植物栽培容器固定具及び外構フェンス構造
【課題】本発明は、簡素化された構造を有して、棚部材に植物栽培容器をしっかりと固定することができる植物栽培容器固定具を提供する。
【解決手段】植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具50は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止される内側挟持部53と、棚部材3の棚桟3aの下面3cに係止される外側挟持部54と、植木鉢Hの底部51に形成された水抜き穴51aと棚部材3に設けられた棚桟3aの間の隙間(貫通部)Sとを貫通する雄ネジ部55を有すると共に、雄ネジ部55に対して螺着される雌ネジ部56を有する締結手段Rと、を備えている。外側挟持部54を回しながら、棚桟3a間の隙間Sから突出する雄ネジ部55に雌ネジ部56を下から螺着させ、外側挟持部54を回しながら締め込むことで、内側挟持部53と外側挟持部54とで、植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aを挟み込み、強風や地震によっても、植木鉢Hが棚部材3から落下することがない。
【解決手段】植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具50は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止される内側挟持部53と、棚部材3の棚桟3aの下面3cに係止される外側挟持部54と、植木鉢Hの底部51に形成された水抜き穴51aと棚部材3に設けられた棚桟3aの間の隙間(貫通部)Sとを貫通する雄ネジ部55を有すると共に、雄ネジ部55に対して螺着される雌ネジ部56を有する締結手段Rと、を備えている。外側挟持部54を回しながら、棚桟3a間の隙間Sから突出する雄ネジ部55に雌ネジ部56を下から螺着させ、外側挟持部54を回しながら締め込むことで、内側挟持部53と外側挟持部54とで、植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aを挟み込み、強風や地震によっても、植木鉢Hが棚部材3から落下することがない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、通風・採光を損なわずに、外部の視線を遮断するための外構フェンスに設置された棚部材に植木鉢、プランタボックス等の植物栽培容器を固定するために利用される植物栽培容器固定具及びこの植物栽培容器固定具を備えた外構フェンス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
限られた外部空間を緑化する為には、地盤面だけではなく壁面の緑化が有効である。様々なタイプの壁面緑化技術が開発されているが、概してネットやワイヤーに蔓性の植物を誘引させる場合が多い。この方法は完成すると美しいが、壁面を覆うまでの手間がかかり、しかも絶え間ない誘引のメンテナンスが必要となる。公共建築や大規模民間建築のような管理者がいる場合はよいが、個人住宅等の小規模建築では維持が困難である。
一方、従来より壁面に支持金物等で棚板を取り付け、そこに植木鉢を置くことが行われてきた。これによれば、上記の壁面緑化技術と比較しても簡便である。また、必要な部分に植木鉢やプランタボックスを置き季節に応じて置き換えを行うことが可能である。また、一年草のような観賞期間が短い植物や家庭菜園を短期間だけ楽しむことも可能である。しかし、この支持金物等は、その構造からブロック塀、組積造(レンガ・石積)塀、木板塀等に用いるのが一般的で、通風や採光を確保できる工業製品である鋼製やアルミ製のフェンスなどへの設置が困難であったため、あまり普及していなかった。
どころが、近年、ブロック塀、組積造(レンガ・石積)塀、木板塀等ではなく、通気や採光を可能にする外構フェンスに棚板を設置したいという要望が強くなっている。
ここで、外構フェンスに植栽を施すものとして、実公昭61−94149号公報、特開2001−20566号公報、特許2652916号公報が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−94149号公報
【特許文献2】特開2001−20566号公報
【特許文献3】特許2652916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の公報に開示された技術は、棚部材に植木鉢を固定するために利用される金具ではなく、しかも、塀に植木鉢を設置する技術であり、金具自体は、非常に大がかりであり、構造が複雑化するといった問題点がある。
【0005】
本発明は、簡素化された構造を有して、棚部材に植木鉢、プランタボックス等の植物栽培容器をしっかりと固定することができる植物栽培容器固定具及びこの植物栽培容器固定具を備えた外構フェンス構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、棚部材に植物栽培容器を固定させるために利用される植物栽培容器固定具であって、
植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、
棚部材の下面に係止される外側挟持部と、
植物栽培容器の底部に形成された水抜き穴と棚部材に設けられた貫通部とを貫通する雄ネジ部を有すると共に、雄ネジ部に対して螺着される雌ネジ部を有する締結手段と、を備え、
雄ネジ部と雌ネジ部とを螺着させて、内側挟持部と外側挟持部とで植物栽培容器の底部及び棚部材が挟持され、内側挟持部は、水抜き穴を開口した状態で、植物栽培容器の内側の底面における水抜き穴の周囲に係止させられることを特徴とする。
【0007】
この植物栽培容器固定具においては、締結手段の雄ネジ部が、植物栽培容器(例えば植木鉢やプランタボックスなど)の水抜き穴と棚部の貫通部とを突き通すように貫通され、この雄ネジ部に雌ネジ部を螺着させて外側挟持部を締め込むことで、植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、棚部材の下面に形成される外側挟持部とで植物栽培容器の底部及び棚部材が挟み込まれる。従って、植物栽培容器を棚部材上にしっかりと固定させることができ、強風や地震によっても、植物栽培容器が棚部材から落下することがない。しかも、植物栽培容器固定具は、簡素化された構造を有し、内側挟持部で水抜き穴を塞ぐことがないので、植物栽培容器内の水を外部に排出する機能が損なわれることがなく、根腐れなど、植物の栽培に悪影響を与えない。さらに、この植物栽培容器固定具は、棚部材の裏側で露出させる構造になっているので、非常に目立たず、植物栽培容器が棚部材上にセットされた状態で、その外観に植物栽培容器固定具が大きな影響を与えることがないといった優れた効果を有する。
