説明

検体センサの感度低下をリアルタイムで検出するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品

連続的なグルコース監視システムにおいて検体センサの感度低下をリアルタイムで検出する方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が提供される。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本願は、2006年10月26日出願の「Method,System and computer program product for real−time detection of sensitivity decline in continuous glucose sensors(CGS)」と題された米国仮特許出願第60/854,566号明細書の優先権を主張するものであって、その仮出願の開示内容はあらゆる目的のため本明細書に援用する。本願は、2007年10月26日出願のMarc D.Bretonらによる米国特許出願第11/925,689号明細書に関し、その仮出願の開示内容はあらゆる目的のため本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
連続的及び不連続な監視システムが含まれる検体(グルコース等)監視システムは、一般にバッテリで駆動されマイクロプロセッサで制御される小型軽量システムを備えている。この小型軽量システムは、該当するグルコース測定レベルに比例する信号を、電位計を使用して検出し、収集されたデータをRF信号により送信するように構成されている。ある特定の検体監視システムの一態様では、検体レベルが監視される被験者の皮膚に部分的に取り付けられるような経皮又は皮下の検体センサの構成を備えている。センサセルでは、接触システムを介して接続される被制御型の電位(ポテンショスタット)アナログ回路によって駆動される2電極又は3電極(動作電極、参照電極、対向電極)構成を使用することができる。
【0003】
検体センサは、その一部が患者の皮下に配置されて患者の検体レベルを検出できるように、更に検体センサの区分の別の部分が送信器ユニットと通信可能なように構成され得る。送信器ユニットは、センサによって検出された検体レベルを、RF(無線周波数)通信リンク等の無線通信リンクを介して受信器/モニタユニットに送信するように構成される。受信器/モニタユニットは、特に受信した検体レベルに対してデータ解析を実行して、監視対象の検体レベルに関する情報を生成する。
【0004】
上記を考慮すると、グルコースレベルの変動を正確に評価して、特に、初期信号減衰(ESA)と称される検体センサの感度信号のドロップアウトを検出することが望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、検体センサ関連の複数の信号を受信し、この検体センサ関連の複数の信号に関連する信号減衰の確率を決定し、決定した確率が所定の閾値レベルを超えたときに信号減衰の存在を検証し、信号減衰の存在の検証に関係する第1の出力信号を生成するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が開示される。
【0006】
本発明のこれら及び他の目的、特徴、及び利点は以下の実施形態の詳細な説明、添付の特許請求の範囲、及び添付図面からより一層明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1以上の実施形態を実施するためのデータ監視及び管理システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る図1に示すデータ監視及び管理システムの送信器ユニットのブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る図1に示すデータ監視及び管理システムの受信器/モニタユニットのブロック図である。
【図4A】本発明の一実施形態に係る検体センサの斜視図を示す。
【図4B】本発明の一実施形態に係る検体センサの断面図を示す。
【図5】本発明の一実施形態に係るリアルタイム初期信号減衰(ESA)を示すブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るESA検出ルーチン全体を示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1と関連して説明されるセンサ電流異常のリアルタイム検出を示すフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態に係るモジュール1の出力を確認又は否定する図5のモジュール2の検証ルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1のスライディングウィンドウプロセスに基づくリアルタイム電流信号特性評価アプローチを示す。
【図10】本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1用の係数のブートストラップ法による推定を示す。
【図11】本発明の一実施形態に係る図5のモジュール2における正規化された感度密度のガウス核推定を示す。
【図12】本発明の実施形態に係る、図5の第1及び第2モジュールの組み合わせの出力曲線と、図7の所定の検査データセット及び検出閾値に基づいて比較される第1モジュールの出力曲線を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
更に詳細に後述するように、本発明の各種実施形態に従って、検体監視システム等を含むデータ処理及び制御システムでの検体センサの感度低下をリアルタイムで検出するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が提供される。特に、本発明の範囲内で、センサ感度が低いという状態を検出するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が提供される。この状態は臨床的に重大なセンサ関連のエラーを引き起こす場合があり、そのようなエラーの例として、センサ寿命の最初の12〜24時間の間や、検体センサの夜間使用時(「夜間のドロップアウト」)に発生し得るセンサ感度(検体センサ電流レベルと血糖レベルとの比として定義される)の低下によって表される初期センサ減衰(ESA)等が挙げられる。
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係る検体(例えば、グルコース)監視システム100等のデータ監視及び管理システムを示す。本発明は、便宜上、主にグルコース監視システムに関して詳しく説明されるが、こうした説明は本発明の範囲を決して限定するものではない。検体監視システムは乳酸塩等、各種の検体を監視するように構成され得ることを理解されたい。
【0010】
監視可能な検体としては、アセチルコリン、アミラーゼ、ビリルビン、コレステロール、絨毛性ゴナドトロピン、クレアチンキナーゼ(例えば、CK−MB)、クレアチン、DNA、フルクトサミン、グルコース、グルタミン、成長ホルモン、ホルモン、ケトン、乳酸塩、過酸化物、前立腺特異抗原、プロトロンビン、RNA、甲状腺刺激ホルモン、トロポニン等がある。抗生物質(例えば、ゲンタマイシン、バンコマイシン)、ジギトキシン、ジゴキシン、乱用薬物、テオフィリン、ワルファリン等の薬物の濃度を監視することもできる。
【0011】
検体監視システム100は、センサ101と、センサ101に接続された送信器ユニット102と、通信リンク103を介して送信器ユニット102と通信するように構成された一次受信器ユニット104とを備えている。一次受信器ユニット104は、受信したデータを評価するためにデータ処理端末105にデータを送信するように更に構成され得る。更に、一実施形態のデータ処理端末は、双方向通信のために任意に構成可能な通信リンクを介して送信器ユニット102からデータを直接受信するように構成され得る。
【0012】
また、図1には、通信リンク103に動作可能に接続され、送信器ユニット102から送信されたデータを受信するように構成された二次受信器ユニット106が示されている。更に、図示したように、二次受信器ユニット106は、一次受信器ユニット104及びデータ処理端末105と通信するように構成されている。実際には、二次受信器ユニット106は、一次受信器ユニット104とデータ処理端末105のそれぞれと双方向無線通信ができるように構成され得る。更に詳細に後述するように、本発明の一実施形態では、二次受信器ユニット106は一次受信器ユニット104に比べて搭載する機能の数を制限するように構成され得る。このように、二次受信器ユニット106は、小型化したハウジング内に十分に設けることもでき、例えば、腕時計のような装置内で具現化することもできる。或いは、二次受信器ユニット106は、一次受信器ユニット104と同じ機能又は実質的に類似した機能で構成され得ると共に、枕元への設置、夜間の監視、及び/又は双方向通信装置に対応するために収納台と併せて使用するよう構成され得る。
