説明

植物用光照射装置

【課題】植物用光照射装置において、バンカー植物により天敵昆虫を効果的に繁殖させることにより、栽培圃場内において天敵昆虫の生息密度を高め、害虫による農作物の被害を確実に防ぐようにする。
【解決手段】
植物用光照射装置1は、ハウス圃場2に居る害虫の天敵昆虫を繁殖させるバンカー植物3に対して光照射する光源4を備えている。光源4から照射される光は、300〜700nmに波長ピークを有している。光源4から300〜700nmに波長ピークを有する光を照射することにより、植物育成を促進する効果、又は虫を誘引する効果のある光をバンカー植物3に受光させる。これにより、バンカー植物3の枯れを防止したり、天敵昆虫の餌昆虫をバンカー植物3に定着させることができ、天敵昆虫が効果的に繁殖するようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、露地圃場やハウス圃場等に設置される植物用光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、農作物に発生した害虫を防除するために、害虫の天敵昆虫を栽培圃場に放散し、天敵昆虫により害虫を捕食させることが知られている。この種の害虫防除のための構成において、栽培圃場内又はその周囲に、天敵昆虫の餌昆虫が着生するバンカー植物を植栽し、天敵昆虫が害虫捕食後に餌不足に陥ることを回避することにより、栽培圃場内において天敵昆虫の生息密度を維持しようとするものがある。
【0003】
しかしながら、上述のような害虫防除構成においては、天候状態や圃場環境等によりバンカー植物が枯れたり、バンカー植物に着生する餌昆虫が減少することがあり、バンカー植物による天敵昆虫の繁殖が効果的に行われないことがある。なお、害虫防除のための他の構成として、農作物周辺に天敵昆虫の代替餌を設置するものがある(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、上記構成においては、代替餌のある餌場に天敵昆虫を効果的に誘引することができないために、害虫が減少していくと、天敵昆虫が死滅したり、他の餌場を求めて栽培圃場外に離散することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−158348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、バンカー植物により天敵昆虫を効果的に繁殖させることにより、栽培圃場内において天敵昆虫の生息密度を高め、害虫による農作物の被害を確実に防ぐことができる植物用光照射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、栽培圃場に居る害虫の天敵昆虫を繁殖させるバンカー植物に対して光照射する光源を有した植物用光照射装置であって、前記光源から照射される光は、300〜700nmに波長ピークを有するものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光源から照射される光は、300〜400nmに波長ピークを有するものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光源から照射される光は、600〜700nmに波長ピークを有するものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の発明において、天候状態又はバンカー植物に着生する天敵昆虫の餌昆虫の繁殖時期を検知する検知部と、前記検知部による検知結果に基づき前記光源を点灯制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記検知部によりバンカー植物が発育しない天候が継続していると判断されるとき、又は餌昆虫の繁殖時期にあると判断されるとき、前記光源を点灯させ、上記以外と判断されるとき、前記光源を消灯、又は前記光源の光出力を低下させるものである。バンカー植物が発育しない天候としては、太陽光の照射強度が比較的低い天候が挙げられる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の発明において、前記光源には、その光照射位置が可変自在となるように該光源を保持する可変保持構造が設けられており、前記光源の光照射位置は、バンカー植物の生長点に設定されるものである。