【0008】
また、内側挟持部には、植物栽培容器の水抜き穴と棚部材の貫通部とを貫通する雄ネジ部が設けられ、外側挟持部には、雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていると好適である。
このような構成にあっては、雄ネジ部が植物栽培容器の底の水抜き穴から外側に(下向きに)突出しているので、雄ネジ部を棚部材の貫通孔内に差し込むだけの簡単な作業によって、棚部材上に植物栽培容器を容易に固定することができる。しかも、雄ネジ部の長さを所定以上の長さに確保すれば、雄ネジ部の先端は、棚部材の裏面側からも露出した状態になるので、雄ネジ部に雌ネジ部を螺着させ易く、植物栽培容器を棚部材に固定させる作業性が極めて良い。
【0009】
また、上記とは逆に、外側挟持部には、植物栽培容器の水抜き穴と棚部材の貫通部とを貫通する雄ネジ部が設けられ、内側挟持部には、雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていても好適である。
このような構成にあっては、雌ネジ部の植物栽培容器の底から容器内に(上向きに)突出し、上記雌ネジ部のように植物栽培容器の水抜き穴から容器の外に下向きに突出しないので、外側挟持部をつけたまま内側挟持部の雌ネジ部を緩めて、植物栽培容器を棚部材から外した場合にも、地面等の水平面に安定的に置くことができる(植物栽培容器が傾いたり転がったりすることがない)。
【0010】
本発明に係る外構フェンス構造は、請求項1〜3の何れか一項に記載の植物栽培容器固定具と、植物栽培容器が載置される棚部材と、棚部材を支持する支柱と、支柱に固定される柵部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、植物栽培容器は簡素化された構造を有し、棚部材に植物栽培容器をしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る外構フェンス構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】ライナー部材を支柱に固定した状態を示す正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面である。
【図5】本発明に係る植物栽培容器固定具の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示された植物栽培容器固定具の要部拡大断面図である。
【図7】内側挟持部を示す底面図である。
【図8】第1の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る更に他の植物栽培容器固定具を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明に係る植物栽培容器固定具の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図11】第2の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る植物栽培容器固定具の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図13】第3の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る植物栽培容器固定具の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図15】第4の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る植物栽培容器固定具及び外構フェンス構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
アルミ材又はスチール材からなる外構フェンスは、通常、高さ600〜1500mmであるが、図1に示すように、一般的にスクリーンと呼ばれている外構フェンス1は、高さ1800〜2700mmを有している。外構フェンス1は、建築物が建設される敷地の境界線上で等間隔に配置される断面矩形で中空状の支柱2と、支柱2に固定された柵部材10とを備えている。この柵部材10には、支柱2に固定される横桟10aに対して等ピッチで縦桟10bが配列されている。
【0015】
図1〜図4に示すように、外構フェンス1の支柱2には、アルミ材又はスチール材からなる長尺状のライナー部材5が固定されている。断面ロ字状に形成されているライナー部材5は、外構フェンス1の支柱2にタッピングネジ(ネジ部材)6によって固定されると共に、支柱2に当接され且つ長手方向(鉛直方向)に沿って延在される固定片7と、棚部材3を支持するためのブラケット20が装着されると共に、固定片7に対して面同士が互いに対面して平行に延在するブラケット支持片8と、固定片7とブラケット支持片8とを連結する左右一対の連結片9と、からなる。
【0016】
ライナー部材5の固定片7には、等間隔にネジ挿入孔7aが形成されている。ライナー部材5を支柱2に固定する際、固定片7を支柱2の表面に押し当てた状態で、現場でドリルによりネジ挿入孔7aを介して支柱2に下穴を形成し、その後、ネジ挿入孔7aからタッピングネジ6に差し込んで、支柱2にタッピングネジ6を螺着させる。これによって支柱2にライナー部材5が固定される。なお、支柱2には、工場で予め下穴加工が施されていてもよい。
【0017】
また、ライナー部材5のブラケット支持片8には、ブラケット20を固定するための締結部材12が装着される取付け孔13がブラケット支持片8の長手方向に等間隔で設けられる。更に、ブラケット支持片8には、タッピングネジ6の頭部6aが貫通するネジ覗き穴14が取付け孔13の間に設けられている。このネジ覗き穴14は、ネジ挿入孔7aに対向し、ブラケット20の取付けの邪魔にならないように、タッピングネジ6の頭部6aをブラケット支持片8から突出させることがない。そして、取付け孔13を等間隔に維持するために、ブラケット20の取付けネジ覗き穴14と取付け孔13とは、互いに同じ位置を避けて重ならないようになっている。
【0018】
棚部材3を外構フェンス1に取付け可能にする断面T字状のブラケット20は、水平方向に延在して棚部材3を下から支持する棚支持片21と、棚支持片21の基端から下方に向けて延在する脚片22と、棚支持片21の基端から上方に向けて延在する脚延長片23とからなる。脚片22には、ネジ挿通孔22aが設けられ、脚延長片23にもネジ挿通孔23aが設けられ、上側のネジ挿通孔23aと下側のネジ挿通孔22aの間隔はブラケット支持片8に形成されている取付け孔13の間隔と等しくなっている。
