説明

植物病害防除組成物及び植物病害防除方法

【課題】高い植物病害防除活性を有する植物病害防除組成物、及び植物病害を効果的に防除し得る方法を提供する。
【解決手段】式(I)で示される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有する植物病害防除組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物病害防除組成物及び植物病害防除方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、植物病害を防除するため植物病害防除剤が種々開発されてきたが(例えば、特許文献1参照)、より高活性な植物病害防除剤が常に求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−226374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、高い植物病害防除活性を有する植物病害防除組成物、及び植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる状況下、本発明者は鋭意検討した結果、下記式(1)で示される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを併用することにより、優れた植物病害防除効果が得られることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明は次の通りの構成をとるものである。
〔1〕 式(I)

で示される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有する植物病害防除組成物。
〔2〕 〔1〕の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との重量比が、1:0.25〜1:1である〔1〕に記載の植物病害防除組成物。
〔3〕 〔1〕の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との有効量を植物または植物を栽培する土壌に施用する植物病害防除方法。
〔4〕 植物病害を防除するための、〔1〕の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせの使用。
【0006】
本発明に係る植物病害防除組成物は、高い植物病害防除活性を示す。また、本発明に係る植物病害防除方法によれば、植物病害を効果的に防除することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明に係る植物病害防除組成物(以下、「本発明組成物」と称する場合がある。)は、式(I)

で示される化合物(以下、「化合物I」と称する場合がある。)と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物(以下、「化合物(A)」と称する場合がある。)とを有効成分として含有する。
【0008】
化合物Iは、公知の化合物であり、例えば、特開2000−226374号公報に記載された方法等によって合成することができる。
【0009】
ベノミルは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.75−77に、1−(ブチルカルバモイル)ベンズイミダゾール−2−イルカルバミン酸メチル(Methyl 1-(butylcarbamoyl)benzimidazol-2-ylcarbamate)、として記載されている。
チオファネートメチルは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.1036−1037に、ジメチル−4,4'−(オルト−フェニレン)ビス(3−チオアロファナート)(Dimethyl 4,4'-(o-phenylene)bis(3-thioallophanate)、として記載されている。
カルベンダジムは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.144−146に、ベンズイミダゾール−2−イルカルバミン酸メチル(Methyl benzimidazol−2−ylcarbamate)、として記載されている。
イミノクタジンアルベシル酸塩は、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.600−602に、1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジニウム トリス(アルキルベンゼンスルホナート)(1,1'-iminodi(octamethylene)diguanidinium tris(alkylbenzenesulfonate)、として記載されている。
イミノクタジン酢酸塩は、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.600−602に、1,1’−イミノジ(オクタメチレン)ジグアニジニウム トリアセタート(1,1'-iminodi(octamethylene)diguanidinium triacetate)、として記載されている。
