説明

椅子型マッサージ機

【課題】 被施療者の頭部を覆うフードを備えつつ、背凭れ部の傾倒を容易に行なうことができる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】 椅子型マッサージ機1は、座部2と、該座部2の後方に設けられて後傾可能な背凭れ部3と、該背凭れ部3の後方に設けられた後壁部15と、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の頭部を覆うフード16とを備え、座部2及び背凭れ部3には空気袋6a,6gが設けられ、フード16は、背凭れ部3の後方から上方へ回動可能にして後壁部15に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、背凭れ部をリクライニング可能なフード付きの椅子型マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被施療者の身体部位を施療して心身ともにリラックスすることを目的とした椅子型マッサージ機として、座部及び背凭れ部を備え、空気の給排によって膨張及び収縮が可能な空気袋等の施療部を各所に設けた構成のものが知られている。近年では、より一層のリラックス状態を得るために、施療中の被施療者の頭部をフードによって覆い、外界の刺激から被施療者の意識を遮断するようにしたものも提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に開示された装置の場合、座部及び背凭れ部を備える椅子型を成し、背凭れ部の上部に回動可能なフードが設けられている。被施療者は、座部に着座して背凭れ部に上半身を預けた姿勢でフードを前方へ位置させることにより、外界の光が遮断されて施療に集中することができ、より一層のリラックス状態を得ることが可能になっている。
【特許文献1】特開平05−200118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された装置の場合、背凭れ部の上部にフードが設けられているため、背凭れ部にかかる荷重が大きく、該背凭れ部のリクライニング動作に相当大きなトルクが必要となる。一般に背凭れ部はその下部において座部に枢支された構成となっているため、背凭れ部の上部に設けられたフードは枢支位置から最も離隔しており、大きなモーメントを生じさせるため、特に傾倒状態の背凭れ部を起立させる際に大きなトルクが必要となってしまう。そのため、大きなモータの搭載が必要となって消費電力量も大きくなってしまう。
【0005】
そこで本発明は、被施療者の頭部を覆うフードを備えつつ、背凭れ部の傾倒を容易に行なうことができる椅子型マッサージ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、本発明に係る椅子型マッサージ機は、被施療者が着座する座部と、該座部の後方に設けられて後傾可能な背凭れ部と、該背凭れ部から独立して設けられたフード支持部と、前記背凭れ部に上半身を支持された被施療者の頭部を覆うフードとを備え、前記座部及び前記背凭れ部のうち少なくとも一方には被施療者の身体部位を施療する施療部が設けられ、前記フードは、前記背凭れ部の後方から上方へ回動可能にして前記フード支持部に支持されている。
【0007】
このような構成とすることにより、背凭れ部にフードを設けていないため、背凭れ部にかかる荷重を低減することができ、背凭れ部の起伏動作を容易に行なうことができる。モータ等を用いて電動で起伏させる場合には、小トルクの比較的小型のモータを用いることができ、消費電力量の低減を図ることが可能である。
【0008】
また、前記フード支持部は、後傾した前記背凭れ部を側方及び後方から取り囲むようにして立設された後壁部を有していてもよい。このような構成とすることにより、背凭れ部に上半身を預けた被施療者の視界を、後壁部によって外界から効果的に遮断することができ、施療中のリラックス状態を確保することができる。
【0009】
また、前記背凭れ部は、後傾するに従って下部が前記座部と共に前方へ移動するように構成されていてもよい。このような構成とすることにより、起立時の背凭れ部に比較して後傾時の背凭れ部がより後方に位置することがなくなる。即ち、背凭れ部を後傾させていった場合、背凭れ部の下部が座部と共に前方へ移動することにより、起立時と後傾時とで背凭れ部の最後部の前後方向の位置をほぼ同じにすることができる。その結果、背凭れ部に対して後壁部を比較的近接して配設でき、背凭れ部の後方スペースの縮小化を図ることができる。
【0010】
また、前記背凭れ部の傾斜角度を検出する角度センサと、該角度センサからの信号に基づいて前記フードの回動動作を制御する制御部とを更に備え、該制御部は、前記角度センサからの信号により前記背凭れ部の傾斜角度が所定値に達したと判断した場合に、前記フードを前記背凭れ部の上方位置へ回動させるよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、人手によらず背凭れ部が所定の傾斜角度に達すると自動的にフードを回動させることができると共に、フードと背凭れ部との接触を回避して適切なタイミングでフードを回動させることができる。
【0011】
また、前記フードの内面には発光装置が設けられていてもよい。このような構成とすることにより、発光装置による発光によって、被施療者に対しより一層のリラックス状態を提供することができる。
【0012】
また、前記座部の前部にて回動可能に連結されたフットレストを更に備え、該フットレストは、前記背凭れ部の後傾動作に連動して垂下状態から水平状態へと回動するよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、背凭れ部の後傾により被施療者が仰向けの姿勢になると、フットレストの回動によって下腿が水平状態となるため、被施療者は仰向けに寝た姿勢となり、より一層のリラックス状態を得ることができる。
【0013】
