植物栽培装置
【課題】栽培槽の重量が負荷する部品等を外面が平坦面よりなる角材、角棒を使用し、且つラックとピニオンの噛合によりキャスターが横梁上を走行させるようにして角棒間のねじれやキャスター脱輪等が生じることなく安定的に横梁上を走行し、栽培槽を同一高さにて水平動するようにして栽培するため、全ての栽培槽が、植物生育のための光照射量や温度等の諸条件を一定化する。
【解決手段】複数本の横梁3の前後方向に所定間隔を有して平行に離隔し、横梁3の上方には左右1対の角棒8、8が直交して交差して配置されている。横梁3の下方にはラック7が取り付けられ。角棒8、8には連杆19が架設され、連杆19にはキャスター20が横梁3上を走行可能に取り付けられている。角棒8には吊杆付栽培槽18が吊り下げられている。回転シャフト23の外周面に固着したピニオン24はラック7と噛合し、モーターの駆動により栽培槽18を宙吊り状態で左右水平方向に移動可能にしている。
【解決手段】複数本の横梁3の前後方向に所定間隔を有して平行に離隔し、横梁3の上方には左右1対の角棒8、8が直交して交差して配置されている。横梁3の下方にはラック7が取り付けられ。角棒8、8には連杆19が架設され、連杆19にはキャスター20が横梁3上を走行可能に取り付けられている。角棒8には吊杆付栽培槽18が吊り下げられている。回転シャフト23の外周面に固着したピニオン24はラック7と噛合し、モーターの駆動により栽培槽18を宙吊り状態で左右水平方向に移動可能にしている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地が充填された栽培槽を温室等の建屋構造体内に吊り下げて設置し、野菜や花卉等を栽培する集約農業に供される吊り下げ式可動タイプの植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、特許文献1に記載のものが存在する。特許文献1には、温室天井より手作業高さ位置に吊設された複数の列状に配設された栽培ベッドを、該栽培ベッドと直交方向に走行自在に移動用フレームに取り付け、栽培ベッドを列と直交方向に移動可能にし作業通路を確保するようにしたものが開示されている。詳しくは、温室屋根から束柱状に垂設された支持棒でハンガーレールを吊設支持し、該ハンガーレール内にて走行自在に車輪を配設し、前記支持棒から出た水平腕外端には栽培ベッドの列と直交する方向に沿ってラックを取り付け、該ラックの歯と噛合する歯車をモーター軸に取り付けている。前記車輪の車軸に固着した吊棒により栽培ベッドのフレームは取り付けられている。
特許文献1に開示の栽培装置であると、栽培ベッドの上方に平行に位置する栽培フレームにハンガーレールに取り付けられ(「0014」及び「0018」の段参照)、ハンガーレールが束柱を介して取り付けられている温室天井に栽培ベッド等の総重量が負荷し危険である。又、車輪がハンガーレール内を走行する構成であるため、ハンガーレールの底面に設けた1対のガイド板が破損する等の事態等が生じた場合、総ての部品を外してメインテナンス作業をしなければならず、メンテナンス作業が煩雑であった。
【0003】
3本1組とする吊り下げ部材(パイプ)のうち1本を固定用とし他の2本を移動用とし、これら3本の吊り下げ部材にワイヤを絡ませて1つの栽培ベッドを吊り下げ支持し、移動用吊り下げ部材の長さ方向に沿ってラックを取り付け、該ラックと噛合するピニオンと駆動用モータを具備した回転軸を吊り下げ部材と直交して配設し、移動用吊り下げ部材を相互正逆方向に等量分水平移動させるように構成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示されている吊り下げ式栽培ベッドであると、特許文献中図8に示すように栽培ベッドは、3本1組の吊り下げ部材の最も外側に位置する固定用吊り下げ部材間をモータの駆動により巻き取り量に対応して移動し、栽培ベッドの移動量が極めて限られている。又、1つの栽培ベッドに対し、3本の吊り下げ部材を必要とし、ワイヤの巻着構造が複雑であるという欠点があった。
【0004】
又、1対の水平架台部間にパイプからなる巻回部材を架け渡し、水平架台上を巻回部材を回転移動可能に取り付け、巻回部材には吊り下げ部材により植物栽培ベッドを吊設し、巻回部材の回転移動により吊り下げ部材を巻回部材に巻着したり、或いは巻き戻ししながら平行移動するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載されている水平動機構は「0016」、「0017」及び「0019」の段に記載されているように、巻回部材の水平動には吊り下げ部材の巻き取り或いは巻き戻しを伴い、吊り下げ部材上の巻回部材の転動量に応じて植物栽培ベッドの高さが変化し、全ての植物栽培ベッドの植物の日光照射量や温度条件が一律化されないという欠点があった。
【0005】
又、吊掛け部材(横架材)に吊り下げ機構上端に取着したS字フックを引っ掛け、S字フックの引っ掛け位置を移動させることで、植物栽培ベッドを横方向に移動可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4に記載されている栽培装置であると、吊掛け部材からS字フックを取り外し、所望位置にS字フックを引っ掛けるため、2〜4Kg程度の鉢状栽培ベッドには適用可能であるが、長さ数メートル以上の一方向に著しく長く複数本の吊り下げ支持部材を必要とする栽培ベッドの移動には適用不可能であるという欠点があった。
【0006】
又、複数列の左右同列となる位置に栽培槽と平行に回転軸を配置し、軸の左右の栽培槽列を対となるように索で連結し、隣り合う栽培槽の索の軸への巻着方向を逆にし、軸の回転にて隣り合う槽が反対方向に上下移動するようにし、高設密集配置された多数の栽培槽間に農作業のための空間を作るようにすると共に、栽培槽の配置密度を高めたものや(例えば、特許文献5参照)、駆動スプロケットに懸垂索を掛け渡し、懸垂索の両下端に間隔保持具を介して栽培容器が取り付けられ、モータの駆動により駆動スプロケットが移動して栽培容器が上下動するようにしたもの(例えば、特許文献6参照)が提案されている。
ところで、農作物の生育に最も重要なのは温度管理と照射光量管理である。特許文献5又は6記載の発明は栽培槽を上下方向に移動のみする構成であるため、異なる高さに配置された夫々の栽培槽への光の入射角度、照射光量及び温度等の栽培条件が、配置場所により夫々異なる。つまり、上方と下方に配置された栽培槽を比較すると、上方に配置された栽培層の方が下方に配置された栽培槽よりも温度環境が高くなり、光源に近い上方に位置する栽培槽の方が照射光量が増加し、収穫される農作物の品質に差が生じるという問題点があった。
【0007】
又、地面に設置した車輪付台座の上端に設けたバスケット載置枠軸心を中心とし、育苗バスケットを収納可能なバスケット載置枠を左右対称に設け、バスケット載置枠軸心を旋回アームで回転し、日光照射角度に応じてバスケット載置枠を傾斜させる構成の回転育苗棚が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかしながら、特許文献7に記載の発明であると、隣り合う育苗バスケット間には農作業のための人が立てる空間を確保しておかなければならず、育苗バスケットを高密度に配置することは不可能である。又、日光照射角度に応じてバスケット載置枠を傾斜させると、水等が同一バスケット内で低い方に移動し、給水条件に差異が生じ農作物の生育が均一化せず、更に、日光の位置に応じて旋回アームを操作する作業を人手で行うため非効率的であるという問題点があった。