可変保持構造としては、例えば、アーム自己保持機能を有するフレキシブルアームが挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、光源から300〜700nmに波長ピークを有する光を照射することにより、植物育成を促進する効果、又は虫を誘引する効果のある光をバンカー植物に受光させるので、バンカー植物の枯れを防止したり、天敵昆虫の餌昆虫をバンカー植物に定着させることができ、天敵昆虫を効果的に繁殖させることができる。従って、栽培圃場内における天敵昆虫の生息密度を維持し、害虫による農作物の被害を確実に防ぐことができ、ひいては、農薬を使用することなく、安全な農作物を栽培することが可能になる。
【0012】
請求項2の発明によれば、光源から300〜400nmに波長ピークを有する光を照射することにより、虫を誘引する効果が高い光をバンカー植物に受光させるので、餌昆虫をバンカー植物に定着させる効果が高くなる。
【0013】
請求項3の発明によれば、光源から600〜700nmに波長ピークを有する光を照射することにより、植物育成を促進する効果が高い光をバンカー植物に受光させるので、バンカー植物の枯れを防止する効果が高くなる。
【0014】
請求項4の発明によれば、天候状態や餌昆虫の繁殖状況に応じ、バンカー植物に必要な光を光源による光照射により補完するので、天敵昆虫を一層効果的に繁殖させることができる。また、光源が必要以上に点灯することがなく、無駄なエネルギ消費を抑えることができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、バンカー植物の生長点に光源からの光を集中的に照射することができるので、バンカー植物の分枝や枝葉繁茂を効率的に促進し、バンカー植物を餌昆虫の定着性の高い状態に植生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る植物用光照射装置の斜視図。
【図2】上記装置における光源の側面配置図。
【図3】上記装置の効果を検証するための光照射実験において使用された各種光源の分光放射分布を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る植物用光照射装置について図面を参照して説明する。図1は本実施形態に係る植物用光照射装置(以下、本装置という)1の構成を示す。本装置1は、ハウス圃場(栽培圃場)2の周囲に植栽されたバンカー植物3に対して光照射するものであって、複数の光源4と、バンカー植物3周辺の外光照度及び外気温を測定するセンサ部(検知部)5と、センサ部5による検知結果に基づき各光源4を点灯制御する制御部6とを備えている。ハウス圃場2は、透過性部材で被覆されたハウス構造体21により形成されている。
【0018】
ここで、バンカー植物3は、ハウス圃場2に居る害虫の天敵昆虫を繁殖させるための植物であり、これには天敵昆虫の餌となる餌昆虫が着生する。天敵昆虫は、昼行性を有した種と夜光性を有した種とに分類され、昼行性種としては、寄生蜂や捕食性ダニ、捕食性カメムシ、捕食性テントウムシ類、捕食性アザミウマ、蜘蛛類等が挙げられ、夜行性種としては、捕食性ゴミムシ類や捕食性タマバエ類等が挙げられる。バンカー植物3には、着生した餌昆虫がハウス圃場2で栽培される農作物22に害を及ばすことのない植物が用いられ、例えば、農作物22としてナスを栽培する場合、ナスに寄生しないアブラムシが着生するソルガムを用いることが望ましい。バンカー植物3となる植物種としては、ソルガムの他に、小麦やソラマメ、マリーゴールド、クローバ、オオムギ、ヨモギ等が挙げられる。
【0019】
害虫は、ハウス圃場2内の農作物22に危害を与えるものであって、アザミウマ類やコナジラミ類、ハダニ類、ハモグリバエ類等の農業害虫である。ハウス圃場2には、害虫と農作物22の種類及び量に応じて、適切な種類で且つ数量分の天敵昆虫が放散されており、例えば、害虫がアザミウマ類の場合には、天敵昆虫としてヒメハナカメムシが放散される。このヒメハナカメムシは、アブラムシ捕食性を有することから、バンカー植物3として上記ソルガムを用いたナス栽培に適している。
【0020】
