である。
【0080】
左右の側部フレーム251には、ガイドローラ257,258が回動可能なように取付けられている。これらのガイドローラ257,258は、マッサージ機1の背凭れ部3内に配設された昇降フレーム29を構成するガイドレール29aに沿って転動可能になっている。詳説すると、背凭れ部3内に設けられた昇降フレーム29aは、上下方向へ延びて互いに平行を成す左右のガイドレール29a,29aを有している。ガイドレール29aは、長手方向に交差する断面がチャネル形状になっており、左右方向の中心側が開口している。
【0081】
上記ガイドローラ257は左右方向に沿った回転軸芯を有し、側部フレーム251の上部、中部、及び下部にそれぞれ配設されている。そしてガイドレール29aの内壁面上を転動し、昇降枠体250の前後方向への移動を規制する。また、ガイドローラ258は前後方向に沿った回転軸芯を有し、上下で隣り合うガイドローラ257間に配設されている。そしてガイドレール29aの内壁面上を転動し、昇降枠体250の左右方向への移動を規制する。
【0082】
左右の側部フレーム251の下部間には昇降駆動軸260が軸芯回りに回動自在にして設けられており、該昇降駆動軸260の両端であって側部フレーム251の外側には昇降用ピニオン207が取付けられている。昇降枠体250の左側下部には減速機262及び昇降用モータ214が備えられており、昇降駆動軸260は、減速機262を介して昇降用モータ214によって回転駆動される。また、ガイドレール29aの後部には、該ガイドレール29aに沿って複数の歯が列設された昇降用ラック264が設けられており、昇降用ピニオン207はこの昇降用ラック264に噛合している。
【0083】
従って、昇降用モータ214が駆動すると、昇降駆動軸260の回転により昇降用ピニオン207が昇降用ラック264に沿って上下方向へ転動する。このとき、ガイドレール29aの内壁面に沿って転動するガイドローラ257,258により、昇降枠体250の前後及び左右への移動が規制され、昇降枠体250は安定的に昇降動する。
【0084】
図12に示すように下部フレーム253には、揺動機構200cが支持されている。即ち、揺動機構200cは、左右に対面配置された板状部材から成る揺動フレーム270,270を備え、その下部には下方へ延びる延設部270aが形成されている。この延設部270aの先端部(下端部)には、左右方向へ貫通する孔から成る軸受部270bが形成されており、昇降枠体250の丸棒状の下部フレーム253はこの孔に挿通されている。そして、下部フレーム253は揺動フレーム270の揺動軸を成しており、該揺動フレーム270は、軸受部270bにおいて下部フレーム253により回動可能に支持され、該下部フレーム253を中心にして前後方向へ揺動可能になっている。
【0085】
左右の揺動フレーム270間には矩形の支持プレート271が配され、該支持プレート271の四隅が、左右の揺動フレーム270にボルト271aで締結されている。上述したマッサージ機構200は、支持プレート271の後方に配置され、該支持プレート271に支持されている。なお、支持プレート271には左右に図示しない貫通穴が形成されており、マッサージ機構200が備えるアーム11は、この貫通穴を通じて支持プレート271の前方へ突出している。
【0086】
一方、上部フレーム252の左右の下部には、揺動フレーム270に支持されたマッサージ機構200を揺動させるための中間アイドル減速ユニット273,274が取付けられている。ここで、左右の中間アイドル減速ユニット273,274は左右対称の形状になっているため、一方の中間アイドル減速ユニット273の形状についてのみ説明する。
【0087】
中間アイドル減速ユニット273は、ケース275と、該ケース275内にて支持されて一体回転するアイドルギヤ276及びラック駆動ギヤ(歯車)240とを備えている。このような中間アイドル減速ユニット273は、昇降枠体250の上部フレーム252の下部にネジ286を用いて固定される。
【0088】
図12に示すように、昇降枠体250が有する左の側部フレーム251の上部には、進退用モータ226及びウォーム減速機291が取付けられている。ウォーム減速機291は、進退用モータ226の出力軸に連結されており、該出力軸の回転を減速して出力し、この出力は伝達軸(回転軸)292へ伝達される。伝達軸292は左右方向へ軸芯を向けてマッサージ機構200の上方に設けられ、左側端部がウォーム減速機291に連結され、右側端部が昇降枠体250の右側の側部フレーム251の上部にて回転自在に支持されている。
【0089】