【0008】
特許文献8には地面に水平レールを縦横に敷設し、栽培槽がレール上を縦方向又は横方向に自在にスライドして移動可能にした栽培装置が、特許文献9には地面上をキャスター付栽培棚のキャスターを転動しながら移動させるように構成したものが記載されている。
しかしながら、特許文献8又は特許文献9に記載の発明は移設作業の向上及び作業者の肉体的負担の軽減の見地から創案されたものであって、限られた面積の土地に高密度に栽培槽を配置し収穫量増産の見地からは創案されていないため、土地を有効利用できないという問題点があった。
【0009】
特許文献10には植物支持部を技状に形成し、植物に対し光を照射するランプを上下動可能にして枝に均等な光量を照射可能にした栽培装置が提案されているが、本願発明とは構成、目的、効果を著しく別異にする。
【0010】
特許文献11には、商業用或いは住居用等の通常の鉄骨建築物外壁に設置する栽培槽を建築物内側から農作業を可能にしたものであって、モーター駆動による灌水や日照調節装置をコンピュータプログラムにより制御するようにしたものである。
特許文献11に記載の発明は、本願発明が栽培槽への温度、照射光量等の条件をどの位置に設置された栽培槽についても一定にし、温室内の限られた面積を有効利用するものとは目的を別異にする。
【特許文献1】特開2003−52252号公報
【特許文献2】特開2004−21号公報
【特許文献3】特開2003−245016号公報
【特許文献4】特開2002−51653号公報
【特許文献5】特開2004−275178号公報
【特許文献6】特開2006−254890号公報
【特許文献7】特開2006−223129号公報
【特許文献8】特開平11−289871号公報
【特許文献9】特開2005−46025号公報
【特許文献10】特開平9−275815号公報
【特許文献11】特開2005−261352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、栽培槽重量が負荷する部品等を外面が平坦面よりなる角材、角棒を使用し、又、ラックとピニオンの噛合によりキャスターが横梁上を走行させるようにし、角棒間のねじれや移動等が生ぜず、キャスターも脱輪することなく安定的に横梁上を走行し、又、栽培槽を同一高さにて水平動するようにして栽培するため、全ての栽培槽が、植物生育のための光照射量や温度等の諸条件を一定化する植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明のうち請求項1に係る発明は、温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、吊持されてなることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、前記栽培槽の振動を前記キャスターに伝達しないようにした振動吸収機構を介して吊持されてなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記振動吸収機構は、前記角棒に掛け渡した吊持部に取付部材に弾性部材を介在させて吊杆を取り付け、前記吊杆の振動を前記弾性部材で吸収し、前記吊持部に伝達不可能にしたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、上記対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、栽培槽が同一高さに宙吊りされ、農作業のために左右動するように構成されているので、ハウス設備、被覆設備、電照設備及び暖房設備等の環境設備が、同一温室内の栽培槽であれば総て同一条件であるため、植物が同じような生育状態をし栽培槽毎に異なる農作業をすることが無く、農作業性が向上し、略同一品質の農作物を収穫可能であるという効果がある。
【0014】
又、栽培槽を吊持する角棒や連杆が、その外面が平坦面を有し、且つ隣り合う面を90度の内角をもって連設している断面方形に形成されているので、角棒や角棒を受けている受具等が面連結或いは面当接をし、横梁、角棒、受具及び連結鋼材等のよれやねじれを未然に防止し、仮に多少のずれが生じても極めて容易に分解修理が可能で、メンテナンス作業が簡単であるという効果がある。又、相互の平坦面を互いに当接して面連結することにより複数の部材を一直線状に接続可能で、更に複数の部材を90度の角度を有しての接続作業が容易にできるという効果がある。
【0015】
対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けているので、栽培槽が横方向に傾斜する等の不具合が生じないという効果がある。
【0016】
回転シャフトの移動手段をラックとピニオンの噛合移動機構とすることにより、温室内の高湿度環境に対して耐久性を有し、簡易な機構で栽培槽を横方向に水平移動させることができ、隣り合う栽培槽間の間隔を高精度で設定可能であり、植物の成長や植物の栽培季節に応じて栽培槽の間隔を調整可能で、栽培植物の本数の増加や果実の高品質化を図り得るという効果がある。
【発明の実施するための最良の形態】
【0017】
温室内の複数の栽培槽に対する照射光や温度条件の均一化、栽培槽の1対の吊持部の左右間距離の一定化、一定面積の作付け量の増加、及びメインテナンス作業の効率化という複数の目的を、左右方向の離隔距離保持手段を具備した1対の角棒に吊杆付栽培槽を吊り下げ、吊り下げられる鋼材には平坦面を内角90度をもって連設して成る角材或いは山形鋼を用い、特に角棒のうち横梁の上方にて直交する前後40〜60cmの長さ部分をコ字形受具で受けることで実現した。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図、図2は植物栽培装置の構成を示す正面図、図3は植物栽培装置の要部を示す背面斜視図、図4は回転シャフトに回転駆動手段を設けた要部を示す平面図、図5は図4のA−A線断面図、図6はラックに回転駆動手段を具備していない回転シャフトを取り付けた状態を示す正面図、図7はラックを設けていない横梁と角棒との交差部分の取り付け状態を示す正面図である。
先ず図1において、前後方向に著しく長い温室(図示せず)内に、温室の左右両端に於いて温室前後方向に所定間隔を有して立設した複数本の支柱(図示せず)上端に天井受台1、2を連結固着している。横梁3は中空角柱よりなり、複数本の横梁3が温室の前後方向に所定間隔を有して離隔し、夫々の横梁3が互いに平行な位置関係となるように天井受台1、2間に架け渡されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、側視コ字形吊持部4は横梁3の前後に跨って挟み付け、横梁3に固定的に取り付けられている。側視コ字形吊持部4の下端には吊杆5の上端が固着され、吊杆5の下端は栽培槽6に固定的に取り付けられ、吊杆5、5で栽培槽6を安定的に定位置に吊り下げ支持している。栽培槽6は、前後方向に著しく長い上方を開放した有底容器よりなり、横梁3の左右横方向に所定間隔を有して離隔して互いに平行な位置関係となるように複数配置している。栽培槽6は、農作業者の身長に応じて地表面からの適切な高さに宙吊りに吊り下げられ、定位置に固定的に配置されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、横梁3の下方にはラック7が取り付けられている。ラック7は、横梁3の中心線とラック7の中心線とが互いに平行な位置関係になるように取り付けられている。詳しくは、ラック7は、図2に示すように横梁3に於ける隣り合う栽培槽6、6の対向する吊持部4、4間に、歯を下方に向けて取り付けられている。図1に示すように、ラック7は全ての横梁3に設けられている必要性はなく、前後方向に所定距離離隔して平行に並設された複数の横梁3のうち数本毎に設ける等、複数本の横梁のうち使用者の所望する横梁3に設けていればよい。
