椅子式階段昇降機の操作盤
【課題】押しボタン式、レバー式及び介護者操作用のリモートコントロール式の後日変更が、構成部材の一部を取り替えるのみで経済的に行える椅子式階段昇降機の操作盤を提供する。
【解決手段】ベースカバー11上に設けたピン15にスイッチ押え板19を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバー21と、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバー及び押しボタン用カバーとを備え、前記レバー用カバーと押しボタン用カバーがベースカバーに対して取り換えることができるようになっている。
【解決手段】ベースカバー11上に設けたピン15にスイッチ押え板19を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバー21と、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバー及び押しボタン用カバーとを備え、前記レバー用カバーと押しボタン用カバーがベースカバーに対して取り換えることができるようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段に設置した案内レールに沿って昇降する椅子式階段昇降機を昇降させるための操作盤において、構成部材に互換性を持たせ、その一部を取り替えるだけで、押しボタン式、レバー式及び介護者操作用のペンダントスイッチの方式に変更することができる椅子式階段昇降機の操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
図11のように、椅子式階段昇降機1の一般的な設置構造は、階段aの踏段にブラケットを設置し、そこに案内レール2を壁面に沿うよう据え付け、この案内レール2にガイドローラ3と駆動・ガイド機構4を介して昇降機本体5を取付け、昇降機本体5に椅子6を設置した構造を有し、前記椅子式階段昇降機1がこの案内レール2に沿って昇降動するようになっている。
【0003】
このような椅子式階段昇降機1を昇降させるための操作方式には、椅子6に座る使用者が自ら操作するために、椅子6の肘掛7に設けた操作盤8と、自身で操作できない場合に介護者が付き添って操作するリモートコントロール操作盤がある。
上記した肘掛7に設けた操作盤8には、昇と降に分かれた押しボタン式と、レバーを何れかの方向に倒すことで昇降するレバー式とがある。
また、従来のリモートコントロール操作盤は、押しボタン式のみであり、肘掛に取付けた操作盤とは別に、肘掛よりカールコードにつながれた別の操作盤を設ける形になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の操作盤においては、使用者の身体状況に応じて押しボタン式かレバー式を選択するようにしているが、ただ設置当初は押しボタンで操作できたものの、加齢に伴い、手先の感覚、強さが弱まってきた場合に、レバー式にするためには、操作盤を一式交換する必要があった。
また、リモートコントロール操作盤も同様に、介護が必要になった場合に、後で操作盤ごと追加する必要があり、使用者にとっては費用負担が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、構成部材に互換性をもたせ、押しボタン式、レバー式及び介護者操作用のリモートコントロール式の後日変更が、構成部材の一部を取り替えるのみで経済的に行える椅子式階段昇降機の操作盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明は、ベースカバー上に設けた水平のピンにこのピン廻りに回転するスイッチ押え板を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記スイッチ押え板の両側をベースカバーとの間に設けたばねで押し上げることによってスイッチを押さない平衡状態を保つようにし、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバーと、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバーと、同じくベースカバーに対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバーとを備え、前記レバーは、ピンに取付けた状態でスイッチ押え板の回動方向に傾斜動可能となり、傾斜した方向にスイッチ押え板を押し下げて傾斜させるように形成され、前記レバー用カバーは、上部にレバーの突出孔を設けて形成され、前記押しボタン用カバーは、スイッチ押え板の両側と対応する位置にスイッチ押え板を押し下げるための押しボタンを設けて形成されている構成を採用したものである。
