説明

植物病害防除剤組成物及び微生物

【課題】
本発明は、バチルス属(Bacillus)に属する新規な微生物、特に各種農園芸作物の灰色かび病や菌核病,うどんこ病,炭疽病,輪斑病,青かび病,緑かび病、軟腐病、かいよう病等が発生し易い低温条件に於いても植物病害防除能を有する植物病害防除剤組成物や、かかる植物病害防除剤組成物を用いた植物病害の防除方法や、該微生物の選抜方法をを提供することを課題とする。
【解決手段】
バチルス属(Bacillus sp.)に属する新規な微生物を含有する植物病害防除剤組成物であり、かかる微生物として、具体的にはバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株を挙げることができる。また、本発明の植物病害防除剤組成物を植物及び/又は土壌を処理することにより、灰色かび病や菌核病,うどんこ病,炭疽病,輪斑病,青かび病,緑かび病、軟腐病、かいよう病に対して特に効果的な防除方法、該微生物に主として由来しそのごく一部の特性を変更させた菌株、該微生物の選抜方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種農園芸作物の灰色かび病や菌核病、うどんこ病、炭疽病、輪斑病、青かび病、緑かび病、軟腐病、かいよう病等の植物病害に対して植物病害が発生する温度領域の低温域での防除能も有するバチルス属(Bacillus)に属する新規な微生物、該新規微生物を有する植物病害防除剤組成物、該植物病害防除剤組成物を用いた植物病害の防除方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ベンズイミダゾール系殺菌剤及びチオファネート系殺菌剤が農園芸作物に寄生する種々の病原菌に対して優れた防除効果を示し、1970年頃より農園芸用殺菌剤として広く一般に使用され、作物増産に大きく寄与してきた。
【0003】
一方、従来の合成殺菌剤による防除に代わるべき、あるいは併用すべき手段として、環境汚染が極めて少なく、生態系に調和し、かつ防除効果の優れたものとして生物農薬が知られている。農園芸作物の病害防除、特に灰色かび病に用いられてきた微生物として、トリコデルマ属、グリオクラディウム属、バチルス属に属する微生物が挙げられ、これまでにこれらの微生物を含有する農園芸用殺菌剤組成物も数多く研究開発されてきた。
【0004】
例えば、バチルス属に属する細菌については、特開昭63−273470号公報では、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)JB3株菌(NCIB12375)、バチルス・ズブチリスJB3.6株菌(NCIBB12376)、バチルス・ズブチルスR1株菌(NCIB12616)、あるいはこれらの変異株等から得られる抗菌物質が植物の病気、動物及びヒトの微生物汚染等を抑制し、更に一般的な微生物汚染を抑制するとし、上記各菌株の培養物を用いて各種農園芸作物の病害を防除する試みがなされている(例えば特許文献1参照)。また、上記バチルス・ズブチリスJB3菌株(NCIB12375)、バチルス・ズブチリスJB3.6株菌(NCIBB12376)、バチルス・ズブチルスR1株菌(NCIB12616)、あるいはこれらの変異株等から得られる抗菌物質を単離し、これを各種農園芸作物の病害防除に用いるという試みがなされている(例えば特許文献2参照)。その他、クワの炭疽病や白紋羽病の防除微生物として、バチルス・アミロリクエファシエンスが知られている(例えば特許文献3、非特許文献1、非特許文献2参照)。また、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)QST-713株の芽胞製剤であるインプレッション水和剤が2003年5月に農薬登録を取得し、上市されている(例えば非特許文献3参照)。
【特許文献1】特開昭63−273470号公報
【特許文献2】特開平2−22299号公報
【特許文献3】特開平11−246324号公報
【非特許文献1】植物防疫 第56巻 第8号 (2002)
【非特許文献2】Phytopathology Vol.91 No.2,2001
【非特許文献3】バイオコントロール Vol.7 No.1,2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなバチルス属に属する細菌を応用した農園芸作物の病害防除方法では、植物病原菌の生育適温と病害防除細菌の生育適温とのずれが大きく、何れも各種農園芸作物病害が発生する低温域での防除が必ずしも十分であるとは言えなかった。例えば、各種農園芸作物の灰色かび病は15℃前後の低温での発病が極めて旺盛であり、20℃から45℃に生育適温を持つバチルス属に属する細菌では、特に気温が低く推移した場合、決して十分な防除効果が得られるとは限らなかった(例えば非特許文献3参照)。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、各種農園芸作物等の植物の病害、特に灰色かび病等の対象植物病害に対して、10℃から15℃といった低温域においても一定して優れた防除能を有するバチルス属(Bacillus)に属する微生物、該微生物を含有する植物病害防除剤組成物や、これを用いて植物及び/又は土壌を処理する植物病害の防除方法、該微生物に主として由来しそのごく一部の特性を変更させた菌株、該微生物の選抜方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記の課題を解決するため、日本曹達株式会社榛原フィールドリサーチセンターの各圃場から採取した茶葉から、植物病害防除能を有する候補微生物を単離した。各圃場から採取した茶葉の葉面を少量の滅菌水内で洗浄し、その洗浄水を標準寒天培地(日水製薬社製)上に塗抹して、生育してきた微生物のコロニーを採取し、更に単一のコロニーとなるように分離・取得した。これらの微生物の中から、常温(20℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を選抜した。選抜された菌株について低温(10℃)で生育可能な菌株を更に選抜し、再度低温(14℃)で灰色かび病に対して防除効果を有する2菌株の微生物を見出した。これら2菌株は、コロニーの形態からバチルス属(Bacillus)の細菌と予想され、その形態や菌学的性質は以下の通りであった。
