説明

植物栽培用の多機能支柱及びこれを構成する棒材保持具

【課題】小規模な空きスペースを有効活用して、蔓性植物等を各種の栽培形態で栽培し得る多機能支柱を提供する。
【解決手段】1本の支柱2の上端部に固定された固定部7の上部9に第1の保持部材10が設けられると共に、固定部7の外側部に第2の保持部材12が設けられている。第1の保持部材10は第1の棒材43の被保持部45を着脱可能に弾性保持できる。第2の保持部材12は、第2の棒材83の被保持部85を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる。固定部7には、植物栽培用のネット状物40を引っ掛ける引っ掛け片41が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胡瓜やゴーヤ、豆類、朝顔等の蔓性植物を栽培するために好適に用いることのできる植物栽培用の多機能支柱に関するものであり、又、該植物栽培用の多機能支柱を構成する棒材保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明者は、特開2007−166949号において、胡瓜やゴーヤ、豆類等の蔓性野菜を栽培するために用いることのできる支柱枠体を形成する開閉式支柱を提供した。
【0003】
該開閉式支柱aは、図25〜26に示すように、左右一対の支柱b,bの上部に夫々固定された連結部材c,c相互が、該一対の支柱b,bが開閉可能となるように連結されると共に、該支柱b,bの開閉方向と直交する前後方向に延長する横連結杆dの長さ方向の所要部分としての被保持部eを着脱可能の弾性挾持状態で保持する保持部材fが、前記連結部材c,cの双方に連なる如く、且つ、該一対の連結部材c,cの連結部gの上側に存するように設けられていた。そして該保持部材fは、上端開放で且つ前後方向の両端が開放されると共に上端開放部hが窄まったC字状の保持溝jが設けられた保持部kを具えており、該保持溝jに前記被保持部eが着脱可能に収容された状態で左右の保持片m,mが該被保持部eを弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部eは、窄まった状態にある前記上端開放部hに規制されて該保持溝jから脱落しないようになされていた。
【0004】
かかる構成を有する開閉式支柱aの複数本を用いて、例えば胡瓜を栽培するための支柱枠体nを構成するに際しては、例えば図25に示すように、両支柱b,bを最大に開いた開閉式支柱aを、畝幅が70cm程度の畝pの長さ方向に70〜90cm程度の間隔で配設することとし、該開閉式支柱aを最大開き状態にして両支柱b,bの下端側の部分q,qを地面rに突き刺して立設状態としていた。その後、図26に示すように、前記横連結杆dの被保持部eを前記保持溝jに前記上端開放部hを通して押し込むことにより、該横連結杆dの被保持部eが前記左右の保持片m,mで弾性的に挾持された状態となり、これによって図25に示す支柱枠体nを構成するのであった。
【0005】
このようにして構成された支柱枠体nの一方の支柱による支柱並列部s及び、他方の支柱による支柱並列部tの夫々の傾斜外面を、ネット状物wで覆うことにより、傾斜ネット面を具える例えば胡瓜棚x,xを形成し、該胡瓜棚x,xで胡瓜を栽培することとしていた。かかる構成を有する従来の開閉式支柱aによるときは、胡瓜等の蔓性植物の栽培を安定状態で行うことのできる支柱枠体を簡易に構成できる利点があった。
【0006】
しかしながら、かかる支柱枠体nを構成するために、開閉式支柱aを最大開き状態にして両支柱b,bの下端側の部分q,qを地面rに押し込むことにより三角形状の枠部を形成していたため、開閉式支柱aを開いた状態で立設できるだけの広いスペース(畑)を必要とした。従って、従来の開閉式支柱aによっては、畑としては利用しにくい小規模の空きスペースで胡瓜等の蔓性植物の栽培を行うということが難しかった。
【0007】
又、従来の開閉式支柱aは2本の支柱を用いて構成されていたため、部品点数が多くなって材料費が高く付く等製造コストの上昇を招く問題があった他、両支柱を閉じた状態で嵩張るために、保管の際や店舗における展示の際等においてスペースをとる問題もあった。
【0008】
又、開閉式支柱を三角形状に開いて地面に立設して支柱枠体を構成することから支柱枠体の形態が特定されてしまい、植物を各種の栽培形態で栽培しようとしても支柱枠体を各種に変化させるということができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−166949号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みて開発されたものであり、畑として利用しにくい小規模な空きスペースであっても、これを有効活用して蔓性植物等を各種の栽培形態で栽培できると共に、構造的に安定した植物栽培用の支柱枠体を簡易に構成でき、然も、保管スペースや店舗における展示スペースの削減が可能であり、又、製造コストの低減も期し得る植物栽培用の多機能支柱及びこれを構成する棒材保持具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため本発明は以下の手段を採用する。
