説明

植物材料の植付け

本発明は、種(7)を処理する方法または種および/または植栽可能な材料を少なくとも1つの植付け位置を有する基層(1)に植え付ける方法に関する。本方法は、種(7)および/または植栽可能な材料を、処理物質(6)を植付け位置に投与することによって、処理物質(6)によって処理することを含む。本方法は、種(7)および/または植栽可能な材料を植付け位置に投与することをさらに含む。本方法は、処理物質(6)および/または種および/または植栽可能な材料を投与する投与手段(4,5)を設けることをさらに含む。本方法は、基層(1)および投与手段(4,5)を互いに対して移動させることをさらに含む。本方法は、多用量の種(7)および/または植栽可能な材料および/または一投与量の処理物質(6)を植付け位置に投与するように、種(7)および/または植栽可能な材料および/または処理物質(6)を順次的に投与する投与手段(4,5)を駆動する制御装置を設けることをさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、種および/または植栽可能な材料、例えば、制限されないが、種苗などの処理、特に植付けに関する。
【背景技術】
【0002】
植物を植え付ける技術では、種および/または植栽可能な材料を予備処理すること、すなわち、植栽可能な材料を植付ける場合に処理を施すことが知られている。具体的には、処理剤、例えば、殺菌剤、殺虫剤、バクテリアなど、または成長促進物質が、被膜の形態で種苗などに施されることがある。
【0003】
代替的に、種苗などに被膜を施す必要性をなくすために、種苗などおよび処理物質を別々に、しかし略同時に植付け位置に投与することが提案されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、請求項1および8にそれぞれ記載されている方法および装置の形態にある上記の後者の代替案の改良に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による方法および装置によれば、種蒔きおよび/または植付けの極めて迅速なプロセスを実現することが可能である。このプロセスでは、種苗などおよびこれらと別の処理物質を、任意の順序でまたは同時に、通常の植栽地または天然土壌であってもよい基層の植付け位置の内または上に投与することができる。このような場合、種または植栽可能な材料を意図された植付け位置に導入し、および/または処理物質を予定された植付け位置に導入することが確実に達成される。種および/または植栽可能な材料および処理物質の両方が1つの植付け位置に投与されることが予定され、かつ投与軌跡などが本発明によって考慮される実施形態では、一用量の種および/または植栽可能な材料のみならず、所定量の処理物質も、植付け位置の少なくとも1つに投与されることが確実になる。
【0006】
本発明は、従属請求項2〜7および請求項9に記載されるようないくつかの好ましい実施形態を含む。これらの好ましい実施形態が本発明を制限しないことは、明らかである。一例を挙げれば、請求項2は、本方法が、投与手段および基層を互いに対して移動させるとき、本質的に中断することなく、連続的に移動させる態様に基づいて、実行されるという特徴に関する。その結果、安全性を低下させることなく、プロセス速度を著しく増加させることができると共に、所望の各植付け位置において、一用量の種および/または植栽可能な材料が、一投与分または一所望量の処理物質と共に投与されることを確実にすることができる。
【0007】
多くの可能な実施形態では、基層が、投与手段に対して移動される。従って、投与手段を有する装置は、静止して配置され、基層は、相対的な移動速度でこの装置を通って送給され、これによって、基層の各植付け位置において、種および/または植栽可能な材料を配置し、同時に、所望量の処理物質を供給することができる。しかし、これによって、土壌を基層とする開放耕地または天然地面においても、本発明の方法が実施され得ることが、排除されるものではない。
【0008】
基層は、例えば、石綿繊維、鉢植え用土、ココナツ繊維などからなる繊維材料の層とすることができ、基層に配置された植付け位置の列を有し、投与手段は、本質的に対応する投与要素の列からなる。従って、1つの列における各植付け位置において、一用量の種および/または植栽可能な材料を一投与分または一所望量の処理物質と共に投与することができる。このような基層は、例えば、トレイとして知られる繊維材料から作製される。基層は、植付け位置の列を有し、これらの列は、例えば、各列における植付け位置間の距離に等しい特定の距離を隔てて配置される。投与要素は、種および/または植栽可能な材料および/または処理物質を投与する。このような実施形態では、植付け位置の列は、移動方向を横切る方向に配置され、投与要素は、多用量の種および/または植栽可能な材料および/または多投与量の処理物質を同時にかつ列に対応して投与するように、制御装置によって制御される。その結果、一用量の種および/または植栽可能な材料および/または処理物質を1つの列における全ての植付け位置に投与することができ、繊維材料の板のようなトレイとして知られる基層の容器を最適に用いることができる。
【0009】