また、前記座部の両側方に設けられた肘掛け部を更に備え、該肘掛け部は、前記背凭れ部の後傾動作に連動して後部が下方へ向かうように傾斜するよう構成されていてもよい。このような構成とすることにより、背凭れ部が後傾して被施療者の上半身が仰向けになったときであっても、肘掛け部に腕を載置してリラックスした姿勢をとることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、被施療者の頭部を覆うフードを備えつつ、背凭れ部の傾倒を容易に行なうことができる椅子型マッサージ機を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機について図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機を示す斜視図であり、背凭れ部3が起こされた状態を示している。図2は、図1に示す椅子型マッサージ機の異なる態様を示す斜視図であり、背凭れ部3をリクライニング(後傾)させた状態を示している。
【0016】
図1に示すように椅子型マッサージ機1は、被施療者の身体を支持する椅子ユニット1aと、該椅子ユニット1aにより支持された被施療者の頭部周辺を覆うカバーユニット1bと、これら椅子ユニット1a及びカバーユニット1bを支持するフレーム構造1c(図5参照)とを備えている。
【0017】
[椅子ユニット]
椅子ユニット1aは、被施療者が着座する座部2、被施療者の上半身を支持する背凭れ部3、脚部を支持するフットレスト4、及び腕部を支持する肘掛け部5を備えている。なお、本実施の形態の説明において以下で用いる方向の概念は、文中に特に説明を付している場合を除き、椅子型マッサージ機1の座部2に着座した被施療者(図示せず)から見たときの方向の概念と一致するものとする。
【0018】
座部2は、後述するフレーム構造1c(図5参照)の座支持フレーム43,43の上部に、上面が座面として用いられるように略平坦に形成されたクッション部2aが配置されることにより構成されている。このクッション部2a内には、給排気装置10(図3参照)からの空気の給排によって膨張及び収縮する空気袋6aが設けられており、該空気袋6aの膨張及び収縮によって被施療者の大腿部及び臀部に圧迫刺激を付与できるようになっている。
【0019】
座部2の前部にはフットレスト4の上端部が枢着されており、該フットレスト4はその上端部を中心として垂下状態から水平状態へと回動可能になっている(図2参照)。このフットレスト4は、下腿の背面を支持する背面支持壁4aと、該背面支持壁4aの左右の側部から延設されて下腿を左右の外側から支持する側壁4bと、背面支持壁4aの中央部分から突設されて左右の下腿を内側から支持する中央壁4cと、足裏を支持する足裏支持壁(図示せず)とから構成され、被施療者の下腿及び足を左右別々に支持できるようになっている。
【0020】
また、フットレスト4の側壁4b及び中央壁4cの夫々の上部には空気袋6b,6cが対向配置され、夫々の下部後側には空気袋6d,6eが対向配置されている。これらの空気袋6b,6cと空気袋6d,6eとは、給排気装置10(図3参照)からの空気の給排によって膨張及び収縮し、被施療者の下腿のうち特に脹脛(ふくらはぎ)と足首とに対し左右から圧迫刺激を付与できるようになっている。また、側壁4bの下部前側には空気袋6fが配設されており、給排気装置10からの空気の給排によって膨張及び収縮し、被施療者の足の甲に圧迫刺激を付与できるようになっている。なお、図1及び図2では図示を省略しているが、フットレスト4には革製等のカバーが被せられ、被施療者はこのカバーを介して空気袋6b〜6fから圧迫刺激を受けるようになっている。
【0021】
座部2の後部には、背凭れ部3が設けられている。背凭れ部3は、被施療者の上半身を支持すべく、一般的な体格の成人が椅子型マッサージ機1の座部2に着座した際に、この成人の身体の一部がその外部にはみ出ない程度の大きさとされており、正面視で略長方形状になっている。背凭れ部3の下端部は、座部2の後部にて左右方向の枢軸53(図5参照)によって枢支されており、この枢軸53を中心に背凭れ部3は回動して前後にリクライニングが可能になっている。
【0022】
また、背凭れ部3の両側方には肘掛け部5が設けられている。この肘掛け部5は、被施療者の前腕が載置される前腕支持部5aが背凭れ部3の両側方位置から座部2の前部近傍に至るまで前方へ延びており、該前腕支持部5aの前端で湾曲されて更に下方へ延設されている。
【0023】
背凭れ部3の内部には、着座した被施療者の背部を施療するマッサージ機構7(図3参照)が備えられている。なお、図1にはマッサージ機構7が収容される背凭れ部3の内部空間3aを示しており、この空間3aに後述するマッサージ機構7が収容され、その前側には被施療者の上半身を背後から支持するシート(図示せず)が張られる。このマッサージ機構7は、背凭れ部3に沿って昇降可能であると共に、前後及び左右へ三次元的に動作可能な施療子(図示せず)を有しており、この施療子の動作によって背凭れ部3に支持された被施療者の上半身に対し、揉みマッサージ、叩きマッサージ、及びローリングマッサージ等の機械的刺激を付与できるようになっている。また、背凭れ部3の内部にも適宜位置(本実施の形態では、マッサージ機構7が配設される空間3aの両側方)に空気袋6gが配設され、該空気袋6gも給排気装置10(図3参照)からの空気の給排によって膨張及び収縮し、被施療者の上半身の対応する部位に圧迫刺激を付与できるようになっている。
【0024】
図10は、上述したマッサージ機構7の原理的な構成を示す模式的な分解斜視図である。図10に示すように、マッサージ機構7は被施療者の身体に機械的刺激を与える4つのローラ状の施療子7aと、この施療子7aを変位駆動するモータ80,81が設けられている。施療子7aは2つのV字状のアーム82の先端それぞれに取り付けられている。夫々のアーム82は、略V字状をなす2つのコンロッド83に所定の範囲内で回転可能であるように夫々取り付けられている。各コンロッド83には、嵌合孔83aが設けられており、この嵌合孔83aに揉み回転軸84の両端に設けられた傾斜軸部84aが遊嵌されている。この傾斜軸部84aは、揉み回転軸84に対して所定角度傾斜した状態で設けられたものである。揉み回転軸84の中間部分には、ヘリカルギヤ85aが同軸的に設けられており、このヘリカルギヤ85aがウォーム85bと噛合している。このように、ヘリカルギヤ85aとウォーム85bとでウォームギヤ機構85が構成されている。
【0025】
