植物栽培システム
【課題】 作業者の作業経路(作業スペース)を確保でき、更に植物の栽培面積を増大できる植物栽培システムを提供するものである。
【解決手段】 植物の栽培に用いられる栽培手段を吊下げ、この吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる可動式栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、可動式栽培設備は、地面に立設される可動側支柱構造体と、可動側支柱構造体に設けられ、可動側支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、可動側支柱構造体に設けられ、可動側栽培手段を支持する可動側支持構造体と、吊下栽培手段を、非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、可動側支持構造体は、可動側栽培手段を、非作業位置にある各吊下栽培手段の間に配置させて支持する植物栽培システム。
【解決手段】 植物の栽培に用いられる栽培手段を吊下げ、この吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる可動式栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、可動式栽培設備は、地面に立設される可動側支柱構造体と、可動側支柱構造体に設けられ、可動側支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、可動側支柱構造体に設けられ、可動側栽培手段を支持する可動側支持構造体と、吊下栽培手段を、非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、可動側支持構造体は、可動側栽培手段を、非作業位置にある各吊下栽培手段の間に配置させて支持する植物栽培システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、ビニールハウスの施設において、農作物等の植物を栽培する植物栽培システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温室、ビニールハウスの施設において、農作物を栽培する場合、施設内の栽培用地に多数本の苗を植えることで、農作物の収穫量の増大が図られていた。しかし、温室、ビニールハウスの施設では、農作物の栽培用地(栽培面積)に制限を受け、更に、作業者が農作物を手入れする等の作業スペースを確保する必要があり、農作物の栽培面積を増大することは容易でない。そのため、温室、ビニールハウスの施設では、施設内の空間を有効利用して、作業スペースを確保しつつ、農作物の栽培面積を増大する技術が提案されている。
【0003】
農作物の栽培面積を増大する技術として、特許文献1は、複数の植物栽培装置を温室の長手方向に沿って、所定間隔ごとに配置している。植物栽培装置は、地面(設置面)に立設される支持部材、支持部材に傾斜自在(回転自在)に配置される保持部材等で構成され、保持部材の両端側に栽培手段を吊下げている。各栽培手段は、植物栽培装置間に作業通路を確保する状態で、地面上方側へ位置されている。
この特許文献1に開示する技術では、各植物栽培装置の保持部材を傾斜(回転)させることで、各植物栽培装置間の作業経路(作業スペース)幅を広げている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示する技術では、保持部材の両端側にのみ栽培手段を吊下げる構成を採用しているので、各栽培手段の間に農作物を栽培しないスペースが発生することになり、温室、ビニールハウスの施設内において農作物の栽培面積の増加率は低くなる。従って、農作物の収穫量の増大を図ることも困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−254688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、作業者の作業経路(作業スペース)を確保でき、更に植物の栽培面積を増大できる植物栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、前記栽培設備は、設置面に立設される支柱構造体と、前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持することを特徴とする植物栽培システムに関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、前記固定式栽培設備は、前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、前記固定側支持構造体は、前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システムに関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培システムに関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培システムに関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培システムに関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、前記栽培設備は、設置面に立設される支柱構造体と、前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、前記支持構造体は、前記栽培手段を前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持するので、第1に、吊下保持構造体の両端側に吊下げた吊下栽培手段を、非作業位置から作業位置に移動することで、作業スペース(作業通路)を確保でき、作業位置にある植物の手入れ等の作業を実行できる。
第2に、吊下保持構造体の両端側に吊下げた各吊下栽培手段の間に、別の栽培手段を配置しているので、植物の栽培面積を増大できる。
第3に、支柱構造体を設置面に立設するだけで、各栽培手段を支持できるので、ビニールハウスの施設の構造体(骨組構造)を利用することなく、簡単、安価に設置できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、前記固定式栽培設備は、前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、前記固定側支持構造体は、前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持するので、栽培設備によって確保される作業スペースを兼用して、固定側栽培手段の植物を手入れできるので、植物の栽培面積を増大できる。
栽培設備及び固定側栽培設備の組合せによって、栽培用地に植物を植える場合に比して、1.8倍の栽培面積の増大を図ることが可能となる。
また、固定側支柱構造体を設置面に立設するだけで、各栽培手段を支持できるので、ビニールハウスの施設の構造体(骨組構造)を利用することなく、簡単、安価に設置できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持するので、吊下栽培手段、栽培手段及び固定側栽培手段を非作業位置において並設(同一平面上で配置)できる。
従って、各栽培手段において同一栽培条件(栽培温度、日照時間等)を必要とする植物、特に、イチゴを栽培するとき、栽培面積を増大させつつ最適な環境にできる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなるので、各栽培手段の植物に養液を供給できる。また、各栽培手段から排液される養液を回収することで、回収養液を再利用でき、植物栽培の費用を抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであるので、作業者に頭上に各栽培手段は配置されない。
従って、作業者は、各栽培手段の植物を手入れする等の作業において、簡単に作業ができ、各栽培手段が頭上にないので安全である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図2】図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図3】図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【図4】図1の植物栽培システムの固定式栽培設備を示す正面構成図である。
【図5】本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成側面図である。
【図6】図1の植物栽培システムの他の可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図7】本発明に係る植物栽培システムであって、第2実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図8】図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図9】図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【図10】本発明に係る植物栽培システムであって、第3実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図11】図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図12】図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る植物栽培システムについて、図1乃至図12を参照して説明する。
なお、植物栽培システムの第1実施形態〜第3実施形態について説明する。
【0019】
<植物栽培システムの第1実施形態>
以下、植物栽培システムの第1実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図2は図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図3は図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。図4は図1の植物栽培システムの固定式栽培設備を示す正面構成図である。図5は本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成側面図である。図6は図1の植物栽培システムの他の可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【0020】
図1において、植物栽培システム(YS1)は、温室、ビニールハウスの施設(1)内に設置されるもので、可動式栽培設備(A1)及び固定側栽培設備(B)を含んで構成される。
植物栽培システム(YS1)は、図1に示すように、温室、ビニールハウスの施設(1:以下、施設(1)と称する)の幅方向(H)にわたって、可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)を交互に配置して構成されている。
この可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)の配置数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の幅方向(H)の寸法)に応じて調整される。
【0021】
<可動式栽培設備(A1)の具体構成>
可動式栽培設備(A1)は、図1乃至図3に示すように、可動側支柱構造体(2)、吊下保持構造体(3)、可動側支持構造体(5)及び可動手段(6)を備えてなり、複数の栽培手段(7)、(8)を支持する。
【0022】
可動側支柱構造体(2)は、図1乃至図3に示すように、一対の可動側支柱部材(9)、(10)を有し、各可動側支柱部材(9)、(10)は、幅方向(H)に直交する方向(F:前後方向)に間隔を隔てて配置されている。各可動側支柱部材(9)、(10)は、地面(11:設置面)に立設されている。各可動側支柱部材(9)、(10)は、軸線方向(U:上下方向)の上端側に、滑車支持部材(12)が設けられており、この滑車支持部材(12)は、各可動側支柱部材(9)、(10)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、可動側支柱部材(9)には、ウエイト案内溝(13)が形成されており、ウエイト案内溝(13)は、地面(11)側から可動側支柱部材(9)の上端側に延びている。
【0023】
