説明

椅子式マッサージ機

【課題】 大掛かりな作業をすること無く、背もたれ部のロック解除操作が行えるとともに、誤ってロック解除操作ができにくいようにした椅子式マッサージ機を提供する。
【解決手段】 座席部3に対して、起立位置の背もたれ部7を前倒可能な椅子式マッサージ機1において、座席部3と背もたれ部7とを支持する椅子本体2に、背もたれ部3を起立位置にロックするロック機構17,18を設けるとともに、ロック機構17,18のロック解除操作部材18に対向する背もたれ部7に、狭小形状の開口部27aを形成して、この開口部から差し込まれた操作部材28で、前記ロック解除操作部材18がロック解除操作可能となるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、椅子式マッサージ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、座席部に対して、起立位置の背もたれ部を前倒可能な椅子式マッサージ機がある(特許文献1)。
【0003】
このように、座席部に対して背もたれ部を前倒させることで、背もたれ部をフラットに折り畳めるので、椅子式マッサージ機をコンパクトに搬送したり、収納したりすることができる。
【0004】
前記椅子式マッサージ機は、エアーマッサージ機であって、誤って背もたれ部を前倒させて折り畳むことを防止するために、エアー供給装置を椅子本体から取り外さないと、背もたれ部を起立位置にロックするロック機構のロック解除操作部材をロック解除操作できないようになっている。
【特許文献1】特許第3554468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、エアー供給装置を椅子本体から取り外さなければならないことから、その取外し作業が大掛かりになるという問題があった。
【0006】
本発明は、前記問題を解消するためになされたもので、大掛かりな作業をすること無く、背もたれ部のロック解除操作が行えるとともに、誤ってロック解除操作ができにくいようにした椅子式マッサージ機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の椅子式マッサージ機は、座席部に対して、起立位置の背もたれ部を前倒可能な椅子式マッサージ機において、前記座席部と背もたれ部とを支持する椅子本体に、前記背もたれ部を起立位置にロックするロック機構を設けるとともに、前記ロック機構のロック解除操作部材に対向する背もたれ部に、狭小形状の開口部を形成して、この開口部から差し込まれた操作部材で、前記ロック解除操作部材がロック解除操作可能となるように構成したことを特徴とするものである。
【0008】
安全性をより向上させるために、前記開口部を覆う保護カバーを着脱可能に設けることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、背もたれ部に形成した狭小形状の開口部(例えば、人の指が差し込めない形状の開口部)から操作部材(例えば、ドライバーのような工具)を差し込むと、背もたれ部のロック解除操作ができるようになるので、大掛かりな作業をすること無くロック解除操作が行えるようになるとともに、操作部材を開口部から差し込まないと、背もたれ部のロック解除操作ができないので、誤ったロック解除操作ができにくくなって安全性が向上するようになる。また、背もたれ部に開口部を形成するだけであるから、部品点数が増加しないので安価になるとともに、開口部が狭小であるのでデザイン性も損なわれない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1(a)に示すように、椅子式マッサージ機1は、椅子本体(フレーム)2の上部に座席部3が取付けられ、椅子本体2の左右両側部に肘掛け部4が取付けられ、座席部3の前部にオットマン5がヒンジ軸5aで取付けられている。このオットマン5は、シリンダー等の駆動機構(不図示)により、実線の下動位置と二点鎖線aで示した上動位置との間で上下位置を調整できるようになっている。
【0012】
前記座席部3の後部には背もたれ部7が配置され、この背もたれ部7にはマッサージ機構8が内蔵されて、このマッサージ機構8の施療子8aが背もたれ部7の背もたれ面から前方に突出している。前記施療子8aは、マッサージ機構8によって、上下、左右、前後方向等に移動されて、着座者の背中などをマッサージするようになる。
【0013】
図1(b)〜図4は、前記椅子本体2の骨格を形成するフレーム構造であり、図1(b)は背もたれ部7が起立位置の側面図、図2は図1(b)の斜視図、図3(a)は背もたれ部7が前倒位置の側面図、図3(b)は図3(a)の斜視図、図4は分解斜視図である。
【0014】
前記椅子本体2の脚部9に座席フレーム10が固定され、この座面フレーム10内の両側部に、上下方向に延在するサイドフレーム11がそれぞれ配置されて、このサイドフレーム11の下部は、左右方向に延在する同期シャフト12(図4参照)で一体的に連結されている。
