説明

植物性食材をベースとするソーセージ状食品とその製法

【課題】ペースト化された植物性食材もしくはペースト化された植物性食材に固形状(刻みカット)に加工された植物性食材を混合してケーシングに充填しソーセージ状に成形し、味、におい、食感等の点で摂食者が満足する食品ならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらされた植物性食材のうち50〜100重量部をペースト状に加工したのちケーシングに充填する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物性食材を低温スチームにさらしたのち、その一部もしくは全部をペースト状に加工し、必要に応じて調味料、香辛料、澱粉、植物性油等の副原料とともにケーシングに充填して得られるソーセージ状食品に関するもので、植物性食材における規格外品もしくは未利用部位の有効活用により植物性食材の自給率向上に資すると共に、高齢者等における流動食摂食者が植物性食材由来の食材を食べ易くなる技術である。
【0002】
規格外もしくは未使用部位を低温スチーム加熱することで従来は廃棄していたものが食材として甦るなど有効活用が図られ、植物性食材の自給率向上に資すると共に、健康志向に対応する植物性食材の摂取量向上が図られる。また予防医学に沿うバランスの良い栄養成分の摂取、メタボリック症候群対策、傷病者適応の特定栄養成分摂取などに資する技術である。
【背景技術】
【0003】
一般にいうソーセージとは、平成20年8月29日農林水産省告示第1368号に記載されているソーセージ品質表示基準に沿うもので、以下のものをいう。すなわち、
1)家畜、家きん若しくは家兎の肉を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉したもの(以下単に「原料畜肉類」という。)、家畜、家きん若しくは家兎の臓器もしくは可食部分を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉し又はすりつぶしたもの(以下単に「原料臓器類」という。)、又は魚肉若しくは鯨肉を塩漬し又は塩漬しないで、ひき肉し又はすりつぶしたもの(魚肉及び鯨肉の原材料にせき占める重量の割合が15%未満であるものに限る。以下単に「原料魚肉類」という。)を加え又は加えないで、調味料及び香辛料で調味し、結着補強剤、酸化防止剤、保存料等を加え又は加えないで練り合わせたものをケーシング等に充てんした後、くん煙し又はくん煙しないで加熱し又は乾燥したもの(原料畜肉類中家畜の肉の重量が家きん及び家兎の肉の重量を超え、かつ、原と料畜肉類の重量が原料臓器類の重量を超えるものに限る。)
2)原料臓器類に、原料畜肉類(その重量が原料臓器類の重量を超えないものに限る。)若しくは原料魚肉類を加え又は加えないで、調味料及び香辛料で調味し、結着補強剤、酸化防止剤、保存料等を加え又は加えないで練り合わせたものをケーシング等に充てんした後、くん煙し又はくん煙しないで加熱したもの
3)1又は2に、でん粉、小麦粉、コーンミール、植物性たん白、乳たん白その他の結着材料を加えたものであって、その原材料に占める重量の割合が15%以下であるもの
4)1、2又は3に、グリンピース、ピーマン、にんじん等の野菜、米、麦等の穀粒、ベーコン、ハム等の肉製品、チーズ等の種ものを加えたものであって、原料畜肉類又は原料臓器類の原材料に占める重量の割合が50%を超えるもの
5)1、2、3又は4をブロック、スライス又はその他の形状に切断して包装したもの
【0004】
従来から上述のような規格のソーセージが一般化し、市販されているが、植物性食材、例えば、野菜類、穀類、海藻類、豆類、きのこ類、果物類などをケーシングに詰めてソーセージ状に成形した食品は市販されていない。また前記植物性食材をペースト状に加工した食材で味、におい、香り、風味、食感等の点で消費者が満足できるものは知られていない。