【0007】
また、上記ベースカバーを、椅子式階段昇降機の肘掛に対して取外し可能に装着した構造としたものである。
【0008】
ここで、上記ベースカバーは、上面が開放した浅い矩形の容器状で、中間から先端側が少し下向きに屈曲した形状となり、椅子式階段昇降機における肘掛は、先端側の上面がこのベースカバーの下面が丁度収まる凹段部に形成され、ベースカバーは両側に設けたラッチを肘掛に設けた両側の係合孔に係止することにより肘掛に固定され、ラッチを両側から押すことで係合孔への引っかかりが外れ、肘掛から取外すことができるようになっている。
また、上記レバー用カバーと押しボタン用カバーは、共にベースカバーに対して上から被せるようにして取付けることができるように形成され、相互に取替え可能になっている。
従って、ベースカバーを共通部材とし、ピンにレバーを取付けてレバー用カバーを被せればレバー式の操作盤となり、また、ピンからレバーを取外して押しボタン用カバーを被せれば、押しボタン式の操作盤となり、いずれの場合も、肘掛からベースカバーを取外せば、リモートコントロール式の操作盤になる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、水平のピンにスイッチ押え板とレバーを取付けたベースカバーに対して、着脱自在に取付けるレバー用カバーと、押しボタン用カバーとを選択して取り替えることができるようにしたので、ベースカバーを共通部材とし、レバー用カバーと押しボタン用カバーを取り替えるだけでレバー式操作盤と押しボタン式操作盤に変更することができ、構成部材の一部を取り替えるだけであるので、一式交換する場合に比べて経済的な負担を軽減することができる。
また、ベースカバーを肘掛から取外せば、介護者操作用のリモートコントロール操作盤となり、介護が必要になった場合でも後日新規に操作盤を購入する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1と図2及び図11で示したように、椅子式階段昇降機1は、階段aの傾斜に沿って壁面に接近するよう案内レール2を設置し、この案内レール2をそれぞれ上下から抱持する上部のガイドローラ3と下部の駆動・ガイド機構4で昇降機本体5を、案内レール2に沿って走行するように取付け、この昇降機本体5の上に椅子6を設けた構造になっている。
【0012】
上記案内レール2は、ブラケットで所定高さになるよう階段aの上部に固定することによって配置され、この案内レール2は、下面が開口によって開放した円形断面でその内部にチェーンが長さ方向に沿って固定されている。
【0013】
また、周知のように、昇降機本体5は、箱型ケースの案内レール2と対向する面に、この案内レール2を上下から抱持する上部ガイドローラ3と下部の駆動・ガイド機構4が設けられ、駆動・ガイド機構4は、下部ガイドローラと昇降機本体5の内部に設けた電動モータ(図示省略)によって駆動されるスプロケットを備え、スプロケットが案内レール2の開口から内部のチェーンと噛み合うことによって、椅子式階段昇降機1は昇降動することになる。
【0014】
図3乃至図10のように、上記椅子式階段昇降機1の昇降動を操作する操作盤8は、椅子6の肘掛7に取外し可能に取付けるベースカバー11と、このベースカバー11に対して着脱自在に取付けるレバー用カバー12と、同じくベースカバー11に対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバー13とで構成されている。
【0015】
上記ベースカバー11は、図3と図4のように、上面が開放した浅い矩形の容器状で、中間から先端側が少し下向きに屈曲した形状となり、前半部の上面に上方へ立ち上がるよう設けたリブ14の上端で、前後方向に沿う水平のピン15が支持されていると共に、後端部にコードの引出し筒16が下向きの配置で設けられている。
【0016】
図1のように、椅子式階段昇降機1における肘掛7は、先端側の上面がこのベースカバー11の下面が丁度収まる凹段部17に形成され、凹段部17の後端にコードの通し孔が設けられ、ベースカバー11は両側に設けたラッチ18を肘掛7に設けた両側の係合孔に係止することにより肘掛に固定され、ラッチ18を両側から押すことで係合孔への引っかかりが外れ、肘掛7から取外すことができるようになっている。
【0017】
上記ピン15には、このピン15廻りに回転するスイッチ押え板19を取付け、このスイッチ押え板19とベースカバー11の間に、傾斜したスイッチ押え板19によって押される昇用と降用のスイッチSを配置し、前記スイッチ押え板19の両側をベースカバー11との間に設けた圧縮ばね20で押し上げることによって通常はスイッチSを押さない平衡状態を保つようになっている。
【0018】