特に、一用量の種および/または植栽可能な材料および一所望量の処理物質の両方を1つの植付け位置に投与することが望ましい場合、制御装置は、種および/または植栽可能な材料および液滴状、粒状、または粉状の処理物質の重量または空気抵抗に関連する種々の特性に対して、投与軌跡の差、投与速度の差、などを考慮することができる。
【0010】
前述したように、本発明は、本発明による方法を実行する装置にも関する。
【0011】
以下、添付図面を参照にし、本発明の好ましい実施形態について説明する。図面において、同一または同様の構成部分および要素は、同一の参照番号によって示される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1には、トレイ1が示されている。トレイ1の上面には、例えば、(小さい)窪みまたはピットの形をした植付け位置2が画定されている。これらの植付け位置2を有するトレイ1は、例えば、基層によって充填されるか、または石綿のような繊維材料から製造される。しかし、追加的にまたは代替的に、ココナツ繊維または鉢植え用土が用いられてもよい。植付け位置2は、基層1の上面に列3をなして並べられ、図1に概略的に示される実施形態では、7つの植付け位置2が各列3に配置されている。
【0013】
さらに、図1には、液滴状の処理物質用の投与要素4および種用の投与要素5が示されている。追加的にまたは代替的に、液滴状の処理物質の代わりに、粒状または粉状の処理物質が用いられてもよく、種の代わりに、苗などが基層1に植付けられてもよいことは、明らかである。
【0014】
植付け位置を有するトレイの形態にある基層1は、搬送手段(図示せず)によって、投与要素4,5に対して矢印Aの方向に進む。ここでは、投与要素4,5は、それら自体が静止し、本発明による方法を実行する装置の一部をなす。図1では投与要素4,5しか示されていないこのような装置は、移動可能であってもよく、この場合、例えば、基層1は、投与要素4,5の下方を通過せず、投与要素4,5が、農地、完全な土壌、または他の任意の静止地面の上を引っ張られるために、搬送フレーム上に規則正しく配置されてもよいことに留意されたい。このような方法は、地面を平らにし、図1に示されるような植付け位置2に対応させて、その平らな地面にピットを形成することによって、行なうこともできる。
【0015】
図2に示されるように、基層1は、矢印Aの方向に移動する。この移動の経過中に、規則正しく並んだ植付け位置(の列)が、図1に示される液滴状の処理物質用の投与要素4の直下および種を植付け位置に投与する投与要素5の直下に並ぶ。液滴状の処理物質を供給する投与要素4および種用の投与要素5は、矢印Aの移動方向において、ある距離で互いに離間している。この事実は、1つの液滴6および1つの種7が順次的にまたは同時に植付け位置2の1つの上または内に到達することが望まれるときに、考慮に入れられるべきである。このプロセスでは、液滴6および種7の投与速度および空気抵抗も、投与要素4,5をこれらの位置の差および投与特性の差に基づいて制御装置(図示せず)によって駆動するために、考慮される。図示される実施形態では、まず、1つの液滴6が凹部によって形成された植付け位置2に投与され、続いて、1つの種7が投与される。しかし、本発明による他の状況下では、この順番が逆にすることが望ましいこともある。この場合、まず、1つの種7が投与され、続いて、1つの液滴6が投与され、これによって、種を投与する前に、基層1を前処理する必要性がなくなる。
【0016】
図3は、投与要素4,5が、地面、例えば、農地の土壌の上を、矢印A’の方向に移動する前述したような逆の順序の場合を示している。この場合、どの瞬間においても、一つの液状処理物質および1つの種は、互いに対応して投与されるべきであることも考慮されたい。これによって、1つの種7だけでなく一滴の処理物質6も、各植付け位置に投与される。
【0017】
本発明によれば、高度に自動化されたプロセスが利用可能になる。このプロセスは、比較的高価なプレコートされた種7を購入する必要がないので、コスト面において極めて好ましい。本発明によれば、投与要素4,5の位置の差、および識別可能な形状(滴、粉、粒、など)の個々の処理物質および種および/または植栽可能な材料、例えば、種苗などの投与特性の差および投与軌跡の差が考慮される。これらの種々の因子を全て考慮することによって、各植付け位置において、処理物質を種および/または植栽可能な材料と組み合わせて投与することを確実にすることができる。
【0018】
前述の説明に照らせば、多くの代替的および追加的実施形態が当業者に明らかになるだろう。例えば、処理物質用の投与要素または多用量の種および/または植栽可能な材料用の投与要素は、正確に下方を向かないようにすることも可能である。例えば、1つの種7が植付け位置に着地する前に、一滴の処理物質6をその落下する種に「衝突」させ、種7を包むようにすることができる。また、一用量の植栽可能な材料を、予備処理物質が到達すべき予想位置、すなわち、植付け位置の1つにおいて、予備処理物質によって処理しなければならないことを排除させたいとき、少なくとも一用量の種および/または植栽可能な材料を投与する直前に、種および/または植栽可能な材料を処理物質に浸漬するかまたは種を処理物質内に包むために、投与要素4,5を組み合わせることも、その後に、これらの投与要素4,5の矢印AまたはA’の方向における移動が考慮されることが確実である限り、可能である。状況によっては、最初に、種を投与し、続いて、処理物質を投与することも好ましいことがある。さらに他の代替的および付加的な実施形態も、全て、これらの実施形態が特許請求の範囲に記載される本出願の定義から文言または精神において逸脱しない限り、本発明の保護の範囲内に含まれると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態の略斜視図である。
