説明

椅子型マッサージ機

【課題】 育毛効果の得られる椅子型マッサージ機を提供する。
【解決手段】 本発明の椅子型マッサージ機1は、被施療者の着座する座部11と、座部11に着座した被施療者の少なくとも背面にマッサージする施療部2と、上記施療部2を備えると共に被施療者の凭れる背もたれ部12と、施療部2のマッサージ動作を制御する制御部3と、を有している。そして、上記座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者の頭部に対して近赤外光を照射する育毛用光照射部4を備えたものである。これにより、育毛用光照射部4による光照射中に施療部2でマッサージすることで、被施療者が光照射時に上記姿勢を維持しても退屈せずに育毛効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子型マッサージ機、殊に、人体に光を照射する光照射手段を備えた椅子型マッサージ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、マッサージ機で人体へマッサージを行う際に、特許文献1や特許文献2のように、マッサージ中に、フードで外光を遮断すると共に発光部からの光を乱反射して人体の顔部に照射することでリラックス効果を向上したものがあった。
【0003】
また、従来の育毛方法として、薬剤等で皮膚あるいは皮膚の内側の皮下組織に軽い炎症を起させることで毛髪の発育を促進する方法があった。
【0004】
特に、光を照射することで育毛効果を得るものとして、非特許文献3に記載された技術がある。これは、890nmの波長の光を皮膚に照射することで、従来の方法と同様に、皮下組織に軽い炎症を起させて育毛効果を得るものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−081522号公報
【特許文献2】特開2005−270489号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Journal of the Korean Society Plastic & Reconstructive Surgeons2004 p.1-p.8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の光照射手段を備えた椅子型マッサージ機では遮断した外光の代わりに発光部からの可視光でフード内を照らすことで、リラックス効果を向上したものにすぎず、光照射手段が単なる照明手段にすぎないものであった。
【0008】
また、周知の育毛方法にあっては、育毛効果が高いが皮膚あるいは皮下組織に炎症を起して育毛効果を得るものであるため、肌荒れを生じると共に、痛みや感染症等を引き起こすという問題があった。
【0009】
特に、光照射による育毛方法は10分から15分程度の光を照射することで育毛効果を向上することができるが、周知の光照射による育毛方法では痛みを伴うため、上述のような長時間にわたる光照射を行うことができないものであった。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みて発明したものであり、マッサージ中に育毛用の光照射を行うことで、施療効果を向上すると共に、炎症や痛み等の負担をかけずに高い育毛効果の得られる椅子型マッサージ機を提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の椅子型マッサージ機1は、被施療者の着座する座部11と、着座した被施療者の少なくとも背面をマッサージする施療部2と、施療部2を備えると共に座部11に着座した被施療者の凭れる背もたれ部12と、施療部2のマッサージ動作を制御する制御部3と、を有している。そして、座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者の頭部に対して近赤外光を照射する育毛用光照射部4を備えたものであることを特徴としている。
【0012】
このような構成としたことで、座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者に施療部2でマッサージすると共に、育毛用光照射部4で近赤外光を照射することができる。そして、施療部2のマッサージする施療位置と、育毛用光照射部4の光を照射する照射位置と、が夫々異なるため、施療部2及び育毛用光照射部4を同時に動作させることができる。
【0013】
また、請求項2に係る発明は、育毛用光照射部4で照射する近赤外光の波長が水の特異吸収波長であることを特徴としている。
【0014】
また、請求項3に係る発明は、育毛用光照射部4で照射する近赤外光の波長が950nmと、1450nmと、の一方あるいは両方であることを特徴としている。
【0015】