【0008】
グラム陽性の桿菌でカタラーゼ反応陽性で、好気的に酸を生成し、バチルス型の芽胞形成が認められた。
【0009】
16SrDNAの約1100bp塩基配列を基に系統解析を行い相同性検索を行った結果、4−5−1−1株 No.30は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis),バチルス・アミロリクエファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens),バチルス・ヴェレセンシス(Bacillus velesensis)と相同性一致率99.906%、バチルス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)と相同性一致率99.719%であった。また、アピマニュアルキット(bio Merieux Industry)のAPI 50 CHを用い検討したところ、4−5−1−1株 No.30は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)との相同性は44.7%、バチルス・リチェニホルミス(Bacillus licheniformis)との相同性は35.1%であった。更に、嫌気的生育,プロピオン酸塩の利用の有無,55℃での生育可否について検討したところ何れも陰性であった。更に炭素化合物の利用性について調べたところ、4−5−1−1株 No.30は、Glycerol、L-Arabinose、Ribose、D-Xylose、D-Glucose、D-Fructose、D-Mannose、Inositol、Mannitol、Sorbitol、α-Methyl-D-glucoside、Amygdaline、Arbutin、Esculin、Salicin、Cellobiose、Maltose、Lactose、Melibiose、Sucrose、Trehalose、D-Raffinose、Starch、Glycogen、β-Gentiobioseは、利用でき、Erythritol、D-Arabinose、L-Xylose、Adonitol、β-Methyl-D-xyloside、Galactose、L-Sorbose、Rhamnose、Dulcitol、α-Methyl-D-mannoside、N-Acethyl-glucosamine、Inuline、Melezitose、Xylitol、D-Turanose、D-Lyxose、D-Tagatose、D-Fucose、L-Fucose、D-Arabitol、L-Arabitol Gluconate、2-ceto-gluconate、5-ceto-gluconateは、利用できなかった。
【0010】
一方、4−5−21 0306株について、16SrDNAの約700bp塩基配列を基に系統解析を行い相同性検索を行った結果、バチルス・ズブチリスと相同性一致率99.0%であった。また、アピマニュアルキット(bio Merieux Industry)のAPI 50 CHを用い検討したところ、4−5−21 0306株は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)との相同性は87.4%であった。更に炭素化合物の利用性について調べたところ、4−5−21 0306株は、Glycerol、L-Arabinose、Ribose、D-Glucose、D-Fructose、D-Mannose、Inositol、Mannitol、Sorbitol、α-Methyl-D-glucoside、Amygdaline、Arbutin、Esculin、Salicin、Cellobiose、Maltose、Lactose、Sucrose、Trehalose、D-Raffinose、Starch、Glycogenは、利用でき、Erythritol、D-Arabinose、D-Xylose、L-Xylose、Adonitol、β-Methyl-D-xyloside、Galactose、L-Sorbose、Rhamnose、Dulcitol、α-Methyl-D-mannoside、N-Acethyl-glucosamine、Melibiose、Inuline、Melezitose、Xylitol、β-Gentiobiose、D-Turanose、D-Lyxose、D-Tagatose、D-Fucose、L-Fucose、D-Arabitol、L-Arabitol Gluconate、2-ceto-gluconate、5-ceto-gluconateは、利用できなかった。
【0011】
