説明

植物病害の防除方法

【課題】 新規な植物病害の防除方法を提供する。
【解決手段】 3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を植物種子に付着させること、または該殺菌活性化合物の1種以上を播種前から覆土後に栽培土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は植物病害の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物病害の病原体に対し拮抗性を持つ少なくとも一種類の有効微生物と、植物の全身獲得抵抗性を誘導する少なくとも一種類の誘導物質とで、種子を処理することを特徴とする植物病害防除方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、特定の薬剤を土壌に混和、灌注、植穴処理、株元処理、作条処理、もしくは播溝処理することを特徴とする根こぶ病の防除方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
しかしながら、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド(一般名:アミスルブロム(amisulbrom)、以下化合物Aとも称する。)、シアゾファミド(cyazofamid)、フルアジナム(fluazinam)、エタボキサム(ethaboxam)およびベンチアバリカルブ(benthiavalicarb)の中から選ばれる殺菌活性化合物を上記のような方法で用いることは知られていない。
【特許文献1】特開2003−034607号公報
【特許文献2】特開2005−350387号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来の植物病害の防除方法に比べて優れた防除効果が発現される防除方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは鋭意研究した結果、3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物を植物の種子に付着させること、または播種前から覆土後に栽培土壌へ施用(散布または灌注)することにより、従来の防除方法に比べて優れた防除効果が発現されることを発見した。すなわち、本発明は、下記〔1〕から〔6〕に記載の植物病害の防除方法(以下、本発明方法と称する。)、および〔7〕または〔8〕に記載の植物種子(以下、本発明種子と称する。)に関するものである。
【0006】
〔1〕 3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を植物種子に付着させること、または該殺菌活性化合物の1種以上を播種時から覆土後に栽培土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【0007】
〔2〕 3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を植物種子に付着させることを特徴とする植物病害の防除方法。
【0008】
〔3〕 3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を播種時から覆土後に栽培土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【0009】
〔4〕 植物病害がべん毛菌類および根こぶ病菌類が引き起こす病害である上記〔1〕ないし〔3〕のいずれか1項に記載の防除方法。
【0010】
〔5〕 植物病害が疫病または根こぶ病である上記〔1〕ないし〔3〕のいずれか1項に記載の防除方法。
【0011】
〔6〕 殺菌活性化合物が3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドおよびシアゾファミドの中から選ばれる化合物である上記〔1〕ないし〔5〕記載の防除方法。
【0012】
〔7〕 3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上が付着した植物種子。
【0013】
〔8〕 殺菌活性化合物が3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドおよびシアゾファミドの中から選ばれる化合物である上記〔7〕記載の植物種子。
【発明の効果】
【0014】
本発明方法によれば、従来の防除方法に比べて優れた植物病害の防除効果が発現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明において用いられる化合物A、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物は、べん毛菌類または根こぶ病菌類が引き起こす病害に対して防除活性を有する化合物である。
【0016】
本発明では、上記殺菌活性化合物と共に、その他の農薬活性化合物を用いることもできる。その他の農薬活性化合物としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺バクテリア剤、抗ウィルス剤、植物成長調節剤、殺菌剤、共力剤、誘引剤、忌避剤および生物農薬等が挙げられる。その他の農薬活性化合物として、具体的にその一般名(または化学名)を例示すれば次の通りであるが、必ずしもこれらのみに限定されるものではない。
【0017】
殺菌剤:アシベンゾラル−S−メチル(acibenzolar-S-methyl)、アシルアミノベンザミド(acylaminobenzamide)、アシペタックス(acypetacs)、アルジモルフ(aldimorph)、アンバム(amobam)、アムプロピルホス(ampropyfos)、アニラジン(anilazine)、アリルアルコール(allyl alcohol)、オーレオフンギン(aureofungin)、アザコナゾール(azaconazole)、アジチラム(azithiram)、アゾキシストロビン(azoxystrobin)、バリウムポリスルフィド(barium polysulfide)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベノダニル(benodanil)、ベノミル(benomyl)、ベンキノックス(benquinox)、ベンタルロン(bentaluron)、、ベンチアゾール(benthiazole)、ベンザルコニウムクロリド(benzalkonium chloride)、ベンザマクリル(benzamacril)、ベンズアモルフ(benzamorf)、ベンゾヒドロキサミックアシド(benzohydroxamic acid)、ビナパクリル(binapacryl)、ビフェニル(biphenyl)、ビテルタノール(bitertanol)、ビチオノール(bithionol)、ベトキサジン(bethoxazine)、ボルドー液(bordeaux mixture)、ボスカリド(boscalid)、ブラストサイジン−S(blasticidin-S)、ブロモコナゾール(bromoconazole)、ブピリメート(bupirimate)、ブチオベート(buthiobate)、ブチルアミン(butylamine)、カルシウムポリスルフィド(calcium polysulfide)、カプタホル(captafol)、キャプタン(captan)、カッパーオキシクロリド(copper oxychloride)、カルプロパミド(carpropamid)、カルバモルフ(carbamorph)、カルベンダジン(carbendazim)、カルボキシン(carboxin)、カルボン(carvone)、チェシュントミクスチャ(Cheshunt mixture)、キノメチオネート(chinomethionat)、クロベンチアゾン(chlobenthiazone)、クロラニホルメタン(Chloraniformethane)、クロラニル(Chloranil)、クロルフェナゾール(chlorfenazol)、5−クロル−7−(4−メチル−ピペリジン−1−イル)−6−(2,4,6−トリフルオロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[1,5−a]ピリミジン(5-chlor-7-(4-methyl-piperidin-1-yl)-6-(2,4,6-trifluor-phenyl)-[1,2,4]triazolo[1,5-a]pyrimidin)、クロロネブ(chloroneb)、クロロピクリン(Chloropicrin)、クロロタロニル(chlorothalonil)クロロキノックス(Chlorquinox)、クロゾリネート(chlozolinate)、クリムバゾール(Climbazole)、クロトリマゾール(Clotrimazole)、カッパーアセテート(copper acetate)、塩基性炭酸銅(copper carbonate, basic)、水酸化第二銅(copper hydroxide)、カッパーナフテネート(copper naphthenate)、カッパーオレート(copper oleate)、塩基性塩化銅(copper oxychloride)、硫酸銅(copper sulfate)、塩基性硫酸銅(copper sulfate, basic)、カッパージンククロメート(copper zinc chromate)、クレゾール(cresol)、クフラネブ(cufraneb)、クプロバム(cuprobam)、シクラフルアミド(cyclafuramid)、シクロヘキシミド(cycloheximide)、シフルフェナミド(cyflufenamid)、シモキサニル(cymoxanil)、サイペンダゾール(cypendazole)、シプロコナゾール(cyproconazol)、シプロジニル(cyprodinil)、シプロフラム(cyprofuram)、ダゾメット(dazomet)、ディービーシーピー(DBCP)、デバカルブ(debacarb)、デカフェンチン(Decafentin)、デハイドロアセテイト(dehydroacetic