説明

植物に活性成分を供給する新規な方法

本発明は植物または切断された植物へ活性成分を供給し、損傷された、接ぎ木または継ぎ木された植物を回復することに関し、治療物質および機械的な支持が、損傷された、接ぎ木または継ぎ木された部位に、水溶性または水分散性の包帯または創傷ドレッシング材手段により、限定するものではないが特には、水溶性または水分散性の自己接着性のテープまたはラベルにより与えられる。1つ又は複数の活性成分が安全かつ効率的に、使用者、環境、近隣の植物または実を汚染することなく植物に適用され、水溶性または水分散性の包帯または創傷ドレッシング材が経時的に溶解するか、植物に吸収されるか、または植物に未だ付着しているうちに分散するか、または後の堆肥にするプロセスで分散される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物のための包帯または傷包帯に関する。より特に、本発明は植物へ活性成分を供給し、損傷された、接ぎ木または継ぎ木された植物を回復することに関し、治療物質および機械的な支持が、損傷された、接ぎ木または継ぎ木された部位に、水溶性または水分散性の包帯または創傷ドレッシング材手段により、限定するものではないが特には、水溶性または水分散性の自己接着性のテープまたはラベルにより与えられる。
【0002】
植物が接ぎ木されるか継ぎ木される場合、ロープの末端を巻くのと同様に、接ぎ木されるか継ぎ木された部位の周囲をコードで巻いて保護しなければならないことは長い間公知だった。同様に、植物が外部からの力、例えば、風によって、または人間または動物による干渉によって機械的な損傷を受けた場合、植物は修復が試みられるような状態である。この修復は、植物の影響を受けた部分に適用される当て木、または自然が治療プロセスを終えることを許容する一方、損傷箇所を支持するために植物の損傷箇所と損害を受けていない部分の間で結ばれる1片のコードの形をとることがある。
【0003】
本発明によれば、木、潅木、または他の種類の植物または切断された植物の組織のために適用される包帯または創傷ドレッシング材が提供され、包帯または創傷ドレッシング材は水溶性または水分散性のフィルム状の基体および、水溶性または水分散性の感圧性接着剤を含み、これらの一方または両方に1以上の活性成分が組込まれる。
【0004】
本出願の請求の範囲および明細書において使用される用語、「水溶性」、「水分散性」、および「切断された植物」は、以下のように定義される:
用語「水溶性」は、いかなる温度においても水中に溶解して均質の溶液を形成することができる物質について使用される。
用語「水分散性」は、いかなる温度においても水中に分散されることができ、永久的ないし一時的な分散液を形成することができる物質について使用される。
用語「切断された植物」は、販売されまたは再使用するために切断された植物をいい、したがって、花、観賞植物および潅木、レタスのようなある種の野菜、そしてバナナ、パイナップルのようなある種の果物を包含するが、これらの例は決して制限的なものではない。
【0005】
本出願の請求の範囲および明細書において記載される水溶性および水分散性物質は、物質を溶解/分散させるために水の存在を必要とする。
対照的に、生物分解性の物質は、微生物、主に細菌および菌類により無害の生成物(例えば天然産物)へ安全に分類され、環境中に消えることができる物質をいう。これは全く異なるプロセスである。また、水の存在は、物質を生物分解するためには必ずしも必要だとは限らない。
本発明では、生物分解性の物質は除外される。
【0006】
好ましくは、包帯または創傷ドレッシング材は治療プロセスの間に植物に機械的な支持を提供する。
好ましくは、1または複数の活性成分は治療プロセスを支援する。
好ましくは、1または複数の活性成分は、治療プロセスの間に植物を保護する。
【0007】
本発明の第1の実施態様では、包帯は好ましくは自己接着性のテープを含み、好ましくは使いやすさのために自己巻き取り性(セルフ−ワウンド)であり、またはラベルであり、フィルム状の基体および感圧性接着剤がどちらもあらかじめ決定された温度範囲内で水中に完全に溶解するように配合される。該温度範囲は冷水、すなわち5−30℃の範囲、温水、すなわち30−60℃の範囲または熱水、すなわち60℃以上であることができる。そのような水溶性の自己接着性のテープまたはラベルは、コードの代わりに使用され、損傷した植物に機械的な支持を短い時間で、したがって少ない費用で提供する事ができることが見出された。機械的な支持の程度は、フィルム状基体の組成、厚さおよび弾性の調節、または感圧性接着剤の組成の調節、またはフィルム状基体および感圧性接着剤の両方の組成の調節により変えることができる。
【0008】