【0013】
図1の検体監視システム100の実施形態では、センサ101、送信器ユニット102、通信リンク103、及びデータ処理端末105が1つずつしか示されていない。しかし、当業者ならば、1以上のセンサ101、送信器ユニット102、通信リンク103、及びデータ処理端末105を検体監視システム100に搭載できることを理解できよう。更に、本発明の範囲内で、検体監視システム100は連続的な監視システムにも半連続的又は不連続な監視システムにもなり得る。複数構成要素環境では、検体監視システム100内の種々の構成要素間での通信の衝突が容易に解決されるように、各装置はシステム内の他のすべての装置のそれぞれによって一意的に識別されるように構成される。
【0014】
本発明の一実施形態では、センサ101は検体レベルが監視されるユーザの体内又は身体に物理的に配置される。センサ101は、ユーザの検体レベルを連続的にサンプリングし、サンプリングした検体レベルを対応するデータ信号に変換して、送信器ユニット102にて送信するように構成され得る。一実施形態では、送信器ユニット102とセンサ101がユーザの身体に配置されて検体センサ101の少なくとも一部がユーザの皮下に経皮的に配置されるように、送信器ユニット102とセンサ101が結合される。送信器ユニット102では、データ信号(それぞれがサンプリングされたユーザの検体レベルに対応)にフィルタリングやコード化等のデータ処理を施し、通信リンク103を介して結果を一次受信器ユニット104に送信する。
【0015】
一実施形態では、検体監視システム100は、送信器ユニット102から一次受信器ユニット104への一方向のRF通信パスとして構成される。そのような実施形態では、送信器ユニット102は、送信したサンプリングデータ信号が受信されたかを示す確認応答を一次受信器ユニット104から受け取らないで、センサ101から受信したサンプリングデータ信号を送信する。例えば、初期の電源投入手順の完了後、送信器ユニット102は、コード化されたサンプリングデータ信号を一定の割合(例えば、1分間隔)で送信するように構成され得る。同様に、一次受信器ユニット104は、そのように送信されたコード化済みサンプリングデータ信号を所定の時間間隔で検出するように構成され得る。或いは、検体監視システム100は、送信器ユニット102と一次受信器ユニット104との間で双方向のRF(又は他の方法)通信を使用して構成され得る。
【0016】
更に、一態様では一次受信器ユニット104は2つの部分を含み得る。第1の部分は、通信リンク103を介して送信器ユニット102と通信するように構成されたアナログインターフェイス部である。一実施形態では、アナログインターフェイス部にRF受信器とアンテナを搭載して、送信器ユニット102からのデータ信号を受信及び増幅することができる。その後、データは局部発振器で復調され、帯域フィルタを介してフィルタにかけられる。一次受信器ユニット104の第2の部分はデータ処理部である。このデータ処理部は、データの復号化、誤り検出と訂正、データクロック生成、及びデータビットリカバリ等を実行することにより、送信器ユニット102から受信したデータ信号を処理するように構成されている。
【0017】
動作に際して、電源投入手順が終了すると、一次受信器ユニット104は、そのレンジ内に送信器ユニット102が存在するかどうかを、例えば、送信器ユニット102から受信した検出データ信号の強度又は所定の送信器の識別情報に基づいて、検出するように構成されている。一次受信器ユニット104は、対応する送信器ユニット102との同期に成功すると、ユーザから検出された検体レベルに関するデータ信号を送信器102から受信し始めるように構成されている。より具体的には、一実施形態での一次受信器ユニット104は、通信リンク103を介して、対応する同期した送信器ユニット102と同期したタイムホッピング(time hopping)を実行することによって、ユーザから検出された検体レベルを取得するように構成されている。
【0018】
再び図1を参照すると、データ処理端末105は、パーソナルコンピュータや携帯用のコンピュータ(ラップトップ型コンピュータや携帯端末(例えば、携帯情報端末(PDA))等を備えることが可能であり、これらはそれぞれ、無線接続を介して受信器とデータ通信を行うように構成され得る。加えて、データ処理端末105をデータネットワーク(図示せず)に更に接続して、ユーザから検出された検体レベルに対応するデータを格納、取得、及び更新することもできる。
【0019】
本発明の範囲内で、データ処理端末105は輸液用器具(インシュリン注入ポンプ等)を備えることができ、これらの器具は、患者に投与するインシュリンを管理するように構成され得ると共に、測定された検体レベルを主に受信するために受信器ユニット104と通信するように構成されている。或いは、受信器ユニット104は、輸液用器具を内蔵するように構成され得る。この結果として、例えば、基本的なプロファイルを管理及び変更することや、送信器ユニット102から受信した検出済み検体レベルに特に基づいて適切なボーラス投与量を決定することを目的として、受信器ユニット104が患者に対するインシュリン療法を施すように構成される。
【0020】
加えて、送信器ユニット102、一次受信器ユニット104、及びデータ処理端末105のそれぞれは、双方向無線通信に対応するように構成され得る。したがって、送信器ユニット102、一次受信器ユニット104、及びデータ処理端末105のそれぞれは、無線通信リンク103を介して相互に通信する(即ち、データの送受信を行う)ように構成され得る。より詳細には、データ処理端末105は、一実施形態では通信リンク103を介して送信器ユニット102からデータを直接受信するように構成され得る。ここで、前述したように通信リンク103は、双方向通信に対応するように構成され得る。
【0021】
この実施形態では、インシュリンポンプを備え得るデータ処理端末105は、送信器ユニット102から検体信号を受信するように構成され得るので、受信器103の機能(患者のインシュリン療法を管理するためのデータ処理と検体の監視を含む)を内蔵してもよい。一実施形態では、通信リンク103は、複数のユニットの無線通信を、潜在的なデータ衝突や干渉を回避しながら安全に行うことが可能な(例えば、HIPPA要件ごとに)RF通信プロトコル、赤外線通信プロトコル、Bluetooth対応の通信プロトコル、802.11x無線通信プロトコル、又は同等の無線通信プロトコルを1以上含むことが可能である。
【0022】
図2は本発明の一実施形態に係る図1に示すデータ監視及び管理システムの送信器のブロック図である。図を参照すると、一実施形態の送信器ユニット102は、センサ101(図1)と、ユーザ入力202と、温度測定部203との間で通信するように構成されたアナログインターフェイス201を備え、それぞれが中央演算処理装置(CPU)等の送信器プロセッサ204と動作可能に接続されている。
【0023】
図2には、送信器シリアル通信部205とRF送信器206が更に図示されており、それぞれが送信器プロセッサ204と動作可能に接続されている。更に、送信器ユニット102に必要な電力を供給するために、送信器ユニット102には電池等の電源207も搭載されている。加えて、図から分かるように、特にリアルタイム情報を送信器プロセッサ204に供給するためにクロック208が提供されている。
【0024】
図2から分かるように、センサユニット101(図1)には4つの接点(動作電極(W)210、保護接点(G)211、参照電極(R)212、及び対向電極(C)213)が設けられており、このうちの3つが電極となっている。各接点は送信器ユニット102のアナログインターフェイス201と動作可能に接続されている。一実施形態では、動作電極(W)210、保護接点(G)211、参照電極(R)212、及び対向電極(C)213のそれぞれは、プリント又はエッチング可能な導体材料(例えば、プリント可能な炭素又はエッチング可能な金属箔(例えば金)等)を使用して製造することも、レーザ又はフォトリソグラフィーを使用して基板材料上に形成することもできる。
【0025】