吊下保持構造体(3)は、図1及び図2に示すように、一対の吊下保持部材(15)、(16)を有している。各吊下保持部材(15)、(16)の一端側は、図1及び図2に示すように、地面から所定高さ位置において、各可動側支柱部材(9)、(10)に回転自在に設けられている。これら各吊下保持部材(15)、(16)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の軸線方向(U:上下方向)に直交する幅方向(H)に延設されている。また、各吊下保持部材(15)、(16)の他端側には、栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下支持軸(17)が設けられている。
これにより、吊下保持構造体(3)は、各可動側支柱部材(9)、(10)から幅方向(H)の両側において、各吊下保持部材(15)、(16)を水平状態に配置している。
また、各吊下保持部材(15)、(16)は、一端側の各可動側支柱部材(9)、(10)を軸心として、回転自在にされている。
【0024】
可動側支持構造体(5)は、図1及び図2に示すように、複数の可動側支持板(18)、(19)を有している。各可動側支持板(18)、(19)は、地面(11)及び吊下保持構造体(3)間の非作業位置(NW)に配置されて、各可動支柱部材(9)、(10)に設けられている。これら各可動側支持板(18)、(19)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の幅方向(H)の両側に夫々配置され、図5に示すように、各可動側支柱部材(9)、(10)の間にわたって延設されている。
【0025】
可動手段(6)は、図1及び図2に示すように、複数の案内滑車(21)、(22)、複数の吊下滑車(23)、(24)、ウエイト(25:重り)及び複数本の吊下ワイヤ(26)、(27)を備えている。
【0026】
複数の案内滑車(21)、(22)は、図2に示すように、滑車支持部材(12)に配置されている。これら各案内滑車(21)、(22)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の幅方向(H)の両側に位置して、各回転支持軸(28)、(29)に軸支されている。
複数の吊下滑車(23)、(24)は、図2及び図3に示すように、各吊下保持部材(15)、(16)に連結ワイヤ(30)によって回転自在に連結されている。
【0027】
ウエイト(25)は、図1及び図2に示すように、各可動側支持部材(9)、(10)に配置されている。また、ウエイト(25)は、ウエイトガイド溝(13)で案内されながら可動側支持部材(9)、(10)の上下方向(U)に移動自在にされている。なお、ウエイト(25)の移動範囲は、ストッパ(31)により規制されている。
【0028】
複数の吊下ワイヤ(26)、(27)は、図2に示すように、各吊下滑車(23)、(24)及び案内滑車(21)、(22)に夫々掛渡されて配置されている。
各吊下ワイヤ(26)、(27)の一端側は、滑車支持部材(12)に夫々取付けられており、他端側はウエイト(25)に夫々連結されている。
【0029】
また、可動手段(6)は、図2及び図3に示すように、巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を備えている。
巻取滑車(32)は、可動側支柱部材(9)に回転自在に設けられ、吊下保持部材(15)及び可動側支持板(18)の間に配置されている。動滑車(33)は、連結部材(36)によってウエイト(25)に回転自在に連結されている。
操作ワイヤ(34)は、動滑車(33)に掛渡されて配置されている。また、操作ワイヤ(34)の一端側は、巻上滑車(32)に取付け固定されており、他端側は可動側支柱部材(9)に取付け固定されている。操作レバー(35)は、巻取滑車(32)に取付けられている。
【0030】
上記構成の可動手段(6)は、操作レバー(35)を一方向に回転することで、操作ワイヤ(34)を巻上滑車(32)に巻取る。この操作ワイヤ(34)の巻取りに伴って、ウエイト(25)は、動滑車(33)及び連結部材(36)を通じて、ウエイト案内溝(13)で案内されながら上下方向(U)の上方側へ移動される。
このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の上方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結されている連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として地面(11)側に回転される。
また、操作レバー(35)を他方向に回転することで、操作ワイヤ(34)を巻上滑車(32)から巻戻す。この操作ワイヤ(34)の巻戻しに伴って、ウエイト(25)は、動滑車(33)及び連結部材(36)を通じて、ウエイト案内溝(13)で案内されながら上下方向(U)の下方側へ移動される。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の下方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として各可動側支持板(18)、(19)側に回転される。
【0031】
複数の栽培手段(7)、(8)は、図1乃至図3に示すように、収納空間を有する収納ケース体(37)で構成されている。収納ケース体(37)は、図3に示すように、前後方向(F)に所定長さを有している。また、収納ケース体(37)の両端側には、吊下用ワイヤ(38)が夫々取付けられている。この収納ケース体(37)内には、複数の栽培容器(39)が夫々収納される。各栽培容器(39)には、農作物などの植物が多数本植え込まれている。
【0032】
栽培手段(7)は、図1乃至図3及び図5に示すように、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(9)、(10)の間に配置されている。この栽培手段(7)は、各吊下用ワイヤ(38)を各吊下保持部材(15)、(16)の吊下支持軸(17)に掛渡すことで、各吊下保持部材(15)、(16)に吊下げられる。
これにより、栽培手段(7:以下、吊下栽培手段(7)と称する)は、非作業位置(NW)において、吊下げ状態で支持される。ここで、非作業位置(NW)とは、地面(11)から所定高さの位置である。
【0033】
栽培手段(8)は、図1、図2及び図5に示すように、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(9)、(10)の間に配置されている。この栽培手段(8)は、可動側支持板(18)、(19)上に載置されている。これにより、栽培手段(8:以下、可動側栽培手段(8)と称する)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)の間に配置される。また、可動側栽培手段(8)は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に並設される。
【0034】
上記構成の可動式栽培設備(A1)は、図3及び図5に示すように、施設(1)の前後方向(F)にわたって1又は複数配列される。この可動式栽培設備(A1)の配列数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の前後方向(F)の寸法)に応じて調整される。
【0035】
また、可動式栽培施設(A1)は、図1乃至図3、及び図5に示すように、給液手段(40)及び排液回収手段(41)を備えている。
給液手段(40)は、複数の金属製の給液管(42)及び複数の給液ホース(43)を有し、各給液管(42)は、可動側支持板(18)、(19)に設けられている。また、各給液管(42)は、図3及び図5に示すように、前後方向(F)において、可動側支柱部材(9)、(10)の間にわたって配置されている。
給液ホース(43)は、図1及び図2に示すように、各給液管(42)及び各吊下栽培手段(7)、(7)、可動側栽培手段(8)、(8)に接続されている。
これにより、各給液管(42)に接続される給液ポンプ(図示しない)を駆動することで、各給液管(42)、及び給液ホース(43)を通して、植物栽培に使用する養液を各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)に供給できる。各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)内に収納されている栽培容器(39)の植物は、給液ホース(43)から養液の供給を受ける。
【0036】
排液回収手段(41)は、図5に示すように、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)に接続される排液ホース(44)を有し、排出通路(45)を通して、排液回収タンク(K)に接続されている。
これにより、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)の栽培容器(39)から排液される養液を、排液ホース(44)、排出通路(45)を通して排液回収タンク(K)に回収する。
【0037】
<固定式栽培設備(B)の具体構成>
固定式栽培設備(B)は、図4及び図5に示すように、固定側支柱構造体(46)、固定側支持構造体(47)を備えており、複数の栽培手段(48)を支持している。
【0038】
固定側支持構造体(46)は、図4及び図5に示すように、一対の固定側支柱部材(49)、(50)を有し、各固定側支柱部材(49)、(50)は前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。これら各固定側支柱部材(49)、(50)は、地面(11)に立設されている。
【0039】
固定側支持構造体(47)は、図4に示すように、固定側支持板(51)を有している。この固定側支持板(51)は、各固定側支柱部材(49)、(50)の間にわたって延設されており、非作業位置(NW)において、各固定側支柱部材(49)、(50)に設けられている。
【0040】
栽培手段(48)は、栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)と同一構成であり、図1、図4及び図5に示すように、前後方向(F)において、各固定側支柱部材(49)、(50)の間に配置されている。この栽培手段(48)は、固定側支持板(51)上に載置されている。
これにより、栽培手段(48:以下、固定側栽培手段(48)と称する)は、非作業位置(NW)において、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に並設されている。
【0041】
上記構成の固定式栽培設備(B)は、図5に示すように、施設(1)の前後方向(F)にわたって1又は複数配列されている。この固定式栽培設備(B)の配列数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の前後方向(F)の寸法)に応じて調整される。
【0042】
また、固定式栽培設備(B)は、図4及び図5に示すように、給液手段(52)及び排液回収手段(53)を備えている。
給液手段(51)は、金属製の給液管(54)及び複数の給液ホース(55)を有し、給液管(54)は、固定側支持板(51)に設けられている。また、給液管(54)は、図5に示すように、前後方向(F)において、固定側支柱部材(49)、(50)の間にわたって配置されている。
給液ホース(55)は、図4に示すように、給液管(54)及び固定側栽培手段(48)に接続されている。
これにより、給液管(54)に接続される給液ポンプ(図示しない)を駆動することで、給液管(54)、及び各給液ホース(55)を通して、植物栽培に使用する養液を各栽培手段(48)に供給できる。各固定側栽培手段(48)内に収納されている栽培容器(39)の植物は、給液ホース(55)から養液の供給を受ける。
【0043】
排液回収手段(53)は、図5に示すように、各固定側栽培手段(48)に接続される排液ホース(56)を有し、排出通路(57)を通して、排液回収タンク(K)に接続されている。
これにより、各固定側栽培手段(48)の栽培容器(39)から排液される養液を、排液ホース(56)、排出通路(57)を通して排液回収タンク(K)に回収する。
【0044】
<可動式栽培設備(A1)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある吊下栽培手段(7)、(7)内の農作物(植物)に対して作業するとき、図2に示す操作レバー(35)を一方向に回転する。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)の吊下栽培手段(7)、(7)は、各吊下保持部材(15)、(16)の回転によって、非作業位置(NW)から作業位置(OW)まで移動される。
作業位置(OW)において、図2に示すように、各吊下栽培手段(7)、(7)は、各可動側支持部材(18)、(19)の直下に位置される。