以上の結果を総合すると4−5−1−1株 No.30は、はバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)と判断された。また、4−5−21 0306株は、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)の近縁種であるバチルス エスピー(Bacillus sp.)と判断された。これらの菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1中央第6)に2004年2月10日にそれぞれ寄託番号FERM BP−10244、寄託番号FERM BP−10245として寄託されている。そして、上記細菌は、灰色かび病の他、菌核病やうどんこ病、炭疽病、輪斑病,青かび病,緑かび病、軟腐病、かいよう病等広範囲の病害に対し優れた防除活性を有する。
【0012】
すなわち、本発明は第1に、市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下で高い病害防除能を有するバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除剤組成物であり、第2に低温条件が、10〜15℃であることを特徴とする1記載の植物病害防除組成物であり、第3に植物病害が、灰色かび病、菌核病、うどんこ病、炭疽病、輪斑病、青かび病、緑かび病、軟腐病、かいよう病の少なくともいずれかであることを特徴とする1または2記載の植物病害防除剤組成物であり、第4にバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30であることを特徴とする1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物であり、第5にバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株であることを特徴とする1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物であり、第6にバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であることを特徴とする1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物であり、第7にバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であることを特徴とする1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物であり、第8に1から7のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物を用いて、植物及び/又は土壌を処理することを特徴とする植物病害の防除方法であり、第9にバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30であり、第10にバチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株であり、第11にバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であり、第12にバチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であり、第13に次のa〜dの連続した各工程からなる)記載の低温で高い活性を有するバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物の選抜方法である。
a.菌株分離源から菌体を採取する工程
b.常温(18〜25℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を選抜する工程
c.低温(8〜12℃)で生育可能な菌株を選抜する工程
d.低温(13〜15℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を再選抜する工程
【発明の効果】
【0013】
本発明の植物病害防除剤組成物は、市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下で高い病害防除能を有する微生物を含有することにより市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下で高い病害防除能を示すと共に、長期にわたり病害防除能を保持することができ、また、一度に多種類の病害を防除することができる。かかる植物病害防除剤組成物を用いた本発明の植物病害の防除方法によれば、植物病害防除剤組成物を各種農園芸作物等の植物や、土壌に散布する等の方法により、植物の病害、特に灰色かび病に対して効果的に防除することができる。また本発明の選抜方法によれば、市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下で高い病害防除能を有する微生物を効率よく選抜できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の植物病害防除剤組成物としては、茶葉から分離することができ、灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有し、且つ全ての病害発生温度域、特に低温域で一定した優れた防除能を有するバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30(FERM BP−10244)、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株(FERM BP−10245)から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする植物病害防除剤組成物であれば特に制限されることはないが、上記バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、菌核病菌(S.sclerotiorum)炭疽病菌(C.lagenarium)、輪斑病菌(P.longiseta)、緑かび病菌(P.digitatum)、青かび病菌(P.italicum)、軟腐病(E.carotovora)、かいよう病(X.campestris)等に対して防除効果を有するものが好ましい。
