説明

検体処理システム及び検体搬送システム

【課題】 検体を搬送する搬送機構の一部が動作不能となった場合でも、搬送機構の他の部分を動作させることが可能な検体処理システム及び検体搬送システムを提供する。
【解決手段】
検体処理システム1は、測定ユニット51と情報処理ユニット52を備える血球分析装置5と、検体容器を保持したサンプルラックを搬送する検体搬送装置3とを備えている。検体搬送装置3は、検体を測定ユニット51に供給するために、前記検体を搬送する第1搬送機構と、検体を測定ユニット51に搬送しないために、前記検体を搬送する第2搬送機構とを備えている。第2搬送機構は、検体搬送装置3が具備する制御部により制御され、第1搬送機構は、情報処理ユニット52により、前記制御部から独立して制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を搬送し、搬送された検体を検体処理部で処理する検体処理システム、及び検体処理部に検体を供給するために、検体を搬送する検体搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体分析装置、塗抹標本作製装置等の複数の検体処理装置と、前記検体処理装置へ供給するために検体を搬送する搬送装置とを備え、搬送装置によって各検体処理装置へ検体を搬送し、搬送された検体を検体処理装置で処理する検体処理システムが知られている。
【0003】
特許文献1には、検体を保持する検体ラックを搬送する搬送ラインと、ラック投入部と、ラック収納部と、遠心分離ユニット、分注ユニット、分析ユニット、開栓ユニット、バーコードラベラーユニット、閉栓ユニット、及び検体分類ユニット等の複数の検体処理ユニットとを備え、搬送ラインが、検体を保持する検体ラックを、指示された処理ユニットに立ち寄らせることができるように搬送する検体処理システムが開示されている。この検体処理システムの搬送ラインは、複数の処理ユニットとそれぞれペアをなす複数の部分的ラインユニットが直列的に接続された構成を有し、処理ユニットが運転停止をしていたり、あるいはメンテナンス状態にある場合は検体ラックをその処理ユニットへ立ち寄らせずに次の処理工程に進ませる構成となっている。また、搬送ラインは、ラック投入部とラック収納部との間に配置され、ラック投入部の側からラック収納部の側へ検体ラックを搬送するための主搬送路と、ラック収納部の側からラック投入部の側へ必要に応じて検体ラックを搬送するための帰還搬送路とを含み、各々の部分的ラインユニットは、主搬送路及び帰還搬送路を部分的に受け持つ。各部分的ラインユニットは、自ユニット内の動作を制御するためのユニット制御部を内蔵している。
【特許文献1】特開平11−148940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された検体処理システムにあっては、部分的ラインユニットは、1つのユニット制御部によって主搬送路及び帰還搬送路を制御する構成であるため、ユニット制御部、主搬送路、又は帰還搬送路に故障が生じた場合に、部分的ラインユニット全体が動作不能となるという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、検体を搬送する搬送機構の一部が動作不能となった場合でも、搬送機構の他の部分を動作させることが可能な検体処理システム及び検体搬送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の検体処理システムは、検体を処理する検体処理部と、搬入側から、前記検体処理部について前記搬入側の反対側である搬出側へ向けて、前記検体処理部へ検体を供給するための検体供給位置を経由して、前記検体を搬送する第1搬送機構と、前記搬入側から前記搬出側へ向けて、前記検体供給位置を経由せずに、前記検体を搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構を制御する第1制御装置と、前記第2搬送機構を制御する、前記第1制御装置とは異なる第2制御装置と、を備え、前記第1制御装置は、前記第2制御装置から独立して前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されている。
【0007】
この態様においては、前記第1制御装置が、前記第2制御装置が前記第2搬送機構の制御を停止している場合に、前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されていることが好ましい。
【0008】
また、上記態様においては、前記第1制御装置が、前記第2制御装置が動作する場合に設定される第1搬送制御モードと、前記第2制御装置が前記第2搬送機構の制御を停止している場合に設定される第2搬送制御モードとを切替可能に構成されていることが好ましい。
【0009】
また、上記態様においては、前記第2制御装置が、検体の搬送の開始を指示する搬送開始指示信号を前記第1制御装置へ送信するように構成されており、前記第1制御装置が、検体を検出する検体検出部を具備し、前記第1搬送制御モードが設定されているときには、前記第2制御装置から搬送開始指示信号を受信した場合に検体の搬送を開始し、前記第2搬送制御モードが設定されているときには、前記検体検出部によって検体が検出された場合に前記検体の搬送を開始するように構成されていることが好ましい。
【0010】
また、上記態様においては、前記検体処理部が、複数の測定項目についてそれぞれ検体の測定が可能な検体測定部であり、前記第2制御装置が、前記検体測定部による測定項目を含む測定オーダを取得し、取得された測定オーダを含む前記搬送開始指示信号を前記第1制御装置へ送信するように構成されていることが好ましい。
【0011】
また、上記態様においては、前記第1搬送機構が、複数の検体を貯留する貯留部を具備し、前記貯留部に貯留された検体を前記検体供給位置を経由して搬送するように構成されていることが好ましい。
【0012】
また、上記態様においては、前記第1搬送機構が、前記第2搬送機構から送出された前記検体を受け付ける受付位置から、前記検体供給位置を経由して、前記第2搬送機構へ前記検体を送出するための送出位置まで、前記検体を搬送するように構成されており、前記第2搬送機構が、搬送上流側の装置から搬入された前記検体を前記受付位置へ送出可能であり、且つ、前記送出位置から送出された前記検体を搬送下流側の装置へ搬出可能であるように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記態様においては、前記第1制御装置が、前記検体処理部を制御可能に構成されていることが好ましい。
【0014】
また、上記態様においては、前記検体処理システムが、複数の前記検体処理部と、複数の前記検体処理部に各別に対応する複数の前記検体供給位置を各別に経由して、前記検体をそれぞれ搬送する複数の前記第1搬送機構と、複数の前記検体供給位置の何れも経由せずに、前記検体をそれぞれ搬送する複数の前記第2搬送機構と、を備えることが好ましい。
【0015】
本発明の一の態様の検体搬送システムは、搬入側から、検体を処理する検体処理部について前記搬入側の反対側である搬出側へ向けて、前記検体処理部へ検体を供給するための検体供給位置を経由して、前記検体を搬送する第1搬送機構と、前記搬入側から前記搬出側へ向けて、前記検体供給位置を経由せずに、前記検体を搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構を制御する第1制御装置と、前記第2搬送機構を制御する第2制御装置と、を備え、前記第1制御装置は、前記第2制御装置から独立して前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る検体処理システム及び検体搬送システムによれば、第2制御装置が第2搬送機構を制御不能となった場合でも、第1制御装置が第1搬送機構の制御を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施の形態は、検体分析装置と、前記検体分析装置へ検体を供給するために、検体を搬送する第1搬送機構と、前記検体分析装置へ前記検体を供給しないために、前記検体を搬送する第2搬送機構と、前記第1搬送機構を制御する情報処理ユニットと、前記第2搬送機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部が制御動作を停止しているときにも、情報処理ユニットが第1搬送機構を制御可能な検体処理システムである。
【0019】
[検体処理システムの構成]
図1は、本実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図である。図1に示すように、検体処理システム1は、検体投入装置2と、検体搬送装置3,301と、検体収容装置4と、血球分析装置5と、塗抹標本作製装置6と、システム制御装置8とを備えている。また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、通信ネットワークを介してホストコンピュータ9と通信可能に接続されている。
【0020】
<検体投入装置2の構成>
検体投入装置2は、複数の検体容器を収納したサンプルラックを載置することができるように構成されている。この検体投入装置2は、CPU及びメモリ等から構成された制御部(図示せず)と、サンプルラックを送出する送出機構(図示せず)と、載置されたサンプルラックを検出するセンサ(図示せず)とを備えており、当該検体投入装置2に載置されたサンプルラックをセンサによって検出し、センサによって検出されたサンプルラックを送出機構によって検体搬送装置3へ送出するように構成されている。また、検体投入装置2の制御部は、LANを介してシステム制御装置8に通信可能に接続されており、センサにてサンプルラックが検出されたときに、そのサンプルラックに番号を割り当て、検体搬送装置3へ当該サンプルラックを送出するときに、割り当てた番号をシステム制御装置8へ送信する。
【0021】
図2は、検体容器の外観を示す斜視図であり、図3は、サンプルラックの外観を示す斜視図である。図2に示すように、検体容器Tは、管状をなしており、上端が開口している。内部には患者から採取された血液検体が収容され、上端の開口は蓋部Cにより密封されている。検体容器Tは、透光性を有するガラス又は合成樹脂により構成されており、内部の血液検体が視認可能となっている。また、検体容器Tの側面には、バーコードラベルBL1が貼付されている。このバーコードラベルBL1には、検体IDを示すバーコードが印刷されている。サンプルラックLは、10本の検体容器Tを並べて保持することが可能である。サンプルラックLでは、各検体容器Tが垂直状態(立位状態)で保持される。また、サンプルラックLの側面には、バーコードラベルBL2が貼付されている。このバーコードラベルBL2には、ラックIDを示すバーコードが印刷されている。
