説明

植え込み可能MEMS薬剤搬送システム

人体または動物の体に植え込み可能な薬剤送達システム10は、薬剤送達部14と制御部12とを含む。膜26は薬剤区画18の送達開口部22を密封し、膜26の所定の弾性変形および破裂点限界よりも少ない量だけ予め応力が加えられている。区画18に関連する解放要素28により、膜26に制御信号78に応じて変形および破裂点限界を超える応力が加えられる。解放要素28は、ヒンジ付き蓋を形成する第1の膜部分35が所定の破裂パターンに従って第2の膜部分37から離れることが可能であると共に、ヒンジ39で第2の膜部分に取り付けられたままであるように、膜26を所定の破裂パターンに従って破裂させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、微小電子機械システム(MEMS)技術を使用する製造に適した薬剤搬送システムに関する。より詳細には、本発明は破断した膜を薬剤搬送システムから分離し、動物または人体の中に解放することを可能にすることなく、膜を破断することによって特定の時間および速度で人間または動物への薬剤の送達を制御するために、人間または動物に埋め込まれるように構成された薬剤搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤送達は、医学治療の重要な態様である。多くの薬剤の効用は、投与される方法に直接関連する。いくつかの治療法では、薬剤を長期間にわたって患者に繰り返し投与する必要がある。これにより、適切な薬剤送達方法の選択が難しくなる。患者は、薬剤を摂取するのをしばしば忘れたり、嫌がったり、またはできなくなったりする。薬剤送達はまた、薬剤が全身的に送達するには効き目が強過ぎる場合に問題が起こる。したがって、これに限らないが薬物および他の治療を含む様々な種類の分子の制御された、周期的な、または連続的な解放を可能にする送達装置を設計、製造するための試みが行われた。
【0003】
微小電子機械システム(MEMS)技術は、微小製造技術を使用して共通のシリコン基板上に電気部品および機械部品を一体化させる。フォトリソグラフィ過程および他のミクロ電子過程などの集積回路(IC)製造過程は、電気部品を形成する。IC製造過程は普通、シリコン、ガラス、およびポリマーなどの材料を使用する。IC過程に対応するミクロ機械加工過程は、ICの領域を選択的にエッチングしたり、または新しい構造層をICに加えて機械部品を形成する。ミクロ機械加工技術でのシリコン系ミクロ電子機器の一体化により、電子機械システムを単一のチップ上に製造するのを完了させる。このような単一のチップシステムは、ミクロ電子機器の計算能力をミクロ機械加工の機械感知および制御能力に一体化させて、人間および動物の内部に植え込みするのに十分小さい電子制御装置を提供する。
【0004】
ミクロ電子機械システム(MEMS)技術を使用した製造に適した植え込み可能送達システムの例が、米国特許第5,366,454号明細書(Currie他)および第6,123,861号明細書(Santini,Jr.他)に記載されている。これらの特許は、患者への投与の後に所望の期間、ポリマーによる薬剤の拡散および/またはポリマーの劣化による一定の期間にわたる薬剤の解放を提供するように構成された、より大きく、信頼性が低くかつ制御解放ポリマー装置である非MEMS型の電子機械装置を凌ぐ改良型として説明されている。
【0005】
米国特許第5,366,454号明細書(Currie他)は、複数の区画を有する基板と、クロージャ部材と、破裂可能膜と、膜破裂システムとを含む、動物または人体内に植え込みするための薬品分配装置を開示している。各区画は、服用量の薬剤を区画に充填させる充填開口部と、薬剤の送達を可能にする送達開口部を有する。シリコンで作られたクロージャ部材は、シリコンで作られ、区画の充填開口部を密封するための基板に陽極結合されている。シリコンで作られた膜は、基板と一体に形成することもできるし、またはシリコンで作られ、区画の送達開口部を密封するための基板に陽極結合することもできる。膜は、所定の弾性変形限界および所定の破裂点を有する。V字形の溝が膜内に形成されて、膜の破裂を助けるように脆弱線を画定する。各区画に関連する膜破裂システムは、電気信号に応じて膜を破裂させる。膜破裂システムは、膜をほぼ弾性変形限界まで応力を与えて維持する応力誘導部材と、膜の破裂点を超えるのに十分な追加応力を膜に加え、それによって膜を破裂させる電気信号に応じた圧電トランスデューサとを含む。膜が破裂する際、薬剤が動物または人体への送達開口部を通して体液との混合物内に解放されるように、中に含まれた薬剤と混合するように体液は区画内に入ることができる。装置はさらに、それぞれの圧電トランスデューサを作動させるように各膜破裂システムのそれぞれの圧電トランスデューサに電気信号を供給するように電源に連結された制御回路を含んでいる。生物対応ポリマー薄膜は、あらゆる破断した膜断片を装置に結合させ、断片が人間または動物内に解放されないようにするために膜を覆う。
【0006】
米国特許第6,123,861号明細書(Santini,Jr.他)は、周期的または連続的に、薬剤などの分子の送達の速度および時間を制御するマイクロチップ薬物送達装置を開示している。この装置は普通、分子を入れたシリコン基板と分子の解放速度を制御する解放要素内に形成された、数百から数千のリザーバまたはウェルを含んでいる。リザーバは、可変容量で多数の薬剤または他の分子を入れることができる。充填されたリザーバを、受動的に分解する材料、時間をかけて分子をリザーバから受動的に拡散させることができる材料、または電位を印加する際に分解する材料で覆うことができる。動的装置からの解放を、予めプログラミングしたマイクロプロセッサ、遠隔制御、またはバイオセンサによって制御することができる。
