説明

椅子席内蔵の寝台

【課題 旅客の眺望性が良好で、かつ安楽性が妨げられず、さらに個別性が確保された長距離航路の大部屋式二等船室向け椅子席内蔵の寝台を提供すること。
【解決手段】台面一端部と寝台面中間部と寝台面他端部とが一体化して構成する寝台面を有する椅子席内蔵の寝台であって、寝台面一端部1の他端に付設され寝台面中間部2の一端を支持するヒンジ5と寝台面他端部3の一端に付設され寝台面中間部2の他端を支持する受金6と、寝台面4上を四囲する座卓高さ囲み板7の寝台面中間部2片側位置に切明けられた椅子席出入用切欠き8と、座卓高さ囲み板7の左右一対上端に摺動可能に架け渡された嵌合頂板9とを具えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は船舶,車両等の寝台に関する眺望性,安楽性及び個別性の向上策である。
【背景技術】
【0002】
例えば、小型高速船の優等室における椅子席内蔵の寝台計画としては図2模式的三面図に示すようなものが知られている(例えば、特許文献1)。
ここで同図(a)は部分平面図、同図(b)は部分縦断面図そして同図(c)は部分横断面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−311977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構造では長距離航路の大部屋式二等船室を対象とした場合下記のような欠点がある。
(1)臥床位利用者10の顔面隠蔽を図るためその周囲をカーテンで仕切ると、他の椅座位利用者11の眺望性や採光性が妨げられる。
(2)卓設備がないので、日常用品を身辺に置くことができず、椅座位利用者11の安楽性が妨げられる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みて提案されたもので、利用者の眺望性,安楽性及び個別性を確保する椅子席内蔵の寝台を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は人体上部を支える寝台面一端部と人体中間部を支える寝台面中間部と人体下部を支える寝台面他端部とが一体化して構成する寝台面を有する椅子席内蔵の寝台であって、上記寝台面一端部の他端に付設され上記寝台面中間部の一端を支持するヒンジと、上記寝台面他端部の一端に付設され上記寝台面中間部の他端を支持する受金と、上記寝台面上を四囲する座卓高さ囲み板の寝台面中間部片側位置に切明けられた椅子席出入用切欠きと、上記座卓高さ囲み板の左右一対上端に摺動可能に架け渡された嵌合頂板とを具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このような構造によれば、人体上部を支える寝台面一端部と人体中間部を支える寝台面中間部と人体下部を支える寝台面他端部とが一体化して構成する寝台面を有する椅子席内蔵の寝台であって、上記寝台面一端部の他端に付設され上記寝台面中間部の一端を支持するヒンジと、上記寝台面他端部の一端に付設され上記寝台面中間部の他端を支持する受金と、上記寝台面上を四囲する座卓高さ囲み板の寝台面中間部片側位置に切明けられた椅子席出入用切欠きと、上記座卓高さ囲み板の左右一対上端に摺動可能に架け渡された嵌合頂板とを設けているので、下記の効果が奏せられる。
【0008】
先ず、寝台面全体を利用して寝台として使用する場合、利用者は枝通路上より嵌合頂板を寝台面他端部方向に摺動させた後、椅子席出入用切欠きを経て寝台面中間部に上り人体上部を寝台面一端部に合わせ臥床し,続いて嵌合頂板を寝台一端部一杯に摺動させて臥床状態となる。
したがって、臥床位利用者の安楽性及び個別性が確保されると共に、他の椅座位利用者の眺望性及び採光性も確保される。
【0009】
次に、寝台面一部を利用して椅子席として使用する場合、利用者は枝通路上より寝台面他端部一端の受金を解錠し寝台面中間部を垂直に懸吊して椅子席用前面空間を形成し、寝台面一端部に椅子席を準備したのち、椅子席出入用切欠き及び椅子席用前面空間を経て寝台面一端部の椅子席に着席する。
したがって,椅座位が形成され利用者の安楽性及び眺望性が確保されると共に他の臥床位の利用者の個別性も確保される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示す長距離航路の大部屋式二等船室における椅子席を内蔵した寝台の模式的三面図