【0022】
<検体搬送装置3の構成>
次に、検体搬送装置3の構成について説明する。図1に示すように、検体処理システム1は、3つの検体搬送装置3を備えている。血球分析装置5の3つの測定ユニット51,51,51の前方には、各別に検体搬送装置3,3,3が配置されている。隣り合う検体搬送装置3,3は接続されており、サンプルラックLを受渡しすることが可能である。また、最も右側の検体搬送装置3は、上述した検体投入装置2に接続されており、検体投入装置2から搬出されたサンプルラックLを導入することが可能となっている。最も左側の検体搬送装置3は、検体搬送装置301に接続されており、検体搬送装置301へサンプルラックLを搬出することが可能となっている。
【0023】
図4は、検体搬送装置3の構成を示す平面図である。図4に示すように、検体搬送装置3は、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へ供給するための第1搬送機構31と、検体を下流側の検体搬送装置3(又は検体搬送装置310)へ搬送するための第2搬送機構32と、第2搬送機構を制御する制御部300とを備えている。第1搬送機構31は、分析が行われる前の検体を収容する検体容器Tを保持する複数のサンプルラックLを一時的に保持することが可能な分析前ラック保持部33と、サンプルラックLを図中矢印X方向へ水平に直線移動するラック搬送部35と、ラックバーコードを読み取るバーコード読取部36と、サンプルラックLの有無を検出するラックセンサ37と、検体容器Tの有無を検出する検体容器センサ38と、第2搬送機構32へサンプルラックLを送出するラック送出部39とを備えている。
【0024】
分析前ラック保持部33は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析前ラック保持部33は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析前のサンプルラックLが載置される。分析前ラック保持部33は、第2搬送機構32に連なっており、後述する第2搬送機構32のラック送出部322によって、第2搬送機構32からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。この分析前ラック保持部33の近傍には、ラックセンサ37が取り付けられており、ラックセンサ37によってサンプルラックLが検出されるラック検出位置33aが、分析前ラック保持部33上に設けられている。第2搬送機構32から送り込まれたサンプルラックLは、ラック検出位置33aに位置し、これによって当該サンプルラックLがラックセンサ37により検出される。また、分析前ラック保持部33の両側面からは、内側へ向けてラック送込部33bが突出可能に設けられている。ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されたときに、このラック送込部33bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で後方(ラック搬送部35に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが後方へと移送される。かかるラック送込部33bは、分析前ラック保持部33の下方に設けられたステッピングモータ33cによって駆動可能に構成されている。
【0025】
ラック搬送部35は、図4に示すように、分析前ラック保持部33によって移送されたサンプルラックLを、前記X方向へと移送可能となっている。このラック搬送部35によるサンプルラックLの搬送経路上には、検体容器センサ38によって検体容器が検出される検体容器検出位置35a、及び血球分析装置5の測定ユニット51へ検体を供給するための検体供給位置35cが存在する。ラック搬送部35は、サンプルラックLを、検体容器検出位置35aを経由して、検体供給位置35cに検体が搬送されるようにサンプルラックLを搬送可能に構成されている。検体供給位置35cは、検体容器検出位置35aから検体1つ分だけ搬送方向下流側の位置であり、ラック搬送部35により検体供給位置35cに検体が搬送された場合には、後述する血球分析装置5の測定ユニット51のハンド部が当該検体の検体容器Tを把持し、サンプルラックLから検体容器Tを取り出し、検体容器Tから検体の吸引を行うことによって、検体が測定ユニット51に供給される。ラック搬送部35は、かかる検体供給位置35cに検体容器を搬送した後、検体の供給が完了し、当該検体容器TがサンプルラックLへ戻されるまでの間、サンプルラックLの搬送を待機する。
【0026】
また、ラック搬送部35は、それぞれ独立して動作可能な第1ベルト351及び第2ベルト352の2つのベルトを有している。また、第1ベルト351及び第2ベルト352の矢印Y方向の幅b1及びb2は、それぞれサンプルラックLの矢印Y方向の幅Bの半分以下の大きさである。かかる第1ベルト351及び第2ベルト352は、ラック搬送部35がサンプルラックLを搬送するときにサンプルラックLの幅Bからはみ出ないように並列に配置されている。図5は、第1ベルト351の構成を示す正面図であり、図6は、第2ベルト352の構成を示す正面図である。図5及び図6に示すように、第1ベルト351及び第2ベルト352は、それぞれ環状に形成されており、第1ベルト351はローラ351a〜351cを取り囲むように配置され、第2ベルト352はローラ352a〜352cを取り囲むように配置されている。また、第1ベルト351の外周部には、サンプルラックLのX方向の幅Wよりも若干(例えば、1mm)大きい内幅w1を有するように2つの突起片351dが設けられており、同様に、第2ベルト352の外周部には、前記内幅w1と同程度の内幅w2を有するように2つの突起片352dが設けられている。第1ベルト351は、2つの突起片351dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ351eによりローラ351a〜351cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。第1ベルト352は、2つの突起片352dの内側にサンプルラックLを保持した状態において、ステッピングモータ352eによりローラ352a〜352cの外周を移動されることによって、サンプルラックLを矢印X方向に移動するように構成されている。また、第1ベルト351及び第2ベルト352は、互いに独立してサンプルラックLを移送可能に構成されている。
【0027】
バーコード読取部36は、図2及び図3に示した検体容器Tの検体バーコードを読み取り、また、サンプルラックLに貼布されたラックバーコードを読み取る。かかるバーコード読取部36は、図示しない回転装置によって対象の検体容器TをサンプルラックLに収容したまま水平方向に回転させながら検体容器Tの検体バーコードを読み取るように構成されている。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部36に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部36へ向けることができ、バーコード読取部36に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、サンプルラックLのラックバーコードは、各サンプルラックLに固有に付されたラックIDを記録したものであり、検体の分析結果の管理等に使用される。
【0028】
ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触型のセンサであり、のれん形状の接触片、光を出射する発光素子、及び受光素子(図示せず)をそれぞれ有している。ラックセンサ37及び検体容器センサ38は、接触片が検出対象の被検出物に当接することにより屈曲され、その結果、発光素子から出射された光が接触片により反射されて受光素子に入射するように構成されている。これにより検体容器センサ38の下方をサンプルラックLに収容された検出対象の検体容器Tが通過する際に、接触片が検体容器Tにより屈曲されて、検体容器Tを検出することが可能である。
【0029】
ラック送出部39は、ラック搬送部35を挟んで後述する分析後ラック保持部34に対向するように配置されており、ステッピングモータ39aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析後ラック保持部34とラック送出部39との間の位置391(以下、「分析後ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部39を分析後ラック保持部34側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析後ラック保持部34内に移動することが可能である。このようにして、分析が完了したサンプルラックLが、第1搬送機構31から第2搬送機構32へ送出される。
【0030】
第2搬送機構32は、ラック搬送部321と、ラック送出部322と、分析後ラック保持部34とを備えている。ラック搬送部321は、図中矢印X方向へ延びており、サンプルラックLを矢印X方向へ水平に直線移動させることが可能である。かかるラック搬送部321は、環状のベルト321a及びステッピングモータ321bを有しており、ステッピングモータ321bの駆動力によってベルト321aを矢印X方向へ回転させるように構成されている。これにより、ベルト321aの上に載置されたサンプルラックLをX方向へ移動可能である。また、ラック送出部322は、分析前ラック保持部33の前側に、ラック搬送部321を挟んで分析前ラック保持部321に対向するように配置されており、ステッピングモータ322aの駆動力により矢印Y方向に水平に直線移動するように構成されている。これにより、分析前ラック保持部33とラック送出部322との間の位置323(以下、「分析前ラック送出位置」という。)にサンプルラックLが搬送された場合に、ラック送出部322を分析前ラック保持部33側に移動することによって、サンプルラックLを押動させて分析前ラック保持部33内のラック検出位置33aに移動することが可能である。
【0031】
