説明

植毛塗装方法及び装置

【課題】塗装ガンから吐出される植毛塗料パイル混合の吐出風量を設定できることと、植毛塗料パイルの量を一定にできるよう吐出粉体量を制御して塗装ができる植毛塗装装置を提供する。
【解決手段】粉体パイル1bを収容し、粉体タンク1の上部に、粉体取出口8を設け、流動槽1aから粉体パイル1bを引き出して塗装ガン5に送出するパイル塗料は、圧縮エアー源12に接続された電空調整器6によって、インジェクタ4の後方に接続された流量センサー3aで検出される流量を設定値になるように制御された圧縮エアー量がインジェクタ4に送られて、塗装ガン5から吐出される植毛塗料パイル混合の風量を制御すると同時に、測定搬送管2cに接続された粉体粒量センサー2aによって、圧縮エアー源12から圧力調整器7を経てエアー噴射器8から流動エアーの流動量を制御し、粉体パイル吐出量を定量に保ち、粉体パイルを塗装ガン5から吐出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、特に高圧静電塗装方式によらない、吐出風力による簡単且つコンパクトな構成で、高品質な植毛塗装を効率的に行う植毛塗装装置に関する。
【0002】
この発明は、植毛塗装を行う場合、吐出風力を制御することによって粉体パイルの吹き付け力を均質に保ち、且つ、粉体パイル量を一定に塗装ガンに供給し、簡単且つ高品質の植毛塗装装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
粉体塗装作業にあっては、仕上がり塗膜の均質化、及び粉体塗料の有効利用のために、常に、一定量の粉体塗料を塗装ガンに供給して塗装を行う必要がある。従来のこの種の粉体塗装装置を図2に示す。粉体塗料を収容するタンク1にインジェクタ2を取り付け、コントローラ3からエァーチューブ4を介してインジェクタ2のノズルに吸引エァーを吹き込むことにより、タンク1内の粉体塗料が吸引され、塗料ホース5を介して粉体塗装ガン6へと供給される。インジェクタ2には粉体塗料の流量を測定する粉体流量測定装置7が取り付けられ、この粉体流量測定装置7によって測定された粉体塗料の実流量とコントローラ3から入力された吐出量設定値との差分に基づき、実流量が吐出量設定値に等しくなるようにインジェクタ2のノズルに吹き込まれる吸引エァーの圧力が制御される。そして、コントローラ3からガンケーブル8を介して粉体塗装ガン6にガン電圧が印加され、粉体塗装ガン6から被塗物に向けて粉体塗料が吐出される。
【先行技術文献】
【0004】
【特許文献】
【特許文献】登録実用新案第3133320号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、粉体塗装装置はコントローラ3と粉体塗装ガン6とを接続するガンケーブル8によってガン電圧が印加され、粉体塗装ガン6から被塗物に向けて粉体塗料が吐出される。
【0006】
しかしながら、高圧静電塗装方式によらない植毛塗装装置の場合、前記粉体流量測定装置7によって測定された粉体塗料の実流量とコントローラ3から入力された吐出量設定値との差分に基づき、実流量が吐出量設定値に等しくなるようにインジェクタ2のノズルに吹き込まれる吸引エァーの圧力を制御するだけの方式では、塗装吹付け力と粉体パイルの均質化を両立させることが難しい。
【0007】
粉体パイルの均質化を計るために、この従来例を高圧静電塗装方式によらない植毛塗装装置に応用する場合、次のような問題がある。前記粉体流量測定装置7によって測定された粉体塗料の実流量とコントローラ3から入力された吐出量設定値との差分に基づき、実流量が吐出量設定値に等しくなるようにインジェクタ2のノズルに吹き込まれる吸引エァーの圧力を制御する方式では、粉体パイルの均一化は可能であるが、塗装吹き付け力を均質化することが難しい。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、高圧静電塗装方式によらない風力植毛塗装装置において、塗装吹付け力を設定値に等しくすると同時に粉体塗料の粉体粒量の塗装ガンへの供給量を均質にする植毛塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この考案に係る粉体塗装装置は、粉体塗料が収容されるタンクと、タンクに接続されたインジェクタと、インジェクタに接続された粉体塗装ガンと、インジェクタにより吸引される塗装吹付け風力の流量を測定する流量センサーと、塗装吐出風力の流量センサーで測定された粉体塗料混合の流量が吐出量設定値となるように吐出制御器によって吸引エァーの圧力をフィードバック制御する電空調整器と、さらに、粉体塗料の粒量を測定する粉体粒量センサーと、タンクから粉体塗料を吸引して粉体塗装ガンに供給すると共に粉体粒量センサーで測定された粉体塗料の粒量が吐出量設定値となるように吸引エァーの圧力を制御する圧力調整器によって粉体塗料を流動させるエァー噴射器とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
この考案によれば、高圧静電塗装方式によらない植毛塗装装置において、植毛塗料パイル混合の塗装吹付け力を吐出設定値に等しくすると同時に粉体塗料の粉体量の塗装ガンへの供給量を粉体量設定値と同じようにして、簡単且つコンパクトな構成で、高品質な植毛塗装を効率的に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この考案の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例】
【0012】
図1にこの考案の実施の形態に係る粉体塗装装置の構成を示す。粉体塗料1bを収容する粉体タンク1に粉体取出口8から測定搬送管2cを通じてインジェクタ4が取付けられていて、測定搬送管2cには粉体粒量センサー2aが接続されている。また、インジェクタ4と塗装ガン5の間には流量センサー3aが接続されている。
【0013】