これにより、可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、吊下栽培手段(7)、(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
また、吊下栽培手段(7)、(7)を作業位置(OW)に移動すると、可動側支持板(18)、(19)及び固定式栽培設備(B)間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0045】
作業者による作業が終了すると、作業者は、操作レバー(35)を他方向に回転することで、各吊下保持部材(15)、(16)を非作業位置(NW)に向けて回転する。
各吊下栽培手段(7)、(7)は、各吊下保持部材(15)、(16)の回転によって、非作業位置(NW)まで移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)と並設される。
【0046】
なお、可動手段(6)において、操作レバー(35)に代えて、巻上滑車(32)を駆動モータ(図示しない)によって回転させる構成を採用できる。これにより、駆動モータの駆動により、作業者の操作を要することなく、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)及び作業位置(OW)間で回転移動できる。
【0047】
また、可動手段(6)において、各吊下ワイヤ(26)、(27)の夫々に対して、図2に示すウエイト(25)、巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を設ける構成を採用できる。これにより、各吊下ワイヤ(26)、(27)の操作レバーを回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)は、相互に独立して非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で回転移動できる。
【0048】
更に、可動式栽培設備(A1)において、各可動側支持板(18)、(19)を上下方向(U)に移動自在にする構成を採用できる。
これにより、可動側支持板(18)、(19)を、非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で移動でき、作業位置(OW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)の農産物(植物)を手入れ等の作業を行うことができる。
【0049】
<植物栽培システム(YS1)の可動式栽培設備の変形例>
図1に示す植物栽培システム(YS1)において、可動式栽培設備(A1)に代えて、図6に示す可動式栽培設備(A2)を採用しても良い。図6において、図2と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0050】
可動式栽培設備(A2)は、図6に示すように、図2に示す可動式栽培設備(A1)の巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を備えていない。
【0051】
上記構成の可動式栽培設備(A2)では、作業者が可動手段(6)のウエイト(25)を上下方向(U)の上方側へ移動する。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の上方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として地面(11)側に回転される。
また、ウエイト(25)を上下方向(U)の下方側へ移動する。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の下方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として各可動側支持板(18)、(19)側に回転される。
【0052】
なお、可動手段(6)において、各吊下ワイヤ(26)、(27)に別々のウエイトを連結することで、各吊下保持部材(15)、(16)を別々に回転移動させる構成も採用できる。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、相互に独立して非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で回転移動できる。
【0053】
<固定式栽培設備(B)の変形例>
固定式栽培設備(B)において、図4に示すように、各固定側支柱部材(49)、(50)に固定側吊下保持部材(58)を設ける。また、固定側吊下保持部材(58)は、幅方向(H)の両側に延設され、両端側に吊下支持軸(59)が設けられている。
そして、各固定側栽培手段(48)、(48)の吊下用ワイヤ(38)を各吊下支持軸(59)に掛渡すことで、各固定側栽培手段(48)、(48)は、非作業位置(NW)において、固定側吊下保持部材(57)の両端側に吊下げられる。
【0054】
<植物栽培システムの第2実施形態>
本発明に係る植物栽培システムの第2実施形態について、図7乃至及び図9を参照して説明する。
図7は本発明に係る植物栽培システムであって、第2実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図8は図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図9は図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【0055】
図8において、植物栽培システム(YS2)は、図1に示す植物栽培システム(YS1の可動式栽培設備(A1)を、他の可動式栽培施設(A3)に置換えたものである。
従って、植物栽培システム(YS2)は、可動式栽培設備(A2)以外、図1乃至図5と同一構成を備える。また、図7乃至図9において、図1乃至図5と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0056】
<可動式栽培設備(A3)の具体構成>
可動式栽培設備(A3)は、図7乃至図9に示すように、可動側支柱構造体(62)、吊下保持構造体(63)、可動側支持構造体(65)及び可動手段(66)を備えてなり、複数の吊下栽培手段(7)、(7)及び複数の可動側栽培手段(8)、(8)を支持する。
【0057】
可動側支柱構造体(62)は、図7乃至図9に示すように、一対の可動側支柱部材(67)、(68)を有し、各可動側支柱部材(67)、(68)は、前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。各可動側支柱部材(67)、(68)は、地面(11)に立設されている。
【0058】
吊下保持構造体(63)は、図7及び図8に示すように、吊下保持部材(以下、吊下保持部材(63)と称する)で構成され、各可動側支柱部材(67)、(68)の上端側に設けられている。この吊下保持部材(63)は、各可動側支柱部材(67)、(68)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、吊下保持部材(63)の両端側には、吊下栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下滑車(69)、(70)が回転自在に軸支されている。
【0059】
可動側支持構造体(65)は、図8に示すように、複数の可動側支持板(71)、(72)を有している。各可動側支持板(71)、(72)は、地面(11)及び吊下保持部材(63)間の非作業位置(NW)において、各可動側支柱部材(67)、(68)に設けられている。
これら各可動側支持板(71)、(72)は、各可動側支柱部材(67)、(68)から幅方向(H)の両側に延設されている。
【0060】
可動手段(66)は、図8及び図9に示すように、巻上滑車(73)、複数の案内滑車(74)、(75)、複数本の吊下ワイヤ(76)、(77)及び操作レバー(78)を有している。
巻上滑車(73)は、可動側支持板(71)、(72)の上方側に配置されて、可動側支柱部材(67)に回転自在に軸支されている。案内滑車(74)、(75)は、吊下滑車(69)、(70)の間に配置されて、各可動側支柱部材(67)、(68)の回転支持軸(79)に軸支されている。
各吊下ワイヤ(76)、(77)は、吊下滑車(69)、(70)及び案内滑車(74)、(75)に夫々掛渡されて配置されている。各吊下ワイヤ(76)、(77)の一端側は、吊下栽培手段(7)、(7)の吊下用ワイヤ(38)に取外自在に連結され、他端側は、巻上滑車(73)に連結されている。操作レバー(78)は、巻上滑車(73)に取付けられている。
【0061】
上記構成の可動手段(66)は、操作レバー(78)を一方向に回転することで、各吊下ワイヤ(76)、(77)を巻上滑車(73)から巻戻す。この各吊下ワイヤ(76)、(77)の巻戻しに伴って、各吊下ワイヤ(76)、(77)は、案内滑車(74)、(75)及び吊下滑車(69)、(70)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、地面(11)側に下降移動される。
また、操作レバー(78)を他方向に回転することで、各吊下ワイヤ(76)、(77)を巻上滑車(73)に巻取る。この各吊下ワイヤ(76)、(77)の巻取りに伴って、各吊下ワイヤ(76)、(77)は、案内滑車(74)、(75)及び吊下滑車(69)、(70)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、地面(11)側から上昇移動される。
【0062】
各吊下栽培手段(7)、(7)は、図7及び図8に示すように、各吊下ワイヤ(76)、(77)及び案内滑車(74)、(75)によって、吊下保持部材(63)の両端側に吊下げられている。また、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)に位置されている。
【0063】
各可動側栽培手段(8)、(8)は、図7及び図8に示すように、各可動側支持板(71)、(72)上に載置されている。これにより、各可動側栽培手段(8)、(8)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)に並設される。
【0064】
<可動式栽培設備(A3)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に対して作業するとき、操作レバー(78)を一方向に回転することで、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から地面(11)上の作業位置(OW)まで下降移動させる。
これにより、可動式栽培設備(A3)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、各吊下栽培手段(7)、(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
また、各吊下栽培手段(7)、(7)を作業位置(OW)に移動すると、可動側支持板(71)、(72)及び固定式栽培設備(B)の間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0065】
また、作業者におる作業が終了すると、作業者は、操作レバー(78)を他方向に回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)まで上昇移動する。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び各固定側栽培手段(48)、(48)に並設される。
【0066】
<植物栽培システムの第3実施形態>
本発明に係る植物栽培システムの第3実施形態について、図10乃至及び図12を参照して説明する。
図10は本発明に係る植物栽培システムであって、第3実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図11は図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図12は図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【0067】
図10において、植物栽培システム(YS3)は、図1に示す植物栽培システム(YS1の可動式栽培設備(A1)を、他の可動式栽培施設(A4)に置換えたものである。
従って、植物栽培システム(YS3)は、可動式栽培設備(A4)以外、図1乃至図5と同一構成を備える。また、図10乃至図12において、図1乃至図5と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0068】
<可動式栽培設備(A4)の具体構成>