また、請求項4に係る発明は、育毛用光照射部4で照射する近赤外光の被施療者の頭部に対する強度が10mWから400mWの間であることを特徴としている。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、施療部2によるマッサージ動作あるいは育毛用光照射部4による照射動作の動作時間を計時するタイマーを備えており、制御部3が上記タイマーの計時結果から施療部2によるマッサージ動作及び育毛用光照射部4による照射動作を制御するものであることを特徴としている。
【0017】
また、請求項6に係る発明は、座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者の肩位置を検出する人体部位検出部と、育毛用光照射部4で光を照射する照射位置を調節する照射位置調節部5と、を備えている。そして、制御部3が人体部位検出部の検出情報から被施療者の頭部の位置を演算すると共に、上記演算結果に基づいて照射位置調節部5に照射位置を調節させる制御を行うものであることを特徴としている。
【0018】
また、請求項7に係る発明は、座部11と背もたれ部12の角度を調節するリクライニング部6と、育毛用光照射部4で光を照射する照射位置を調節する照射位置調節部5と、を備えている。そして、制御部3が上記リクライニング部6の調節動作に応じて照射位置調節部5に照射位置を調節させる制御を行うものであることを特徴としている。
【0019】
また、請求項8に係る発明は、座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者の顔面あるいは首部に対して可視光を照射する美肌用光照射部7を備えたものであることを特徴としている。
【0020】
また、請求項9に係る発明は、美肌用光照射部7で照射する可視光の波長が500nmから1200nmであることを特徴としている。
【0021】
また、請求項10に係る発明は、育毛用光照射部4と、美肌用光照射部7と、が夫々照射する光の波長を他方の光照射部の照射する光の波長に切り替える波長変更部を一方あるいは両方に備えたものであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
上記のように、本発明の椅子型マッサージ機は施療部でマッサージ中に被施療者に対して育毛用光照射部で近赤外光を照射したことで、マッサージによる施療効果と光照射による育毛効果とを同時に被施療者に与えることができるものとなっている。そして、マッサージ中に近赤外光を照射できるため、所定の時間にわたって近赤外光を照射しても、一定の姿勢を保持する被施療者が退屈せず且つリラックスでき、育毛効果を向上すると共に、使い勝手の向上したものとなっている。
【0023】
また、育毛用光照射部で照射する近赤外光の波長を水の特異吸収波長と略同じものとしたことで、照射位置に炎症や痛み等を生じることがないものとなり、育毛効果を効率よく得るために近赤外光を長く照射することができ好ましい。
【0024】
また、近赤外光の波長を水の特異吸収波長の中でも950nmや1450nmを用いたことで、育毛効果をより向上することができ好ましい。
【0025】
また、照射する近赤外光の被施療者の頭部に対する強度を10mWから400mWの間としたことで、被施療者に熱さや痛みが生じることを防止でき、好ましい。
【0026】
また、制御部が施療部のマッサージ動作及び育毛用光照射部の照射動作をタイマーの計時結果に基づいて制御したことで、施療部及び育毛用光照射部が所定の時間を越えて動作することを防止でき好ましい。
【0027】
また、人体部位検出部による検出結果から制御部が被施療者の首部や頭部の位置を演算したことで、制御部が照射位置調節部により育毛用光照射部の照射位置を個体差に合わせて調節することができ好ましい。
【0028】
また、リクライニング部の動作による座部と背もたれ部のなす角度の変化に応じて制御部が照射位置調節部により照射位置を調節することで、リクライニング部の動作による被施療者の姿勢や着座位置のずれを修正することができ好ましい。
【0029】
また、育毛用光照射部と、美肌用光照射部と、を夫々備えたことで、育毛効果と美肌効果とを夫々被施療者に与えることができ好ましい。
【0030】
また、美肌用光照射部の照射する光の波長を500nmから1200nmの間としたことで、美肌効果をより向上することができ好ましい。
【0031】
また、育毛用光照射部や美肌用光照射部が波長変更部を備えたことで、より広い範囲に育毛効果あるいは美肌効果を与えることができ好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の椅子型マッサージ機の外観図である。
【図2】同上の施療部及び育毛用光照射部の制御に関するブロック図である。
【図3】同上の育毛用光照射部の発光部の配置例の説明図である。
【図4】育毛用光照射部と美肌用光照射部とを夫々備えた椅子型マッサージ機の説明図である。