【図2】図1の線II−IIに沿った断面図である。
【図3】図1および図2に概略的に示されている実施形態における本発明の改良を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種および/または植栽可能な材料を処理し、少なくとも1つの植付け位置を有する基層に種蒔きするかまたは植え付ける方法において、
前記種および/または植栽可能な材料を、処理物質を前記植付け位置の内または上に投与することによって、前記処理物質によって処理し、
前記種および/または前記植栽可能な材料を前記植付け位置に投与し、
前記処理物質および/または前記種および/または植栽可能な材料を投与する投与手段を設け、
前記基層および前記投与手段を互いに対して移動させ、
少なくとも一用量の前記種および/または前記植栽可能な材料および/または一所望量の前記処理物質を、投与軌跡、投与時間、および前記基層に対する前記投与手段の移動速度を含む群からなる態様の少なくとも1つに基づいて、前記植付け位置に投与するように、前記種および/または前記植栽可能な材料および/または前記処理物質を順次的に投与する前記投与手段を駆動する制御装置を設ける、
ことを任意の順序で含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記投与手段および前記基層を、本質的に中断することなく、連続的に互いに対して移動させることをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基層を本質的に前記投与手段に対して移動させることをさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記処理物質は、殺菌剤、殺虫剤、植物成長促進物質、バクテリアなどを含む群から選択されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記種および/または前記植栽可能な材料は、種苗などを含む群から選択されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記基層は、植付け位置の列を有する、石綿繊維、鉢植え用土、ココナツ(繊維)、などのような繊維性材料の板から構成され、前記投与手段は、本質的に対応する投与要素の列から構成されることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
植付け位置の列は、移動の方向に対して横方向に配向され、投与要素の列は、前記投与手段を形成し、前記投与要素は、多用量の前記種および/または前記植栽材料および/または一所望量の処理物質を列状の多数の前記植付け位置に対応させて同時に投与するように、制御装置によって駆動されることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
種および/または植栽可能な材料および/または前記種および/または前記植栽可能な材料を処理する処理物質を、少なくとも1つの植付け位置を有する基層内に投与する装置において、
−前記種および/または前記植栽可能な材料および/または前記処理物質を前記植付け位置に投与する投与手段と、
−前記基層および前記投与手段を互いに対して移動させる搬送手段と、
−一用量の前記種および/または前記植栽可能な材料および/または一投与量の処理物質を、投与軌跡、投与時間、および前記基層に対する前記投与手段の移動速度を含む群からなる態様の少なくとも1つに基づいて、前記植付け位置に投与するように、前記種および/または前記植栽可能な材料および/または前記処理物質を順次的に投与する前記投与手段を駆動する制御装置と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2〜7のいずれか1項に記載の方法におけるステップを達成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項8に記載の投与する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−536512(P2008−536512A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507573(P2008−507573)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【国際出願番号】PCT/NL2006/000203
【国際公開番号】WO2006/112700
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(507348230)プレシジョン・ドリップ・ベスローテン・フェンノートシャップ (2)
【Fターム(参考)】