可動式栽培設備(A4)は、図10乃至図12に示すように、可動側支柱構造体(82)、吊下保持構造体(83)、可動側支持構造体(85)及び可動手段(86)を備えてなり、複数の吊下栽培手段(7)、(7)及び複数の可動側栽培手段(8)、(8)を支持する。
【0069】
可動側支柱構造体(82)は、図10乃至図12に示すように、一対の可動側支柱部材(87)、(88)を有し、各可動側支柱部材(87)、(88)は、前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。また、各可動側支柱部材(87)、(88)は、地面(11)に立設されている。
【0070】
吊下保持構造体(83)は、図10及び図11に示すように、吊下保持部材(以下、吊下保持部材(83)を称する)で構成され、各可動側支柱部材(87)、(88)の上端側に設けられている。この吊下保持部材(83)は、各可動側支柱部材(87)、(88)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、吊下保持部材(83)の両端側には、吊下栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下支持軸(89)が設けられている。
【0071】
可動側支持構造体(85)は、図10及び図11に示すように、可動側支持板(90)、を有している。各可動側支持板(90)は、地面(11)及び吊下保持部材(83)間の非作業位置(NW)において、各可動側支柱部材(87)、(88)に設けられている。
この可動側支持板(90)は、各可動側支柱部材(87)、(88)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、各可動側支持板(90)は、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(87)、(88)間に配置されている。
【0072】
可動手段(86)は、図11及び図12に示すように、回転軸体(92)及び操作レバー(93)を有している。
回転軸体(92)は、各可動側支柱部材(87)、(88)の上端側に回転自在に軸支されている。また、回転軸体(92)の両端側には、各可動側支柱部材(87)、(88)の吊下保持部材(83)が取付け固定されている。操作レバー(93)は、可動側支柱部材(87)側において、回転軸体(92)に取付けられている。
なお、回転軸体(92)は、複数のギア(図示しない)で構成される位置決め手段によって、非作業位置(NW)及び作業位置(OW)に位置決め自在にされている。
【0073】
上記構成の可動手段(86)は、操作レバー(93)を一方向に回転することで、吊下保持部材(83)を時計方向へ回転させる。
これにより、吊下保持部材(83)の一端側(83A)は、地面(11)側に回転移動され、他端側(83B)は、可動側支持板(91)から離間する上方側へ回転移動される。
また、操作レバー(93)を他方向に回転することで、吊下保持部材(83)の一端側(83A)は、可動側支持板(90)から離間する上方側へ回転移動され、他端側(83B)は、地面(11)側に回転移動される。
【0074】
各吊下栽培手段(7)、(7)は、図11に示すように、各吊下用ワイヤ(38)を吊下保持部材(83)の両端側の吊下支持軸(89)に掛渡すことで、吊下保持部材(83)の両端側(83A)、(83B)に吊下げられる。また、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)に位置されている。
【0075】
各可動側栽培手段(8)、(8)は、図11に示すように、各可動側支持板(90)、(91)上に載置されている。これにより、各可動側栽培手段(8)、(8)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)に並設されている。
【0076】
<可動式栽培設備(A4)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に対して作業するとき、操作レバー(93)を一方向に回転することで、吊下保持部材(83)の一端側(83A)の吊下栽培手段(7)を非作業位置(NW)から地面(11)上の作業位置(OW)まで回転移動させ、他端側(83B)の吊下栽培手段(7)を非作業位置(NW)から上方側へ回転移動させる。
これにより、可動式栽培設備(A3)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、吊下保持部材(83)の一端側(83A)の吊下栽培手段(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
なお、吊下保持部材(83)の他端側(83B)の吊下栽培手段(7)に対して作業するときは、操作レバー(93)を他方向に回転させる。
また、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から移動すると、可動側支持板(90)及び固定式栽培設備(B)の間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0077】
また、作業者による作業が終了すると、作業者は、操作レバー(93)を他方向に回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)まで回転移動する。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び各固定側栽培手段(48)、(48)に並設される。
【0078】
なお、植物栽培システム(YS3)において、可動手段(86)の回転軸体(92)を駆動モータで駆動する構成を採用できる。これにより、駆動モータの駆動により、作業者の操作を要することなく、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)及び作業位置(OW)間で回転移動できる。
【0079】
上記構成の植物栽培システム(YS1)、(YS2)、(YS3)において、可動式栽培設備(A1)〜(A4)は、吊下栽培手段(7)、(7)を移動自在に配置し、更に、可動側栽培手段(8)、(8)を各吊下栽培手段(7)、(7)の間に配置する。これにより、非作業時において、作業スペース(作業通路)を確保するための領域に、吊下栽培手段(7)、(7)を配置でき、更に可動側栽培手段(8)、(8)によって、農作業(植物)の栽培面積を増大することができる。従って、農作物の収穫量を増加できる。
また、可動式栽培設備(A1)〜(A4)に並設して、固定式栽培設備(B)を配置しているので、直接、施設(1)の栽培用地に農作物(植物)を植える場合と比較して、1.8倍の栽培面積を確保できる。
これにより、農作物(植物)の植え付け株数を飛躍的に増加させることができ、施設(1)の縮小やランニングコストの低減につながる。
更に、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から作業位置(OW)に移動させることで、作業スペース(作業経路)を確保できる。
また、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)において、施設(1)の骨組構造を使用することなく、地面(11)に立設して設置している。これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)を、簡単、低コストで設置できる。
更に、給液手段(40)、(52)によって、各吊下栽培手段(7)、(7)、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)に自動的に養液を供給でき、栽培作業の簡素化を図ることが可能となる。そして、養液を排液回収手段(41)、(53)で回収することで、養液を再利用できる。
【0080】
<植物栽培システム(YS1)〜(YS3)の適用>
本発明に係る植物栽培システム(YS1)〜(YS3)は、例えば、温室、ビニールハウスの施設(1)のイチゴ栽培に適用することができる。
【0081】
イチゴ栽培において、収穫するイチゴ品質を確保するためには、各栽培手段(7)、(8)、(48)内の複数本のイチゴ苗に対して、同一平面で太陽光を均一に照射する必要がある。
本発明に係る植物栽培システム(YS1)〜(YS3)では、可動式栽培設備(A1)〜(A4)で支持する吊下栽培手段(7)、(7)及び可動側栽培手段(8)、(8)を地面(11)から所定高さの非作業位置(NW)に並設している。同様に、固定式栽培設備(B)で支持する固定側栽培手段(48)、(48)も非作業位置(NW)に並設している。
これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)で支持される各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)及び(48)、(48)は、非作業位置(NW)において同一平面上に配置される。
この結果、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)及び(48)、(48)内のイチゴ苗は、均一な太陽光の照射を受けることが可能となり、収穫されるイチゴ品質を均一にできる。
そして、本発明に係る植物栽培システムによれば、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)の組合せ(交互に配置する組合せ)によって、施設(1)の栽培用地に対して、1.8倍の栽培面積を確保しつつ、作業スペース(作業通路)も確保できるので、イチゴの品質を確保しつつ、収穫量を増大することが可能となる。
【0082】
また、イチゴ栽培において、作業効率を高めるため、非作業位置(NW)は、作業者の腰近傍の高さに設定(例えば、900mm〜1100mmの範囲)する。
これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)の吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から作業位置(OW)に移動して、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業経路)を確保して、作業を開始するとき、作業位置(OW)にある吊下栽培手段(7)、(7)のイチゴ苗のみならず、非作業位置(NW)にある可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)のイチゴ苗に対しても、同時に作業を実行できる。
この結果、全ての栽培手段(7)、(8)、(48)のイチゴ苗の手入れ等の作業を効率良く実行できる。
また、各栽培手段(7)、(8)、(48)は、作業者の頭上に位置しないので、安全に作業を実行できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、農作物(植物)の栽培面積を増大するため、温室、ビニールハウスの施設内に設置される植物栽培システムにおいて好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0084】
YS1 植物栽培システム
A1 可動式栽培設備
B 固定式栽培設備
2 可動側支柱構造体
3 吊下保持構造体
5 可動側支持構造体
6 可動手段
7 吊下栽培手段
8 可動側栽培手段
46 固定側支柱構造体
47 固定側支持構造体
48 固定側栽培手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、温室、ビニールハウスの施設において、農作物等の植物を栽培する植物栽培システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
温室、ビニールハウスの施設において、農作物を栽培する場合、施設内の栽培用地に多数本の苗を植えることで、農作物の収穫量の増大が図られていた。しかし、温室、ビニールハウスの施設では、農作物の栽培用地(栽培面積)に制限を受け、更に、作業者が農作物を手入れする等の作業スペースを確保する必要があり、農作物の栽培面積を増大することは容易でない。そのため、温室、ビニールハウスの施設では、施設内の空間を有効利用して、作業スペースを確保しつつ、農作物の栽培面積を増大する技術が提案されている。
【0003】
農作物の栽培面積を増大する技術として、特許文献1は、複数の植物栽培装置を温室の長手方向に沿って、所定間隔ごとに配置している。植物栽培装置は、地面(設置面)に立設される支持部材、支持部材に傾斜自在(回転自在)に配置される保持部材等で構成され、保持部材の両端側に栽培手段を吊下げている。各栽培手段は、植物栽培装置間に作業通路を確保する状態で、地面上方側へ位置されている。