ウォーム85bの一端には、プーリ86aが同軸的に設けられており、ベルト87によってこのプーリ86aとモータ80の出力軸に設けられたプーリ86bとが連結されている。従って、モータ80の回転運動はベルト87を介してウォーム85bへ伝達され、ウォーム85bの回転によって揉み回転軸84が回転する。そして、揉み回転軸84の回転に伴い、傾斜軸部84aが円錐形の軌跡を描くように変位し、これによってコンロッド83が規則的に動作して、左右の施療子7aが近接・離反するように左右及び上下方向へ略楕円を描くように移動する。これが施療子7aの揉み動作となる。なお、施療子7aの揉み動作には、左右の施療子7aが近接するときに前方(施療者側)へ移動し、左右の施療子7aが離反するときに後方へ移動する動作も含まれる。このように、揉み動作では、施療子7aが3次元的に移動することとなる。
【0026】
また、図10に示すように、コンロッド83の下部には嵌合穴83bが設けられており、この嵌合穴83bに連結部材88に設けられた突出部88aが挿入されている。連結部材88には、横方向の孔88bが設けられており、この孔88bに、叩き回転軸89の両端部に設けられた偏心部89aが遊嵌している。また、叩き回転軸89の中間部分にはプーリ90aが同軸的に設けられており、ベルト91によってこのプーリ90aとモータ81の出力軸に設けられたプーリ90bとが連結されている。従って、モータ81の回転運動はベルト91を介して叩き回転軸89に伝達され、叩き回転軸89の両端の偏心部89aの公転によって連結部材88aが略上下に移動する。この結果、コンロッド83が嵌合孔83aを中心に往復回動するので施療子7aが円弧を描くように略上下に往復移動する。モータ81を一定速度で回転させたときには、一定の周期で施療子7aが往復移動することとなり、これが施療子7aの叩き動作となる。また、モータ81をその回転速度を変化させながら回転させたときには、変則的な周期で施療子7aが往復移動することとなり、これが施療子7aの指圧動作となる。
【0027】
このように、モータ80の駆動によって施療子7aの揉み動作が、モータ81の駆動によって施療子7aの叩き動作及び指圧動作が行われ、モータ80,81を同時に駆動することにより、揉み動作及び叩き動作又は揉み動作及び指圧動作が合成されて行われることとなる。もちろん、各動作を独立に行うことも可能である。
【0028】
図3は、上述した椅子型マッサージ機1の機能を説明するためのブロック図である。図3に示すように、椅子型マッサージ機1は、座部2(図1参照)の下方に制御部11を備えている。この制御部11には、被施療者が操作するリモートコントローラ等の操作部12と、駆動部13a,13bとが接続されている。駆動部13aは、図示しないポンプ及び電磁弁を有する給排気装置10に接続され、該給排気装置10には上述した空気袋6a〜6gの夫々がエアホースを介して接続されている。従って、被施療者が操作部12を操作することにより、空気袋6a〜6gのうち1又は複数を選択的に膨張及び収縮させることができる。また、駆動部13bはマッサージ機構7に信号線を介して接続されており、操作部12を操作することによってマッサージ機構7に揉み、叩き、ローリング等のマッサージを実行させることができる。
【0029】
[カバーユニット]
図1及び図2に示すように、椅子型マッサージ機1が備えるカバーユニット1bは、背凭れ部3の後方に設けられた後壁部(フード支持部)15と、該後壁部15に支持されたフード16とを備えている。
【0030】
後壁部15は、球殻を四等分して得られる1つの如く略ボウル形状を成す球殻壁15aを有し、該球殻壁15aは背凭れ部3の後方に配設されている。また後壁部15は、球殻壁15aの左右から背凭れ部3の外側方を通って前方へ延びる側壁15bを有している。このような後壁部15は、背凭れ部3が起立状態のときに該背凭れ部3及び肘掛け部5を側方及び後方から取り囲むように立設された構成(図1参照)になっており、背凭れ部3が後傾した状態では主として背凭れ部3のみを側方及び後方から取り囲む構成(図2参照)となっている。
【0031】
図4は、フード16の外観構成を示す斜視図である。図4に示すようにフード16は、後壁部15の球殻壁15aよりも若干大径の球殻を四等分して得られる1つの如く略ボウル形状を成し、外観形状が互いに略同一の外殻部17と内殻部18とが円弧状のフードリブ16c(図5参照)を挟んで貼り合わされて構成されている。フード16の左右の端部には軸受16a,16aが形成され、フード16は、球殻壁15aに外方(後方)から被さるように配設された状態で、この軸受16aが球殻壁15aの左右部分で枢支されている。従って、フード16は、後壁部15に枢支された状態で左右方向の軸周りに回動可能であり、背凭れ部3の後方位置(球殻壁15aの後方位置:図1参照)から上方(前方)へ、背凭れ部3の上方位置(球殻壁15aの上方位置:図2参照)まで回動可能になっている。
【0032】
外殻部17の後部(図4における下部)の内面にはキャスタ16bが取り付けられており、このキャスタ16bは内殻部18の後部(図2における下部)に形成された矩形孔18aを通じてフード16の内側へ突出している。キャスタ16bは、フード16が球殻壁15aに枢支されたときに、球殻壁15aの外面に接するようになっており、フード16が前後方向に回動するときに前記外面上を転動することにより、フード16と球殻壁15aとの直接的な接触を防止すると共に、球殻壁15aに対してフード16を支持している。
【0033】
また、フード16の前側周縁部には、これに沿って左右へ延びる発光装置19が取り付けられている。図3に示すように、この発光装置19は制御部11に信号線を介して接続されており、制御部11からの指示に従って所定のパターンで発光するようになっている。
【0034】
[リクライニングに関するフレーム構造]
次に、上述した椅子ユニット1a及びカバーユニット1bを支持するフレーム構造1cについて説明する。図5はフレーム構造1cを示す斜視図であり、背凭れ部3を起した状態の図1に示す椅子型マッサージ機1に対応する状態を示しており、図6は、図5に示すフレーム構造1cの側面図である。まず、フレーム構造1cのうち椅子ユニット1aの背凭れ部3のリクライニング動作に関係する構成について説明する。
【0035】