ボスカリドは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.110に、2−クロロ−N−(4’−クロロビフェニル−2−イル)ニコチンアミド(2−chloro−N-(4'−chlorobiphenyl−2−yl)nicotinamide)、として記載されている。
フェンヘキサミドは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.436−437に、2’,3’−ジクロロ−4’−ヒドロキシ−1−メチルシクロへキサンカルボキサニリド(2',3'-dichloro-4'-hydroxy-1-methylcyclohexanecarboxanilide)、として記載されている。
クロロタロニルは、例えば「ザ・ペスティサイド・マニュアル 第14版(The Pesticide Manual Fourteenth edition)」ブリティッシュ・クロップ・プロテクション・カウンシル(BCPC)刊のp.180−182に、テトラクロロイソフタロニトリル(Tetrachloroisophthalonitrile)として記載されている。
【0010】
本発明組成物において、化合物(A)と化合物Iとの割合は、重量比(=化合物(A):化合物I)で、通常0.125:1〜20:1、好ましくは0.25:1〜10:1、さらに好ましくは0.25:1〜1:1の範囲である。
【0011】
本発明組成物は、化合物(A)と化合物Iとを単に混合したものでもよいが、化合物(A)、化合物I、及び不活性担体を混合し、必要に応じて界面活性剤やその他の製剤用補助剤を添加して、水和剤、顆粒水和剤、フロアブル剤、粒剤、ドライフロアブル剤、乳剤、水性液剤、油剤、くん煙剤、エアゾール剤、マイクロカプセル剤等の液体製剤や固体製剤等、製剤としてもよい。
本発明組成物において、化合物(A)と化合物Iとの合計量は、通常0.1〜99重量%、好ましくは0.2〜90重量%の範囲である。
【0012】
固体担体としては、例えば、粘土類(例えば、カオリン、珪藻土、合成含水酸化珪素、フバサミクレー、ベントナイト、酸性白土)、タルク類、その他の無機鉱物(例えば、セリサイト、石英粉末、硫黄粉末、活性炭、炭酸カルシウム、水和シリカ)等の微粉末あるいは粒状物が挙げられる。液体担体としては、例えば、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン)、芳香族炭化水素類(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレン)、脂肪族炭化水素類(例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサノン、灯油)、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル)、ニトリル類(例えば、アセトニトリル、イソブチルニトリル)、エーテル類(例えば、ジオキサン、ジイソプロピルエーテル)、酸アミド類(例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド)、ハロゲン化炭化水素類(例えば、ジクロロエタン、トリクロロエチレン、四塩化炭素)等が挙げられる。
【0013】
界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸エステル類、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルアリールエーテル類およびそのポリオキシエチレン化物、ポリオキシエチレングリコールエーテル類、多価アルコールエステル類、糖アルコール誘導体等が挙げられる。
【0014】
その他の製剤用補助剤としては、例えば固着剤、分散剤、安定剤等、具体的にはカゼイン、ゼラチン、多糖類(例えば、でんぷん、アラビヤガム、セルロース誘導体、アルギン酸)、リグニン誘導体、ベントナイト、糖類、合成水溶性高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸類)、PAP(酸性りん酸イソプロピル)、BHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、BHA(2−tert−ブチル−4−メトキシフェノールと3−tert−ブチル−4−メトキシフェノールとの混合物)、植物油、鉱物油、脂肪酸またはそのエステル等が挙げられる。
【0015】
本発明組成物は、例えば、化合物(A)と化合物Iとをそれぞれ上述の方法等により別々に製剤化し、必要に応じてさらに水で希釈し、それぞれの製剤または希釈液を混合することにより調製することもできる。
【0016】
本発明に係る植物病害防除組成物は、例えば、以下の植物病害等に有効である。但し、これらに限定されるものではない。
【0017】
イネの病害:いもち病(Magnaporthe grisea)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi);