即ち、本発明に係る植物栽培用の多機能支柱(以下、多機能支柱という)は、1本の支柱の上端部に固定された固定部の上部に第1の保持部材が設けられると共に、該固定部の外側部に第2の保持部材が設けられている。該第1の保持部材は、第1の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できるものであり、導入開口部が窄まったC字状の第1の保持溝が設けられた第1の保持部を具え、該第1の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第1の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第1の保持溝から脱落しないようになされており、且つ、前記第1の保持部には、前記固定部に設けられた上方突出の第1のジョイント部と重なる、下方突出の第2のジョイント部が設けられており、該第2のジョイント部が該第1のジョイント部に対して傾動可能となされている。又、前記第2の保持部材は、平面視で前記第1の棒材の長さ方向と直交する方向に延長する第2の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第2の保持部を具えており、該第2の保持部は、導入開口部が窄まったC字状の第2の保持溝が設けられ、該第2の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第2の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第2の保持溝から脱落しないようになされている。又、前記固定部には、植物栽培用のネット状物を引っ掛ける引っ掛け片が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
前記第1の保持部は、前記第1の保持溝が上方に開放した状態で、前記第1のジョイント部と前記第2のジョイント部の対向側に設けられた第1の係合部と第2の係合部との凹凸嵌合による係合作用によってロック状態とされる如くなし、該ロック状態が解除されることにより前記第2のジョイント部が前記第1のジョイント部に対して傾動可能となすのがよい。
【0013】
前記第2の保持部材は、前記固定部に着脱可能に設けるのがよい。又、前記第2の保持部材は、前記第2の保持部の前記固定部側の部分に、前記固定部の側部に設けられて上方に突出する挿入支持片を挿入させるための下端開放の挿入孔部を有する箱状掛着部が設けられたものとし、該挿入支持片を該挿入孔部に着脱可能に挿入させることにより、前記第2の保持部材が前記固定部に設けられる如く構成するのがよい。
【0014】
本発明に係る多機能支柱を構成するための棒材保持具(以下、棒材保持具という)は、1本の支柱の上端部に固定される固定部の上部に第1の保持部材が設けられると共に、該固定部の外側部に第2の保持部材が設けられている。該第1の保持部材は、第1の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できるものであり、導入開口部が窄まったC字状の第1の保持溝が設けられた第1の保持部を具え、該第1の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第1の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第1の保持溝から脱落しないようになされており、且つ、前記第1の保持部には、前記固定部に設けられた上方突出の第1のジョイント部と重なる、下方突出の第2のジョイント部が設けられており、該第2のジョイント部が該第1のジョイント部に対して傾動可能となされている。又、前記第2の保持部材は、平面視で前記第1の棒材の長さ方向と直交する方向に延長する第2の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第2の保持部を具えており、該第2の保持部は、導入開口部が窄まったC字状の第2の保持溝が設けられ、該第2の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第2の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第2の保持溝から脱落しないようになされている。又、前記固定部には、植物栽培用のネット状物を引っ掛ける引っ掛け片が設けられていることを特徴とするものである。
【0015】
前記棒材保持具において、前記第1の保持部は、前記第1の保持溝が上方に開放した状態で、前記第1のジョイント部と前記第2のジョイント部の対向側に設けられた第1の係合部と第2の係合部との凹凸嵌合による係合作用によってロック状態とされる如くなし、該ロック状態が解除されることにより前記第2のジョイント部が前記第1のジョイント部に対して傾動可能となすのがよい。又、前記第2の保持部材は、前記固定部に着脱可能に設けるのがよい。又、前記第2の保持部材は、前記第2の保持部の前記固定部側の部分に、前記固定部の側部に設けられて上方に突出する挿入支持片を挿入させるための下端開放の挿入孔部を有する箱状掛着部が設けられたものとし、該挿入支持片を該挿入孔部に着脱可能に挿入させることにより、前記第2の保持部材が前記固定部に設けられる如く構成するのがよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の如き優れた効果を奏する。
(1) 本発明に係る多機能支柱は、1本の支柱の上端部に固定された固定部の上部に第1の保持部材を設けると共に該固定部の外側部に第2の保持部材を設ける構成を採用しているため、従来の開閉式支柱とは異なり、支柱を立設した状態におけるスペース削減が可能となる。これによって、畑の際等の狭いスペースを有効活用して、胡瓜やゴーヤ、葡萄、朝顔等の各種の蔓性植物を効果的に栽培できることとなる。
【0017】
(2) 又、第2のジョイント部が第1のジョイント部に対して傾動可能であり、これにより前記第1の保持部材を傾動させ得ることから、複数本の多機能支柱の各支柱を地面に立設して後、隣り合う支柱相互を第1の棒材で連結する際、該第1の棒材を、水平状態に配置できる他、傾斜状態に配置することもできる。かかることから、例えば図16や図19に示すような段差のある支柱枠体を構成することも容易である等、所望の植物栽培に合わせて支柱枠体を多様に構成できる。
【0018】
(3) 然も、本発明に係る多機能支柱は、前記固定部の上部に第1の保持部材を具えると共に前記固定部の外側部に第2の保持部材を具えるため、隣り合う支柱相互を第1の棒材で簡易に連結できると共に該支柱相互を第2の棒材で簡易に連結でき、これによって、構造的安定性に優れた支柱枠体を簡易に構成できることとなる。又、図20に示すように、該多機能支柱を、垂直に立設された支柱に対する傾斜サポートとしても利用でき、これによって、構造的安定性に優れる支柱枠体を構成できることとなる。