図2は、各光源4のハウス構造体21への取付構成を示す。各光源4は、ハウス構造体21より延出する支持部材23に取付けられ、バンカー植物3の上方に配置されている。光源4と支持部材23の間には、光源4の光照射位置が可変自在となるように該光源4を保持する可変保持構造7が介設されている。この可変保持構造7としては、例えば、伸長可能であってアーム自己保持機能を有するフレキシブルアームが挙げられる。各光源4は、釣鐘状の反射部材8に覆われており、光源4の光照射位置がバンカー植物3の生長点に設定されている。光源4から照射される光は、波長域が300〜700nmに設定されており、植物の育成促進効果及び誘虫効果を有している。また、各光源4には、その照射光の分光特性を調整する可変フィルタが設けられ、300〜700nm間で波長ピークを変位させることが可能となっている。光源4の種類としては、蛍光灯や高輝度放電灯(水銀灯、高圧ナトリウム灯、メタルハライドランプ等)、白熱灯、ハロゲンランプ、LED、有機EL等が挙げられる。
【0021】
センサ部5は、外光照度の測定により天候状態を検知する天候検知センサ51と、外温度の測定よりバンカー植物3に着生する天敵昆虫の餌昆虫の繁殖時期を検知する繁殖時期検知センサ52とを有している。天候検知センサ51は、人間の視感度と同等の波長応答特性を有した受光素子により、単位面積当りの光束量を測定する光センサで構成される。天候検知センサ51の構成は上記に限られず、植物の光合成感度と同等の波長応答特性を有した受光素子により光合成有効光量子束密度(PPFD)を測定するPPFDセンサや、各波長毎の単位面積当りの放射エネルギー量を測定する放射照度センサであってもよい。
【0022】
制御部6は、センサ部5と共にハウス構造体21の壁部に取付けられ、各光源4と安定器等を介して接続される。制御部6は、天候検知センサ51による検知結果によりバンカー植物3が発育しない天候が継続していると判断されるとき、各光源4を点灯させる。バンカー植物3が発育しない天候は、太陽光の照射強度が比較的低い天候(例えば、曇天や雨天等)である。天候判断のための構成としては、制御部6に内蔵されるメモリに、所定の動作プログラムを記憶させておき、この動作プログラムにより、一日当りの測定照度の累積値を算出し、累積値が所定レベルを下回ったときに、発育不良天候の継続ありと判断を行う構成が挙げられる。
【0023】
また、制御部6は、繁殖時期検知センサ52による検知結果により餌昆虫の繁殖時期にあると判断されるとき、各光源4を点灯させる。繁殖時期判断のための構成としては、餌昆虫の繁殖時期及びそれ以外の一般的な気温変動データをメモリに記憶させておき、この気温変動データと測定した気温データと比較することで繁殖時期を推測する構成が挙げられる。また、上記構成において、気温変動データを本装置1の設置が想定される複数地域分、記憶させておき、ユーザにより本装置1の設置地域を選択させるようにすれば、利便性が高くなる。一方、制御部6は、上記以外と判断されるとき、すなわち、バンカー植物3が発育しない天候が継続してない、又は餌昆虫の繁殖時期にないと判断されるとき、光源4を消灯又は光源4の光出力を低下させる。
【0024】
上記のように構成された植物用光照射装置1の作用について説明する。光源4が消灯しているとき、天敵昆虫は、農作物22に付着している害虫を捕食し、これにより、ハウス圃場2内における害虫の生息密度が減少する。その後、光源4が点灯し、光源4からの光がバンカー植物3に照射されると、天敵昆虫はバンカー植物3に誘引され、バンカー植物3に着生する餌昆虫を捕食する。ここで、バンカー植物3に誘引される天敵昆虫は、ハウス圃場2に放散されたもの以外に、ハウス圃場2において土着しているものも含まれる。その後、光源4が再び消灯すると、天敵昆虫は害虫を捕食するために、バンカー植物3からハウス圃場2へと分散する。
【0025】
次に、本植物用光照射装置1によるバンカー植物への光照射により得られる効果について、発明者により行われた光照射実験の結果を参照して説明する。本実験では、バンカー植物上方にサンプル光源を配置し、サンプル光源よりバンカー植物全体に光照射を行い、バンカー植物の生育性と、バンカー植物における餌昆虫の定着性とを評価した。本実験において、バンカー植物はソルガムであり、餌昆虫はアブラムシである。
【0026】