ムギ類の病害:うどんこ病(Erysiphe graminis)、赤かび病(Fusarium graminearum, F. avenacerum, F. culmorum, Microdochium nivale)、さび病(Puccinia striiformis, P. graminis, P. recondite, P. hordei)、雪腐病(Typhula sp., Micronectriella nivalis)、裸黒穂病(Ustilago tritici, U. nuda)、なまぐさ黒穂病(Tilletia caries)、眼紋病(Pseudocercosporella herpotrichoides)、雲形病(Rhynchosporium secalis)、葉枯病(Septoria tritici)、ふ枯病(Leptosphaeria nodorum)、網斑病(Pyrenophora teres Drechsler);
カンキツ類の病害:黒点病(Diaporthe citri)、そうか病(Elsinoe fawcetti)、果実腐敗病(Penicillium digitatum, P. italicum);
リンゴの病害:モニリア病(Monilinia mali)、腐らん病(Valsa ceratosperma)、うどんこ病(Podosphaera leucotricha)、斑点落葉病(Alternaria alternate apple pathotype)、黒星病(Venturia inaequalis)、炭そ病(Colletotrichum acutatum)、疫病(Phytophtora cactorum);
ナシの病害:黒星病(Venturia nashicola, V. pirina)、黒斑病(Alternaria alternate Japanese pear pathotype)、赤星病(Gymnosporangium haraeanum)、疫病(Phytophtora cactorum);
モモの病害:灰星病(Monilinia fructicola)、黒星病(Cladosporium carpophilum)、フォモプシス腐敗病(Phomopsis sp.);
ブドウの病害:黒とう病(Elsinoe ampelina)、晩腐病(Glomerella cingulata)、うどんこ病(Uncinula necator)、さび病(Phakopsora ampelopsidis)、ブラックロット病(Guignardia bidwellii)、べと病(Plasmopara viticola);
カキの病害:炭そ病(Gloeosporium kaki)、落葉病(Cercospora kaki, Mycosphaerella nawae);
ウリ類の病害:炭そ病(Colletotrichum lagenarium)、うどんこ病(Sphaerotheca fuliginea)、つる枯病(Mycosphaerella melonis)、つる割病(Fusarium oxysporum)、べと病(Pseudoperonospora cubensis)、疫病(Phytophthora sp.)、苗立枯病(Pythium sp.);
トマトの病害:輪紋病(Alternaria solani)、葉かび病(Cladosporium fulvum)、疫病(Phytophthora infestans);
ナスの病害:褐紋病(Phomopsis vexans)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum);
アブラナ科野菜の病害:黒斑病(Alternaria japonica)、白斑病(Cercosporella brassicae)、根こぶ病(Plasmodiophora brassicae)、べと病(Peronospora parasitica);
ネギの病害:さび病(Puccinia allii);
ダイズの病害:紫斑病(Cercospora kikuchii)、黒とう病(Elsinoe glycines)、黒点病(Diaporthe phaseolorum var. sojae)、さび病(Phakopsora pachyrhizi)、茎疫病(Phytophthora sojae);
インゲンの病害:炭そ病(Colletotrichum lindemthianum);
ラッカセイの病害:黒渋病(Cercospora personata)、褐斑病(Cercospora arachidicola)、白絹病(Sclerotium rolfsii);
エンドウの病害:うどんこ病(Erysiphe pisi);
ジャガイモの病害:夏疫病(Alternaria solani)、疫病(Phytophthora infestans)、粉状そうか病(Spongospora subterranean f. sp. Subterranea);
イチゴの病害:うどんこ病(Sphaerotheca humuli);
チャの病害:網もち病(Exobasidium reticulatum)、白星病(Elsinoe leucospila)、輪斑病(Pestalotiopsis sp.)、炭そ病(Colletotrichum theae-sinensis);
タバコの病害:赤星病(Alternaria longipes)、うどんこ病(Erysiphe cichoracearum)、炭そ病(Colletotrichum tabacum)、べと病(Peronospora tabacina)、疫病(Phytophthora nicotianae);
テンサイの病害:褐斑病(Cercospora beticola)、葉腐病(Thanatephorus cucumeris)、根腐病(Thanatephorus cucumeris)、黒根病(Aphanidermatum cochlioides);