【0021】
前後方向に並設された複数の横梁3に取り付けられた複数のラック7のうち少なくとも1つのラック7は、回転駆動手段を具備した回転シャフトのピニオンと噛合している必要がある。
以下に、回転駆動手段を具備した回転シャフトのピニオンと噛合するラック部分の構成について図1〜図5を参照にして説明する。
横梁3のうちラック7の取付部分に対応する位置には、左右横方向に所定距離を有して離隔し前後方向に延びる互いに平行な1対の角棒8、8が配設されている。角棒8はC形鋼よりなり、C形鋼の開口部を下方に向けて配設されている。対となる角棒8、8間の距離が安定的に保持可能に、角棒8、8間には距離保持手段を設けている。実施例1では、距離保持手段は、角棒8、8の対向側面に山形鋼9、10を角棒8、8に対して90度の角度をもって取り付け、山形鋼9、10の下端に横梁3と平行に山形鋼11を取り付けることで角棒8、8間の離隔距離を安定的に保持するようにしている。角棒8のうち横梁3との直交部には、コ字形受具12を角棒8の外面と当接させて一体的に取り付けている。コ字形受具12は、長さが約40cm程度であることが好適である。吊持部13はコ字形受具12の長さ方向略中央位置にて、角棒8及びコ字形受具12を左右方向に跨り、角棒8の開口部と対向面の外面及びコ字形受具12の両側壁外面と当接して一体的に取り付けられている。吊持部13と吊杆14にはボルト挿通孔が夫々穿設されている。該ボルト挿通孔に挿通されたボルト15に、吊持部13と夫々のナット16との間にばね17を夫々介在させてナット16を夫々締着することにより、吊持部13に吊杆14の上端が取り付けられている。吊持部13と夫々のナット16との間に弾性部材として夫々ばね17を介在させて締着することで、吊杆14からの振動をばね17に吸収させ、吊持部13に振動を伝達させないようにし、吊杆14の振動を吊持部13を介してキャスター20に伝達しないようにしてキャスター20の横梁3上からの脱輪を防止している。弾性部材は、蔓巻ばねに限定せず、弾性合成樹脂や板ばね等、公知の弾性部材のすべてが本願発明に包含される。吊杆14の下端には栽培槽18が取り付けられている。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が角棒8、8と90度の角度をもって連結固着されている。連杆19は溝形鋼よりなる。連杆19の溝には一方向可動タイプのキャスター20、20が、横梁3の上面を走行可能に取り付けられている。キャスター20、20は、連杆19の溝にボルト(図示せず)とナット(図示せず)で脱着自在に取り付けられており、スプリングワッシャ(図示せず)をナットと連杆19との間に介在させている。支持板21は、下部に軸受22を具備し、横梁3に対して90度の角度をもって連杆19及び横梁3に固定的に取り付けられている。回転シャフト23は外周面にピニオン24を固着した中空管よりなる。回転シャフト23は中空管よりなるため、中空部にガスを導通し温室暖房用のガス供給管とし、或いは水道管を遊挿して植物への水撒き作用を持たせることが可能である。回転シャフト23は、ピニオン24がラック7と噛合し、且つ軸受22のボールに摺接して円滑に周方向に回転動するように軸受22に支持されて取り付けられている。ラック7とピニオン24の噛合部分には、該噛合部分を前後から挟み込むようにカバー25が設けられ、ラック7とピニオン24の噛合状態を安定的に保持するようにしている。回転変換装置26は、モーター27の駆動により回転するモーター軸の回転動を変換するための装置であって、例えば、複数のウォーム歯車を噛合して内蔵し、モーター軸の回転動を回転シャフト23に周方向に正逆回転するように伝達するように形成されている。実施例1では、上述の回転シャフト23のうちモーター等の駆動手段を設けた部分が交差する横梁3は、図1に示すように前後方向に複数並設された横梁3のうち中央部分に位置する横梁3である場合を例に説明しているが、複数の横梁3のうち中央部分に位置する横梁3部分に限定するものではなく、数箇所に所定間隔を有して設けることも本願発明に含まれる。
【0022】
ラック7が取り付けられた横梁3のうち、回転駆動手段を具備していない回転シャフト23の取り付け状態について、図6を参照にして説明する。横梁3の下方にラック7を取り付けている。横梁3の上方に於いて、横梁3と直交して交差するC形鋼よりなる角棒8、8は、左右に所定距離を有して離隔され平行な位置関係に設けられている。角棒8のうち横梁3との直交部には、コ字形受具12を角棒8の外面と当接させて一体的に取り付けている。コ字形受具12の長さは不問であるが、長さが約40cm〜60cm程度であることが好適である。コ字形受具12の長さを40cm程度にすることで吊持部13、連杆19等を点連結ではなく面連結とし、1対の角棒8、8の捩れを防止可能である。吊持部13はコ字形受具12の長さ方向略中央位置にて、角棒8及びコ字形受具12を左右方向に跨り、角棒8の開口部と対向面の外面及びコ字形受具12の両側壁外面と当接して一体的に取り付けられている。吊持部13と吊杆14には、ボルト挿通孔が夫々穿設されている。該ボルト挿通孔に挿通されたボルト15に、吊持部13と夫々のナット16との間に夫々ばね17を介在させてナット16を締着することにより、吊持部13に吊杆14の上端が取り付けられている。吊持部13と夫々のナット16との間に弾性部材として夫々ばね17を介在させて締着することで、吊杆14からの振動をばね17に吸収させ、吊持部13に振動を伝達させないようにしている。このように、それぞれのボルト15に螺着するナット16と吊持部13との間にばね17を夫々設けることにより、吊杆14の振動を吊持部13を介してキャスター20に伝達しないようにし、キャスター20の横梁3上からの脱輪を防止している。弾性部材は、蔓巻ばねに限定せず、弾性合成樹脂や板ばね等、公知の弾性部材のすべてが本願発明に包含される。吊杆14の下端には栽培槽18が取り付けられている。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が角棒8、8と90度の角度をもって連結固着されている。連杆19は溝形鋼よりなる。連杆19の溝には一方向可動タイプのキャスター20、20が、横梁3の上面を脱輪することなく、横梁3の長さ方向に沿って安全に走行可能に取り付けられている。支持板21は、下部に軸受を具備し、横梁3に対して90度の角度をもって連杆19及び横梁3に固定的に取り付けられている。回転シャフト23は外周面にピニオン24を固着した中空管よりなる。回転シャフト23は、ピニオン24がラック7と噛合し、且つ軸受に摺接して円滑に周方向に回転動するように軸受に支持されて取り付けられている。ラック7とピニオン24の噛合部分前後にはカバー25が設けられ、ラック7とピニオン24の噛合状態を安定的に保持するようにしている。
実施例1では、ラック7が取り付けられた横梁3のうち、回転駆動手段を具備していない回転シャフト23が直交する横梁は、図1のうち前後方向から夫々2本目の横梁部分に設けられている場合を例に説明したが、本願発明は回転シャフト23が円滑に回転するために必要であれば、回転シャフト23のうち横梁3と交差する部分の必要な所望位置に設ける場合のすべてが含まれる。