【図5】図4に示す例の育毛用光照射部の外観図であり、(a)が側面側から見たものであり、(b)が保護部材を省略して発光面側から視たものである
【図6】図4に示す例の顔面用光照射部の外観図であり、(a)が側面側から見たものであり、(b)が発光面側から視たものである
【図7】図4に示す例の首部用光照射部の外観図であり、(a)が側面図であり、(b)が斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態について説明する。
【0034】
本発明の椅子型マッサージ機1は、図1及び図2に示すように、被施療者が着座する座部11と、被施療者が背を凭れかける背もたれ部12と、背もたれ部12に内蔵された施療部2と、施療部2のマッサージ動作を制御する制御部3と、を有している。
【0035】
上記施療部2が備えた施療子により座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者の背面、特に背中の肩から腰までに対してマッサージするものとなっており、マッサージ中、被施療者は着座し凭れた上記姿勢を維持するものとなっている。
【0036】
特に、上記マッサージは、揉み、叩き、挟み等の異なるマッサージ動作を組合せて人体の複数の部位に行うものが好ましく、施療手段は施療子に限らず空気圧や振動であってもよい。
【0037】
また、施療部2によりマッサージする施療時間は15分となっており、制御部3が上記施療時間を計時するタイマーとしての機能を備えており、上記施療時間を越えて施療部2でマッサージすることがないよう制御している。
【0038】
なお、施療時間を15分以下としているのは、上記施療時間を越えてマッサージすると被施療者に健康被害を生じる恐れがあるためであり、施療手段やマッサージ動作により多少異なるため、用いた施療手段に応じた施療時間の上限であればよい。
【0039】
また、上記施療部2は背もたれ部12に凭れた被施療者の肩位置を検出する人体部位検出部としての機能を備えており、制御部3が検出結果の肩の位置に基づいて施療部2による骨や内臓へのマッサージ及び首部の挟み込みを防止している。
【0040】
そして、座部11と背もたれ部12のなす角度を調節するリクライニング部6が座部11の裏面側に配設されており、リクライニング部6を操作部14により操作することで被施療者の所望の角度に調節可能となっている。
【0041】
なお、図1中の符号13は被施療者の足に対してマッサージするフットレストであり、符号121は背もたれ部12に配置された被施療者の頭部、特に後頭部あるいは首部を保持する枕である。
【0042】
また、本例の椅子型マッサージ機1には育毛用光照射部4が照射位置調節部5を介して背もたれ部12の上方に配設されている。
【0043】
上記育毛用光照射部4は照射位置調節部5により光を照射する位置が調節されるものであり、被施療者の頭部、特に頭頂部や前頭部に対して近赤外光を照射して、該光の照射された部位に育毛効果を与えるものである。
【0044】
詳しくは、発光部41と、発光部41からの光を透過すると共に発光部41に被施療者が接触することを防止する保護部材42と、一端面に上記保護部材42を備えると共に発光部41を内蔵したケーシング43と、を有したものとなっている。
【0045】
LED411、412のパルス点灯に伴う発光により生じた近赤外光は上記保護部材42により波長を維持したまま光分布を均一に調整されて外部に照射されるものとなっている。
【0046】
上記発光部41は水の特異吸収波長と略同じ波長でパルス点灯するLEDを複数配置したものとなっている。
【0047】
例えば、図3に示すように、950nmの波長で発光するLED411と、1450nmの波長で発光するLED412と、を交互に方形状に配置したものである。
【0048】
なお、上記水の特異吸収波長とは、強い吸光度あるいは急崚な吸光度変化を示す波長であり、水の特異吸収波長は、950nm近傍、1150nm近傍、1450nm近傍、1790nm近傍、等のO−Hの結合音に起因するものである。
【0049】
また、上記照射位置調節部5は背もたれ部12に対する上記育毛用光照射部4の位置及び保護部材42の外側の面の向きを変更するものであり、被施療者の体格や所望に応じて育毛用光照射部4の照射位置を調節可能としている。
【0050】
詳しくは、育毛用光照射部4が光を発する側である保護部材42の配置された側の面を発光面44とし、被施療者の皮膚等の光を照射したい位置を照射位置とし、発光面44と照射位置との間の距離を照射距離としている。
【0051】
そして、照射位置調節部5は複数の関節を有するアームであり、各関節に備えたモータ51によりアームの角度を調節して、上記発光面44を照射位置に向けると共に、照射距離を調節するものである。
【0052】