バラの病害:黒星病(Diplocarpon rosae)、うどんこ病(Sphaerotheca pannosa);
キクの病害:褐斑病(Septoria chrysanthemi-indici)、白さび病(Puccinia horiana);
種々の植物の病害:ピシウム属菌によって引き起こされる病害(Pythium aphanidermatum, Pythium debarianum, Pythium graminicola, Pythium irregulare, Pythium ultimum)、灰色かび病(Botrytis cinerea)、菌核病(Sclerotinia sclerotiorum);
ダイコンの病害:黒斑病(Alternaria brassicicola);
シバの病害:ダラースポット病(Sclerotinia homeocarpa)、ブラウンパッチ病及びラージパッチ病(Rhizoctonia solani);
バナナの病害:シガトカ病(Mycosphaerella fijiensis, Mycosphaerella musicola, Pseudocercospora musae)。
【0018】
本発明組成物は、他の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料、または土壌改良剤等と混合して、または混合せずに同時に用いることもできる。上記の殺菌剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、除草剤、植物生長調節剤、肥料および土壌改良剤は、公知のものを用いることができる。
【0019】
本発明に係る植物病害防除方法(以下、「本発明防除方法」と称する場合がある。)は、化合物(A)と化合物Iとの有効量を、植物、または植物を栽培する土壌等に施用する。施用対象となる植物としては、植物の茎葉、植物の種子、植物の球根等が挙げられる。尚、ここで球根とは、鱗茎、球茎、根茎、塊茎、塊根、及び担根体を意味する。
植物、植物を栽培する土壌等に施用する場合は、化合物(A)及び化合物Iは同時期に別々に施用してもよいが、通常は施用時の簡便性の観点から、本発明防除組成物として施用する。
本発明防除方法としては、具体的には、茎葉散布等の植物の茎葉への処理、土壌処理等の植物の栽培地への処理、種子消毒等の種子への処理等が挙げられる。
【0020】
本発明防除方法における植物の茎葉への処理としては、具体的には、例えば、茎葉散布、樹幹散布等の植物の表面に施用する処理方法が挙げられる。移植前の植物に直接吸収させる処理方法としては、植物の全体または根部を浸漬する方法が挙げられる。また、鉱物質粉末等の固体担体を用いて製剤化したものを、根部に付着させてもよい。
本発明防除方法における土壌処理方法としては、例えば、土壌への散布、土壌混和、土壌への薬液潅注(薬液潅水、土壌注入、薬液ドリップ)が挙げられ、処理する場所としては例えば、植穴、作条、植穴付近、作条付近、栽培地の全面、植物地際部、株間、樹幹下、主幹畦、培土、育苗箱、育苗トレイ、苗床等が挙げられ、処理時期としては播種前、播種時、播種直後、育苗期、定植前、定植時、及び定植後の生育期等が挙げられる。また、上記土壌処理において、有効成分を植物に同時に処理してもよく、有効成分を含有するペースト肥料等の固形肥料を土壌へ施用してもよい。また、潅水液に混合してもよく、例えば、潅水設備(潅水チューブ、潅水パイプ、スプリンクラー等)への注入、条間湛水液への混入、水耕液へ混入等が挙げられる。また、あらかじめ潅水液と有効成分を混合し、例えば、上記潅水方法やそれ以外の散水、湛水等のしかるべき潅水方法を用いて処理することができる。
本発明防除方法における種子への処理としては、例えば、植物病害から保護しようとする植物の種子、球根等に本発明の植物病害防除組成物を処理する方法であって、具体的には、例えば、本発明の植物病害防除組成物の懸濁液を霧状にして種子表面もしくは球根表面に吹きつける吹きつけ処理、本発明の植物病害防除組成物の水和剤、乳剤又はフロアブル剤等に少量の水を加えるか又はそのままで種子もしくは球根に塗付する塗沫処理、本発明の植物病害防除組成物の溶液に一定時間種子を浸漬する浸漬処理、フィルムコート処理、ペレットコート処理が挙げられる。
【0021】
化合物(A)と化合物Iとの施用量は、処理する植物の種類、防除対象である植物病害の種類や発生程度、製剤形態、施用時期、施用方法、施用場所、気象条件等によっても異なるが、植物の茎葉処理する場合、または土壌へ処理する場合においては、化合物(A)と化合物Iとの合計量(以下、「本有効成分量」と称する。)は、1000m2あたり、通常1〜500g、好ましくは2〜200gである。種子への処理においては、本有効成分量は、種子1kgに対して、通常0.001〜10g、好ましくは0.01〜1gである。
乳剤、水和剤、懸濁剤等は通常水で希釈して散布することにより施用する。この場合、本有効成分量の濃度は通常0.0005〜2重量%、好ましくは0.005〜1重量%である。粉剤、粒剤等は通常希釈することなくそのまま処理する。
【0022】