【0015】
本発明の植物病害防除剤組成物は、灰色かび病や菌核病、うどんこ病、炭疽病、輪斑病、青かび病、緑かび病、軟腐病、かいよう病等に対して特に有効に用いることができる。
【0016】
本発明の植物病害防除剤組成物の製造には、バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物を固体培養あるいは液体培養等の公知の手段で増殖させた菌体を用いることができる。かかる微生物の増殖方法としては、菌体が増殖する方法であれば、特に培地の種類や培養条件等を問わず、いずれの方法でもよいが、例えば、固体培養の場合、標準寒天培地や普通寒天培地、ポテトデキストロース寒天培地等における25〜35℃での静置培養を、液体培養の場合、上記寒天培地から寒天を除いた各種液体培地等における25〜35℃での振盪・攪拌培養等を挙げることができる。本発明の菌体とは栄養細胞または胞子等バチルス属の微生物が通常とりうるあらゆる形態を示す。また、菌体の使用形態としては、菌体自体のほか、その懸濁液ないし培養液又はこれらの濃縮物、ペースト状物、乾燥物、希釈物等のいずれの形態であっても適用することができる。
【0017】
本発明の病害防除剤組成物におけるバチルス属(Bacillus sp.)に属する菌の濃度は、特に制限されるものではないが、1000〜2000倍に希釈した際に、菌体濃度に換算して、1×1011 〜1×102 cfu/ml、好ましくは1×109〜1×104 cfu/mlの範囲を好適に例示することができる。また、本発明の病害防除剤組成物には通常使用される担体、界面活性剤、分散剤、補助剤等を配合させることができ、その形態としては通常の農薬のとり得る形態、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、フロアブル剤、粒剤等の形態を採用することができる。
【0018】
本発明の農薬製剤には、例えば、炭酸カルシウムや塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸アンモニウム等の無機塩類、クエン酸、リンゴ酸、ステアリン酸等の有機酸及びそれらの塩、乳糖、ショ糖等の糖類等、アルミナ粉、シリカゲル、ゼオライト、ヒドロキシアパタイト、リン酸ジルコニウム、リン酸チタン、酸化チタン、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、カオリナイト、モンモリロナイト、タルク、クレー、珪藻土、ベントナイト、ホワイトカーボン、カオリン、バーミキュライト等の固体担体を挙げることができる。また、必要に応じて、酸化防止剤、着色剤、滑剤、紫外線吸収剤、耐電防止剤などを添加することができる。更に、補助剤として、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、アラビアゴム、澱粉等を添加することができる。
【0019】
界面活性剤および分散剤としては、通常の農薬用製剤に使用できるものであれば特に限定されるものではなく、具体的には、非イオン性界面活性剤としてはソルビタン脂肪酸エステル(C12〜18),POEソルビタン脂肪酸エステル(C12〜18),ショ糖脂肪酸エステルなどの糖エステル型で界面活性剤、POE脂肪酸エステル(C12〜18),POE樹脂酸エステル,POE脂肪酸ジエステル(C12〜18)などの脂肪酸エステル型界面活性剤、POEアルキルエーテル(C12〜18)等のアルコール型界面活性剤、POEアルキル(C8〜12)フェニルエーテル,POEジアルキル(C8〜12)フェニルエーテル,POEアルキル(C8〜12)フェニルエーテルホルマリン縮合物などのアルキルフェノール型界面活性剤、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキル(C12〜18)ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルなどのポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー型界面活性剤、POEアルキルアミン(C12〜18),POE脂肪酸アミド(C12〜18)などのアルキルアミン型界面活性剤、POE脂肪酸ビスフェニルエーテルなどのビスフェノール型界面活性剤、POAベンジルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテル,POAスチリルフェニル(またはフェニルフェニル)エーテルなどの多芳香環型界面活性剤、POEエーテルおよびエステル型シリコンおよびフッ素系界面活性剤などのシリコン系、フッ素系界面活性剤、POEヒマシ油,POE硬化ヒマシ油などの植物油型界面活性剤、アニオン性界面活性剤としてはアルキルサルフェート(C12〜18,Na,NH4,アルカノールアミン),POEアルキルエーテルサルフェート(C12〜18,Na,NH4,アルカノールアミン),POEアルキルフェニルエーテルサルフェート(C12〜18,NH4,アルカノールアミン,Ca),POEベンジル(またはスチリル)フエニル(またはフェニルフェニル)エーテルサルフェート(Na,NH4,アルカノールアミン),ポリオキシエチレン,ポリオキシプロピレンブロックポリマーサルフェート(Na,NH4,アルカノールアミン)などのサルフェート型界面活性剤、パラフィン(アルカン)スルホネート(C12〜22,Na,Ca,アルカノールアミン),AOS(C14〜16,Na,アルカノールアミン),ジアルキルスルホサクシネート(C8〜12,Na,Ca,Mg),アルキルベンゼンスルホネート(C12,Na,Ca,Mg,NH4 ,アルキルアミン,アルカノール,アミン,シクロヘキシルアミン),モノまたはジアルキル(C3〜6)ナフタレンスルホネート(Na,NH4 ,アルカノールアミン,Ca,Mg),ナフタレンスルホネート・ホルマリン縮合物(Na,NH4),アルキル(C8〜12)ジフェニルエーテルジスルホネート(Na,NH4),リグニンスルホネート(Na,Ca),POEアルキル(C8〜12)フエニルエーテルスルホネート(Na),POEアルキル(C12〜18)エーテルスルホコハク酸ハーフエステル(Na)などのスルホネート型界面活性剤、カルボン酸型脂肪酸塩(C12〜18,Na,K,NH4,アルカノールアミン),N-メチル-脂肪酸サルコシネート(C12〜18,Na),樹脂酸塩(Na,K)などPOEアルキル(C12〜18)エーテルホスフェート(Na,アルカノールアミン)、POEモノまたはジアルキル(C8〜12)フェニルエーテルホスフェート(Na,アルカノールアミン),POEベンジル(またはスチリル)化フェニル(またはフェニルフェニル)エーテルホスフェート(Na,アルカノールアミン),ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー(Na,アルカノールアミン),ホスファチジルコリン・ホスファチジルエタノールイミン(レシチン),アルキル(C8〜12)ホスフェートなどのホスフェート型界面活性剤、カチオン性界面活性剤としてはアルキルトリメチルアンモニウムクロライド(C12〜18),メチル・ポリオキシエチレン・アルキルアンモニウムクロライド(C12〜18),アルキル・N-メチルピリジウムブロマイド(C12〜18),モノまたはジアルキル(C12〜18)メチル化アンモニウムクロライド,アルキル(C12〜18)ペンタメチルプロピレンジアミンジクロライドなどのアンモニウム型界面活性剤、アルキルジメチルベンザルコニウムクロライド(C12〜18),ベンゼトニウムクロライド(オクチルフェノキシエトキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロライド)などのベンザルコニウム型界面活性剤、両性界面活性剤としてはジアルキル(C8〜12)ジアミノエチルベタイン、アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルベタイン等のベタイン型界面活性剤、ジアルキル(C8〜12)ジアミノエチルグリシン、アルキル(C12〜18)ジメチルベンジルグリシンなどのグリシン型界面活性剤等を例示することができる。これらは、1種単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0020】
その他、通常の化学農薬や生物農薬の製剤に用いられる手法及び担体や界面活性剤、分散剤等の材料を用いて、例えば粉剤、水和剤、乳剤、フロアブル剤、粒剤等の形態とすることが出来る。
【0021】
本発明の植物病害の防除方法は、上記本発明の植物病害防除剤組成物を用いて植物病害を防除する方法であれば、特に制限されるものではなく、本発明の植物病害防除剤組成物を通常の化学農薬と同様、各種農園芸作物等の植物体や土壌に散布処理等する方法を挙げることができる。また、特開2001−302407記載のように、該製剤を施設内に送風する送風装置の送風口付近に設置し、送風口から送出される空気とともに農薬を散布することもできる。散布処理に当たっては、本発明の植物病害防除剤組成物を適当量の水等で希釈して使用することができ、散布量としては、バチルス属(Bacillus sp.)に属する菌体濃度に換算して、通常1×1011 〜1×102 cfu/ml、好ましくは1×109 〜1×104 cfu/mlの範囲とすることができる。
【0022】
本発明の市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下とは具体的には、10〜15℃を示すことができる。また、本発明の特定の菌株に主として由来しそのごく一部の特性を変更させた菌株とは、自然的又は人為的に生じた変異体を選抜する方法、別の遺伝子を導入し形質を転換させた菌株を得る方法、 細胞融合のうち非対称融合により得られた菌株を得る方法等により得られた菌株を示すことができる。
【0023】
本発明の次のa〜dの連続した各工程からなる低温で高い活性を有するバチルス エスピー(Bacillus sp.)の選抜方法は具体的には次のような方法を示すことができる。
工程aの.菌株分離源から菌体を採取する工程は通常の菌学的に知られている方法を適用できる。工程bの常温とは対象の植物病原菌が通常生育できる温度を示し、具体的には16〜25℃、好ましくは20℃である。工程cの低温とは、対象の植物病原菌の増殖が停止する最低温度近辺を示し、具体的には8〜12℃、好ましくは10℃である。工程dの低温とは常温と工程cの低温との中間の温度を示し、具体的には13〜15℃、好ましくは14℃である。