本発明のこの第1の実施態様において、感圧性接着剤でコーティングされたフィルム状基体を含む自己接着性のテープまたはラベルは、一定期間の経過後に植物から取り除かれることが必要であるとは意図していない。それらは不利益な結果を生ずることなく植物へ吸収されるか、または雨と露の組み合わせによる影響によって溶解されるだろう。自己接着性のテープまたはラベルが溶解するために必要な時間は、フィルム状基体の適当なグレードまたは感圧性接着剤の適当な組成の選択により変化させることができる。適当な物質の選択は、植物が暴露される天候によって影響を受けるであろうことが認識されるだろう。
【0009】
自己接着性のテープまたはラベルは、治療プロセスを助けることが知られている活性成分を組込むように設計することができる。これらは、殺真菌剤、殺バクテリア剤、殺カビ剤、消毒剤、殺生物剤、植物刺激剤、マイクロ−栄養素、および葉の肥料の場合のように直接的に、または治療プロセスの間に望まれない昆虫の攻撃から植物を保護する殺虫剤、治療プロセスの間に望まれない軟体動物の攻撃から植物を保護する軟体動物駆除剤、または植物成長調整剤の場合のように間接的に組み込むことができる。
【0010】
上記のタイプのうちのいずれかの1つ以上の活性成分が、単独で、または組み合わせてフィルム状の基体内、または感圧接着剤配合物の中へ、または両方の中へ組込まれることができる。異なる活性成分が、フィルム状の基体および感圧接着剤に組み入れられることができる。一旦、フィルム状の基体が感圧性接着剤でコーティングされたならば、得られた物質は自己−巻き取り性テープまたは剥離ライナーに付着された自己−接着性ラベルに変換される。
【0011】
活性成分が特に感圧性接着剤配合物に組み入れられ、その後典型的には樹皮、1以上の茎、または1以上の葉である植物の任意の部分に直接接触される場合、自己接着性のテープまたはラベルは活性成分を植物に、所定の期間にわたって人体の皮膚を通ってニコチン・パッチがニコチンの低用量を投与するのと同様の方法で、植物に活性成分を供給することができる。この利点は、活性成分が浸透性で、したがって、引き続いて植物の全体にわたって輸送される場合により大きくなる。活性成分の迅速な取り込みが必要な時に、植物の幹は任意の手段により部分的に乱切りにされるか、または切り取られた後、自己接着テープまたはラベルを、開いた傷口に、またはその内部に付着させ、活性成分のより速い取り込みを引き起こすことができる。
【0012】
本発明の第1の実施態様はしたがって、両方が必要な場合には、機械的な見地から損傷された植物を修復するための自己接着性の包帯または創傷ドレッシング材、および植物の継ぎ木または接ぎ木または他の理由により損傷した部位に、修復を助けるために活性成分を分配する新規な供給システムの両者を提供することができる。このような方法での活性成分の植物への供給は、植物またはユーザを包む環境の汚染がなく、活性成分が植物の組織との密接な接触に置かれるので、特に安全で特効がある。
【0013】
第1の実施態様のさらなる応用において、切断された茎または切断部分は一本ずつまたは束にして、自己接着性テープ又はラベルで一緒にされ、第一には生産者から消費者への輸送において、第二には消費者により水中におかれた後の持ちを長くするため、切断後のその命を長くするために1以上の活性成分が与えられる。
【0014】
同様に、生鮮品の収穫後の寿命は、その切断面を保護することにより、特に菌による攻撃に対してその切断表面を、収穫後できるだけ速く切断面上に本発明の自己接着性テープ又はラベルを適用し、保護することにより延長されることができる。そのような生鮮品の例としては、レタスのような野菜、バナナおよびパイナップルのような果物が上げられるが、これらに制限されるものではない。
【0015】
フィルム状の基体および感圧性接着剤の1つまたは両方が着色されることができ、フィルム状の基体には印刷が施されることができ、植物上のテープまたはラベルの存在をカモフラージュすることができ、またマーケティングと技術情報をユーザに提供することを可能にする。
【0016】
治療プロセスと関係がない本発明の別の実施態様では、1つ以上の除草剤が包帯または創傷ドレッシング材、たとえば、自己接着性の水溶性のテープまたはラベルに組み入れられることができ、好ましくは感圧性接着剤配合物中へ組み入れられることができ、植物の1つ以上の葉または幹へ適用することができる。このようにして、除草剤または除草剤の組み合わせは植物内へ吸収され、望まれない植物を除去することができる。