この特許文献1に開示する技術では、各植物栽培装置の保持部材を傾斜(回転)させることで、各植物栽培装置間の作業経路(作業スペース)幅を広げている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示する技術では、保持部材の両端側にのみ栽培手段を吊下げる構成を採用しているので、各栽培手段の間に農作物を栽培しないスペースが発生することになり、温室、ビニールハウスの施設内において農作物の栽培面積の増加率は低くなる。従って、農作物の収穫量の増大を図ることも困難となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−254688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明が解決しようとする課題は、作業者の作業経路(作業スペース)を確保でき、更に植物の栽培面積を増大できる植物栽培システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、前記栽培設備は、設置面に立設される支柱構造体と、前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持することを特徴とする植物栽培システムに関する。
【0008】
請求項2に係る発明は、前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、前記固定式栽培設備は、前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、前記固定側支持構造体は、前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システムに関する。
【0009】
請求項3に係る発明は、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培システムに関する。
【0010】
請求項4に係る発明は、前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培システムに関する。
【0011】
請求項5に係る発明は、前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培システムに関する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、前記栽培設備は、設置面に立設される支柱構造体と、前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、前記支持構造体は、前記栽培手段を前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持するので、第1に、吊下保持構造体の両端側に吊下げた吊下栽培手段を、非作業位置から作業位置に移動することで、作業スペース(作業通路)を確保でき、作業位置にある植物の手入れ等の作業を実行できる。
第2に、吊下保持構造体の両端側に吊下げた各吊下栽培手段の間に、別の栽培手段を配置しているので、植物の栽培面積を増大できる。
第3に、支柱構造体を設置面に立設するだけで、各栽培手段を支持できるので、ビニールハウスの施設の構造体(骨組構造)を利用することなく、簡単、安価に設置できる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、前記固定式栽培設備は、前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、前記固定側支持構造体は、前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持するので、栽培設備によって確保される作業スペースを兼用して、固定側栽培手段の植物を手入れできるので、植物の栽培面積を増大できる。
栽培設備及び固定側栽培設備の組合せによって、栽培用地に植物を植える場合に比して、1.8倍の栽培面積の増大を図ることが可能となる。
また、固定側支柱構造体を設置面に立設するだけで、各栽培手段を支持できるので、ビニールハウスの施設の構造体(骨組構造)を利用することなく、簡単、安価に設置できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、前記支持構造体は、前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持するので、吊下栽培手段、栽培手段及び固定側栽培手段を非作業位置において並設(同一平面上で配置)できる。
従って、各栽培手段において同一栽培条件(栽培温度、日照時間等)を必要とする植物、特に、イチゴを栽培するとき、栽培面積を増大させつつ最適な環境にできる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなるので、各栽培手段の植物に養液を供給できる。また、各栽培手段から排液される養液を回収することで、回収養液を再利用でき、植物栽培の費用を抑えることが可能となる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであるので、作業者に頭上に各栽培手段は配置されない。
従って、作業者は、各栽培手段の植物を手入れする等の作業において、簡単に作業ができ、各栽培手段が頭上にないので安全である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図2】図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図3】図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【図4】図1の植物栽培システムの固定式栽培設備を示す正面構成図である。
【図5】本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成側面図である。
【図6】図1の植物栽培システムの他の可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図7】本発明に係る植物栽培システムであって、第2実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図8】図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図9】図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【図10】本発明に係る植物栽培システムであって、第3実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。
【図11】図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【図12】図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る植物栽培システムについて、図1乃至図12を参照して説明する。
なお、植物栽培システムの第1実施形態〜第3実施形態について説明する。
【0019】
<植物栽培システムの第1実施形態>
以下、植物栽培システムの第1実施形態を、図1乃至図6を参照して説明する。
図1は、本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図2は図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図3は図1の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。図4は図1の植物栽培システムの固定式栽培設備を示す正面構成図である。図5は本発明に係る植物栽培システムであって、第1実施形態を示す植物栽培システムの全体構成側面図である。図6は図1の植物栽培システムの他の可動式栽培設備を示す正面構成図である。
【0020】
図1において、植物栽培システム(YS1)は、温室、ビニールハウスの施設(1)内に設置されるもので、可動式栽培設備(A1)及び固定側栽培設備(B)を含んで構成される。
植物栽培システム(YS1)は、図1に示すように、温室、ビニールハウスの施設(1:以下、施設(1)と称する)の幅方向(H)にわたって、可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)を交互に配置して構成されている。
この可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)の配置数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の幅方向(H)の寸法)に応じて調整される。
【0021】
<可動式栽培設備(A1)の具体構成>
可動式栽培設備(A1)は、図1乃至図3に示すように、可動側支柱構造体(2)、吊下保持構造体(3)、可動側支持構造体(5)及び可動手段(6)を備えてなり、複数の栽培手段(7)、(8)を支持する。
【0022】
可動側支柱構造体(2)は、図1乃至図3に示すように、一対の可動側支柱部材(9)、(10)を有し、各可動側支柱部材(9)、(10)は、幅方向(H)に直交する方向(F:前後方向)に間隔を隔てて配置されている。各可動側支柱部材(9)、(10)は、地面(11:設置面)に立設されている。各可動側支柱部材(9)、(10)は、軸線方向(U:上下方向)の上端側に、滑車支持部材(12)が設けられており、この滑車支持部材(12)は、各可動側支柱部材(9)、(10)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、可動側支柱部材(9)には、ウエイト案内溝(13)が形成されており、ウエイト案内溝(13)は、地面(11)側から可動側支柱部材(9)の上端側に延びている。
【0023】
吊下保持構造体(3)は、図1及び図2に示すように、一対の吊下保持部材(15)、(16)を有している。各吊下保持部材(15)、(16)の一端側は、図1及び図2に示すように、地面から所定高さ位置において、各可動側支柱部材(9)、(10)に回転自在に設けられている。これら各吊下保持部材(15)、(16)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の軸線方向(U:上下方向)に直交する幅方向(H)に延設されている。また、各吊下保持部材(15)、(16)の他端側には、栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下支持軸(17)が設けられている。
これにより、吊下保持構造体(3)は、各可動側支柱部材(9)、(10)から幅方向(H)の両側において、各吊下保持部材(15)、(16)を水平状態に配置している。
また、各吊下保持部材(15)、(16)は、一端側の各可動側支柱部材(9)、(10)を軸心として、回転自在にされている。
【0024】
可動側支持構造体(5)は、図1及び図2に示すように、複数の可動側支持板(18)、(19)を有している。各可動側支持板(18)、(19)は、地面(11)及び吊下保持構造体(3)間の非作業位置(NW)に配置されて、各可動支柱部材(9)、(10)に設けられている。これら各可動側支持板(18)、(19)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の幅方向(H)の両側に夫々配置され、図5に示すように、各可動側支柱部材(9)、(10)の間にわたって延設されている。
【0025】
可動手段(6)は、図1及び図2に示すように、複数の案内滑車(21)、(22)、複数の吊下滑車(23)、(24)、ウエイト(25:重り)及び複数本の吊下ワイヤ(26)、(27)を備えている。
【0026】
複数の案内滑車(21)、(22)は、図2に示すように、滑車支持部材(12)に配置されている。これら各案内滑車(21)、(22)は、各可動側支柱部材(9)、(10)の幅方向(H)の両側に位置して、各回転支持軸(28)、(29)に軸支されている。
複数の吊下滑車(23)、(24)は、図2及び図3に示すように、各吊下保持部材(15)、(16)に連結ワイヤ(30)によって回転自在に連結されている。
【0027】
ウエイト(25)は、図1及び図2に示すように、各可動側支持部材(9)、(10)に配置されている。また、ウエイト(25)は、ウエイトガイド溝(13)で案内されながら可動側支持部材(9)、(10)の上下方向(U)に移動自在にされている。なお、ウエイト(25)の移動範囲は、ストッパ(31)により規制されている。
【0028】
複数の吊下ワイヤ(26)、(27)は、図2に示すように、各吊下滑車(23)、(24)及び案内滑車(21)、(22)に夫々掛渡されて配置されている。
各吊下ワイヤ(26)、(27)の一端側は、滑車支持部材(12)に夫々取付けられており、他端側はウエイト(25)に夫々連結されている。
【0029】
また、可動手段(6)は、図2及び図3に示すように、巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を備えている。