【0007】
シリコンウェハを互いに、またはガラス基板などの他の基板に結合させるのにいくつかの方法が使用されて、接着結合、陽極結合、共晶結合、ガラスフリット結合、溶融結合、低温溶融結合、およびマイクロ波結合を含む薬剤送達システムなどのより大きいまたはより複雑なミクロ機械加工されたシステムを形成する。これらの様々な結合方法の中で、技術的トレードオフが、加える温度、加える電圧、加える圧力、加えるエネルギー、結合時間、結合強度、材料費などに存在する。
【0008】
接着結合は、基板を互いに結合するのに接着剤を使用する。これは普通、接触させる前に一方または両方の基板上に接着剤の薄膜をスピンコーティングすることによって行われる。基板は普通、接着剤を硬化させるために所定の温度で焼成される。
【0009】
あるいは静電結合としても知られる陽極結合は普通、接着剤を使用することなくシリコン基板にガラスを密封してかつ永久的に結合させる。ガラス基板は普通、高い割合の酸化ナトリウムなどのアルカリ金属を有する。シリコンおよびガラス基板は互いに接触させられる。シリコンおよびガラス基板は、ガラス基板の溶融点より高い温度(普通は、ガラスの種類により300〜500℃の範囲内)まで加熱され、それによって酸化ナトリウムがナトリウムイオンと酸素イオンに分離する。高い直流電圧(例えば最高1kV)が基板にわたって印加されて、基板を貫通する電界を作り出す。電界は、ナトリウムイオンを基板間のインターフェイスから陰極に向かって移動させ、そこで中和されて、高い電界強度を空乏層に与える。空乏層で得られる静電力により、シリコンおよびガラスが密接に接触する。電界はまた、酸素イオンをガラス基板からシリコン基板に流し、それによって不可逆シリコン酸素シリコン結合を形成するように、シリコン基板内のシリコンイオンとのインターフェイスでの陽極反応が起きる。その結果、ガラス基板は永久化学結合でシリコン基板に結合される。陽極結合の欠点としては、必要な比較的高い温度、真空密封中の温度不均一性、および比較的長い結合時間(例えば10分)が挙げられる。
【0010】
共晶結合およびガラスフリット結合は、高い温度で基板を互いに気密に密封するように、それぞれ金属およびガラスセラミック接着剤の薄膜を使用する。
【0011】
溶融結合は、疎水性または親水性の鏡面仕上げされた平らかつ清潔な表面を有する2つのシリコン基板を使用する。基板の2つの表面は、高い圧力で互いに接触して、2つの基板を互いに結合させる原子引力を作り出す。原子引力は、結合された基板を炉に移動させることができるのに十分なだけ強い。結合された基板は、2つの基板間に中実気密シールを形成するように、炉内で高温(例えば900℃〜1100℃)で焼鈍される。
【0012】
低温溶融結合により、ガラスフリット結合過程が促進される。ガラスフリット結合過程と反対に、低温溶融結合は基板を互いに結合するのにガラスセラミック接着剤を使用しない。低温溶融結合過程は、基板を軟化させるために低い熱を、また所定の期間にわたって結合するまで基板を互いに絞り、保持するために圧力を使用する。
【0013】
マイクロ波結合は、2つの金属化誘電またはシリコン基板を互いに結合させるのに電磁エネルギーを使用する。パルスの形の電磁エネルギーは、基板を冷たく保つことを可能にしながら、共にインターフェイスを溶融させるように2つの基板間の金属インターフェイスを加熱する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
人間または動物内に植え込まれるように構成され、破裂された膜を薬剤送達システムから分離し、動物または人間内に解放されるのを可能にすることなく、膜を破裂させることによって薬品または他の分子を動物または人間内に能動的に解放する薬剤送達システムを有することが望ましい。米国特許第6,123,861号明細書(Santini,Jr.他)に開示されるように、このようなシステムにより、分解された膜材料を薬剤送達装置から離して、動物または人間内に解放されることを可能にはしない。さらにこのようなシステムは、あらゆる破断した膜断片を装置に結合し、断片が人間または動物内に解放されないようにするように、米国特許第5,366,454号明細書(Currie他)によって必要に応じて示される生体適応可能なポリマー薄膜を必要としない。
【0015】
陽極結合に使用される300〜500℃の範囲より低い温度で2つの基板を互いに気密に密封する結合過程を有することも望ましいだろう。このような結合過程では、米国特許第5,366,454号明細書(Currie他)に開示される薬剤分配装置内の薬剤などの熱劣化した材料を損傷させない。このような結合過程はまた、高い製造スループットを提供するように早い。さらに、このような過程はまた比較的低い圧力を基板に加える。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一態様によれば、薬剤送達システムは薬剤および他の分子を一度に数週間または数年間、確実に送達する。
【0017】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達システムは周期的または連続的の何れかで、薬剤の送達を可能にする。