【0019】
また、棚支持片21には、棚部材3を固定するための取付け孔21aが形成されている。棚部材3は、一定間隔で平行に配列された複数の棚桟3aと、棚桟3aを互いに連結する連結桟3bと、からなる。そして、取付け孔21aは、棚桟3aの間に位置するように棚支持片21に形成されている。
【0020】
組立て時にドライバ等の工具を利用しない締結部材12は、円柱状の軸部12aと、軸部12aの先端側に設けられた雄ネジ部12bと、軸部12aの基端側に設けられた円形の握り部12cと、からなる手回しネジである。雄ネジ部12bは、タッピングネジとして形成され、各取付け孔13,21aに螺着される。この場合、状況に応じて軸部12aの長さの異なる3種類の手回しネジ12A,12B,12Cが利用されている。
【0021】
ブラケット20をライナー部材5に取り付けるにあたって、ライナー部材5の所望の高さ位置にある取付け孔13を利用者が選択し、手回しネジ12A,12Bの雄ネジ部12bを取付け孔13に螺着させることによって、ブラケット20の脚片22及び脚延長片23がライナー部材5に固定される。また、棚部材3をブラケット20に取り付けるにあたっては、棚部材3の棚桟3aの間に差し込まれた手回しネジ12Cによって、棚支持片21に棚部材3が固定される。図1に示すように、棚部材3は、隣接する支柱2のそれぞれの任意の位置に固定されたブラケット20を掛け渡すように水平にセットされる。利用者の希望に応じた任意の段数の棚部材3を外構フェンス1にセットすることができ、この棚部材3上には、植物栽培容器としての植木鉢Hが置かれ、場合によっては、プランタボックスが置かれることもある。
【0022】
日照や通風が確保し易い外構フェンス1にあっては、固定片7をタッピングネジ(ネジ部材)6により支柱2に固定させると、外構フェンス1の支柱2をライナー部材5で補強することができ、既存の外構フェンス1の支柱2にライナー部材5は後付けでも施工可能である。既存の外構フェンス1の支柱2は、植木鉢Hやプランタボックスの重量を支えることは当初予定されておらず、植木鉢Hやプランタボックスの重量は支柱2で支えられることからして、支柱2が強風や地震の影響で曲がったり折れたりし易くなるので、支柱2の曲げ強度のアップは必要であり、ライナー部材5の採用は、これを実現している。特に、外構フェンス1の高さが高ければ高いほど、植木鉢Hやプランタボックスを棚部材3上に載せた場合に、支柱2は曲がり易く、支柱2の補強は効果的である。
【0023】
また、ブラケット支持片8に、タッピングネジ6の頭部6aが貫通するネジ覗き穴14が取付け孔13の間に設けられていると、断面ロ字状のライナー部材5であっても、タッピングネジ6によってライナー部材5を支柱2に取り付ける作業と、手回しネジ12A,12Bによってブラケット20をブラケット支持片8に取り付けると作業とを同じ側から行うことができるので、容易な施工が可能になる。
【0024】
次に、植物栽培容器としての植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具について説明する。なお、下記の種々の実施形態において、同一又は同等な構成部分には、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0025】
〔植物栽培容器固定具の第1の実施形態〕
図5及び図6に示すように、植物栽培容器としての植木鉢Hの底部51には、円形の水抜き穴51aが形成され、この水抜き穴51aを塞ぐように、底面51b上にはネット52が載置されている。ネット52を利用することで、水抜き穴51aからの水抜きを確保しつつ、植木鉢H内の土が水抜き穴51aから流れ出ることが防止される。
【0026】
植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具50は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止される内側挟持部53と、棚部材3の棚桟3aの下面3cに係止される外側挟持部54と、植木鉢Hの底部51に形成された水抜き穴51aと棚部材3に設けられた棚桟3aの間の隙間(貫通部)Sとを貫通する雄ネジ部55を有すると共に、雄ネジ部55に対して螺着される雌ネジ部56を有する締結手段Rと、を備えている。
【0027】
樹脂又は金属製の内側挟持部53は、円板状の本体部53aと、本体部53aの円形の裏面53aAの周縁から突出する複数の脚部53bと、からなる。さらに、本体部53aの裏面53aAの中央には、雄ネジ部55が立設されている。本体部53aには、雄ネジ部55を囲むようにして脚部53bが等間隔に配列されている(図7参照)。各脚部53bは、水抜き穴51aの外側に位置し、各脚部53bの先端は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止させられる。そして、雄ネジ部55は、棚桟3a間の隙間Sから突出させるのに十分な長さを有している。また、樹脂又は金属製の外側挟持部54は、円板形状を有し、この外側挟持部54の中央には、雌ネジ部56が形成されている。
【0028】
このような構成の植物栽培容器固定具50を利用するにあたって、植木鉢Hの底部51上に水抜き穴51aを塞ぐようにネット52を載置させる。その後、雄ネジ部55でネット52を突き通して、雄ネジ部55を水抜き穴51aから突出させる。そして、雄ネジ部55が、棚桟3a間の隙間Sを通って棚部材3の下面3cから突出させるように、棚部材3上に植木鉢Hを載置させる。
【0029】
そして、外側挟持部54を回しながら、棚桟3a間の隙間Sから突出する雄ネジ部55に雌ネジ部56を下から螺着させ、外側挟持部54を棚桟3aの下面3cに圧着させると、内側挟持部53の脚部53bもネット52に圧着される。このように、雄ネジ部55に雌ネジ部56を螺着させて外側挟持部54を回しながら締め込むことで、内側挟持部53と外側挟持部54とで、植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aが強い力で挟み込まれる。従って、植木鉢Hを棚部材3上にしっかりと固定させることができ、強風や地震によっても、植木鉢Hが棚部材3から落下することがない。そして、植物栽培容器固定具50を利用すると、植木鉢Hを棚部材3上に簡便に固定させることができる。
【0030】
