説明

植物栽培方法及び植物栽培設備

【課題】植物栽培において植物の生長を促進させて効率的に収量を増加するための植物栽培方法及び植物栽培設備の提供。
【解決手段】植物を栽培する農地の一部に太陽電池パネルを設置し、該太陽電池パネルで得られる電力で補助光源を駆動し、農地の他部で栽培する植物に、太陽光とともに前記補助光源から発する補助光を照射して生育させることを特徴とする植物栽培方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畑、水田、果樹林などの陸上の農地、水上(海面上、湖面上等)に建設された農地、藻類や植物プランクトンを培養するための培養池などの農地における植物の栽培において、太陽電池パネルで得られた電力で補助光源を駆動させて植物に太陽光と補助光とを照射し、植物の生育速度を高めて収量の増大を図ることができる植物栽培方法及び植物栽培設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の植物栽培方法は、畑や水田などの農地に栽培すべき植物の種子や苗を植え、水や肥料を与え、植物の生育に必要な光は、太陽光に依存して植物を生育させていた。従って、従来の植物栽培方法において、温度、水、肥料、空気等の植物生育要素が満たされている条件下において、植物の生長速度は太陽光の光エネルギー量により制限される。
【0003】
近年、発光ダイオード(以下、LEDと記す。)や有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機ELと記す。)などの発光効率に優れた発光素子が量産可能になってきたこと、地球規模の温暖化対策として植物の増産によるCO排出量削減が推奨されていること、石油価格の高騰などの諸問題に鑑みて、LED等の発光素子を用いて野菜を栽培するための設備(いわゆる、野菜工場)による植物栽培方法や太陽光の有効利用による植物増産方法が種々提案されている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0004】
特許文献1は、野菜工場等の屋内での植物栽培に関し、植物に照射する補助光源と前記植物の上方に設けられ太陽を取り入れる太陽光の取り入れ窓とで構成され、前記補助光源は多数個の赤色LEDと青色LEDで構成されおり、天気が晴れの時は太陽光を前記植物に当て、曇りの時は前記赤色LEDを照射し、雨の時は前記赤色LEDと前記青色LEDを照射する事を特徴とする植物栽培方法が開示されている。
【0005】
特許文献2は、太陽光の照射を受ける鏡面が設けられ、該鏡面から反射される反射光を室内側に反射させて、該反射光を導光材を用いて室内に送光する太陽光集光装置であって、上記入射光は集光チューブ内に並置させた略同一形状の複数の単位集光チューブによって分割され、反射光が、曲面反射板により集光チューブの出口の所定位置の光第1凝集部に集められ、該光第1凝集部から反射して狭い範囲に集められ、続いて光第2凝集部内で更に狭い範囲に集められ、導光材へ送られることを特徴とする太陽光集光装置が開示されている。
【0006】
特許文献3には、波長470〜600nmの光を、非イオン性の蛍光性化合物により、葉緑素又は植物色素の最大吸収が存在する波長範囲600〜700nmの光に移行させることを特徴とする、植物生長及び光合成のために470〜600nmの波長範囲を利用可能にする方法が開示されている。この特許文献3には、前記非イオン性の蛍光性化合物を混合した樹脂材料を温室又はビニールハウスの構造物に用いることが記載されている。
【0007】
特許文献4には、建物内に配置された栽培用植物の近傍に、その先端が到る光ファイバーの他端を、建物外に位置させ、かつこの光ファイバーの他端近傍に、集束部材を設け、前記光ファイバーの焼き付き防止及びこの光ファイバーの伝搬能力の向上を図るために、前記集束部材の全体を隠蔽し、かつ静置状態に配設される曲面状の赤外線吸収フィルターを備え、前記集束部材で収れんされた主として可視光線を前記光ファイバーに入射させ、ついでこの光ファイバーを介して可視光線を栽培用植物に照射若しくは分散照射するように構成した赤外線吸収フィルターを備えてなる光ファイバーを利用した植物栽培用採光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−246798号公報
【特許文献2】特開2005−123036号公報