acid)、ジクロン(dichlone)ジクロロフェン(dichlorophen)、ジクロゾリン(dichlozoline)、ジクロブトラゾール(diclobutrazol)、ジクロフラニド(dichlofluanid)、ジクロメジン(diclomedine)、ジクロラン(dicloran)、ジエトフェンカルブ(diethofencarb)、ジエチルピロカルボネート(diethyl pyrocarbonate)、ジクロシメット(diclocymet)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、ジフルメトリン(diflumetorim)、ジメチリモール(dimethirimol)、ジメトモルフ(dimethomorph)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ジニコナゾール(diniconazole)、ジニコナゾール−M(diniconazole-M)、ジノブトン(dinobuton)ジノカップ(dinocap)、ジノカップ−4(dinocap-4)、ジノカップ−6(dinocap-6)、ジノクトン(dinocton)、ジノスルホン(dinosulfon)、ジノテルボン(dinoterbon)、ジフェニルアミン(diphenylamine)、ジピリチオン(dipyrithione)、ジノスルフィラム(disulfiram)、ジタリムホス(ditalimfos)、ジチアノン(dithianon)、ディーエヌオーシー(DNOC)、ドデモルフ(dodemorph)、ドジン(dodine)、ドラゾクソロン(drazoxolon)、エジフェンホス(edifenphos)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、エタコナゾール(etaconazole)、エチリモル(ethirimol)、エトリジアゾール(etridiazole)、エテム(Etem)、エトキシキン(Ethoxyquin)、エチルマーキュリーアセテート(ethylmercury acetate)、エチルマーキュリーブロミド(ethylmercury bromide)、塩化エチル水銀(ethylmercury chloride)、エチルマーキュリーホスフェート(ethylmercury phosphate)、ファモキサドン(famoxadone)、フェナリモル(fenarimol)、フェブコナゾール(febuconazole)、フェナミドン(fenamidone)、フェンダゾスラム(fendazosulam)、フェンフラム(fenfuram)、フェンヘキサミド(fenhexamid)、フェノキサニル(fenoxanil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)、フェンプロピジン(fenpropidin)、フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、フェンチン(fentin)、フェルバン(ferbam)、フェリムゾン(ferimzone)、フルジオキソニル(fludioxonil)、フルオピコリド(fluopicolide)、フルオロイミド(fluoroimide)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、フルスルファミド(flusulfamide)、フルトラニル(flutolanil)、フルトリアホール(flutriafol)、ホルペット(folpet)、ホセチル−アルミニウム(fosetyl-aluminium)、フベリダゾール(fuberidazole)、フララキシル(furalaxyl)、フラメトピル(furametpyr)、フェナミノスルフ(fenaminosulf)、フェナパニル(fenapanil)、フェニトロパン(fenitropan)、フェノキサニル(fenoxanil)、フルメトバー(flumetover)、フルモルフ(flumorph)、フルオトリマゾール(fluotrimazole)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)、フルカルバニル(furcarbanil)、フルコナゾール(furconazole)、フルコナゾールーシス(furconazole-cis)、フルメシクロックス(furmecyclox)、フロファネート(furophanate)、グアザチン(guazatine)、グリオジン(glyodin)、グリセオフルビン(griseofulvin)、ヘキサクロロベンゼン(hexachlorobenzene)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ヒメキサゾール(hymexazol)、ハラクリネート(halacrinate)、ヘキサクロロブタジエン(hexachlorobutadiene)、ヘキシルチオホス(hexylthiofos)、ヒドロキシキノリンスルフェート(8-hydroxyquinoline sulfate)、イマザリル(imazalil)、イミベンコナゾール(imibenconazole)、イミノクタジン(iminoctadine)、イプコナゾール(ipconazole)、イプロベンホス(iprobenfos)、イプロジオン(iprodione)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、イプロバリカルブ(iprovalicarb)、イソバレジオン(isovaledione)、カスガマイシン(kasugamycin)、クレソキシムメチル(kresoxim-methyl)、マンカッパー(mancopper)、マンゼブ(mancozeb)、マンジプロパミド(mandipropamid)、マンネブ(maneb)、メパニピリム(mepanipyrim)、メプロニル(mepronil)、メタラキシル(metalaxyl)、メトコナゾール(metconazole)、メタスルホカルブ(methasulfocarb)、メチラム(metiram)、メトミノストロビン(metominostrobin)、ミクロブタニル(myclobutanil)、MTF−753(試験名)、メベニル(mebenil)、メカルビンジド(mecarbinzid)、塩化第二水銀(mercuric chloride)、酸化第二水銀(mercuric oxide)、塩化第一水銀(mercurous chloride)、メタラキシルーM(metalaxyl-M)、メタム(metam)、メタロキソロン(metazoxolon)、メスフロキサム(methfuroxam)、メチルブロマイド(methyl bromide)、メチルイソチオシアネート(methyl isothiocyanate)、メチルマーキュリーベンゾエート(methylmercury benzoate)、メチルマーキュリージシアンジアミド(methylmercury dicyandiamide)、メトラフェノン(metrafenone)、メトスルホバックス(metsulfovax)、ミクロゾリン(myclozolin)、メトキシエチルマーキュリークロリド(2-methoxyethylmercury chloride)ナバム(nabam)、ニッケルビス(ジメチルジチオカーバメート)(nickel bis(dimethyldithiocarbamate))、ニトロタールイソプロピル(nitrothal-isopropyl)、ヌアリモル(nuarimol)、ナタマイシン(natamycin)、ニコビフェン(nicobifen)、ニトロスチレン(nitrostyrene)、オクチリノン(octhilinone)、オフレース(ofurace)、オキサジキシル(oxadixyl)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、オキシポコナゾールフマレート(oxpoconazole fumarate)、オーシーエッチ(OCH)、オリサストロビン(Orysastrobin)、オキシン銅(oxine copper)、ペフラゾエート(pefurzoate)、ペンコナゾール(penconazole)、ペンシクロン(pencycuron)、ペンチオピラド(penthiopyrad)、フタリド(phthalide)、ピペラリン(piperalin)、ポリオキシン(polyoxins)、炭酸水素カリウム(potassium hydrogen carbonate)、プロベナゾール(probenazole)、プロクロラズ(prochloraz)、プロシミドン(procymidone)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)、プロピコナゾール(propiconazole)、プロピネブ(propineb)、ピラゾホス(pyrazophos)、ピリフェノックス(pyrifenox)、ピリメタニル(pyrimethanil)、ピロキロン(pyroquilon)、ペンタクロロフェノール(pentachlorophenol(PCP))、尿素フェニル水銀(phenylmercuriurea)、フェニルマーキュリーアセテート(phenylmercury acetate)、フェニルマーキュリークロリド(phenylmercury chloride)、フェニルマーキュリーニトレート(phenylmercury nitrate)、フェニルマーキュリーサリチレート(phenylmercury salicylate)、ホスジフェン(phosdiphen)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、ポリカルバメート(polycarbamate)、ポリオクソリム(polyoxorim)、ポタシュームアジド(potassium azide)、ポタシュームポリスルフィド(potassium