分析後ラック保持部34は、平面視において四角形をなしており、その幅はサンプルラックLの幅より若干大きくなっている。この分析後ラック保持部34は、周囲の面よりも一段低く形成されており、その上面に分析が完了したサンプルラックLが載置される。分析後ラック保持部34は、上記のラック搬送部35に連なっており、上述したように、ラック送出部39によって、ラック搬送部35からサンプルラックLが送り込まれるようになっている。分析後ラック保持部34の両側面からは、内側へ向けてラック送込部34bが突出可能に設けられている。ラック送出部39によりサンプルラックLが搬入されたときに、このラック送込部34bが突出することによりサンプルラックLと係合し、この状態で前方(ラック搬送部321に近接する方向)へ移動することにより、サンプルラックLが前方へと移送される。かかるラック送込部34bは、分析後ラック保持部34の下方に設けられたステッピングモータ34cによって駆動可能に構成されている。
【0032】
上記のような構成の第2搬送機構32は、制御部300によって制御される。一方、第1搬送機構31は、後述する血球分析装置5の情報処理ユニット52により制御される。制御部300は、CPU、ROM、及びRAM等(図示せず)から構成されており、ROMに格納された第2搬送機構32の制御プログラムをCPUで実行することが可能である。また、かかる制御部300は、Ethernet(登録商標)インタフェースを備えており、LANを介して情報処理ユニット52及びシステム制御装置8にそれぞれ通信可能に接続されている。
【0033】
上記のような構成とすることにより、検体搬送装置3は、検体投入装置2から搬送されたサンプルラックLを、第2搬送機構32によって分析前ラック送出位置323へ搬送し、ラック送出部322により第1搬送機構の分析前ラック保持部33へ移送し、このサンプルラックLを分析前ラック保持部33からラック搬送部35へと送出し、さらにラック搬送部35によって搬送することにより、検体を血球分析装置5の測定ユニット51へと供給することができる。また、吸引が完了した検体を収容するサンプルラックLは、ラック搬送部35により、分析後ラック送出位置391へと移送され、ラック送出部39により分析後ラック保持部34へ送出される。分析後ラック保持部34に保持されたサンプルラックLは、第2搬送機構32のラック搬送部321へと移送され、ラック搬送部321により、後段の装置(検体搬送装置3又は301)へ搬出される。また、搬送下流側の測定ユニット51又は塗抹標本作成装置6にて処理する検体若しくは分析が完了した検体を収容するサンプルラックLを前段の装置から検体搬送装置3が受け入れた場合は、この第2搬送機構32のラック搬送部321によってこのサンプルラックLが矢印X方向へと搬送され、後段の検体搬送装置3へそのまま搬出される。
【0034】
<検体搬送装置301の構成>
図1に示すように、塗抹標本作製装置6の前側には、検体搬送装置301が配置されている。この検体搬送装置301は、その右側端が、3つの検体搬送装置3,3,3の内、最も搬送下流側(図中左側)に位置する検体搬送装置3と接続されており、その左側端が、検体収容装置4に接続されている。
【0035】
試料搬送装置301は、コンベア302とラックスライダ303とを備えている。コンベア302には、それぞれ左右方向へ延びた2つのラック搬送路302a,302bが設けられている。塗抹標本作製装置6に近接するラック搬送路302aは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容するサンプルラックLを搬送するための測定ラインである。一方、塗抹標本作製装置6から離れたラック搬送路302bは、塗抹標本作製装置6に供給すべき検体を収容していないサンプルラックLを搬送するためのスキップラインである。また、コンベア302は、CPU及びメモリを備えており、各動作機構を制御する制御部(図示せず)を備えている。
【0036】
ラックスライダ303は、コンベア302の右側に配置されており、コンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bへサンプルラックLの振り分け投入を行う。
【0037】
<検体収容装置4の構成>
検体収容装置4は、複数のサンプルラックLを載置することができるように構成されている。かかる検体収容装置4は、分析又は塗抹標本作製を終了したサンプルラックLを検体搬送装置301から受け取り、収容する。
【0038】
<血球分析装置5の構成>
血球分析装置5は、光学式フローサイトメトリー方式の多項目血球分析装置であり、血液検体に含まれる血球に関して側方散乱光強度、蛍光強度等を取得し、これらに基づいて検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成し、これを表示する。かかる血球分析装置5は、血液検体を測定する測定ユニット51と、測定ユニット51から出力された測定データを処理し、血液検体の分析結果を表示する情報処理ユニット52とを備えている。
【0039】
血球分析装置5は、図1に示すように、3つの測定ユニット51,51,51と、1つの情報処理ユニット52とを備えている。情報処理ユニット52は、3つの測定ユニット51,51,51及び3つの検体搬送装置3,3,3と通信可能に接続されており、これらの3つの測定ユニット51,51,51及び3つの第1搬送機構31,31,31の動作をそれぞれ制御可能である。
【0040】
また、3つの測定ユニット51,51,51は、同一の構成である。図7は、測定ユニット51の構成を示すブロック図である。図7に示すように、測定ユニット51は、検体である血液を検体容器(採血管)Tから吸引する検体吸引部511と、検体吸引部511により吸引した血液から測定に用いられる測定試料を調製する試料調製部512と、試料調製部512により調製された測定試料から血球を検出する検出部513とを有している。また、測定ユニット51は、検体搬送装置3のラック搬送部35によって搬送されたサンプルラックLに収容された検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込むための取込口(図示せず)と、サンプルラックLから検体容器Tを測定ユニット51の内部に取り込み、検体吸引部511による吸引位置まで検体容器Tを搬送する検体容器搬送部515とをさらに有している。
【0041】
検体吸引部511の先端部には、吸引管(図示せず)が設けられている。また、検体吸引部511は、鉛直方向に移動可能であり、下方に移動されることにより、吸引位置まで搬送された検体容器Tの蓋部CPを前記吸引管が貫通し、内部の血液を吸引するように構成されている。
【0042】
検出部513は、RBC(赤血球)検出及びPLT(血小板)検出をシースフローDC検出法により行うことが可能であり、また、HGB(ヘモグロビン)検出をSLS−ヘモグロビン法により行うことが可能であるように構成されている。また、検出部513は、WBC(白血球)検出を、半導体レーザを使用したフローサイトメトリー法により行うことが可能であるように構成されている。
【0043】
検体容器搬送部515は、検体容器Tを把持可能なハンド部515aを備えている。ハンド部515aは、互いに対向して配置された一対の把持部材を備えており、この把持部材を互いに近接及び離反させることが可能である。かかる把持部材を、検体容器Tを挟んだ状態で近接させることにより、検体容器Tを把持することができる。また、検体容器搬送部515は、ハンド部515aを上下方向及び前後方向(Y方向)に移動させることができ、さらに、ハンド部515aを揺動させることができる。これにより、サンプルラックLに収容され、供給位置35cに位置した検体容器Tをハンド部515aにより把持し、その状態でハンド部515aを上方に移動させることによりサンプルラックLから検体容器Tを抜き出し、ハンド部515aを揺動させることにより、検体容器T内の検体を撹拌することができる。
【0044】
また、検体容器搬送部515は、検体容器Tを挿入可能な穴部を有する検体容器セット部515bを備えている。上述したハンド部515aによって把持された検体容器Tは、撹拌完了後移動され、把持した検体容器Tを検体容器セット部515bの穴部に挿入する。その後、把持部材を離反させることにより、ハンド部515aから検体容器Tが開放され、検体容器セット部515bに検体容器Tがセットされる。かかる検体容器セット部515bは、図示しないステッピングモータの動力によって、Y方向へ水平移動可能である。測定ユニット51の内部には、バーコード読取部516が設けられている。検体容器セット部515bは、バーコード読取部516の近傍のバーコード読取位置516a及び検体吸引部511による吸引位置511aへ移動可能である。検体容器セット部515bがバーコード読取位置516aへ移動したときには、セットされた検体容器Tが図示しない回転機構により水平回転され、バーコード読取部516により検体バーコードが読み取られる。これにより、検体容器TのバーコードラベルBL1がバーコード読取部516に対して反対側に位置する場合でも、検体容器Tを回転させることにより、バーコードラベルBL1をバーコード読取部516へ向けることができ、バーコード読取部516に検体バーコードを読み取らせることが可能である。また、検体容器セット部515bが吸引位置へ移動したときには、検体吸引部511により、セットされた検体容器Tから検体が吸引される。
【0045】
次に、情報処理ユニット52の構成について説明する。情報処理ユニット52は、コンピュータにより構成されている。図8は、情報処理ユニット52の構成を示すブロック図である。情報処理ユニット52は、コンピュータ52aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ52aは、本体521と、画像表示部522と、入力部523とを備えている。本体521は、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hを備えており、CPU521a、ROM521b、RAM521c、ハードディスク521d、読出装置521e、入出力インタフェース521f、通信インタフェース521g、及び画像出力インタフェース521hは、バス521jによって接続されている。
【0046】
CPU521aは、RAM521cにロードされたコンピュータプログラムを実行することが可能である。そして、後述するような検体分析用並びに測定ユニット51及び第1搬送機構31の制御用のコンピュータプログラム524aを当該CPU521aが実行することにより、コンピュータ52aが情報処理ユニット52として機能する。
【0047】
ROM521bは、マスクROM、PROM、EPROM、又はEEPROM等によって構成されており、CPU521aに実行されるコンピュータプログラム及びこれに用いるデータ等が記録されている。
【0048】