【特許文献3】特開昭58−71821号公報
【特許文献4】特開平4−54770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前述した従来技術には、次のような問題があった。
特許文献1の植物栽培方法は、植物を野菜工場等の屋内で栽培するための技術であり、従って、植物を栽培するための大型で高価な建築物が必要となり、実施するための建設コスト及び栽培する際のランニングコストが高額となってしまうため実現が困難である。また、太陽光を利用するために太陽光の取り入れ窓を設けているが、この方式だと太陽光の透過率が低下したり窓枠で遮光されてしまうために太陽光を十分に利用できなくなり、その分を補助光源で補うためにエネルギー効率が悪くなる。
【0010】
特許文献2の太陽光集光装置は、屋上等で集光した太陽光を建物内に供給するための照明装置である。また、特許文献2には、太陽光集光装置を海藻やプランクトンの育成、野菜工場などへの応用が可能である旨が記載されているが、この太陽光集光装置によって集められ、照射される光は、太陽光エネルギーのうちの一部にすぎず、太陽光を直接当てて植物を栽培する場合と比べ、光エネルギーが大幅に不足してしまう。それを補うためには、多数の太陽光集光装置を大面積に並べる必要があり、そうすると設備コストが高くなり、また植物を栽培する面積を縮小せねばならず、その実現は困難である。さらに、太陽光が不足しがちな山間部などでは利用できない問題がある。
【0011】
特許文献3の植物生長及び光合成のために470〜600nmの波長範囲を利用可能にする方法は、太陽光の一部の光を波長変換して植物の光合成の効率化を図るためのものであるが、この方法では蛍光性化合物を含む合成樹脂材料に太陽光を通して植物に照射するものであるため、植物に照射される光エネルギーは低くなり、植物の生育促進効果が十分に得られない問題がある。さらに、太陽光が不足しがちな山間部などでは利用できない問題がある。
【0012】
特許文献4の植物栽培用採光装置は、採光装置で集めた太陽光のうちの可視光を光ファイバーを通して建物内で栽培する植物に照射するものであるが、この採光装置によって集められ、照射される光は、太陽光エネルギーのうちの一部にすぎず、太陽光を直接当てて植物を栽培する場合と比べ、光エネルギーが大幅に不足してしまう。それを補うためには、多数の採光装置を大面積に並べる必要があり、そうすると設備コストが高くなり、また植物を栽培する面積を縮小せねばならず、その実現は困難である。さらに、太陽光が不足しがちな山間部などでは利用できない問題がある。
【0013】
本発明は、前記事情に鑑みてなされ、植物栽培において植物の生長を促進させて効率的に収量を増加するための植物栽培方法及び植物栽培設備の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記目的を達成するため、本発明は、植物を栽培する農地の一部に太陽電池パネルを設置し、該太陽電池パネルで得られる電力で補助光源を駆動し、農地の他部で栽培する植物に、太陽光とともに前記補助光源から発する補助光を照射して生育させることを特徴とする植物栽培方法を提供する。
【0015】
本発明の植物栽培方法において、前記太陽電池パネルで得られる電力を蓄電装置に蓄電し、該蓄電装置の蓄電力の一部又は全部で前記補助光源を駆動させることが好ましい。
【0016】
本発明の植物栽培方法において、前記蓄電装置の蓄電力の他部を植物栽培用機器の駆動電源として用いることが好ましい。
【0017】
本発明の植物栽培方法において、前記補助光源が、LED光源、有機EL光源、ハロゲンライト、蛍光灯、キセノンランプからなる群から選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
【0018】
また本発明は、植物を栽培する農地の一部に設置された太陽電池パネルと、該太陽電池パネルで得られる電力で駆動され、農地の他部で栽培する植物に補助光を照射するように設けられた補助光源とを有し、植物に太陽光と前記補助光を当てて生育させることを特徴とする植物栽培設備を提供する。
【0019】
本発明の植物栽培設備において、前記太陽電池パネルで得られる電力を蓄電する蓄電装置を有することが好ましい。
【0020】
本発明の植物栽培設備において、前記蓄電装置からの蓄電力で駆動する植物栽培用機器を有することが好ましい。
【0021】