【0015】
前記サイドフレーム11から前方に突出するブラケット部11aは、座席フレーム10の両側部に固定されたブラケット部10aにリクライニング軸13で前後回動可能に支持されるとともに、サイドフレーム11の上部に、背もたれフレーム14の両側部が前倒軸15で前後回動可能に支持されている。
【0016】
図5および図6に詳細に示すように、前記背もたれフレーム14の下部14aの幅方向の中央位置にはロックピン17がブラケット部17aに固定され、これに対応する前記同期シャフト12のブラケット部12aには、起立位置(図2参照)にある背もたれフレーム14のロックピン17を係止する凹部18aを有するロックレバー(ロック解除操作部材)18が支軸19で上下回動可能に支持されている。
【0017】
このロックレバー18は、前記支軸19に巻装したワイヤースプリング20で上回動方向に付勢されて、ほぼ水平状態となるロック位置〔図6(a)の位置〕以上に上回動しないように、前記ブラケット部12aで当て止められるようになっている。
【0018】
前記ロックレバー18には、後方に延在された手操作部18bが形成されて、この手操作部18bの上縁は、背もたれ部7の後傾操作時に、前記ロックピン17で自動的に押し下げられやすくするために傾斜させている。このロックピン17やロックレバー18等でロック機構を構成する。
【0019】
前記背もたれフレーム14は、図6(d)の起立位置では、ロックピン17がロックレバー18の凹部18aで係止されていて、図6(c)のように、ロックレバー18の手操作部18bをワイヤースプリング20の付勢力に抗して押し下げると(矢印b参照)、凹部18aがロックピン17から抜け外れるようになる。
【0020】
この状態で、背もたれフレーム14を前方に押すと、背もたれフレーム14は、前記前倒軸15を中心に前傾されて、図6(b)のように、背もたれフレーム14の下部14aが後動してロックピン17がロックレバー18の凹部18aから後方に逃げるので、手操作部18bの押し下げをやめても、ワイヤースプリング20の付勢力で上回動するロックレバー18の上縁がロックピン17に当接されたままとなる。
【0021】
そして、背もたれフレーム14をさらに押して前傾させると、図6(a)のように、ロックレバー18の上縁がロックピン17に当接されたままで背もたれフレーム14の下部14aが後動して、ロックピン17がロックレバー18の上縁の先端部から外れるので、ロックレバー18は、ワイヤースプリング20の付勢力でロック位置に復帰するようになる。
【0022】
その後さらに、背もたれフレーム14を押して前傾させると、図3(a)のように、背もたれフレーム14が完全に前倒するようになる。
【0023】
逆に、図3(a)の前傾位置から背もたれフレーム14を後方に押して後傾させると、図6(a)のように背もたれフレーム14の下部14aが前動してロックピン17がロックレバー18の上縁の先端部に近づき、図6(b)から(c)のように、さらに背もたれフレーム14を後傾させると、ロックピン17がロックレバー18の上縁に乗り上げて、ロックレバー18をワイヤースプリング20の付勢力に抗して下回動させるようになる。
【0024】
そして、背もたれフレーム14をさらに押して後傾させると、図6(d)のように、背もたれフレーム14が起立して、ロックピン17がロックレバー18の上縁から外れて凹部18aの上方に移動するので、ロックレバー18は、ワイヤースプリング20の付勢力でロック位置に復帰して、ロックピン17がロックレバー18の凹部18aで係止されるようになる。
【0025】
図1(b)〜図4に戻って、前記左右の脚部9の前側を連結する連結シャフト22と前記同期シャフト12との間には、電動モータ23で駆動されるリクライニング機構24が取付けられ、このリクライニング機構24は、電動モータ23の正逆転駆動で前後方向に伸縮動することにより、リクライニング軸13を中心にして、背もたれフレーム14をサイドフレーム11とともに前後傾(リクライニング)させるようになる。
【0026】
前記背もたれフレーム14は、図7に示すように、前面および両側面は、柔軟なシートカバー(表皮)26で覆われるとともに、後面が合成樹脂製の裏カバー27で覆われて、前記背もたれ部7を構成している。
【0027】
この背もたれ部7の裏カバー27の下部には、前記ロックレバー18の手操作部18bに対向する位置に、狭小なスリット形状の開口部27aを形成している。換言すれば、開口部27aの真奥にロックレバー18の手操作部18bが位置することになる。
【0028】
この開口部27aは、例えば、人の指が差し込めない幅(例えば7mm程度)に設定されているとともに、例えば、ドライバーのような工具(操作部材)28を差し込める幅に設定されている。なお、開口部27aは、必ずしもスリット形状である必要は無く、丸穴形状であっても良い。
【0029】