これらにより、ゴーヤ等の重い実を付ける蔓性野菜であっても安定的に栽培できることとなる。
【0019】
(4) 又、本発明に係る多機能支柱は、1本の支柱を用いて構成されるため、従来の開閉式支柱に比し、使用材料の削減や加工手間の削減によって製造コストの低減を期し得ると共に、1本の支柱を用いて構成されているために、保管スペースや店舗における展示スペースの削減も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る多機能支柱を示す、中間省略の部分斜視図である。
【図2】それを構成する棒材保持具の構成を説明する斜視図である。
【図3】支柱を示す斜視図と断面図である。
【図4】棒材保持具を構成する第1の保持部材の構成を説明する分解斜視図である。
【図5】棒材保持具の構成を説明する断面図である。
【図6】第1の保持部材の組立て工程を説明する説明図である。
【図7】第1の保持部材の傾動作用を示す説明図である。
【図8】第2の保持部材を示す斜視図である。
【図9】第2の保持部材を固定部に取り付けた状態を、第2の保持溝に第2の棒材の被保持部を着脱可能に保持させた状態で示す断面図である。
【図10】多機能支柱の3本を用いて構成された胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図11】その上側部分の拡大図とその部分正面図、及び、第1の保持溝に第1の棒材の被保持部を着脱可能に嵌入させる作業工程を説明する説明図である。
【図12】多機能支柱の2本を用いて構成された胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図13】多機能支柱の6本を用いて構成された前後2列の胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図14】その部分斜視図と部分正面図、及び、第2の保持溝に第2の棒材の被保持部を着脱可能に嵌入させる作業工程を説明する説明図である。
【図15】多機能支柱の4本を用いて構成された前後2列の胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図16】多機能支柱の6本を用いて構成された、垂直ネット面の上端に傾斜ネット面を連ねてなる胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図17】その部分斜視図である。
【図18】その胡瓜棚を構成する支柱枠体を示す側面図である。
【図19】多機能支柱の4本を用いて構成された、垂直ネット面の上端に傾斜ネット面を連ねてなる胡瓜棚の一例を示す斜視図である。
【図20】多機能支柱の3本を用いて構成された胡瓜棚を傾斜サポートで補強した場合の一例を示す斜視図である。
【図21】その胡瓜棚を構成する支柱枠体の側面図と、その部分拡大図である。
【図22】第2のジョイント部を第1のジョイント部に対して傾動可能とする他の態様を示す断面図である。
【図23】第2のジョイント部を第1のジョイント部に対して傾動可能とするその他の態様を示す断面図である。
【図24】上向きのジョイント突片と下向きのジョイント突片とを枢軸で連結した場合を示す断面図である。
【図25】従来の開閉式支柱をその使用状態で示す斜視図である。
【図26】その部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
図1において本発明に係る多機能支柱1は、支柱2の上端部3に棒材保持具5が設けられており、該棒材保持具5は、支柱2の上端部3に固定された固定部7の上部9に第1の保持部材10が設けられると共に、該固定部7の外側部11に第2の保持部材12が設けられている。
【0022】
前記支柱2は、例えば図1、図3に示すように、鋼製の直線状パイプ本体13の表面に樹脂被覆15が施されてなり、外径が約16mmで全長が180〜240cm(例えば210cm)に形成されると共に、その上下端の部分を除く中間部分16の外面14には、周方向に例えば90度の角度ピッチで不連続突起列17の4列が設けられている。該不連続突起列17は、突起18を支柱2の長さ方向に不連続状態に連ねて形成されている。又、図1、図3に示すように、支柱2の下端部19には、下方に向けて細くなる円錐状のキャップ部材20が取り付けられている。なお図1、図3以外の各図においては、便宜上、前記不連続突起列17の図示が省略されているが、この不連続突起列17は設けられないこともある。
【0023】
前記固定部7は、本実施例においては図2、図4〜5に示すように、前記支柱2の上端部3を密接状態に挿入させ得る、下端22開放で且つ上部26が閉塞された筒部(本実施例においては円筒部25a)25として構成されている。そして該筒部25の上部26(固定部7の上部9)に、上方突出の第1のジョイント部27が設けられている。該第1のジョイント部27は本実施例においては図2、図4〜5に示すように、該上部26の左右方向の両側において、板状の上向きのジョイント突片29,29が対向状態で上方に突設されてなる。そして、該両上向きのジョイント突片29,29の上側は円弧板部30,30に形成されており、中央部には、左右方向に貫通する円形の枢着孔31,31が同心に設けられている。又、該両上向きのジョイント突片29,29の対向する内面34,34の上側部分の幅方向中央部位には、図4(B)に示すように、前記枢着孔31,31の内端32,32から上方に向け外方に傾斜する傾斜ガイド面33,33を有する傾斜ガイド溝部35,35が左右対向状態で設けられており、又、該枢着孔31,31の内端32,32の下縁部に、下方向に延長する垂直ガイド面36,36を有する、第1の係合部37,37としての垂直ガイド溝部39,39が左右対向状態で設けられている。
【0024】