一実施形態では、センサ101(図1)及び/又は製造及び検査装置から送信器ユニット102のアナログインターフェイス201への一方向の入力パスが確立されると共に、送信器ユニット102のRF送信器206の出力から一次受信器ユニット104への送信のために一方向の出力が確立される。このように、前述の一方向の入力と出力との間を、アナログインターフェイス201から、シリアル通信部205、プロセッサ204、そしてRF送信器206へと、専用リンク209を介して延びるデータパスを図2に示す。このように、一実施形態では、送信器ユニット102は、前述のデータパスを介してセンサ101(図1)から受信し、処理及びコード化したデータ信号を通信リンク103(図1)によって一次受信器ユニット104(図1)に送信するように構成される。更に、前述したアナログインターフェイス201とRF送信器206との間の一方向通信データパスにより、製造プロセス終了時の操作並びに診断及び検査を目的とした直接通信に対応するように送信器ユニット102を構成することが可能である。
【0026】
前述のように、送信器プロセッサ204は、送信器ユニット102の動作時に送信器ユニット102の種々の部分に制御信号を送信するように構成される。一実施形態では、送信器プロセッサ204はまた、送信器ユニット102に関する識別情報等のデータと、センサ101から受信したデータ信号を格納するためのメモリ(図示せず)を備える。格納された情報は、一次受信器ユニット104への送信のために、送信器プロセッサ204の制御下で取得及び処理され得る。更に、電源207は市販の電池を含み得る。
【0027】
送信器ユニット102はまた、その電源部207が低電力(非動作)モードで約18ヶ月間保管された後でも送信器に電力を供給し最低3ヶ月の連続動作を可能とするように構成されている。一実施形態では、この構成は、送信器プロセッサ204が非稼動状態時に低電力モードで動作する(例えば、1μAの電流で)ことで達成される。実際、一実施形態では、送信器ユニット102の製造プロセス時の最終段階で、送信器ユニット102を低電力、非稼動状態(即ち、製造後スリープモード)にすることができる。このように、送信器ユニット102の有効寿命を大幅に向上させることができる。更に、図2に示すように、電源ユニット207はプロセッサ204に接続されているように図示され、したがって、プロセッサ204は電源ユニット207を制御するように構成されるが、本発明の範囲内で、電源ユニット207は図2に示す送信器ユニット102の構成要素のそれぞれに必要な電力を供給するように構成されることに留意されたい。
【0028】
図2を再び参照すると、一実施形態の送信器ユニット102の電源部207は、より長い使用時間にわたって送信器ユニット102に電力を供給可能なように、独立した電源充電ユニット(例えば、受信器ユニット104内に提供される)で充電可能な充電式の電池ユニットを備えてもよい。更に、一実施形態では、送信器ユニット102は、電源部207に電池を使用しない構成とすることが可能であり、この場合、送信器ユニット102は、詳細に後述するように、外部電源(例えば電池)から電力の供給を受けるように構成され得る。
【0029】
図2を更に再び参照すると、送信器ユニット102の温度検出部203は、センサ挿入部位の近くで皮膚の温度を監視するように構成される。温度の測定値は、アナログインターフェイス201から取得した検体測定値を調整するのに使用される。送信器ユニット102のRF送信器206は、例えば米国において315〜322MHzの周波数帯域で動作するように構成され得る。更に、一実施形態では、RF送信器206は、周波数偏移キーイング及びマンチェスター符号化方式を実行することにより搬送周波数を変調するように構成される。一実施形態では、データ伝送速度は、最小の伝送距離で一次受信器ユニット104と通信する場合、1秒当たり19、200シンボルである。
【0030】
図2を更に再び参照すると、データ監視及び管理システム100の送信ユニット102内で保護電極(G)211とプロセッサ204に接続されたリーク検出回路214も示されている。本発明の一実施形態によるリーク検出回路214は、センサ内のリーク電流を検出して、測定したセンサのデータが破損していないか、又はセンサ101からの測定データが正確かどうか判断するように構成され得る。
【0031】
図3は本発明の一実施形態に係る、図1に示すデータ監視及び管理システムの受信器/モニタユニットのブロック図である。図3を参照すると、一次受信器ユニット104は、血糖検査紙インターフェイス301と、RF受信器302と、入力部303と、温度検出部304と、クロック305とを備え、それぞれが受信器プロセッサ307と動作可能に接続されている。図から更に分かるように、一次受信器ユニット104はまた、電力変換及び監視部308と動作可能に接続された電源306も備えている。更に、電力変換及び監視部308はまた、受信器プロセッサ307にも接続されている。更に、受信器シリアル通信部309と出力部310も図示されており、これらはそれぞれ受信器プロセッサ307と動作可能に接続されている。
【0032】
一実施形態では、検査紙インターフェイス301は、手動で挿入されるグルコース検査紙を受け入れるグルコースレベル検査部を備え、これにより、検査紙のグルコースレベルを求め、一次受信器ユニット104の出力部310で表示する。このグルコース手動検査を使用してセンサ101を較正することができる。RF受信器302は、通信リンク103(図1)を介して送信器ユニット102のRF送信器206と通信し、特に信号のミキシング、復号化、及び他のデータ処理を実行するために送信器ユニット102からコード化されたデータ信号を受信するように構成されている。一次受信器ユニット104の入力部303は、ユーザが一次受信器ユニット104に情報を必要に応じて入力できるように構成されている。一態様では、入力部303は、1以上のキーからなるキーパッド、タッチスクリーン、又は音声作動式の入力コマンドユニットを含んでもよい。温度検出部304は一次受信器ユニット104の温度情報を受信器プロセッサ307に提供するように構成され、一方、クロック305は特にリアルタイム情報を受信器プロセッサ307に提供する。
【0033】
図3に示す一次受信器ユニット104の種々の構成要素のそれぞれには電源306によって電力が供給され、一実施形態において電源306は電池を備える。更に、電力変換及び監視部308は、効果的な電力管理を実現するために一次受信器ユニット104内の種々の構成要素による電力使用を監視し、例えば一次受信器ユニット104を準最適な動作状態にする電力使用が発生した場合は、その旨をユーザに通知するように構成されている。そのような準最適な動作条件の例としては、プロセッサ307(一次受信器ユニット104)がオンの状態で、電源306を実質的に消耗させる期間中に振動出力モード(後述する)を動作させている場合が挙げられる。更に、電力変換及び監視部308は、電池作動式のスイッチとして構成された電圧効果トランジスタ(FET)等の逆極性保護回路を備えるように更に構成され得る。
【0034】
一次受信器ユニット104内のシリアル通信部309は、一次受信器ユニット104を特に初期化、テスト、及び設定するために、検査及び/又は製造装置との双方向通信パスを提供するように構成される。また、シリアル通信部104を使用することにより、タイムスタンプ付きの血糖値データ等のデータをコンピュータにアップロードすることができる。外部装置(図示せず)との通信リンクは、例えば、ケーブル、赤外線(IR)、又はRFリンクで形成することができる。一次受信器ユニット104の出力部310は、特に、情報を表示するために、液晶表示装置(LCD)等でグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を提供するように構成される。加えて、出力部310はまた、音声信号を出力すると共に、現在利用可能な携帯電話等の携帯用電子装置に共通して見られる振動出力を提供する内蔵スピーカーを備えてもよい。更なる実施形態では、一次受信器ユニット104はまた、暗い周辺環境でも出力表示が見えるように出力部310にバックライトを当てるように構成されたエレクトロルミネッセンスランプを備える。
【0035】
図3を参照すると、一実施形態の一次受信器ユニット104はまた、プログラム可能な不揮発性のメモリ装置(プロセッサ307の一部として提供される、又は受信器ユニット104内に別途提供されプロセッサ307に動作可能に接続される)等の記憶部を備えることができる。プロセッサ307は、更に、通信リンク103を介して送信器ユニット102からコード化されたデータ信号を受信したときにマンチェスター復号化と、誤り検出と訂正とを実行するように構成される。
【0036】
