説明

植物の培養容器

【課題】
容器内部の高さが一定の2対の植物培養容器では、培養物の成長高さが上蓋体の天井壁に達すると、それ以降の培養を継続することができない。また、高さ方向に長い容器に植え替えにより培養を続ける事は可能であるが、成長する度に手間がかるだけで無く、培養物自体を損傷させてしまう危険性もある。
【解決手段】
下蓋体1と上蓋体2の間に、中間蓋体3を任意の数装着することにより、培養物の成長に応じた培養が可能な機構を持った培養容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に、植物の培養育成において用いられる、培養容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の培養容器は、底壁と周壁で構成された円筒状の下蓋体と、天井壁と周壁で構成された円筒状の上蓋体の2部品から構成され、それぞれ着脱機構を有し、互いに込み密着することが出来、培養空間を確保している。
【0003】
このような培養容器内では、植物の呼吸および光合成による、酸素と二酸化炭素の吸収排出があるため、外気と通気が必要とされる。その際、外部から生物などが混入することを防ぐために、上ケース天井壁または側壁には通気穴と、綿などを装填できる通気栓を有している。
【0004】
また、培養可能な植物の最大高さは、下蓋体の底壁から、上蓋体の天井壁までの距離により決められるため、培養期間での最大成長高さ予測を誤ると、容器内の植物が天井壁に達し、本来の培養目的が達成することが出来ない。(特許文献1参照)
【0005】
また、高さ方向の空間を確保するために、下蓋体を深型にする方法もとられているが、水遣りの際に、培養物の葉などに水が掛からないようにするためには少量ずつ注ぐなど注意が必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−143986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の植物培養容器では、植物の最大成長高さを予測し、容器を選択する必要があり、高さの異なる容器を予め複数準備する必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
下蓋体と上蓋体の間に装着可能な、中間蓋体(スペーサ)を培養容器の構成要素に、必要に応じて追加する。
【0009】
中間蓋体(スペーサ)は周壁のみの円筒状形状で、上下両端にそれぞれ着脱機構を有し、下蓋体と上蓋体に密着結合することができ、さらに、中間蓋体(スペーサ)同士の結合も可能である。
【発明の効果】
【0010】
この方法を用いれば、培養途中で植物が上蓋体の天井壁に達する前に、中間蓋体(スペーサ)を追加することにより、引き続き培養が可能となる。
【0011】
さらに、成長が続き再び植物が上蓋体の天井壁に到達する前に、さらに中間蓋体(スペーサ)を追加出来でき、必要に応じ複数個の追加が可能となり、その結果、培養植物の高さ方向での制約を排除できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】下蓋体と上蓋体の組み合わせを表した図である。
【図2】下蓋体と上蓋体の組み合わせた断面図である。
【図3】中間蓋体(スペーサ)の装着位置を示す図である。
【図4】中間蓋体をひとつ装着した状態の断面図である。
【図5】中間蓋体(スペーサ)未装着時に上蓋体上部まで培養物が成長した図である。
【図6】図5に対し、上蓋体を取り外した状態を示した図である。
【図7】中間蓋体(スペーサ)を1つ装着した状態を示した図である。
【図8】下蓋体のみの状態で水遣りを行っている状態を示した図である。
【図9】従来型の下蓋体のみの状態で水遣りを行っている状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一例として、各種種子の発芽と育成を観察するために使用する。
【実施例1】
【0014】
本考案の使用方法を図2、図4〜図8を基に説明する。下蓋体1内の、培養物5がある程度成長するまでは、図5のように上蓋体2のみを組み付けておく。成長が進み、上蓋体2の天井壁付近まで成長したら、図6のように上蓋体2を取り外し中間蓋体(スペーサ)3を代わりに取り付け、その後図7のように上蓋体2を取り付けることにより、培養容器内の高さ方向の空間が確保される。その後の成長に対しては、中間蓋体3をさらに挟み込むことで高さ方向の空間を空けることができ、培養物の成長を妨げることなく観察を継続することができる。
【0015】
上蓋体2、下蓋体1、及び中間蓋体(スペーサ)3は、ネジによる組付け方法とすることで、ある程度の密閉性を確保している。また、外部からの衝撃で蓋が外れることを防ぐと共に、転倒時に内容物が外部へ流出することを防ぐことも出来る。
【0016】
培養物5が成長し中間蓋体(スペーサ)3を使用している時は、図8のように下蓋体1より上部分を取り外すことにより、培養物5の葉などに掛かることなく根元部に効率よく水遣りや追肥といった作業を行うことが出来る。図9のように従来の深型の下蓋体では、培養物5の根元部のみに水遣りを行うには、少量ずつ注ぐなどの注意が必要であった。
【0017】
このような植物培養容器は培養物の成長を観察するためのものであり、容器の材質は、形状を維持でき、透過性を有しており、耐熱性のあるものであれば特に制限はされないが、一例としてポリカーボネイトを使用する。以上、実施例に基づいて説明したが、上述の実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0018】
1 培養容器の下蓋体
10 下蓋体の周壁部
11 下蓋体の底壁部
12 下蓋体の雄ネジ部
2 培養容器の上蓋体
20 上蓋体の周壁部
21 上蓋体の天井壁部
22 上蓋体の雌ネジ部
23 通気穴
24 通気栓
3 培養容器の中間蓋体(スペーサ)
30 中間蓋体(スペーサ)の周壁部
31 中間蓋体(スペーサ)の下端雌ネジ部
32 中間蓋体(スペーサ)の上端雄ネジ部
4 培地
5 培養物
6 水差しの先端部
61 水差し先端から培地までの距離(低位置)
62 水差し先端から培地までの距離(高位置)
7 従来の深型の下蓋体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物培養容器は、下蓋体、上蓋体および中間蓋体(スペーサ)から構成され、中間蓋体(スペーサ)の数は培養物の成長高さに合わせ、1個から複数の任意の個数が選択できることを特徴とする植物培養容器。
【請求項2】
中間蓋体(スペーサ)には、下蓋体の着脱機構を上端部に、上蓋体の着脱機構を下端部に設ける事によって、中間蓋体(スペーサ)同士の結合と、下蓋体、上蓋体との結合が可能なことを特徴とする、請求項1記載の植物培養容器。
【請求項3】
下蓋体、上蓋体、中間蓋体(スペーサ)はそれぞれ、耐熱性を有する透過性の材質である、ガラス、ポリプロピレン、ポリカーボネイト、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリアロマー、ポリサルフォン、およびフッ化炭素系樹脂のいずれかであることを特長とする、請求項1に記載の植物培養容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59264(P2013−59264A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197897(P2011−197897)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(505129172)BBJハイテック株式会社 (3)
【Fターム(参考)】