上記スイッチ押え板19は、ピン15を挟んで両側に張り出すようになっていると共に、ピン15にはレバー21を着脱自在に取付けることができるようになっており、このレバー21は、ピン15に取付けた状態でスイッチ押え板19の回動方向に傾斜動可能となり、その下端部が傾斜した方向にスイッチ押え板19を押し下げて傾斜させるように形成されている。
【0019】
上記スイッチ押え板19は、傾斜動時に傾斜した側に位置するスイッチを押してオンにすることになり、従って、レバーを走行したい側に傾斜させると、スイッチSのオンによって椅子式階段昇降機1は、電動モータへの通電となり案内レール2に沿って上昇または下降することになる。
【0020】
上記レバー用カバー12は、ベースカバー11に対して上から被せるようにして取外し可能に取付けることができるように形成され、その上部にレバー21の突出孔22が設けられている。
【0021】
また、押しボタン用カバー13は、ベースカバー11に対して上から被せるようにして取外し可能に取付けることができるように形成され、その上面でスイッチ押え板19の両側と対応する位置に、スイッチ押え板19を押し下げるための昇と降の一対からなる押しボタン23、24が並べて設けられている。
【0022】
上記押しボタン23、24は、ベースカバー11に固定するスイッチ板25に圧縮コイルばねを介して、常時押し上げられていると共に押し込み可能に取付けられている。
【0023】
なお、押しボタン用カバー13をベースカバー11に取付ける場合は、上記したレバー21はピン15から取外すようにする。
【0024】
上記レバー用カバー12には、図5のように、レバー21の両側位置に、昇降方向を視覚的に案内するLED26を配置することができ、また、押しボタン用カバー13の押しボタン23、24もLEDによる照光で行き先を視覚的に表示するようにしてもよい。
【0025】
この発明の操作盤8は、上記のような構成であり、椅子式階段昇降機1の肘掛7に形成した凹段部17にベースカバー11を取付け、スイッチを昇降機本体5の電動モータとコードで電気的に接続し、椅子式階段昇降機1を押しボタン式で制御する場合は、ベースカバー11に押しボタン用カバー13を被せ、嵌め合わせ等の手段で固定して操作盤8を組立てる。
【0026】
図8乃至図10のように、押しボタン用カバー13の押しボタン23、24は、スイッチ押え板19の両側直上に位置し、椅子式階段昇降機1を移動させたい方向に位置する押しボタン23又は24を押し下げると、スイッチ押え板19を押し下げ、スイッチ押え板19はピン15を支点に傾斜するので、このスイッチ押え板19は傾斜した側に配置されているスイッチを押してオンとし、椅子式階段昇降機1の昇降となる。
【0027】
また、操作盤8をレバー式に変更する場合は、上記ベースカバー11から押しボタン用カバー13を取外し、ベースカバー11に設けたピン15にレバー21を取付け、その後、レバー用カバー12をその突出孔22がレバー21に嵌るようにしながらベースカバー11に被せ、嵌め合わせ等の手段で固定して操作盤を組立てる。
【0028】
図4乃至図7のように、上記レバー21は、その下端部がスイッチ押え板19の上に位置することになり、椅子式階段昇降機1を移動させたい方向にレバー21を傾斜させると、スイッチ押え板19を傾斜側に押し下げ、スイッチ押え板19はピン15を支点に傾斜するので、このスイッチ押え板19は傾斜した側に配置されているスイッチを押してオンとし、椅子式階段昇降機1の昇降となる。
【0029】
次に、リモートコントロール操作盤8として使用する場合は、肘掛7からベースカバー11を取外し、肘掛7側からコードを引き出すことで操作盤8を肘掛7から離れた位置で椅子式階段昇降機1の昇降を操作することができ、リモートコントロール操作盤8の場合、押しボタン式とレバー式の何れの形態でも使用できることになる。
【0030】
このように、操作盤8の押しボタン式とレバー式の変更が、ベースカバー11を共通部材とし、押しボタン用カバー13とレバー用カバー12を取り換えることによって行え、操作盤全体を交換する場合に比べて経済的に有利となり、しかも、肘掛7からベースカバー11を取外すことにより、リモートコントロール操作盤8としてもそのまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の操作盤を取付けた椅子式階段昇降機を示す縦断側面図
【図2】この発明の操作盤を取付けた椅子式階段昇降機を示す正面図
【図3】(a)は操作盤におけるベースカバーの斜視図、(b)は同平面図、(c)は(b)の矢印c−cでの縦断面図
【図4】(a)は操作盤におけるベースカバーの側面図、(b)は同正面図、(c)は縦断正面図