polysulfide)、プロキナジド(proquinazid)、プロチオカルブ(prothiocarb)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、ピラカルボリド(pyracarbolid)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、ピリジニトリル(pyridinitril)、ピロキシクロア(pyroxychlor)、ピロキシフル(pyroxyfur)、フェニルフェノール(2-phenylphenol)、キノメチオネート(quinomethionate)、キノキシフェン(quinoxyfen)、キントゼン(quintozene)キナセトール(quinacetol)、キナザミド(quinazamid)、キンコナゾール(quinconazole)、ラベンザゾール(rabenzazole)、炭酸水素ナトリウム(sodium hydrogen carbonate)、次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochlorite)、硫黄(sulfur)、スピロキサミン(spiroxamine)、サリチルアニリド(salicylanilide)、シルチオファム(silthiofam)、シメコナゾール(simeconazole)、アジ化ナトリウム(sodium azide)、ソジウムオルトフェニルフェノキシド(sodium orthophenylphenoxide)、ソジウムペンタクロロフェノキシド(sodium pentachlorophenoxide)、ソジウムポリスルフィド(sodium polysulfide)、ストレプトマイシン(streptomycin)、テブコナゾール(tebuconazole)、テクナゼン(tecnazene)、テトラコナゾール(tetraconazole)、チアベンダゾール(thiabendazole)、チアジアジン(thiadiazin/milneb)、チフルザミド(thifluzamide)、チオファネートメチル(thiophanate-methyl)、チラム(thiram)、トルクロホスメチル(tolclofos-methyl)、トリルフラニド(tolylfluanid)、トリアジメホン(triadimefon)、トリアジメノール(toriadimenol)、トリ
アゾキシド(triazoxide)、トリシクラゾール(tricyclazole)、トリデモルフ(tridemorph)、トリフルミゾール(triflumizole)、トリホリン(triforine)、トリチコナゾール(triticonazole)、ティーシーエムティービー(TCMTB)、テクロフタラム(tecloftalam)、テコラム(tecoram)、チアジフルア(thiadifluor)、チシオフェン(thicyofen)、チオクロルフェンフィム(thiochlorfenphim)、チオメルサム(thiomersal)、チオファネート(thiophanate)、チオキノックス(thioquinox)、チアジニル(tiadinil)、チオキシミド(tioxymid)、トリマーキュリーアセテート(tolylmercury acetate)、トリアミホス(triamiphos)、トリアリモル(triarimol)、トリアズブチル(triazbutil)、トリブチルチンオキシド(tributyltin oxide)、トリクルアミド(trichlamide)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、バリダマイシン(validamycin)、ビンクロゾリン(vinclozolin)、硫酸亜鉛(zinc sulfate)、ジネブ(zineb)、ジラム(ziram)、ゾキサミド(zoxamide)、ザリルアミド(zarilamid)、ジンクナフテネート(zinc naphthenate)、エクロメゾール、及びシイタケ菌糸体抽出物。
【0018】
殺バクテリア剤:ストレプトマイシン(streptomycin)、テクロフタラム(tecloftalam)、オキシテトラサイクリン(oxyterracycline)及びオキソリニックアシド(oxolinic acid)等。
【0019】
生物農薬:アグロバクテリウム ラジオバクター(Agrobacterium radiobacter)、シュードモナス フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、シュードモナス属菌CAB-02(Pseudomonas spp.)、バチルス スブチリス(Bacillus subtilis)、非病原性エルビニア カロトボーラ(Erwinia carotovora subsp. carotovora)、トリコデルマ(Trichoderma atroviride)、タラロマイセス フラバス(Talaromyces flavus)、ザントモナス カンペストリス(Xanthomonas campestris pv. poae)、スタイナーネマ カーポカプサエ(Steinernema carpocapsae)、スタイナーネマ グラセライ(Steinernema glaseri)、バーティシリウム レカニ(Verticillium lecanii)、ペキロマイセス フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)、ボーベリア・ブロンニアティ(Beauveria brongniartii)、パスツーリア ペネトランス(Pasteuria penetrans)、モナクロスポリウム・フィマトパガム(Monacrosporium phymatophagum)等。
【0020】
これらその他の農薬活性化合物は、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0021】
本発明で用いられる植物種子とは、食用作物の種子および野菜類の種子だけでなく、バレイショ等の塊茎、サツマイモなどの塊根および花卉類の球根等も含まれる。
【0022】
食用作物では、エンバク、オオムギ、コムギ、裸麦等のムギ類、イネ、トウモロコシ等のイネ科作物、アズキ、インゲン、エンドウ等のマメ科作物、ソラマメ、ダイズ、ラッカセイ等の豆類、ジャガイモ、サツマイモ、ソバ等が挙げられる。野菜類では、ホウレンソウ、カブ、カリフラワー、キャベツ、コマツナ、ダイコン、ハクサイ、ブロッコリー、チンゲンサイ、ワサビ、カボチャ、キュウリ、シロウリ、スイカ、メロン、ゴボウ、シュンギク、チシャ、フキ、サトイモ、ショウガ、ミョウガ、セリ、セルリー、ニンジン、パセリ、ミツバ、トウガラシ、ピーマン、トマト、ナス、イチゴ、アスパラガス、タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、ネギ、ラッキョウ、ワケギ等が挙げられる。特用作物では、ワタ、テンサイ、ナタネ、サトウキビ、ゴマ、タバコ、コンニャク等が挙げられる。花卉類では、キク、カーネーション、バラ、ストック、リンドウ、宿根カスミソウ、洋ラン類、スターチス、ガーベラ、トルコギキョウ、チューリップ、ユリ、グラジオラス、フリージア、アイリス、スイセン、キンセンカ、マーガレット、ヒマワリ等が挙げられる。
【0023】
本発明において、植物種子に農薬活性化合物(化合物A、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサム、ベンチアバリカルブおよび上記したその他の農薬活性化合物の全てを含む意味で用いる。以下でも同じ意味で用いる。)を付着させる方法としては、被覆造粒法、ゲル被覆法(特開2002−000011号公報参照)、粉衣処理などが挙げられるが、種子に付着させることができる方法であれば、特に限定されない。
【0024】
被覆造粒法は、農薬活性化合物、結合剤等からなるコート材を用いて、種子の表面に固着させ後、送風または強制乾燥させる方法である。シードドレッサー、流動層造粒機、転動造粒機、パン型造粒機等の種々の造粒装置を用いることができる。コート材には農薬活性化合物、結合剤の他、増量剤、界面活性剤、可塑剤、着色剤、防腐剤、撥水剤、固結防止剤、分解防止剤等を添加することもできる。
【0025】
結合剤としては、水溶性結合剤と水不溶性結合剤が挙げられる。
【0026】
水溶性結合剤としては、例えばデキストリン(焙焼デキストリンおよび酵素変性デキストリン等)、酸分解澱粉、酸化澱粉、アルファー化澱粉、エーテル化澱粉(カルボキシメチル澱粉、ヒドロキシアルキル澱粉およびカチオン澱粉等)、エステル化澱粉(酢酸澱粉およびリン酸澱粉等)、架橋澱粉およびグラフト化澱粉等の加工澱粉、例えばアルギン酸ナトリウム、アラビアガム、ゼラチン、トラガントガム、ローカストビーンガムおよびカゼイン等の天然物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロースおよびアセチルセルロース等のセルロース誘導体、ならびに例えばポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレンポリプロピレンブロック共重合体、ポリビニルアルコール、部分けん化酢酸ビニルとビニルエーテルの共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合物およびポリアクリルアミド等のその他の高分子が挙げられる。
【0027】
水不溶性結合剤としては、例えばポリ酢酸ビニル、酢酸ビニルとエチレンの共重合物、酢酸ビニルとバーサチック酸ビニルの共重合物、酢酸ビニルとエチレンと塩化ビニルの共重合物、ポリアクリル酸エステル、アクリル酸エステルとスチレンの共重合物、アクリル酸エステルとシリコーンの共重合物、アクリル酸エステルとエチレンの共重合物、ポリウレタン、スチレンとブタジエンの共重合物およびアクリロニトリルとブタジエンの共重合物等の水不溶性熱可塑性樹脂、ならびに例えばアミノ樹脂(尿素樹脂およびメラミン樹脂等)、フェノール樹脂(レゾール樹脂およびノボラック樹脂等)、レゾルシノールホルムアルデヒド樹脂、キシレン樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート系接着剤、不飽和ポリエステルおよび熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0028】