今理解されるように、本発明は活性成分を植物に適用する方法であって、1つ又は複数の活性成分が安全かつ効率的に、使用者、環境、近隣の植物または実を汚染することなく植物に適用され、自己接着性のテープまたはラベルが経時的に溶解するか、植物に吸収されるか、または植物に未だ付着しているうちに分散するか、または後の堆肥にするプロセスで分散される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木、潅木または他の種類の植物または切断された植物の組織への適用のための包帯または創傷ドレッシング材であって、該包帯または創傷ドレッシング材が水溶性または水分散性のフィルム状の基体および、水溶性または水分散性の感圧性接着剤を含み、そのどちらかまたは両方の中に1つまたはそれ以上の活性成分が組込まれている、包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項2】
治療プロセスの間に植物に機械的な支持が提供される、請求項1記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項3】
活性成分が治療プロセスの間に支援する、請求項1記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項4】
活性成分が治療プロセスの間に植物を保護する、請求項1記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項5】
使用に際し、包帯または創傷ドレッシング材が切断された植物の茎または新鮮な生産物の切断表面に適用され、活性成分が切断の後の植物または新鮮な生産物の寿命を延長する、請求項1記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項6】
活性成分が、殺真菌剤、殺バクテリア剤、殺カビ剤、消毒剤、殺生物剤、マイクロ−栄養素、葉の肥料、殺虫剤、軟体動物駆除剤、植物成長調整剤またはこれらの組み合わせを含む群から選択される、請求項1または2記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項7】
活性成分が除草剤である、請求項1または2記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項8】
フィルム状の基体および感圧性接着剤の両方が、あらかじめ決定された温度において、水に完全に可溶である、請求項1から7のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項9】
植物または切断された植物へ直接適用するために、少なくとも1つの活性成分が感圧性接着剤に組み入れられる、請求項1から8のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項10】
フィルム状の基体および感圧性接着剤が、1つ又は複数の同じ活性成分を含んでいる、請求項1から9のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項11】
フィルム状の基体および感圧性接着剤が、1つ又は複数の異なる活性成分を含んでいる、請求項1から9のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項12】
フィルム状の基体および感圧性接着剤のどちらか、または両方が着色され、包帯または創傷ドレッシング材をカモフラージュする、請求項1から11のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項13】
自己巻き取り性のテープの形態の、請求項1から12のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項14】
剥離ライナーに付着されたラベルの形態の、請求項1から12のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。
【請求項15】
包帯または創傷ドレッシング材が植物内に吸収される、請求項1から14のいずれか1項記載の包帯または創傷ドレッシング材。

【公表番号】特表2008−506413(P2008−506413A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522014(P2007−522014)
【出願日】平成17年7月18日(2005.7.18)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002827
【国際公開番号】WO2006/008511
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(503419918)アクアゾル リミテッド (2)
【Fターム(参考)】