又、前記円筒部25aの外側部11の対向側には、図2、図11(A)(B)に示すように、植物栽培用のネット状物40を引っ掛けるための引っ掛け片41,41が設けられている。該引っ掛け片41は、例えば前記円筒部25aの外側部11の上下方向所要部位において(本実施例においては、図2に示すように円筒部25aの下端において)、外方に突出し且つその先端で前記外側部11に向けて斜め上方に屈曲するフック状に構成されており、該引っ掛け片41には、図11(A)(B)に示すように、前記ネット状物40の上縁部分119が引っ掛けられる。本実施例においては一方の引っ掛け片41aは、後述のように、前記第2の保持部材12を取り付けるための挿入支持片42としても機能できる。
【0025】
前記第1の保持部材10は本実施例においては図2、図4〜5に示すように、前記支柱2の軸線L1と直交する方向L2に延長する第1の棒材43の長さ方向の所要部分としての被保持部45を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第1の保持部46と、前記第1のジョイント部27と重なる、下方突出の第2のジョイント部47を具えている。該第1の保持部46は、本実施例においては、上端開放で且つ左右方向の両端が開放すると共に導入開口部48が窄まったC字状の第1の保持溝49が設けられている。
【0026】
該第1の保持部46は、より具体的には、図4〜5に示すように、基端部50の両側(左右方向で見た両側)で左右の保持片51,51が上方に向けて対向状態で突設されたC字状本体52を有しており、両保持片51,51の円弧状内面53,53と前記基端部50の円弧状上面55とによって、導入開口部48が窄まった前記第1の保持溝49が設けられている。該第1の保持溝49の直径は例えば16mm程度に設定されると共に、該導入開口部48の開口幅は例えば14mm程度に設定されている。又、前記第1の棒材43の長さは90〜210cmに、外径は例えば16mm程度に設定されている。然して、図5に示すように、該第1の棒材43の前記被保持部45を該第1の保持溝49に嵌入させた状態で、該被保持部45は着脱可能の弾性挾持状態で保持され、該保持された状態にある被保持部45は、窄まった状態の前記導入開口部48に規制されて第1の保持溝49から脱落することがない。
【0027】
本実施例においては図4〜5に示すように、前記第1の保持溝49に収容された状態にある被保持部45をより脱落しにくくするために、前記C字状本体52の上端に、前記第1の保持溝49の対向する上端縁57,57で上方向に連設された垂直面59,59を有する垂直片60,60が突設されている。又、前記被保持部45を前記第1の保持溝49に容易に嵌入させることができるように、該垂直片60,60の上端に、前記垂直面59,59の上端縁62,62で外方に向けて斜め上方に連設された傾斜案内面63,63を有する案内片65,65が突設されている。又、本実施例においては図4〜5に示すように、前記C字状本体52の外面66の周方向中央部に補強肉厚部67が設けられている。
【0028】
前記第2のジョイント部47は、本実施例においては図4〜5に示すように、前記左右の上向きのジョイント突片29,29間のジョイント溝部69に挿入される板状の下向きのジョイント突片70として構成されており、前記基端部50で、その前後方向全幅に亘る幅を有して下方に突設されている。該下向きのジョイント突片70の下側は円弧板部71として形成されており、その左右面72,73の中央部位には、前記左右の枢着孔31,31と嵌合し得る円形軸状の枢着突部75,75が突設されている。又、該下向きのジョイント突片70の前記円弧板部71には、その前後方向に割り溝76が設けられており、該割り溝76を挟んだ左右の割片77,77の外面79,79の下端部分に、前記左右の垂直ガイド溝部(第1の係合部37,37)39,39に嵌まり合う、第2の係合部80,80としての係合突部81,81が突設されている。
【0029】
然して、かかる構成を有する第1の保持部材10を前記固定部7に連結するに際しては、図6(A)に示すように、前記枢着突部75,75を左右方向にし且つ前記係合突部81,81を前記傾斜ガイド溝部35,35に位置合わせして、前記下向きのジョイント突片70の下端部分82を前記ジョイント溝部69の上端部分に挿入する。その後、図6(B)に矢印で示すように、該下向きのジョイント突片70を該ジョイント溝部69内で下方向に押し込む。このようにして押し込むにつれ、前記枢着突部75,75が前記傾斜ガイド溝部35に案内されて下降すると共に、前記係合突部81,81が前記垂直ガイド溝部39,39に沿って下降する。このように下降する際、前記上向きのジョイント突片29,29が図6(B)に矢印で示すように左右方向に弾性変形し、その後、図6(C)に示すように、左右の枢着突部75,75が前記左右の枢着孔31,31に嵌まり合う直前の状態となる。前記下向きのジョイント突片70を更に下方向に押し込むと、両上向きのジョイント突片29,29の弾性復帰によって、図5に示すように、前記枢着突部75,75が、対応の前記枢着孔31,31に嵌まり合う。これと同時に、前記係合突部(第2の係合部80,80)81,81が、対応の垂直ガイド溝部(第1の係合部37,37)39,39に凹凸嵌合状態で嵌まり合う。
【0030】
このように、前記第1の係合部37と前記第2の係合部80とが凹凸嵌合状態で係合することにより、前記第1の保持部46は、図7(A)に示すように、前記導入開口部48が上方向に開放したロック状態とされる。そして、前記下向きのジョイント突片70を前記枢着孔31,31の孔心L3(図2)回りで傾動させるように一定以上の力を加えると、前記係合突部81が前記垂直ガイド溝部39から外れて(前記第1の係合部37と前記第2の係合部80との係合状態が解除されて)、図7(B)や図7(C)に示すように、該下向きのジョイント突片70が傾動できる。即ち、前記第1の保持部材10が前記枢着孔31,31の孔心L3回りで傾動できる。
【0031】