上記エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ノボラック型エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、脂環族型エポキシ化合物、グリシジルアミン型エポキシ化合物およびグリシジルエステル型エポキシ化合物等が挙げられる。また、エポキシ樹脂の硬化剤としては、例えばポリアミド系、脂肪族ポリアミン系、脂環族ポリアミン系、芳香族ポリアミン系および複素環式アミン系等が挙げられる。
【0029】
増量剤としては例えば石英、方解石、海泡石、ドロマイト、チョーク、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、ハロサイト、メタハロサイト、木節粘土、蛙目粘土、陶石、ジークライト、アロフェン、シラス、きら、タルク、ベントナイト、軽石、アタパルジャイト、ゼオライトおよび珪藻土等の天然鉱物質、例えば焼成クレー、パーライト、シラスバルーン、バーミキュライト、アタパルガスクレーおよび焼成珪藻土等の天然鉱物質の焼成品、例えば炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、リン酸水素二アンモニウム、リン酸二水素アンモニウムおよび塩化カリウム等の無機塩類、例えばブドウ糖、果糖、しょ糖および乳糖などの糖類、例えば澱粉、粉末セルロースおよびデキストリン等の多糖類、例えば尿素、尿素誘導体、安息香酸および安息香酸の塩等の有機物、例えば木粉、トウモロコシ穂軸、クルミ殻およびタバコ茎等の植物類、フライアッシュ、ホワイトカーボンならびに肥料等が挙げられる。
【0030】
界面活性剤としては、例えば以下の(A)、(B)、(C)、(D)および(E)が挙げられる。
【0031】
(A)ノニオン性界面活性剤:
(A-1)ポリエチレングリコール型界面活性剤:例えば、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜18)エーテル、アルキルナフトールのエチレンオキサイド付加物、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテルのホルマリン縮合物、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマー、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、アルキル(C12〜18)ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、アルキル(C8〜12)フェニルポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテル、ポリオキシエチレンビスフェニルエーテル、ポリオキシエチレン樹脂酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C12〜18)モノエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸(C12〜18)ジエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸(C12〜18)エステル、グリセロール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、硬化ヒマシ油エチレンオキサイド付加物、アルキル(C12〜18)アミンエチレンオキサイド付加物および脂肪酸(C12〜18)アミドエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0032】
(A-2)多価アルコール型界面活性剤:例えば、グリセロール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸(C12〜18)エステル、ソルビタン脂肪酸(C12〜18)エステル、ショ糖脂肪酸エステル、多価アルコールアルキルエーテルおよび脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
【0033】
(A-3)アセチレン系界面活性剤:例えば、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物およびアセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0034】
(A-4)その他の界面活性剤:例えば、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0035】
(B)アニオン性界面活性剤:
(B-1)カルボン酸型界面活性剤:例えば、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリマレイン酸、マレイン酸とオレフィン(例えばイソブチレンおよびジイソブチレン等)との共重合物、アクリル酸とイタコン酸の共重合物、メタアクリル酸とイタコン酸の共重合物、マレイン酸とスチレンの共重合物、アクリル酸とメタアクリル酸の共重合物、アクリル酸とアクリル酸メチルエステルとの共重合物、アクリル酸と酢酸ビニルとの共重合物、アクリル酸とマレイン酸の共重合物、N−メチル−脂肪酸(C12〜18)サルコシネート、樹脂酸および脂肪酸(C12〜18)等のカルボン酸、並びにそれらカルボン酸の塩が挙げられる。
【0036】
(B-2)硫酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(C12〜18)硫酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜18)エーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの硫酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの硫酸エステル、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸および硫酸化オレフィン等の硫酸エステル、並びにそれら硫酸エステルの塩が挙げられる。
【0037】
(B-3)スルホン酸型界面活性剤:例えば、パラフィン(C12〜22)スルホン酸、アルキル(C8〜12)ベンゼンスルホン酸、アルキル(C8〜12)ベンゼンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレゾールスルホン酸のホルマリン縮合物、α−オレフィン(C14〜16)スルホン酸、ジアルキル(C8〜12)スルホコハク酸、リグニンスルホン酸、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテルスルホン酸、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル、ナフタレンスルホン酸(モノまたはジ)アルキル(C1〜6)ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、(モノまたはジ)アルキル(C1〜6)ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、アルキル(C8〜12)ジフェニルエーテルジスルホン酸、イゲポンT(商品名)、ポリスチレンスルホン酸およびスチレンスルホン酸とメタアクリル酸の共重合物等のスルホン酸、並びにそれらスルホン酸の塩が挙げられる。
【0038】
(B-4)燐酸エステル型界面活性剤:例えば、アルキル(C8〜12)燐酸エステル、ポリオキシエチレンアルキル(C12〜18)エーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノまたはジ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)アルキル(C8〜12)フェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)フェニルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテル燐酸エステル、ポリオキシエチレン(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニルエーテルのポリマーの燐酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの燐酸エステル、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールイミンおよび縮合燐酸(例えばトリポリリン酸等)等の燐酸エステル、並びにそれら燐酸エステルの塩が挙げられる。
【0039】
上記の(B-1)〜(B-4)における塩としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウムおよびカリウム等)、アルカリ土類金属(カルシウムおよびマグネシウム等)、アンモニウムおよび各種アミン(例えばアルキルアミン、シクロアルキルアミンおよびアルカノールアミン等)等が挙げられる。
【0040】
(C)カチオン性界面活性剤:
例えば、アルキルアミン塩およびアルキル4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0041】
(D)両性界面活性剤:
例えば、ベタイン型界面活性剤およびアミノ酸型界面活性剤等が挙げられる。
【0042】
(E)その他の界面活性剤:
例えば、シリコーン系界面活性剤およびフッ素系界面活性剤等が挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0043】
以下にコート材の配合例を示す。なお、以下の配合例において「部」は重量部を意味する。
【0044】
〔被覆造粒種子のコート材の配合例〕
農薬活性化合物 0.1〜80部