すなわち、味、におい、香り、風味、食感等について消費者が満足できる植物性食材をベースとしたソーセージ状食品を実現することにより、規格外植物性食材もしくは植物性食材の未利用部位の有効活用により植物性食材の自給率向上に資すると共に、高齢者等における流動食摂食者が植物性食材由来の食材を食べ易くなる技術を提供することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術により植物性食材をペースト化もしくは固形状(刻みカット)に加工することは可能ではあるが、前記品質表示基準が暗黙のうちに植物性食材にも適用され、ペースト化された植物性食材もしくはペースト化された植物性食材に固形状(刻みカット)に加工された植物性食材を混合してケーシングに充填しソーセージ状に成形された食品は知られていない。また従来技術によるペースト化された植物性食材は味、におい、香り、風味、食感等の点で摂食者が満足する食材は足り得ない。本発明は、これらの課題を解決することにより、規格外植物性食材もしくは植物性食材の未利用部位の有効活用により植物性食材の自給率向上に資すると共に、高齢者等における流動食摂食者が植物性食材由来の食材を食べ易くなる技術を提供する。
【0006】
すなわち、本発明は味、におい、香り、風味、食感等の点で摂食者が満足する植物性食材を主たる構成成分とするソーセージ状食品ならびにその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらされた植物性食材をケーシングに充填してソーセージ状に成形することにより達成される。
【0008】
また請求項2に係る発明のソーセージ状食品は、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらされた植物性食材のうち50〜100重量部をペースト状に加工したのちケーシングに充填することにより達成される。
【0009】
さらに請求項3に係る発明のソーセージ状食品は、請求項1もしくは2の発明の構成に加えて、前記50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらされた植物性食材がケーシングに充填された食材総量の90〜100重量部を占めるソーセージ状食品とすることにより達成される。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に関わる発明により、植物性食材を50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらすことにより、従来、摂食する上で障害となっていた味、におい、香り、風味、食感等が改善され、摂食者が満足する植物性食材を主たる構成成分とするソーセージ状食品を実現することが可能となる。請求項2に関わる発明により、植物性食材のケーシングへの充填がし易くなり、従来提供されたことのなかった植物性食材をベースとするソーセージ状食品を実現することが可能となる。また請求項3に関わる発明では、ケーシングに充填された食材総量の90〜100重量部を占める植物性食材に加え、残りの重量部に見合う調味料等の補助原料を構成成分とすることにより、摂食者がより満足する植物性食材をベースとするソーセージ状食品を実現することが可能となる。
【0011】
以上の効果により、規格外植物性食材もしくは植物性食材の未利用部位の有効活用さらには植物性食材の自給率向上に資することができる共に、高齢者等における流動食摂食者が植物性食材由来の食材をより好適に食べることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化したソーセージ状食品ならびにソーセージ状食品製造方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は原料である植物性食材を加工してソーセージ状食品を形成するまでの製造工程図である。なお、これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている内容は、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。したがって例示した工程すべてが固定的に必要であるということはなく、一部工程を省略もしくは追加することも可能である。
【0013】