図5及び図6に示すように、フレーム構造1cは、ベースフレームユニット30と、座部2の骨格を成す座部フレームユニット40と、背凭れ部3の骨格を成す背凭れフレームユニット50とを備え、座部フレームユニット40及び背凭れフレームユニット50はベースフレームユニット30に支持されている。
【0036】
該ベースフレームユニット30は、前後方向に延びる脚部フレーム31を備えている。この脚部フレーム31は、左右の肘掛け部5(図1参照)の離隔距離と略同一だけ離隔して左右に配設され、両者間には左右方向に延びる複数の補強フレーム32が架設され、脚部フレーム31を一定間隔に保持している。脚部フレーム31からは3本の壁支持フレーム33が上方へ向かって延設されており、既に説明した後壁部15(図1参照)はこの壁支持フレーム33に取り付けられる。左右の夫々において後側の2本の壁支持フレーム33の上部間には、後述する背凭れフレームユニット50を支持する背支持フレーム34が架設されている。また、ベースフレームユニット30は、脚部フレーム31に沿って延設されたガイドフレーム35を備えており、該ガイドフレーム35は、断面が椅子型マッサージ機1における左右方向の内側に開放されたチャネル形状を成している(図5参照)。
【0037】
座部フレームユニット40(図6で網掛けされた構成)は、ベースフレームユニット30が備える左右のガイドフレーム35の夫々に係合するスライドフレーム41を備え、該スライドフレーム41はガイドフレーム35に沿って前後方向へスライド可能になっている。スライドフレーム41からは複数の縦フレーム42が上方へ延設され、この縦フレーム42の上部には略前後方向へ延びる座支持フレーム43が取り付けられている。より詳しくは、座支持フレーム43は後端部から前方斜め上方へ向かって延設されており、左右の座支持フレーム43,43間には、座部2を形成するクッション部2a(図1参照)を取り付けるための板材(図示せず)が設けられるようになっている。また、座支持フレーム43,43の前部には左右方向へ延びる枢軸(図示せず)が設けられており、フットレスト4の上部がこの枢軸により支持されている。
【0038】
背凭れフレームユニット50(図6で太線で示す構成)は、上下方向へ延びる左右のメインフレーム51,51と、これを支持すべく両者間に架設された複数の補強フレーム52とを備えており、該補強フレーム52によって左右のメインフレーム51は一定間隔に保持されている。メインフレーム51の下部は、座部フレームユニット40が備える座支持フレーム43の後部にて、左右方向の枢軸53により支持され、左側の枢軸53の近傍には、背凭れフレームユニット50の枢軸53回りの回動角度を検出する角度センサ54(図3参照)が設けられている。この角度センサ54は制御部11に信号線を介して接続されており(図3参照)、検出した回動角度に関する信号を制御部11へ出力する。
【0039】
また、メインフレーム51の長手方向の中央部には、第1リンクロッド61の上端部が枢支され、この第1リンクロッド61の下端部はベースフレームユニット30が有する背支持フレーム34にて枢支されている。メインフレーム51の下端部には第2リンクロッド62の後端部が枢支され、この第2リンクロッド62の前端部はフットレスト4に枢着されている。第2リンクロッド62とフットレスト4との枢着位置は、座部フレームユニット40とフットレスト4との枢着位置よりも下方に設定されている。
【0040】
また、メインフレーム51と座部フレームユニット40との間には、エアシリンダ又はボールネジ等から成る直動式アクチュエータ60が設けられ、直動式アクチュエータ60の後端部はメインフレーム51の下端部に枢着され、前端部は座部フレームユニット40の前部にて枢着されている。この直動式アクチュエータ60は制御部11に信号線を介して接続されており、制御部11からの指示信号に従って伸縮可能になっている。
【0041】
座部フレームユニット40の左右の側方には肘掛フレーム70が設けられている。この肘掛フレーム70は側面視で略L字形状を成し、一端部(後端部)が背凭れフレームユニット50のメインフレーム51の中央部に枢支されている。肘掛フレーム70の他端部(前端部)には、矩形板状の軸受板71が肘掛フレーム70の長手方向に沿うようにして取り付けられており、この軸受板71には、肘掛フレーム70の長手方向に対し略平行に延びるスリット状軸受孔72が形成されている。一方、座部フレームユニット40の前側上部には側方に突出する枢軸73が設けられており、この枢軸73は、上述した肘掛フレーム70が有する軸受板71のスリット状軸受孔72にて摺動及び回動が可能なように支持されている。
【0042】
次に、このようなフレーム構造1cを備えた椅子型マッサージ機1におけるリクライニング動作について説明する。図7は、背凭れ部3のリクライニング前後における椅子型マッサージ機1の側面図であり、(a)及び(b)は背凭れ部3が起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。図8は、背凭れ部3のリクライニング前後におけるフレーム構造1cを示す側面図であり、(a)及び(b)は背凭れフレームユニット50が起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。また、図9は、図8に示すフレーム構造1cの斜視図であり、(a)及び(b)は背凭れフレームユニット50が起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。
【0043】
はじめに、図7(a)に示すように背凭れ部3が起立した状態では、座部2は相対的に後方位置にあり、フットレスト4は座部2の前部から垂下された状態となっており、肘掛け部5における前腕支持部5aが略水平になっている。このとき、図8(a)及び図9(a)に示すようにフレーム構造1cは、直動式アクチュエータ60が伸長した状態となっており、背凭れ部フレームユニット50は起立した状態で、座部フレームユニット40は相対的に後方に位置し、肘掛フレーム70において肘掛け部5の前腕支持部5aに対応する前腕支持部分74(図5及び図6参照)は略水平になっている。
【0044】