更なる実施形態では、送信器ユニット102、一次受信器ユニット104、二次受信器ユニット105、又はデータ処理端末/輸液部105のうちの1つ又は複数は、例えばグルコースメータから通信リンクを介して無線にて血糖値を受信するように構成され得る。更に別の実施形態では、検体監視システム100(図1)を操作又は使用するユーザ又は患者は、例えば、送信器ユニット102、一次受信器ユニット104、二次受信器ユニット105、又はデータ処理端末/輸液部105のうちの1つ又は複数に組み込まれたユーザインターフェイス(例えば、キーボードやキーパッド等)を使用して、血糖値を手動で入力することができる。
【0037】
連続的な検体監視システムとその種々の構成要素に関する詳細な追加説明(送信器の機能面の説明を含む)については、2001年1月16日発行の「Analyte Monitoring Device and Methods of Use」と題された米国特許第6,175,752号明細書と、2003年12月26日出願の「Continuous Glucose Monitoring System and Methods of Use」と題された米国特許出願第10/745,878号明細書(どちらもカリフォルニア州、アラメダのAbbott Diabetes Care,Inc.に譲渡)を参照されたい。
【0038】
図4A〜4Bはそれぞれ、本発明の一実施形態に係る検体センサの斜視図と断面図を示す。センサ400の斜視図である図4Aを参照すると、センサの主要部は皮膚410の上にあり、挿入端430は皮膚を貫通して皮下腔420に至り、ユーザの生物流体(間質液等)と接触する。皮膚表面410の上に位置するセンサ400の部分に動作電極401、参照電極402、及び対向電極403の接触部があるのを確認できる。動作電極401、参照電極402、及び対向電極403は、挿入端430の端部にあるのが分かる。
【0039】
次に図4Bを参照すると、一実施形態のセンサ400の断面図が図示されている。特に、センサ400の種々の電極に加え、基板、誘電体層がスタック又はレイヤの構成又は構造で形成されているのが分かる。例えば、図4Bに示すように、一態様では、センサ400(図1のセンサユニット101)は、基板層404と、第1の導体層401(基板層404の少なくとも一部に配置されたカーボントレース等であり、動作電極を備えることができる)とを含む。また、センサ層408は、第1の導体層401の少なくとも一部分に配置されている。
【0040】
図4Bを再び参照すると、第1の誘電体層405等の第1の絶縁層は、第1の導体層401の少なくとも一部分に配置又は積み重ねられており、更に、別のカーボントレース等の第2の導体層409が、第1の絶縁層(又は誘電体層)405の少なくとも一部分上に配置又は積み重ねられ得る。図4Bに示すように、第2の導体層409は参照電極402を備えることができ、一態様では、銀/塩化銀(Ag/AgCl)の層を含んでもよい。
【0041】
更に再び図4Bを参照すると、一実施形態における誘電体層等の第2の絶縁層406は、第2の導体層409の少なくとも一部分に配置又は積み重ねられ得る。更に、カーボントレースを備え対向電極403を有することが可能な第3の導体層403は、一実施形態では、第2の絶縁層406の少なくとも一部分に配置され得る。最後に第3の絶縁層407は第3の導体層403の少なくとも一部分に配置又は積み重ねられる。このようにセンサ400は、導体層の各々の少なくとも一部分が、それぞれの絶縁層(例えば、誘電体層)で分離されるように、スタック又はレイヤの構成又は構造で構成され得る。
【0042】
更に、本発明の範囲内で、電極401、402、403の一部又は全てを、前述したように基板404の同側面にスタック構造で形成することも、或いは、各電極が基板404の同一平面上に配置され、誘電体材料又は絶縁材料が導体層/電極間に配置されるように同一平面方式で形成することもできる。加えて、本発明の更に別の態様では、電極401、402、403等の1以上の導体層を基板404の対向側面に配置することが可能である。
【0043】
図5は、本発明の一実施形態に係るリアルタイム初期信号減衰(ESA)を示すブロック図である。図5を参照すると、一実施形態では、全感度低下検出器500は第1のモジュール510を備えており、このモジュールは、検体センサの測定値のウィンドウに基づいて感度低下の確率を推定し、血糖レベルの指穿刺による測定が必要かどうかを決定するように構成されている。第1のモジュール510により推定された感度低下の確率に基づいて、血糖レベルの指穿刺による測定が必要であると判定されたら、図5に示すように、本発明の一実施形態では、第2のモジュール520が、測定した血糖値を使用して、第1のモジュール510によって推定された感度低下の確率を検証、又は確定若しくは否定する。一態様では、第2のモジュールは、統計的測定に基づいて第1のモジュール510の結果(推定される感度低下の確率)を確定又は否定するように構成され得る。
【0044】
即ち、一態様では、図5の感度低下検出器500の第1のモジュール510は、センサ値(例えば、所定の期間における検体センサからの電流信号)のウィンドウの解析に基づいて検体センサの感度低下の確率を推定するように構成され得る。より詳細には、センサ電流信号特性のスライディングウィンドウ抽出部、決定又は取得したセンサ電流信号特性に基づいて行われるモデルベースの感度低下の確率の推定部、及び/又は推定した確率と所定の閾値τ間の比較部に基づいてセンサ感度低下の確率を推定するように、第1のモジュール510は構成され得る。
【0045】
図5を再び参照すると、一実施形態では、第1のモジュール510のロジスティック推定器511は、センサ電流信号特性のスライディングウィンドウを取得又は抽出し、センサ電流信号特性に基づいて感度低下の確率を推定し、推定した感度低下の確率と所定の閾値τとを比較することにより、推定した感度低下を検証することが望ましいかどうか、又は推定した感度低下の確率に基づいてESA若しくは夜間のドロップアウトが検出されていないと確定できるかどうかを判定するように構成され得る。
【0046】
再び図5を参照すると、図示したように、推定された感度低下の確率を確認又は検証することが望ましいと判定された場合(例えば、推定された確率が第1のモジュール510で決定された所定の閾値τを超えた場合)、一実施形態における感度低下検出器500の第2のモジュール520の仮想解析モジュール521は、血糖値測定装置(カリフォルニア州、アラメダのAbbott Diabetes Care,Inc.から市販されているFreesStyle(登録商標)Lite、Freestyle Flash(登録商標)、FreeStyle Freedom(登録商標)、又はPrecision XtraTMといった血糖値測定器等)から毛細血管の血液測定結果を受信する。一態様では、受信した毛細血管の血糖値測定の値と検体センサの電流特性又は値とに基づいて、推定したセンサ感度低下の確率を確定又は否定することができ、これによってESA又は夜間のドロップアウトの存在(対応するデータポイントが夜間のセンサ電流値と関連付けられている場合)、或いはESA又は夜間のドロップアウトがなかったのかが確認される。
【0047】
前述した方法において、本発明の一態様では、センサ電流信号特性に基づくリアルタイム検出ルーチンが提供される。この場合、検出器500(図5)は、センサ感度低下の確率を検出及び推定するように一実施形態で構成された第1のモジュール510と、第1のモジュール510によって求められた確率推定値に基づいてESA又は夜間のドロップアウトが発生していないかどうかを検証するように一態様で構成される第2のモジュール520とを備える。したがって、本発明の一態様では、誤報又は検出漏れの可能性を最小限に抑えながら、ESAの状態又は夜間の低下若しくはドロップアウトを正確に検出することができる。
【0048】
図5を再び参照すると、一実施形態では、リアルタイム決定プロセスに対する要求と、センサ電流特性を推定するための冗長度の必要性とに対応じて、センサ感度推定器500の第1のモジュール510にスライディングウィンドウプロセスが用いられる。スライディングウィンドウプロセスの例を本発明の一実施形態に従って図9に示す。
【0049】
例えば、一態様では、第1のモジュール510によって実行されるプロセス中は、決定プロセスが繰り返されるたびに、時間窓が選択され、そしてその選択された時間窓の期間中に決定されたセンサ電流信号に基づいて、1以上の所定のセンサ特性が決定される。これに限られるものではないが、例えば、一以上の所定のセンサ特性には、平均電流信号レベル、電流信号分散、電流信号の平均の傾き、及びセンサの平均寿命(又は検体センサの挿入又は経皮的位置決め後の経過時間)が含まれ得る。