本発明防除方法において、化合物(A)と化合物Iとを別々に施用する場合、それぞれの化合物は、例えば上述の方法によって施用すればよく、両化合物の施用順序は特に問わない。各化合物の施用方法は、同じであってもよいし異なっていてもよい。但し、両者の施用間隔は、短いほうが好ましく、1日以内であることが好ましい。
別々に施用する化合物(A)と化合物Iとの割合は、重量比(=化合物(A):化合物I)で、通常0.125:1〜20:1、好ましくは0.25:1〜10:1、さらに好ましくは0.25:1〜1:1である。
【0023】
植物病害の防除を殺菌剤により実施する場合、異なる作用機作の殺菌剤を2種類以上用い、適切な間隔をあけて処理するという処理方法がとられる場合がある。化合物Iを使用する場合においてもこのような処理方法が有効となる。
例えば、化合物Iをブドウ灰色かび病防除目的で使用する場合、ブドウ開花時期に化合物Iを処理し、ブドウ果実の変色時期にボスカリド、フェンヘキサミド、ピリメタニル(N-(4,6-dimethylpyrimidin-2-yl)aniline)、シプロジニル(4-cyclopropyl-6-methyl-N-phenylpyrimidin-2-amine)、フルジオキソニル(4-(2,2-difluoro-1,3-benzodioxol-4-yl)pyrrole-3-carbonitrile)、シプロジニルとフルジオキソニルとの混合剤の中から選ばれる1種類の化合物を処理すると高い防除効果が得られる。開花時期に処理する化合物とブドウ果実の変色時期に処理する化合物とを入れ替えても同様に高い防除効果が得られる。
【0024】
また、例えば、化合物Iをマメ類灰色かび病および菌核病防除目的で使用する場合、マメ類の開花後2週間以内に、化合物I、ボスカリド、プロシミドン(N-(3,5-dichlorophenyl)-1,2-dimethylcyclopropane-1,2-dicarboximide)、メパニピリム(N-(4-methyl-6-prop-1-ynylpyrimidin-2-yl)aniline)、チオファネートメチル(dimethyl 4,4'-(o-phenylene)bis(3-thioallophanate))とメパニピリムとの混合剤、チオファネートメチルとジエトフェンカルブ(isopropyl 3,4-diethoxycarbanilate)との混合剤から選ばれる1種類の化合物(以下、「化合物(B)」と称する。)を処理し、その7−10日後に化合物(B)から1回目に処理した化合物を除いた中から選ばれる1種類の化合物を処理し、さらにその7−10日後に化合物(B)から1回目及び2回目に処理した化合物を除いた中から選ばれる1種類の化合物を処理すると高い防除効果が得られる。
【0025】
本発明防除方法は、畑、水田、芝生、果樹園等の農耕地又は非農耕地用にて使用することができる。
また、本発明は、以下に挙げられる「植物」等を栽培する農耕地等において、該植物等に対して薬害を与えることなく、当該農耕地の病害を防除するために使用することができる。
農作物:トウモロコシ、イネ、コムギ、オオムギ、ライムギ、エンバク、ソルガム、ワタ、ダイズ、ピーナッツ、ソバ、テンサイ、ナタネ、ヒマワリ、サトウキビ、タバコ等、
野菜;ナス科野菜(ナス、トマト、ピーマン、トウガラシ、ジャガイモ等)、ウリ科野菜(キュウリ、カボチャ、ズッキーニ、スイカ、メロン、スカッシュ等)、アブラナ科野菜(ダイコン、カブ、セイヨウワサビ、コールラビ、ハクサイ、キャベツ、カラシナ、ブロッコリー、カリフラワー等)、キク科野菜(ゴボウ、シュンギク、アーティチョーク、レタス等)、ユリ科野菜(ネギ、タマネギ、ニンニク、アスパラガス)、セリ科野菜(ニンジン、パセリ、セロリ、アメリカボウフウ等)、アカザ科野菜(ホウレンソウ、フダンソウ等)、シソ科野菜(シソ、ミント、バジル等)、イチゴ、サツマイモ、ヤマノイモ、サトイモ等、
花卉、
観葉植物、
シバ、
果樹:仁果類(リンゴ、セイヨウナシ、ニホンナシ、カリン、マルメロ等)、核果類(モモ、スモモ、ネクタリン、ウメ、オウトウ、アンズ、プルーン等)、カンキツ類(ウンシュウミカン、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツ等)、堅果類(クリ、クルミ、ハシバミ、アーモンド、ピスタチオ、カシューナッツ、マカダミアナッツ等)、液果類(ブルーベリー、クランベリー、ブラックベリー、ラズベリー等)、ブドウ、カキ、オリーブ、ビワ、バナナ、コーヒー、ナツメヤシ、ココヤシ等、
果樹以外の樹;チャ、クワ、花木、街路樹(トネリコ、カバノキ、ハナミズキ、ユーカリ、イチョウ、ライラック、カエデ、カシ、ポプラ、ハナズオウ、フウ、プラタナス、ケヤキ、クロベ、モミノキ、ツガ、ネズ、マツ、トウヒ、イチイ)等。
【0026】
上記「植物」とは、イソキサフルトール等のHPPD阻害剤、イマゼタピル、チフェンスルフロンメチル等のALS阻害剤、グリホサート等のEPSP合成酵素阻害剤、グルホシネート等のグルタミン合成酵素阻害剤、セトキシジム等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤、ブロモキシニル、ジカンバ、2,4−D等の除草剤に対する耐性を古典的な育種法、もしくは遺伝子組換え技術により付与された植物も含まれる。