結合剤 0.1〜30部
増量剤 0〜99.8部
界面活性剤 0〜30部
その他 0〜30部
その他として、例えば可塑剤、着色剤、防腐剤、撥水剤、固結防止剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0045】
ゲル被覆法は、植物種子の発芽促進と、播種後の発育不良防止及び発育促進を、より一層効果あるように開発した方法であり、植物種子は水性ゲルカプセル内に封入される必要がある。
【0046】
カプセルを形成する水性ゲルとしてはアルギン酸ナトリウム、ジェランガム、キサンタンガム、ローカスビーンガム、カルボキシメチルセルロース、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、ポリアクリル酸ナトリウム及び、寒天などが挙げられる。なお、これらのうち、ゲル化のために金属イオンが併存することが必要なものがあり、それら金属イオンを供給する塩、アルカリなど適宜添加する。さらに各種防腐剤、肥料成分、成長促進剤等も適宜追加することができる。
【0047】
種子を含有した水性ゲルカプセルは、例えば、細管先端に水性ゲル形成性高分子を有する水溶液の液滴を形成させ、この液滴中に細管を用いて種子1粒あるいは複数粒を添加後、液滴を凝固させる作用を有する凝固液に滴下することにより作製することができる。この際に必要に応じて空気、酸素などの気体を封入することができる。
【0048】
凝固液としては、カルシウム、バリウム等の2価金属やアルミニウム等のイオンを含むものが挙げられ、これらの塩、例えば、乳酸塩(これらは固体)及びそれらの水溶液が用いられる。また、硫酸カリウムアルミニウム(カリウムみょうばん)水溶液も用いることもできる。
【0049】
以下に配合例を示す。なお、以下の配合例において「部」は重量部を意味する。
【0050】
〔水性ゲルカプセルの配合例〕
農薬活性化合物 0.1〜50部
植物種子 5〜94.8部
ゲル形成高分子 0.1〜10部
凝固液 0〜5部
水 5〜50部
その他 0〜30部
その他として、例えば肥料成分、着色剤、固結防止剤、防腐剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0051】
粉衣処理は、農薬活性化合物を含有する粉剤や水和剤を植物種子に直接振り掛ける方法であり、原理的には水で湿らせた種子あるいは種子そのものと固体あるいは液体の農薬製剤を容器に入れて攪拌し、種子表面あるいは種子内部に農薬活性化合物を付着させる方法である。
【0052】
本発明での粉衣処理には、粉衣法、塗沫法(スラリー法)および液剤浸漬法が含まれる。
【0053】
植物種子に粉衣処理する処理剤は、農薬製剤そのものあるいは水で希釈して調製したものであっても良い。農薬製剤としては、例えば、液剤(soluble concentrate)、乳剤(emulsifiable concentrate)、水和剤(wettable powder)、水溶剤(water soluble powder)、顆粒水和剤(water dispersible granule)、顆粒水溶剤(water soluble granule)、懸濁剤(suspension concentrate)、乳濁剤(concentrated emulsion)、サスポエマルジョン(suspoemulsion)、マイクロエマルジョン(microemulsion)およびゲル剤(gel)等が挙げられる。
【0054】
上記の農薬製剤は、通常、適当な固体担体又は液体担体と混合し、更に所望により界面活性剤、浸透剤、展着剤、増粘剤、凍結防止剤、結合剤、固結防止剤、崩壊剤、消泡剤、防腐剤及び分解防止剤等を添加して得ることが出来る。
【0055】
固体担体としては、例えば石英、カオリナイト、パイロフィライト、セリサイト、タルク、ベントナイト、酸性白土、アタパルジャイト、ゼオライト及び珪藻土等の天然鉱物質類、炭酸カルシウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム及び塩化カリウム等の無機塩類、合成シリカならびに合成シリケート、小麦粉、デンプン、結晶セルロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等の天然高分子、グルコース、マントース、ラクトース、シュクロース等の糖類、尿素等が挙げられる
液体担体としては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール及びイソプロパノール等のアルコール類、キシレン、アルキルベンゼン及びアルキルナフタレン等の芳香族炭化水素類、ブチルセロソルブ等のエーテル類、シクロヘキサノン等のケトン類、γ−ブチロラクトン等のエステル類、N−メチルピロリドン及びN−オクチルピロリドン等の酸アミド類、大豆油、ナタネ油、綿実油及びヒマシ油等の植物油ならびに水が挙げられる。
【0056】
これら固体及び液体担体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0057】
界面活性剤としては、被覆造粒法で例示した界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0058】
植物種子に粉衣処理する処理剤として用いることができる農薬製剤の配合例を示す。なお、以下の配合例において「部」は重量部を意味する。
【0059】
〔水和剤(wettable powder)〕
農薬活性化合物 0.1〜80部
固体担体 5〜98.9部
界面活性剤 1〜10部
その他 0〜 5部
その他として、例えば固結防止剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0060】
〔乳 剤(emulsifiable concentrate)〕
農薬活性化合物 0.1〜30部
液体担体 45〜95部
界面活性剤 4.9〜15部
その他 0〜10部
その他として、例えば展着剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0061】
〔懸濁剤(suspension concentrate)〕
農薬活性化合物 0.1〜70部
液体担体 15〜98.89部
界面活性剤 1〜12部
その他 0.01〜30部
その他として、例えば凍結防止剤、増粘剤等が挙げられる。
【0062】
〔顆粒水和剤(water dispersible granule)〕
農薬活性化合物 0.1〜90部
固体担体 0〜98.9部
界面活性剤 1〜20部
その他 0〜 10部
その他として、例えば結合剤、分解防止剤等が挙げられる。
【0063】
〔液 剤(soluble concentrate)〕
農薬活性化合物 0.01〜70部
液体担体 20〜99.99部
その他 0〜 10部
その他として、例えば凍結防止剤、展着剤等が挙げられる。
【0064】
粉衣法については、上記の固体製剤そのものを使用することができる。粉衣法は、粉剤あるいは水和剤のような固体製剤を植物種子とともに、容器内で攪拌し、農薬活性化合物を付着させる方法である。
【0065】
液体製剤あるいは固体製剤を水に希釈した薬液を種子に粉衣する方法として、塗沫法および液剤浸漬法が挙げられる。塗沫法は、粉衣法を改良した方法であり、固体製剤を少量の水に浸し(スラリー状あるいは液状)、容器内で種子とともに攪拌し、農薬活性化合物を付着させる方法である。
【0066】
液体製剤についても、製剤そのものあるいは水で希釈して使用することができる。
【0067】
液剤浸漬法は、製剤そのものあるいは水で希釈した溶液を容器内に入れ、植物種子を浸漬し、種子内部まで薬剤を浸透させるものである。薬液を浸漬した後に、風乾しても良い。浸漬時間については、特に限定されない。希釈時に水の他に、界面活性剤等を添加することも可能である。
【0068】
粉衣処理には、種子処理用ミキサー、肥料混和機、ビニール袋、ビニールシートを使用し、処理することができるが、容器の種類には特に限定されない。
【0069】
粉衣処理した種子を乾燥させ、保存することもできるが、乾燥しないまま、播種しても良い。
【0070】
塗沫法および液剤浸漬法で植物種子に上記農薬製剤を処理する場合、通常水で1〜20000倍に希釈して施用することができる。
【0071】
被覆造粒法、ゲル状被覆法および粉衣処理により、付着する農薬活性化合物の量としては、種子100kgあたり1重量部〜10000重量部が望ましい。
【0072】
また、本発明方法においては、処理種子の播種と同時に、その他の殺菌剤、除草剤、殺虫剤、植物成長調節剤または肥料を施用することができる。
【0073】
本発明で播種前から覆土後に栽培土壌に施用する処理剤としては、上記の粉衣処理で使用できる製剤あるいはそれを水で希釈したものが使用できる。希釈する場合は、通常1〜20000倍に水で希釈して使用するのが望ましい。
【0074】
播種前から覆土後に栽培土壌に施用する時期は、好ましくは以下の3期間であり、各期間における処理剤の施用方法は次の通りである。
・第1期間:播種前
作付けする圃場に散布処理。薬剤処理後、混和しても、しなくても良い。
・第2期間:播種後、但し覆土前
土壌に播種した種上(植え穴)あるいは播種溝に薬剤を潅注または散布し、その後に覆土する。
・第3期間:播種後、且つ、覆土直後
覆土の土壌表面に薬剤を潅注または散布処理する。
【0075】
第2期間での処理水量としては、種子1粒に対して、0.0001ml〜250mlであることが望ましい。処理剤が固形である場合、その処理量として、種子1粒に対して、0.0001重量部〜50重量部であることが望ましい。また、種子1粒あたりの農薬活性化合物量としては、0.00001重量部〜10重量部であることが望ましい。
【0076】
第1および3期間での10アールあたりの農薬活性化合物量としては、0.1重量部〜1000重量部であることが望ましい。
【0077】
本発明方法は、水田、畑および苗を育苗中に発生する病害に対して適用できる。防除しうる病害には、具体的には次に示すものがあるが、それらのみに限定されるものではない。
【0078】
すなわち、病害としては、