【図5】(a)はレバー式に組立てた操作盤の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図6】(a)はレバー式に組立てた操作盤のレバー用カバーを省いた状態の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図7】(a)はレバー式に組立てた操作盤のレバー用カバーを省いた状態の正面図、(b)は同側面図
【図8】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図9】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の押しボタン用カバーを省いた状態の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図10】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の押しボタン用カバーを省いた状態の正面図、(b)は同側面図
【図11】椅子式階段昇降機の全体構造を示す正面から見た説明図
【符号の説明】
【0032】
1 椅子式階段昇降機
2 案内レール
3 ガイドローラ
4 駆動・ガイド機構
5 昇降機本体
6 椅子
7 肘掛
8 操作盤
11 ベースカバー
12 レバー用カバー
13 押しボタン用カバー
14 リブ
15 水平のピン
16 コードの引出し筒
17 凹段部
18 ラッチ
19 スイッチ押え板
20 圧縮ばね
21 レバー
22 突出孔
【技術分野】
【0001】
この発明は、階段に設置した案内レールに沿って昇降する椅子式階段昇降機を昇降させるための操作盤において、構成部材に互換性を持たせ、その一部を取り替えるだけで、押しボタン式、レバー式及び介護者操作用のペンダントスイッチの方式に変更することができる椅子式階段昇降機の操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
図11のように、椅子式階段昇降機1の一般的な設置構造は、階段aの踏段にブラケットを設置し、そこに案内レール2を壁面に沿うよう据え付け、この案内レール2にガイドローラ3と駆動・ガイド機構4を介して昇降機本体5を取付け、昇降機本体5に椅子6を設置した構造を有し、前記椅子式階段昇降機1がこの案内レール2に沿って昇降動するようになっている。
【0003】
このような椅子式階段昇降機1を昇降させるための操作方式には、椅子6に座る使用者が自ら操作するために、椅子6の肘掛7に設けた操作盤8と、自身で操作できない場合に介護者が付き添って操作するリモートコントロール操作盤がある。
上記した肘掛7に設けた操作盤8には、昇と降に分かれた押しボタン式と、レバーを何れかの方向に倒すことで昇降するレバー式とがある。
また、従来のリモートコントロール操作盤は、押しボタン式のみであり、肘掛に取付けた操作盤とは別に、肘掛よりカールコードにつながれた別の操作盤を設ける形になっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の操作盤においては、使用者の身体状況に応じて押しボタン式かレバー式を選択するようにしているが、ただ設置当初は押しボタンで操作できたものの、加齢に伴い、手先の感覚、強さが弱まってきた場合に、レバー式にするためには、操作盤を一式交換する必要があった。
また、リモートコントロール操作盤も同様に、介護が必要になった場合に、後で操作盤ごと追加する必要があり、使用者にとっては費用負担が発生するという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の課題は、上記のような問題点を解決するため、構成部材に互換性をもたせ、押しボタン式、レバー式及び介護者操作用のリモートコントロール式の後日変更が、構成部材の一部を取り替えるのみで経済的に行える椅子式階段昇降機の操作盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような課題を解決するため、この発明は、ベースカバー上に設けた水平のピンにこのピン廻りに回転するスイッチ押え板を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記スイッチ押え板の両側をベースカバーとの間に設けたばねで押し上げることによってスイッチを押さない平衡状態を保つようにし、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバーと、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバーと、同じくベースカバーに対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバーとを備え、前記レバーは、ピンに取付けた状態でスイッチ押え板の回動方向に傾斜動可能となり、傾斜した方向にスイッチ押え板を押し下げて傾斜させるように形成され、前記レバー用カバーは、上部にレバーの突出孔を設けて形成され、前記押しボタン用カバーは、スイッチ押え板の両側と対応する位置にスイッチ押え板を押し下げるための押しボタンを設けて形成されている構成を採用したものである。