古典的な育種法により耐性を付与された「植物」の例として、イマゼタピル等のイミダゾリノン系ALS阻害型除草剤に耐性のナタネ、コムギ、ヒマワリ、イネがありClearfield(登録商標)の商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によるチフェンスルフロンメチル等のスルホニルウレア系ALS阻害型除草剤に耐性のダイズがあり、STSダイズの商品名で既に販売されている。同様に古典的な育種法によりトリオンオキシム系、アリールオキシフェノキシプロピオン酸系除草剤等のアセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物の例としてSRコーン等がある。アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性が付与された植物は、プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシーズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proc.Natl.Acad.Sci.USA)、1990年、87巻、p.7175−7179等に記載されている。また、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の変異アセチルCoAカルボキシラーゼが、ウィード・サイエンス(Weed Science)、2005年、53巻、p.728−746等に報告されており、こうした変異アセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を遺伝子組換え技術により植物に導入するかもしくは抵抗性付与に関わる変異を植物アセチルCoAカルボキシラーゼに導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤に耐性の植物を作出することができる。さらに、キメラプラスティ技術(Gura T.1999.Repairing the Genome's Spelling Mistakes. Science 285:316-318.)に代表される塩基置換変異導入核酸を植物細胞内に導入して植物のアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子やALS遺伝子等に部位特異的アミノ酸置換変異を導入することにより、アセチルCoAカルボキシラーゼ阻害剤やALS阻害剤等に耐性の植物を作出することができる。
【0027】
遺伝子組換え技術により耐性を付与された植物の例として、グリホサート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ、テンサイ品種があり、ラウンドアップレディ(RoundupReady(登録商標))、AgrisureGT等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるグルホシネート耐性のトウモロコシ、ダイズ、ワタ、ナタネ品種があり、リバティーリンク(LibertyLink(登録商標))等の商品名で既に販売されている。同様に遺伝子組換え技術によるブロモキシニル耐性のワタはBXNの商品名で既に販売されている。
【0028】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、例えば、バチルス属で知られている選択的毒素等を合成することが可能となった植物も含まれる。
この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、バチルス・セレウスやバチルス・ポピリエ由来の殺虫性タンパク;バチルス・チューリンゲンシス由来のCry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1またはCry9C等のδ−エンドトキシン、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパク;線虫由来の殺虫タンパク;さそり毒素、クモ毒素、ハチ毒素または昆虫特異的神経毒素等動物によって産生される毒素;糸状菌類毒素;植物レクチン;アグルチニン;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン、パパイン阻害剤等のプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシ−RIP、アブリン、ルフィン、サポリン、ブリオジン等のリボゾーム不活性化タンパク(RIP);3−ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド−UDP−グルコシルトランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ等のステロイド代謝酵素;エクダイソン阻害剤;HMG−CoAリダクターゼ;ナトリウムチャネル、カルシウムチャネル阻害剤等のイオンチャネル阻害剤;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ等が挙げられる。
また、この様な遺伝子組換え植物で発現される毒素として、Cry1Ab、Cry1Ac、Cry1F、Cry1Fa2、Cry2Ab、Cry3A、Cry3Bb1、Cry9C、Cry34AbまたはCry35Ab等のδ−エンドトキシンタンパク、VIP1、VIP2、VIP3またはVIP3A等の殺虫タンパクのハイブリッド毒素、一部を欠損した毒素、修飾された毒素も含まれる。ハイブリッド毒素は組換え技術を用いて、これらタンパクの異なるドメインの新しい組み合わせによって作り出される。一部を欠損した毒素としては、アミノ酸配列の一部を欠損したCry1Abが知られている。修飾された毒素としては、天然型の毒素のアミノ酸の1つまたは複数が置換されている。