ここで、直動式アクチュエータ60を駆動して短縮させると、図8(b)及び図9(b)に示すように第1リンクロッド61が下端部を中心に前方へ回動し、その結果、背凭れフレームユニット50は後傾しつつ前方へ移動する(即ち、後傾動作に連動して前方へ移動する)。これにより、背凭れフレームユニット50と枢軸53(図6参照)で連結された座部フレームユニット40は、ベースフレームユニット30のガイドフレーム35にスライドフレーム41(図6参照)が案内されて前方へスライドする。その結果、図7(b)に示すように、背凭れ部3の後傾に伴って該背凭れ部3は座部2と共に前方へ移動することとなる。従って、背凭れ部3のリクライニングよって、背凭れ部3の上端部は略鉛直下方へ移動することとなり、起立状態の背凭れ部3の後方近傍に後壁部15を配設しても、リクライニングによって背凭れ部3と後壁部15とが接触しないようになっている。
【0045】
また、座部フレームユニット40に枢支されたフットレスト4は、背凭れフレームユニット50に第2リンクロッド62を介して接続されているため、背凭れフレームユニット50の前方移動に際し、第2リンクロッド62によって前方へ押される。その結果、フットレスト4は、座部フレームユニット40との枢支点を中心に下部が前方へ向かうように回動し、略水平姿勢になると共に、座部フレームユニット40と共に前方へ移動することとなる。
【0046】
なお、図1に示すようにフットレスト4は、本実施の形態では下腿用の空気袋6b,6cが設けられる上側フットレスト4Aと、足用の空気袋6d,6e,6fが設けられる下側フットレスト4Bとに分割された構成となっており、上側フットレスト4A及び下側フットレスト4Bは互いの距離を変更可能に構成されている。そして、フットレスト4を垂下状態から水平状態へと回動した場合に、フットレスト4の回動中心と被施療者の下腿の回動中心たる膝との位置ずれに起因して、回動前後においてフットレスト4と下腿との間に位置ずれが生じてしまうが、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1では、垂下状態からの回動開始時に上側フットレスト4Aから下側フットレスト4Bを離反させることにより、この回動前後におけるこの位置ずれを抑制している。また、このようにするとフットレスト4の回動開始後の一定期間は下側フットレスト4Bが床面に沿って前方へ移動することとなるが、下側フットレスト4Bの下部にはキャスタ4dが設けられているため、前方への移動に際してキャスタ4dが転動し、下側フットレスト4Bはスムースに前方移動可能となっている。
【0047】
更に、座部フレームユニット40と背凭れフレームユニット50との間に架設された肘掛フレーム70は、背凭れフレームユニット50の後傾に伴ってその前腕支持部分74の後部が下方へ向かうように傾斜する。この際、肘掛フレーム70における座部フレームユニット40との支持位置と背凭れフレームユニット50との支持位置との離隔距離が変化するが、座部フレームユニット40から突設された枢軸73は肘掛フレーム70が有する軸受板71に形成されたスリット状軸受孔72に支持されているため、該スリット状軸受孔72の長手方向に枢軸73が移動することにより、この離隔距離の変化に対応できるようになっている。
【0048】
以上に説明したように、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1は、背凭れ部3を後傾させることにより、座部2及びフットレスト4が前方へ移動し、且つ、フットレスト4は略水平状態となるため、所謂フルフラットな形態となり、被施療者は仰向けに寝た姿勢となってリラックスしやすくなる。また、既に説明したように背凭れ部3を後傾させてもその上端部は略鉛直下方へ移動するため、背凭れ部3が後壁部15に接触せず、椅子型マッサージ機1の設置に際して後方スペースを余分に確保しておく必要がない。
【0049】
[フードの回動に関するフレーム構造]
次に、フード16の回動に関係するフレーム構造1cの構成について説明する。図5及び図6に示すように、ベースフレームユニット30の後部であって背支持フレーム34には、フード16を支持するための板状のフード支持フレーム36が取り付けられている。既に説明したように、フード16を構成する外殻部17及び内殻部18の間には、挟まれるようにして2本のフードリブ16cが設けられている。これらのフードリブ16cは、図5に示すようにそれぞれ略円弧状を成し、且つ、図6に示すように側面視で互いが所定の角度を有するようにして、端部近傍同士が三角形状のガセット16dにより接続されている。そして、このガセット16dが上記フード支持フレーム36の上部に設けられた枢軸36aにより軸受16a(図4参照)を介して支持されている。
【0050】
一方、図6において上側のフードリブ16cの端部とベースフレームユニット30の後部との間はリンク機構65及び直動式アクチュエータ67により連結されている。このリンク機構65は、棒状の第3リンクロッド63と側面視でL字状の第4リンクロッド64とが上下に配されて成り第3リンクロッド63の下端部と第4リンクロッド64の上端部とが枢着されている。また、第3リンクロッド63の上端部は上側のフードリブ16cの端部に枢着され、L字状を成す第4リンクロッド64の屈曲部分は、ベースフレームユニット30のフード支持フレーム36の下部の枢軸68にて支持され、更に、第4リンクロッド64の下端部は、直動式アクチュエータ67を介してベースフレームユニット30の後部に接続されている。この直動式アクチュエータ67は、信号線を介して制御部11(図3参照)と接続されており、制御部11からの指示信号に従って伸縮動作する。
【0051】
このようなフード16を回動させるフレーム構造1cの動作について、図7乃至図9を用いて説明する。はじめに、図7(a)に示すようにフード16が背凭れ部3の後方に位置しているとき、図8(a)及び図9(a)に示すように直動式アクチュエータ67は伸長した状態となっており、リンク機構65はフードリブ16cの端部を上方へ位置させている。その結果、フードリブ16cは枢軸36aを中心として後部が下方へ回動した状態となっている。
【0052】