図1に示すように本発明の工程は、前段の植物性食材の前処理工程、すなわち、原料植物性食材を刻みカット(固形状)食材もしくはペースト状食材に加工するまでの工程と、前段の前処理工程で得られた刻みカット(固形状)食材もしくはペースト状食材をケーシングにつめてソーセージ状に成形する後段の一連の工程に分けられる。さらに前段の植物性食材の前処理工程には工程1と工程2がある。ここで工程1とは、図1に示す原料受け入れから洗浄、殺菌、水洗、剥皮、水洗、カット、低温スチーム加熱、冷却、包装、加熱殺菌、冷却までの一連の工程をいう。また工程2とは、図1に示す原料受け入れから洗浄、殺菌、水洗、剥皮、水洗、カット、低温スチーム加熱、冷却、摩砕、包装、加熱殺菌、冷却までの一連の工程をいう。前記後段の一連の工程とは、図1に示す計量、混合、調味料の混合、ケーシングに充填、乾燥・くん煙、加熱殺菌、冷却、検査、包装、保存からなる一連の工程をいう。当該後段の一連の工程を本発明では、工程3と称する。工程1と工程2の違いは、摩砕工程の有無の違いで、工程1で処理された植物性食材は低温スチーム処理された刻みカット(固形状)食材となり、工程2で処理された植物性食材はペースト状食材となる。両者は工程3の計量工程を経て混合され、必要であれば調味料等が添加されたのちケーシングにつめてソーセージ状食品に成形される。
【0014】
工程1に受け入れた原料植物性食材は、洗浄、殺菌、水洗工程を経たのち剥皮工程で表皮部分が除去される。皮剥きされた食材は、水洗後、10ミリ以下にカットされ、低温スチーム加熱処理される。低温スチーム加熱工程を経た食材は冷却後、包装してから加熱殺菌工程を経て再び冷却される。ここまでの工程で植物性食材由来の刻みカット食材が得られる。
【0015】
工程2に受け入れた原料植物性食材は、工程1と同様に洗浄、殺菌、水洗、剥皮、水洗、カット、低温スチーム加熱、冷却を経た後、摩砕工程に入りペースト化される。ペースト化された食材は、包装してから加熱殺菌工程を経て再び冷却される。ここまでの工程で植物性食材由来のペースト化食材が得られる。
【0016】
上記の工程1と工程2は、ここでは別々なプロセスとして説明したが、摩砕工程を除けば同じ工程であり、設備も同じものが使用できる。また低温スチーム処理後の当該植物性食材の一部を摩砕工程に投入し、ペースト化食材を得ることもできる。
【0017】
上記工程1で得られた植物性食材由来刻みカット食材と工程2で得られた植物性食材由来ペースト化食材は、工程3で計量されたのち混合される。さらに必要に応じて調味料等の副原料が添加されたのち、ケーシングに充填され、ソーセージ状に成形される。当該ソーセージ状食品は、乾燥・くん煙、加熱殺菌、冷却、検査、包装の各工程を経て、本発明が目的とする、植物性食材を主たる構成成分とするソーセージ状食品となる。
【0018】
本発明で用いられる原料としての植物性食材は、野菜類、果物類、海藻類、キノコ類、穀類、豆類、種実類のうちのいずれか1種類の食材もしくは2種類以上の食材の組み合わせからなる。
【0019】
前記野菜類としては、あしたば、アスパラガス、インゲン豆、エダ豆、えんどう、エゴマ、オクラ、蕪、かぼちゃ、カリフラワー、キャベツ、きゅうり、ぎょうじゃにんにく、クレソン、ケール、こごみ、ごぼう、小松菜、青じそ、赤じそ、春菊、生姜、ずいき、ズッキーニ、セリ、セロリー、そら豆、大根、高菜、たけのこ、玉葱、タラの芽、とうもろこし、ヤングコーン、トマト、白菜、菜花、ニラ、人参、ニンニク、ネギ、野沢菜、白菜、バジル、パセリ、ピーマン、パプリカ、ブロッコリー、ほうれん草、マコモ、みつ葉、みょうが、芽キャベツ、もやし、モロヘイヤ、やまごぼう、ゆりね、よもぎ、レタス、レンコン、わさび、菊芋、蒟蒻芋、さつま芋、里芋、なが芋、自然薯、蓮根、じゃが芋、プチベール、チンゲン菜、シシトウなどが該当する。
【0020】
前記果物類としては、いちご、いちじく、いよかん、梅、温州みかん、夏みかん、ネーブル、オレンジ、柿、カボス、かりん、キウイフルーツ、キンカン、グレープ、サクランボ、ざくろ、すだち、すもも、だいだい、ドリアン、梨、八朔、パッションフルーツ、バナナ、びわ、葡萄、ブルーベリー、ぶんたん、ポンカン、マンゴー、メロン、もも、ゆず、ラズベリー、リンゴ、レモンなどが該当する。
【0021】
前記海藻類としては、あおさ、あお海苔、あらめ、岩ノリ、昆布、テングサ、ひじき、ふのり、モズク、わかめなどが該当する。
【0022】
前記キノコ類としては、えのき茸、きくらげ、椎茸、シメジ、ぶなシメジ、エリンギ、ヒラタケ、舞茸、マッシュルームなどが該当する。
【0023】
前記穀類には、米、玄米、大麦、小麦、あわ、きび、そば、とうもろこし、はとむぎ、ひえ、ライ麦などが該当する。
【0024】