【0007】
また、上記ベースカバーを、椅子式階段昇降機の肘掛に対して取外し可能に装着した構造としたものである。
【0008】
ここで、上記ベースカバーは、上面が開放した浅い矩形の容器状で、中間から先端側が少し下向きに屈曲した形状となり、椅子式階段昇降機における肘掛は、先端側の上面がこのベースカバーの下面が丁度収まる凹段部に形成され、ベースカバーは両側に設けたラッチを肘掛に設けた両側の係合孔に係止することにより肘掛に固定され、ラッチを両側から押すことで係合孔への引っかかりが外れ、肘掛から取外すことができるようになっている。
また、上記レバー用カバーと押しボタン用カバーは、共にベースカバーに対して上から被せるようにして取付けることができるように形成され、相互に取替え可能になっている。
従って、ベースカバーを共通部材とし、ピンにレバーを取付けてレバー用カバーを被せればレバー式の操作盤となり、また、ピンからレバーを取外して押しボタン用カバーを被せれば、押しボタン式の操作盤となり、いずれの場合も、肘掛からベースカバーを取外せば、リモートコントロール式の操作盤になる。
【発明の効果】
【0009】
この発明によると、水平のピンにスイッチ押え板とレバーを取付けたベースカバーに対して、着脱自在に取付けるレバー用カバーと、押しボタン用カバーとを選択して取り替えることができるようにしたので、ベースカバーを共通部材とし、レバー用カバーと押しボタン用カバーを取り替えるだけでレバー式操作盤と押しボタン式操作盤に変更することができ、構成部材の一部を取り替えるだけであるので、一式交換する場合に比べて経済的な負担を軽減することができる。
また、ベースカバーを肘掛から取外せば、介護者操作用のリモートコントロール操作盤となり、介護が必要になった場合でも後日新規に操作盤を購入する必要がなくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0011】
図1と図2及び図11で示したように、椅子式階段昇降機1は、階段aの傾斜に沿って壁面に接近するよう案内レール2を設置し、この案内レール2をそれぞれ上下から抱持する上部のガイドローラ3と下部の駆動・ガイド機構4で昇降機本体5を、案内レール2に沿って走行するように取付け、この昇降機本体5の上に椅子6を設けた構造になっている。
【0012】
上記案内レール2は、ブラケットで所定高さになるよう階段aの上部に固定することによって配置され、この案内レール2は、下面が開口によって開放した円形断面でその内部にチェーンが長さ方向に沿って固定されている。
【0013】
また、周知のように、昇降機本体5は、箱型ケースの案内レール2と対向する面に、この案内レール2を上下から抱持する上部ガイドローラ3と下部の駆動・ガイド機構4が設けられ、駆動・ガイド機構4は、下部ガイドローラと昇降機本体5の内部に設けた電動モータ(図示省略)によって駆動されるスプロケットを備え、スプロケットが案内レール2の開口から内部のチェーンと噛み合うことによって、椅子式階段昇降機1は昇降動することになる。
【0014】
図3乃至図10のように、上記椅子式階段昇降機1の昇降動を操作する操作盤8は、椅子6の肘掛7に取外し可能に取付けるベースカバー11と、このベースカバー11に対して着脱自在に取付けるレバー用カバー12と、同じくベースカバー11に対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバー13とで構成されている。
【0015】
上記ベースカバー11は、図3と図4のように、上面が開放した浅い矩形の容器状で、中間から先端側が少し下向きに屈曲した形状となり、前半部の上面に上方へ立ち上がるよう設けたリブ14の上端で、前後方向に沿う水平のピン15が支持されていると共に、後端部にコードの引出し筒16が下向きの配置で設けられている。
【0016】
図1のように、椅子式階段昇降機1における肘掛7は、先端側の上面がこのベースカバー11の下面が丁度収まる凹段部17に形成され、凹段部17の後端にコードの通し孔が設けられ、ベースカバー11は両側に設けたラッチ18を肘掛7に設けた両側の係合孔に係止することにより肘掛に固定され、ラッチ18を両側から押すことで係合孔への引っかかりが外れ、肘掛7から取外すことができるようになっている。
【0017】
上記ピン15には、このピン15廻りに回転するスイッチ押え板19を取付け、このスイッチ押え板19とベースカバー11の間に、傾斜したスイッチ押え板19によって押される昇用と降用のスイッチSを配置し、前記スイッチ押え板19の両側をベースカバー11との間に設けた圧縮ばね20で押し上げることによって通常はスイッチSを押さない平衡状態を保つようになっている。