RAM521cは、SRAMまたはDRAM等によって構成されている。RAM521cは、ハードディスク521dに記録されているコンピュータプログラム524aの読み出しに用いられる。また、CPU521aがコンピュータプログラムを実行するときに、CPU521aの作業領域として利用される。
【0049】
ハードディスク521dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU521aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するコンピュータプログラム524aも、このハードディスク521dにインストールされている。
【0050】
読出装置521eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体524に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体524には、コンピュータを情報処理ユニット52として機能させるためのコンピュータプログラム524aが格納されており、コンピュータ52aが当該可搬型記録媒体524からコンピュータプログラム524aを読み出し、当該コンピュータプログラム524aをハードディスク521dにインストールすることが可能である。
【0051】
なお、前記コンピュータプログラム524aは、可搬型記録媒体524によって提供されるのみならず、電気通信回線(有線、無線を問わない)によってコンピュータ52aと通信可能に接続された外部の機器から前記電気通信回線を通じて提供することも可能である。例えば、前記コンピュータプログラム524aがインターネット上のサーバコンピュータのハードディスク内に格納されており、このサーバコンピュータにコンピュータ52aがアクセスして、当該コンピュータプログラムをダウンロードし、これをハードディスク521dにインストールすることも可能である。
【0052】
また、ハードディスク521dには、例えば米マイクロソフト社が製造販売するWindows(登録商標)等のマルチタスクオペレーティングシステムがインストールされている。以下の説明においては、本実施の形態に係るコンピュータプログラム524aは当該オペレーティングシステム上で動作するものとしている。
【0053】
入出力インタフェース521fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース521fには、キーボード及びマウスからなる入力部523が接続されており、ユーザが当該入力部523を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。また、入出力インタフェース521fは、3つの測定ユニット51,51,51に接続されている。これにより、3つの測定ユニット51,51,51のそれぞれとの間でデータの送受信が可能となっている。
【0054】
通信インタフェース521gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース521gはLANを介してシステム制御装置8に接続されている。コンピュータ52aは、通信インタフェース521gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続されたシステム制御装置8との間でデータの送受信が可能である。また、かかる通信インタフェース521gは、上記のLANを介してホストコンピュータ9に通信可能に接続されている。
【0055】
画像出力インタフェース521hは、LCDまたはCRT等で構成された画像表示部522に接続されており、CPU521aから与えられた画像データに応じた映像信号を画像表示部522に出力するようになっている。画像表示部522は、入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0056】
<塗抹標本作製装置6の構成>
塗抹標本作製装置6は、血液検体を吸引し、スライドガラス上に滴下して、その血液検体をスライドガラス上で薄く引き延ばし、乾燥させた上で、当該スライドガラスに染色液を供給してスライドガラス上の血液を染色することにより、塗抹標本を作製する。
【0057】
図9は、塗抹標本作製装置6の概略構成を示すブロック図である。図9に示すように、塗抹標本作製装置6は、検体分注部61と、塗抹部62と、スライドガラス搬送部63と、染色部64と、制御部65とを備えている。
【0058】
検体分注部61は、吸引管(図示せず)を備えており、この吸引管を検体搬送装置3の測定ライン31a上を搬送されたサンプルラックLの検体容器Tの蓋部Cに突き刺して、この検体容器Tから血液検体を吸引する。また、検体分注部61は、吸引した血液検体をスライドガラス上に滴下するように構成されている。塗抹部62は、スライドガラス上に滴下された血液検体を塗抹して乾燥させ、さらに、スライドガラスに印字するように構成されている。
【0059】
スライドガラス搬送部63は、塗抹部62によって血液検体が塗抹されたスライドガラスを図示しないカセットに収容させ、さらにそのカセットを搬送するために設けられている。染色部64は、スライドガラス搬送部63によって染色位置まで搬送されたカセット内のスライドガラスに対して、染色液を供給する。制御部65は、検体搬送装置3から与えられた標本作製指示にしたがって、検体分注部61、塗抹部62、スライドガラス搬送部63、及び染色部64を制御し、上記の塗抹標本作製動作を実行させる。このようにして作製された塗抹標本は、血球画像表示装置7へと送出される。
【0060】
<システム制御装置8の構成>
システム制御装置8は、コンピュータにより構成されており、検体処理システム1の全体を制御する。このシステム制御装置8は、検体投入装置2からサンプルラックLの番号を受け付け、そのサンプルラックLの搬送先を決定する。
【0061】
システム制御装置8は、コンピュータ8aによって実現される。図8に示すように、コンピュータ8aは、本体81と、画像表示部82と、入力部83とを備えている。本体81は、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hを備えており、CPU81a、ROM81b、RAM81c、ハードディスク81d、読出装置81e、入出力インタフェース81f、通信インタフェース81g、及び画像出力インタフェース81hは、バス81jによって接続されている。
【0062】
ハードディスク81dは、オペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等、CPU81aに実行させるための種々のコンピュータプログラム及び当該コンピュータプログラムの実行に用いられるデータがインストールされている。後述するシステム制御プログラム84aも、このハードディスク81dにインストールされている。
【0063】
読出装置81eは、フレキシブルディスクドライブ、CD−ROMドライブ、またはDVD−ROMドライブ等によって構成されており、可搬型記録媒体84に記録されたコンピュータプログラムまたはデータを読み出すことができる。また、可搬型記録媒体84には、コンピュータをシステム制御装置8として機能させるためのシステム制御プログラム84aが格納されており、コンピュータ8aが当該可搬型記録媒体84からシステム制御プログラム84aを読み出し、当該システム制御プログラム84aをハードディスク81dにインストールすることが可能である。
【0064】
入出力インタフェース81fは、例えばUSB,IEEE1394,又はRS-232C等のシリアルインタフェース、SCSI,IDE,又は IEEE1284等のパラレルインタフェース、及びD/A変換器、A/D変換器等からなるアナログインタフェース等から構成されている。入出力インタフェース81fには、キーボード及びマウスからなる入力部83が接続されており、ユーザが当該入力部83を使用することにより、コンピュータ52aにデータを入力することが可能である。
【0065】
通信インタフェース81gは、Ethernet(登録商標)インタフェースである。通信インタフェース81gはLANを介して検体投入装置2、検体搬送装置3、検体収容装置4、上方処理ユニット52、及びホストコンピュータ9に接続されている。コンピュータ8aは、通信インタフェース81gにより、所定の通信プロトコルを使用して当該LANに接続された上記の各装置との間でデータの送受信が可能である。
【0066】
なお、システム制御装置8のその他の構成は、上述した情報処理ユニット52の構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0067】
<ホストコンピュータ9の構成>
ホストコンピュータ9は、コンピュータにより構成されており、CPU、ROM、RAM、ハードディスク、通信インタフェース等を備えている。通信インタフェースは、上述したLANに接続されており、システム制御装置8、血球分析装置5の情報処理ユニット52、血球画像表示装置7の画像処理ユニット73、検体投入装置2、検体搬送装置3、及び検体収容装置4と通信することが可能である。また、ハードディスクには、測定オーダが格納されている。他の装置から検体IDを含む測定オーダの要求データを受信したときには、この検体IDに対応する測定データをハードディスクから読み出し、要求元の装置へ送信するように構成されている。その他、ホストコンピュータ9の構成は、上述した他のコンピュータの構成と同様であるので、その説明を省略する。
【0068】
以下、本実施の形態に係る検体処理システム1の動作について説明する。
【0069】
<検体投入装置2の動作>
ユーザは、検体容器Tを収容したサンプルラックLを検体投入装置2に載置し、検体投入装置2の操作パネル(図示せず)を操作して、検体処理システム1に分析開始の指示を与える。検体投入装置2の制御部は、かかる分析開始の指示を受け付け、これによりサンプルラックLの移送を開始する。分析開始の指示を受け付けた後、検体投入装置2のセンサにより、検体投入装置2上のサンプルラックLが検出される。このようにセンサによってサンプルラックLが検出されたときに、検体投入装置2の制御部によりこのサンプルラックLに番号(以下、「ラックシーケンシャル番号」という。)が割り当てられる。なお、ラックシーケンシャル番号は、センサによって検出された順に各サンプルラックLに対して割り当てられる。この後、検体投入装置2に載置されたサンプルラックLは、検体投入装置2上を移送され、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達する。次いで、検体投入装置2の制御部は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てたラックシーケンシャル番号を含む搬出要求データを送信する。その後、検体投入装置2が、システム制御装置8から搬出指示データを受信したときには、検体投入装置2は、サンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する。