【0018】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達システムは様々な使用量の多くの異なる薬剤を保持する。
【0019】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達システムは望むなら、植え込まれる、射出される、または吸い込まれるのに十分なだけ小さい。
【0020】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達システムは、破裂した膜を薬剤送達システムから離すのを可能にすることなく膜を破裂させることにより、薬剤を送達させる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、薬剤送達システムは制御部および薬剤送達部を含む。薬剤送達部は、複数の区画、膜、および複数の解放要素を含む。制御部は制御信号を発生するように構成されている。各区画は、所定量の薬剤を含むように構成されており、薬剤の送達を可能にする送達開口部を有する。膜は、各区画の送達開口部を密封するように構成されている。各解放要素は、対応する区画に関連している。解放要素は、制御信号に応じた所定の破裂パターンに従って膜を破裂させるように構成されている。第1の膜部は部分的に、所定の破裂パターンに従って第2の膜部から離れると共に、連結領域で第2の膜部に取り付けられている。膜の破裂により、薬剤が人体または動物の体内への送達開口部を通る体液との混合物内に解放されるように、人間または動物の体液が薬剤と混合することが可能になる。
【0022】
本発明のこれらおよび他の態様をさらに、以下の詳細な説明および添付の図面を参照して説明する。同じ参照番号は、異なる図中で示された同じ特徴または要素に指定されている。図は等倍で描かれていないことに留意すること。さらに、図中で特に示されていない、明細書中に明示的または暗示的に説明された、または逆の本発明の他の実施形態もある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の好ましい一実施形態による、制御部12および複数の間隔を置いて配置された送達部14を含む薬剤送達システム10の斜視図である。薬剤送達システム10は、当業界においてよく知られるように、紫外線(UV)フォトリソグラフィ、反応イオンエッチング、電子ビーム蒸発などの集積回路の製造に普通に適用される方法を使用して、上記の通り、MEMS技術を使用して製造される。MEMS技術製造過程により、1ミリ未満から数センチまでの範囲の一次寸法(四角形または矩形の場合は辺の長さ、円形の場合は直径)を備える薬剤送達システム10の製造が可能になる。典型的な薬剤送達システム10の厚さは、300ミクロンであるが、システムの適用によって約10ミクロンから数ミリまで変化することができる。システムの厚さを変化させることにより、システム内に組み込むことができる薬剤送達部14の最大数、および各薬剤送達部14の量に影響を与える。装置の「体内」適用は普通、2cm以下の一次寸法を有するシステムを必要とする。体内適用のためのシステムは、最小侵入過程を使用して吸い込むまたは植え込みするのに十分なだけ小さい。より小さい体内システム(約1ミリ)を、カテーテルまたは他の注入手段を使用して植え込みすることができる。
【0024】
薬剤送達システム10は、複数の間隔を置いて配置された薬剤送達部14を提供する小さなウェハ状基板16を有することが好ましい。基板16は、薬剤送達装置10用支持体として働く。基板16は、支持体を提供するようにエッチングまたは機械加工に適したどんな材料でもよく、薬剤、および水、血液、電解液、または他の溶液などの周囲の体液に浸透できない。基板16に適した材料の例としては、これに限らないが、セラミック、半導体、ガラス、および分解性および非分解性ポリマーが挙げられる。
【0025】
基板材料の生体適合性は好ましいが、必然ではない。体内適用において、非生体適合材料を使用前に、ポリ(エチレングリコール)材料またはポリテトラフルオロエチレン系材料などの生体適合材料内で包むことができる。シリコンは、包まれた薬剤および周囲の体液に浸透することができない、強い非分解性の簡単にエッチングされる基板を形成する材料の一例である。ポリ(アンヒドライドコイミド)は、生体適応成分内にある期間にわたって劣化または分解する強い基板を形成する材料の一例である。この材料は、システムが植え込みされ、後の時点での装置の物理的除去が実行できないあるいは勧められない体内適用に好ましい。
【0026】
各薬剤送達部14は、エッチング、機械加工、または他の知られている過程によって基板16内に形成されたキャビティ、リセス、またはリザーバによって画定される、薬剤34を入れるまたは囲む(図4〜7に示す)ように構成された区画18を有する。区画18はそれぞれ、区画18内への薬剤34の受入れを可能にする充填開口部20と、中に入れられた薬剤の送達を可能にする送達開口部22とを備えている。キャップ24は、好ましくは図8で記載した結合方法、または周囲の流体を通さない耐水性エポキシまたは他の適当な材料を使用して、充填開口部20を密封する。膜26は送達開口部22を密封する。
【0027】
図4からよく分かるように、薬剤34はこれに限らないが、射出、インクジェット印刷、スピンコーティング、毛管作用、真空または他の圧力機構を使用した薬剤の押引、区画18内の材料の溶融、遠心および関連過程、区画18内での固体物の包装、またはこれらまたは他の同様の充填技術のあらゆる組合せを含むあらゆる方法によって、区画18の充填開口部20内に挿入される。