【0018】
上記スイッチ押え板19は、ピン15を挟んで両側に張り出すようになっていると共に、ピン15にはレバー21を着脱自在に取付けることができるようになっており、このレバー21は、ピン15に取付けた状態でスイッチ押え板19の回動方向に傾斜動可能となり、その下端部が傾斜した方向にスイッチ押え板19を押し下げて傾斜させるように形成されている。
【0019】
上記スイッチ押え板19は、傾斜動時に傾斜した側に位置するスイッチを押してオンにすることになり、従って、レバーを走行したい側に傾斜させると、スイッチSのオンによって椅子式階段昇降機1は、電動モータへの通電となり案内レール2に沿って上昇または下降することになる。
【0020】
上記レバー用カバー12は、ベースカバー11に対して上から被せるようにして取外し可能に取付けることができるように形成され、その上部にレバー21の突出孔22が設けられている。
【0021】
また、押しボタン用カバー13は、ベースカバー11に対して上から被せるようにして取外し可能に取付けることができるように形成され、その上面でスイッチ押え板19の両側と対応する位置に、スイッチ押え板19を押し下げるための昇と降の一対からなる押しボタン23、24が並べて設けられている。
【0022】
上記押しボタン23、24は、ベースカバー11に固定するスイッチ板25に圧縮コイルばねを介して、常時押し上げられていると共に押し込み可能に取付けられている。
【0023】
なお、押しボタン用カバー13をベースカバー11に取付ける場合は、上記したレバー21はピン15から取外すようにする。
【0024】
上記レバー用カバー12には、図5のように、レバー21の両側位置に、昇降方向を視覚的に案内するLED26を配置することができ、また、押しボタン用カバー13の押しボタン23、24もLEDによる照光で行き先を視覚的に表示するようにしてもよい。
【0025】
この発明の操作盤8は、上記のような構成であり、椅子式階段昇降機1の肘掛7に形成した凹段部17にベースカバー11を取付け、スイッチを昇降機本体5の電動モータとコードで電気的に接続し、椅子式階段昇降機1を押しボタン式で制御する場合は、ベースカバー11に押しボタン用カバー13を被せ、嵌め合わせ等の手段で固定して操作盤8を組立てる。
【0026】
図8乃至図10のように、押しボタン用カバー13の押しボタン23、24は、スイッチ押え板19の両側直上に位置し、椅子式階段昇降機1を移動させたい方向に位置する押しボタン23又は24を押し下げると、スイッチ押え板19を押し下げ、スイッチ押え板19はピン15を支点に傾斜するので、このスイッチ押え板19は傾斜した側に配置されているスイッチを押してオンとし、椅子式階段昇降機1の昇降となる。
【0027】
また、操作盤8をレバー式に変更する場合は、上記ベースカバー11から押しボタン用カバー13を取外し、ベースカバー11に設けたピン15にレバー21を取付け、その後、レバー用カバー12をその突出孔22がレバー21に嵌るようにしながらベースカバー11に被せ、嵌め合わせ等の手段で固定して操作盤を組立てる。
【0028】
図4乃至図7のように、上記レバー21は、その下端部がスイッチ押え板19の上に位置することになり、椅子式階段昇降機1を移動させたい方向にレバー21を傾斜させると、スイッチ押え板19を傾斜側に押し下げ、スイッチ押え板19はピン15を支点に傾斜するので、このスイッチ押え板19は傾斜した側に配置されているスイッチを押してオンとし、椅子式階段昇降機1の昇降となる。
【0029】
次に、リモートコントロール操作盤8として使用する場合は、肘掛7からベースカバー11を取外し、肘掛7側からコードを引き出すことで操作盤8を肘掛7から離れた位置で椅子式階段昇降機1の昇降を操作することができ、リモートコントロール操作盤8の場合、押しボタン式とレバー式の何れの形態でも使用できることになる。
【0030】
このように、操作盤8の押しボタン式とレバー式の変更が、ベースカバー11を共通部材とし、押しボタン用カバー13とレバー用カバー12を取り換えることによって行え、操作盤全体を交換する場合に比べて経済的に有利となり、しかも、肘掛7からベースカバー11を取外すことにより、リモートコントロール操作盤8としてもそのまま使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の操作盤を取付けた椅子式階段昇降機を示す縦断側面図
【図2】この発明の操作盤を取付けた椅子式階段昇降機を示す正面図
【図3】(a)は操作盤におけるベースカバーの斜視図、(b)は同平面図、(c)は(b)の矢印c−cでの縦断面図
【図4】(a)は操作盤におけるベースカバーの側面図、(b)は同正面図、(c)は縦断正面図