しかも、植物栽培容器固定具50は、簡素化された構造を有し、脚部53b間の隙間を通って植木鉢H内の水が水抜き穴51aから排出されるので、内側挟持部53で水抜き穴51aが塞がられることがない。従って、根腐れなど、植物の栽培に悪影響を与えない。さらに、この植物栽培容器固定具50は、棚部材3の裏側で露出させる構造になっているので、非常に目立たず、植木鉢Hが棚部材3上にセットされた状態で、その外観に植物栽培容器固定具50が大きな影響を与えることがないといった優れた効果を有する。
【0031】
また、雄ネジ部55が植木鉢Hの水抜き穴51aから露出させられているので、雄ネジ部55を棚部材3の隙間S内に差し込むだけの簡単な作業によって、棚部材3上に植木鉢Hを容易にセットすることができ、しかも、雄ネジ部55が棚部材3の裏側から露出した状態になっているので、雄ネジ部55に雌ネジ部56を螺着させ易く、植木鉢Hを棚部材3に固定させる作業性が極めて良い。
【0032】
図8に示すように、他の植物栽培容器固定具50Aとしては、内側挟持部53の本体部53aの中央には、雌ネジ部56Aが形成され、外側挟持部54の中央には、雄ネジ部55Aが立設されている。このような構成の植物栽培容器固定具50Aを利用するにあたって、棚部材3の下から隙間S内に雄ネジ部55Aを差し込んで、水抜き穴51aを通過する雄ネジ部55Aでネット52を突き通す。そして、外側挟持部54を回しながら、雄ネジ部55Aに雌ネジ部56Aを螺着させ、外側挟持部54を棚桟3aの下面3cに圧着させると、内側挟持部53の脚部53bもネット52に圧着され、内側挟持部53と外側挟持部54とで植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aが強い力で挟み込まれる。
【0033】
このような構成の植物栽培容器固定具50Aにあっては、雌ネジ部56Aを植木鉢Hの水抜き穴51aから露出させる必要が無いので、内側挟持部53から外側挟持部54を外し、植木鉢Hは、棚部材3から降ろされて地面に置かれても傾くようなことがない。
【0034】
図9に示すように、更に他の植物栽培容器固定具50Bとしては、内側挟持部53に設けられている雌ネジ部56Bは、本体部53aの中央に形成されている円筒状の突起部58内に形成され、この突起部58は、水抜き穴51aから突出させない長さになっている。そして、突起部58を水抜き穴51aから露出させることができるので、目視によって、雌ネジ部56Bに雄ネジ部55Aを螺着させ易い。また、雌ネジ部56Bを長くすることで、雄ネジ部55Aと雌ネジ部56Bとの螺着部分が長くなり、ネジが緩み難く、螺着状態を安定させることができる。
【0035】
〔植物栽培容器固定具の第2の実施形態〕
図10に示すように、第2の実施形態に係る植物栽培容器固定具60の内側挟持部61は、植木鉢Hの底部51に沿って延在する複数の脚部62によって十字形状をなしている。この内側挟持部61の中央には、雄ネジ部55が立設させられている。さらに、脚部62の下端には、断面三角形状の係止部62aが形成されている。従って、係止部62aの先端は、ネット52に略線接触させられ、脚部62によって水抜き穴51aが塞がれる面積を可能な限り小さくできる。なお、他の内側挟持部としては、脚部62が放射形状又はY字形状になっていてもよい。
【0036】
図11に示すように、他の植物栽培容器固定具60Aにあっては、内側挟持部61に雌ネジ部56Aが設けられ、外側挟持部54に雄ネジ部55Aが立設させられている。
【0037】
〔植物栽培容器固定具の第3の実施形態〕
図12に示すように、第3の実施形態に係る植物栽培容器固定具70の円板状の内側挟持部71には、水抜き穴51aに連通させるための多数の排水孔71aが形成されている。この内側挟持部71の中央には、雄ネジ部55が立設させられている。なお、排水孔71aの数や形状は任意である。
【0038】
図13に示すように、他の植物栽培容器固定具70Aにあっては、内側挟持部71に雌ネジ部56Aが設けられ、外側挟持部54に雄ネジ部55Aが設けられている。
【0039】
〔植物栽培容器固定具の第4の実施形態〕
図14、図15は、植物栽培容器固定具の第4の実施形態であり、この第4の実施形態では、第1〜第3実施形態に係る前記植物栽培容器固定具の内側挟持部とネット52の機能を1つにまとめたものであり、ネット52が不要になる。図14に示すように、植物栽培容器固定具80は、軸である雄ネジ部55が立設される中央部81aから放射状に複数のスポーク81bで繋げられた円形フレーム81cと、フレーム81c内に張られたネット81dと、からなるスケルトン状の内側挟持部81を有し、中央部81aとスポーク81bと円形フレーム81cとネット81dとは一体的に形成されている。
【0040】
図15に示すように、他の植物栽培容器固定具80Aにあっては、ネット81dが設けられた内側挟持部81には、中央部81aに雌ネジ部56Aが設けられている。
【0041】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、植物栽培容器としては、プランタボックスなども利用可能である。棚部材3としては、棚板に貫通部としてのルーズホールを1列又は複数列設けたものであってもよい。
【0042】
また、植物栽培容器としての植木鉢やプランタボックスなどに水切り穴が無い場合には、ドリルによって現場で植物栽培容器の底部に穴開け加工が施される。
【符号の説明】
【0043】
1…外構フェンス、5,35,36,40…ライナー部材、6…タッピングネジ(ネジ部材)6、6a…ネジ部材の頭部、7,39,43…固定片、7a…ネジ挿入孔、8,37,41…ブラケット支持片、9,38,42…連結片、12…手回しネジ(締結部材)、13,37a,41a…取付け孔、14…ネジ覗き穴、20,30…ブラケット。
H…植木鉢(植物栽培容器)、R…締結手段、S…隙間(貫通部)、2…支柱、3…棚部材、10…柵部材、50,50A,50B,60,60A,70,70A,80,80A…植物栽培容器固定具、51a…水抜き穴、52…ネット(網)、53,61,71,81…内側挟持部、54…外側挟持部、55,55A…雄ネジ部、56,56A,56B…雌ネジ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、通風・採光を損なわずに、外部の視線を遮断するための外構フェンスに設置された棚部材に植木鉢、プランタボックス等の植物栽培容器を固定するために利用される植物栽培容器固定具及びこの植物栽培容器固定具を備えた外構フェンス構造に関する。
【背景技術】
【0002】
限られた外部空間を緑化する為には、地盤面だけではなく壁面の緑化が有効である。様々なタイプの壁面緑化技術が開発されているが、概してネットやワイヤーに蔓性の植物を誘引させる場合が多い。この方法は完成すると美しいが、壁面を覆うまでの手間がかかり、しかも絶え間ない誘引のメンテナンスが必要となる。公共建築や大規模民間建築のような管理者がいる場合はよいが、個人住宅等の小規模建築では維持が困難である。