また、流量センサー3aには吐出制御器3bが接続されており、吐出制御器3bから信号線10を介して電空調整器6が接続されていると同時に、図示しない圧縮空気源から圧力エァー12が分配器11を介して電空調整器6を経由してインジェクタ4に取り付けられている。植毛塗料パイル混合の塗装吐出力の制御はインジェクタ4の後方に取り付けられた粉体粒量センサーによって塗装ガン5に供給される植毛塗料パイル混合の流量を計測して、設定吐出量と比較して、圧縮空気の圧力を電空調整器6によって調節する事によって行う。
【0014】
また、粉体粒量センサー2aには粒量制御器2bが接続されており、粒量制御器2bから圧力調整器7が接続されていると同時に、図示しない圧縮空気源から圧力エァー12が分配器11を介して圧力調整器7を経由してエァー噴射器8a、8bに送られている。
粉体パイル流量の制御は粉体取出口8の後方に取り付けられた粉体粒量センサー2aによってインジェクタ4を経由して、塗装ガン5に供給される粉体パイルの量を計測して、設定粉体量と比較して、圧縮エァーの圧力を圧力調整器7によって調節し、粉体タンク1の上部に設置しているエァー噴射器8a、8bの圧縮エァー量を調節し、流動槽内の流動粉体パイルが均一になるよう流動させることにより行う。
【0015】
エァー噴射器8a、8bはパイルタンク1の上部両端に配置され、0.5mm孔のノズルが複数個、直下ならびに斜めに配置され、圧縮空気の圧力によって流動化を促進して、塗装ガン5に供給される粉体パイルの量を設定粉体粒量13bに等しくなるよう調節する。
【0016】
次に、この粉体塗装装置の動作について説明する。まず、作業者によって制御盤13から粉体塗料混合の吐出風量設定値13a、例えば10〜40リットル/分、粉体塗装ガン5へ搬送する粉体粒量設定値13bで、例えば径3ミクロン、長さ1.2ミリメータの植毛パイルの場合0.5〜2.5グラム/秒を入力する。さらに、作業者によって制御盤13から粉体塗装装置の電源13cを指示すると粉末パイル1bが収容された粉体パイルタンク1のエァー噴射器8a、8bから圧力エァーが流動槽1b内に流入し粉体パイルを流動化せしめる。粉体パイルの流動化は塗装ガン5に供給される粉体パイルの量を粉体粒量センサー2aによって計測して圧力調整器7によって調節し、粉体粒量設定値13bになるよう圧力調整器7によってエァー噴射器8a、8bの圧縮エァー量を調節して行なわれる。
【0017】
次に、塗装制御盤13の運転13dが押されると、塗装ガン5から植毛塗料パイル混合の塗装吐出風量は流量センサー3aで計測して、吐出風量設定13aと比較して、吐出制御器3bから信号線10を介して圧縮空気の圧力を電空調整器6によって調節して、インジェクタ4を経由してパイル混合の塗装風力が吐出される。
【0018】
前記のように、粉体塗装の品質に関係する吐出風量と粉体パイル量の均質化について、吐出風量はインジェクタ4と塗装ガン5の間に接続されている流量センサー3aで塗料パイル混合の塗装吐出風量を計測して電空調整器6で制御し、また粉体パイル量は粉体粒量センサー2aによって計測して圧力調整器7によって制御されるエァー噴射器8a、8bの圧縮エァー量を調節して設定粒量13bに等しい値にしようとするものである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、粉体パイル混合の風力吐出量の塗装ガンへの供給量を均質にする粉体塗料装置が可能となり、高圧静電塗装方式によらない、風力による簡単且つコンパクトな構成で、高品質な植毛塗装を効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による植毛塗装装置の実施例の構造図である。
【図2】従来技術による粉体塗装装置の説明図である。
【符号の説明】
1 粉体タンク
1a 流動槽
1b 粉体
2a 粉体粒量センサー
2b 粒量制御器
2c 測定搬送管
3a 流量センサー
3b 吐出制御器
4 インジェクタ
5 塗装ガン
6 電空調整器
7 圧力調整器
8 粉体取出口
8a エァー噴射器
8b エァー噴射器
9 エァーチューブ
10 信号線
11 分配器
12 圧縮エァー
13 制御盤
13a 吐出量設定
13b 粉体量設定
13c 電源スイッチ
13d 運転スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体塗料が収容されるタンクと、前記タンクに接続されたインジェクタと、前記インジェクタにより吸引される粉体塗料の粒量と混合の気体流量を測定する流量センサーと、前記流量センサーに接続された粉体塗装ガンと、前記インジェクタに吸引エァーを吹き込むことにより前記タンクから粉体塗料を吸引して前記粉体塗装ガンに供給すると共に前記流量センサーで測定された粉体塗料混合の流量が吐出量設定値となるように吸引エァーの圧力をフィードバック制御する吐出制御器と電空調整器とを備えたことを特徴とする粉体塗装装置。
【請求項2】
粉体塗料が収容されるタンクと前記インジェクタとの間に、粉体塗料の粒量を測定する粉体粒量センサーと前記粉体粒量センサーに接続される圧力調整器を備え、前記タンク内に配置され且つ圧力エァーを吹き込むことにより粉体塗料を流動化して前記粉体塗装ガンに供給すると共に前記粉体粒量センサーで測定された粉体塗料の粒量が粉体量設定値となるようにエアー噴射器の風力を制御する粒量制御器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の粉体塗装装置。
【請求項3】
粉体タンク内に備えるエアー噴射器は複数の噴射ノズルを有し、粉体パイルの流動量が圧力エアーによって制御出来るように前記タンク内に前記噴射ノズルを垂直と斜めに配置したことを特徴とする植毛塗装装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−61458(P2012−61458A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226993(P2010−226993)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(310020378)P・E・A(ペア)株式会社 (1)
【Fターム(参考)】