【図2】公知の小型高速船の優等室に計画された椅子席を内蔵した寝台の模式的三面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を長距離航路の大部屋式二等船室の外郭に適用した一実施例を図1に基づき記述する。
ここで、同図(a)は部分側面図、同図(b)は同図(a)のb-bにおける部分平面図、同図(c),同図(d)はそれぞれ同図(a)のc-c, d-dにおける部分横断面図である。
【0012】
そして、図面指示の便宜上同図(a),同図(b)において、図面右端を一端側15、図面左端を他端側16とする。なお、CLは船体中心線である。
【0013】
このとき、同図(a),同図(b)では人体上部を支える寝台面一端部1と人体中間部を支える寝台面2と人体下部を支える寝台面他端部3とが一体化して構成する寝台面4を有する椅子席を内蔵した寝台であって、寝台面一端部1の他端に付設され寝台面中間部2の一端を支持するヒンジ5と、寝台面他端部3の一端に付設され寝台中間部2の他端を支持する受金6と、寝台面4上を四囲する座卓高さ囲み板7の寝台面中間部2片側位置に切明けられた椅子席出入用切欠き8と、座卓高さ囲み板7の左右一対上端に摺動可能に架け渡された嵌合頂板9とを設けた椅子席内蔵の寝台10である。
【0014】
なお、11は臥床位利用者、12は椅座位利用者、13は寝台面一端部に形成された椅子席である。
【0015】
このような構造において、寝台面4全体を利用して寝台として利用する場合、利用者は枝通路14上より嵌合頂板9を寝台他端部3上方に摺動させたのち、椅子席出入用切欠き8を経て寝台面中間部2に上り人体上部を寝台面一端部1に合わせ臥床し、続いて嵌合頂板9を寝台面一端部1一杯に摺動させ臥床位利用者11の状態とする。
したがって、臥床位利用者11の安楽性,個別性が確保されると共に他の椅座位利用者12の眺望性及び採光性が確保される。
【0016】
また、寝台面4の一部を利用して椅子席13として使用する場合、利用者は枝通路14上より寝台面他端部3一端の受金6を解錠し、寝台面中間部2を垂直に懸吊して椅子席用空間17を提供し、寝台面一端部1に椅子席13を形成したのち、利用者は椅子席出入用切欠き8及び椅子席用前面空間17を経て椅子席13に着席する。
したがって、椅座位が確保され椅座位利用者12の安楽性及び眺望性が確保されると共に、他の臥床位利用者11の個別性も確保される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
例えば、長距離航路の大部屋式二等船室に本出願の椅子席内蔵の寝台を採用すれば、居住機能の眺望性,安楽性及び個別性が抜群に向上し、課題山積の内航旅客船航路に関する近代化が可能になると思う。
但し、その前提となる船主筋のご賛同を得るためには前広な広報活動が必要と考える。
【符号の説明】
【0018】
1 寝台面一端部
2 寝台面中間部
3 寝台面他端部
4 寝台面
5 ヒンジ
6 受金
7 座卓高さ囲み板
8 椅子席出入用切欠き
9 嵌合頂板
10 寝台
11 臥床位利用者
12 椅座位利用者
13 椅子席
14 枝通路
15 一端側
16 他端側
17 椅子席用前面空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体上部を支える寝台面一端部と人体中間部を支える寝台面中間部と人体下部を支える寝台面他端部とが一体化して構成する寝台面を有する椅子席内蔵の寝台であって、上記寝台面一端部の他端に付設され上記寝台面中間部の一端を支持するヒンジと、上記寝台面他端部の一端に付設され上記寝台面中間部の他端を支持する受金と、上記寝台面上を四囲する座卓高さ囲み板の寝台面中間部片側位置に切明けられた椅子席出入用切欠きと、上記座卓高さ囲み板の左右一対上端に摺動可能に架け渡された嵌合頂板とを具えたことを特徴とする椅子席内蔵の寝台。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−220703(P2010−220703A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69317(P2009−69317)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(591240870)
【Fターム(参考)】