前記第2の保持部材12は、図1〜2に示すように、平面視で前記第1の棒材43の長さ方向と直交する方向に延長する第2の棒材83の長さ方向の所要部分としての被保持部85を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第2の保持部86を具えており、該第2の保持部86は、導入開口部87が窄まったC字状の第2の保持溝89が設けられている。
【0032】
該第2の保持部86は、より具体的には、基端部90の両側(前後方向で見た両側)で前後の保持片91,91が上方に向けて対向状態で突設されたC字状本体92を有しており、両保持片91,91の円弧状内面93,93と前記基端部90の円弧状上面95とによって、導入開口部87が窄まった前記第2の保持溝89が設けられている。該第2の保持溝89の直径は例えば16mm程度に設定されると共に、該導入開口部87の開口幅は例えば14mm程度に設定されている。又、前記第2の棒材83の長さは90〜210cmに、外径は例えば16mm程度に設定されている。然して図8に示すように、前記第2の棒材83の前記被保持部85を該第2の保持溝89に嵌入させた状態で、該被保持部85は着脱可能の弾性挾持状態で保持され、該保持された状態にある被保持部85は、窄まった状態の前記導入開口部87に規制されて該第2の保持溝89から脱落することがない。
【0033】
本実施例においては図2、図8〜9に示すように、前記第2の保持溝89に収容された状態にある被保持部85をより脱落しにくくするために、前記C字状本体92の上端に、前記第2の保持溝89の対向する上端縁97,97で上方向に連設された垂直面99,99を有する垂直片100,100が突設されている。又、前記被保持部85を前記第2の保持溝89に容易に嵌入させることができるように、該垂直片100,100の上端に、該垂直面99,99の上端縁102,102で外方に向けて斜め上方に連設された傾斜案内面103,103を有する案内片105,105が突設されている。又、本実施例においては図2に示すように、前記C字状本体92の外面106の周方向中央部に補強肉厚部107が設けられている。
【0034】
そして前記前後の保持片91,91の内の一方(前記固定部7側に位置する保持片91aの外面には、図8〜9に示すように、上方に突出する前記挿入支持片(フック状の引っ掛け片41)42を稍窮屈な状態で挿入させるための下端開放の挿入孔部109を有する箱状掛着部110が設けられている。
【0035】
次に、前記構成を有する多機能支柱1の複数本を用いて、家庭菜園で胡瓜等の蔓性植物を栽培するための支柱枠体111を構成する場合を説明する。図10〜11は、前記構成を有する多機能支柱(支柱高さは例えば210cm)1の3本を所要間隔(例えば90cm程度の間隔)を置いて立設して胡瓜棚112を構成する場合を示すものである。該多機能支柱1は、前記第1の係合部37と前記第2の係合部80との凹凸嵌合による係合作用によって、前記第1の保持部材10が、図7(A)に示すように、前記導入開口部48が上向きの開放状態でロックされた状態にある。
【0036】
先ず図10、図11(A)に示すように、3本の多機能支柱1,1,1の前記支柱2,2,2を、前記第1の保持溝49,49の軸線を合致させると共に該第1の保持溝49,49,49を同高さとして、下端側の部分113を地面(畝114の上面)115に20〜30cm程度押し込む。その後、該第1の保持溝49,49,49に、例えば180cmの長さを有する前記第1の棒材43の長さ方向の両端側の部分(所要部分)及び中央部分(所要部分)としての被保持部45,45,45を、図11(C)に示すように前記案内片65,65間に嵌め入れて、同図で矢印で示すように下方向に押圧すると、該被保持部45は、前記傾斜案内面63,63間及び前記垂直面59,59間を通過し、図11(B)で示すように、前記導入開口部48を通して前記第1の保持溝49に嵌め入れられる。この嵌め入れは、前記第1の保持部46が、前記導入開口部48が上方に向いたロック状態とされているため、該被保持部45を第1の保持溝49に嵌入させる際、支柱の軸線方向下向きに荷重が加わることになるので、被保持部45の嵌入を安定的に行うことができ、支柱枠体111の組立てを容易化し得る。
【0037】
このようにして被保持部45,45,45が第1の保持溝49,49,49に着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該被保持部45は、図5、図11(B)に示すように、前記左右の保持片51,51で弾性的に挾持された状態となり、該挾持された状態にある被保持部45は、窄まった状態の前記導入開口部48に規制されて第1の保持溝49から脱落しないように保持される。これにより、3本の支柱2,2,2が前記第1の棒材43で連結された状態となる。
【0038】
その後、図10に示すように、3本の支柱2,2,2によって形成された垂直面部116を、矩形状のネット状物40で覆う。該ネット状物40のネット目117の大きさは、一辺長さが100〜150mmに、例えば100mmに設定されている。このように覆う際、該ネット状物40の上端縁部119を、図11(A)(B)に示すように前記フック状の引っ掛け片41に引っ掛ける。又、該ネット状物40の下端部分120は、支柱2の下端側に、例えば紐を用いて結着したり、パッカーで固定する。これにより、垂直ネット面122からなる栽培面を有する胡瓜棚112を構成でき、畑の際等の狭いスペースを有効活用して胡瓜を栽培できる。
【0039】
図12は、より狭いスペースで胡瓜の栽培を行う場合を示すものであり、前記構成を有する多機能支柱(支柱高さは例えば210cm)1の2本が所要間隔(例えば90cm程度の間隔)で立設されて胡瓜棚112が構成されている。
【0040】