上述した伝達軸292は中間アイドル減速ユニット273のケース275によって支持されている。そして、伝達軸292に同軸状に設けられた図示しない伝達ギヤが、中間アイドル減速ユニット273のアイドルギヤ276に噛合している。また、マッサージ機構200を支持する左右の揺動フレーム270の上部には、およそ円弧状の進退用ラック241が取付けられている。この進退用ラック241は、揺動フレーム270の下部を支持する下部フレーム253の軸芯を中心とする所定半径の円周上に複数の歯が列設されて構成されている。そして、中間アイドル減速ユニット273が有するラック駆動ギヤ240が、この進退用ラック241に上方から噛合している。
【0090】
このような構成を成す揺動機構200cは、進退用モータ226の回転が、ウォーム減速機291、伝達軸292,中間アイドル減速ユニット273を介して進退用ラック241へ伝達される。この際、ウォーム減速機291,アイドルギヤ276,及び伝達ギヤを介することによって、進退用モータ226の回転数は適当に減速されてラック駆動ギヤ240へ伝達される。そして、ラック駆動ギヤ240が回転すると、これに噛合する進退用ラック241は前後方向へ移動する。その結果、マッサージ機構200を支持する揺動フレーム270は、下部フレーム253を中心として前後方向へ揺動する。このとき、マッサージ機構200、揺動フレーム270、及び進退用ラック241が、前後方向へ揺動する。
【0091】
移動装置200aによるマッサージ機構200の上述したような進退動作は、例えば、上述した操作装置7(図8参照)あるいは操作装置7a(図10参照)の傾倒操作により実現させることができる。以下、操作装置7を操作することによってマッサージ機構200を進退(前後へ揺動)させる場合について、図13に示すフローチャートを用いて説明する。なお、操作装置7aを操作する場合についても同様である。
【0092】
図13に示すように、被施療者が操作装置7を前傾操作すると(S21)、ジョイント機構73に設けられたロータリースイッチ83(図6,8参照)がロッド部71の傾倒方向(即ち、前方)を検出し(S22)、検出信号が制御部40へ入力される(S23)。制御部40は、入力された信号に基づいて進退用モータ226を回転駆動し(S24)、その結果、マッサージ機構200は前方へ揺動される(S25)。
【0093】
その後、制御部40は、ロータリースイッチ83からロッド部71が前傾していることを示す信号が入力されているか否かを判断する(S26)。被施療者が操作装置7を引き続き前傾操作の状態で保持し、ロータリースイッチ83から上記信号が制御部40へ入力され続けている場合には(S26:YES)、ステップ24からの動作を繰り返す。一方、被施療者が、グリップ72を中立位置へ戻すよう操作するか、又は、グリップ部72から手を離してスプリングバネ77c(図5参照)の作用によりロッド部71が直立する位置へ復帰した場合は、ロータリースイッチ83からの入力信号が途絶えるので、ロッド部71が前傾していることを示す信号の入力がないと判断する(S26:NO)。そして、制御部40は進退用モータ226の回転駆動を停止させ(S27)、マッサージ機構200の前方への揺動を停止させる(S28)。
【0094】
従って、上述した構成によれば、被施療者が操作装置7を前方へ傾倒操作している期間だけ、マッサージ機構200が前方へ揺動し、被施療者がグリップ部72から手を離すなどして操作装置7の操作を止めると、マッサージ機構200はその位置にて維持される。なお、被施療者が操作装置7を後方へ傾倒操作した場合も同様の動作をし、被施療者が操作装置7を後方へ傾倒操作している期間だけ、マッサージ機構200が後方へ揺動、グリップ部72から手を離すなどして操作を止めると、マッサージ機構200はその位置にて維持される。また、被施療者がグリップ部72の操作を止めて操作装置7が非操作状態になった場合(即ち、ジョイント機構73のロータリースイッチ83からの信号が制御部40へ入力されなくなった場合)には、マッサージ機構200が所定の位置へ復帰するように制御部40を構成することも可能である。
【0095】
このように、操作装置7の傾倒操作と、マッサージ機構200の前後方向への揺動動作とを対応付けることにより、椅子型マッサージ機1の座部2に着座した被施療者の視点を基準にして、操作装置7の傾倒操作方向(即ち、前後方向)と、マッサージ機構200の揺動動作方向(即ち、前後方向)とが一致する。従って、被施療者は、直感的に操作装置7を前後方向へ傾倒操作して、マッサージ機構200を所望の前後位置に移動させることができ、操作装置7の操作に違和感を感じることがなく、操作性の向上を図ることが可能である。