【0023】
横梁3のうちラックを設けていない部分に於いては、図7に示すように、軸受22を具備する支持板21を連杆19に取り付け、軸受22に回転シャフト23を挿通支持している。角棒8にはコ字形受具12を取り付けている。吊持部13の中途部位より下部位置と吊杆14の上部にはボルト挿通孔を対向する位置に夫々穿設し、このボルト挿通孔にボルト15を挿通している。ボルト15にはナット16をばね17を介在させて吊持部13と吊杆14を挟み付けて締着し、吊持部13は吊杆14をボルト15により吊り下げ支持している。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が連設され、一方向可動タイプのキャスター20、20が取り付けられている。連杆19には支持板21が取り付けられ、支持板21には軸受22を有する回転シャフト挿通孔が穿設され、該回転シャフト挿通孔には回転シャフト23が挿通されている。
実施例1では、図1で示される横梁3のうちラック7が取り付けられていない横梁3には、図7に示す角棒8への回転シャフト23の取り付け構造により取り付けられている。
【0024】
次に、作用について説明する。モーター27の駆動によりモーター軸が水平方向に回転し、該回転を回転変換器26により変換し、回転シャフト23を周方向に回転させる。ピニオン24も回転シャフト23と同期回転する。ピニオン24はラック7のラック歯と噛合して回転動し、回転シャフト23を回転方向に移動させる。支持板21は回転シャフト23を軸支し、且つ連杆19に固着されているためピニオン24の回転に応じてキャスター20、20が回転シャフト23の移動量と同一量をもって横梁3の上面を走行する。吊杆14に吊設された栽培槽18は、高さを変化することなく宙吊り状態で水平移動する。回転変換装置26は、モーター軸の回転動を回転シャフト23に周方向に正逆回転するように伝達するように形成されているので、スイッチの操作により栽培槽18を左右いづれか所望方向に水平移動することができる。農作業のためのスペースが必要な場合は、スイッチの操作により栽培槽18を一方向に移動させて農作業者の作業スペースを確保するように作用する。回転シャフト23は全ての横梁3との全ての交差箇所に於いて、軸受けにより回転自在に軸支されているため、約50m回転シャフト23であっても、1個のモーターの駆動により角棒8をねじれさせること無く、前後が同一移動量をもって円滑に移動する。
【0025】
温室内に設けた横梁3の長さが595cmである場合、横幅35cmの固定式栽培槽6を横方向に宙吊りに設けるには、図8に示すように作業用スペースを最外側に夫々85cmのスペースと、栽培槽6間に95cmのスペースを必要とし、栽培槽6は4個しか配置できない。図9に示すように、固定式栽培槽6と可動式栽培槽18を交互に配置すると、最外側に夫々90cmのスペースと、栽培槽6、18間に60cmのスペースを必要とし、栽培槽6、18を合計5個配置することが可能で、図8に示す固定式栽培槽6のみを配置した場合と比較すると栽培耕地が25%広くなった。図10に示すように、中央に固定式栽培槽6を配置し、左右に可動式栽培槽18を配置すると、最外側に44cmのスペースと栽培槽6、18間に44cmのスペースを必要とし、合計6個の栽培槽6、18を配置することが可能で、図8に示す固定式栽培槽6のみを配置した場合と比較すると栽培耕地面積が75%広くなった。このように、可動式の栽培槽18を配置することで、固定式の栽培槽6のみを配置した場合と比較して、同一面積の温室内で広い栽培面積を確保可能であるという効果がある。
【実施例2】
【0026】
図11を参照にして実施例2について説明する。実施例1と異なる点は回転シャフト23のうち横梁3との交差部には、すべて回転シャフトに回転駆動手段を設けている点である。
このような構成にすることで、50mを越す回転シャフトであっても、極めて容易に回転可能であるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
横梁を天井受台に架設することなく、土地に立設した支柱と横桟を使用し、土地を有効利用することで、屋外の農業にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図である。(実施例1)
【図2】植物栽培装置の構成を示す正面図である。(実施例1)
【図3】植物栽培装置の要部を示す背面斜視図である。(実施例1)
【図4】回転シャフトに回転駆動手段を設けた要部を示す平面図である。(実施例1)
【図5】図4のA−A線断面図である。(実施例1)
【図6】ラックに回転駆動手段を具備していない回転シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。(実施例1)
【図7】ラックを設けていない横梁と角棒との交差部分の取り付け状態を示す正面図である。(実施例1)
【図8】温室内に固定式の栽培槽のみを配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図9】温室内に固定式の栽培槽と可動式の栽培槽を交互に配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図10】温室内に、中央に固定式の栽培槽を配置し、固定式の栽培槽の左右に可動式の栽培槽を配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図11】植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0029】
3 横梁
5、14 吊杆
6、18 栽培槽
7 ラック
8 角棒
13 吊持部
19 連杆
20 キャスター
21 支持板
23 回転シャフト
24 ピニオン
26 回転変換器
【技術分野】
【0001】
本発明は、培地が充填された栽培槽を温室等の建屋構造体内に吊り下げて設置し、野菜や花卉等を栽培する集約農業に供される吊り下げ式可動タイプの植物栽培装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置としては、特許文献1に記載のものが存在する。特許文献1には、温室天井より手作業高さ位置に吊設された複数の列状に配設された栽培ベッドを、該栽培ベッドと直交方向に走行自在に移動用フレームに取り付け、栽培ベッドを列と直交方向に移動可能にし作業通路を確保するようにしたものが開示されている。詳しくは、温室屋根から束柱状に垂設された支持棒でハンガーレールを吊設支持し、該ハンガーレール内にて走行自在に車輪を配設し、前記支持棒から出た水平腕外端には栽培ベッドの列と直交する方向に沿ってラックを取り付け、該ラックの歯と噛合する歯車をモーター軸に取り付けている。前記車輪の車軸に固着した吊棒により栽培ベッドのフレームは取り付けられている。
特許文献1に開示の栽培装置であると、栽培ベッドの上方に平行に位置する栽培フレームにハンガーレールに取り付けられ(「0014」及び「0018」の段参照)、ハンガーレールが束柱を介して取り付けられている温室天井に栽培ベッド等の総重量が負荷し危険である。又、車輪がハンガーレール内を走行する構成であるため、ハンガーレールの底面に設けた1対のガイド板が破損する等の事態等が生じた場合、総ての部品を外してメインテナンス作業をしなければならず、メンテナンス作業が煩雑であった。
【0003】