一方、従来より壁面に支持金物等で棚板を取り付け、そこに植木鉢を置くことが行われてきた。これによれば、上記の壁面緑化技術と比較しても簡便である。また、必要な部分に植木鉢やプランタボックスを置き季節に応じて置き換えを行うことが可能である。また、一年草のような観賞期間が短い植物や家庭菜園を短期間だけ楽しむことも可能である。しかし、この支持金物等は、その構造からブロック塀、組積造(レンガ・石積)塀、木板塀等に用いるのが一般的で、通風や採光を確保できる工業製品である鋼製やアルミ製のフェンスなどへの設置が困難であったため、あまり普及していなかった。
どころが、近年、ブロック塀、組積造(レンガ・石積)塀、木板塀等ではなく、通気や採光を可能にする外構フェンスに棚板を設置したいという要望が強くなっている。
ここで、外構フェンスに植栽を施すものとして、実公昭61−94149号公報、特開2001−20566号公報、特許2652916号公報が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭61−94149号公報
【特許文献2】特開2001−20566号公報
【特許文献3】特許2652916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述の公報に開示された技術は、棚部材に植木鉢を固定するために利用される金具ではなく、しかも、塀に植木鉢を設置する技術であり、金具自体は、非常に大がかりであり、構造が複雑化するといった問題点がある。
【0005】
本発明は、簡素化された構造を有して、棚部材に植木鉢、プランタボックス等の植物栽培容器をしっかりと固定することができる植物栽培容器固定具及びこの植物栽培容器固定具を備えた外構フェンス構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、棚部材に植物栽培容器を固定させるために利用される植物栽培容器固定具であって、
植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、
棚部材の下面に係止される外側挟持部と、
植物栽培容器の底部に形成された水抜き穴と棚部材に設けられた貫通部とを貫通する雄ネジ部を有すると共に、雄ネジ部に対して螺着される雌ネジ部を有する締結手段と、を備え、
雄ネジ部と雌ネジ部とを螺着させて、内側挟持部と外側挟持部とで植物栽培容器の底部及び棚部材が挟持され、内側挟持部は、水抜き穴を開口した状態で、植物栽培容器の内側の底面における水抜き穴の周囲に係止させられることを特徴とする。
【0007】
この植物栽培容器固定具においては、締結手段の雄ネジ部が、植物栽培容器(例えば植木鉢やプランタボックスなど)の水抜き穴と棚部の貫通部とを突き通すように貫通され、この雄ネジ部に雌ネジ部を螺着させて外側挟持部を締め込むことで、植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、棚部材の下面に形成される外側挟持部とで植物栽培容器の底部及び棚部材が挟み込まれる。従って、植物栽培容器を棚部材上にしっかりと固定させることができ、強風や地震によっても、植物栽培容器が棚部材から落下することがない。しかも、植物栽培容器固定具は、簡素化された構造を有し、内側挟持部で水抜き穴を塞ぐことがないので、植物栽培容器内の水を外部に排出する機能が損なわれることがなく、根腐れなど、植物の栽培に悪影響を与えない。さらに、この植物栽培容器固定具は、棚部材の裏側で露出させる構造になっているので、非常に目立たず、植物栽培容器が棚部材上にセットされた状態で、その外観に植物栽培容器固定具が大きな影響を与えることがないといった優れた効果を有する。
【0008】
また、内側挟持部には、植物栽培容器の水抜き穴と棚部材の貫通部とを貫通する雄ネジ部が設けられ、外側挟持部には、雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていると好適である。
このような構成にあっては、雄ネジ部が植物栽培容器の底の水抜き穴から外側に(下向きに)突出しているので、雄ネジ部を棚部材の貫通孔内に差し込むだけの簡単な作業によって、棚部材上に植物栽培容器を容易に固定することができる。しかも、雄ネジ部の長さを所定以上の長さに確保すれば、雄ネジ部の先端は、棚部材の裏面側からも露出した状態になるので、雄ネジ部に雌ネジ部を螺着させ易く、植物栽培容器を棚部材に固定させる作業性が極めて良い。
【0009】
また、上記とは逆に、外側挟持部には、植物栽培容器の水抜き穴と棚部材の貫通部とを貫通する雄ネジ部が設けられ、内側挟持部には、雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていても好適である。
このような構成にあっては、雌ネジ部の植物栽培容器の底から容器内に(上向きに)突出し、上記雌ネジ部のように植物栽培容器の水抜き穴から容器の外に下向きに突出しないので、外側挟持部をつけたまま内側挟持部の雌ネジ部を緩めて、植物栽培容器を棚部材から外した場合にも、地面等の水平面に安定的に置くことができる(植物栽培容器が傾いたり転がったりすることがない)。
【0010】
本発明に係る外構フェンス構造は、請求項1〜3の何れか一項に記載の植物栽培容器固定具と、植物栽培容器が載置される棚部材と、棚部材を支持する支柱と、支柱に固定される柵部材と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、植物栽培容器は簡素化された構造を有し、棚部材に植物栽培容器をしっかりと固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る外構フェンス構造の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】ライナー部材を支柱に固定した状態を示す正面図である。
【図3】図1のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面である。
【図5】本発明に係る植物栽培容器固定具の第1の実施形態を示す斜視図である。
【図6】図5に示された植物栽培容器固定具の要部拡大断面図である。
【図7】内側挟持部を示す底面図である。
【図8】第1の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図9】第1の実施形態に係る更に他の植物栽培容器固定具を示す要部拡大断面図である。