【0096】
また、図12に示す移動装置200aによれば、操作装置7のグリップ部72が上下方向へ操作された場合に、該グリップ部72の操作方向と略一致する上下方向へマッサージ機構200を移動させることが可能である。即ち、図9のフローチャートを用いて説明した図2に示すマッサージ機構6の昇降動作と同様に、被施療者によってグリップ部72が操作されると、第1スイッチ103uからオン信号が制御部40へ入力される(図9に示すステップ1〜3参照)。そして、図12に示す移動装置200aの場合、図9に示すステップ4において制御部40は、入力信号に基づいて昇降用モータ214を回転駆動させる。その結果、昇降用ピニオン207が転動してガイドレール29aに沿ってマッサージ機構200は昇降する。なお、その後の動作については、図9に示すステップ6〜8と同様であるので説明は省略する。
【0097】
このように、マッサージ機構200及び移動装置200aにおいても、椅子型マッサージ機構1の座部2に着座した被施療者の視点を基準にすると、操作装置7のグリップ部72の操作方向(上下方向)と、マッサージ機構200の動作方向(上下方向)とが一致する。従って、被施療者は、直感的に操作装置7のグリップ部72を上下方向へ操作して、マッサージ機構200を所望の位置(高さ)に移動させることができ、操作装置7の操作に違和感を感じることがなく、操作性の向上を図ることができる。
【0098】
次に、上述した操作装置7及び操作装置7aとは異なる構成を有する他の操作装置について、外観構成を示す斜視図である図14を用いて説明する。この図14に示される操作装置300は、前記操作装置7及び操作装置7aと同様に、図1に示す椅子型マッサージ機1に採用することのできるものであり、椅子型マッサージ機1の右側のアームレスト5の上部カバー5a上に取り付けられる。
【0099】
図14に示すように、操作装置300は、ベース部301と、該ベース部301に立設されたロッド部302と、該ロッド部302の上部に取り付けられたグリップ部303とから主として構成されている。なお、通常はグリップ部303を覆ってカバーが設けられているが、図14ではこれを省略して示している。ベース部301は、伏せたお椀の如き形状であり、背凭れ部3のリクライニング位置を調整するためのリクライニング調整ボタン305、マッサージ機構6,200が有する施療子10によるたたき動作の速度を調整するたたき速度調整スイッチ306など、様々のボタン,スイッチ類が配設されている。
【0100】
ベース部301に立設されたロッド部302は、その下端部にてベース部301とボールジョイントされており、前後及び左右など、あらゆる方向へ傾倒可能になっている。ロッド部302の上部には、円筒形状を成すロッド収容部307が外嵌して設けられている。これらロッド部302及びロッド収容部307は、図7に示す操作装置7のロッド部71及びグリップ部72と同様にして接続されている。即ち、ロッド収容部307の内部空間には、該ロッド収容部307の上下方向への操作を検出する図示しないスイッチ(図7に示す第1スイッチ103u,第2スイッチ103dに相当するもの)や、ロッド収容部307を上下方向の中心位置(中立位置)に復帰させるように付勢する図示しないコイルスプリング(図7に示すコイルスプリング97,98に相当するもの)などが設けられている。そして、ロッド部302に対してロッド収容部307は、上方及び下方へ相対的に操作可能であり、且つ、上方及び下方へ操作された場合には中立位置へ付勢されると共に、操作方向に応じた信号が制御部40(図4参照)へ出力される。
【0101】
従って、図14に示す操作装置300を用いても、上述した操作装置7,7aの操作による場合と同様に、マッサージ機構6,200を昇降動作させることができる。即ち、操作装置300が有するグリップ部303を上下方向へ操作した場合に、この操作方向と略一致する上下方向へ、マッサージ機構6,200を移動させることができ、被施療者が直感的に操作装置300を操作可能であって、操作性の向上を図ることができる。なお、このようにロッド部302とロッド収容部307との接続形態は図7に示す操作装置7のロッド部71とグリップ部72との接続形態と略同様であり、グリップ部303を操作したときのマッサージ機構6,200の昇降動作も図9のフローチャートに示す動作と略同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0102】