巻取滑車(32)は、可動側支柱部材(9)に回転自在に設けられ、吊下保持部材(15)及び可動側支持板(18)の間に配置されている。動滑車(33)は、連結部材(36)によってウエイト(25)に回転自在に連結されている。
操作ワイヤ(34)は、動滑車(33)に掛渡されて配置されている。また、操作ワイヤ(34)の一端側は、巻上滑車(32)に取付け固定されており、他端側は可動側支柱部材(9)に取付け固定されている。操作レバー(35)は、巻取滑車(32)に取付けられている。
【0030】
上記構成の可動手段(6)は、操作レバー(35)を一方向に回転することで、操作ワイヤ(34)を巻上滑車(32)に巻取る。この操作ワイヤ(34)の巻取りに伴って、ウエイト(25)は、動滑車(33)及び連結部材(36)を通じて、ウエイト案内溝(13)で案内されながら上下方向(U)の上方側へ移動される。
このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の上方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結されている連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として地面(11)側に回転される。
また、操作レバー(35)を他方向に回転することで、操作ワイヤ(34)を巻上滑車(32)から巻戻す。この操作ワイヤ(34)の巻戻しに伴って、ウエイト(25)は、動滑車(33)及び連結部材(36)を通じて、ウエイト案内溝(13)で案内されながら上下方向(U)の下方側へ移動される。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の下方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として各可動側支持板(18)、(19)側に回転される。
【0031】
複数の栽培手段(7)、(8)は、図1乃至図3に示すように、収納空間を有する収納ケース体(37)で構成されている。収納ケース体(37)は、図3に示すように、前後方向(F)に所定長さを有している。また、収納ケース体(37)の両端側には、吊下用ワイヤ(38)が夫々取付けられている。この収納ケース体(37)内には、複数の栽培容器(39)が夫々収納される。各栽培容器(39)には、農作物などの植物が多数本植え込まれている。
【0032】
栽培手段(7)は、図1乃至図3及び図5に示すように、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(9)、(10)の間に配置されている。この栽培手段(7)は、各吊下用ワイヤ(38)を各吊下保持部材(15)、(16)の吊下支持軸(17)に掛渡すことで、各吊下保持部材(15)、(16)に吊下げられる。
これにより、栽培手段(7:以下、吊下栽培手段(7)と称する)は、非作業位置(NW)において、吊下げ状態で支持される。ここで、非作業位置(NW)とは、地面(11)から所定高さの位置である。
【0033】
栽培手段(8)は、図1、図2及び図5に示すように、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(9)、(10)の間に配置されている。この栽培手段(8)は、可動側支持板(18)、(19)上に載置されている。これにより、栽培手段(8:以下、可動側栽培手段(8)と称する)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)の間に配置される。また、可動側栽培手段(8)は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に並設される。
【0034】
上記構成の可動式栽培設備(A1)は、図3及び図5に示すように、施設(1)の前後方向(F)にわたって1又は複数配列される。この可動式栽培設備(A1)の配列数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の前後方向(F)の寸法)に応じて調整される。
【0035】
また、可動式栽培施設(A1)は、図1乃至図3、及び図5に示すように、給液手段(40)及び排液回収手段(41)を備えている。
給液手段(40)は、複数の金属製の給液管(42)及び複数の給液ホース(43)を有し、各給液管(42)は、可動側支持板(18)、(19)に設けられている。また、各給液管(42)は、図3及び図5に示すように、前後方向(F)において、可動側支柱部材(9)、(10)の間にわたって配置されている。
給液ホース(43)は、図1及び図2に示すように、各給液管(42)及び各吊下栽培手段(7)、(7)、可動側栽培手段(8)、(8)に接続されている。
これにより、各給液管(42)に接続される給液ポンプ(図示しない)を駆動することで、各給液管(42)、及び給液ホース(43)を通して、植物栽培に使用する養液を各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)に供給できる。各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)内に収納されている栽培容器(39)の植物は、給液ホース(43)から養液の供給を受ける。
【0036】
排液回収手段(41)は、図5に示すように、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)に接続される排液ホース(44)を有し、排出通路(45)を通して、排液回収タンク(K)に接続されている。
これにより、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)の栽培容器(39)から排液される養液を、排液ホース(44)、排出通路(45)を通して排液回収タンク(K)に回収する。
【0037】
<固定式栽培設備(B)の具体構成>
固定式栽培設備(B)は、図4及び図5に示すように、固定側支柱構造体(46)、固定側支持構造体(47)を備えており、複数の栽培手段(48)を支持している。
【0038】
固定側支持構造体(46)は、図4及び図5に示すように、一対の固定側支柱部材(49)、(50)を有し、各固定側支柱部材(49)、(50)は前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。これら各固定側支柱部材(49)、(50)は、地面(11)に立設されている。
【0039】
固定側支持構造体(47)は、図4に示すように、固定側支持板(51)を有している。この固定側支持板(51)は、各固定側支柱部材(49)、(50)の間にわたって延設されており、非作業位置(NW)において、各固定側支柱部材(49)、(50)に設けられている。
【0040】
栽培手段(48)は、栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)と同一構成であり、図1、図4及び図5に示すように、前後方向(F)において、各固定側支柱部材(49)、(50)の間に配置されている。この栽培手段(48)は、固定側支持板(51)上に載置されている。
これにより、栽培手段(48:以下、固定側栽培手段(48)と称する)は、非作業位置(NW)において、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に並設されている。
【0041】
上記構成の固定式栽培設備(B)は、図5に示すように、施設(1)の前後方向(F)にわたって1又は複数配列されている。この固定式栽培設備(B)の配列数は、施設(1)の栽培用地面積(施設(1)の前後方向(F)の寸法)に応じて調整される。
【0042】
また、固定式栽培設備(B)は、図4及び図5に示すように、給液手段(52)及び排液回収手段(53)を備えている。
給液手段(51)は、金属製の給液管(54)及び複数の給液ホース(55)を有し、給液管(54)は、固定側支持板(51)に設けられている。また、給液管(54)は、図5に示すように、前後方向(F)において、固定側支柱部材(49)、(50)の間にわたって配置されている。
給液ホース(55)は、図4に示すように、給液管(54)及び固定側栽培手段(48)に接続されている。
これにより、給液管(54)に接続される給液ポンプ(図示しない)を駆動することで、給液管(54)、及び各給液ホース(55)を通して、植物栽培に使用する養液を各栽培手段(48)に供給できる。各固定側栽培手段(48)内に収納されている栽培容器(39)の植物は、給液ホース(55)から養液の供給を受ける。
【0043】
排液回収手段(53)は、図5に示すように、各固定側栽培手段(48)に接続される排液ホース(56)を有し、排出通路(57)を通して、排液回収タンク(K)に接続されている。
これにより、各固定側栽培手段(48)の栽培容器(39)から排液される養液を、排液ホース(56)、排出通路(57)を通して排液回収タンク(K)に回収する。
【0044】
<可動式栽培設備(A1)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある吊下栽培手段(7)、(7)内の農作物(植物)に対して作業するとき、図2に示す操作レバー(35)を一方向に回転する。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)の吊下栽培手段(7)、(7)は、各吊下保持部材(15)、(16)の回転によって、非作業位置(NW)から作業位置(OW)まで移動される。
作業位置(OW)において、図2に示すように、各吊下栽培手段(7)、(7)は、各可動側支持部材(18)、(19)の直下に位置される。
これにより、可動式栽培設備(A1)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、吊下栽培手段(7)、(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
また、吊下栽培手段(7)、(7)を作業位置(OW)に移動すると、可動側支持板(18)、(19)及び固定式栽培設備(B)間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0045】
作業者による作業が終了すると、作業者は、操作レバー(35)を他方向に回転することで、各吊下保持部材(15)、(16)を非作業位置(NW)に向けて回転する。
各吊下栽培手段(7)、(7)は、各吊下保持部材(15)、(16)の回転によって、非作業位置(NW)まで移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)と並設される。
【0046】
なお、可動手段(6)において、操作レバー(35)に代えて、巻上滑車(32)を駆動モータ(図示しない)によって回転させる構成を採用できる。これにより、駆動モータの駆動により、作業者の操作を要することなく、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)及び作業位置(OW)間で回転移動できる。
【0047】
また、可動手段(6)において、各吊下ワイヤ(26)、(27)の夫々に対して、図2に示すウエイト(25)、巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を設ける構成を採用できる。これにより、各吊下ワイヤ(26)、(27)の操作レバーを回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)は、相互に独立して非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で回転移動できる。
【0048】
更に、可動式栽培設備(A1)において、各可動側支持板(18)、(19)を上下方向(U)に移動自在にする構成を採用できる。
これにより、可動側支持板(18)、(19)を、非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で移動でき、作業位置(OW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)の農産物(植物)を手入れ等の作業を行うことができる。
【0049】
<植物栽培システム(YS1)の可動式栽培設備の変形例>
図1に示す植物栽培システム(YS1)において、可動式栽培設備(A1)に代えて、図6に示す可動式栽培設備(A2)を採用しても良い。図6において、図2と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0050】
可動式栽培設備(A2)は、図6に示すように、図2に示す可動式栽培設備(A1)の巻上滑車(32)、動滑車(33)、操作ワイヤ(34)及び操作レバー(35)を備えていない。
【0051】