イネの苗立枯病(Pythium irregulare、P. graminicola)、コムギ縞萎縮病(Wheat yellow mosaic virus)、オオムギ縞萎縮病(Barley yellow mosaic xirus)、ムギ類のうどんこ病(Erysiphe graminis f.sp.hordei,f.sp. tritici)、斑葉病(Pyrenophora graminea)、網斑病(Pyrenophora teres)、赤かび病(Gibberella zeae)、さび病(Puccinia striiformis,P. graminis、P. recondita、P. hordei)、褐色雪腐病(Pythium iwayamai)、雪腐病(Tipula sp.、Micronectriella nivais)、裸黒穂病(Ustilago tritici、U.nuda)、アイスポット(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雪腐小粒菌核病(Typhula incarnata)、雪腐大粒菌核病(Myriosclerotinia borealis)、コムギの紅色雪腐病(Monographella nivalis)、立枯病(Gaeumanomyces graminis)、
ウリ類のべと病(Pseudoperenospora cubensis)、炭そ病(Colletotrichum orbicula)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Didlymella bryoniae)、つる割病(Fusarium oxysporum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、立枯病(Fusarium solani)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、
キュウリの褐斑病(Corynespora cassiicola)、苗立枯病(Pythium cucurbitacearum、P. debaryanum、Rhizoctonia solani)、根腐病(Pythium myriotylum、P. volutum)、疫病(Phytophthora meronis、P. nicotianae)、斑点細菌病(Pseudomonas syringae pv. lachrymans)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)、
スイカの褐色腐敗病(Phytophthora capsici)、疫病(Phytophthora cryptogea)、
メロンの立枯病(Pythium debaryanum)、疫病(Phytophthora nicotianae)、
カボチャの疫病(Phytophthora capsici)、
ナス科の青枯病(Ralstonia solancearum)、萎凋病(Fusarium oxysporum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、
トマトの疫病(Phytophthora infestans)、根腐疫病(Phytophthora cryptogea)、灰色疫病(Phytophthora capsici)、輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Fulvia fulva)、うどんこ病(Oidium sp.及びOidiopsisi sicula)、褐色腐敗病(Phytophthora nicotianae)、かいよう病(Clavibacter michiganensis)、褐色根腐病(Pyrenochaeta lycopersici)、炭そ病(Colletotrichum gloeosporioides)、苗立枯病(Pythium vexans、Rhizoctonia solani)、半身萎凋病(Verticillium dahliae)、斑点病(Stemphylium lycopersici)、
ジャガイモの疫病(Phytohthora infestans)、夏疫病(Alternaria solani)、黒あざ病(Thanatephorus cucumeris)、黒あし病(Erwinia carotovora)、そうか病(Streptomyces spp.)、軟腐病(Erwinia carotovora)、粉状そうか病(Spongospora subterranean)、
ピーマンの疫病(Phytophthora capsici)、うどんこ病(Oidiopsis sicula)、苗立枯病(Rhizoctonia solani)、斑点病(Cercospora capsici)、
ナスの疫病(Phytophthora infestans)、褐色腐敗病(Phytophthora capsici)、褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracerum及びOidiopsis sicula)、
ネギ類の白色疫病(Phytophthora porri)、疫病(Phytophthora nicotianae)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、苗立枯病(Rhizoctonia solani)、黒斑病(Alternaria porri)、軟腐病(Erwinia carotovora及びE. chrysanthmi)、べと病(Peronospora destructor)、さび病(Puccinia allii)、
ネギの萎凋病(Fusarium oxysporum)、黄斑病(Heterosporium allii)、紅色根腐病(Pyrenochaeta terrestris)、小菌核腐敗病(Botrytis squamosa)、
タマネギの乾腐病(Fusarium oxysporum)、黒穂病(Urocystis cepulae)、小菌核病(Ciborinia alli)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、灰色腐敗病(Botrytis allii)、腐敗病(Erwinia rhapontici)、りん片腐敗病(Burkholderia gladiol)、
アブラナ科野菜のべと病(Peronospora parasitica)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、白さび病(Albugo macrospora)、黒斑病(Alternaria japonica 及びA. brassicae)、白斑病(Cercosporella brassicae)、軟腐病(Erwinia carotovora)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、
キャベツの株腐病(Thanatephorus cucumeris)、バーティシリウム萎凋病(Verticillium dahliae)、
ハクサイの黄化病(Verticillium dahliae)、尻腐病(Rhizoctonia solani)、根くびれ病(Aphanomyces raphani)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、ピシウム腐敗病(Pythium ultimum)、
ダイコンの炭そ病(Colletotrichum higginsianum)、バーティシリウム黒点病(Verticilliu albo−atrum)、
マメ類の青枯病(Ralstonia solanacearum)、萎凋病(Verticillium dahliae)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、黒根病(Thielaviopsis sp.)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、立枯病(Fusarium oxysporum)、炭そ病(Colletotrichum truncatum、C. trifolii、Glomerella glycines、Gloeosporium sp.)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、
ダイズのべと病(Peronospora manshurica)、茎疫病(Phytophthora sojae)、葉焼病(Xanthomonas campestris pv. glycines)、紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum)、
ラッカセイの黒渋病(Mycosphaerella personata)、褐斑病(Mycosphaerella arachidis)、
エンドウのうどんこ病(Erysiphe pisi)、
イチゴのうどんこ病(Sphaerotheca aphanis)、萎黄病(Fusarium oxysporum)、萎凋病(Verticillium dahliae)、疫病(Phytophthora cactorum)、角斑細菌病(Xanthomonas campestris及びX. fragariae)、黒斑病(Alternaria alternate)、じゃのめ病(Mycosphaerella fragariae)、炭そ病(Colletotrichum acutatum, C. fragariae及びGlomerella cingulata)、根腐病(Phytophthora fragariae)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、芽枯病(Rhizoctonia solani)、輪斑病(Drenerophoma obscurans)、