【図10】本発明に係る植物栽培容器固定具の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図11】第2の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図12】本発明に係る植物栽培容器固定具の第3の実施形態を示す斜視図である。
【図13】第3の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る植物栽培容器固定具の第4の実施形態を示す斜視図である。
【図15】第4の実施形態に係る他の植物栽培容器固定具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る植物栽培容器固定具及び外構フェンス構造の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
アルミ材又はスチール材からなる外構フェンスは、通常、高さ600〜1500mmであるが、図1に示すように、一般的にスクリーンと呼ばれている外構フェンス1は、高さ1800〜2700mmを有している。外構フェンス1は、建築物が建設される敷地の境界線上で等間隔に配置される断面矩形で中空状の支柱2と、支柱2に固定された柵部材10とを備えている。この柵部材10には、支柱2に固定される横桟10aに対して等ピッチで縦桟10bが配列されている。
【0015】
図1〜図4に示すように、外構フェンス1の支柱2には、アルミ材又はスチール材からなる長尺状のライナー部材5が固定されている。断面ロ字状に形成されているライナー部材5は、外構フェンス1の支柱2にタッピングネジ(ネジ部材)6によって固定されると共に、支柱2に当接され且つ長手方向(鉛直方向)に沿って延在される固定片7と、棚部材3を支持するためのブラケット20が装着されると共に、固定片7に対して面同士が互いに対面して平行に延在するブラケット支持片8と、固定片7とブラケット支持片8とを連結する左右一対の連結片9と、からなる。
【0016】
ライナー部材5の固定片7には、等間隔にネジ挿入孔7aが形成されている。ライナー部材5を支柱2に固定する際、固定片7を支柱2の表面に押し当てた状態で、現場でドリルによりネジ挿入孔7aを介して支柱2に下穴を形成し、その後、ネジ挿入孔7aからタッピングネジ6に差し込んで、支柱2にタッピングネジ6を螺着させる。これによって支柱2にライナー部材5が固定される。なお、支柱2には、工場で予め下穴加工が施されていてもよい。
【0017】
また、ライナー部材5のブラケット支持片8には、ブラケット20を固定するための締結部材12が装着される取付け孔13がブラケット支持片8の長手方向に等間隔で設けられる。更に、ブラケット支持片8には、タッピングネジ6の頭部6aが貫通するネジ覗き穴14が取付け孔13の間に設けられている。このネジ覗き穴14は、ネジ挿入孔7aに対向し、ブラケット20の取付けの邪魔にならないように、タッピングネジ6の頭部6aをブラケット支持片8から突出させることがない。そして、取付け孔13を等間隔に維持するために、ブラケット20の取付けネジ覗き穴14と取付け孔13とは、互いに同じ位置を避けて重ならないようになっている。
【0018】
棚部材3を外構フェンス1に取付け可能にする断面T字状のブラケット20は、水平方向に延在して棚部材3を下から支持する棚支持片21と、棚支持片21の基端から下方に向けて延在する脚片22と、棚支持片21の基端から上方に向けて延在する脚延長片23とからなる。脚片22には、ネジ挿通孔22aが設けられ、脚延長片23にもネジ挿通孔23aが設けられ、上側のネジ挿通孔23aと下側のネジ挿通孔22aの間隔はブラケット支持片8に形成されている取付け孔13の間隔と等しくなっている。
【0019】
また、棚支持片21には、棚部材3を固定するための取付け孔21aが形成されている。棚部材3は、一定間隔で平行に配列された複数の棚桟3aと、棚桟3aを互いに連結する連結桟3bと、からなる。そして、取付け孔21aは、棚桟3aの間に位置するように棚支持片21に形成されている。
【0020】
組立て時にドライバ等の工具を利用しない締結部材12は、円柱状の軸部12aと、軸部12aの先端側に設けられた雄ネジ部12bと、軸部12aの基端側に設けられた円形の握り部12cと、からなる手回しネジである。雄ネジ部12bは、タッピングネジとして形成され、各取付け孔13,21aに螺着される。この場合、状況に応じて軸部12aの長さの異なる3種類の手回しネジ12A,12B,12Cが利用されている。
【0021】
ブラケット20をライナー部材5に取り付けるにあたって、ライナー部材5の所望の高さ位置にある取付け孔13を利用者が選択し、手回しネジ12A,12Bの雄ネジ部12bを取付け孔13に螺着させることによって、ブラケット20の脚片22及び脚延長片23がライナー部材5に固定される。また、棚部材3をブラケット20に取り付けるにあたっては、棚部材3の棚桟3aの間に差し込まれた手回しネジ12Cによって、棚支持片21に棚部材3が固定される。図1に示すように、棚部材3は、隣接する支柱2のそれぞれの任意の位置に固定されたブラケット20を掛け渡すように水平にセットされる。利用者の希望に応じた任意の段数の棚部材3を外構フェンス1にセットすることができ、この棚部材3上には、植物栽培容器としての植木鉢Hが置かれ、場合によっては、プランタボックスが置かれることもある。
【0022】
日照や通風が確保し易い外構フェンス1にあっては、固定片7をタッピングネジ(ネジ部材)6により支柱2に固定させると、外構フェンス1の支柱2をライナー部材5で補強することができ、既存の外構フェンス1の支柱2にライナー部材5は後付けでも施工可能である。既存の外構フェンス1の支柱2は、植木鉢Hやプランタボックスの重量を支えることは当初予定されておらず、植木鉢Hやプランタボックスの重量は支柱2で支えられることからして、支柱2が強風や地震の影響で曲がったり折れたりし易くなるので、支柱2の曲げ強度のアップは必要であり、ライナー部材5の採用は、これを実現している。特に、外構フェンス1の高さが高ければ高いほど、植木鉢Hやプランタボックスを棚部材3上に載せた場合に、支柱2は曲がり易く、支柱2の補強は効果的である。
【0023】
また、ブラケット支持片8に、タッピングネジ6の頭部6aが貫通するネジ覗き穴14が取付け孔13の間に設けられていると、断面ロ字状のライナー部材5であっても、タッピングネジ6によってライナー部材5を支柱2に取り付ける作業と、手回しネジ12A,12Bによってブラケット20をブラケット支持片8に取り付けると作業とを同じ側から行うことができるので、容易な施工が可能になる。
【0024】