ロッド収容部307は、その上方に配されたグリップ部303との間を接続部材309によって接続されている。この接続部材309は、左右へ分かれる二股形状を成しており、ロッド収容部307を左右から挟持するようにして該ロッド収容部307にネジ止めされている。そして、グリップ部303は、接続部材309の上部に取り付けられている。従って、グリップ部303を上下方向へ操作すると、グリップ部303、接続部材309、及びロッド収容部307は一体的に上下動し、ロッド収容部307内の図示しないスイッチが、操作方向に応じた信号を制御部40(図4参照)へ出力する。
【0103】
グリップ部303は、上下に配されて前後に長寸のプレート320,320と、このプレート320,320を支持する支持部材321と、プレート320,320間に配設されて被施療者によって把持操作される把持ハンドル322とから主として構成されている。把持ハンドル322は、左右の把持部材323,324を有し、被施療者はこの把持部材323,324を挟持して、両者を離反又は近接するように、即ち、把持ハンドル322が開閉するように把持操作する。
【0104】
図15は、図14に示す操作装置300が有するグリップ部303のXV矢視断面図であり、把持ハンドル322の構成と動作原理とを説明するためのものである。また、図15(a)は、把持ハンドル322が開いているときの構成を示し、図15(b)は、把持ハンドル322が閉じているときの構成を示している。なお、構成物の視認性と動作原理の理解のため、図15では全て実線により各構成物を表しているが、この各構成物の主に上下の位置関係については下記の説明において逐次言及する。
【0105】
図15(a)に示すように、左右の把持部材323,324は、横断面が略チャネル形状になっており、それぞれの開口部分を互いに対向させて配設され、それぞれの前部が枢軸325によって枢支されている。また、枢軸325にはコイル状の付勢バネ326が設けられており、左右の把持部材323,324が所定の開度以下に閉じられた場合にこれら把持部材323,324を開く方向へ付勢する。
【0106】
左側の把持部材323には、内方へ延びる板状のラック支持板330が枢支されており、このラック支持板330の上面には略左右方向へ延びるラック331が取り付けられている。また、ラック支持板330には、ラック331の後側において該ラック331に沿って略左右へ延びる案内孔332が形成されている。右側の把持部材324には、内側へ延びる板状のピニオン支持板335が図示しないブラケットを介して取り付けられている。このピニオン支持板335は、ラック支持板330に対して上方に配置されており、該ピニオン支持板335の下面には、ロータリーダンパ336が下方へ出力軸336aを向けて取り付けられている。この出力軸336aにはピニオン337が同軸状に取り付けられており、該ピニオン337はラック331と噛合している。また、ロータリーダンパ336の出力軸336aの下端部は、ラック支持板330に形成された案内孔332に挿通されている。
【0107】
図15(b)に示すように、このような構成を成すグリップ部303を被施療者が把持操作すると、左右の把持部材323,324は、付勢バネ326の付勢力に抗って枢軸325の回りに回動する。そして、左右の把持部材323,324が接近する際、ロータリーダンパ336の出力軸336aは案内孔332に案内されており、出力軸336aの端部のピニオン337はラック331に噛合した状態が保たれて転動する。一方、被施療者が把持ハンドル322から手を離すなどして操作装置300が非操作状態になると、付勢バネ326の作用によって、左右の把持部材323,324は離反し、把持ハンドル322は再び初期状態(図15(a)の状態)まで開く。
【0108】
また、例えばピニオン337又は枢軸325には図示しないボリュームスイッチが同軸状に設けられており、左右の把持部材323,324の接近した距離(又は把持ハンドル322の開度)に応じた信号が、前記ボリュームスイッチから制御部40(図4参照)へ出力される。制御部40は、この入力信号に基づき、左右の把持部材323,324間の距離に応じて、マッサージ機構6,200(図2,図12)が有する左右の施療子10,10間の距離を移動させ、揉み動作を実現する。このように、操作装置300の把持ハンドル322を把持操作することにより、マッサージ機構6,200に揉み動作を行わせることができ、実際の手揉み感覚に近いマッサージを実現することができる。
【0109】