【0028】
薬剤34は、区画18では固体、液体、またはゲルであってもよい。固体薬剤は例えばピコグラム範囲などの単位量毎に高い濃度を有するので、薬剤34は固体として形成されることが好ましい。薬剤34は、送達することができるあらゆる天然、合成、または半合成成分またはその混合物であってもよい。一実施形態では、薬剤送達システム10は、薬剤を必要に応じて患者に全身的に送達するのに使用される。別の実施形態では、患者内への薬剤送達システム10の構築および配置により、全身の送達には効き目が強過ぎる可能性がある薬剤34の局所的な解放を可能にする。ここで使用されるように、薬剤はこれに限らないが、蛋白質、核酸、多糖類、および生物活性効果を有する合成有機分子、例えば麻酔薬、ワクチン、化学療法薬、ホルモン、代謝体、糖類、免疫調整剤、抗酸化剤、イオンチャネル調整剤、および抗生物質を含む、化合物または塩、プロドラッグ、溶媒化合物、そのプロドラッグの塩および/または溶媒化合物である。薬剤34は、単一の薬剤または薬剤混合物の形をしていてもよく、薬学的に許容可能な担体を含むことができる。他の実施形態では、分子はあらゆるシステム内で体内に解放され、ここでは少量(ミリグラムからナノグラム)の1つまたは複数の分子の制御された解放が、例えば分析化学または医療診断の分野において必要である。分子は、ポリメラーゼ連鎖反応または他の核酸増幅過程などの複雑な反応において、pH緩衝剤、診断剤、および反応剤として効果的である。
【0029】
各区画18は、患者の医療的必要性、または薬剤送達システム10の他の要件により異なる薬剤34を含むこともできる。薬剤送達における応用例では、例えば各列の薬剤34は互いに異なる可能性もある。さらに、薬剤34の解放速度は、1つの区画18から速い速度で、別の区画18から遅い速度で薬剤を解放するようにそれぞれの列内で異なっていてもよい。各区画18はまた、異なる使用量の薬剤34を入れることができる。使用量はまた、薬剤送達部14のそれぞれの列内で変化してもよい。
【0030】
体内応用例では、薬剤送達部14上に送達開口部22を提供する薬剤送達システム10の側部を除いて、薬剤送達システム10全体は、システム10に適当な材料内に覆われている。体内応用例では、薬剤送達システム10は、ポリ(エチレングリコール)またはポリテトラフルオロエチレンなどの生体適合材料内に囲まれていることが好ましい。
【0031】
MEMS技術製造技術の使用により、単一の薬剤送達システム10内に数百から数千の区画18に組み込むことが可能になる。各区画18間の間隙は、その特定の応用例、および薬剤の解放が動的であるか受動であるかによる。動的解放では、リザーバ間の距離は各区画18上または近くの解放要素(図1には図示せず)によって占められた空間により、受動解放の場合よりも僅かに大きくてもよい(約1から10ミクロンの間)。区画18は、ほぼあらゆる形状および深度で作られてもよく、基板16を完全に貫通する必要はない。好ましい一実施形態では、区画18は、図7に示すように基板16の他の側部で膜26まで基板(約300ミクロン)を完全に貫通する、約54度で傾斜した側壁を有する角錐の形の水酸化カリウムによってシリコン基板内にエッチングされる。角錐形状により、基板16のパターン化された側での充填開口部20(約500ミクロン×500ミクロン)を通して区画18の簡単な充填、基板16の他の側に送達開口部22(約50ミクロン×50ミクロン)を通した解放が可能になり、薬剤を貯蔵する薬剤送達部14内に大きなキャビティを提供する。
【0032】
次に図2〜6を参照すると、図2は図1の薬剤送達システム10の拡大部分上面図を示している。図3は、膜26上に配置された解放要素28を有する、図1および2に示すように、薬剤送達部14の拡大上面図を示している。図4は、膜26上に配置された解放要素28を有する、図3に示すように薬剤送達部14の拡大横断面図を示している。図5は、本発明の好ましい実施形態による、膜26が破裂される前の、図3に示すように薬剤送達部14の長手平面図を示している。図6は、本発明の好ましい実施形態による、膜26が破裂した後に、図3に示すように薬剤送達部14の長手平面図を示している。
【0033】
解放要素28は、制御部12からの制御信号78(図9に示す)に対して、膜26を破裂させる各薬剤送達部14に関連している。解放要素28の寸法、形状、および配置は、特定の応用例の様々なエンジニアリング検討要素により変化してもよい。解放要素28は、化学蒸着、電子またはイオンビーム蒸発、スパッタリング、スピンコーティング、および当業界で知られている他の技術などの蒸着技術を使用して、区画18の内側および/または外側の何れかで膜26上に配置されていることが好ましい。これに限らないが、膜26上に応力または歪を発生させる静電、磁気、圧電、バイモルフ、形状記憶合金、温度、化学、および他の機構を含む、様々な解放要素が膜26を破裂させるのに使用されてもよい。
【0034】
ポリシリコン圧電抵抗器などの温度要素が解放要素28として使用される場合、二酸化ケイ素などの断熱材を、望むなら薬剤34から温度要素を隔離させるのに、膜26として使用することもできる。基板16は、シリコンから形成されていることが好ましく、放熱板として働く。熱導電度は、シリコンでは1.57W/cm−℃、二酸化ケイ素では0.014W/cm−℃、ポリシリコンでは0.17W/cm−℃である。温度要素28が加熱されると、膜26は膜26上の高い熱勾配誘導応力により破断して、薬剤送達部14が開く。温度要素が加熱されると、薬剤送達部14を開く助けとなるように、張力のある窒化ケイ素の薄膜を膜26に塗布することもできる。膜26が破裂した後に、張力のある窒化ケイ素が、送達開口部22を形成する助けとなるように、膜26を引き戻す。