また、育毛用光照射部4への電力供給は施療部2及びリクライニング部6と共用の電源部(特に図示しない)となっており、且つ育毛用光照射部4の発光制御及び照射位置調節部5の位置調節制御は上述の制御部3が行っている。
【0053】
特に、照射距離は照射位置での近赤外光の強度を10mWから400mWの範囲に収まるように調節することで被施療者に熱さや痛みを生じないため、照射距離を検出する距離検出部等を備えて制御部3により照射距離を調節することが好ましい。
【0054】
以下、本例の椅子型マッサージ機1によるマッサージ動作及び照射動作を説明する。
【0055】
椅子型マッサージ機1の主電源がオンになり、施療部2によるマッサージ及び育毛用光照射部4による光照射を行うよう操作部14が操作されると、制御部3は施療部2を所定の位置に移動させた後、施療部2に被施療者の肩位置を検出させる。
【0056】
そして、制御部3は、上記施療部2からの検出結果と、リクライニング部6で調節した角度と、を用いて、座部11に着座して背もたれ部12に凭れた被施療者の体格や頭部及び首部の位置を演算する。
【0057】
更に、制御部3は演算した位置に応じて照射位置調節部5で照射位置である頭頂部や前頭部に発光面44が向くように育毛用光照射部4を移動させると共に、施療部2をマッサージ開始位置に移動させる。
【0058】
育毛用光照射部4及び施療部2の移動が済むと、施療部2によるマッサージが開始されると共に、育毛用光照射部4の光照射が開始される。
【0059】
このとき、育毛用光照射部4は施療部2によるマッサージ動作が終了するまでの間、継続して光照射するものとなっている。
【0060】
つまり、育毛用光照射部4は施療部2によるマッサージ動作が行われる施療時間の間、継続してパルス点灯して、照射位置に対して近赤外光を照射し続けるものとなっている。
【0061】
そして、所定の施療時間に達すると、制御部3が施療部2によるマッサージ動作を終了させると略同時に、育毛用光照射部4による光照射も終了させるものである。
【0062】
このように、制御部3が施療部2の制御と育毛用光照射部4の制御との両方を行っているため、施療部2によるマッサージ動作と、育毛用光照射部4による照射動作と、を連動するように制御できるものとなっている。
【0063】
もちろん、制御部3は施療部2の制御と育毛用光照射部4の制御とを夫々個別に制御できるため、一方のみを動作させることもできるものである。
【0064】
特に、育毛用光照射部4のみを動作させた際には、制御部3は照射時間を計時して、特定の照射時間を越えて光を照射することがないよう制御することで、被施療者に健康被害を生じることを防止でき好ましい。
【0065】
なお、上記特定の照射時間は周知の技術に記載のように育毛効果の向上する10分から15分程度が好ましく、施療部2と育毛用光照射部4とを連動させて使用した際には、施療時間の方が照射時間より長いあるいは略同じであることが好ましい。
【0066】
従って、育毛用光照射部4で照射する近赤外光の波長を水の特異吸収波長と略同じものとしたことで、照射位置に炎症や痛み等を生じることがないものとなり、被施療者が育毛効果を効率よく得るために近赤外光を所定の時間にわたって照射できる。
【0067】
そして、施療部2による施療位置と育毛用光照射部4による照射位置とが夫々異なるため、施療部2によるマッサージ動作と育毛用光照射部4による照射動作とを同時に行うことができる。
【0068】
更に、近赤外光の照射対象である被施療者を施療部2でマッサージすることで、座部11に着座し背もたれ部12に凭れた被施療者を退屈させずに、その姿勢に維持させて、育毛用光照射部4で近赤外光を照射することができる。
【0069】
つまり、施療部2及び育毛用光照射部4が被施療者に痛み等の不快感を与えないため、被施療者がストレスや苦痛等を受けることなくリラックスした状態で上記姿勢を維持することができ、施療効果及び育毛効果の向上したものとなっている。
【0070】
特に、施療部2のマッサージにより被施療者には血行促進の効果が得られるため、育毛用光照射部4による育毛効果をより向上したものとなっている。
【0071】
そして、不快感を生じることがなく且つ退屈せずにリラックスできるため、数日毎等の定期的なサイクルで育毛用光照射部4の使用を持続して行いやすくなり、被施療者が効率的に育毛効果を得ることができるものとなっている。
【0072】
また、照射位置調節部5を備えたことで、育毛用光照射部4で光を照射する照射位置や照射距離を変更調節することが可能となり、被施療者の体格等の個体差や所望等に応じたより好ましい照射位置に育毛効果を与えることできるものとなっている。
【0073】
そして、人体部位検出部による検出結果から制御部3が被施療者の首部や頭部の位置を演算したことで、制御部3が照射位置調節部5により育毛用光照射部4の照射位置を個体差に合わせて調節するものとなっている