ここで直動式アクチュエータ67を駆動してこれを短縮させると、図8(b)及び図9(b)に示すようにL字状の第4リンクロッド64が後方へ回動し、第3リンクロッド63を介して連結されたフードリブ16cの端部が下方へ移動する。その結果、フードリブ16cは、枢軸36aを中心として全体が上方(前方)へ回動し、図7(b)に示すように、フード16が上方(前方)へ回動する。このとき、図2に示すように背凭れ部3が後傾していると、フード16は背凭れ部3の上部上方に位置することとなり、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の頭部はフード16によって上方及び側方から覆われる。
【0053】
[背凭れ部及びフードの連動]
上述したような構成を備えた椅子型マッサージ機1は、制御部11(図3参照)が角度センサ54からの背凭れ部3の傾倒角度に関する信号に基づいて直動式アクチュエータ67を駆動することにより、背凭れ部3のリクライニング動作とフード16の回動動作とを連動させることができる。
【0054】
より具体的には、制御部11は、被施療者によって背凭れ部3を後傾させるよう操作部12が操作されると、座部2の下方の直動式アクチュエータ60を駆動してこれを短縮させる。同時に角度センサ54による検出信号に基づき、背凭れ部3の傾倒角度が所定値に達したか否かを判断する。背凭れ部3が所定の傾倒角度に達したと判断すると、もう1つの直動式アクチュエータ67を駆動してこれを短縮させ、背凭れ部3の後方に位置していたフード16を前方へ回動させる。ここで、フード16が前方へ回動可能となるための、背凭れ部3の傾倒角度としては、一例として床面に対して150度に設定することができ、他の一例としては背凭れ部3が最大に傾倒したときの傾倒角度に設定することもできる。なお、既に説明したように、背凭れ部3の後傾に伴ってフットレスト4は垂下された状態から水平状態へと回動される。
【0055】
このようにすることにより、背凭れ部3の後傾動作にフード16の前方への回動を連動させているため、被施療者はフード16の回動に際して操作する必要がない。また、背凭れ部3が十分に後傾していない状態でフード16が回動することによって両者が接触してしまうのを防止することができる。更に、背凭れ部3が所定角度以上に後傾したときにフード16を前方へ回動させるため、フード16の枢支位置を比較的下方に設けることができ、椅子型マッサージ機1の高さ寸法を小型化することができる。
【0056】
また、上述した椅子型マッサージ機1では、フード16を背凭れ部3に対して独立して設けているため、背凭れ部3の傾倒動作及び起立動作に際し直動式アクチュエータ60に必要なトルクを低減することができ、消費電力量の低減も図ることができる。
【0057】
また、背凭れ部3が後傾した状態では、上述したようにフード16によって被施療者の頭上が覆われることとなるが、本実施の形態に係る椅子型マッサージ機1では、後壁部15の側壁15bが、背凭れ部3の外側方を通って前方へ延設されているため、後傾した背凭れ部3に支持された被施療者はこの側壁15bによって上半身の側方までも取り囲まれる。従って、被施療者に対する外界からの刺激を遮断しやすく、被施療者はより一層リラックスできる。また、フード16が被施療者の頭上を覆った上半身で発光装置19を発光させることにより、外光を遮断した上半身で被施療者へ視覚的な刺激を効率的に付与することができる。
【0058】
一方、後傾した背凭れ部3を起立させる場合は、上述したのと逆に動作制御すればよい。即ち、制御部11は、角度センサ54からの信号によって背凭れ部3が所定の傾倒角度に達したと判断すると、直動式アクチュエータ67を駆動してこれを伸長させ、フード16を後方へ回動させる。このようにすることにより、起立する背凭れ部3がフード16に接触するのを回避することができる。
【0059】
なお、制御装置11は、被施療者によって操作部12の所定のスイッチが操作され続けている時間に対応して背凭れ部3を後傾動作させるように直動式アクチュエータ60の動作を制御してもよいし、所定のスイッチが操作されたときの信号を受信した場合に、最大限にまで背凭れ部3を後傾させるよう制御してもよい。後者の場合には、被施療者は操作部12のスイッチを操作し続ける必要がないため簡便である。
【0060】
ところで、上述した椅子型マッサージ機1にはCDプレーヤー等の外部音源で再生された音響を出力することができる構成となっている。図11は音響を出力する椅子型マッサージ機1を説明するための図面であり、(a)は後壁部15の内壁面を露出させた状態の椅子型マッサージ機1を示す斜視図、(b)はその後壁部15のみの斜視図を夫々示している。
【0061】
図11(b)に示すように、後壁部15における球殻壁15aの内壁面15cは、筒の内壁面のように、鉛直方向の任意の位置での水平断面が略同一の曲率の円弧を成す曲面となっている。この内壁面15cにおける上下方向の略中央位置の左右の部分に、スピーカ100(図3も参照)が配設されている。また、図3に示すように椅子型マッサージ機1は、制御部11がCDプレーヤ等の外部音源101に図示しないインタフェースを介して接続可能となっている。制御部11は、外部音源101で再生されて入力された音響信号をスピーカ100から出力させることができ、これによって被施療者は、マッサージを受けながら音楽等の音響を聴覚的に感じることができるようになっている。
【0062】
また図11(a)に示すように、後壁部15aに設けられたスピーカ100は、背凭れ部3が最大に後傾したとき、該背凭れ部3の上部より若干上方の左右に位置するため、背凭れ部3に上半身を支持された被施療者の頭部近傍の左右に位置することとなる。そして図2に示すように、背凭れ部3を傾倒させ且つフード16を前方へ回動させて、被施療者の頭部を後壁部15及びフード16によって側方及び上方から覆った状態とすると、外部からの音響ノイズを排除し、スピーカ100から出力される音響によって被施療者の聴覚を効果的に刺激することが可能となる。従って、被施療者はマッサージ中に音楽を聴くなどして、より一層のリラックス効果を得ることができる。
【0063】
また、制御部11により、スピーカ100から出力される音響と、空気袋6a〜6g及びマッサージ機構7によるマッサージ動作とを同調させてもよく、或いは、スピーカ100から出力される音響と発光装置19での発光とを同調させてもよい。この場合にも、被施療者に対するマッサージ効果の向上が期待できる。
【0064】