上記構成の可動式栽培設備(A2)では、作業者が可動手段(6)のウエイト(25)を上下方向(U)の上方側へ移動する。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の上方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として地面(11)側に回転される。
また、ウエイト(25)を上下方向(U)の下方側へ移動する。このウエイト(25)の移動に伴って、吊下ワイヤ(26)、(27)は、上下方向(U)の下方側に移動され、更に、案内滑車(21)、(22)及び吊下滑車(23)、(24)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下保持部材(15)、(16)は、吊下滑車(23)、(24)に連結される連結ワイヤ(30)によって、一端側を中心として各可動側支持板(18)、(19)側に回転される。
【0052】
なお、可動手段(6)において、各吊下ワイヤ(26)、(27)に別々のウエイトを連結することで、各吊下保持部材(15)、(16)を別々に回転移動させる構成も採用できる。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、相互に独立して非作業位置(NW)及び作業位置(OW)の間で回転移動できる。
【0053】
<固定式栽培設備(B)の変形例>
固定式栽培設備(B)において、図4に示すように、各固定側支柱部材(49)、(50)に固定側吊下保持部材(58)を設ける。また、固定側吊下保持部材(58)は、幅方向(H)の両側に延設され、両端側に吊下支持軸(59)が設けられている。
そして、各固定側栽培手段(48)、(48)の吊下用ワイヤ(38)を各吊下支持軸(59)に掛渡すことで、各固定側栽培手段(48)、(48)は、非作業位置(NW)において、固定側吊下保持部材(57)の両端側に吊下げられる。
【0054】
<植物栽培システムの第2実施形態>
本発明に係る植物栽培システムの第2実施形態について、図7乃至及び図9を参照して説明する。
図7は本発明に係る植物栽培システムであって、第2実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図8は図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図9は図7の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【0055】
図8において、植物栽培システム(YS2)は、図1に示す植物栽培システム(YS1の可動式栽培設備(A1)を、他の可動式栽培施設(A3)に置換えたものである。
従って、植物栽培システム(YS2)は、可動式栽培設備(A2)以外、図1乃至図5と同一構成を備える。また、図7乃至図9において、図1乃至図5と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0056】
<可動式栽培設備(A3)の具体構成>
可動式栽培設備(A3)は、図7乃至図9に示すように、可動側支柱構造体(62)、吊下保持構造体(63)、可動側支持構造体(65)及び可動手段(66)を備えてなり、複数の吊下栽培手段(7)、(7)及び複数の可動側栽培手段(8)、(8)を支持する。
【0057】
可動側支柱構造体(62)は、図7乃至図9に示すように、一対の可動側支柱部材(67)、(68)を有し、各可動側支柱部材(67)、(68)は、前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。各可動側支柱部材(67)、(68)は、地面(11)に立設されている。
【0058】
吊下保持構造体(63)は、図7及び図8に示すように、吊下保持部材(以下、吊下保持部材(63)と称する)で構成され、各可動側支柱部材(67)、(68)の上端側に設けられている。この吊下保持部材(63)は、各可動側支柱部材(67)、(68)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、吊下保持部材(63)の両端側には、吊下栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下滑車(69)、(70)が回転自在に軸支されている。
【0059】
可動側支持構造体(65)は、図8に示すように、複数の可動側支持板(71)、(72)を有している。各可動側支持板(71)、(72)は、地面(11)及び吊下保持部材(63)間の非作業位置(NW)において、各可動側支柱部材(67)、(68)に設けられている。
これら各可動側支持板(71)、(72)は、各可動側支柱部材(67)、(68)から幅方向(H)の両側に延設されている。
【0060】
可動手段(66)は、図8及び図9に示すように、巻上滑車(73)、複数の案内滑車(74)、(75)、複数本の吊下ワイヤ(76)、(77)及び操作レバー(78)を有している。
巻上滑車(73)は、可動側支持板(71)、(72)の上方側に配置されて、可動側支柱部材(67)に回転自在に軸支されている。案内滑車(74)、(75)は、吊下滑車(69)、(70)の間に配置されて、各可動側支柱部材(67)、(68)の回転支持軸(79)に軸支されている。
各吊下ワイヤ(76)、(77)は、吊下滑車(69)、(70)及び案内滑車(74)、(75)に夫々掛渡されて配置されている。各吊下ワイヤ(76)、(77)の一端側は、吊下栽培手段(7)、(7)の吊下用ワイヤ(38)に取外自在に連結され、他端側は、巻上滑車(73)に連結されている。操作レバー(78)は、巻上滑車(73)に取付けられている。
【0061】
上記構成の可動手段(66)は、操作レバー(78)を一方向に回転することで、各吊下ワイヤ(76)、(77)を巻上滑車(73)から巻戻す。この各吊下ワイヤ(76)、(77)の巻戻しに伴って、各吊下ワイヤ(76)、(77)は、案内滑車(74)、(75)及び吊下滑車(69)、(70)で案内されながら、上下方向(U)の下方側へ移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、地面(11)側に下降移動される。
また、操作レバー(78)を他方向に回転することで、各吊下ワイヤ(76)、(77)を巻上滑車(73)に巻取る。この各吊下ワイヤ(76)、(77)の巻取りに伴って、各吊下ワイヤ(76)、(77)は、案内滑車(74)、(75)及び吊下滑車(69)、(70)で案内されながら、上下方向(U)の上方側へ移動される。これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、地面(11)側から上昇移動される。
【0062】
各吊下栽培手段(7)、(7)は、図7及び図8に示すように、各吊下ワイヤ(76)、(77)及び案内滑車(74)、(75)によって、吊下保持部材(63)の両端側に吊下げられている。また、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)に位置されている。
【0063】
各可動側栽培手段(8)、(8)は、図7及び図8に示すように、各可動側支持板(71)、(72)上に載置されている。これにより、各可動側栽培手段(8)、(8)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)に並設される。
【0064】
<可動式栽培設備(A3)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に対して作業するとき、操作レバー(78)を一方向に回転することで、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から地面(11)上の作業位置(OW)まで下降移動させる。
これにより、可動式栽培設備(A3)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、各吊下栽培手段(7)、(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
また、各吊下栽培手段(7)、(7)を作業位置(OW)に移動すると、可動側支持板(71)、(72)及び固定式栽培設備(B)の間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0065】
また、作業者におる作業が終了すると、作業者は、操作レバー(78)を他方向に回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)まで上昇移動する。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び各固定側栽培手段(48)、(48)に並設される。
【0066】
<植物栽培システムの第3実施形態>
本発明に係る植物栽培システムの第3実施形態について、図10乃至及び図12を参照して説明する。
図10は本発明に係る植物栽培システムであって、第3実施形態を示す植物栽培システムの全体構成正面図である。図11は図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す正面構成図である。図12は図10の植物栽培システムの可動式栽培設備を示す側面構成図である。
【0067】
図10において、植物栽培システム(YS3)は、図1に示す植物栽培システム(YS1の可動式栽培設備(A1)を、他の可動式栽培施設(A4)に置換えたものである。
従って、植物栽培システム(YS3)は、可動式栽培設備(A4)以外、図1乃至図5と同一構成を備える。また、図10乃至図12において、図1乃至図5と同一符号は同一構成であるので、その説明は省略する。
【0068】
<可動式栽培設備(A4)の具体構成>
可動式栽培設備(A4)は、図10乃至図12に示すように、可動側支柱構造体(82)、吊下保持構造体(83)、可動側支持構造体(85)及び可動手段(86)を備えてなり、複数の吊下栽培手段(7)、(7)及び複数の可動側栽培手段(8)、(8)を支持する。
【0069】
可動側支柱構造体(82)は、図10乃至図12に示すように、一対の可動側支柱部材(87)、(88)を有し、各可動側支柱部材(87)、(88)は、前後方向(F)に間隔を隔てて配置されている。また、各可動側支柱部材(87)、(88)は、地面(11)に立設されている。
【0070】
吊下保持構造体(83)は、図10及び図11に示すように、吊下保持部材(以下、吊下保持部材(83)を称する)で構成され、各可動側支柱部材(87)、(88)の上端側に設けられている。この吊下保持部材(83)は、各可動側支柱部材(87)、(88)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、吊下保持部材(83)の両端側には、吊下栽培手段(7)、(7)を吊下げるための吊下支持軸(89)が設けられている。
【0071】
可動側支持構造体(85)は、図10及び図11に示すように、可動側支持板(90)、を有している。各可動側支持板(90)は、地面(11)及び吊下保持部材(83)間の非作業位置(NW)において、各可動側支柱部材(87)、(88)に設けられている。
この可動側支持板(90)は、各可動側支柱部材(87)、(88)から幅方向(H)の両側に延設されている。
また、各可動側支持板(90)は、前後方向(F)において、各可動側支柱部材(87)、(88)間に配置されている。
【0072】
可動手段(86)は、図11及び図12に示すように、回転軸体(92)及び操作レバー(93)を有している。
回転軸体(92)は、各可動側支柱部材(87)、(88)の上端側に回転自在に軸支されている。また、回転軸体(92)の両端側には、各可動側支柱部材(87)、(88)の吊下保持部材(83)が取付け固定されている。操作レバー(93)は、可動側支柱部材(87)側において、回転軸体(92)に取付けられている。
なお、回転軸体(92)は、複数のギア(図示しない)で構成される位置決め手段によって、非作業位置(NW)及び作業位置(OW)に位置決め自在にされている。
【0073】
上記構成の可動手段(86)は、操作レバー(93)を一方向に回転することで、吊下保持部材(83)を時計方向へ回転させる。
これにより、吊下保持部材(83)の一端側(83A)は、地面(11)側に回転移動され、他端側(83B)は、可動側支持板(91)から離間する上方側へ回転移動される。
また、操作レバー(93)を他方向に回転することで、吊下保持部材(83)の一端側(83A)は、可動側支持板(90)から離間する上方側へ回転移動され、他端側(83B)は、地面(11)側に回転移動される。
【0074】
各吊下栽培手段(7)、(7)は、図11に示すように、各吊下用ワイヤ(38)を吊下保持部材(83)の両端側の吊下支持軸(89)に掛渡すことで、吊下保持部材(83)の両端側(83A)、(83B)に吊下げられる。また、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)に位置されている。