更に、リクライニング部6の動作による座部11と背もたれ部12のなす角度の変化に応じて制御部3が照射位置調節部5により照射位置を調節することで、リクライニング部6の動作による被施療者の姿勢や着座位置のずれを修正している。
【0074】
制御部3が被施療者の好みや体格差に応じて照射位置を調節するため、被施療者自身で育毛用光照射部4の照射位置を調節せずにすみ、使い勝手のより向上したものとなっている。
【0075】
また、制御部3により施療部2及び育毛用光照射部4の各動作の開始及び終了を連動して行うため、操作が容易となり、施療部2と育毛用光照射部4の使い勝手の向上した椅子型マッサージ機1となっている。
【0076】
そして、制御部3がタイマーを備えているため、被施療者に対して所定の施療時間を越えてマッサージすることや所定の照射時間を越えて光を照射することのない安全性の向上したものとなっている。
【0077】
なお、発光部41はLED411、412を放射状に配置したものや、異なる波長のLED411、412を交互でなくランダムに配置したものや、波長毎に分けて配置したものであってよい。
【0078】
もちろん、背もたれ部12を胸部もたれ部に設計変更し、被施療者が背中を凭れかけるのではなく胸部を凭れかける前倒着座型の椅子型マッサージ機としてよい。
【0079】
また、図4に示すように、育毛用光照射部4と、美肌用光照射部7と、を備えた椅子型マッサージ機1の例を以下に説明する。なお、本例では上述した例と重複する構成に関する説明は省略し、差異点のみを述べるものとする。
【0080】
本例の椅子型マッサージ機1は、半球状の発光面44を備えた育毛用光照射部4と、二つの美肌用光照射部7と、を有するものとなっている。
【0081】
詳しくは、育毛用光照射部4の半球状の発光面44が保護部材42を介して被施療者の頭部の前頭部から頭頂部を覆うものとなっており、照射位置調節部5により頭頂部から後頭部を覆う位置に移動可能となっている。
【0082】
そして、1450nmの波長で発光するLED411のみであるため、照射する近赤外光の波長は1450nmのみとなっているが、950nmの波長で発光するLED412を混ぜて配置してもよく、適宜設計変更可能である。
【0083】
更に、照射位置調節部5は育毛用光照射部4を所定の方向にスライド自在としたスライド型のものになっており、被施療者の身長や体格や所望に合わせて育毛用光照射部4と頭部との照射距離や照射位置を変更調節できるものとなっている。
【0084】
また、上記美肌用光照射部7は、被施療者の顔面に光を照射する方形状の発光面72を備えた顔面用光照射部と、被施療者の首部の背面側及び両側面に光を照射するコ字形状に発光面72を備えた首用光照射部と、の二つとなっている。
【0085】
そして、各美肌用光照射部7は夫々照射位置を変更する美肌用照射位置調節部8を備えており、被施療者の個体差や所望に合わせて照射位置を調節可能となっている。
【0086】
特に、顔面用光照射部7の美肌用照射位置調節部8はスライド型に加え、前述の例の照射位置変更部5のようにアームも備えている。
【0087】
このように、育毛用光照射部4と、美肌用光照射部7と、を夫々備えたことで、異なる位置に略同時に光を照射でき、育毛効果や美肌効果をより効率的に得ることができる椅子型マッサージ機1となっている。
【0088】
また、各美肌用光照射部7は、美肌用の500nmから1200nmの波長で可視光を照射する低出力キセノンランプ71と、育毛用の1450nmの波長で近赤外光を照射するLED411と、を交互に配置したものとなっている。
【0089】
そして、上記低出力キセノンランプ71とLED411は制御部3の発光制御によりいずれか一方を発光するものとなっており、可視光を照射するか近赤外光を照射するかを制御部3で切り替えることができるものとなっている。
【0090】
更に、上記低出力キセノンランプ71の照射する可視光の500nmから1200nmの間の波長は、照射位置の繊維芽細胞に刺激を与えてコラーゲン等の美肌成分の生産等を促がし、照射位置に美肌効果を与えるものである。
【0091】
つまり、美肌用光照射部7は制御部3を波長変更部として、照射する光の波長を育毛用光照射部4の波長に変更することができるものとなっており、照射する光の波長を変更することで、育毛効果と美肌効果を切替可能となっている。
【0092】
そのため、美肌用光照射部7で照射する光の波長を切り替えることで、頭部だけでなく、髭やもみ上げ等の生え際に育毛効果を得られるものとなり、より広い範囲に育毛効果の得られるものとなっている。
【0093】
また、符号15はタイマー操作部であり、上記タイマー操作部15を被施療者が操作することで、操作に応じた時間に制御部3が施療部2や各光照射部を動作させるものとなっている。
【0094】
つまり、タイマー操作部15で操作決定された動作時間の間、制御部3がマッサージ動作や照射動作を行わせるものとなっており、育毛用光照射部4と美肌用光照射部7と施療部2の各動作時間を夫々設定することができるものとなっている。