【0050】
その後、選択された時間窓は一定の時間(分)(number of minutes)だけスライドされ、プロセスが繰り返される。一態様では、時間窓の幅(width)又は期間と増分サイズは予め60分に決めておくことも60分に確定することも可能であり、これによって重複しないように時間窓が生成され、決定プロセス間での潜在的な相関を最小限に抑えられる。本発明の範囲内で、他のアプローチを検討してもよい。例えば、スライディング時間窓では期間を約30分、増分を1分とすることができる。
【0051】
一態様では、以下の式を使用して、センサ信号の平均(mean)、平均の傾き(slope)、分散値(variance)等、前述したセンサ特性推定値を求めることができる。
【数1】

式中、Xは1sの列とデータインデックスの列を持つ行列であり、Yは電流値の列ベクトルである。
【数2】

current:電流
式中、tは時間窓内の第1の有効なデータポイントのインデックスである。
【0052】
図5を再び参照すると、前述したセンサ特性の推定又は決定後、センサ電流信号の時間窓に対応する4次元特徴ベクトルが生成される。一態様では、生成された特徴ベクトル及びロジスティック回帰手法を使用して、所定の時間窓の各々の期間中にセンサで初期信号減衰(ESA)が発生する確率を推定することができる。一態様では、ESAが存在する確率Pr[ESA]を決定又は推定するためのロジスティック回帰手法を以下の式で表すことができる。
【数3】

sensorlife:センサ寿命
【0053】
一態様では、係数ベクトルβは、センサ信号減衰の推定の効率化において重要な役割を果たす。即ち、一実施形態では、所定のセンサ挿入数を使用してモデル係数を経験的に決定又は推定することができる。より詳細には、一態様では、ブートストラップ推定手順を実行して、モデル係数にロバスト性を加えることが可能である。例えば、生成された線形モデル適合アプローチを所定の期間に適用して、係数ベクトルβを決定することができる。予め定義された繰り返し回数を基に、例えば図10に示すように、各係数の経験的な確率分布関数を決定することができる。ここで、選択される各係数は、関連付けられる分散のモデルに対応する。
【0054】
1以上のセンサ電流特性又はパラメータが決定され、対応する係数が決定されると、一実施形態では、以下の式に基づいて、ESAの存在する確率Pr[ESA]が推定される。
【数4】

【0055】
本発明の範囲内において、前述の関数で説明されるESAの存在確率Pr[ESA]の推定は設計又は関連する基礎パラメータ(特に時刻情報やセンサ電流信号のトレンド除去分散等)に応じて変更することが可能であることに留意されたい。
【0056】
図5を再び参照すると、ESAの存在確率が前述の推定に基づいて決定された後、一態様では、推定された確率が予め選択されている閾値レベルと比較され、この比較結果に基づいて、毛細血管の血糖値測定を要求することができる。一態様では、ESAの存在確率と比較する場合、所定の閾値レベルを例えば0.416とすることができる。或いは、本発明の範囲内では、所定の閾値レベルをおよそ0.3〜0.6の範囲内で変化させてもよい。
【0057】
前述したように、本発明の一態様では、センサ感度推定器500(図5)の第1のモジュール510は、検体センサとセンサ電流信号とに関連付けられた特性又はパラメータに基づいて、ESAの存在確率を推定するように構成されている。一実施形態では、センサ感度推定器500(図5)の第2のモジュール520は、毛細血管の血糖値測定に基づく追加処理を実行して、検定センサの初期センサ減衰(ESA)を実質的にリアルタイムで推定するように構成され得る。即ち、ESAは感度の降下又は減少(即ち、血糖値に対する電流信号の比)によって定義されるので、ESA発生時の感度の分布は、機能が正常な状態にあるときの感度の分布よりも実質的に小さい。更に、毛細血管の血液測定値を使用するESAの存在確率の推定は、公称感度比の経験的な分布関数の推定と同様に、センサ電流のレベルの測定値と血糖値の測定値との非線形な関係に基づいて、値の範囲(例えば、カテゴリ)の構成方法を用いて決定することができる。
【0058】
より詳細には、本発明の一態様では、瞬時感度(IS)は、所与の時点における検体センサの実電流値と実血糖値との比として定義することができる(例えば、以下の式(a)によって定義される)。ただし、信号内にノイズが存在するため(例えば、一回の血糖値測定等の独立型の測定の場合は特に)、指穿刺による血糖値測定の前後に平均的なセンサ電流信号レベルを求めることにより、瞬時感度(IS)を概算することができる。例えば、以下の式(b)による。
【数5】

【0059】
各検体センサの感度が異なり、瞬時感度(IS)がセンサによって大きく左右される場合は、瞬時感度(IS)の絶対値によってESAの存在を確実に判断できない場合がある。一方、製造時、各検体センサは公称(nominal)感度値と関連付けられる。したがって、センサ公称感度に対する瞬時感度の比を使用すれば、センサに左右されずに、信頼性の高いESA検出メカニズムを実現できる。したがって、時間tにおける感度比R(t)は、一態様では、以下のように定義される。
【数6】

【0060】
上記説明を参照すると、一実施形態の血糖値の範囲/カテゴリ構成方法では、血糖値測定尺度の変換を定義するようにして、これにより、測定された血糖値と推定された血糖値との差異を修正することができる。即ち、一態様では、定義された変換方法は、血糖レベルの公称分布に対応する、又は血糖レベルの公称分布に関連している。例えば、種々の値の範囲(bin)/カテゴリを定義する変換方法は、次の式に基づいて決定することができる。
【数7】

式中、BGはmg/dlの単位で表される。
【0061】
ここで、尺度化したグルコース値の範囲は以下のように定義することができる。
1. r<−2、重度の低血糖
2. −2≦r<−1、軽度の低血糖
3. −1≦r<0、低めの正常血糖
4. 0≦r<1、高めの正常血糖
5. 1≦r<2、軽度の高血糖
6. 2≦r、重度の高血糖
ESAの存在確率の推定にて使用する値の範囲/カテゴリを決定する際、一態様では、カーネル密度推定(例えば、ガウス核(24)を使用)を使用して、前述した各値の範囲/カテゴリでの感度比Rの分布を推定することができる。一態様において、このように感度比Rの分布を推定したものを図11に示す。ここでは、各値の範囲/カテゴリ(例えば、重度の低血糖(値の範囲1)、軽度の低血糖(値の範囲2)、低めの正常血糖(値の範囲3)、高めの正常血糖(値の範囲4)、軽度の高血糖(値の範囲5)、及び重度の高血糖(値の範囲6)を含む)について、各グラフでESAの存在が検出された場合の関連する分布を示している。
【0062】
上記説明を再び参照すると、一態様では、各値の範囲/カテゴリにおける感度比Rの推定分布の確率密度関数の推定に基づいて、ベイズ法に基づくノンパラメトリックな仮説検証方法を行うことができる。例えば、本発明の一態様では、ベイズ法から、感度比と血糖値の範囲(bin)/カテゴリを認識しているESAの存在の推定確率を、次の式に基づいて分解することができる。
【数8】

ここで、πaは、クラスa内のイベントの割合であり、fa,jはクラスaの値の範囲/カテゴリiにおけるRの予め推定された確率密度関数である。
【0063】
更に、全体のエラー確率を最小限に抑えるには、次の決定規則を適用することができる。
【数9】

【0064】
したがって、上記に基づき、一実施形態に係る図5に示す第2のモジュール520の仮説解析モジュール(521)は、毛細血管の血糖値レベルの測定値に基づいて、所与の検体センサにおけるESAの存在を検証/及び確認するように構成され得る(毛細血管の血糖値の測定値が値の範囲/カテゴリiにあるとき、感度比Rが該当する規定の閾値レベルtより小さいとき)。例えば、上記の6つの血糖値の範囲/カテゴリ(値の範囲1〜値の範囲6)が与えられる場合、各閾値レベルtは、t=1.138、t=0.853、t=0.783、t=0.784、t=0.829、t=0.797となる。
【0065】
このように、本発明の一態様では、連続的なグルコース監視システムにおける感度の低下を早期に検出するための(ただし、これに限定されるものではない)方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が実現される。感度の低下は、例えば、センサ寿命の最初の24時間で検出可能である。この潜在的な悪影響は頻繁に較正又はセンサマスキングを行うことによって、最小限に抑えることができるが、そのような感度低下は、センサのデータの精度上臨床的に重大な影響を及ぼし、ひいてはセンサを使用する患者を潜在的におびやかすものである。したがって、一態様では、センサ電流信号特性に基づいてESAの存在確率を推定又は決定し、その後、確認ルーチン又は検証ルーチンを実行して、センサ電流信号特性に基づいて推定された感度低下の確率が、リアルタイムで発生するセンサ感度低下に一致するかどうかを判定するための方法、システム、及びコンピュータプログラム製品が提供される。