図13〜14は、多機能支柱1の6本を用いて例えば前後2列の胡瓜棚112,112を構成した場合を示すものであり、多機能支柱1の3本を用いて構成された前記と同様の胡瓜棚112が、前後に90cm程度の間隔を置いて対向状態で配設されると共に、前後隣り合う支柱2,2相互が、前記第2の棒材83で連結されており、該連結のために、各支柱2は、前記第2の保持部86を同一側(例えば、図13〜14における後側)に位置させて立設されている。又、この連結に際しては、図14(C)に示すように、前後の前記第2の保持溝89,89に、例えば90cmの長さを有する前記第2の棒材83の長さ方向の両端側の部分(所要部分)としての被保持部85,85を、前記案内片105,105間に嵌め入れて、同図に矢印で示すように下方向に押圧すると、該被保持部85は、前記傾斜案内面103,103間及び前記垂直面99,99間を通過し、前記導入開口部87を通して前記第2の保持溝89に嵌め入れられる。
【0041】
このようにして被保持部85,85が第2の保持溝89,89に着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該被保持部85は、図9、図14(B)に示すように、前記左右の保持片91,91で弾性的に挾持された状態となり、該挾持された状態にある被保持部85は、窄まった状態の前記導入開口部87に規制されて該第2の保持溝89から脱落しないように保持される。これにより、前後の支柱2,2相互が前記第2の棒材83で連結された状態となり、構造的に安定した支柱枠体111を構成できることになる。
【0042】
図15は、より狭いスペースで胡瓜の栽培を行う場合を示すものであり、多機能支柱1の2本を用いて構成された前記と同様の胡瓜棚112が、前後に90cm程度の間隔を置いて対向状態で配設されると共に、前後隣り合う支柱2,2相互が、前記第2の棒材83で連結されている。
【0043】
図16〜18は、多機能支柱1の6本を用いて構成された胡瓜棚112の他の態様を示すものであり、垂直ネット面122の上端に傾斜ネット面123が連設されている。かかる胡瓜棚112を構成する支柱枠体111は、高さの異なる前後の支柱列125,126が、90cm程度の間隔を置いて前後対向状態で配設されている。
【0044】
該前の支柱列125は、3本の支柱2,2,2を左右方向に所要間隔(例えば90cm程度の間隔)で立設すると共に、該3本の支柱2,2,2を前記第2の棒材83で連結してなり、該連結のために、各支柱2は、前記第2の保持部86を後側に位置させて立設されている。又、この連結に際しては、左右方向に並ぶ同高さの前記第2の保持溝89,89,89に、例えば180cm長さの前記第2の棒材83の長さ方向の両端側の部分(所要部分)と中央部分(所要部分)としての被保持部85,85,85を、図14(C)に示すと同様にして前記案内片105,105間に嵌め入れて下方向に押圧する。これにより、該被保持部85は、前記傾斜案内面103,103間及び前記垂直面99,99間を通過し、図14(B)、図17に示すように、前記導入開口部87を通して前記第2の保持溝89に嵌め入れられ、図17(A)(B)に示すように、該3本の支柱2,2,2が該第2の棒材83で連結された状態となる。
【0045】
前記後の支柱列126は、前記前の支柱列125と同様の構成を有しているが、使用する支柱2の長さは、該前の支柱列125を構成する支柱2の長さよりも長い。例えば前の支柱2aの長さは180cm程度に設定される一方、後の支柱2bの長さは210cm程度に設定されている。
【0046】
各支柱2は20〜30cm程度地面115に押し込まれており、前後の支柱列125,126の上端高さの差は30cm程度とされている。
【0047】
そして、前後隣り合う支柱2,2相互が前記第1の棒材43で連結されており、該連結のために、前後の多機能支柱1,1の前記第1の保持部46,46を、前記第1の係合部37と前記第2の係合部80との凹凸嵌合によるロック状態を解除して、前方に向け下方に稍傾いた傾動状態とする。この状態で、前後に並ぶ前記第1の保持溝49,49に、例えば90cm長さの前記第1の棒材43の長さ方向の両端側の部分(所要部分)としての被保持部45,45,45を、図11(C)に示すと同様にして前記案内片65,65間に嵌め入れて下方向に押圧する。これにより、該被保持部45は、前記傾斜ガイド面33,33間及び前記垂直面59,59間を通過し、図5、図16に示すように、前記導入開口部48を通して前記第1の保持溝49に嵌め入れられ、前後の支柱2,2が該第1の棒材43で連結された状態となる。
【0048】
その後、図16に示すように、前記3本の第1の棒材43,43,43によって形成された傾斜面部127の上面と、前記前の支柱列125を構成する3本の支柱2,2,2によって形成された垂直面部129の前面とを矩形状のネット状物40で覆う。このように覆う際、該ネット状物40の上端縁部119を、図17(A)、図11(B)に示すように、前記後の支柱列126の前記フック状の引っ掛け片41に引っ掛けると共に、該ネット状物40の中間部分130を、図17(B)に示すように、前記前の支柱列125の前記フック状の引っ掛け片41に引っ掛ける。又、該ネット状物40の下端部分120を、支柱2の下端側に、例えば紐を用いて結着したり、パッカーで固定する。これにより、垂直ネット面122の上端に傾斜ネット面123が連設された栽培面を有する胡瓜棚112を構成できる。かかる胡瓜棚112によるときは、垂直ネット面122の上端に傾斜ネット面123が連設されていることから栽培面積の増大を図ることができ、収穫量を増やせる。又、このように傾斜屋根状の傾斜ネット面123を具えることにより、胡瓜を該傾斜ネット面123で垂らすことができ、実の収穫を容易化し得る。
【0049】
図19は、より狭いスペースで胡瓜の栽培を行う場合を示すものであり、前後の支柱列125,126が2本の多機能支柱1,1で構成されている。
【0050】