【0095】
そのため、被施療者が各光照射部の照射時間を所望の時間に設定することができ、皮膚の弱い者や所定の時間を取れない際に合わせて光照射を行え、より使い勝手を向上すると共に、定期的な光照射をより持続して行いやすいものとなっている。
【0096】
なお、美肌用光照射部7及び育毛用光照射部4の発光面の形状は上述の例のみに限定するのでなく、育毛用光照射部4の発光面44を多角形状としたものや、美肌用光照射部7の発光面72を曲面形状としてもよい。
【0097】
もちろん、施療部2においても、例示の施療子を備えたものに限定するのではなく、空気圧や振動部でマッサージするものであってもよく、操作部14がタイマー操作部15を兼ねたものであってよい。
【符号の説明】
【0098】
1 椅子型マッサージ機
11 座部
12 背もたれ部
13フットレスト
14 操作部
2 施療部
3 制御部
4 育毛用光照射部
5 照射位置調節部
6 リクライニング部
7 美肌用光照射部
8 美肌用照射位置調節部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被施療者の着座する座部と、上記座部に着座した被施療者の少なくとも背面をマッサージする施療部と、上記施療部を備えると共に座部に着座した被施療者の凭れる背もたれ部と、施療部のマッサージ動作を制御する制御部と、を有する椅子型マッサージ機において、上記座部に着座し背もたれ部に凭れた被施療者の頭部に対して近赤外光を照射する育毛用光照射部を備えたものであることを特徴とする椅子型マッサージ機。
【請求項2】
前記育毛用光照射部で照射する近赤外光の波長が水の特異吸収波長であることを特徴とする請求項1に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項3】
前記育毛用光照射部で照射する近赤外光の波長に、950nmと、1450nmと、の一方あるいは両方を用いたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項4】
前記育毛用光照射部で照射する近赤外光の前記被施療者の頭部に対する強度が10mWから400mWの間であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項5】
前記施療部によるマッサージ動作あるいは前記育毛用光照射部による照射動作の動作時間を計時するタイマーを備えており、前記制御部が上記タイマーの計時結果から前記施療部によるマッサージ動作及び育毛用光照射部による照射動作を制御するものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項6】
前記座部に着座し背もたれ部に凭れた被施療者の肩位置を検出する人体部位検出部と、前記光照射部により光を照射する照射位置を調節する照射位置調節部と、を備えており、前記制御部が上記人体部位検出部の検出情報から上記被施療者の頭部の位置を演算すると共に、上記演算結果に基づいて上記照射位置調節部に照射位置を調節させる制御を行うものであることを特徴とする請求項1〜5いずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項7】
前記座部と背もたれ部の角度を調節するリクライニング部と、前記光照射部による照射位置を調節する照射位置調節部と、を備えており、前記制御部が上記リクライニング部の調節動作に応じて上記照射位置調節部に照射位置を調節させる制御を行うものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項8】
前記座部に着座し背もたれ部に凭れた被施療者の顔面あるいは首部に対して可視光を照射する美肌用光照射部を備えたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項9】
前記美肌用光照射部で照射する可視光の波長を500nmから1200nmの間の波長としたものであることを特徴とする請求項8に記載の椅子型マッサージ機。
【請求項10】
前記育毛用光照射部と、前記美肌用光照射部と、が夫々照射する光の波長を他方の光照射部の照射する光の波長に切り替える波長変更部を一方あるいは両方に備えたものであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の椅子型マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−233920(P2010−233920A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87016(P2009−87016)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】