レタスの菌核病(Sclerotinia sclerotiorum)、すそ枯病(Rhizbacter solani)、軟腐病(Erwinia carotovora)、立枯病(Pythium sp.)、根腐病(Fusarium oxysporum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、斑点細菌病(Xanthomonas campestris pv. vitians)、ビッグベイン病(Lettuce bib-vein virus)、腐敗病(Pseudomonas cichorii、P. marginalis pv. Marginalis及びP. viridiflava)、べと病(Bremia lactucae)、
ゴボウの萎凋病(Fusarium oxysporum)、黒あざ病(Rhizoctonia solani)、黒条病(Itersonilia perplexans)、黒斑細菌病(Xanthomonas campestris pv nigromaculans)、黒斑病(Ascochyta phaseolorum)、根腐病(Pythium irregulare)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)、
ニンジンの萎凋病(Fusarium oxysporum)、うどんこ病(Erysiphe heraclei)、黒葉枯病(Alternaria dauci)、こぶ病(Rhizoctonia dauci)、しみ腐病(Pythium sulcatum)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、軟腐病(Erwinia carotovora)、根腐病(Rhizoctonia solani)、斑点病(Cercospora carotae)、紫紋羽病(Helicobasidium mompa)、
ホウレンソウの立枯病(Pythium aphanidermatum、P. ultimum、P. paroecandrum)
コンニャクの根腐病(Pythium aristosporum、P. ultimum)
タバコの赤星病(Alternaria alternata)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum cichoracearum)、舞病(Pythium debaryanum、P. aphanidermatum)、疫病(Phytophthora nicotianae var. nicotianae)、
テンサイの褐斑病(Cercospora beticola)、そう根病(Beet necrotic yellow vein virus)、黒根病(Aphanomyces cochlioides)、
バラの黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa)、
キクの褐斑病(Septoria chrysanthemiindici)、白さび病(Puccinia horiana)
等が挙げられる。
【0079】
本発明において、より効果の高い病害としては、べん毛菌類が引き起こす苗立枯病、べと病、疫病、茎疫病、根腐病および黒根病、並びに根こぶ病菌が引き起こす根こぶ病が挙げられる。
【実施例】
【0080】
本発明の有用性について、以下の試験例において具体的に説明する。但し、本発明はこれらのみに制限されるものではない。なお、以下においてgaiは農薬活性化合物のグラム数を表す。
【0081】

〔試験例1〕 被覆造粒種子によるハクサイ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を1×104個/土壌1gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0082】
下記の〔配合例1〕および〔配合例2〕により製造したハクサイ種子を供試土壌に2粒ずつ播種した。
【0083】
室内(20℃に調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0084】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表1に示す。
【0085】
表1
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下量 発病度(%)
(g ai/100 kg種子)(g ai/10a)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A被覆造粒種子 6600 110 7
化合物A被覆造粒種子 3300 55 7
無処理種子 − − 100
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔配合例1〕
化合物Aの50%顆粒水和剤を乳鉢で粉砕した粉状物を11.6重量部、ハクサイ種子(無双)88.0重量部を攪拌混合した。更に、トキサノンGL−31A(三洋化成工業(株)製) 0.4重量部を水8.4重量部で希釈した水溶液を加え攪拌混合した。得られた湿品製品を更に約50℃で1時間にわたり乾燥し、化合物A 6600g ai/100kg種子の割合で被覆造粒した種子(種子1粒当たり化合物A0.22mgを含む被覆ハクサイ種子11g)を得た。
〔配合例2〕
化合物Aの50%顆粒水和剤を乳鉢で粉砕した粉状物を5.8重量部、ASP200(ENGELHARD社製) 5.8重量部、ハクサイ種子(無双)88.0重量部を攪拌混合した。更に、トキサノンGL−31A 0.4重量部を水8.4重量部で希釈した水溶液を加え攪拌混合した。得られた湿品製品を更に約50℃で1時間にわたり乾燥し、化合物A3300g ai/100kg種子の割合で被覆造粒した種子(種子1粒当たり化合物A0.11mgを含む被覆ハクサイ種子11g)を得た。
【0086】

〔試験例2〕 塗沫処理によるハクサイ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を2×10個/土壌1gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0087】
下記〔製剤例1〕により製造した化合物Aの懸濁剤原液にハクサイ種子を2秒間浸漬し、アルミホイル上で1時間風乾し、化合物A 6600g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子(種子1粒当たり化合物A0.22mgを含む被覆ハクサイ種子)を得た。同様の方法でシアゾファミド懸濁剤(ランマンフロアブル〔商品名〕、石原産業(株)製)も塗沫処理し、シアゾファミド3300g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子(種子1粒当たり化合物A0.11mgを含む被覆ハクサイ種子)を得た。
【0088】
汚染土壌を加えた1/25000 aポットに薬剤処理したハクサイ種子を1粒ずつ播種した。
【0089】
土壌混和処理は、下記〔製剤例2〕により製造した化合物A粉剤を汚染土に所定量加えて混和し、ポットに入れ、ハクサイ種子を1粒ずつ播種した。
【0090】
温室内(20℃に調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0091】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表2に示す。
【0092】
表2
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下量 発病度(%)
(g ai/100 kg種子) (g ai/10a)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A塗沫種子 6600 55 8.3
シアゾファミド塗沫種子 3300 27.5 9.7
無処理種子 − − 100.0
化合物A粉剤 − 75 12.5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〔製剤例1〕
(1)化合物A 20重量部
(2)ポリオキシエチレンスチリルエーテル/ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーの混合物 3重量部
(3)珪酸マグネシウムアルミニウム 0.3重量部
(4)キサンタンガム 0.15重量部
(5)1,2−ベンズイソチアゾリン−3−イオン 0.1重量部
(6)プロピレングレコール 10重量部
(7)シリコ−ン系消泡剤 0.1重量部
(8)蒸留水 バランス
上記(1)〜(8)を混合し、化合物Aの平均粒子径が1.5μmになるまで湿式粉砕し、懸濁液を得た。
〔製剤例2〕
化合物A 0.5部
ネオキャリア−K 95.5部
カープレックス 2部
グリセリン 2部

〔試験例3〕 塗沫処理によるナタネ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を2×10個/土壌1gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0093】
〔製剤例1〕により製造した化合物Aの懸濁剤原液にナタネ種子を2秒間浸漬処理、アルミホイル上で1時間風乾し、化合物A 6600g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子(種子1粒当たり化合物A0.22mgを含む被覆ナタネ種子)を得た。
【0094】
シアゾファミド懸濁剤も同様に処理し、シアゾファミド3300g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子(種子1粒当たり化合物A0.11mgを含む被覆ナタネ種子)を得た。
【0095】
汚染土壌を加えた1/25000 aポットに薬剤処理したナタネ種子を2粒ずつ播種した。
【0096】
温室内(20℃調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0097】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表3に示す。
【0098】
表3