【0035】
解放要素28は、電極30および32を介して制御部12に電気結合されている。電極用の典型的な導電材料は、銅、金、銀、および亜鉛などの金属、およびポリマーを含む。電極30および32の普通の薄膜厚さは、0.05から数ミクロンの範囲であってもよい。電位が電極30および32に印加されると、膜26は所定のパターンに従って破裂して、薬剤34を入れた区画18が周囲の流体に曝される。
【0036】
所定の破裂パターンは、解放要素28の寸法および形状に近いことが好ましい。所定の破裂パターンは、幅が2〜20ミクロンであり、送達開口部22の長さが40〜500ミクロンの範囲であり、所定の破裂パターンと送達開口部22の縁部の間の間隙が2〜20ミクロンの範囲であることが好ましい。
【0037】
酸化ケイ素(SiO)または窒化ケイ素(SiN)などの絶縁または誘電材料40が、化学蒸着、電子またはイオンビーム蒸発、スパッタリング、またはスピンコーティングなどの方法、および当業界で知られている他の技術によって薬剤送達システム10の表面全体にわたって被着されている。各区画18の上で直接解放要素28上を除いてエッチングされないように保護するように、フォトレジスト(図示せず)が誘電材料40の上部にパターン化されている。誘電材料40を、プラズマ、イオンビーム、または化学エッチング技術によってエッチングすることができる。この誘電材料40およびフォトレジスト薄膜の目的は、電極30および32を、電極薄膜除去が薬剤34の解放のために必要ではない全ての領域において腐食、劣化、または分解しないように保護することである。
【0038】
膜26は、所定の弾性変形限界および所定の破裂点を有する。膜26を、これに限らないが、誘電体、ポリシリコン、またはシリコンを含む様々な材料で形成することもできる。膜26は、膜26の破裂の助けとなるように、所定の破裂パターンに従って中に形成された脆弱線を有することもできる。膜26は脆弱線で、膜26の他の領域よりも薄いことが好ましい。このような薄さは、膜26内のV字凹部によって形成することができる。膜26は基板16と一体形成されていることが好ましい。別の方法では、膜26を基板16とは別に形成し、シリコンで形成された基板16に陽極結合され、シリコンで形成された膜などでそれに結合することもできる。
【0039】
膜26は、区画18内に真空を形成するように、送達開口部22にわたって気密に密封されていることが好ましい。真空密封を形成する様々な機構は、これに限らないが、静電結合などの広域加熱機構、およびレーザ、マイクロ波、および赤外線エネルギーなどの局部域熱源を含んでいる。局部域加熱機構が高い温度(例えば、300〜400℃)ではなく、低い温度(例えば、100〜150℃)で動作するので、局部域加熱機構は広域加熱機構より好ましい。局部域にわたって低い温度を使用することにより、薬剤送達部10および薬剤34に対する損傷を防ぎ、局部域から膜26の中心まで膜26に沿って高い温度勾配により、膜26の上により大きな歪を作り出す。この場合、各区画18は真空で引かれて、膜26は凹形状を形成する区画18内に内向きに引かれる。真空状態で、膜26は膜26の所定の弾性変形限界および所定の破裂点に近いが、これより小さい点まで歪む。区画18が真空状態にあるので、膜26は予め応力を加えた状態にある。解放要素28により、膜26は降伏点を通って湾曲して、膜26は所定のパターンに従って破裂することになる。膜26は既に予め応力を加えた状態にあるので、解放要素28は予め応力を加えた状態ではない膜26と比較して、膜26を破裂させるほどの大きなエネルギーは必要ない。
【0040】
膜26は、所定のパターンの内側に配置された第1の部分35と、所定のパターンの外側に配置された第2の部分37とを有する。膜26の第1の部分35は、連結領域39で膜26の第2の部分37に取り付けられている。本発明の好ましい実施形態では、膜26の第1の部分35は蓋を形成し、連結領域39はヒンジ36を形成する。膜26が破裂すると、蓋はヒンジ36を除いて、膜26の第2の部分37から離れて、薬剤34は図6に示すように送達開口部22を通して送達することが可能になる。ヒンジ36により、動物または人間内で解放されないように、蓋を薬剤送達システム10に取り付けたままにすることができる。膜26の第1の部分35および連結領域39は、特定の応用例に対する様々なエンジニアリング検討材料により、様々な寸法、形状、および位置を有することもできる。
【0041】