図3は、本実験の際に用いられた各種のサンプル光源から照射される光の波長特性を示す。同図において、横軸は光の波長(nm)を示し、縦軸はエネルギのピーク値に対する相対値である相対エネルギを示す。本実験により使用された第1の光源は、紫外線LED、青色LED、緑色LED及び赤色LEDを組み合わせたものであり、300〜400nm、400〜500nm、500〜600nm、600〜700nmの各々に波長ピークを有した光を照射する。また、第2の光源は、紫外線LEDのみから成るものであり、300〜400nmに波長ピークを有した光を照射する。また、第3の光源は、青色LEDのみから成るものであり、400〜500nmに波長ピークを有した光を照射する。また、第4の光源は、緑色LEDのみから成るものであり、500〜600nmに波長ピークを有した光を照射する。また、第5の光源は、赤色LEDのみから成るものであり、600〜700nmに波長ピークを有した光を照射する。
【0027】
上記のような第1の光源乃至第5の光源を用いて実施された、バンカー植物の生育性評価と餌昆虫の定着性評価について説明する。バンカー植物の生育性評価においては、日没後や夜明け前に植物の光感受性及び日長反応性が高まることから、日没後の5時間及び夜明け前の1時間、バンカー植物に対して光照射を行い、このような光照射を第1の光源乃至第5の光源の各々について行った。バンカー植物生育性の評価方法としては、光照射を開始してから1ヶ月経過後に、バンカー植物の外観(葉の大きさや枚数、茎の長さや太さ)を観察し、光照射前のバンカー植物との比較を行った。
【0028】
また、餌昆虫の定着性評価においては、日没前後に虫の活動性が高まり、虫を誘引し易いことから、日没前後の数時間、バンカー植物に対して光照射を行い、このような光照射を第1の光源乃至第5の光源の各々について行った。餌昆虫の定着性評価方法としては、光照射を開始してから1週間経過後に、バンカー植物における餌昆虫の生息密度(葉1枚当りの餌昆虫の数)を測定し、光照射前のバンカー植物との比較を行った。
【0029】
上記による評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
第1の光源におけるバンカー植物の生育性につき、バンカー植物が旺盛に生育した様子(茎の太さの増大、葉の大きさの増大)が確認され、生育効果が高かった(この評価レベルを「○」で示す)。また、同光源における餌昆虫の定着性につき、餌昆虫の生息密度が若干増加したことが確認され、定着効果が比較的高かった(この評価レベルを「△」で示す)。
【0032】
第2の光源におけるバンカー植物の生育性につき、バンカー植物の生育に変化がないことが確認された(この評価レベルを「×」とする)。また、同光源における餌昆虫の定着性につき、餌昆虫の生息密度が2倍以上に増加したことが確認され、定着効果が非常に高かった(この評価レベルを「◎」で示す)。
【0033】
第3の光源におけるバンカー植物の生育性につき、バンカー植物が旺盛に生育した様子(茎の太さの増大、葉の大きさの増大)が確認され、生育効果が高かった(この評価レベルを「○」で示す)。また、同光源における餌昆虫の定着性につき、餌昆虫の生息密度が若干増加したことが確認され、定着効果が比較的高かった(この評価レベルを「△」で示す)。
【0034】
第4の光源におけるバンカー植物の生育性につき、バンカー植物の生育に変化がないことが確認された(この評価レベルを「×」とする)。また、同光源における餌昆虫の定着性につき、餌昆虫の生息密度が1.5倍以上に増加したことが確認され、定着性が高かった(この評価レベルを「○」で示す)。
【0035】
第5の光源におけるバンカー植物の生育性につき、バンカー植物が全体的に旺盛に生育した様子(茎の太さ及び長さの増大、葉の大きさ及び数の増大)が確認され、生育効果が非常に高かった(この評価レベルを「◎」で示す)。また、同光源における餌昆虫の定着性につき、餌昆虫の生息密度に変化がないことが確認された(この評価レベルを「×」で示す)。
【0036】
このように、本実施形態に係る植物用光照射装置1によれば、光源4から300〜700nmに波長ピークを有する光を照射することにより、植物育成を促進する効果、又は虫を誘引する効果のある光をバンカー植物3に受光させるので、バンカー植物3の枯れを防止したり、天敵昆虫の餌昆虫をバンカー植物3に定着させることができ、天敵昆虫を効果的に繁殖させることができる。従って、ハウス圃場2内における天敵昆虫の生息密度を維持し、害虫による農作物22の被害を確実に防ぐことができ、ひいては、農薬を使用することなく、安全な農作物を栽培することが可能になる。
【0037】