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下量 発病度(%)
(g ai/100 kg種子) (g ai/10a)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A塗沫種子 6600 110 19.8
シアゾファミド塗沫種子 3300 55 14.6
無処理種子 − 100.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〔試験例4〕 塗沫処理によるピーマン疫病防除効果試験
〔製剤例1〕により製造した化合物Aの懸濁剤原液を水で133倍に希釈した薬液30μlにピーマン種子(品種:京みどり)20粒(150mg)を2分間浸漬し、アルミホイル上で1時間風乾し、化合物Aが100g ai/100kg種子の割合で塗沫処理した種子(種子1粒あたり化合物Aを0.0075mg含む被覆種子)を得た。
【0099】
1330倍に希釈した薬液でも同様に処理し、化合物Aが10g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子(種子1粒あたり化合物Aを0.00075mg含む被覆種子)を得た。
【0100】
シアゾファミド懸濁剤を65倍に希釈し、同様の方法でシアゾファミドが100 g ai/100kg種子の割合で塗沫した種子を得た。
【0101】
1/25000 a ポットに健全土壌を入れ、上記の種子を5粒/ポットの割合で播種した。播種後に1×103個/mlの割合に調整したPhytophthora capsiciの遊走子のう懸濁液を土壌表面に10ml/ポットの割合で噴霧接種した。温室内(25℃に調整)で育苗し、播種49日後に罹病した本数を測定した。下記の数式に従い、発病度を算出した。
【0102】
発病度=(処理区罹病本数/播種本数)×100
その結果を表4に示す。
【0103】
表4
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下量 発病度(%)
(g ai/100 kg種子) (g ai/10a)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A塗沫種子 100 9.375 10
化合物A塗沫種子 10 0.9735 17.5
シアゾファミド塗沫種子 100 9.375 10
無処理種子 − − 57.5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

〔試験例5〕 液体薬剤の播種後覆土前処理によるハクサイ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を1×105個/gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0104】
〔製剤例1〕により製造した化合物Aの懸濁剤原液を水で希釈し、100ppmなるように薬液を調製した。汚染土壌を加えた1/25000 aポットに種子を1ポット当たり3粒ずつ播種し、播種した地点に薬液を滴下処理し、その後覆土した。
【0105】
温室内(20℃に調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0106】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表5に示す。
【0107】
表5
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下量 発病度(%)
(ml/種子1粒) g ai/10a
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A 100ppm 2 150 1.4
化合物A 100ppm 1 75 2.8
化合物A 100ppm 0.5 37.5 18.1
無処理 − − 100.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――

〔試験例6〕固形薬剤の播種後覆土前処理によるハクサイ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を1×104個/土壌1gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0108】
植え穴処理は、ポット内の供試土壌に3ヶ所の穴(直径1cm、深さ1cm)をあけ、ハクサイ種子を1粒ずつ播種し、〔製剤例2〕で製造した化合物Aの粉剤を植え穴に処理した。薬剤処理後に覆土した。
【0109】
播種覆土前処理は、ポット内の供試土壌表面にポットあたり3粒の種子を置き、上から均一になるように〔製剤例2〕で製造した化合物Aの粉剤を散布し、深さが1cmとなるように覆土した。
【0110】
室内(20℃に調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0111】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表6に示す。
【0112】
表6
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
薬剤 処理量 種子1粒あたりの 発病度(%)
g ai/10a 処理量(mg/ポット)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A粉剤 75 20 0
植え穴処理 37.5 10 9.7
3ヶ所/ポット

化合物A粉剤 150 − 4.2
播種後覆土前処理 75 − 16.7

化合物A粉剤 150 − 1.4
全面土壌混和処理 75 − 1.4

無処理 − − 100
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〔試験例7〕 覆土後の灌注処理によるハクサイ根こぶ病防除効果試験
健全土壌にアブラナ科根こぶ病菌休眠胞子を1×105個/土壌1gの割合で加え、汚染土壌を作製し、供試土壌とした。
【0113】
〔製剤例1〕により製造した化合物Aの懸濁剤原液を水で希釈し、薬液を調整した。汚染土壌を加えた1/25000 aポットに種子を1ポット当たり3粒ずつ播種し、覆土後にポットあたり5mlずつ薬液を全体に灌注した。
【0114】
温室内(20℃に調整)で4週間植物を育成後、根部の根こぶ着生程度を調べた。下記の式に従い、発病度を算出した。
【0115】
発病度=〔Σ(程度別発病株数×発病指数)/(調査した株×3)〕×100
[発病指数]
0:根こぶの着生なし
0.5:側根に根こぶを僅かに形成
1:側根に根こぶを形成
2:主根に小さな根こぶを形成
3:主根と側根に根こぶを形成
その結果を表7に示す。
【0116】
表7
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
処理量 投下薬量 発病度(%)
(ml/ポット)(ai g/10a)
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
化合物A 100ppm 5 125 0
化合物A 50ppm 5 62.5 1.4
化合物A 10ppm 5 12.5 18.1
無処理 − − 100.0
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、優れた防除効果が発現される植物病害の防除方法として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を植物種子に付着させること、または該殺菌活性化合物の1種以上を播種前から覆土後に栽培土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項2】
3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を植物種子に付着させることを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項3】
3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上を播種前から覆土後に栽培土壌に施用することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項4】
植物病害がべん毛菌類および根こぶ病菌類が引き起こす病害である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防除方法。
【請求項5】
植物病害が疫病または根こぶ病である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の防除方法。
【請求項6】
殺菌活性化合物が3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドおよびシアゾファミドの中から選ばれる化合物である請求項1ないし5記載の防除方法。
【請求項7】
3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミド、シアゾファミド、フルアジナム、エタボキサムおよびベンチアバリカルブの中から選ばれる殺菌活性化合物の1種以上が付着した植物種子。
【請求項8】
殺菌活性化合物が3−(3−ブロモ−6−フルオロ−2−メチルインドール−1−イルスルホニル)−N,N−ジメチル−1H−1,2,4−トリアゾール−1−スルホンアミドおよびシアゾファミドの中から選ばれる化合物である請求項7記載の植物種子。


【公開番号】特開2008−189658(P2008−189658A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34(P2008−34)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【出願人】(000003986)日産化学工業株式会社 (510)
【Fターム(参考)】