3本1組とする吊り下げ部材(パイプ)のうち1本を固定用とし他の2本を移動用とし、これら3本の吊り下げ部材にワイヤを絡ませて1つの栽培ベッドを吊り下げ支持し、移動用吊り下げ部材の長さ方向に沿ってラックを取り付け、該ラックと噛合するピニオンと駆動用モータを具備した回転軸を吊り下げ部材と直交して配設し、移動用吊り下げ部材を相互正逆方向に等量分水平移動させるように構成したものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特許文献2に開示されている吊り下げ式栽培ベッドであると、特許文献中図8に示すように栽培ベッドは、3本1組の吊り下げ部材の最も外側に位置する固定用吊り下げ部材間をモータの駆動により巻き取り量に対応して移動し、栽培ベッドの移動量が極めて限られている。又、1つの栽培ベッドに対し、3本の吊り下げ部材を必要とし、ワイヤの巻着構造が複雑であるという欠点があった。
【0004】
又、1対の水平架台部間にパイプからなる巻回部材を架け渡し、水平架台上を巻回部材を回転移動可能に取り付け、巻回部材には吊り下げ部材により植物栽培ベッドを吊設し、巻回部材の回転移動により吊り下げ部材を巻回部材に巻着したり、或いは巻き戻ししながら平行移動するものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特許文献3に記載されている水平動機構は「0016」、「0017」及び「0019」の段に記載されているように、巻回部材の水平動には吊り下げ部材の巻き取り或いは巻き戻しを伴い、吊り下げ部材上の巻回部材の転動量に応じて植物栽培ベッドの高さが変化し、全ての植物栽培ベッドの植物の日光照射量や温度条件が一律化されないという欠点があった。
【0005】
又、吊掛け部材(横架材)に吊り下げ機構上端に取着したS字フックを引っ掛け、S字フックの引っ掛け位置を移動させることで、植物栽培ベッドを横方向に移動可能にしたものが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献4に記載されている栽培装置であると、吊掛け部材からS字フックを取り外し、所望位置にS字フックを引っ掛けるため、2〜4Kg程度の鉢状栽培ベッドには適用可能であるが、長さ数メートル以上の一方向に著しく長く複数本の吊り下げ支持部材を必要とする栽培ベッドの移動には適用不可能であるという欠点があった。
【0006】
又、複数列の左右同列となる位置に栽培槽と平行に回転軸を配置し、軸の左右の栽培槽列を対となるように索で連結し、隣り合う栽培槽の索の軸への巻着方向を逆にし、軸の回転にて隣り合う槽が反対方向に上下移動するようにし、高設密集配置された多数の栽培槽間に農作業のための空間を作るようにすると共に、栽培槽の配置密度を高めたものや(例えば、特許文献5参照)、駆動スプロケットに懸垂索を掛け渡し、懸垂索の両下端に間隔保持具を介して栽培容器が取り付けられ、モータの駆動により駆動スプロケットが移動して栽培容器が上下動するようにしたもの(例えば、特許文献6参照)が提案されている。
ところで、農作物の生育に最も重要なのは温度管理と照射光量管理である。特許文献5又は6記載の発明は栽培槽を上下方向に移動のみする構成であるため、異なる高さに配置された夫々の栽培槽への光の入射角度、照射光量及び温度等の栽培条件が、配置場所により夫々異なる。つまり、上方と下方に配置された栽培槽を比較すると、上方に配置された栽培層の方が下方に配置された栽培槽よりも温度環境が高くなり、光源に近い上方に位置する栽培槽の方が照射光量が増加し、収穫される農作物の品質に差が生じるという問題点があった。
【0007】
又、地面に設置した車輪付台座の上端に設けたバスケット載置枠軸心を中心とし、育苗バスケットを収納可能なバスケット載置枠を左右対称に設け、バスケット載置枠軸心を旋回アームで回転し、日光照射角度に応じてバスケット載置枠を傾斜させる構成の回転育苗棚が提案されている(例えば、特許文献7参照)。
しかしながら、特許文献7に記載の発明であると、隣り合う育苗バスケット間には農作業のための人が立てる空間を確保しておかなければならず、育苗バスケットを高密度に配置することは不可能である。又、日光照射角度に応じてバスケット載置枠を傾斜させると、水等が同一バスケット内で低い方に移動し、給水条件に差異が生じ農作物の生育が均一化せず、更に、日光の位置に応じて旋回アームを操作する作業を人手で行うため非効率的であるという問題点があった。
【0008】
特許文献8には地面に水平レールを縦横に敷設し、栽培槽がレール上を縦方向又は横方向に自在にスライドして移動可能にした栽培装置が、特許文献9には地面上をキャスター付栽培棚のキャスターを転動しながら移動させるように構成したものが記載されている。
しかしながら、特許文献8又は特許文献9に記載の発明は移設作業の向上及び作業者の肉体的負担の軽減の見地から創案されたものであって、限られた面積の土地に高密度に栽培槽を配置し収穫量増産の見地からは創案されていないため、土地を有効利用できないという問題点があった。
【0009】
特許文献10には植物支持部を技状に形成し、植物に対し光を照射するランプを上下動可能にして枝に均等な光量を照射可能にした栽培装置が提案されているが、本願発明とは構成、目的、効果を著しく別異にする。
【0010】
特許文献11には、商業用或いは住居用等の通常の鉄骨建築物外壁に設置する栽培槽を建築物内側から農作業を可能にしたものであって、モーター駆動による灌水や日照調節装置をコンピュータプログラムにより制御するようにしたものである。
特許文献11に記載の発明は、本願発明が栽培槽への温度、照射光量等の条件をどの位置に設置された栽培槽についても一定にし、温室内の限られた面積を有効利用するものとは目的を別異にする。
【特許文献1】特開2003−52252号公報
【特許文献2】特開2004−21号公報
【特許文献3】特開2003−245016号公報
【特許文献4】特開2002−51653号公報
【特許文献5】特開2004−275178号公報
【特許文献6】特開2006−254890号公報
【特許文献7】特開2006−223129号公報
【特許文献8】特開平11−289871号公報
【特許文献9】特開2005−46025号公報
【特許文献10】特開平9−275815号公報
【特許文献11】特開2005−261352号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本願発明は上記従来技術の有する問題点に鑑みて創案されたものであって、栽培槽重量が負荷する部品等を外面が平坦面よりなる角材、角棒を使用し、又、ラックとピニオンの噛合によりキャスターが横梁上を走行させるようにし、角棒間のねじれや移動等が生ぜず、キャスターも脱輪することなく安定的に横梁上を走行し、又、栽培槽を同一高さにて水平動するようにして栽培するため、全ての栽培槽が、植物生育のための光照射量や温度等の諸条件を一定化する植物栽培装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明のうち請求項1に係る発明は、温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、吊持されてなることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、前記栽培槽の振動を前記キャスターに伝達しないようにした振動吸収機構を介して吊持されてなることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、上記振動吸収機構は、前記角棒に掛け渡した吊持部に取付部材に弾性部材を介在させて吊杆を取り付け、前記吊杆の振動を前記弾性部材で吸収し、前記吊持部に伝達不可能にしたことを特徴とする。