図20〜21は、多機能支柱(支柱高さは例えば210cm程度)1の3本を所要間隔(例えば90cm程度の間隔)を置いて立設して胡瓜棚112を構成する際、該支柱2,2,2の立設状態をより安定化させるために、該3本の支柱2,2,2の夫々を、別の多機能支柱1を用いてなる傾斜サポート131で補強する場合を示すものである。該傾斜サポート131は図21に示すように、前記多機能支柱1の支柱2を前記立設状態の支柱2に対して傾斜状態として、その下端側の部分113を地面115に押し込んで構成されている。前記第1のジョイント部27に対して前記第2のジョイント部47を所要に傾動させてなる前記第1の保持部46の、軸線が上下方向である前記第1の保持溝49に、前記立設状態の支柱2(第1の棒材43)の中間部分としての被保持部45を嵌入状態に収容させることによって、立設状態の支柱2を該傾斜サポート131で補強できるのである。この場合、3本の多機能支柱1,1,1について、前記第2の保持部86を外側に向けて第2の保持溝89,89,89の軸線を合致させ、該第2の保持溝89,89,89に、前記第2の棒材83の両端部分及び中央部分としての被保持部85,85を嵌入状態に収容させることにより、該3本の傾斜サポート131,131,131を該第2の棒材83で連結できる。これにより、該傾斜サポート131による胡瓜棚112の強度的安定性を向上させ得る。
【0051】
前記のように構成された胡瓜棚112は、胡瓜の栽培シーズンが終わった後は分解される。この分解は、前記ネット状物40を前記支柱枠体111から取り外すと共に、前記第1の棒材43や前記第2の棒材83を多機能支柱1から取り外し、支柱2を地面から引き抜く。必要であれば、前記箱状掛着部110を持ち上げて第2の保持部材12を挿入支持片42から取り外す。
【実施例2】
【0052】
本発明は、前記実施例で示したものに限定されるものでは決してなく、「特許請求の範囲」の記載内で種々の設計変更が可能であることはいうまでもない。その一例を挙げれば次のようである。
【0053】
(1) 前記第2のジョイント部47を前記第1のジョイント部27に対して傾動可能とするその他の態様としては、例えば図22に示すように、前記第1の保持部46側に、所要間隔を隔てて対向する下向きのジョイント突片70,70(第2のジョイント部47)を下方向に突出する一方、前記固定部(前記筒部等)7の上部9に、両下向きのジョイント突片70,70間のジョイント溝部69に挿入される上向きのジョイント突片29(第1のジョイント部27)を上方向に突出し、前記と同様にして枢着突部75を枢着孔31に嵌め入れて構成してもよい。この場合、前記と上下逆の態様で第1の係合部37と第2の係合部80を設け、両者の凹凸嵌合による係合作用によって、第1の保持部46を、その第1の保持溝49が上方に開放したロック状態となる如く構成することもできる。
【0054】
或いは図23に示すように、前記固定部(前記筒部等)7の上部9に上向きのジョイント突片(第1のジョイント部27)29を上方向に突出する一方、前記第1の保持部46に、該上向きのジョイント突片29と重なり合う下向きのジョイント突片70(第2のジョイント部47)を下方向に突出し、重なり状態にある両ジョイント突片29,70を枢軸133で連結することにより、該第2のジョイント部47が前記第1のジョイント部27に対して傾動し得るように構成することもできる。
【0055】
(2) 前記第1のジョイント部27や前記第2のジョイント部47を、所要間隔を隔てて対向するジョイント突片を具える如く構成する場合、例えば図24に示すように、上向きのジョイント突片29,29と下向きのジョイント突片70とを、軸線が前後方向である枢軸135で連結することもできる。
【0056】
(3) 前記第1のジョイント部27と前記第2のジョイント部47の対向側に設けられた第1の係合部37と第2の係合部80との凹凸嵌合による係合作用によって、前記第1の保持部46を、前記第1の保持溝49が上方に開放した状態でロックする場合、該凹凸嵌合による係合の構成は各種に構成できる。第1の係合部37としての前記垂直ガイド溝部39は凹部に変更することもできる。
又、前記第1の係合部37と前記第2の係合部80の凹凸嵌合の構成は、前記したものとは凹凸を逆にした構成とすることもできる。
【0057】
(4) 前記凹凸嵌合による係合作用によって第1の保持部46をロックさせる構成は省略されることもある。
【0058】
(5) 前記支柱2は、伸縮式に構成し、固定具により所要長さで固定されるように構成することもできる。
【0059】
(6) 前記支柱枠体111を構成する場合、所要間隔を置いて一列に立設状態とされる多機能支柱1の立設本数は、植物栽培のために利用できるスペースの大小に合わせて、4本以上の所要本数に設定することもできる。
【0060】
(7) 本発明に係る多機能支柱1を用いて支柱枠体111を構成して植物を栽培する場合、該支柱枠体111にネット状物40を取り付けるときは、胡瓜やゴーヤ、豆類、葡萄、朝顔、クレマチス等の各種の蔓性植物を栽培する栽培面を形成できる。又、該ネット状物40を取り付けないで、支柱2そのものでトマトやピーマン、ナス等を支持することもある。
【0061】
(8) 図16、図19に示す場合において、前記傾斜ネット面123を水平なネット面に変更することもできる。
【0062】
(9) 不連続突部が設けられた支柱2を用いるときは、ネット状物40を取り付けない場合において、植物をその成長に合わせて適当間隔で支柱に結着材で結着させる際、結着材が突部に引っ掛かってずり落ちない効果がある。
又、各支柱で蔓性植物を栽培する場合、蔓性植物の蔓や茎を下方にスリップさせることなく確実に支柱に巻き付かせることができ、これによって植物を上方向に良好に成長させることができる。
【符号の説明】
【0063】
1 多機能支柱
2 支柱
3 上端部
5 棒材保持具
7 固定部
9 固定部の上部
10 第1の保持部材
12 第2の保持部材
17 不連続突起列
27 第1のジョイント部
29 上向きのジョイント突片
31 枢着孔
37 第1の係合部
39 垂直ガイド溝部
40 ネット状物
41 引っ掛け片
42 挿入支持片
43 第1の棒材
45 被保持部
46 第1の保持部
47 第2のジョイント部
48 導入開口部
49 第1の保持溝
75 枢着突部
80 第2の係合部
81 係合突部
83 第2の棒材
85 被保持部
86 第2の保持部
87 導入開口部
89 第2の保持溝
111 支柱枠体
112 胡瓜棚
122 垂直ネット面