次に、植物栽培容器としての植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具について説明する。なお、下記の種々の実施形態において、同一又は同等な構成部分には、同一符号を付し、重複した説明は省略する。
【0025】
〔植物栽培容器固定具の第1の実施形態〕
図5及び図6に示すように、植物栽培容器としての植木鉢Hの底部51には、円形の水抜き穴51aが形成され、この水抜き穴51aを塞ぐように、底面51b上にはネット52が載置されている。ネット52を利用することで、水抜き穴51aからの水抜きを確保しつつ、植木鉢H内の土が水抜き穴51aから流れ出ることが防止される。
【0026】
植木鉢Hを棚部材3上に固定するための植物栽培容器固定具50は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止される内側挟持部53と、棚部材3の棚桟3aの下面3cに係止される外側挟持部54と、植木鉢Hの底部51に形成された水抜き穴51aと棚部材3に設けられた棚桟3aの間の隙間(貫通部)Sとを貫通する雄ネジ部55を有すると共に、雄ネジ部55に対して螺着される雌ネジ部56を有する締結手段Rと、を備えている。
【0027】
樹脂又は金属製の内側挟持部53は、円板状の本体部53aと、本体部53aの円形の裏面53aAの周縁から突出する複数の脚部53bと、からなる。さらに、本体部53aの裏面53aAの中央には、雄ネジ部55が立設されている。本体部53aには、雄ネジ部55を囲むようにして脚部53bが等間隔に配列されている(図7参照)。各脚部53bは、水抜き穴51aの外側に位置し、各脚部53bの先端は、植木鉢Hの内側の底面51bにネット52を介して係止させられる。そして、雄ネジ部55は、棚桟3a間の隙間Sから突出させるのに十分な長さを有している。また、樹脂又は金属製の外側挟持部54は、円板形状を有し、この外側挟持部54の中央には、雌ネジ部56が形成されている。
【0028】
このような構成の植物栽培容器固定具50を利用するにあたって、植木鉢Hの底部51上に水抜き穴51aを塞ぐようにネット52を載置させる。その後、雄ネジ部55でネット52を突き通して、雄ネジ部55を水抜き穴51aから突出させる。そして、雄ネジ部55が、棚桟3a間の隙間Sを通って棚部材3の下面3cから突出させるように、棚部材3上に植木鉢Hを載置させる。
【0029】
そして、外側挟持部54を回しながら、棚桟3a間の隙間Sから突出する雄ネジ部55に雌ネジ部56を下から螺着させ、外側挟持部54を棚桟3aの下面3cに圧着させると、内側挟持部53の脚部53bもネット52に圧着される。このように、雄ネジ部55に雌ネジ部56を螺着させて外側挟持部54を回しながら締め込むことで、内側挟持部53と外側挟持部54とで、植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aが強い力で挟み込まれる。従って、植木鉢Hを棚部材3上にしっかりと固定させることができ、強風や地震によっても、植木鉢Hが棚部材3から落下することがない。そして、植物栽培容器固定具50を利用すると、植木鉢Hを棚部材3上に簡便に固定させることができる。
【0030】
しかも、植物栽培容器固定具50は、簡素化された構造を有し、脚部53b間の隙間を通って植木鉢H内の水が水抜き穴51aから排出されるので、内側挟持部53で水抜き穴51aが塞がられることがない。従って、根腐れなど、植物の栽培に悪影響を与えない。さらに、この植物栽培容器固定具50は、棚部材3の裏側で露出させる構造になっているので、非常に目立たず、植木鉢Hが棚部材3上にセットされた状態で、その外観に植物栽培容器固定具50が大きな影響を与えることがないといった優れた効果を有する。
【0031】
また、雄ネジ部55が植木鉢Hの水抜き穴51aから露出させられているので、雄ネジ部55を棚部材3の隙間S内に差し込むだけの簡単な作業によって、棚部材3上に植木鉢Hを容易にセットすることができ、しかも、雄ネジ部55が棚部材3の裏側から露出した状態になっているので、雄ネジ部55に雌ネジ部56を螺着させ易く、植木鉢Hを棚部材3に固定させる作業性が極めて良い。
【0032】
図8に示すように、他の植物栽培容器固定具50Aとしては、内側挟持部53の本体部53aの中央には、雌ネジ部56Aが形成され、外側挟持部54の中央には、雄ネジ部55Aが立設されている。このような構成の植物栽培容器固定具50Aを利用するにあたって、棚部材3の下から隙間S内に雄ネジ部55Aを差し込んで、水抜き穴51aを通過する雄ネジ部55Aでネット52を突き通す。そして、外側挟持部54を回しながら、雄ネジ部55Aに雌ネジ部56Aを螺着させ、外側挟持部54を棚桟3aの下面3cに圧着させると、内側挟持部53の脚部53bもネット52に圧着され、内側挟持部53と外側挟持部54とで植木鉢Hの底部51及び棚部材3の棚桟3aが強い力で挟み込まれる。
【0033】
このような構成の植物栽培容器固定具50Aにあっては、雌ネジ部56Aを植木鉢Hの水抜き穴51aから露出させる必要が無いので、内側挟持部53から外側挟持部54を外し、植木鉢Hは、棚部材3から降ろされて地面に置かれても傾くようなことがない。
【0034】
図9に示すように、更に他の植物栽培容器固定具50Bとしては、内側挟持部53に設けられている雌ネジ部56Bは、本体部53aの中央に形成されている円筒状の突起部58内に形成され、この突起部58は、水抜き穴51aから突出させない長さになっている。そして、突起部58を水抜き穴51aから露出させることができるので、目視によって、雌ネジ部56Bに雄ネジ部55Aを螺着させ易い。また、雌ネジ部56Bを長くすることで、雄ネジ部55Aと雌ネジ部56Bとの螺着部分が長くなり、ネジが緩み難く、螺着状態を安定させることができる。
【0035】
〔植物栽培容器固定具の第2の実施形態〕
図10に示すように、第2の実施形態に係る植物栽培容器固定具60の内側挟持部61は、植木鉢Hの底部51に沿って延在する複数の脚部62によって十字形状をなしている。この内側挟持部61の中央には、雄ネジ部55が立設させられている。さらに、脚部62の下端には、断面三角形状の係止部62aが形成されている。従って、係止部62aの先端は、ネット52に略線接触させられ、脚部62によって水抜き穴51aが塞がれる面積を可能な限り小さくできる。なお、他の内側挟持部としては、脚部62が放射形状又はY字形状になっていてもよい。
【0036】
図11に示すように、他の植物栽培容器固定具60Aにあっては、内側挟持部61に雌ネジ部56Aが設けられ、外側挟持部54に雄ネジ部55Aが立設させられている。
【0037】
〔植物栽培容器固定具の第3の実施形態〕