請求項4に係る発明は、上記対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、栽培槽が同一高さに宙吊りされ、農作業のために左右動するように構成されているので、ハウス設備、被覆設備、電照設備及び暖房設備等の環境設備が、同一温室内の栽培槽であれば総て同一条件であるため、植物が同じような生育状態をし栽培槽毎に異なる農作業をすることが無く、農作業性が向上し、略同一品質の農作物を収穫可能であるという効果がある。
【0014】
又、栽培槽を吊持する角棒や連杆が、その外面が平坦面を有し、且つ隣り合う面を90度の内角をもって連設している断面方形に形成されているので、角棒や角棒を受けている受具等が面連結或いは面当接をし、横梁、角棒、受具及び連結鋼材等のよれやねじれを未然に防止し、仮に多少のずれが生じても極めて容易に分解修理が可能で、メンテナンス作業が簡単であるという効果がある。又、相互の平坦面を互いに当接して面連結することにより複数の部材を一直線状に接続可能で、更に複数の部材を90度の角度を有しての接続作業が容易にできるという効果がある。
【0015】
対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けているので、栽培槽が横方向に傾斜する等の不具合が生じないという効果がある。
【0016】
回転シャフトの移動手段をラックとピニオンの噛合移動機構とすることにより、温室内の高湿度環境に対して耐久性を有し、簡易な機構で栽培槽を横方向に水平移動させることができ、隣り合う栽培槽間の間隔を高精度で設定可能であり、植物の成長や植物の栽培季節に応じて栽培槽の間隔を調整可能で、栽培植物の本数の増加や果実の高品質化を図り得るという効果がある。
【発明の実施するための最良の形態】
【0017】
温室内の複数の栽培槽に対する照射光や温度条件の均一化、栽培槽の1対の吊持部の左右間距離の一定化、一定面積の作付け量の増加、及びメインテナンス作業の効率化という複数の目的を、左右方向の離隔距離保持手段を具備した1対の角棒に吊杆付栽培槽を吊り下げ、吊り下げられる鋼材には平坦面を内角90度をもって連設して成る角材或いは山形鋼を用い、特に角棒のうち横梁の上方にて直交する前後40〜60cmの長さ部分をコ字形受具で受けることで実現した。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図、図2は植物栽培装置の構成を示す正面図、図3は植物栽培装置の要部を示す背面斜視図、図4は回転シャフトに回転駆動手段を設けた要部を示す平面図、図5は図4のA−A線断面図、図6はラックに回転駆動手段を具備していない回転シャフトを取り付けた状態を示す正面図、図7はラックを設けていない横梁と角棒との交差部分の取り付け状態を示す正面図である。
先ず図1において、前後方向に著しく長い温室(図示せず)内に、温室の左右両端に於いて温室前後方向に所定間隔を有して立設した複数本の支柱(図示せず)上端に天井受台1、2を連結固着している。横梁3は中空角柱よりなり、複数本の横梁3が温室の前後方向に所定間隔を有して離隔し、夫々の横梁3が互いに平行な位置関係となるように天井受台1、2間に架け渡されている。
【0019】
図1及び図2に示すように、側視コ字形吊持部4は横梁3の前後に跨って挟み付け、横梁3に固定的に取り付けられている。側視コ字形吊持部4の下端には吊杆5の上端が固着され、吊杆5の下端は栽培槽6に固定的に取り付けられ、吊杆5、5で栽培槽6を安定的に定位置に吊り下げ支持している。栽培槽6は、前後方向に著しく長い上方を開放した有底容器よりなり、横梁3の左右横方向に所定間隔を有して離隔して互いに平行な位置関係となるように複数配置している。栽培槽6は、農作業者の身長に応じて地表面からの適切な高さに宙吊りに吊り下げられ、定位置に固定的に配置されている。
【0020】
図2及び図3に示すように、横梁3の下方にはラック7が取り付けられている。ラック7は、横梁3の中心線とラック7の中心線とが互いに平行な位置関係になるように取り付けられている。詳しくは、ラック7は、図2に示すように横梁3に於ける隣り合う栽培槽6、6の対向する吊持部4、4間に、歯を下方に向けて取り付けられている。図1に示すように、ラック7は全ての横梁3に設けられている必要性はなく、前後方向に所定距離離隔して平行に並設された複数の横梁3のうち数本毎に設ける等、複数本の横梁のうち使用者の所望する横梁3に設けていればよい。
【0021】
前後方向に並設された複数の横梁3に取り付けられた複数のラック7のうち少なくとも1つのラック7は、回転駆動手段を具備した回転シャフトのピニオンと噛合している必要がある。
以下に、回転駆動手段を具備した回転シャフトのピニオンと噛合するラック部分の構成について図1〜図5を参照にして説明する。
横梁3のうちラック7の取付部分に対応する位置には、左右横方向に所定距離を有して離隔し前後方向に延びる互いに平行な1対の角棒8、8が配設されている。角棒8はC形鋼よりなり、C形鋼の開口部を下方に向けて配設されている。対となる角棒8、8間の距離が安定的に保持可能に、角棒8、8間には距離保持手段を設けている。実施例1では、距離保持手段は、角棒8、8の対向側面に山形鋼9、10を角棒8、8に対して90度の角度をもって取り付け、山形鋼9、10の下端に横梁3と平行に山形鋼11を取り付けることで角棒8、8間の離隔距離を安定的に保持するようにしている。角棒8のうち横梁3との直交部には、コ字形受具12を角棒8の外面と当接させて一体的に取り付けている。コ字形受具12は、長さが約40cm程度であることが好適である。吊持部13はコ字形受具12の長さ方向略中央位置にて、角棒8及びコ字形受具12を左右方向に跨り、角棒8の開口部と対向面の外面及びコ字形受具12の両側壁外面と当接して一体的に取り付けられている。吊持部13と吊杆14にはボルト挿通孔が夫々穿設されている。該ボルト挿通孔に挿通されたボルト15に、吊持部13と夫々のナット16との間にばね17を夫々介在させてナット16を夫々締着することにより、吊持部13に吊杆14の上端が取り付けられている。吊持部13と夫々のナット16との間に弾性部材として夫々ばね17を介在させて締着することで、吊杆14からの振動をばね17に吸収させ、吊持部13に振動を伝達させないようにし、吊杆14の振動を吊持部13を介してキャスター20に伝達しないようにしてキャスター20の横梁3上からの脱輪を防止している。弾性部材は、蔓巻ばねに限定せず、弾性合成樹脂や板ばね等、公知の弾性部材のすべてが本願発明に包含される。吊杆14の下端には栽培槽18が取り付けられている。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が角棒8、8と90度の角度をもって連結固着されている。連杆19は溝形鋼よりなる。連杆19の溝には一方向可動タイプのキャスター20、20が、横梁3の上面を走行可能に取り付けられている。キャスター20、20は、連杆19の溝にボルト(図示せず)とナット(図示せず)で脱着自在に取り付けられており、スプリングワッシャ(図示せず)をナットと連杆19との間に介在させている。支持板21は、下部に軸受22を具備し、横梁3に対して90度の角度をもって連杆19及び横梁3に固定的に取り付けられている。回転シャフト23は外周面にピニオン24を固着した中空管よりなる。