【0070】
<システム制御装置8の動作>
次に、システム制御装置8の動作について説明する。システム制御装置8は、検体投入装置2から搬出要求データを受信し、この搬出要求データに含まれるラックシーケンシャル番号を用いて、サンプルラックLの搬送先を決定する。以下、この動作を詳しく説明する。
【0071】
図10は、搬送先決定処理の手順を示すフローチャートである。検体投入装置2から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS101)。システム制御装置8のCPU81aにより実行されるシステム制御プログラム84aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU81aにおいては、ラックシーケンシャル番号を受信するイベントが発生すると、ステップS102の処理が呼び出される。
【0072】
ステップS102において、CPU81aは、受信した搬出要求データに含まれるラックシーケンシャル番号に対応するサンプルラックLの搬送先を決定する。この処理においては、システム制御装置8が、各検体搬送装置3,3,3の状態を管理しており、それぞれ検体搬送装置3,3,3の状態によって搬送先が決定される。例えば、検体処理システム1が起動した初期においては、いずれの測定ユニット51,51,51も動作していない。このため、測定ユニット51,51,51に接続されたそれぞれの検体搬送装置3,3,3の第1搬送機構31,31,31及び第2搬送機構32,32,32の状態は「ラック受取可」とされる。したがって、このような場合には、予め定められた一方の第1搬送機構51が搬送先として決定される。また、1つの測定ユニット51によって検体の測定が実行されている場合は、第1搬送機構31上にサンプルラックLが存在するため、他の測定ユニット51,51に接続された検体搬送装置3,3の第1搬送機構31,31へサンプルラックLを搬出する方が効率的である。したがって、このような場合には、サンプルラックLを搬送していない第1搬送機構31が搬送先として決定される。
【0073】
次に、CPU81aは、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3(つまり、図1中で最も右側の検体搬送装置3)へ、決定した搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS103)。この搬入準備指示データは、この検体搬送装置3においてサンプルラックLを搬送する搬送ライン(第1搬送機構31又は第2搬送機構32)を示すデータ(以下、「使用搬送ライン指示データ」という)、及びサンプルラックLのラックシーケンシャル番号を含んでいる。つまり、このサンプルラックLの搬送先が、検体投入装置2に隣接する検体搬送装置3の第1搬送機構31である場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第1搬送機構を示すデータがセットされる。一方、これより後段の検体搬送装置3の第1搬送機構31が搬送先として決定されている場合には、搬入準備指示データにおいて、使用搬送ライン指示データとして第2搬送機構を示すデータがセットされる。後述するように、この搬入準備指示データを受信した検体搬送装置3は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データによって示される搬送機構の準備動作(サンプルラックLの受け入れを可能とする動作)を実行し、その後、搬入準備完了データを送信する。
【0074】
CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS104においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS104においてYES)、CPU81aは、検体投入装置2へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS105)。検体投入装置2は、上述したように、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前記検体投入装置2から搬出完了データを待機する(ステップS106においてNO)。搬出完了データが検体投入装置2から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS106においてYES)、CPU81aは、検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS107においてNO)。搬入完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS107においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0075】
次に、システム制御装置8の搬送指示処理について説明する。図11は、搬送指示処理の手順を示すフローチャートである。後述するように、検体搬送装置3によりサンプルラックLが搬送され、第2搬送機構32の終端位置、すなわち、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3(又は検体搬送装置301)へ搬出するための搬出位置にサンプルラックLが到達したときには、このサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号を含む搬出要求データが検体搬送装置3から送信される。検体搬送装置3から送信された搬出要求データは、システム制御装置8の通信インタフェース81gにより受信される(ステップS111)。CPU81aにおいては、検体搬送装置3から搬出要求データを受信するイベントが発生すると、ステップS112の処理が呼び出される。
【0076】
ステップS112において、CPU81aは、当該検体搬送装置3の後段の検体搬送装置3へ、搬送先決定処理で決定された搬送先に基づいて、サンプルラックLの搬入準備指示データを送信する(ステップS112)。この搬入準備指示データは、上述した搬入準備指示データと同様であるので、その説明を省略する。
【0077】
次に、CPU81aは、前記検体搬送装置3から搬入準備完了データを待機する(ステップS113においてNO)。搬入準備完了データが検体搬送装置3から送信され、この搬入準備完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS113においてYES)、CPU81aは、前段(搬出側)の検体搬送装置3へ、サンプルラックLの搬出指示データを送信する(ステップS114)。前段の検体搬送装置3は、搬出指示データを受信したときには、サンプルラックLを後段の検体搬送装置3へ搬出し、搬出完了データを送信する。CPU81aは、前段の検体搬送装置3から搬出完了データを待機し(ステップS115においてNO)、搬出完了データが前段の検体搬送装置3から送信され、この搬出完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS115においてYES)、CPU81aは、後段の検体搬送装置3から搬入完了データを待機する(ステップS116においてNO)。搬入完了データが後段の検体搬送装置3から送信され、この搬入完了データをシステム制御装置8が受信した場合には(ステップS116においてYES)、CPU81aは、処理を終了する。
【0078】
<検体搬送装置3の制御部300の動作>
ここでは、血球分析装置5の前方に配置された検体搬送装置3の制御部300の動作について説明する。図12は、制御部300による第2搬送機構32の制御処理の流れを示すフローチャートである。システム制御装置8から送信された搬入準備指示データは、制御部300により受信される(ステップS201)。制御部300のCPUにより実行される搬送制御プログラムはイベントドリブン型のプログラムであり、制御部300においては、搬入準備指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS202の処理が呼び出される。
【0079】
ステップS202において、制御部300は、第2搬送機構32のベルト321aを駆動する等して、搬入準備動作を実行する(ステップS202)。搬入準備が完了したときには、制御部300は、搬入準備が完了したことを通知するための搬入準備完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS203)。
【0080】
搬入準備完了データの送信に応じて、サンプルラックLが前段の装置から搬出され、これによってサンプルラックLが第2搬送機構32に搬入される(ステップS204)。サンプルラックLの搬入が完了したときには、制御部300は、サンプルラックLの搬入完了を通知するための搬入完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS205)。
【0081】
次に、制御部300は、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれを示しているか、すなわち、第1搬送機構31及び第2搬送機構32のいずれが使用対象の搬送ラインであるかを判定する(ステップS206)。ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第1搬送機構31を示している場合、すなわち、第1搬送機構31が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第1搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、分析前ラック送出位置へサンプルラックLを搬送し(ステップS207)、その後、ラック送出部322を駆動して、第1搬送機構31の分析前ラック保持部33へサンプルラックLを送り込む(ステップS208)。さらに、制御部300は、情報処理ユニット52へ、サンプルラックLの搬送開始を指示する搬送開始指示データを送信する(ステップS209)。
【0082】