次に、上述した操作装置7,7a,300とは異なるスライド式ジョイスティックから成る操作装置400について説明する。この操作装置400は、主として図12に示すマッサージ機構200を前後方向へ変位させるときに用いる。図17は、操作装置400の外観を示す斜視図であり、図18はその一部を示す側面図、図19は、図18中のXIX-XIX線での断面図である。この操作装置400は、図1に示す椅子型マッサージ機1に採用することができるものであり、一般には右側のアームレスト5の上部に設けられる。
【0110】
図17に示すように、操作装置400は、ベース部401と、該ベース部401に立設されたロッド部402と、該ロッド部402の上部に取り付けられたグリップ部403とを備えている。ベース部401は、前後方向へ長寸の直方体形状になっており、下部が板部材401aから成る他は格子状に構成され、板部材401aの前部及び後部に上方へ立設された矩形枠401b,401bと、これら矩形枠401bの左側部間及び右側部間にそれぞれ架設された丸棒状のガイドロッド401c,401cとを有している。また、ベース部401の内部であって板部材401a上には、前後方向へ沿って延びるラック404が、複数列設された歯を上方へ向けて固定されている。
【0111】
ロッド部402は、ベース部401に対して略直交する上下方向へ延びて設けられており、下端部には平面視で略矩形の支持部405が接続されている。この支持部405には、ロッド部402との接続を強化するためにリブが多数設けられ、また、支持部405の前後の端部には、左右へ延びる摺動部材406が接続されている。この摺動部材406は、前後方向へ貫通された貫通孔406aが左右の端部に形成されており、該貫通孔406aには上記ガイドロッド401cが挿通されている。従って、ロッド部402の上部に取り付けられたグリップ部403を前後方向へ操作すると、支持部405がガイドロッド401cに案内されることにより、グリップ部403は直立状態を維持して前後方向へ滑らかに変位する。
【0112】
ロッド部402の上部に取り付けられたグリップ部403は、上下方向へ長寸の略直方体形状を成しており、人手によって握りやすい寸法に構成されている。また、グリップ部403の上部後側には、揉みやたたきなどのマッサージの動作速度を調整するための2つのダイヤル403a,403aが左右に配列されている。これらのダイヤル403a,403aは、既に図16(a),(b)を用いて説明した操作装置7のグリップ部72に設けられたローラ108a,108bと同様の操作が可能であり、そこで説明したような施療子10による揉み動作及びたたき動作の加速制御、減速制御、及び切り返し制御を実現することができる。
【0113】
図18及び図19に示すように、支持部405の下面には、ロータリーダンパ407が取り付けられている。該ロータリーダンパ407は、その入力軸407aを右方へ向けて配置され、該入力軸407aにはピニオン408が同軸芯状に圧入されている。ピニオン408は、ロッド部402の直下に位置するように配置され、ベース部401に固定されたラック404と噛合している。従って、グリップ部403を前後方向へ操作すると、ラック404に沿ってピニオン408が前後へ転動する。この際、ピニオン408の回転に対してロータリーダンパ407が所定の抵抗を付与するため、グリップ部403の操作に対して適当な抵抗感が加えられる。なお、本実施の形態ではロータリーダンパ407を用いてピニオン408の回転に粘性抵抗を付与しているが、他の構成により、例えばゴムやバネなどによる弾性抵抗、磁石による磁気抵抗を付与するようにしてもよく、更には、グリップ部403の操作時における摺接箇所の押圧力を調整してここに生じる摩擦抵抗を利用してもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
【0114】
また、図19に示すように、支持部405の下面にはポテンショメータ409が取り付けられている(図19中の二点鎖線を参照)。このポテンショメータ409は、ピニオン408の回転変位量を検出するためのものであり、該ピニオン408の回転中心部分にポテンショメータ409の入力軸が接続されている。ポテンショメータ409の出力信号は、制御部40(図4参照)へ入力される。なお、グリップ部403の前後動作に係る変位量(例えば、距離)を検出することができる検出手段であれば、ポテンショメータ409に代えて用いてもよく、例えば、光センサ、抵抗膜などを用いてグリップ部403の前後動距離を検出するようにしてもよい。
【0115】
図17に示すように、ベース部401の前部には、エアダンパ410が接続されている。該エアダンパ410は、長寸円筒状のシリンダ411と、該シリンダ411内に沿ってへ移動可能なプランジャ412と、スピードコントローラ413,413とから主に構成されている。