回転シャフト23は中空管よりなるため、中空部にガスを導通し温室暖房用のガス供給管とし、或いは水道管を遊挿して植物への水撒き作用を持たせることが可能である。回転シャフト23は、ピニオン24がラック7と噛合し、且つ軸受22のボールに摺接して円滑に周方向に回転動するように軸受22に支持されて取り付けられている。ラック7とピニオン24の噛合部分には、該噛合部分を前後から挟み込むようにカバー25が設けられ、ラック7とピニオン24の噛合状態を安定的に保持するようにしている。回転変換装置26は、モーター27の駆動により回転するモーター軸の回転動を変換するための装置であって、例えば、複数のウォーム歯車を噛合して内蔵し、モーター軸の回転動を回転シャフト23に周方向に正逆回転するように伝達するように形成されている。実施例1では、上述の回転シャフト23のうちモーター等の駆動手段を設けた部分が交差する横梁3は、図1に示すように前後方向に複数並設された横梁3のうち中央部分に位置する横梁3である場合を例に説明しているが、複数の横梁3のうち中央部分に位置する横梁3部分に限定するものではなく、数箇所に所定間隔を有して設けることも本願発明に含まれる。
【0022】
ラック7が取り付けられた横梁3のうち、回転駆動手段を具備していない回転シャフト23の取り付け状態について、図6を参照にして説明する。横梁3の下方にラック7を取り付けている。横梁3の上方に於いて、横梁3と直交して交差するC形鋼よりなる角棒8、8は、左右に所定距離を有して離隔され平行な位置関係に設けられている。角棒8のうち横梁3との直交部には、コ字形受具12を角棒8の外面と当接させて一体的に取り付けている。コ字形受具12の長さは不問であるが、長さが約40cm〜60cm程度であることが好適である。コ字形受具12の長さを40cm程度にすることで吊持部13、連杆19等を点連結ではなく面連結とし、1対の角棒8、8の捩れを防止可能である。吊持部13はコ字形受具12の長さ方向略中央位置にて、角棒8及びコ字形受具12を左右方向に跨り、角棒8の開口部と対向面の外面及びコ字形受具12の両側壁外面と当接して一体的に取り付けられている。吊持部13と吊杆14には、ボルト挿通孔が夫々穿設されている。該ボルト挿通孔に挿通されたボルト15に、吊持部13と夫々のナット16との間に夫々ばね17を介在させてナット16を締着することにより、吊持部13に吊杆14の上端が取り付けられている。吊持部13と夫々のナット16との間に弾性部材として夫々ばね17を介在させて締着することで、吊杆14からの振動をばね17に吸収させ、吊持部13に振動を伝達させないようにしている。このように、それぞれのボルト15に螺着するナット16と吊持部13との間にばね17を夫々設けることにより、吊杆14の振動を吊持部13を介してキャスター20に伝達しないようにし、キャスター20の横梁3上からの脱輪を防止している。弾性部材は、蔓巻ばねに限定せず、弾性合成樹脂や板ばね等、公知の弾性部材のすべてが本願発明に包含される。吊杆14の下端には栽培槽18が取り付けられている。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が角棒8、8と90度の角度をもって連結固着されている。連杆19は溝形鋼よりなる。連杆19の溝には一方向可動タイプのキャスター20、20が、横梁3の上面を脱輪することなく、横梁3の長さ方向に沿って安全に走行可能に取り付けられている。支持板21は、下部に軸受を具備し、横梁3に対して90度の角度をもって連杆19及び横梁3に固定的に取り付けられている。回転シャフト23は外周面にピニオン24を固着した中空管よりなる。回転シャフト23は、ピニオン24がラック7と噛合し、且つ軸受に摺接して円滑に周方向に回転動するように軸受に支持されて取り付けられている。ラック7とピニオン24の噛合部分前後にはカバー25が設けられ、ラック7とピニオン24の噛合状態を安定的に保持するようにしている。
実施例1では、ラック7が取り付けられた横梁3のうち、回転駆動手段を具備していない回転シャフト23が直交する横梁は、図1のうち前後方向から夫々2本目の横梁部分に設けられている場合を例に説明したが、本願発明は回転シャフト23が円滑に回転するために必要であれば、回転シャフト23のうち横梁3と交差する部分の必要な所望位置に設ける場合のすべてが含まれる。
【0023】
横梁3のうちラックを設けていない部分に於いては、図7に示すように、軸受22を具備する支持板21を連杆19に取り付け、軸受22に回転シャフト23を挿通支持している。角棒8にはコ字形受具12を取り付けている。吊持部13の中途部位より下部位置と吊杆14の上部にはボルト挿通孔を対向する位置に夫々穿設し、このボルト挿通孔にボルト15を挿通している。ボルト15にはナット16をばね17を介在させて吊持部13と吊杆14を挟み付けて締着し、吊持部13は吊杆14をボルト15により吊り下げ支持している。対となる角棒8、8に取着されたコ字形受具12、12の下面には、連杆19が連設され、一方向可動タイプのキャスター20、20が取り付けられている。連杆19には支持板21が取り付けられ、支持板21には軸受22を有する回転シャフト挿通孔が穿設され、該回転シャフト挿通孔には回転シャフト23が挿通されている。
実施例1では、図1で示される横梁3のうちラック7が取り付けられていない横梁3には、図7に示す角棒8への回転シャフト23の取り付け構造により取り付けられている。
【0024】
次に、作用について説明する。モーター27の駆動によりモーター軸が水平方向に回転し、該回転を回転変換器26により変換し、回転シャフト23を周方向に回転させる。ピニオン24も回転シャフト23と同期回転する。ピニオン24はラック7のラック歯と噛合して回転動し、回転シャフト23を回転方向に移動させる。支持板21は回転シャフト23を軸支し、且つ連杆19に固着されているためピニオン24の回転に応じてキャスター20、20が回転シャフト23の移動量と同一量をもって横梁3の上面を走行する。吊杆14に吊設された栽培槽18は、高さを変化することなく宙吊り状態で水平移動する。回転変換装置26は、モーター軸の回転動を回転シャフト23に周方向に正逆回転するように伝達するように形成されているので、スイッチの操作により栽培槽18を左右いづれか所望方向に水平移動することができる。農作業のためのスペースが必要な場合は、スイッチの操作により栽培槽18を一方向に移動させて農作業者の作業スペースを確保するように作用する。回転シャフト23は全ての横梁3との全ての交差箇所に於いて、軸受けにより回転自在に軸支されているため、約50m回転シャフト23であっても、1個のモーターの駆動により角棒8をねじれさせること無く、前後が同一移動量をもって円滑に移動する。
【0025】
温室内に設けた横梁3の長さが595cmである場合、横幅35cmの固定式栽培槽6を横方向に宙吊りに設けるには、図8に示すように作業用スペースを最外側に夫々85cmのスペースと、栽培槽6間に95cmのスペースを必要とし、栽培槽6は4個しか配置できない。図9に示すように、固定式栽培槽6と可動式栽培槽18を交互に配置すると、最外側に夫々90cmのスペースと、栽培槽6、18間に60cmのスペースを必要とし、栽培槽6、18を合計5個配置することが可能で、図8に示す固定式栽培槽6のみを配置した場合と比較すると栽培耕地が25%広くなった。図10に示すように、中央に固定式栽培槽6を配置し、左右に可動式栽培槽18を配置すると、最外側に44cmのスペースと栽培槽6、18間に44cmのスペースを必要とし、合計6個の栽培槽6、18を配置することが可能で、図8に示す固定式栽培槽6のみを配置した場合と比較すると栽培耕地面積が75%広くなった。このように、可動式の栽培槽18を配置することで、固定式の栽培槽6のみを配置した場合と比較して、同一面積の温室内で広い栽培面積を確保可能であるという効果がある。