その後、後述するように第1搬送機構31によってサンプルラックLが搬送され、検体が測定ユニット51に供給される。サンプルラックLが保持する全ての検体の測定が完了した後、このサンプルラックLは第1搬送機構31によってさらに搬送され、分析後ラック保持部34に送出される。また、このとき、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データが情報処理ユニット52から送信される。情報処理ユニット52から送信された搬送完了通知示データは、制御部300により受信される(ステップS210)。CPU521aにおいては、搬送完了通知データを受信するイベントが発生すると、ステップS211の処理が呼び出される。
【0083】
ステップS211において、制御部300は、ステッピングモータ34cを駆動することにより、ラック送込部34bを動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321まで移送する(ステップS211)。次に、制御部300は、ステッピングモータ321bを駆動することにより、ラック搬送部321を動作させ、これによって、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS212)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0084】
一方、ステップS206において、搬入準備指示データに含まれる使用搬送ライン指示データが第2搬送機構32を示している場合、すなわち、第2搬送機構32が使用対象の搬送ラインである場合には(ステップS206において「第2搬送機構」)、制御部300は、ラック搬送部321を制御して、サンプルラックLをラック搬送部321上で移送し、サンプルラックLを搬出するための搬出位置に到達させる(ステップS213)。その後、制御部300は、処理をステップS214へ移す。
【0085】
ステップS214において、制御部300は、システム制御装置8へサンプルラックLに割り当てられたラックシーケンシャル番号を含む搬出要求データを送信する(ステップS214)。その後、制御部300は、システム制御装置8から搬出指示データを待機し(ステップS215においてNO)、搬出指示データを受信したときには(ステップS215においてYES)、ステッピングモータ321bを駆動してサンプルラックLを隣接する検体搬送装置3へ搬出し(ステップS216)、搬出完了データをシステム制御装置8へ送信する(ステップS217)。そして、制御部300は、処理を終了する。
【0086】
<血球分析装置5の動作>
次に、血球分析装置5の動作について説明する。情報処理ユニット52は、検体搬送装置3と協調して第1搬送機構31の制御を行う第1搬送制御モード、及び検体搬送装置3とは独立して第1搬送機構31の制御を行う第2搬送制御モードのいずれかの搬送制御モードを設定することができる。かかる搬送制御モードの設定においては、情報処理ユニット52の画像表示部522に搬送制御モードを設定するための設定画面が表示され、ユーザが入力部523を操作することにより、第1搬送制御モード及び第2搬送制御モードの何れかが設定される。検体処理システム1の全体でサンプルラックLを搬送する場合には、第1搬送制御モードが設定される。ここでは、まず第1搬送制御モードにおける情報処理ユニット52の第1搬送機構31の制御動作について説明する。
【0087】
図13は、血球分析装置5の情報処理ユニット52による第1搬送制御モードにおける第1搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。検体搬送装置3から送信された搬送開始指示データは、情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信される(ステップS301)。情報処理ユニット52のCPU521aにより実行されるコンピュータプログラム524aはイベントドリブン型のプログラムであり、CPU521aにおいては、搬送開始指示データを受信するイベントが発生すると、ステップS302の処理が呼び出される。
【0088】
上述のようにラック送出部322によって分析前ラック保持部33のラック検出位置33aにサンプルラックLが送り込まれると、このサンプルラックLがラックセンサ37により検出される。CPU521aは、ラックセンサ37によりサンプルラックLが検出されているか否かを判定し(ステップS302)、サンプルラックLが検出されていない場合には(ステップS302においてNO)、処理を終了する。一方、サンプルラックLが検出されている場合には(ステップS302においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ33cを駆動することにより、ラック送込部33bを動作させ、これによって、サンプルラックLを分析前ラック保持部33上で移送する(ステップS303)。
【0089】
次にCPU521aは、ステッピングモータ351eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、ラック搬送部35上に到達したサンプルラックLを、サンプルラックLの検体容器Tの保持部の内、図1において最も左側に位置する保持部が検体容器検出位置に到達するまで移送する(ステップS304)。次に、CPU521aは、サンプルラックLにおける検体容器Tの保持位置を示す変数iに1をセットし(ステップS305)、検体容器センサ38によって検体容器検出位置に検体容器Tが検出されたか否かを判定し(ステップS306)、検体容器Tが検出された場合には(ステップS306においてYES)、RAM521cに設けられた検体吸引可能フラグに「1」をセットし(ステップS307)、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送する(ステップS308)。これにより、検体容器センサ38によって検出された検体容器Tが検体供給位置35cに位置することとなり、後述するように検体が吸引される。なお、検体吸引可能フラグの初期値は「0」である。かかる検体吸引可能フラグは、後述するように、検体の吸引が完了し、ハンド部515aにより検体容器TがサンプルラックLに戻された後に、再度「0」にセットされる。CPU521aは、検体吸引可能フラグが「0」にセットされるまで待機し(ステップS309においてNO)、検体吸引可能フラグが「0」にセットされた場合に(ステップS309においてYES)、処理をステップS311へ進める。
【0090】
一方、ステップS306において検体容器Tが検出されなかった場合には(ステップS306においてNO)、CPU521aは、サンプルラックLを1検体分左方向へ移送し(ステップS310)、処理をステップS311へ進める。ステップS311において、CPU521aは、iが10以上であるか否かを判定し(ステップS311)、iが10未満である場合には(ステップS311においてNO)、iを1インクリメントし(ステップS312)、ステップS306へ処理を戻す。
【0091】
ステップS311において、iが10以上である場合には(ステップS311においてYES)、CPU521aは、ステッピングモータ351eを駆動することにより、ラック搬送部35を動作させ、これによって、サンプルラックLを分析後ラック送出位置391まで搬送する(ステップS313)。次に、CPU521aは、ステッピングモータ39aを駆動して、ラック送出部39を動作させ、サンプルラックLを分析後ラック保持部34へ送出し(ステップS314)、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送完了を通知するための搬送完了通知データを検体搬送装置3へ送信し(ステップS315)、処理を終了する。この搬送完了通知データを受信した検体搬送装置3は、上述したように、サンプルラックLを搬送し、後段の装置へと搬出する。
【0092】
次に、第2搬送制御モードにおける情報処理ユニット52の第1搬送機構31の制御動作について説明する。第2搬送制御モードは、検体搬送装置3の制御部300、第2搬送機構32、若しくはシステム制御装置8に故障又は異常が発生した場合、又はシステム制御装置8を起動していない場合等、第2搬送機構32を動作させることができず、検体分析装置5及び第1搬送機構31のみを動作させたい場合に設定される。
【0093】
図14は、血球分析装置5の情報処理ユニット52による第2搬送制御モードにおける第1搬送機構31の制御処理の流れを示すフローチャートである。この第2搬送制御モードにおいては、ユーザが手作業で複数のサンプルラックLを第1搬送機構31の分析前ラック保持部33に載置する。この場合、ラック検出位置33aに載置されたサンプルラックLがラックセンサ37により検出される(ステップS321)。CPU521aにおいては、サンプルラックLがラックセンサ37により検出されるイベントが発生すると、ステップS322の処理が呼び出される。
【0094】
ステップS322において、CPU521aは、ステッピングモータ33cを駆動することにより、ラック送込部33bを動作させ、これによって、サンプルラックLを分析前ラック保持部33上で移送する(ステップS322)。その後、CPU521aは、ステップS323〜S333の処理を実行するが、これらの処理は上述したステップS304〜S314の処理と同様であるので、その説明を省略する。
【0095】
この場合、第2搬送機構32が動作しないため、分析が完了した検体を収容するサンプルラックLが次々にラック送出部39により分析後ラック保持部34へと送出され、これらの複数のサンプルラックLが分析後ラック保持部34に貯留されることとなる。
【0096】
次に、血球分析装置5による検体の分析動作について説明する。図15A及び図15Bは、本実施の形態に係る血球分析装置5による検体の分析動作の手順を示すフローチャートである。まず、情報処理ユニット52のCPU521aは、定期的にRAM521cの検体吸引可能フラグをチェックする。CPU521aにおいて、検体吸引可能フラグに「1」がセットされているイベントが発生すると(ステップS341)、ステップS342の処理が呼び出される。
【0097】
ステップS342において、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御し、供給位置35cにある検体容器TをサンプルラックLから抜き出し(ステップS342)、ハンド部515aを制御して検体容器Tを揺動させ、内部の検体を撹拌する(ステップS343)。次に、CPU521aは、ハンド部515aを制御して、検体容器セット部515bに検体容器Tをセットし(ステップS344)、さらに検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tをバーコード読取位置516aへ搬送する(ステップS345)。次に、CPU521aは、バーコード読取部516により検体容器Tの検体バーコードを読み取り、検体IDを取得する(ステップS346)。さらにCPU521aは、検体IDを含むオーダ要求データを通信インタフェース521gにホストコンピュータ9へ送信させ(ステップS347)、測定オーダを問い合わせる。その後、CPU521aは、測定オーダの受信を待機し(ステップS348においてNO)、ホストコンピュータ9から送信された測定オーダが情報処理ユニット52の通信インタフェース521gにより受信されると(ステップS348においてYES)、受信した測定オーダをハードディスク521dに記憶する(ステップS349)。