前記豆類には、あずき、インゲン豆、えんどう豆、そら豆、大豆、黒大豆、たけあずき、ひよこ豆、らい豆、りょく豆、レンズ豆、とうもろこしなどが該当する。
【0025】
前記種実類には、アーモンド、エゴマ、アサ、カシューナッツ、ぎんなん、栗、くるみ、ごま、ココナッツ、落花生、しい、まつ、コーヒーなどが該当する。
【0026】
前記ペースト状に加工とは以下の操作をいう。すなわち、本発明でペースト状に加工とは、植物性食材を生または加熱した後、すりつぶして、塊のない柔らかで滑らかな状態にすることをいい、付加的操作として裏ごしにかけて塊を除去する操作も含まれる。ペースト状とは、ペースト加工操作で出来上がった塊のない柔らかで滑らかな状態をいい、糊状と表現されることもある。食材をペースト状に加工することは、本発明の適用例である流動食摂食者向け食材つくりとか、離乳食つくりに欠かない操作である。
【0027】
本発明でいうケーシングとは、ソーセージの表皮部分である。主に動物の腸を用いるほか、人工(コラーゲン、プラスチック、セルロース製)のものも含まれる。本発明では、植物性食材をペースト状に加工したのち、ケーシングの中に充填してソーセージ状食品を作る。当該ケーシングに使用される動物の腸としては、牛腸、豚腸、羊腸がある。
【0028】
日本農林規格による区別によれば、牛腸又は製品の太さが36mm以上のソーセージはボロニアソーセージ、豚腸又は製品の太さが20mm以上36mm未満のソーセージはフランクフルトソーセージ、羊腸又は製品の太さが20mm未満のソーセージはウィンナーソーセージと称される。ヨーロッパではこれらのソーセージはそれぞれ、ボローニャ、フランクフルト、ウィンナーソーセージと呼称される。近年では人工ケーシングを使った製品が多く市販されているが、その場合は直径で分類される。
【0029】
本発明におけるソーセージ状とは、上記農林規格に従って成形された、植物性食材をペースト状に加工し、ケーシングに充填してなるソーセージ状食品の形状をいう。すなわち、植物性食材をペースト状に加工し、ケーシングに充填してなるソーセージ状食品で使用したケーシングが牛腸又は製品の太さが36mm以上のものはボロニア野菜ソーセージ、使用したケーシングが豚腸又は製品の太さが20mm以上36mm未満のものはフランクフルト野菜ソーセージ、使用したケーシングが羊腸又は製品の太さが20mm未満のものはウィンナー野菜ソーセージと称される。
【0030】
本発明は、前記植物性食材が50〜99℃にコントロールされた低温スチームに15分以上さらされることにより、より好適に達成される。低温スチームとは、100℃より低い飽和水蒸気空間のことをいい、本発明ではとくに50〜99℃に保たれた飽和水蒸気空間、すなわち本発明でいう低温スチームが用いられる。50℃より低い温度の低温スチームに植物性食材をさらすと衛生上の課題が生じるのを防ぐため長時間の処理が必要となり経済性が損なわれる。また99℃以上では食材の細胞破壊からとうまみ成分が流出する恐れが大きくなり適当でない。また15分より短い時間での低温スチーム処理では植物性食材が十分調理された状態とならない。
【0031】
本発明は、前記植物性食材に調味料、香辛料、澱粉、植物油、などの補助原料を添加することにより、より好適に達成される。例えば調味料として砂糖、塩、酢、醤油、味噌、酒、蜂蜜、水飴など、また香辛料として胡椒、唐辛子、生姜、ニンニク、しそ、ミント、ナツメグ、ハーブ、柚子、シナモンなどを使用することにより、本発明になる植物性食材をベースとするソーセージ状食品を消費者の好みの味に調整することができる。また植物性ゲル化剤として、例えば、蒟蒻グルコマンナンゲル化剤を添加することにより、ペーストの粘度がコントロールでき、高齢者及び摂食障害者に適したソーセージ状食材を作ることができる。このように、補助原料を混合して味、香り、食感、風味などを調整することで、摂食者がより満足する植物性食材をベースとするソーセージ状食品を実現することが可能となる。ただし、補助原料を添加した場合でも、原料植物性食材の風味を維持する上で、前記植物性食材のケーシングへの充填量は、総充填量の90重量部以上とするのが適当である。
【実施例】
【0032】
以下に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【実施例1】