本発明の植物栽培設備において、前記補助光源が、LED光源、有機EL光源、ハロゲンライト、蛍光灯、キセノンランプからなる群から選択される一種又は二種以上であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の植物栽培方法は、植物を栽培する農地の一部に太陽電池パネルを設置し、該太陽電池パネルで得られる電力で補助光源を駆動し、農地の他部で栽培する植物に、太陽光とともに前記補助光源から発する補助光を照射して生育させることによって、太陽光のみで植物を栽培する場合と比べ、植物の生育を促進させ、作物等の収量を増加させることができる。また、植物の生育を促進することで、一定面積当たりの植物栽培におけるCO削減量を増加させることができる。さらに、山間地や高緯度の土地などの日照不足が起こり易い場所であっても植物の栽培が可能となり、栽培可能な植物の種類も増やすことができる。
【0023】
本発明の植物栽培設備は、植物を栽培する農地の一部に設置された太陽電池パネルと、該太陽電池パネルで得られる電力で駆動され、農地の他部で栽培する植物に補助光を照射するように設けられた補助光源とを有し、植物に太陽光と前記補助光を当てて生育させるものなので、屋内での植物栽培設備を建設する場合と比べ、設置コストが大幅に低減でき、また運転コストも低く抑えることができる。また、太陽光のみで植物を栽培する場合と比べ、植物の生育を促進させ、作物等の収量を増加させることができる。また、植物の生育を促進することで、一定面積当たりの植物栽培におけるCO削減量を増加させることができる。さらに、山間地や高緯度の土地などの日照不足が起こり易い場所であっても植物の栽培が可能となり、栽培可能な植物の種類も増やすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の植物栽培設備の一例を示す要部斜視図である。
【図2】本発明の植物栽培設備の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の植物栽培設備の一例を示す要部斜視図であり、図2は同じ設備の全体構成を示す斜視図である。これらの図中、符号1は農地、2は太陽光、3は太陽電池パネル、4は蓄電装置、5は補助光源、6は補助光、7はケーブルである。
【0026】
図1及び図2に示す植物栽培設備は、植物を栽培する農地1の一部に設置された太陽電池パネル3と、該太陽電池パネル3で得られる電力で駆動され、農地1の他部で栽培する植物に補助光6を照射するように設けられた補助光源5とを有し、植物に太陽光2と補助光6を当てて生育させる構成になっている。
【0027】
本発明において、「農地」とは、畑、水田、果樹林などの陸上の農地、水上に建設された農地、藻類や植物プランクトンを培養するための培養池などの植物を栽培可能な場所を指す。なお、前記水上に建設された農地としては、海、湖、沼、川などの水上に浮かべた巨大浮遊体(メガフロート)の上面や、水上に多数の船や筏を並べて植物栽培用の農地とした水上農地などが挙げられる。また、前記培養池としては、陸上に設置された培養池、水上に浮かべた浮遊体の凹部に設けられた培養池、或いは海藻繁殖用の魚礁や養殖筏などの海中の植物培養領域などが挙げられる。
【0028】
本発明において、「植物」とは、光合成を行う生物一般を指し、陸上植物だけでなく、藻類も含む表現とする。本発明において好ましい植物としては、例えば、イネ、トウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ハトムギ、キビ、アワ、ヒエ、モロコシ、ダイズ、アズキ、リョクトウ、ササゲ、インゲンマメ、ライマメ、ラッカセイ、エンドウ、ソラマメ、レンズマメ、ヒヨコマメ、ヘントウ、ベニバナインゲン、ケツルアズキ、モスビーン、テリバービーン、タケアズキ、フジマメ、ホースグラム、バンバラマメ、ゼオカルバマメ、キマメ、ナタマメ、ソバ、ダッタンソバ、アマランスなどの穀物;
イチゴ、オクラ、カボチャ、キュウリ、キノワ、ゴマ、シロウリ、スイカ、ズッキーニ、タマリロ、チョロギ、ゴーヤー、トウガラシ、トウガン、トマト、ナス、ピーマン、ヘチマ、マイタケ、マクワウリ、メロン、ユウガオなどの果菜類;
アスパラガス、ウド、コールラビ、ザーサイ、サトイモ、サトウキビ、ジャガイモ、ショウガ、タケノコ、タマネギ、ニンニク、ネギ、百合根、ヨウサイ、ラッキョウ、レンコン、ワサビなどの茎菜類;