【0098】
次に、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器Tを吸引位置へ搬送し(ステップS350)、検体吸引部511を制御し、記憶した測定オーダに含まれる測定項目に必要な量の検体を検体容器Tから吸引する(ステップS351)。検体の吸引が完了した後には、CPU521aは、検体容器搬送部515を制御して、検体容器TをサンプルラックLへ戻し(ステップS352)、検体吸引可能フラグに「0」をセットする(ステップS353)。これにより、上述したようにサンプルラックLがラック搬送部35により搬送される。
【0099】
また、CPU521aは、試料調製部512を制御し、測定項目に応じて測定試料を調製し(ステップS354)、検出部513に測定試料を供給して、検出部513により検体の測定を行う(ステップS355)。これにより、CPU521aは、検出部513から出力される測定データを取得する。CPU521aは、測定データの解析処理を実行し(ステップS356)、検体中に含まれる血球を分類し、且つ、種類毎に血球数を計数し、このように分類された血球が種類毎に色分けされたスキャッタグラムを作成する。測定データの解析処理により生成された分析結果データは、測定オーダに含まれる患者情報等と共にハードディスク521aに格納され(ステップS357)、また、ホストコンピュータ9へ送信される(ステップS358)。ホストコンピュータ9は、上述した測定オーダに分析結果データを統合してハードディスクに記憶する。ステップS358の処理を完了した後、CPU521aは、処理を終了する。
【0100】
<検体搬送装置301の動作>
搬送方向において最も下流側に位置する検体搬送装置3から送出されたサンプルラックLは、ラックスライダ303に導入される。ラックスライダ303は、詳細は省略するが、システム制御装置8からの指示を受け付け、サンプルラックLをコンベア302の測定ライン302a及びスキップライン302bの何れかへ送出する。測定ライン302aにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部が測定ライン302aを動作させ、塗抹標本作製装置6へ検体を供給する供給位置に塗抹標本作製対象の検体容器Tが位置するように、サンプルラックLを搬送する。塗抹標本作製装置6への検体の供給が完了した後は、さらに測定ライン302aが駆動され、検体収容装置4へとサンプルラックLが搬出される。また、スキップライン302bにサンプルラックLが搬入された場合には、コンベア302の制御部がスキップライン302bを動作させ、サンプルラックLをスキップライン302上で搬送して、検体収容装置4へ搬出する。
【0101】
<検体収容装置4の動作>
検体搬送装置301から送出されたサンプルラックLは、検体収容装置4に導入される。検体収容装置4は、かかるサンプルラックLをラック載置部上で搬送し、収容する。
【0102】
以上のような構成とすることにより、検体搬送装置3の制御部300、第2搬送機構32、若しくはシステム制御装置8に故障又は異常が発生した場合、又はシステム制御装置8を起動していない場合等、第2搬送機構32を動作させることができない場合でも、情報処理ユニット52が制御部300とは独立して第1搬送機構31を制御可能であるので、血球分析装置5及び第1搬送機構31を用いて検体の分析を行うことができる。
【0103】
特に、制御部300、第2搬送機構32、又はシステム制御装置8に故障又は異常が発生した場合には、制御部300の制御動作が停止し、サービスマン又はユーザが修理又は復旧作業を行わなければならない。本実施の形態に係る検体処理システム1は、このような場合でも搬送機構を用いた検体の連続測定が可能である点で有用である。
【0104】
また、第1搬送制御モードと第2搬送制御モードとをユーザが切替可能であるため、例えば、検体処理システム1を動作させているときに、制御部300、第2搬送機構32、又はシステム制御装置8に故障又は異常が発生した場合には、ユーザが第2搬送制御モードを設定するだけで、容易に検体の分析を再開することが可能となる。また、分析対象の検体の数が少ない場合には、検体処理システム1の全体を動作させず、検体処理システム1の一部のみを用いて分析を行いたいことがある。このような場合には、1台の検体搬送装置3、1台の測定ユニット51、及び情報処理ユニット52を起動し、ユーザが第2搬送制御モードを設定するだけで、簡便に検体の分析を行うことができる。また、検体処理システムをこのように使用することは、検体処理システム1の全てを動作させる必要がないため、省電力の観点においても好ましい。
【0105】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、第1搬送制御モードが設定されているときには、制御部300から情報処理ユニット52へ送信される搬送開始指示データをトリガーとして、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送を開始する構成とすることにより、制御部300と情報処理ユニット52とが同期を取って搬送制御を実行することができ、第1搬送機構31及び第2搬送機構32をスムーズに動作させることができる。一方、第2搬送制御モードが設定されているときには、ラックセンサ37によって分析前ラック保持部33上のサンプルラックLが検出されたことをトリガーとして、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送を開始する構成とすることにより、情報処理ユニット52が制御部300から独立して第1搬送機構31を制御することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係る検体処理システム1は、複数のサンプルラックLを貯留可能な分析前ラック保持部33を第1搬送機構31に設け、分析前ラック保持部33に載置されているサンプルラックLを自動的に搬送し、これらのサンプルラックLに収容されている検体を測定する構成としたため、第2搬送制御モードが設定されているときにおいては、ユーザが複数のサンプルラックLを分析前ラック保持部33に載置しておくだけで、これらのサンプルラックLに収容されている検体を分析することができる。
【0107】
(その他の実施の形態)
なお、上述した実施の形態においては、血球分析装置5の情報処理ユニット52により第1搬送機構31の制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。第1搬送機構31専用の制御部を、情報処理ユニット52及び制御部300とは別個に設ける構成としてもよい。
【0108】
また、上述した実施の形態においては、また、第2搬送機構32専用の制御部300を設ける構成について述べたが、これに限定されるものではない。システム制御装置8が第2搬送機構32の制御を行う構成としてもよい。
【0109】
また、上述した実施の形態においては、第1搬送制御モード及び第2搬送制御モードの何れか一方を設定可能であり、第1搬送制御モードが設定されているときには、情報処理ユニット52と制御部300が協調して第1搬送機構31及び第2搬送機構32の制御を行い、第2搬送制御モードが設定されているときには、情報処理ユニット52が制御部300から独立して第1搬送機構の制御を行う構成について述べたが、これに限定されるものではない。制御部300が第2搬送機構の制御を行っているか否かを問わず、情報処理ユニット52が制御部300から独立して第1搬送機構31の制御を行う構成としてもよい。これは例えば、制御部300が第2搬送機構の制御を行っている場合にも、ラックセンサ37によって分析前ラック保持部33上のサンプルラックLが検出されたことをトリガーとして、第1搬送機構31によるサンプルラックLの搬送を開始する構成とすることによって実現可能である。
【0110】
また、上述した実施の形態においては、制御部300から情報処理ユニット52へ搬送開始指示データを送信し、これを受信した情報処理ユニット52が第1搬送機構31を制御してサンプルラックLを搬送し、このサンプルラックLに保持されている検体容器Tの検体バーコードを読み取ることによって取得した検体IDを用いて当該検体の測定オーダを取得する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、次のような構成とすることも可能である。システム制御装置8がホストコンピュータ9から一括して複数の検体の測定オーダを取得する。検体投入装置2にバーコードリーダを設け、このバーコードリーダによってラックID及び検体IDをサンプルラックL毎に読み取り、検体投入装置2がラックシーケンシャル番号に代えてラックID及び検体IDをシステム制御装置8へ送信する。システム制御装置8が、受信した検体IDをキーにして対応する測定オーダを検索し、この測定オーダをサンプルラックL毎に検体搬送装置3へ送信する。制御部300は、情報処理ユニット52に第1搬送機構31の搬送開始を指示するときに、受信した測定オーダを含む搬送開始指示データを情報処理ユニット52へ送信する。情報処理ユニット52は、搬送開始指示データを受信したときには、サンプルラックLの第1搬送機構31による搬送を開始し、このようにして得られた測定オーダにしたがって、検体を吸引し、検体の測定を行う。
【0111】
また、上述した実施の形態においては、隣り合う2つの検体搬送装置3,3がそれぞれ備える第1搬送機構31,31は、互いにサンプルラックの授受をすることができない構成について述べたが、これに限定されるものではない。隣り合う2つの検体搬送装置の第1搬送機構が、サンプルラックLの授受が可能に接続されており、第2搬送制御モードが設定されているときに、隣り合う第1搬送機構の間で検体を授受するように、複数の第1搬送機構が制御される構成としてもよい。これにより、第2搬送機構32が使用不可能な場合であっても、複数の第1搬送機構の間でサンプルラックLを搬送することができ、複数の測定ユニット51へ自動的に検体を供給することが可能となる。
【0112】