人参を根菜洗浄機で洗浄して付着している土泥及び異物(ひげ)を除去、水溶性殺菌水で殺菌、洗浄した後、皮部を剥いで、85℃の低温スチームで70分間加熱し、さらに摩砕方式ですりつぶしてペースト状人参を得た。このペースト状人参60kgに上記と同様な方法得られたペースト状じゃが芋15kg、ペースト状かぼちゃ15kg、ペースト状リンゴ3kg、ペースト状ミカン2kgを加えて混合したものに植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤と香辛料を加えて混合機で混練した後、得られたペースト状混合物をケーシングに充填して、ソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品を試食したところ、人参特有の臭みもなく、まろやかな味と食感で摂食者が満足する食材であった。
【0033】
この事例は工程2で処理して得られる植物性ペーストをソーセージ状に成形した例であり、人参摂取を日常的に簡単に食せて人体に必要不可欠なβ−カロテンが豊富な人参の重量比を多くしたメニューのソーセージ状食品である。人参には多様な機能成分が含みこれを摂取することで健康保持、維持などに効果もある。また低温加熱した各種野菜は灰汁が取れ澱粉質が糖化する熱変性で糖度が向上してまろやかな味にもなる。さらに食材の皮ごともペースト化可能のため、近年効能が実証された野菜の皮下に含まれる栄養素も、また食材丸ごとのために野菜に含まれる第六の栄養素とも言われてる食物繊維も豊富に残存する。また子供達の人参嫌い対策としてもソーセージ状形態であれば料理の幅も広く、味付けも和食、洋食、中華の各種料理に展開も可能である。またソーセージのケーシング内のグルコマンナンゲル化剤の含有量でペーストの粘度(硬さ)がコントロールでき高齢者及び摂食障害者にも適した新しい食材である。このように植物性食材をベースとする本ソーセージ状食品は、各種ペースト食材の自在な組み合わせにより、食目的に合わせた、世代別に合わせた、また職業別にあわせたメニュー展開が図られる食文化の未来につながる食品である。
【実施例2】
【0034】
図1の工程2に従い、じゃが芋原料に付着している土泥及び異物(ひげ)を除去し、根菜剥皮機で剥皮した後にじゃが芋の芽部の残かすを除去した原料を10mm以下にカットして85℃に保たれた低温スチームに70分さらした後、摩砕方式で粉砕しすり潰して得られたペースト状じゃが芋(70kg)と、図1の工程1に準拠して加工した人参(5kg)、牛蒡(5kg)、かぼちゃ(5kg)、パプリカ(5kg)、セロリ(3kg)を各々5mmカットした刻みカット食材(固形状)と植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加え、混合機で混練して得た混合物をケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は食味、食感の点で満足できるものであった。
【0035】
この事例は植物性ペースト食と固形状(刻みカット)した2種の食材組み合わせである。この固形状を各種混入した理由は植物性の栄養バランスと食感の組み合わせで食事時間(朝・昼・晩・夜食など)季節、地域、職業など個別対応が自在なメニュー展開が可能である。具体的には飲酒時に酔い防止としてソーセージ内にウコンを含有したり、低温スチーム効果のニンニクを含有して体力強化も可能である。ソーセージ状は日常的な食材のため朝食を取らない子供達にも良法な食形態である。
【実施例3】
【0036】
工程2に準拠し、うるち玄米を洗米した後に10℃以下の室内で1昼夜水に浸漬し水切り後に、80℃の低温スチームで180分加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状玄米を得た。このペースト状うるち玄米80kgと同様な方法で調製した餅玄米17kgに柑橘系ペースト3kg加えて混合し、さらに植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加えて混合機で混練して得た混合物を工程3に準拠しケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は玄米特有の糠臭がなく、食味、食感の点で満足できるものであった。
【0037】