また、光源4から300〜400nmに波長ピークを有する光を照射することにより、虫を誘引する効果が高い光をバンカー植物3に受光させるので、餌昆虫をバンカー植物3に定着させる効果が高くなる。また、光源4から600〜700nmに波長ピークを有する光を照射することにより、植物育成を促進する効果が高い光をバンカー植物3に受光させるので、バンカー植物3の枯れを防止する効果が高くなる。
【0038】
また、天候状態や餌昆虫の繁殖状況に応じ、バンカー植物3に必要な光を光源4による光照射により補完するので、天敵昆虫を一層効果的に繁殖させることができる。また、光源4が必要以上に点灯することがなく、無駄なエネルギ消費を抑えることができる。また、バンカー植物3の生長点に光源4からの光を集中的に照射することができるので、バンカー植物3の分枝や枝葉繁茂を効率的に促進し、バンカー植物3を餌昆虫の定着性の高い状態に植生することができる。
【0039】
ここで、光照射対象となるバンカー植物3が長日植物である場合には、日没後や夜明け前に光源点灯を行うことで、連続的な暗期の長さを長くし、花芽や蕾の形成(生殖成長)を抑制し、茎や葉の形成(栄養成長)を促進することができるので、バンカー植物3の枯れを効果的に防止することができる。一方で、光照射対象となるバンカー植物3が短日植物である場合には、深夜等の時間帯に光源点灯を行うことで、連続的な暗期の長さを短くし、上記バンカー植物3の枯れ防止を効果的に行うことができる。上述の効果は、バンカー植物3に対し、600〜700nmに波長ピークを有する光を照射する場合において特に顕著となる。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、制御部6による光源制御の構成は、年間を通じて日の入り/日の出時刻データをメモリに記憶しておき、タイマにより日時を計時し、日の入り時刻になると光源4を点灯させ、日の出時刻になると光源4を消灯させるようなものであってもよい。また、外光照度が予め設定された閾値を下回ったときに光源4を点灯させ、所定時間経過後に光源4を消灯させるようにし、さらに、測定照度のレベルに応じて光源4の点灯時間や光照射強度を調整するようなものであってもよい。なお、上記構成において光照射強度を調整する場合、光源4の製造コストが高くなることから、光源4の点灯時間を調整する構成が好ましい。
【符号の説明】
【0041】
1 植物用光照射装置
2 ハウス圃場(栽培圃場)
3 バンカー植物
4 光源
5 センサ部(検知部)
6 制御部
7 可変保持構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栽培圃場に居る害虫の天敵昆虫を繁殖させるバンカー植物に対して光照射する光源を有した植物用光照射装置であって、
前記光源から照射される光は、300〜700nmに波長ピークを有することを特徴とする植物用光照射装置。
【請求項2】
前記光源から照射される光は、300〜400nmに波長ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の植物用光照射装置。
【請求項3】
前記光源から照射される光は、600〜700nmに波長ピークを有することを特徴とする請求項1に記載の植物用光照射装置。
【請求項4】
天候状態又はバンカー植物に着生する天敵昆虫の餌昆虫の繁殖時期を検知する検知部と、
前記検知部による検知結果に基づき前記光源を点灯制御する制御部とを備え、
前記制御部は、
前記検知部によりバンカー植物が発育しない天候が継続していると判断されるとき、又は餌昆虫の繁殖時期にあると判断されるとき、前記光源を点灯させ、
上記以外と判断されるとき、前記光源を消灯、又は前記光源の光出力を低下させることを特徴する請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の植物用光照射装置。
【請求項5】
前記光源には、その光照射位置が可変自在となるように該光源を保持する可変保持構造が設けられており、
前記光源の光照射位置は、バンカー植物の生長点に設定されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の植物用光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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