これら毒素の例、及びこれら毒素を合成することができる組換え植物は、EP−A−0374753、WO93/07278、WO95/34656、EP−A−0427529、EP−A−451878、WO03/052073等に記載されている。
これらの組換え植物に含まれる毒素は、特に、甲虫目害虫、半翅目害虫、双翅目害虫、鱗翅目害虫、線虫類への耐性を植物へ付与する。
【0029】
また、1つもしくは複数の殺虫性の害虫抵抗性遺伝子を含み、1つまたは複数の毒素を発現する遺伝子組換え植物は既に知られており、いくつかのものは市販されている。これら遺伝子組換え植物の例として、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Rootworm(登録商標)(Cry3Bb1毒素を発現するトウモロコシ品種)、YieldGard Plus(登録商標)(Cry1Ab毒素とCry3Bb1毒素とを発現するトウモロコシ品種)、Herculex I(登録商標)(Cry1Fa2毒素と、グルホシネートへの耐性を付与する為にホスフィノトリシン N−アセチルトランスフェラーゼ(PAT)とを発現するトウモロコシ品種)、NuCOTN33B(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard I(登録商標)(Cry1Ac毒素を発現するワタ品種)、Bollgard II(登録商標)(Cry1Ac毒素とCry2Ab毒素とを発現するワタ品種)、VIPCOT(登録商標)(VIP毒素を発現するワタ品種)、NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を発現するジャガイモ品種)、NatureGard(登録商標)Agrisure(登録商標)GT Advantage(GA21 グリホサート耐性形質)、Agrisure(登録商標)CB Advantage(Bt11コーンボーラー(CB)形質)、Protecta(登録商標)等が挙げられる。
【0030】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、選択的な作用を有する抗病原性物質を産生する能力を付与されたものも含まれる。
抗病原性物質の例として、PRタンパク等が知られている(PRPs、EP−A−0392225)。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
こうした遺伝子組換え植物で発現される抗病原性物質の例として、例えば、ナトリウムチャネル阻害剤、カルシウムチャネル阻害剤(ウイルスが産生するKP1、KP4、KP6毒素等が知られている。)等のイオンチャネル阻害剤;スチルベンシンターゼ;ビベンジルシンターゼ;キチナーゼ;グルカナーゼ;PRタンパク;ペプチド抗生物質、ヘテロ環を有する抗生物質、植物病害抵抗性に関与するタンパク因子(植物病害抵抗性遺伝子と呼ばれ、WO03/000906に記載されている。)等の微生物が産生する抗病原性物質等が挙げられる。このような抗病原性物質とそれを産生する遺伝子組換え植物は、EP−A−0392225、WO95/33818、EP−A−0353191等に記載されている。
【0031】
上記「植物」とは、遺伝子組換え技術を用いて、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質等の有用形質を付与した植物も含まれる。例として、VISTIVE(登録商標)(リノレン含量を低減させた低リノレン大豆)あるいはhigh−lysine(high−oil)corn(リジンあるいはオイル含有量を増量したコーン)等が挙げられる。
【0032】
さらに、上記の古典的な除草剤形質あるいは除草剤耐性遺伝子、殺虫性害虫抵抗性遺伝子、抗病原性物質産生遺伝子、油糧成分改質やアミノ酸含量増強形質等の有用形質について、これらを複数組み合わせたスタック品種も含まれる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明を製剤例及び試験例にてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の例のみに限定されるものではない。尚、以下の例において、部は特にことわりの無い限り重量部を表す。以下、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルを、それぞれ、化合物II、化合物III、化合物IV、化合物V、化合物VI、化合物VII、化合物VIII、化合物IXと称する場合がある。
【0034】
製剤例1
化合物I3部、化合物II〜化合物IXのいずれか2部、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル14部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6部及びキシレン75部をよく混合することにより各乳剤を得る。
【0035】
製剤例2