【0066】
したがって、特に重度の低血糖の範囲でセンサの精度を向上させること、センサ寿命の初期段階で較正及び/又はセンサマスキングを何度も実施することを回避すること、更に、低血糖の検出漏れを招く感度低下発生時のセンサの較正を回避することが可能である。
【0067】
図6は、本発明の一実施形態に従ったESA検出ルーチン全体を示すフローチャートである。図6を参照すると、本発明の一実施形態では、所定の個数のセンサのデータが取得又は収集され(610)、その後、感度低下の確率の推定が適切であるかどうか判定される(620)。一態様では、次に示す1以上のパラメータを使用して、感度低下の確率の推定が適切かどうか判定することができる。そのパラメータには、特に、検体センサに対する十分なデータポイントの存在又は収集、いつ検体センサが挿入又は皮下に配置されたかに関連する確率推定のタイミング、感度低下に対する最近の確率推定から経過した時間がある。
【0068】
感度低下を判断するための確率推定が必要でないと判定された場合(620)、図6に示すルーチンは、追加のセンサのデータポイントを収集する処理に戻る。他方、感度低下を判断するための確率推定が必要であると判定された場合、感度低下を判断するための確率推定が実行される(630)。その後、感度低下の確率の推定結果に基づいて、ESAが存在するかどうか判定される(640)。
【0069】
即ち、感度低下検出器500(図5)の第1のモジュール520によって例えば実行される解析に基づいてESAが検出されなかった場合、ルーチンは追加のセンサ電流データを収集及び/又は取得する処理に戻る(640)。一方、前述した解析に基づいてESAが検出された場合(640)、毛細血管の血液測定が要求される(例えば、ユーザに指穿刺による血糖検査を実行し、血糖値を入力するよう促すことにより)(650)。したがって、図6に示すルーチンでは、例えば、仮説解析モジュール521(図5)によってESAの有無を確認するためのルーチンを実行する。
【0070】
図6を再び参照すると、毛細血管の血液測定を使用した解析に基づいてESAが存在しないと判定した場合、ルーチンは再びデータ収集/取得モジュールに戻る(610)。一方、ESAの存在が確認された場合、一態様では、ユーザに警告するために警報又は通知を生成してユーザに提供することができる(680)。
【0071】
図7は、本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1と関するセンサ電流の異常のリアルタイム検出を説明するためフローチャートである。図7を参照すると、一実施形態では、定義された期間に検体センサのデータが取得又は選択される。その検体センサのデータを使用して1以上のデータ処理が実行され、センサ信号特性が求められる(710)。このセンサ信号特性には、例えば、平均電流信号、最小二乗の傾き、標準偏差、検体センサの挿入/位置決め後の平均経過時間(又は、平均センサ寿命)、最小二乗の傾きについての分散等がある。
【0072】
図7を参照すると、検体センサのデータに基づく所定の係数が取得され(720)、ESAの存在確率を決定又は推定するために、取得された係数が検体センサ信号に適用される(730)。加えて、図7には所定の閾値(740)が更に示されており、一実施形態では、判定対象となるESAの推定存在確率(750)と、この閾値が比較され得る。一態様では、所定の閾値は、ESAの存在を示すために、ESAの最小限の存在確率として決定することができるが、誤報(フォールスポジティブ、閾値を簡単に超える)と検出漏れ(フォールスネガティブ、閾値を超えるのが難しい)とのトレードオフになる。
【0073】
更に再び図7を参照すると、ESAの存在の推定確率が所定の閾値を超えていないと判定された場合(750)、ESAは存在しておらず、即ち、センサ電流信号の減衰は検出されていない(760)と判定される。一方、ESAの存在の推定確率が所定の閾値を超えていると判定された場合、ESAは存在し、即ち、センサ電流信号の減衰が検出された(770)と判定される。ESAの存在が検出された場合も検出されなかった場合も、その判定結果は本解析の後続の段階に伝えられて又は提供されて(780)、更なる処理が行われる。
【0074】
図8は、本発明の一実施形態に係るモジュール1の出力を確定又は否定する図5のモジュール2の検証ルーチンを示すフローチャートである。図8を参照すると、連続的なグルコースデータ(801)と毛細血管の血糖値測定(802)を行って、血糖値測定と同時時期であるかほぼ同時に、1以上の連続的なグルコースセンサ電流データポイントの平均関数が実行される(803)。センサ電流データポイントが単一値である場合、平均関数を実行すると、その値自体が得られる(したがって、平均化のルーチンは不要である)。
【0075】
或いは、センサのデータが複数のデータポイント(例えば、血糖値データポイントの時間を中心にして11個のデータポイント)を含む場合、平均関数が実行されると、その複数のデータポイントに対応する平均値が得られる。その後、図8に示すように、上記のように算出されたセンサのデータポイントの平均値と毛細血管の血糖測定値とに基づいて、感度値(S)が決定される(805)。例えば、センサに関連する感度値(S)は、血糖値に対した算出された平均センサデータポイント値の比として決定することができる。
【0076】
図8を参照すると、センサの製造時に通常決定される公称センサ感度(807)を取得して、それが算出センサ感度値(S)に適用され、正規化された感度比Rsが得られる(808)。
【0077】
図8を再び参照すると、測定又は受信された毛細血管の血糖測定値(802)に基づいて、例えば、一態様では上記の式(5)に記載した関数を利用して、上記の対応するグルコース値の範囲が決定又は算出される。次いで、算出又は決定されたグルコース値の範囲に基づいて、対応するESA検査の閾値tが決定される(806)。例えば、上記のように、各グルコース値の範囲(値の範囲1〜値の範囲6)は各閾値レベルtと関連しており、一態様では、各閾値レベルtは事前に解析又はトレーニングされて決定され得る。
【0078】
更に再び図8を参照すると、正規化された感度比(808)と算出された値の範囲(806)とを使用して、正規化された感度比と決定又は算出された値の範囲との比較が行われる(809)。例えば、正規化された感度比(S)が、算出された値の範囲tを超えていることが比較によって確定された場合、初期信号減衰(ESA)は存在していないと判定される(811)。一方、正規化された感度比(S)が、算出された値の範囲tよりも小さいと判定された場合、センサ信号内にESAが存在していると判定される。
【0079】
図9は、本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1のスライディングウィンドウプロセスに基づいてリアルタイムに電流信号の特性を評価する方法を示している。
【0080】
図10は、本発明の一実施形態に係る図5のモジュール1用の係数のブートストラップ法により実行された推定を示している。図を参照すると、モデル係数にロバスト性を加えるために実行されるブートストラップ推定手順は、一態様では、係数ベクトルβを決定するために、所定の期間、一般化線形モデルへの適合(fit)を適用することができる。各係数の経験的な確率分布関数は、所定の繰り返し回数に基づいて、例えば図10に示すように決定することができる。ここで、選択された各係数は、関連する分布のモードに対応する。
【0081】
図11は、本発明の一実施形態に係る図5のモジュール2における正規化された感度密度のガウス核推定を示す。図11を参照すると、図5と関連させて前述したように、一態様では、カーネル密度推定(例えば、ガウス核(24)を使用)を使用して、前述した各値の範囲/カテゴリでの感度比Rsの分布を推定することができる。一態様での感度比Rsにおける分布の推定を図11に示す。ここでは、値の範囲/カテゴリ(例えば、重度の低血糖(値の範囲1)、軽度の低血糖(値の範囲2)、低めの正常血糖(値の範囲3)、高めの正常血糖(値の範囲4)、軽度の高血糖(値の範囲5)、重度の高血糖(値の範囲6))ごとに、対応するグラフが、ESAの存在が検出されていない分布と、ESAの存在が検出されている分布を比較したときの関連性を示している。
【0082】