123 傾斜ネット面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本の支柱の上端部に固定された固定部の上部に第1の保持部材が設けられると共に、該固定部の外側部に第2の保持部材が設けられており、
該第1の保持部材は、第1の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できるものであり、導入開口部が窄まったC字状の第1の保持溝が設けられた第1の保持部を具え、該第1の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第1の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第1の保持溝から脱落しないようになされており、且つ、前記第1の保持部には、前記固定部に設けられた上方突出の第1のジョイント部と重なる、下方突出の第2のジョイント部が設けられており、該第2のジョイント部が該第1のジョイント部に対して傾動可能となされており、
前記第2の保持部材は、平面視で前記第1の棒材の長さ方向と直交する方向に延長する第2の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第2の保持部を具えており、該第2の保持部は、導入開口部が窄まったC字状の第2の保持溝が設けられ、該第2の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第2の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第2の保持溝から脱落しないようになされており、
又、前記固定部には、植物栽培用のネット状物を引っ掛ける引っ掛け片が設けられていることを特徴とする植物栽培用の多機能支柱。
【請求項2】
前記第1の保持部は、前記第1の保持溝が上方に開放した状態で、前記第1のジョイント部と前記第2のジョイント部の対向側に設けられた第1の係合部と第2の係合部との凹凸嵌合による係合作用によってロック状態とされる如くなされ、該ロック状態が解除されることにより前記第2のジョイント部が前記第1のジョイント部に対して傾動可能となされていることを特徴とする請求請1記載の植物栽培用の多機能支柱。
【請求項3】
前記第2の保持部材は、前記固定部に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の多機能支柱。
【請求項4】
前記第2の保持部材は、前記第2の保持部の前記固定部側の部分に、前記固定部の側部に設けられて上方に突出する挿入支持片を挿入させるための下端開放の挿入孔部を有する箱状掛着部が設けられており、該挿入支持片を該挿入孔部に着脱可能に挿入させることにより、前記第2の保持部材が前記固定部に設けられることを特徴とする請求項1記載の植物栽培用の多機能支柱。
【請求項5】
1本の支柱の上端部に固定される固定部の上部に第1の保持部材が設けられると共に、該固定部の外側部に第2の保持部材が設けられており、
該第1の保持部材は、第1の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できるものであり、導入開口部が窄まったC字状の第1の保持溝が設けられた第1の保持部を具え、該第1の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第1の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第1の保持溝から脱落しないようになされており、且つ、前記第1の保持部には、前記固定部に設けられた上方突出の第1のジョイント部と重なる、下方突出の第2のジョイント部が設けられており、該第2のジョイント部が該第1のジョイント部に対して傾動可能となされており、
前記第2の保持部材は、平面視で前記第1の棒材の長さ方向と直交する方向に延長する第2の棒材の長さ方向の所要部分としての被保持部を着脱可能の弾性挾持状態で保持できる第2の保持部を具えており、該第2の保持部は、導入開口部が窄まったC字状の第2の保持溝が設けられ、該第2の保持溝に前記被保持部が着脱可能の嵌入状態に収容された状態で、該第2の保持溝を構成する一対の対向する保持片が該被保持部を弾性的に挾持し、該挾持された状態にある被保持部は、窄まった状態の前記導入開口部に規制されて該第2の保持溝から脱落しないようになされており、
又、前記固定部には、植物栽培用のネット状物を引っ掛ける引っ掛け片が設けられていることを特徴とする植物栽培用の多機能支柱を構成するための棒材保持具。
【請求項6】
前記第1の保持部は、前記第1の保持溝が上方に開放した状態で、前記第1のジョイント部と前記第2のジョイント部の対向側に設けられた第1の係合部と第2の係合部との凹凸嵌合による係合作用によってロック状態とされる如くなされ、該ロック状態が解除されることにより前記第2のジョイント部が前記第1のジョイント部に対して傾動可能となされていることを特徴とする請求請5記載の棒材保持具。
【請求項7】
前記第2の保持部材は、前記固定部に着脱可能に設けられていることを特徴とする請求項5記載の棒材保持具。
【請求項8】
前記第2の保持部材は、前記第2の保持部の前記固定部側の部分に、前記固定部の側部に設けられて上方に突出する挿入支持片を挿入させるための下端開放の挿入孔部を有する箱状掛着部が設けられており、該挿入支持片を該挿入孔部に着脱可能に挿入させることにより、前記第2の保持部材が前記固定部に設けられることを特徴とする請求項5記載の棒材保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−239738(P2011−239738A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115616(P2010−115616)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(392003225)第一ビニール株式会社 (27)
【Fターム(参考)】