【0024】
以下、本発明の植物病害防除剤組成物や、これを用いた植物病害防除方法を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、バチルス属(Bacillus sp.)の菌の種類、製剤の組成割合、剤型等を自由に変更することができる。また、以下の実施例では、バチルス属(Bacillus sp.)としてFERM BP−10244、FERM BP−10245の2菌株を用いた。
【実施例1】
【0025】
バチルス・ズブチリス菌の選抜
日本曹達株式会社榛原フィールドリサーチセンターの各圃場から採取した茶葉から、植物病害防除能を有する候補微生物を単離した。各圃場から採取した茶葉の葉面を少量の滅菌水内で洗浄し、その洗浄水を標準寒天培地(日水製薬社製)上に塗抹して、生育してきた微生物のコロニーを採取し、更に単一のコロニーとなるように分離・取得した。これらの微生物の中から、常温(20℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を選抜した。選抜された菌株について低温(10℃)で生育可能な菌株を更に選抜し、再度低温(14℃)で灰色かび病に対して防除効果を有するバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30、および、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株を見出した。
【実施例2】
【0026】
バチルス・ズブチリス菌体懸濁液の調製
300ml容三角フラスコに標準液体培地(酵母エキス0.25%,ペプトン0.5%,グルコース0.1%,pH7.0)150mlを入れ、加熱滅菌後、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株の前培養物0.1mlをそれぞれ接種し、往復振盪機中28℃、100rpmで3日間培養した。培養液を水道水で洗浄する操作を3回繰り返し、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株の菌体懸濁液を調製した。
【実施例3】
【0027】
植物病害防除水和剤組成物の製造
実施例2で調製したそれぞれのバチルス属菌体懸濁液を乾燥した。その乾燥物の生菌数は、それぞれ、6×1010cfu/g、5.5×1010cfu/gであった。それぞれの菌体乾燥物10重量部とラウリルサルフェートナトリウム塩2重量部、ナフタレンスルホン酸(ナトリウム)ホルムアルデヒド縮合物9重量部、硫酸カルシウム及びその水和物79重量部を均一に混合し、水和剤A,Bを得た。水和剤A,Bは、それぞれバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株を有効成分とした組成物である。
【実施例4】
【0028】
植物病害防除剤組成物の灰色かび病防除効果試験(室内試験)
実施例3で得られたそれぞれの水和剤A,Bを水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。また、比較例として市販製剤であるボトキラー水和剤(出光興産株式会社製)とインプレッション水和剤(株式会社エス・ディー・エスバイオテック製)をそれぞれ水道水で1000倍及び500倍に希釈して処理液を調製した。それぞれの処理液をインゲンの花器に散布した。その後、花器をインゲン葉の上に置き灰色かび病の発生温度の低温域である15℃でインキュベートし、24時間後灰色かび病の病原菌であるボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)の分生胞子懸濁液(5.0×105cfu/ml)をインゲンの花器に散布した。散布処理後、15℃で5日間インキュベートした。また、無処理を対照とし、ボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)の分生胞子懸濁液(5.0×105cfu/ml)のみを散布処理した。調査は、インゲン葉に形成された病斑直径を計測した。
【0029】
【数1】

【0030】
表1から明らかなように、それぞれのバチルス属(Bacillus sp.)2菌株は、インゲンの葉に対して病斑は認められず、インゲン灰色かび病に対して防除効果を有することが認められた。それに対し、ボトキラー水和剤とインプレッション水和剤は、インゲン灰色かび病に対し、それぞれ19.5,19.8と低い防除価であった。
【0031】
【表1】

【実施例5】
【0032】
植物病害防除水和剤組成物のインゲンの灰色かび病防除効果試験(ポット試験)
実施例3で得られたそれぞれの水和剤A,Bを水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。また、比較例としてボトキラー水和剤(出光興産株式会社)を水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。それぞれの処理液をインゲンのポットに散布処理した。3日間隔で2回散布処理し、14℃のインキュベーター内で栽培した。2回散布の翌日灰色かび病の病原菌であるボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)の分生胞子懸濁液(5.0×105cfu/ml)をインゲンのポットに散布処理した。その後再び14℃のインキュベーター内で栽培し、1週間後健全及び発病幼果数を計測した。