図12に示すように、第3の実施形態に係る植物栽培容器固定具70の円板状の内側挟持部71には、水抜き穴51aに連通させるための多数の排水孔71aが形成されている。この内側挟持部71の中央には、雄ネジ部55が立設させられている。なお、排水孔71aの数や形状は任意である。
【0038】
図13に示すように、他の植物栽培容器固定具70Aにあっては、内側挟持部71に雌ネジ部56Aが設けられ、外側挟持部54に雄ネジ部55Aが設けられている。
【0039】
〔植物栽培容器固定具の第4の実施形態〕
図14、図15は、植物栽培容器固定具の第4の実施形態であり、この第4の実施形態では、第1〜第3実施形態に係る前記植物栽培容器固定具の内側挟持部とネット52の機能を1つにまとめたものであり、ネット52が不要になる。図14に示すように、植物栽培容器固定具80は、軸である雄ネジ部55が立設される中央部81aから放射状に複数のスポーク81bで繋げられた円形フレーム81cと、フレーム81c内に張られたネット81dと、からなるスケルトン状の内側挟持部81を有し、中央部81aとスポーク81bと円形フレーム81cとネット81dとは一体的に形成されている。
【0040】
図15に示すように、他の植物栽培容器固定具80Aにあっては、ネット81dが設けられた内側挟持部81には、中央部81aに雌ネジ部56Aが設けられている。
【0041】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、植物栽培容器としては、プランタボックスなども利用可能である。棚部材3としては、棚板に貫通部としてのルーズホールを1列又は複数列設けたものであってもよい。
【0042】
また、植物栽培容器としての植木鉢やプランタボックスなどに水切り穴が無い場合には、ドリルによって現場で植物栽培容器の底部に穴開け加工が施される。
【符号の説明】
【0043】
1…外構フェンス、5,35,36,40…ライナー部材、6…タッピングネジ(ネジ部材)6、6a…ネジ部材の頭部、7,39,43…固定片、7a…ネジ挿入孔、8,37,41…ブラケット支持片、9,38,42…連結片、12…手回しネジ(締結部材)、13,37a,41a…取付け孔、14…ネジ覗き穴、20,30…ブラケット。
H…植木鉢(植物栽培容器)、R…締結手段、S…隙間(貫通部)、2…支柱、3…棚部材、10…柵部材、50,50A,50B,60,60A,70,70A,80,80A…植物栽培容器固定具、51a…水抜き穴、52…ネット(網)、53,61,71,81…内側挟持部、54…外側挟持部、55,55A…雄ネジ部、56,56A,56B…雌ネジ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚部材に植物栽培容器を固定させるために利用される植物栽培容器固定具であって、
前記植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、
棚部材の下面に係止される外側挟持部と、
前記植物栽培容器の底部に形成された水抜き穴と前記棚部材に設けられた貫通部とを貫通する雄ネジ部を有すると共に、前記雄ネジ部に対して螺着される雌ネジ部を有する締結手段と、を備え、
前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とを螺着させて、前記内側挟持部と前記外側挟持部とで前記植物栽培容器の底部及び前記棚部材が挟持され、前記内側挟持部は、前記水抜き穴を開口した状態で、前記植物栽培容器の内側の前記底面における前記水抜き穴の周囲に係止させられることを特徴とする植物栽培容器固定具。
【請求項2】
前記内側挟持部には、前記植物栽培容器の前記水抜き穴と前記棚部材の前記貫通部とを貫通する前記雄ネジ部が設けられ、前記外側挟持部には、前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培容器固定具。
【請求項3】
前記外側挟持部には、前記植物栽培容器の前記水抜き穴と前記棚部材の前記貫通部とを貫通する前記雄ネジ部が設けられ、前記内側挟持部には、前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培容器固定具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の植物栽培容器固定具と、
前記植物栽培容器が載置される棚部材と、
前記棚部材を支持する支柱と、
前記支柱に固定される柵部材と、を備えたことを特徴とする外構フェンス構造。
【請求項1】
棚部材に植物栽培容器を固定させるために利用される植物栽培容器固定具であって、
前記植物栽培容器の内側の底面に係止される内側挟持部と、
棚部材の下面に係止される外側挟持部と、
前記植物栽培容器の底部に形成された水抜き穴と前記棚部材に設けられた貫通部とを貫通する雄ネジ部を有すると共に、前記雄ネジ部に対して螺着される雌ネジ部を有する締結手段と、を備え、
前記雄ネジ部と前記雌ネジ部とを螺着させて、前記内側挟持部と前記外側挟持部とで前記植物栽培容器の底部及び前記棚部材が挟持され、前記内側挟持部は、前記水抜き穴を開口した状態で、前記植物栽培容器の内側の前記底面における前記水抜き穴の周囲に係止させられることを特徴とする植物栽培容器固定具。
【請求項2】
前記内側挟持部には、前記植物栽培容器の前記水抜き穴と前記棚部材の前記貫通部とを貫通する前記雄ネジ部が設けられ、前記外側挟持部には、前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培容器固定具。
【請求項3】
前記外側挟持部には、前記植物栽培容器の前記水抜き穴と前記棚部材の前記貫通部とを貫通する前記雄ネジ部が設けられ、前記内側挟持部には、前記雄ネジ部が螺着される雌ネジ部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培容器固定具。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の植物栽培容器固定具と、
前記植物栽培容器が載置される棚部材と、
前記棚部材を支持する支柱と、
前記支柱に固定される柵部材と、を備えたことを特徴とする外構フェンス構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−80793(P2012−80793A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−227805(P2010−227805)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]