カラシナ、キャベツ、クレソン、ゴボウ、コマツナ、サンチュ、サントウナ、シュンギク、セリ、セロリ、タアサイ、タカナ、チシャ、チンゲンサイ、ニラ、ノザワナ、ネギ、ハクサイ、パセリ、フキ、ホウレンソウ、ミズナ、ミブナ、ミツバ、メキャベツ、ルッコラ、レタスなどの葉菜類;
カブ、サツマイモ、サトイモ、ジャガイモ、ダイコン、ナガイモ、ニンジン、ヤマイモ、レンコン、サトウダイコンなどの根菜類;
アーティチョーク、カリフラワー、キク、アブラナ、フキノトウ、ブロッコリー、ミョウガ等の花菜類;
カキ、ナシ、リンゴ、カリン、アーモンド、アンズ、ビワ、モモ、スモモ、クリ、ミカン、ナツミカン、オレンジ、グレープフルーツ、キウイ、ブドウなどの果実類;
キク、チューリップ、バラなどの花卉類;
スギ、ヒノキ、マツなどの樹木類;
ワカメ、コンブ、ノリ、テングサなどの海藻類:
石油成分を生産する藻類であるボツリオコッカス・ブラウニー(Botryococcus braunii)、クロレラなどの藻類や植物プランクトン;
などが挙げられる。
【0029】
本発明において、「太陽電池パネル」とは、太陽光を照射することで電力が得られる太陽電池素子を並べてパネル状にした機器を指す。この太陽電池パネルの種類や構造は特に限定されず、a−Si(アモルファスシリコン)太陽電池、c−Si(結晶シリコン)太陽電池、μc−Si(微結晶シリコン)太陽電池、GaAs(ガリウム砒素)などの化合物半導体型太陽電池、色素増感型太陽電池とすることができる。
【0030】
本発明において、「蓄電装置」とは、太陽光を受けた太陽電池パネルから得られる電力を蓄電可能な装置を指す。この蓄電装置としては、鉛蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムイオンポリマー二次電池などの従来周知の二次電池を備えたものが使用可能である。
【0031】
本発明において、「補助光源」とは、前記太陽電池パネルで得られる電力で直接駆動し、或いは、前記蓄電装置からの蓄電力の一部又は全部で駆動して、補助光6を農地1の植物に照射可能なものであればよく、例えば、LED光源、有機EL光源、ハロゲンライト、蛍光灯、キセノンランプからなる群から選択される一種又は二種以上の補助光源が好ましく、それらの中でも、消費電力が少なく、発光効率に優れたLED光源や有機EL光源が好ましい。なお、補助光源としてLED光源や有機EL光源を使用する場合、赤色LEDや青色LEDを選択して使用することで、植物の生長に有効な赤色光や青色光などの単色光を植物に照射し、植物の生長をより一層増加させることも可能である。また、栽培する植物の種類に応じて、最も生長に有効な波長の光を照射可能なLED光源や有機EL光源を選択して使用することもできる。
【0032】
図1及び図2に示した例示において、補助光源5は、農地1の所定間隔毎に立設した柱状構造体の先端付近に設けられ、補助光源5から発する補助光6が太陽光2とともに植物に照射されるようになっている。なお、補助光源5の設置方法は、補助光6が植物に照射されればよく、本例示に限定されず、例えば、光ファイバーやプラスチック導光板を通して植物の近傍まで補助光を導光してもよいし、補助光源5を可動式として広い面積に均一に補助光を照射できる構成としてもよい。
【0033】
図1に示した例示において、補助光源5には、蓄電装置4から電力を供給するケーブル7が接続されている。蓄電装置4に蓄電された電力は、その一部を補助光源5の駆動用電力とし、余剰の電力は、植物栽培用機器の駆動用電力として利用することもできる。ここで、植物栽培用機器としては、トラクター、耕耘機、コンバイン、田植機などの車両型農業機器;スプリンクラーなどの自動散水装置;空調装置や扇風機などの温度調節機器;脱穀機、選別装置、洗浄装置、食材加工装置、充填機などの食品加工機器;藻類などの培養における培養槽撹拌装置、養分供給装置、藻類を捕集する回収装置、乾燥装置などの培養装置類などが挙げられる。
【0034】
本発明の植物栽培設備は、植物を栽培する農地1の一部に設置された太陽電池パネル3と、該太陽電池パネル3で得られる電力で駆動され、農地1の他部で栽培する植物に補助光6を照射するように設けられた補助光源5とを有し、植物に太陽光2と前記補助光6を当てて生育させるものなので、屋内での植物栽培設備を建設する場合と比べ、設置コストが大幅に低減でき、また運転コストも低く抑えることができる。
【0035】