更に、スピーカ100からの出力として上記のような音響のみではく、例えば、椅子型マッサージ機1の機能や取り扱い方法などを案内する音声を出力するようにしてもよい。この場合には、図2に示すように、被施療者がフード16に覆われて取扱説明書等を見にくい状況であっても、音声案内によりその内容を把握することができるため、被施療者にとって都合がよい。
【0065】
[フードのストッパ機構]
次に、上記椅子型マッサージ機1の他の構成について図12及び図13を用いて説明する。この椅子型マッサージ機1によれば、フード16の下方に置かれた荷物等の物体に、開方向へ回動中のフード16が接触した場合、このフード16が開方向へそれ以上回動しないように規制することができる。以下、より具体的に説明する。
【0066】
図12は、椅子型マッサージ機1の他の構成を部分的に示す側面図であり、主に、ベースフレームユニット30がフード16を支持する構成を拡大して示している。なお、便宜上、図12ではフード16を二点鎖線で示している。図12に示すように、フード16は、リンク機構65を介してベースフレームユニット30に支持されており、このリンク機構65は、既に説明した第3リンクロッド63の上端部には、フードリブ16c(図6参照)に換わるフード支持ロッド110の下端部が枢支されている。フード支持ロッド110は、その長手方向の略中間位置にて、フード支持フレーム36(図6も参照)の上端部に設けられた枢軸36aにより支持され、リンク機構65が動作した場合に枢軸36aを中心として回動自在になっている。そして、フード支持ロッド110の上部(即ち、枢軸36aより上側の部分)は、フード16を支持するためのフード支持片110aを成している。
【0067】
一方、フード16の左右の端部にはブラケット111が設けられ、更に一方の端部にはストッパ部112が設けられている。このブラケット111は、略長方形であって平板状の金属板から成り、対向する長辺に沿って形成された2つのフランジ部111aと、これらの間に形成された支持片収容部111bとを有している。ブラケット111は、フード16の内壁面から所定距離を離れた状態で後述するストッパ部112を介して対面配設され、一方のフランジ部111aにおける長手方向の略中央部分が、ストッパ部112から突設された枢軸113によって支持されている。
【0068】
この状態で、ブラケット111の支持片収容部111bとフード16の内壁面との間には、該支持片収容部111bに沿ったスペースが形成される。このスペースには上記フード支持片110aが挿入され、該フード支持片110aは、その上部がブラケット111の支持片収容部111bにボルト等の締結手段114によって2箇所で固定されている。従って、リンク機構65が動作してフード支持ロッド110が回動すると、これに連動してフード16も前後方向に回動する一方、フード支持ロッド110及びブラケット111とフード16とは、枢軸113を中心として回動可能となっている。
【0069】
ストッパ部112は、略直方体形状の金属板から成るベース板112aを有している。該ベース板112aは、その長手方向がブラケット111の長手方向と略直交(角度α)するようにしてフード16の内壁面とブラケット111との間に介在され、フード16の内壁面に固定されている。このように、ベース板112aはフード16に対して一体的に設けられているため、フード16がブラケット111に対して枢軸113周りに回動すると、ブラケット111とベース板112aとの相対位置(相対角度)も変化する。また、ベース板112aは、側面視でブラケット111から下方へ突出する部分を有し、この部分に近接スイッチ115が取り付けられている。この近接スイッチ115は、ブラケット111の長手方向とベース板112aの長手方向とが形成する角度が所定の角度β(<α:図13参照)になるとオフからオンとなって制御部11(図3参照)へ所定の信号を出力するよう設定されている。更に、ベース板112aの下端部からは車軸112bが延設されており、この車軸112bには合成樹脂製の車輪112cが回転自在に支持されている。
【0070】
ブラケット111の他方のフランジ部111aから、フード16の内壁面へ向かって第1係止突起116aと第2係止突起116bとが設けられている。第1係止突起116aは、ストッパ部112のベース板112aの一側部に当接することにより、ベース板112aの長手方向とブラケット111の長手方向とが角度α以上とならないように両者の相対角度を規制する。第2係止突起116bは、ベース板112aの他側部に当接することにより、ベース板112aの長手方向とブラケット111の長手方向とが角度β以下とならないように両者の相対角度を規制する。
【0071】
このような椅子型マッサージ機1に特有のフード16の開動作について説明する。図13は、図12に示したフード16の開動作を示す側面図であり、(a)は通常の開動作時の様子、(b)はフード16が下方の物体と接触したときの様子をそれぞれ示している。まず、直動式アクチュエータ67(図3及び図6参照)が伸長することによりリンク機構65が動作し、フード支持ロッド110のフード支持片110aが後方へ回動すると、図13(a)に示すように、フード16はこれに連動して枢軸36aを中心に開方向(即ち、後方)へと回動する。このとき、第1係止突起116aがストッパ部112のベース板112aの一側部に当接している。従って、ベース板112aの長手方向とブラケット111の長手方向とが角度αを成す位置関係となっており、近接スイッチ115はオフ状態となっている。また、フード16の開動作中、ベース板112aに支持された車輪112cが後壁部15の球殻壁15a(図2)の外面上を転動し、フード16の円滑な開動作に貢献している。
【0072】
次に、この開動作中にフード16の下方に存在する物体120とフード16の下部とが接触すると、フード16はそれ以上は開動作不能となる一方、リンク機構65は動作を継続しようとしてフード支持ロッド110を回動させる。その結果、フード16及びストッパ部112と、フード支持ロッド110及びブラケット111とが、枢軸113を中心として相対的に回動し、ベース板112aの長手方向とブラケット111の長手方向とが成す角度は、角度αよりも減少していく。
【0073】