図7A〜7Kは、本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部14を作るMEMS製造過程をステップの順で示している。図7Aは、基板16を提供するステップを示す。図7Bは、基板16の各反対側に膜26が塗布された基板16を示す。図7Cでは、解放要素28用の材料38は、基板16の一方側で膜26に塗布されている。図7Dでは、解放要素28用の材料38は解放要素28を形成するように選択的に取り除かれる。図7Eでは、絶縁体40が膜26に選択的に塗布され、基板16の底部側の膜材料が選択的に取り除かれる。図7Fでは、薬剤送達部14は物理的に、または図示の目的の何れかで、180度回転されている。図7Gでは、基板16は区画18および充填開口部20を形成するように、膜材料の残りの部分の間でエッチングまたは機械加工される。図7Hでは、膜材料の残りの部分が取り除かれる。別の方法では、膜材料の残りの部分は、材料の種類により留まっている。図7Iでは、区画18は薬剤34で満たされている。図7Jでは、キャップ24が図8に記載された方法により、真空状態で充填開口部20を密封するように区画18の上に配置されている。図7Kでは、薬剤送達部14はまた、物理的または図示する目的の何れかで、180度回転されている。
【0042】
図8は、図1〜7Kに示すように、薬剤送達部10を密封する方法を説明するフローチャートを示す。この方法はステップ61から始まる。ステップ62では、この方法は区画18を有する基板16と、キャップ24を大量製造に適した方法で提供する。ステップ63では、この方法は上記の通り、区画18を薬剤34で充填する。ステップ64では、この方法は上記の通り、区画18をキャップ24で覆う。ステップ65では、この方法は薬剤送達システム10に熱58を加える。本発明の好ましい実施形態では、熱は従来の陽極結合に使用される300〜500℃の温度範囲よりかなり低い、100℃より低い。ステップ66では、この方法は電圧偏倚56を基板16およびキャップ24にわたって加える。正の電圧がキャップ24に加えられ、負の電圧が基板16に加えられることが好ましい。別の方法では、正および負の電圧を、キャップ24および基板16の材料によって逆にすることもできる。本発明の好ましい実施形態では、電圧偏倚56は100Vより大きく、従来の陽極結合に使用される1kVより小さい。ステップ67では、この方法はキャップ24を基板16に対して密封し、区画18内に真空を作り出すように、キャップ24に集中させたエネルギー54を加える。集中させたエネルギー54は、これに限らないが、マイクロ波、レーザ、赤外線、ランプ、などを含む。集中させたエネルギー54は、ミクロ秒からミリ秒の期間を有するエネルギーパルスの期間、1つまたは複数の区画18の上の局部域内で温度を上昇させるように、(例えば、600nmより小さい波長で)キャップ24と結合する。このように早い熱結合が、キャップ24、基板16、または薬剤34を損傷することなく、キャップ24と基板16の間のインターフェイスを結合させる助けとなる。シリコン材料は熱を早く伝え、ガラス材料および真空は熱をゆっくり伝える。したがって、キャップ24がシリコンでできており、基板16がガラスでできている場合、集中させたエネルギー54は薬剤34にゆっくり伝わる。集中させたエネルギー54は、機構の寸法、集中させたエネルギーの電力レベルおよび存続時間により、薬剤送達システム10の特定の機構と必ずしも位置合せされている必要はないことに留意すること。ステップ68で、この方法は終了する。この方法は薬剤送達システム10の組立のための結合過程を説明しているが、この方法をあらゆる種類のミクロ機械加工されたシステムまたは装置に使用することもできる。
【0043】
この方法に記載されている結合過程の利点としては、早い製造スループットと、均一な密封と、薬剤34に対する損傷がないことと、温度でより設計の柔軟性があり、安定した機会寸法を可能にする低い結合温度と、平らな組立過程と、あらゆる寸法許容範囲の損失なく、予め機械加工した溝、キャビティなどの周りの密封を可能にするガラス材料の測定可能な流れがないことが挙げられ、ガラス材料は絶縁体であるので寄生容量は極めて小さく保持され、結合過程を真空内で行うことができ、気密に密封された基準キャビティを形成することが可能になり、光波長でのガラス透明度により、予めパターン化されたガラスおよびシリコンウェハの簡単だが極めて正確な位置合せが可能になり、またミクロ流体装置の内部を観察することが可能になり、静電界が表面不均一性を克服する高い締付力を発生することによる粒子汚染およびウェハ歪曲に耐える高い降伏過程と、最初のオーダー包装のための低コストウェハスケール過程を必要に応じてチップレベルで行うことができ、多層スタックにより複雑な3Dミクロ構造への簡単な経路指定、およびガラス材料の破損強度より高い高強度結合が可能になる。
【0044】
図9は、本発明の好ましい実施形態による、図1および2に示すような、制御部12と薬剤送達部14のブロック図を示す。薬剤送達システム10は人間および動物患者、または他の実験システムの必要に応じて所定の速度および時間で薬剤34を正確に送達する。制御部12は、制御装置70と、メモリ72と、センサ15と、電源74と、デマルチプレクサ76とを含む。制御部12は集積回路として構成されていることが好ましいが、ディスクリート回路として構成されていてもよい。制御部12は、RAMおよび/またはROMなどの内部または外部メモリを有することもできる。
【0045】
電源74は、制御装置70などの制御部12内の適当な機能に電力を供給する。電源74は携帯可能または体内応用例を可能にする電池であることが好ましく、また基板16上に被着された薄膜電気化学電池であることが好ましい。電源の選択のための判断基準は、小さな寸法、十分な電力容量、制御部12内に一体化されることが可能なこと、およびいくつかの応用例では、再充電できること、および再充電が必要になる前の時間の長さである。このタイプの代替電池は、リチウム系の再充電可能なミクロ電池を含み、これは普通厚さが10ミクロンだけしかなく、1cmの面積を占めている。これらの電池の1つまたは複数を、制御部12内に直接組み込むことができる。