【0116】
シリンダ411は、その長手方向を前後方向に沿って配置され、後端部がブラケット414を介してベース部401の前側の矩形枠401bに接続されている。プランジャ412は、シリンダ411内に先端部が挿通されてブラケット414に設けられた図示しない孔を通じて後方へ延設されている。そして、プランジャ412の後端部は、支持部405の前端部に設けられた摺動部材406から下方へ突設された突設部406bに支持されている。スピードコントローラ413は、シリンダ411内の流体の圧力を調整することができる公知のものを用いることができ、本実施の形態ではシリンダ411内を、シリンダ411に対するプランジャ412の速度又は加速度に比例する圧力に調整する。
【0117】
このような操作装置400の場合、被施療者がグリップ部403を前後方向へ直線的に操作すると、ラック404の寸法に相当する範囲内でグリップ部403は変位する。このとき、グリップ部403の変位に対してロータリーダンパ407及びエアダンパ410から粘性抵抗が付与され、また、グリップ部403の変位速度又は変位加速度に比例して更に粘性抵抗が加えられ、グリップ部403は比較的低速で操作される。そして、グリップ部403の変位量に対応する信号が、ポテンショメータ409から制御部40へ出力される。制御部40は、この信号に基づき、グリップ部403の変位用に対応する変位量だけマッサージ機構200(図12参照)を前後方向へ揺動制御する。
【0118】
ここで、上述したようにグリップ部403の操作が比較的低速で行われることとなるため、マッサージ機構200の前後動作の追従性が向上する。即ち、マッサージ機構200に備えられた揺動機構200Cは、進退用モータ226の回転が、ウォーム減速機291、伝達軸292、中間アイドル減速ユニット273を介して進退用ラック241へ伝達されるよう構成されているため、制御部40からの信号の出力とマッサージ機構200の動作との間に遅延時間が生じる。しかしながらグリップ部403の操作が比較的低速に行われると、この遅延時間が短くなり、操作上の違和感が低減される。また、被施療者がグリップ部403の操作速度を速めた場合であっても、これに伴ってエアダンパ410がより大きな粘性抵抗を発揮するため、マッサージ機200の追従性を一定レベル以上に維持することができる。
【0119】
また、操作装置400の場合、既に説明した他の操作装置7,7a,300などと比べて、グリップ部403の変位を検出するに当たって、分解能が高くすることができる。即ち、操作装置400はピニオン408の回転変位量をポテンショメータ409で検出するため、ラック404の長さとピニオン408の径を適宜調整することによって、ポテンショメータ409からの信号が示す電位の範囲を広げることができる。より具体的には、ラック404の長さに比べてピニオン408の径を小さくすることにより、ピニオン408が転動可能な範囲でのポテンショメータ409の入力軸の回転角度(回転数)は大きくなる。この場合、ポテンショメータ409からの信号が示す電位の範囲も広くなる。
【0120】
このように、グリップ部403の変位の検出分解能が向上すると、制御部40は、マッサージ機構200の動作制御をより正確に行うことができる。従って、操作装置400の操作に対するマッサージ機構200の動作の追従性も向上し、被施療者へ与える違和感を低減することができる。
【0121】
図20は、図18中のXX-XX線で操作装置400を切断したときのグリップ部403の断面を模式的に示した図面であり、図20(a)はグリップ部403の中立位置での状態、図20(b)はグリップ部403を右へ回転させたときの状態を夫々示している。図20(a)に示すようにグリップ部403の内部空間には、ロッド部402に対してグリップ部403をロッド部402の軸芯回りに回転可能に支持する筒部420が設けられ、該筒部402はリブ421によってグリップ部403の内面に支持されている。この筒部420内にはロッド部402が挿通されている。
【0122】
グリップ部403の内面からロッド部402側へ向けて、左右に電導体から成る接点422,422が突設されており、ロッド部402からはこれら接点422,422に挟まれる位置へ向けて電導体から成る接点423が突設されている。これら接点422及び接点423が接触した場合、所定の電位を有する信号が制御部40(図4参照)へ入力されるようになっている。また、グリップ部403内において、その内面からロッド部402へ可撓性のゴムブロック424が架設されている。
【0123】