玄米をソーセージ状にした他に類を見ない食形態であり、さらにこの米類と他の植物性食材との組み合わせから、主食と副食が同時に摂取できる新たな食文明の可能性も秘めている。玄米の難点である糠臭減少することで、栄養素の宝庫である胚芽部も全量食すことが可能になるので、白米との栄養比較では食物繊維では8倍、脂質では2,5倍も増量のデーターもあり、便秘の解消、体内のコレストロールや糖分解や発ガン物質を排出を促すことが実証されている。日本人の米離れにより糖尿病、肥満、アレルギー、炎症、動脈硬化の予防ができる研究も進んでいる。さらに他の植物性食材の組み合わせからは健康食、医療食分野への用途開発が進み米需要の効果にもつながる。
【実施例4】
【0038】
工程2に準拠し、海藻を洗浄及び塩抜き後に、60〜80℃の低温スチームで50分間加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状海藻を得た。同様に工程2に準拠して調製した柑橘類ペースト5kgと前記海藻ペースト90kgを肯定3に準拠して植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加え、混合機で混練して得た混合物をケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は食味、食感の点で満足できるものであった。
【0039】
この海藻類と他の植物性食材との組み合わせから、摂取不足の海藻類栄養素が簡単に利便性が良い食形態で摂取できる。特に海藻類には糖質と食物繊維が多く、脂質が少なく、しかしカルシュウムやカロテノイドやマグネシュウムやリン、ヨードなども多く含んでいる。高齢者の骨粗しょう症の要因であるカルシュウム摂取も容易であり、また肥満防止が可能な低カロリーでもある。特にひじき、アラメ、昆布、モズク、わかめなどのペースト状のソーセージ形態にすることは、乳幼児から高齢者までの層に栄養摂取として重要な食材である。
【実施例5】
【0040】
工程2準拠し、大豆類(大豆・黒大豆)などを洗浄した後に10℃以下の室内で1昼夜水に浸漬し水切り後に、60〜80℃の低温スチームで150分加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状大豆を得た。この低温スチームの長時間加熱で調製は、ペースト状大豆特有の臭いの減少と熱変性による糖化効果もあった。この大豆類90kgと柑橘系、ハーブ系、果実系ペーストを混合し、さらに植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加え、混合機で混練して得た混合物をケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は食味、食感の点で満足できるものであった。
【0041】
この豆類と他の植物性食材との組み合わせから豆類の難点である豆臭減少することで、豆類の調理の幅も拡大して重要な栄養成分であるたんぱく質、炭水化物、脂質、ビタミン、ミネラルなど摂取量が増加する。特に大豆は畑の肉と言われる栄養宝庫な食材で低脂肪高タンパク食品として血糖値抑制や健康維持やダイエット向けでもある。これをソーセージ状にすることで、他の植物性食材の組み合わせからは、摂取量も増加し、食べる医療分野への用途開発も可能である。
【実施例6】
【0042】
工程2に準拠し、きのこ類の部位ごとカットし分別した後に洗浄を行い、その後に、60〜80℃の低温スチームで80分間加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状を得た。通常の固形きのこでは硬くて咀嚼困難者が食せなかった食材が、ペースト状にすることで軟らかく流動性が良く摂食し易くした。じゃがいもペースト40kg、さといもペースト30kg、きのこ類ペースト25kgと植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加え、混合機で混練して得た混合物をケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は食味、食感の点で満足できるものであった。
【0043】
この事例はきのこ風味を重視したソーセージ状にした他に類を見ない食形態であり、このきのこ類と他の植物性食材の固形状(刻みカット)とペーストの組み合わせから、きのこの機能性成分の腫瘍の成長阻害、免疫系を活性化、血糖値の低下、抗ガンなどの効能を含んだ食形態であり、ソーセージ形態にすることは、乳幼児から高齢者までの層に栄養摂取として重要な食材であり、低カロリーで食物繊維が豊富であり便秘防止にもなる。