【0033】
表2から明らかなように、それぞれのバチルス属(Bacillus sp.)2菌株は、インゲンの灰色かび病に対し、それぞれ86.4及び82.5と高い防除価が得られ、低温条件においてもインゲンの灰色かび病に対して高い防除効果を有することが認められた。それに対し、ボトキラー水和剤は、防除価14.4と不充分であった。
【0034】
【表2】

【実施例6】
【0035】
植物病害防除水和剤組成物のカンキツ果実の灰色かび病防除効果試験(圃場試験)
実施例3で得られた水和剤A、Bを水道水で1000倍に希釈して処理液を調製した。また、比較例としてボトキラー水和剤(出光興産株式会社製)とインプレッション水和剤(株式会社エス・ディー・エスバイオテック製)を水道水で1000倍及び500倍に希釈して処理液を調製した。それぞれの処理液をビニルハウス内に植栽してあるナスに散布処理した。約7日間隔で2回散布処理し、最終散布7日後に灰色かび病発病果数と健全果数を調査し、防除果を算出した。なお、感染源としてボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)を感染させたカンキツ果実を試験ハウス内に点在させた。また、その試験期間中の気温を記録した。
【0036】
図1に示したようにこのときの気温変化を見てみると最低気温は15℃を下回り、平均気温をとっても試験期間の半分以上は15℃を下回っている。また、10℃を下回る日も幾日か見受けられる。さらに最高気温を見ても試験初期は25℃に近い気温を示したが、中盤からは16〜17℃、後半は15℃を下回り、気温の低い状態が続いている状況であった。このような低気温条件の中、表3から明らかなように、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30とバチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株は、ナス灰色かび病に対し、それぞれ68.1及び80.4と高い防除価を示し、低気温条件に於いてもナス灰色かび病に対して高い防除効果を有することが認められた。それに対し、ボトキラー水和剤とインプレッション水和剤の防除価は、それぞれ53.1及び59.5と必ずしも十分とはいえないものであった。
【0037】
【表3】

【実施例7】
【0038】
植物病害防除剤組成物の灰色かび病防除効果試験(室内試験)
実施例2と同様に培養・調製したバチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30 FERM BP−10244菌体懸濁液の凍結乾燥物(1.0×1010cfu/g)10%と昭和クレー40%,塩化カリウム40%,ニューカルゲンPS−P10%を均一に混合した後、粉砕して水和剤Cを得た。それを水道水で1000倍,2000倍,4000倍に希釈して処理液を調製した。また、比較例として市販製剤であるボトキラー水和剤(出光興産株式会社製)とインプレッション水和剤(株式会社エス・ディー・エスバイオテック製)をそれぞれ水道水で1000倍,2000倍,4000倍及び500倍,1000倍,2000倍に希釈して処理液を調製した。それぞれの処理液をインゲンの花器に散布した。その後、花器をインゲン葉の上に置き灰色かび病の発生温度の低温域である15℃でインキュベートし、24時間後灰色かび病の病原菌であるボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)の分生胞子懸濁液(5.0×105cfu/ml)をインゲンの花器に散布した。散布処理後、15℃で5日間インキュベートした。また、無処理を対照とし、ボトリシス・シネレア(Botrytis cinerea)の分生胞子懸濁液(5.0×105cfu/ml)のみを散布処理した。調査は、インゲン葉に形成された病斑直径を計測した。
【0039】
表4から明らかなように、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株は、ボトキラー水和剤やインプレッション水和剤に比べ、散布液中の菌体濃度が少なくても高い灰色かび病防除活性を示すことが認められた。
【表4】

【実施例8】
【0040】
植物病害防除剤組成物のかんきつかいよう病菌防除効果試験(室内試験)
実施例7で使用した水和剤Cを水道水で1000倍に希釈し、傷を付けたレモン切取葉を浸漬処理した。加湿状態で6時間静置後、傷口にかんきつかいよう病菌懸濁液(A600= 0.5)を滴下した。25℃で10日間インキュベートした。また、無処理を対照とし、かんきつかいよう病菌懸濁液のみを滴下処理した。調査は、下記基準に基づいて発病度を求めた。
接種 1 週間後に発病度を
0:かいようが認められない
1:僅かに認められる
2:認められる
3:顕著に認められる
の4 段階に分類し、防除価を求めた。
【0041】
表5から明らかなように、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30は、カンキツかいよう病に対し、高い防除活性があることが認められることが明らかとなった。
【表5】

【実施例9】
【0042】
植物病害防除剤組成物の軟腐病防除効果試験(室内試験)
実施例7で使用した水和剤Cを水道水で1000倍に希釈し、レタス切片を浸漬処理した。加湿状態で6時間静置後、切片傷口に軟腐病菌懸濁液(A600= 0.5)を滴下した。25℃で7日間インキュベートした。また、無処理を対照とし、軟腐病菌懸濁液のみを滴下処理した。調査は、下記基準に基づいて発病度を求め、防除価を算出した。