前記のように椅子式マッサージ機1を構成すれば、座席部3に対して背もたれ部7を前倒させて、背もたれ部7をフラットに折り畳んで、コンパクトに搬送したり、収納したりする場合には、ドライバーのような工具28を背もたれ部7の裏カバー27の開口部27aから差し込んで、ロックレバー18の手操作部18bをワイヤースプリング20の付勢力に抗して押し下げると、凹部18aがロックピン17から抜け外れるようになるので、その後に背もたれ部7を前方に押すことで、前述のようにして、背もたれ部7を前倒させることができるから、大掛かりな作業をすること無く、ロックレバー18のロック解除操作が行えるようになる。
【0030】
また、ドライバーのような工具28を背もたれ部7の裏カバー27の開口部27aから差し込まないと、背もたれ部7のロック解除操作ができないので、誤ったロック解除操作ができにくくなって安全性が向上するようになる。
【0031】
さらに、背もたれ部7の裏カバー27に開口部27aを形成するだけであるから、部品点数が増加しないので安価になるとともに、開口部27aが狭小であるのでデザイン性も損なわれない。
【0032】
図8に示すように、前記開口部27aを外側から覆う保護カバー29を裏カバー27にねじ30で固定するようにしても良い。この場合には、ねじ30を外すという行為をした後に保護カバー29を意識的に取り外さないと、開口部27aにドライバーのような工具28を差し込めないので、安全性がより向上するようになる。
【0033】
また、保護カバー29をねじ30で固定する以外に、保護カバー29にフック(係止爪)を形成し、裏カバー27にフック穴を形成して、保護カバー29のフックを裏カバー27にフック穴にワンタッチで差し込んで固定することもできる。この場合には、ドライバーのような工具28を保護カバー29と裏カバー27との間に差し込み、工具28をこじる等して保護カバー29を取外すことができる。
【0034】
さらに、保護カバー29を固定するときの開口部27aは、人の指が差し込めない狭小なスリット形状である必要はなく、人の指が差し込める半円形状の開口部27aでも可能であり、保護カバー29を取り外して、人の指をドライバーのような工具28に代わる操作部材として差し込んで、ロックレバー18のロック解除操作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】(a)は、本発明の実施形態に係る椅子式マッサージ機の側面図、(b)は背もたれフレームが起立位置のフレーム構造の側面図である。
【図2】図1(b)の斜視図である。
【図3】フレーム構造であり、(a)は背もたれフレームが前倒位置の側面図、(b)は(a)の斜視図である、
【図4】フレーム構造の分解斜視図である。
【図5】フレーム構造であり、(a)は背もたれフレームが起立位置の背面側斜視図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図6】(a)〜(d)はロック機構のロック動作の側面図である。
【図7】裏カバーの開口部を示す椅子式マッサージ機の背面側斜視図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【図8】裏カバーの開口部の保護カバーを示す椅子式マッサージ機の背面側斜視図、(b)は(a)の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0036】
1 椅子式マッサージ機
2 椅子本体
3 座席部
7 背もたれ部
17 ロックピン(ロック機構)
18 ロックレバー(ロック機構のロック解除操作部材)
27 裏カバー
27a 開口部
28 ドライバーのような工具(操作部材)
29 保護カバー
30 ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席部に対して、起立位置の背もたれ部を前倒可能な椅子式マッサージ機において、
前記座席部と背もたれ部とを支持する椅子本体に、前記背もたれ部を起立位置にロックするロック機構を設けるとともに、前記ロック機構のロック解除操作部材に対向する背もたれ部に、狭小形状の開口部を形成して、この開口部から差し込まれた操作部材で、前記ロック解除操作部材がロック解除操作可能となるように構成したことを特徴とする椅子式マッサージ機。
【請求項2】
前記開口部を覆う保護カバーを着脱可能に設けたことを特徴とする請求項1記載の椅子式マッサージ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−223722(P2006−223722A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−43776(P2005−43776)
【出願日】平成17年2月21日(2005.2.21)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】