このような構成によれば、図20(a)に示す中立位置から、グリップ部403をロッド部402回りに回転することができ、図20(b)に示すように右へ回転させた場合は、グリップ部403に突設された左側の接点422がロッド部402に突設された接点423に接触し、制御部40へ所定の信号が出力される。また、グリップ部403を左へ回転させた場合は、グリップ部403に突設された右側の接点422がロッド部402に突設された接点423に接触し、制御部へ別の信号が出力される。そして、被施療者がグリップ部403から手を離すと、ゴムブロック424の作用により、グリップ部403は中立位置へ復帰する。
【0124】
本実施の形態では、グリップ部403が左右へ回転操作された場合に、制御部40は椅子型マッサージ機1に異なる動作を実行させるようになっている。例えば、グリップ部403が右へ回転操作されて接点422,423が接触している間は、背凭れ部3が後傾するリクライニング動作が実行され、逆に左へ回転操作されて接点422,423が接触している間は、背凭れ部3の起伏動作が実行される。また、グリップ部403を何れかの方向へ回転操作した後に手を離し、グリップ部403が中立位置へ復帰して接点422,423が非接触になると、非接触直前での背凭れ部3の位置が維持される。
【0125】
なお、操作装置400に関する上述した説明では、グリップ部403の前後方向への操作に対してマッサージ機構200を前後方向へ揺動させる場合について説明したが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない。例えば、グリップ部403の前後方向への操作に対し、マッサージ機構6(図2参照)又はマッサージ機構200(図12参照)の昇降動作を割り当ててもよい。
【0126】
また、本実施の形態に係る操作装置400においても、グリップ部403の内部を、図7及び図8、又は図10を用いて説明したように上下動可能に構成してもよい。そして、グリップ部403の上下方向への操作によって、図9又は図11のフローチャートを用いて説明したようにマッサージ機構6,200の昇降動作を制御できるようにしてもよい。
【0127】
また、上述した操作装置400を椅子型マッサージ機1に設ける場合には、ベース部401及びエアダンパ410をアームレスト5内に収容し、グリップ部403のみをアームレスト5の上部カバー5aの上方に露出させておけばよい。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明は、施療部の動作遅延を低減させ、被施療者に生じる操作上の違和感を低減させようとする椅子型マッサージ機及びその他のマッサージ機用の操作装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機が備えるマッサージ機構及び移動装置の構成を示す背面図である。
【図3】図2に示すマッサージ機構の動作原理を説明するために該マッサージ機構の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【図4】図1に示す椅子型マッサージ機の構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図1に示す椅子型マッサージ機が備える操作装置のベース部とロッド部とのジョイント機構の構成を、一部分を省略して示す斜視図であって、右斜め後方からの視線に基づく構成を示している。
【図6】図5に示すジョイント機構の構成を示す斜視図であって、左斜め後方からの視線に基づく構成を示している。
【図7】図1に示す操作装置のグリップ部と、該グリップ部内のロッド部との構成を示す斜視図である。
【図8】図1に示す操作装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図9】操作装置のグリップ部が上下方向へ操作されたときの椅子型マッサージ機が備えるマッサージ機構の動作について説明するためのフローチャートである。
【図10】操作装置のグリップ部の上下方向への操作を検出するための構成を示す機能ブロック図であり、図8に示す構成とは異なる構成について示している。
【図11】図10に示す構成を有する操作装置のグリップ部が上下方向へ操作されたときのマッサージ機構の動作について説明するためのフローチャートである。
【図12】図1に示す椅子型マッサージ機の背凭れ部に搭載可能な他の構成を成すマッサージ機構と移動装置との構成を示す斜視図である。
【図13】図8に示す操作装置を操作することによって図12に示すマッサージ機構を前後へ揺動(進退)させる場合の椅子型マッサージ機の動作について説明するためのフローチャートである。