処理7日後に発病度を
0:病変なし
1:病変が接種部付近に留まる
2:病変が中肋部全体に及ぶが外皮の内側に留まる
3:病変が外皮に及ぶが、左右の広がりが中肋部よりそれぞれ1cm未満
4:病変が外皮に及び、中肋部より1cm以上広がる
の 5 段階に分類し、防除価を求めた。
【0043】
表6から明らかなように、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30は、野菜類の軟腐病に対し、防除効果が認められることが明らかとなった。
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明の植物病害防除剤組成物は、各種農園芸作物等の植物の病害、特に灰色かび病や菌核病,うどんこ病,炭疽病,輪斑病,青かび病,緑かび病、軟腐病、かいよう病等種々様々な病害に対して、市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下に於いても安定して優れた防除能を有する微生物を含有することにより長期に亘り病害防除能を保持することができ、また、一度に他種類の病害を防除することができる。かかる植物病害防除剤組成物を用いた本発明の植物病害の防除方法によれば、植物病害防除剤組成物を各種農園芸作物等の植物や、土壌に散布する等の方法により、植物の病害、特に灰色かび病や菌核病,うどんこ病,炭疽病,輪斑病,青かび病,緑かび病、軟腐病、かいよう病に対して効果的に防除することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】試験期間中の気温の変化を示した図である(実施例6)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
市販のバチルス属製剤が十分な効果を示さない低温条件下で高い病害防除能を有するバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物を含有することを特徴とする植物病害防除剤組成物。
【請求項2】
低温条件が、10〜15℃であることを特徴とする請求項1記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
植物病害が、灰色かび病、菌核病、うどんこ病、炭疽病、輪斑病、青かび病、緑かび病、軟腐病、かいよう病の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1または2記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項4】
バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項5】
バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項6】
バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項7】
バチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物が、バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の植物病害防除剤組成物を用いて、植物及び/又は土壌を処理することを特徴とする植物病害の防除方法。
【請求項9】
バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30。
【請求項10】
バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株。
【請求項11】
バチルス ズブチリス(Bacillus subtilis)4−5−1−1株 No.30に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株。
【請求項12】
バチルス エスピー(Bacillus sp.)4−5−21 0306株に主として由来し,そのごく一部の特性を変更させた菌株。
【請求項13】
次のa〜dの連続した各工程からなる請求項1記載の低温で高い活性を有するバチルス属(Bacillus sp.)に属する微生物の選抜方法。
a.菌株分離源から菌体を採取する工程
b.常温(18〜25℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を選抜する工程
c.低温(8〜12℃)で生育可能な菌株を選抜する工程
d.低温(13〜15℃)で灰色かび病(Botrytis cinerea)に対して防除効果を有する菌株を再選抜する工程

【図1】
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【国際公開番号】WO2005/079580
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【発行日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−510272(P2006−510272)
【国際出願番号】PCT/JP2005/002759
【国際出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(000004307)日本曹達株式会社 (434)
【Fターム(参考)】