【0075】
各可動側栽培手段(8)、(8)は、図11に示すように、各可動側支持板(90)、(91)上に載置されている。これにより、各可動側栽培手段(8)、(8)は、非作業位置(NW)において、各吊下栽培手段(7)、(7)に並設されている。
【0076】
<可動式栽培設備(A4)の動作(作業者の作業)>
作業者は、非作業位置(NW)にある各吊下栽培手段(7)、(7)に対して作業するとき、操作レバー(93)を一方向に回転することで、吊下保持部材(83)の一端側(83A)の吊下栽培手段(7)を非作業位置(NW)から地面(11)上の作業位置(OW)まで回転移動させ、他端側(83B)の吊下栽培手段(7)を非作業位置(NW)から上方側へ回転移動させる。
これにより、可動式栽培設備(A3)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業通路)を確保できる。
そして、作業者は、作業スペースを使って、吊下保持部材(83)の一端側(83A)の吊下栽培手段(7)内の栽培容器(39)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行う。
なお、吊下保持部材(83)の他端側(83B)の吊下栽培手段(7)に対して作業するときは、操作レバー(93)を他方向に回転させる。
また、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から移動すると、可動側支持板(90)及び固定式栽培設備(B)の間には、吊下栽培手段(7)、(7)が存在しなくなるので、作業者は、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)の農作物(植物)の手入れ等の作業を行うことができる。
【0077】
また、作業者による作業が終了すると、作業者は、操作レバー(93)を他方向に回転することで、各吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)まで回転移動する。
これにより、各吊下栽培手段(7)、(7)は、非作業位置(NW)において、各可動側栽培手段(8)、(8)及び各固定側栽培手段(48)、(48)に並設される。
【0078】
なお、植物栽培システム(YS3)において、可動手段(86)の回転軸体(92)を駆動モータで駆動する構成を採用できる。これにより、駆動モータの駆動により、作業者の操作を要することなく、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)及び作業位置(OW)間で回転移動できる。
【0079】
上記構成の植物栽培システム(YS1)、(YS2)、(YS3)において、可動式栽培設備(A1)〜(A4)は、吊下栽培手段(7)、(7)を移動自在に配置し、更に、可動側栽培手段(8)、(8)を各吊下栽培手段(7)、(7)の間に配置する。これにより、非作業時において、作業スペース(作業通路)を確保するための領域に、吊下栽培手段(7)、(7)を配置でき、更に可動側栽培手段(8)、(8)によって、農作業(植物)の栽培面積を増大することができる。従って、農作物の収穫量を増加できる。
また、可動式栽培設備(A1)〜(A4)に並設して、固定式栽培設備(B)を配置しているので、直接、施設(1)の栽培用地に農作物(植物)を植える場合と比較して、1.8倍の栽培面積を確保できる。
これにより、農作物(植物)の植え付け株数を飛躍的に増加させることができ、施設(1)の縮小やランニングコストの低減につながる。
更に、吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から作業位置(OW)に移動させることで、作業スペース(作業経路)を確保できる。
また、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)において、施設(1)の骨組構造を使用することなく、地面(11)に立設して設置している。これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)を、簡単、低コストで設置できる。
更に、給液手段(40)、(52)によって、各吊下栽培手段(7)、(7)、可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)に自動的に養液を供給でき、栽培作業の簡素化を図ることが可能となる。そして、養液を排液回収手段(41)、(53)で回収することで、養液を再利用できる。
【0080】
<植物栽培システム(YS1)〜(YS3)の適用>
本発明に係る植物栽培システム(YS1)〜(YS3)は、例えば、温室、ビニールハウスの施設(1)のイチゴ栽培に適用することができる。
【0081】
イチゴ栽培において、収穫するイチゴ品質を確保するためには、各栽培手段(7)、(8)、(48)内の複数本のイチゴ苗に対して、同一平面で太陽光を均一に照射する必要がある。
本発明に係る植物栽培システム(YS1)〜(YS3)では、可動式栽培設備(A1)〜(A4)で支持する吊下栽培手段(7)、(7)及び可動側栽培手段(8)、(8)を地面(11)から所定高さの非作業位置(NW)に並設している。同様に、固定式栽培設備(B)で支持する固定側栽培手段(48)、(48)も非作業位置(NW)に並設している。
これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)で支持される各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)及び(48)、(48)は、非作業位置(NW)において同一平面上に配置される。
この結果、各栽培手段(7)、(7)、(8)、(8)及び(48)、(48)内のイチゴ苗は、均一な太陽光の照射を受けることが可能となり、収穫されるイチゴ品質を均一にできる。
そして、本発明に係る植物栽培システムによれば、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)の組合せ(交互に配置する組合せ)によって、施設(1)の栽培用地に対して、1.8倍の栽培面積を確保しつつ、作業スペース(作業通路)も確保できるので、イチゴの品質を確保しつつ、収穫量を増大することが可能となる。
【0082】
また、イチゴ栽培において、作業効率を高めるため、非作業位置(NW)は、作業者の腰近傍の高さに設定(例えば、900mm〜1100mmの範囲)する。
これにより、可動式栽培設備(A1)〜(A4)の吊下栽培手段(7)、(7)を非作業位置(NW)から作業位置(OW)に移動して、可動式栽培設備(A1)〜(A4)及び固定式栽培設備(B)の間に作業スペース(作業経路)を確保して、作業を開始するとき、作業位置(OW)にある吊下栽培手段(7)、(7)のイチゴ苗のみならず、非作業位置(NW)にある可動側栽培手段(8)、(8)及び固定側栽培手段(48)、(48)のイチゴ苗に対しても、同時に作業を実行できる。
この結果、全ての栽培手段(7)、(8)、(48)のイチゴ苗の手入れ等の作業を効率良く実行できる。
また、各栽培手段(7)、(8)、(48)は、作業者の頭上に位置しないので、安全に作業を実行できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、農作物(植物)の栽培面積を増大するため、温室、ビニールハウスの施設内に設置される植物栽培システムにおいて好適に利用されるものである。
【符号の説明】
【0084】
YS1 植物栽培システム
A1 可動式栽培設備
B 固定式栽培設備
2 可動側支柱構造体
3 吊下保持構造体
5 可動側支持構造体
6 可動手段
7 吊下栽培手段
8 可動側栽培手段
46 固定側支柱構造体
47 固定側支持構造体
48 固定側栽培手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、
前記栽培設備は、
設置面に立設される支柱構造体と、
前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、
前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、
前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、
前記支持構造体は、
前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持することを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、
前記固定式栽培設備は、
前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、
前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、
前記固定側支持構造体は、
前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項3】
前記支持構造体は、
前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培システム。
【請求項4】
前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、
前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、
前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培システム。
【請求項5】
前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培システム。
【請求項1】
植物栽培用の吊下栽培手段を有し、前記吊下栽培手段を非作業位置及び作業位置の間で移動させる栽培設備を含んでなる植物栽培システムであって、
前記栽培設備は、
設置面に立設される支柱構造体と、
前記支柱構造体に設けられ、前記支柱構造体の軸線方向に直交する両端側で前記吊下栽培手段を夫々吊下げ支持する吊下保持構造体と、
前記支柱構造体に設けられ、栽培手段を支持する支持構造体と、
前記吊下栽培手段を、前記非作業位置及び前記作業位置間で移動させる可動手段を備えてなり、
前記支持構造体は、
前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記各吊下栽培手段の間に配置させて支持することを特徴とする植物栽培システム。
【請求項2】
前記栽培設備に並設され、植物栽培用の固定側栽培手段を支持する固定式栽培設備を含んでなり、
前記固定式栽培設備は、
前記支柱構造体に並設され、前記設置面に立設される固定側支柱構造体と、
前記固定側支柱構造体に設けられ、前記固定側栽培手段を支持する固定側支持構造体を備えてなり、
前記固定側支持構造体は、
前記固定側栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1に記載の植物栽培システム。
【請求項3】
前記支持構造体は、
前記栽培手段を、前記非作業位置にある前記吊下栽培手段に並設させて支持することを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培システム。
【請求項4】
前記栽培設備、及び前記固定式栽培設備は、
前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段に、植物栽培に使用される養液を供給する給液手段と、
前記吊下栽培手段、前記栽培手段及び前記固定側栽培手段から排液される前記養液を回収する排液回収手段を備えてなることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の植物栽培システム。
【請求項5】
前記非作業位置は、前記設置面から900mm〜1100mmの範囲の高さであることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の植物栽培システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−223948(P2011−223948A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98149(P2010−98149)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(510111733)内海エンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【出願人】(510111733)内海エンジニアリング株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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