図12は、本発明の実施形態に係る誤報(フォールスポジティブ)率と感度低下検出率との比較を示す。即ち、図12は、ESA検出率と誤報率との関係を示す。一態様では、曲線1210はロジスティック回帰分類器に基づいて得られた、感度低下検出器500(図5)の第1のモジュール510の出力結果を示す。一方、曲線1220は、例えば、ESAの存在確率が所定の閾値レベルを上回った場合に血糖値測定を要求するロジスティックルール分類器に基づいて得られた、感度低下検出器500(図5)の第1のモジュール510の出力と第2のモジュール520の出力の組み合わせ結果を示す。一実施形態では、ESAの存在確率を決定する閾値レベルを0.416とすると、ESA検出率は約87.5%、誤報率は約6.5%となる。
【0083】
上記の方法のように、本発明の種々の実施形態によれば、検体センサ感度のESA又は夜間のドロップアウトのリアルタイム検出が実現される。例えば、検体センサの感度が正常値より低いと、その検体センサは実際の血糖値より低い血糖値を報告することが考えられ、結果として高血糖が過小評価され、低血糖の警報が誤って発せられる恐れがある。更に、センサ電流レベルと血糖レベルとの関係は基準血糖値(例えば、較正ポイント)を使用して推定されるので、当該較正が感度が低下している間に実行された場合、その感度が低下している期間が終わると、すべてのグルコースの測定値が正にバイアスされるため、低血糖の症状が隠れてしまう恐れがある。したがって、検体センサの電流信号出力と対応する血糖レベルとの関係におけるエラーは、患者が適切な措置を取れるようにリアルタイムで監視及び検出され得る。
【0084】
実際、患者のグルコースレベルの変動のリアルタイム検出では、検体監視装置等の監視装置が使用されており、このような検体監視装置では、グルコースレベルの変動の時間次元を提供し、血糖値の変動を厳密にコントロールして糖尿病の状態を管理することができる。具体的には、本発明の種々の実施形態によれば、検体監視システムは、特に、患者が低血糖の疑いがない又は低血糖の進行を防止しようとしない場合には、低グルコースレベルに関する警告をリアルタイムで発し、患者が命にかかわる状況を回避して低血糖発作時に自分で医療が行えるよう支援する機能を備えるように構成され得る。
【0085】
したがって、本発明の一態様では、センサ感度が低いという状態の検出には、検体センサの電流信号特性に基づいてリアルタイム検出アルゴリズムを実行するように構成され得る第1のモジュールと、更に、一回の血糖測定値に基づいて統計的分析を実行し、第1のモジュールで実行されたセンサ感度低下の初期検出を確定又は否定するように構成され得る第2のモジュールが含まれる。このように、本発明の一態様では、ESAの状態、又は、センサ電流信号レベルの夜間のドロップアウトや低下を正確に検出して、誤報が最小限になるように実現することができる。
【0086】
したがって、一態様においてコンピュータで実施される方法は、検体センサ関連の複数の信号を受信するステップと、受信した検体センサ関連の複数の信号に対応する信号減衰の確率を決定するステップと、決定した確率が所定の閾値レベルを超えたときに信号減衰の存在を検証するステップと、信号減衰の存在の検証に関係する第1の出力信号を生成するステップとを含む。
【0087】
更に、信号減衰の確率を決定するステップは、受信した検体センサ関連の複数の信号と関係する1以上の特性を決定するステップと、検体センサ関連の複数の信号に所定の係数を適用するステップとを含む。
【0088】
別の態様では、決定された1以上の特性は、検体センサ関連の信号と関係する1以上の平均値、検体センサ関連の信号と関係する最小二乗の傾き、検体センサ関連の信号と関係する標準偏差、検体センサの位置決め後の平均経過時間、又は、検体センサ関連の信号と関係する最小二乗の傾きについての分散を含み得る。
【0089】
また、更に別の態様では、所定の閾値レベルは、ユーザが定義することも、システムの専門家が定義することも可能である。
【0090】
更に別の態様では、決定された確率が所定の閾値を上回っていない場合、本方法は、信号減衰状態の不在に関係する第2の信号を生成するステップを更に含むことができる。
【0091】
加えて、更なる態様では、信号減衰の存在を検証するステップは、信号減衰の閾値レベルを選択するステップと、検体関連センサの信号に関係する感度レベルを決定するステップと、決定した感度レベルと、選択した信号減衰閾値レベルとの比較結果に少なくとも部分的に基づいて信号減衰の存在を確認するステップとを含み、ここで信号減衰の閾値レベルは、血糖値測定と関連付けることが可能である。
【0092】
また、血糖値測定は、別の態様では、毛細血管の血糖値のサンプリングを含む。
【0093】
更に別の態様では、検体関連のセンサと関係する感度レベルは、検体関連センサ信号に関係する公称感度と、検体関連センサ信号に関係する感度値との比を含むことができ、ここで、この感度値は、検体関連のセンサ信号の平均と血糖測定値との比として決定することができる。
【0094】
更に、別の態様において信号減衰の存在を確認するステップは、感度レベルが、選択した信号減衰閾値レベル(一実施形態ではシステムの専門家によって決定され得る)よりも小さいことを判定するステップを含むことができる。
【0095】
本発明の別の態様に係る装置は、データストレージユニットと、このデータストレージユニットと動作可能に接続された処理ユニットとを含み、検体センサ関連の複数の信号を受信し、受信した検体センサ関連の複数の信号と関係する信号減衰の確率を決定し、決定した確率が所定の閾値レベルを上回った場合に信号減衰の存在を検証し、信号減衰の存在の検証に関係する第1の出力信号を生成するように構成される。
【0096】
信号減衰の確率を決定するように構成され得る処理ユニットは、受信した検体センサ関連の複数の信号と関係する1以上の特性を決定し、所定の係数を検体センサ関連の複数の信号に適用するように構成され得る。
【0097】
決定された1以上の特性は、検体センサ関連の信号と関係する1以上の平均値、検体センサ関連の信号と関係する最小二乗の傾き、検体センサ関連の信号と関係する標準偏差、検体センサの位置決め後の平均経過時間、又は、検体センサ関連の信号と関係する最小二乗の傾きについての分散を含むことができ、所定の閾値レベルは、ユーザが定義することも、システムの専門家が定義することも可能である。
【0098】
決定した確率が所定の閾値レベルを超えていない場合、処理ユニットは、信号減衰状態の不在と関係する第2の出力信号を生成するように更に構成され得る。
【0099】
更に別の態様では、処理ユニットは、信号減衰閾値レベルを選択し、検体関連のセンサ信号と関係する感度レベルを決定し、決定した感度レベルと、選択した信号減衰閾値レベルとの比較結果に少なくとも部分的に基づいて信号減衰の存在を確認するように更に構成され得る。
【0100】
信号減衰閾値レベルは、血糖値測定と関係することが可能である。
【0101】
血糖値測定では、毛細血管の血糖値サンプリングを含むことができる。
【0102】
検体関連のセンサと関係する感度レベルは、検体関連センサ信号に関係する公称感度と、検体関連センサ信号に関係する感度値との比を含むことができ、ここで、この感度値は、検体関連のセンサ信号の平均と血糖測定値との比として決定可能である。
【0103】
処理ユニットは、感度レベルが、選択された信号減衰閾値レベル(一態様ではシステムの専門家が決定可能)より小さいかどうかを判定するよう構成され得る。
【0104】
更に別の態様では、装置は、第1の出力信号を表示するために、処理ユニットに動作可能に接続されたユーザ出力ユニットを備えることができる。
【0105】
本発明の更に別の態様においてグルコースセンサの信号減衰を検出するためのシステムは、被験者の皮膚層を通じて経皮的に位置決めする検体センサと、検体センサに動作可能に接続されることにより検体センサに関連する信号を定期的に受信するデータ処理装置とを備え、このデータ処理装置は、初期信号減衰(ESA)の確率を決定し、1以上の所定の基準に基づいて初期信号減衰の存在を検証するように構成される。
【0106】
データ処理装置は、ユーザインターフェイスを備えることにより、検体センサと関連付けられた初期信号減衰の有無に関連する1以上の信号を出力することが可能である。
【0107】
本発明の構造及び作動方法における他の種々の修正及び変更を、本発明の範囲及び趣旨から外れることなく実施できることは、当業者には明白であろう。特定の好適な実施形態と関連させて本発明を説明したが、特許請求の範囲に記載した発明は、そのような特定の実施形態に過度に限定すべきではないことを理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を定義するものであり、当該特許請求の範囲内の構造及び方法、並びにその等価物を対象とするものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータにより実施される方法であって、