化合物I5部、化合物II〜化合物IXのいずれか5部、ホワイトカーボンとポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートアンモニウム塩との混合物(重量割合1:1)35部及び水55部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕することにより各フロアブル製剤を得る。
【0036】
製剤例3
化合物I20部、化合物II〜化合物IXのいずれか2.5部、ソルビタントリオレエ−ト1.5部及びポリビニルアルコール2部を含む水溶液28.5部を混合し、湿式粉砕法で微粉砕した後、この中にキサンタンガム0.05部及びアルミニウムマグネシウムシリケート0.1部を含む水溶液37.35部を加え、さらにプロピレングリコール10部を加えて攪拌混合し各フロアブル製剤を得る。
【0037】
製剤例4
化合物I3部、化合物II〜化合物IXのいずれか2部、合成含水酸化珪素1部、リグニンスルホン酸カルシウム2部、ベントナイト30部及びカオリンクレー62部をよく粉砕混合し、水を加えてよく練り合せた後、造粒乾燥することにより各粒剤を得る。
【0038】
製剤例5
化合物I10部、化合物II〜化合物IXのいずれか40部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部及び合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0039】
製剤例6
化合物I2部、化合物II〜化合物IXのいずれか40部、リグニンスルホン酸カルシウム3部、ラウリル硫酸ナトリウム2部及び合成含水酸化珪素45部をよく粉砕混合することにより各水和剤を得る。
【0040】
製剤例7
化合物I3部、化合物II〜化合物IXのいずれか2部、カオリンクレー85部及びタルク10部をよく粉砕混合することにより各粉剤を得る。
【0041】
試験例
プラスチックポットに砂壌土を詰め、キュウリ(相模半白)を播種し、温室内で12日間生育させる。化合物Iのフロアブル剤と、化合物II〜化合物IXのうちいずれか一つの化合物のフロアブル剤とをそれぞれ水で希釈した後タンクミックスし、所定濃度の化合物Iと化合物II〜化合物IXのいずれかとを含有するタンクミックス液を調製する。該タンクミックス液を前記キュウリの葉面に充分付着するように茎葉散布する。散布後植物を風乾し、キュウリ菌核病菌の菌糸含有PDA培地をキュウリ葉面上に置く。接種後12℃、多湿下に6日間置いた後、防除効果を調査する。
また、比較のために前記の化合物Iのフロアブル剤もしくは化合物II〜化合物IXのうちいずれか一つの化合物のフロアブル剤を水希釈し、化合物I〜IXのいずれかひとつを所定濃度で含有する水希釈液を調製しそれぞれ、同様の防除試験を行う。
また、防除価算出のためにそれぞれの処理区における発病面積率を調査する。
【0042】
式1より防除価を算出する。
「式1」
防除価(%)=100×(A−B)/A
A:無処理区の植物の発病度
B:処理区の植物の発病度
一般に、与えられた2種類の有効成分化合物を混合して処理した際に期待される防除効果、いわゆる防除価期待値は下記の式2のコルビーの計算式により求められる。
「式2」
E=X+Y−(X×Y)/100
X:有効成分化合物AをMppmで処理した時の防除価
Y:有効成分化合物BをNppmで処理した時の防除価
E:有効成分化合物AをMppmで、有効成分化合物BをNppmで処理した時に期待される防除価(防除価期待値)
また、下記の式3により算出される値にて相乗効果を示す。
「式3」
相乗効果=(実際の防除価)/(防除価期待値)
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明によれば、高い活性を有する植物病害防除組成物、及び植物病害を効果的に防除し得る方法を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)

で示される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物とを有効成分として含有する植物病害防除組成物。
【請求項2】
請求項1の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との重量比が、1:0.25〜1:1である請求項1に記載の植物病害防除組成物。
【請求項3】
請求項1の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との有効量を植物または植物を栽培する土壌に施用する植物病害防除方法。
【請求項4】
植物病害を防除するための、請求項1の式(I)で表される化合物と、ベノミル、チオファネートメチル、カルベンダジム、イミノクタジンアルベシル酸塩、イミノクタジン酢酸塩、ボスカリド、フェンヘキサミド、クロロタロニルからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物との組み合わせの使用。

【公開番号】特開2011−68592(P2011−68592A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−220615(P2009−220615)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】