また、第2搬送制御モードが設定されているときに、情報処理ユニット52が、第1搬送機構31だけでなく、第2搬送機構32を制御する構成としてもよい。例えば、第2搬送制御モードが設定されているときに、前段の装置から第2搬送機構32へ搬出されたサンプルラックLを搬入し、分析前ラック保持部33へ送出するように、情報処理ユニット52が第2搬送機構32を制御し、また、ラック搬送部35から分析後ラック保持部34へ送出されたサンプルラックLを、分析後ラック保持部34からラック搬送部321へ送出し、ラック搬送部321に送出されたサンプルラックLを、後段の装置へ搬出するように、情報処理ユニット52が第2搬送機構32を制御するように構成してもよい。これにより、制御部300が動作不能な場合であっても、複数の第2搬送機構32,32の間でサンプルラックLを搬送することができ、複数の測定ユニット51へ自動的に検体を供給することが可能となる。
【0113】
また、上述した実施の形態においては、CPUが第1搬送機構の制御用のコンピュータプログラムを実行することにより、第1搬送機構の制御を行う構成について述べたがこれに限定されるものではない。第1搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第1搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。同様に、第2搬送機構の制御用プログラムと同様の処理を実行することが可能なFPGA又はASIC等の専用ハードウェアにより、第2搬送機構の制御処理を実行する構成としてもよい。
【0114】
また、上述した実施の形態においては、検体処理システム1が、検体に含まれる血球を分類し、また血球種毎に血球を計数する血球分析装置5を備える構成について述べたが、これに限定されるものではない。検体処理システムが、免疫分析装置、血液凝固測定装置、生化学分析装置、尿分析装置等の血球分析装置以外の検体分析装置を備え、かかる検体分析装置の測定ユニットへ血液検体又は尿検体を搬送する構成としてもよい。
【0115】
また、上述した実施の形態においては、検体容器Tを保持する保持部(保持位置)が10個設けられたサンプルラックLを検体搬送装置3,301が搬送する構成について述べたが、これに限定されるものではない。保持部が3又は5個等の10個以外の複数設けられたサンプルラックを検体搬送装置が搬送する構成としてもよいし、1つの検体容器Tのみを保持可能なサンプルラックを検体搬送装置が搬送する構成としてもよい。
【0116】
また、上述した実施の形態においては、単一のコンピュータ52aによりコンピュータプログラム524aの全ての処理を実行する構成について述べたが、これに限定されるものではなく、上述したコンピュータプログラム524aと同様の処理を、複数の装置(コンピュータ)により分散して実行する分散システムとすることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明の検体処理システム及び検体搬送システムは、検体を搬送し、搬送された検体を検体測定部で測定する検体処理システム、及び検体測定部に検体を供給するために、検体を搬送する検体搬送システムとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】実施の形態に係る検体処理システムの全体構成を示す概略平面図。
【図2】検体容器の外観を示す斜視図。
【図3】サンプルラックの外観を示す斜視図。
【図4】実施の形態に係る検体搬送装置の構成を示す平面図。
【図5】第1搬送機構が備える第1ベルトの構成を示す正面図。
【図6】第1搬送機構が備える第2ベルトの構成を示す正面図。
【図7】実施の形態に係る血球分析装置の測定ユニットの構成を示すブロック図。
【図8】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットの構成を示すブロック図。
【図9】実施の形態に係る塗抹標本作製装置の概略構成を示すブロック図。
【図10】実施の形態に係るシステム制御装置の搬送先決定処理の手順を示すフローチャート。
【図11】実施の形態に係るシステム制御装置の搬送指示処理の手順を示すフローチャート。
【図12】実施の形態に係る検体搬送装置の制御部による第2搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図13】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットによる第1搬送制御モードにおける第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図14】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットによる第2搬送制御モードにおける第1搬送機構の制御処理の流れを示すフローチャート。
【図15A】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットによる検体の分析処理の手順を示すフローチャート(前半)。
【図15B】実施の形態に係る血球分析装置の情報処理ユニットによる検体の分析処理の手順を示すフローチャート(後半)。
【符号の説明】
【0119】
1 検体処理システム
2 検体投入装置
3,301 検体搬送装置
31 第1搬送機構
32 第2搬送機構
35c 検体供給位置
300 制御部
4 検体収容装置
5 血球分析装置
51 測定ユニット
52 情報処理ユニット
52a コンピュータ
521a CPU
521b ROM
521c RAM
521d ハードディスク
522 画像表示部
523 入力部
524 可搬型記録媒体
524a コンピュータプログラム
6 塗抹標本作製装置
8 システム制御装置
8a コンピュータ
81a CPU
81b ROM
81c RAM
81d ハードディスク
9 ホストコンピュータ
L サンプルラック
T 検体容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を処理する検体処理部と、
搬入側から、前記検体処理部について前記搬入側の反対側である搬出側へ向けて、前記検体処理部へ検体を供給するための検体供給位置を経由して、前記検体を搬送する第1搬送機構と、
前記搬入側から前記搬出側へ向けて、前記検体供給位置を経由せずに、前記検体を搬送する第2搬送機構と、
前記第1搬送機構を制御する第1制御装置と、
前記第2搬送機構を制御する第2制御装置と、
を備え、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置から独立して前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されている、検体処理システム。
【請求項2】
前記第1制御装置は、前記第2制御装置が前記第2搬送機構の制御を停止している場合に、前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されている、請求項1に記載の検体処理システム。
【請求項3】
前記第1制御装置は、前記第2制御装置が動作する場合に設定される第1搬送制御モードと、前記第2制御装置が前記第2搬送機構の制御を停止している場合に設定される第2搬送制御モードとを切替可能に構成されている、請求項2に記載の検体処理システム。
【請求項4】
前記第2制御装置は、検体の搬送の開始を指示する搬送開始指示信号を前記第1制御装置へ送信するように構成されており、
前記第1制御装置は、検体を検出する検体検出部を具備し、前記第1搬送制御モードが設定されているときには、前記第2制御装置から搬送開始指示信号を受信した場合に検体の搬送を開始し、前記第2搬送制御モードが設定されているときには、前記検体検出部によって検体が検出された場合に前記検体の搬送を開始するように構成されている、請求項3に記載の検体処理システム。
【請求項5】
前記検体処理部は、複数の測定項目についてそれぞれ検体の測定が可能な検体測定部であり、
前記第2制御装置は、前記検体測定部による測定項目を含む測定オーダを取得し、取得された測定オーダを含む前記搬送開始指示信号を前記第1制御装置へ送信するように構成されている、請求項4に記載の検体処理システム。
【請求項6】
前記第1搬送機構は、複数の検体を貯留する貯留部を具備し、前記貯留部に貯留された検体を前記検体供給位置を経由して搬送するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項7】
前記第1搬送機構は、前記第2搬送機構から送出された前記検体を受け付ける受付位置から、前記検体供給位置を経由して、前記第2搬送機構へ前記検体を送出するための送出位置まで、前記検体を搬送するように構成されており、
前記第2搬送機構は、搬送上流側の装置から搬入された前記検体を前記受付位置へ送出可能であり、且つ、前記送出位置から送出された前記検体を搬送下流側の装置へ搬出可能であるように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項8】
前記第1制御装置は、前記検体処理部を制御可能に構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項9】
複数の前記検体処理部と、
複数の前記検体処理部に各別に対応する複数の前記検体供給位置を各別に経由して、前記検体をそれぞれ搬送する複数の前記第1搬送機構と、
複数の前記検体供給位置の何れも経由せずに、前記検体をそれぞれ搬送する複数の前記第2搬送機構と、
を備える、請求項1乃至8の何れかに記載の検体処理システム。
【請求項10】
搬入側から、検体を処理する検体処理部について前記搬入側の反対側である搬出側へ向けて、前記検体処理部へ検体を供給するための検体供給位置を経由して、前記検体を搬送する第1搬送機構と、
前記搬入側から前記搬出側へ向けて、前記検体供給位置を経由せずに、前記検体を搬送する第2搬送機構と、
前記第1搬送機構を制御する第1制御装置と、
前記第2搬送機構を制御する第2制御装置と、
を備え、
前記第1制御装置は、前記第2制御装置から独立して前記第1搬送機構の制御が可能であるように構成されている、検体搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【公開番号】特開2010−91313(P2010−91313A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259267(P2008−259267)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】