検体センサ関連の複数の信号を受信するステップと、
前記受信した検体センサ関連の複数の信号に関係する信号減衰の確率を決定するステップと、
前記決定した確率が所定の閾値を超える場合に信号減衰の存在を検証するステップと、
前記信号減衰の存在の検証と関係する第1の出力信号を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記信号減衰の確率を決定するステップが、
前記受信した検体センサ関連の複数の信号に関係する1以上の特性を決定するステップと、
前記検体センサ関連の複数の信号に所定の係数を適用するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定した1以上の特性が、前記検体センサ関連の信号に関係する1以上の平均値、前記検体センサ関連の信号に関係する最小二乗の傾き、前記検体センサ関連の信号に関係する標準偏差、前記検体センサの位置決め後の平均経過時間、又は前記検体センサ関連の信号に関係する最小二乗の傾きについての分散を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の閾値がユーザによって定義されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記決定した確率が前記所定の閾値を超えていない場合に、信号減衰状態の不在と関係する第2の出力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記信号減衰の存在を検証するステップが、
信号減衰の閾値を選択するステップと、
前記検体関連のセンサ信号に関係する感度レベルを決定するステップと、
前記決定した感度レベルと、前記選択した信号減衰の閾値との比較結果に少なくとも部分的に基づいて信号減衰の存在を確認するステップと
を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記信号減衰の閾値が血糖値測定と関連付けられていることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記血糖値測定が、毛細血管の血糖値サンプリングを含むことを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記検体関連のセンサに関係する前記感度レベルが、前記検体関連のセンサ信号に関係する公称感度と前記検体関連のセンサ信号に関係する感度値との比を含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記感度値が、前記検体関連のセンサ信号の平均と血糖測定値との比として決定されることを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記信号減衰の存在を確認するステップが、前記選択した信号減衰の閾値よりも前記感度レベルが小さいことを判定するステップを含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項12】
データストレージユニットと、
前記データストレージユニットに動作可能に接続される処理ユニットにおいて、検体センサ関連の複数の信号を受信し、前記受信した検体センサ関連の複数の信号に関係する信号減衰の確率を決定し、前記決定した確率が所定の閾値を超えた場合に信号減衰の存在を検証し、前記信号減衰の存在の検証に関係する第1の出力信号を生成するように構成される処理ユニットと
を含むことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記信号減衰の確率を決定するように構成された前記処理ユニットが、前記受信した検体センサ関連の複数の信号に関係する1以上の特性を決定し、前記検体センサ関連の複数の信号に所定の係数を適用するように構成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記決定した1以上の特性が、前記検体センサ関連の信号に関係する1以上の平均値、前記検体センサ関連の信号に関係する最小二乗の傾き、前記検体センサ関連の信号に関係する標準偏差、前記検体センサの位置決め後の平均経過時間、又は前記検体センサ関連の信号に関係する最小二乗の傾きについての分散を含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
前記所定の閾値がユーザによって定義されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項16】
前記決定した確率が前記所定の閾値を超えていない場合に、前記処理ユニットが信号減衰の状態の不在に関係する第2の出力信号を生成するように更に構成されていることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項17】
前記処理ユニットが、信号減衰の閾値を選択し、前記検体関連のセンサ信号に関係する感度レベルを決定し、前記決定した感度レベルと、前記選択した信号減衰の閾値との比較結果に少なくとも部分的に基づいて信号減衰の存在を確認するように更に構成されることを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項18】
前記信号減衰の閾値が血糖値測定と関連付けられていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記血糖値測定が毛細血管の血糖値サンプリングを含むことを特徴とする請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記検体関連のセンサに関係する前記感度レベルが、前記検体関連のセンサ信号に関係する公称感度と前記検体関連のセンサ信号に関係する感度値との比を含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記感度値が、前記検体関連のセンサ信号の平均と血糖測定値との比として決定されることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記処理ユニットが、前記選択した信号減衰の閾値よりも前記感度レベルが小さいことを判定するように更に構成されることを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項23】
ユーザ出力ユニットが前記処理ユニットに動作可能に接続され、第1の出力信号を表示することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項24】
検体センサでの信号減衰を検出するためのシステムであって、
被験者の皮膚層を通じて経皮的に位置決めする検体センサと、
前記検体センサに動作可能に接続されることにより前記検体センサに関係する信号を定期的に受信するデータ処理装置とを有し、
前記データ処理装置が、初期信号減衰(ESA)の確率を決定し、1以上の所定の基準に基づいて初期信号減衰の存在を検証するように構成されることを特徴とするシステム。
【請求項25】
前記データ処理装置が、ユーザインターフェイスを有し、
前記検体センサに関係する初期信号減衰の有無に関係する1以上の信号を出力することを特徴とする請求項24に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−508091(P2010−508091A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534910(P2009−534910)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2007/082744
【国際公開番号】WO2008/052199
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(500211047)アボット ダイアベティス ケア インコーポレイテッド (43)
【氏名又は名称原語表記】ABBOTT DIABETES CARE INC.
【出願人】(508063831)ユニヴァーシティー オブ ヴァージニア パテント ファンデーション (3)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF VIRGINIA PATENT FOUNDATION
【Fターム(参考)】