【実施例7】
【0044】
60〜80℃の低温スチーム、30〜120分の範囲で加熱をほどこし、図1の工程1に準拠してリンゴの刻みカット(固形状)と、工程2に準拠してペースト状リンゴを得た。リンゴペースト70kgとリンゴ刻みカット(固形状)20kgを混合し、さらに植物性蒟蒻グルコマンナンゲル化剤、調味料、香辛料などを加え、混合機で混練して得た混合物をケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本ソーセージ状食品は食味、食感の点で満足できるものであった。
【0045】
通常の果実類は生食か搾汁方式のジュース状が主流である。ここでのリンゴペーストと固形状(刻みカット)は芯部の味を損なう部位を除去したもので、皮も剥皮と皮付きの2種の選択できる可能な加工でほどこされた食材を使用してソーセージ状にしたものである。もともと果実は水分が多くジュースには最適であるが、果肉までペースト状の流動化することは果肉に含まれる栄養素も逃さず食せる目的である。また加熱することは味にまろやかさを出し尚且つ風味を保つためでもある。本発明で固形状(刻みカット)を加えることはペースト状に無い果物の食感を味わえる方法である。昨今果実需要が皮を剥いたり、カットが面倒だとの理由で減少してるためにも需要喚起と、乳幼児から高齢者までの層に栄養摂取として重要な食材である。また最近未熟果リンゴの中に肥満を抑制する成分が保有してることが学会で発表されたことに基づけば、この未熟果リンゴのペースト化及び固形化品をソーセージ状に入れれば自給率向上とともに医療分野にも寄与できる。
【実施例8】
【0046】
工程2に準拠し、生種実類(ゴマ、落花生、ぎんなんなど)を洗浄後に剥皮し、60〜90℃の低温スチームで30〜120分加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状を得た。また乾燥種実類(アーモンド、ごま、落花生など)を洗浄後に剥皮し10℃以下の室内で3〜24時間水に浸漬し水切り後に、60〜90℃の低温スチームで30〜120分加熱し、冷却後に摩砕方式ですりつぶしてペースト状を得た。ペースト状にして風味効能を保たせるためであり冷凍保存をして使用時に解凍して、他の食材に加えて混合機で混練してケーシングに充填してソーセージ状食品を得た。本種実類単体のソーセージ状食品は独特の風味があり満足できるものであった。
【0047】
種実類ペーストはやはり風味を重視した食材で、実施例5が示す大豆類ソーセージに落花生及びごまペーストを含有し混練してケーシングに充填して得たソーセージ状食品は、大豆類だけでは特有の臭みが残存しており、これを促すための保香性と風味もでてスパイス役としての重要な食材である。これの種実類の使用途次第で、機能性成分は豊富であるが、味と香りと風味を改良したい場合などには最適な食材でもある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の工程を示す模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
50〜99℃に保たれた低温スチームに15分以上さらされた植物性食材をケーシングに充填してソーセージ状に成形してなる食品。
【請求項2】
前記植物性食材のうち50〜100重量部をペースト状に加工したのちケーシングに充填することを特徴とする請求項1に記載のソーセージ状に成形してなる食品。
【請求項3】
前記植物性食材がケーシングに充填された食材総量の90〜100重量部を占める請求項1もしくは2に記載のソーセージ状に成形してなる食品。

【図1】
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【公開番号】特開2012−244985(P2012−244985A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130676(P2011−130676)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(511142888)
【Fターム(参考)】