本発明の植物栽培方法は、前記植物栽培設備において、農地1の一部に太陽電池パネル3を設置し、太陽電池パネル3で得られる電力で補助光源5を駆動し、農地1の他部で栽培する植物に、太陽光2とともに前記補助光源5から発する補助光6を照射して生育させることを特徴としている。
【0036】
従来の植物栽培方法において、温度、水、肥料、空気等の植物生育要素が満たされている条件下において、植物の生長速度は太陽光の光エネルギー量により制限される。そこで、本発明の植物栽培方法は、農地の一部に太陽電池パネル3を設置し、得られる電力で補助光源5を駆動し、植物に太陽光2とともに補助光6を照射することにより、太陽光のみで植物を栽培する場合と比べて植物の生長を促進し、収量の増加を図ることができる。また、収穫までの時間を短縮できることで、通常よりも短期間で収穫できるようになり、この点でも収量の増加を図ることができる。
また、本発明の植物栽培方法は、曇りや雨の日等、日照不足の日であっても、補助光6を照射することで、植物の生長を確保することができ、天候不順など日照不足による収量低下を軽減することができる。
さらに、本発明の植物栽培方法は、山間地や高緯度の土地などの日照不足が起こり易い場所での植物栽培において、太陽光のみで植物を栽培する場合と比べて植物の生長を促進し、収量の大幅な増加をもたらすことができ、さらにまた、従来は山間地や高緯度の土地では栽培が困難だった植物の栽培が可能となり、栽培可能な植物の種類を増やすことができる。
以上の通り、本発明の植物栽培方法によれば、植物の収量増加を図ることができ、植物の増産によって地球規模のCO削減に極めて有効である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、畑、水田、果樹林などの陸上の農地、水上に建設された農地、藻類や植物プランクトンを培養するための培養池などの農地における植物の栽培において、太陽電池パネルで得られた電力で補助光源を駆動させて植物に太陽光と補助光とを照射し、植物の生育速度を高めて収量の増大を図ることができる。本発明によれば、通常の平地の農地における植物の収量を増加させることができ、また山間地などの日照不足の農地においても栽培可能な植物の種類を増加させることができる。
【符号の説明】
【0038】
1 農地
2 太陽光
3 太陽電池パネル
4 蓄電装置
5 補助光源
6 補助光
7 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を栽培する農地の一部に太陽電池パネルを設置し、該太陽電池パネルで得られる電力で補助光源を駆動し、農地の他部で栽培する植物に、太陽光とともに前記補助光源から発する補助光を照射して生育させることを特徴とする植物栽培方法。
【請求項2】
前記太陽電池パネルで得られる電力を蓄電装置に蓄電し、該蓄電装置の蓄電力の一部又は全部で前記補助光源を駆動させる請求項1に記載の植物栽培方法。
【請求項3】
前記蓄電装置の蓄電力の他部を植物栽培用機器の駆動電源として用いる請求項2に記載の植物栽培方法。
【請求項4】
前記補助光源が、LED光源、有機EL光源、ハロゲンライト、蛍光灯、キセノンランプからなる群から選択される一種又は二種以上である請求項1〜3のいずれか1項に記載の植物栽培方法。
【請求項5】
植物を栽培する農地の一部に設置された太陽電池パネルと、該太陽電池パネルで得られる電力で駆動され、農地の他部で栽培する植物に補助光を照射するように設けられた補助光源とを有し、植物に太陽光と前記補助光を当てて生育させることを特徴とする植物栽培設備。
【請求項6】
前記太陽電池パネルで得られる電力を蓄電する蓄電装置を有する請求項5に記載の植物栽培設備。
【請求項7】
前記蓄電装置からの蓄電力で駆動する植物栽培用機器を有する請求項6に記載の植物栽培設備。
【請求項8】
前記補助光源が、LED光源、有機EL光源、ハロゲンライト、蛍光灯、キセノンランプからなる群から選択される一種又は二種以上である請求項5〜7のいずれか1項に記載の植物栽培設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2011−200163(P2011−200163A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70141(P2010−70141)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】