【0046】
制御装置70は、薬剤送達部14を制御するように制御信号78を発生させる。制御信号78を多数の信号を運ぶ単線上に運ぶことができ、多数の信号はそれぞれ対応する薬剤送達部14と関連している。別の方法では、制御信号を複数の線の上に運ぶことができ、複数の線はそれぞれ各薬剤送達部14と関連している。したがって、制御装置70は制御信号78と組み合わせて、各薬剤送達部14に対して膜26の破裂を動的に制御する。
【0047】
制御部12は、薬剤送達が一般に体内応用例において少なくとも3から12ヶ月の範囲で望ましい期間に基づいて設計されている。これに対して、数秒の短さの解放時間がいくつかの応用例で望ましい。他の場合では、区画18からのパルス(バルク)解放は、より効果的な結果をもたらす可能性もある。1つの区画18からの単一のパルス薬剤送達を、多数の区画18を使用することによって、多数パルス薬剤送達に変化させることもできる。加えて、早い連続での薬剤のいくつかのパルスを送達することにより、連続薬剤送達を装うことができる。
【0048】
制御装置70は、ソフトウェアプログラムまたは回路、遠隔制御、センサからの信号に応じて、またはこれらの方法のあらゆる組合せによって各区画18からの薬剤34の送達時間および速度を制御する。制御装置70は、センサ15、メモリ72、電源74、およびデマルチプレクサ76と合わせて使用されることが好ましい。メモリ72内に格納されたソフトウェアプログラムにより、薬剤送達の時間および速度が決まる。メモリ72は制御装置70に指示を送る。ソフトウェアプログラムによって示されるように、解放の時間に到達すると、制御装置70は特定の区画18のアドレス(位置)に対応する制御信号78をデマルチプレクサ76に送る。デマルチプレクサ76は、制御装置70によってアドレス指定された特定の区画18に電気信号を発生させる。
【0049】
センサ15は有利には、薬剤送達システム10が人体または動物の体などの環境内で監視した状態に応じて、薬剤の時間、速度および/または使用量を変化させることができるように、閉塞ループフィードバックシステムを提供する。
【0050】
薬剤送達システム10は多くの応用例を有する。薬剤送達システム10を、制御した少量の化学反応剤または他の分子を正確に制御した時間および速度で、溶液または反応混合物に運ぶのに使用することができる。分析化学および医療診断は、薬物送達システム10を使用することができる分野の例である。薬剤送達システム10を、外科手術技術または注入の何れかによって患者に植え込みすることができる、または吸入させることができる。薬剤送達システム10により、薬物を摂取することを覚えることができない、または十分なくらい歩行することができない動物または人に薬剤を送達する。薬剤送達システム10はさらに、様々な速度および様々な送達時間で多くの異なる薬剤を送達する。
【0051】
したがって、本発明は様々な例示的な実施形態を参照して説明したが、本発明はこれらの特定の実施形態に限ることを意図したものではない。当業者なら、開示した主題の変形、変更、および組合せを、頭記の特許請求の範囲に記載した本発明の精神および範囲から逸脱することなく行うことができることが分かるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の好ましい一実施形態による、制御部および複数の薬剤送達部を含む薬剤送達システムの斜視図である。
【図2】図1の薬剤送達システムの拡大部分上面図である。
【図3】膜上に配置された解放要素を有する、図1および2に示されるような、薬剤送達部の拡大上面図である。
【図4】図3の線4−4に沿った、薬剤送達部の拡大横断面図である。
【図5】膜が破裂される前に、図3の線5−5に沿った、薬剤送達部の縦断面図である。
【図6】図5と同様であるが、膜が破裂された後の薬剤送達部を示す縦断面図である。
【図7A】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7B】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7C】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7D】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7E】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7F】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7G】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7H】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7I】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7J】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図7K】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を作るMEMS製造過程を、ステップの順序で示す図である(斜線は明確にするために省いた)。