【図14】図8及び図10に示す操作装置とは異なる構成を成す操作装置の外観構成を示す斜視図である。
【図15】図14に示す操作装置が有するグリップ部のXV矢視断面図であり、把持ハンドルの構成を示している。また、図15(a)は、把持ハンドルが開いているときの構成を示し、図15(b)は、把持ハンドルが閉じているときの構成を示している。
【図16】図7に示す操作装置が有するグリップ部の構成の変形例を示す図面であり、(a)は模式的斜視図、(b)は機能ブロック図である。
【図17】更に構成の異なる操作装置について、その外観を示す斜視図である。
【図18】図16に示す操作装置の一部を示す側面図である。
【図19】図17に示す操作装置をXVIII-XVIII線で切断したときの断面図である。
【図20】図17に示す操作装置をXVX-XVX線で切断したときの断面図であり、(a)はグリップ部の中立位置での状態、(b)はグリップ部を右へ回転させたときの状態を夫々示している。
【図21】図12に示すマッサージ機構の動作原理を説明するために該マッサージ機構の構成を模式的に示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0130】
1 椅子型マッサージ機
3 背凭れ部
5 アームレスト
6,200 マッサージ機構
6a,200a 移動装置
7,7a,300 操作装置
10 施療子(施療部)
28 昇降台
70 ベース部
71 ロッド部
72 グリップ部
73 ジョイント機構
77a,77b バネフック
77c スプリングバネ
81 ロータリーダンパ
83 ロータリースイッチ
97,98 コイルスプリング
103u 第1スイッチ
103d 第2スイッチ
106u,106d 板バネ
120 ラック
121 ピニオン
122 ロータリーダンパ(緩衝部)
123 ボリュームスイッチ
301 ベース部
302 ロッド部
303 グリップ部
307 ロッド収容部
322 把持ハンドル
323,324 把持部材
326 付勢バネ
331 ラック
336 ロータリーダンパ
337ピニオン
400 操作装置
401 ベース部
402 ロッド部
403 グリップ部
404 ラック
407 ロータリーダンパ
408 ピニオン(ギヤ)
409 ポテンショメータ(センサ)
410 エアダンパ
411 シリンダ
412 プランジャ
413 スピードコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子型マッサージ機に設けられた施療部の動作を制御すべく、操作変位量に応じた信号を出力する椅子型マッサージ機用の操作装置であって、
直線的に往復動させることが可能なグリップ部と、該グリップ部の動作距離を検出する検出手段と、該グリップ部の動作に所定の抵抗を付与する抵抗部とを備えることを特徴とする椅子型マッサージ機用の操作装置。
【請求項2】
前記椅子型マッサージ機側に固定されるラックと、該ラックに噛合して前記グリップ部と共に往復動するギヤとを更に備え、前記抵抗部は、前記ギヤに回転抵抗を付与するロータリーダンパを有することを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機用の操作装置。
【請求項3】
前記抵抗部は、前記椅子型マッサージ機側に固定されるシリンダと、該シリンダ内に一端部が挿通されると共に他端部が前記グリップ部に支持されたプランジャとから構成されたエアシリンダダンパを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機用の操作装置。
【請求項4】
前記エアシリンダダンパは、シリンダ内の流体圧を調整する調整部を有することを特徴とする請求項3に記載の椅子型マッサージ機用の操作装置。
【請求項5】
前記エアシリンダダンパが有する調整部は、前記グリップ部の動作の速度又は加速度に比例する流体圧に前記シリンダ内を調整すべく構成されていることを特徴とする請求項4に記載の椅子型マッサージ機用の操作装置。
【請求項6】
前記グリップ部は前後方向へ往復動するように構成され、前記椅子型マッサージ機が有する施療部の前後方向への往復動作制御に係る信号を出力すべく成してあることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の椅子型マッサージ機用の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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