図13(b)に示すように、この角度が角度βに達すると、第2係止突起116bがベース板112aの他側部に当接し、それ以上の回動が規制されると共に、近接スイッチ115がオン状態となる。オン状態となった近接スイッチ115は、所定の信号を制御部11(図3参照)へ出力する。この信号を受信した制御部11は、直動式アクチュエータ67(図3参照)の伸長動作を停止させるため、リンク機構65の動作は停止することとなる。
【0074】
なお、オン状態の近接スイッチ115から所定の信号を受信した場合に、制御部11は、直動式アクチュエータ67の伸長動作を停止させるだけでなく、その後、若干短縮させるように動作させ、フード16を物体120から上方へ離反させるようにしてもよい。このようにすれば、フード16との接触により物体120が変形したり損傷したりすることを防ぐことも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、被施療者の頭部を覆うフードを備えつつ、背凭れ部の傾倒を容易に行なうことができる椅子型マッサージ機に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の実施の形態に係る椅子型マッサージ機を示す斜視図であり、背凭れ部が起こされた状態を示している。
【図2】図1に示す椅子型マッサージ機の異なる態様を示す斜視図であり、背凭れ部をリクライニング(後傾)させた状態を示している。
【図3】図1に示す椅子型マッサージ機の機能を説明するためのブロック図である。
【図4】フードの外観構成を示す斜視図である。
【図5】フレーム構造を示す斜視図であり、背凭れ部を起した状態の図1に示す椅子型マッサージ機1に対応する状態を示している。
【図6】図5に示すフレーム構造の側面図である。
【図7】背凭れ部のリクライニング前後における椅子型マッサージ機の側面図であり、(a)及び(b)は背凭れ部が起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。
【図8】背凭れ部のリクライニング前後におけるフレーム構造を示す側面図であり、(a)及び(b)は背凭れフレームユニットが起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。
【図9】図8に示すフレーム構造の斜視図であり、(a)及び(b)は背凭れフレームユニットが起立した状態と後傾した状態とを夫々示している。
【図10】図1に示す椅子型マッサージ機が備えるマッサージ機構の原理的な構成を示す模式的な分解斜視図である。
【図11】音響を出力する椅子型マッサージ機を説明するための図面であり、(a)は後壁部の内壁面を露出させた状態の椅子型マッサージ機1を示す斜視図、(b)はその後壁部のみの斜視図を夫々示している。
【図12】椅子型マッサージ機の他の構成を部分的に示す側面図であり、主に、ベースフレームユニットがフードを支持する構成を拡大して示している。
【図13】図12に示したフードの開動作を示す側面図であり、(a)は通常の開動作時の様子、(b)はフードが下方の物体と接触したときの様子をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0077】
1 椅子型マッサージ機
1a 椅子ユニット
1b カバーユニット
1c フレーム構造
2 座部
3 背凭れ部
4 フットレスト
5 肘掛け部
6a〜6g 空気袋
7 マッサージ機構
11 制御部
12 操作部
15 後壁部(フード支持部)
15a 球殻壁
15b 側壁
16 フード
19 発光装置
54 角度センサ
60 直動式アクチュエータ
67 直動式アクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者が着座する座部と、該座部の後方に設けられて後傾可能な背凭れ部と、該背凭れ部から独立して設けられたフード支持部と、前記背凭れ部に上半身を支持された被施療者の頭部を覆うフードとを備え、
前記座部及び前記背凭れ部のうち少なくとも一方には被施療者の身体部位を施療する施療部が設けられ、前記フードは、前記背凭れ部の後方から上方へ回動可能にして前記フード支持部に支持されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記フード支持部は、後傾した前記背凭れ部を側方及び後方から取り囲むようにして立設された後壁部を有していることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記背凭れ部は、後傾するに従って下部が前記座部と共に前方へ移動するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記背凭れ部の傾斜角度を検出する角度センサと、該角度センサからの信号に基づいて前記フードの回動動作を制御する制御部とを更に備え、
該制御部は、前記角度センサからの信号により前記背凭れ部の傾斜角度が所定値に達したと判断した場合に、前記フードを前記背凭れ部の上方位置へ回動させるよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記フードの内面には発光装置が設けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記座部の前部にて回動可能に連結されたフットレストを更に備え、
該フットレストは、前記背凭れ部の後傾動作に連動して垂下状態から水平状態へと回動するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記座部の両側方に設けられた肘掛け部を更に備え、
該肘掛け部は、前記背凭れ部の後傾動作に連動して後部が下方へ向かうように傾斜するよう構成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−220428(P2008−220428A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59099(P2007−59099)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000112406)ファミリー株式会社 (175)
【Fターム(参考)】