【図8】本発明の好ましい実施形態による、図1〜6に示すような薬剤送達部を密封する方法を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の好ましい実施形態による、図1および2に示すような制御部および薬剤送達部のブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体または動物の体に植え込まれるように構成された薬剤送達システムにおいて、
制御信号を発生させるように構成された制御部と、
それぞれ所定量の薬剤を入れるように構成され、薬剤の送達を可能にする送達開口部を有する複数の区画、
各区画の送達開口部を密封するように構成された膜、および
それぞれ区画の1つと関連し、制御信号に応じて所定の破裂パターンに従って膜を破裂させるように構成されて、第1の膜部分を所定の破裂パターンに従って第2の膜部分から部分的に離すことができると共に、連結領域で第2の膜部分に取り付けられたままになっている複数の解放要素
を含む薬剤送達部とを備えるシステムであって、膜の破裂により人間または動物の体液を薬剤と混合させることが可能になり、それによって薬物が人体または動物の体内への送達開口部を通して体液との混合物内に解放されるシステム。
【請求項2】
第1の膜部分が蓋を形成し、連結領域がヒンジを形成する請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項3】
それぞれ区画の1つを画定する、中に形成された複数の間隔を置いて配置されたキャビティを備えたウェハ本体を形成する基板をさらに備える請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項4】
膜が基板と一体形成されている請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項5】
キャビティがそれぞれ基板を通って延びて、各区画を薬剤で充填させる送達開口部と反対側の充填開口部を画定し、キャップが充填開口部を密封するように基板に結合された請求項3に記載の薬剤送達システム。
【請求項6】
膜を破裂させる助けとなるように、膜が所定のパターンに従って中に形成された脆弱線を有し、解放要素は制御信号に応じて膜を破裂させるように熱衝撃を加えるように構成された請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項7】
膜がシリコンからできている請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項8】
膜が所定の弾性変形限界および所定の破裂点を有し、膜が所定の弾性変形限界および所定の破裂点より小さな量だけ予め応力が加えられ、解放要素により膜は所定の弾性変形限界および所定の破裂点を超えて応力が加えられて、膜が破裂する請求項1に記載の薬剤送達システム。
【請求項9】
膜が減圧状態で予め応力が加えられている請求項8に記載の薬剤送達システム。
【請求項10】
人体または動物の体に植え込みするように構成された薬剤送達システムにおいて、
制御信号を発生させるように構成された制御部と、
ウェハ形本体を有する基板、
所定量の薬剤を入れるために基板内に形成され、区画を薬剤で充填するのを可能にする充填開口部および区画からの薬剤の送達を可能にする送達開口部を有する区画、
区画の充填開口部を密封するように構成されたキャップ、
区画の送達開口部を密封するように構成され、所定の弾性変形限界および所定の破裂点を有し、所定の弾性変形限界および所定の破裂点より少ない量だけ予め応力が加えられた膜、および
区画に関連し、膜を所定の弾性変形限界および所定の破裂点を超えて応力を加えるように構成されて、制御信号に応じて所定の破裂パターンに従って膜が破裂して、蓋を形成する第1の膜部分を所定の破裂パターンに従って第2の膜部分から離すと共に、ヒンジを形成する連結領域で第2の膜部分に取り付けられたままになっている解放要素
を含む薬剤送達部とを備えるシステムであって、膜の破裂により人間または動物の体液を薬剤と混合することが可能になり、それによって薬剤が人体または動物の体内への送達開口部を通して体液との混合物内に解放されるシステム。
【請求項11】
膜が基板と一体成形されている請求項10に記載の薬剤送達システム。
【請求項12】
膜を破裂させる助けとなるように、所定の破裂パターンに従って中に形成された脆弱線を膜が有する請求項10に記載の薬剤送達システム。
【請求項13】
膜がシリコンでできている請求項10に記載の薬剤送達システム。
【請求項14】
膜が減圧状態で予め応力が加えられている請求項10に記載の薬剤送達システム。
【請求項15】
薬剤が固体である請求項10に記載の薬剤送達システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−500086(P2006−500086A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−524985(P2004−524985)
【出願日】平成15年7月29日(2003.7.29)
【国際出願番号】PCT/US2003/023612
【国際公開番号】WO2004/010971
【国際公開日】平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願人】(504308442)ホスピラ・インコーポレイテツド (50)
【Fターム(参考)】