【実施例2】
【0026】
図11を参照にして実施例2について説明する。実施例1と異なる点は回転シャフト23のうち横梁3との交差部には、すべて回転シャフトに回転駆動手段を設けている点である。
このような構成にすることで、50mを越す回転シャフトであっても、極めて容易に回転可能であるという効果がある。
【産業上の利用可能性】
【0027】
横梁を天井受台に架設することなく、土地に立設した支柱と横桟を使用し、土地を有効利用することで、屋外の農業にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図である。(実施例1)
【図2】植物栽培装置の構成を示す正面図である。(実施例1)
【図3】植物栽培装置の要部を示す背面斜視図である。(実施例1)
【図4】回転シャフトに回転駆動手段を設けた要部を示す平面図である。(実施例1)
【図5】図4のA−A線断面図である。(実施例1)
【図6】ラックに回転駆動手段を具備していない回転シャフトを取り付けた状態を示す正面図である。(実施例1)
【図7】ラックを設けていない横梁と角棒との交差部分の取り付け状態を示す正面図である。(実施例1)
【図8】温室内に固定式の栽培槽のみを配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図9】温室内に固定式の栽培槽と可動式の栽培槽を交互に配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図10】温室内に、中央に固定式の栽培槽を配置し、固定式の栽培槽の左右に可動式の栽培槽を配置した場合の栽培槽配置状態を示す説明図である。(実施例1)
【図11】植物栽培装置を設けた温室内全体の構成を概念的に簡略化して示した平面説明図である。(実施例2)
【符号の説明】
【0029】
3 横梁
5、14 吊杆
6、18 栽培槽
7 ラック
8 角棒
13 吊持部
19 連杆
20 キャスター
21 支持板
23 回転シャフト
24 ピニオン
26 回転変換器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、
前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、
前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、
前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、
前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、吊持されてなることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、
前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、
前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、
前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、
前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、前記栽培槽の振動を前記キャスターに伝達しないようにした振動吸収機構を介して吊持されてなることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項3】
上記振動吸収機構は、前記角棒に掛け渡した吊持部に取付部材に弾性部材を介在させて吊杆を取り付け、前記吊杆の振動を前記弾性部材で吸収し、前記吊持部に吊杆の振動を伝達不可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
上記対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の植物栽培装置。
【請求項1】
温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、
前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、
前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、
前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、
前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、吊持されてなることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項2】
温室内に、複数の横梁を前後方向に所定距離離隔して互いに平行な位置関係に夫々配置し、該横梁の下方に於いて、前記横梁と直交して前記横梁と直交する方向へ水平移動可能な回転シャフトを設け、
前記横梁の上方に於いて、前記横梁と90度の角度を有して前後方向に延びる1対の角棒を設け、該1対の角棒は左右方向に所定距離を有して平行に離隔配設され、
前記対となる角棒間には連杆を架設し、該連杆には前記横梁上を走行するキャスターを取り付けると共に、前記連杆には支持板を垂設し、該支持板の下部には回転シャフト挿通孔が穿設され、
前記回転シャフトには、周方向に正逆回転する回転駆動手段を具備し、
前記角棒には吊杆を具備した栽培槽が、前記栽培槽の振動を前記キャスターに伝達しないようにした振動吸収機構を介して吊持されてなることを特徴とする植物栽培装置。
【請求項3】
上記振動吸収機構は、前記角棒に掛け渡した吊持部に取付部材に弾性部材を介在させて吊杆を取り付け、前記吊杆の振動を前記弾性部材で吸収し、前記吊持部に吊杆の振動を伝達不可能にしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の植物栽培装置。
【請求項4】
上記対となる角棒間には、該角棒間の左右方向の離隔距離保持手段を設けたことを特徴とする請求項1、2又は3に記載の植物栽培装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−65961(P2009−65961A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−267198(P2007−267198)
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(507339456)村上産業株式会社 (1)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年9月11日(2007.9.11)
【出願人】(507339456)村上産業株式会社 (1)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【Fターム(参考)】
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