【図5】(a)はレバー式に組立てた操作盤の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図6】(a)はレバー式に組立てた操作盤のレバー用カバーを省いた状態の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図7】(a)はレバー式に組立てた操作盤のレバー用カバーを省いた状態の正面図、(b)は同側面図
【図8】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図9】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の押しボタン用カバーを省いた状態の斜視図、(b)は同平面図、(c)は同正面図、(d)は同側面図
【図10】(a)は押しボタン式に組立てた操作盤の押しボタン用カバーを省いた状態の正面図、(b)は同側面図
【図11】椅子式階段昇降機の全体構造を示す正面から見た説明図
【符号の説明】
【0032】
1 椅子式階段昇降機
2 案内レール
3 ガイドローラ
4 駆動・ガイド機構
5 昇降機本体
6 椅子
7 肘掛
8 操作盤
11 ベースカバー
12 レバー用カバー
13 押しボタン用カバー
14 リブ
15 水平のピン
16 コードの引出し筒
17 凹段部
18 ラッチ
19 スイッチ押え板
20 圧縮ばね
21 レバー
22 突出孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースカバー上に設けた水平のピンにこのピン廻りに回転するスイッチ押え板を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記スイッチ押え板の両側をベースカバーとの間に設けたばねで押し上げることによってスイッチを押さない平衡状態を保つようにし、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバーと、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバーと、同じくベースカバーに対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバーとを備え、前記レバーは、ピンに取付けた状態でスイッチ押え板の回動方向に傾斜動可能となり、傾斜した方向にスイッチ押え板を押し下げて傾斜させるように形成され、前記レバー用カバーは、上部にレバーの突出孔を設けて形成され、前記押しボタン用カバーは、スイッチ押え板の両側と対応する位置にスイッチ押え板を押し下げるための押しボタンを設けて形成されている椅子式階段昇降機の操作盤。
【請求項2】
上記ベースカバーを、椅子式階段昇降機の肘掛に対して取外し可能に装着した請求項1に記載の椅子式階段昇降機の操作盤。
【請求項1】
ベースカバー上に設けた水平のピンにこのピン廻りに回転するスイッチ押え板を取付け、このスイッチ押え板とベースカバーの間に、傾斜したスイッチ押え板によって押されるスイッチを配置し、前記スイッチ押え板の両側をベースカバーとの間に設けたばねで押し上げることによってスイッチを押さない平衡状態を保つようにし、前記ピンに対して着脱自在に取付けるレバーと、ベースカバーに対して着脱自在に取付けるレバー用カバーと、同じくベースカバーに対して着脱自在に取付ける押しボタン用カバーとを備え、前記レバーは、ピンに取付けた状態でスイッチ押え板の回動方向に傾斜動可能となり、傾斜した方向にスイッチ押え板を押し下げて傾斜させるように形成され、前記レバー用カバーは、上部にレバーの突出孔を設けて形成され、前記押しボタン用カバーは、スイッチ押え板の両側と対応する位置にスイッチ押え板を押し下げるための押しボタンを設けて形成されている椅子式階段昇降機の操作盤。
【請求項2】
上記ベースカバーを、椅子式階段昇降機の肘掛に対して取外し可能に装着した請求項1に記載の椅子式階段昇降機の操作盤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−70358(P2010−70358A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−241623(P2008−241623)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000129460)株式会社クマリフト技術研究所 (40)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000129460)株式会社クマリフト技術研究所 (40)
【Fターム(参考)】
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