説明

検像装置及び検像システム

【課題】検像専門の技師から撮影専門の技師への問題がある医用画像の通知の容易化及び迅速化を図り、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置又は検像システムを提供すること。
【解決手段】オーダ情報d1とオーダ情報d1に基づいて撮影された医用画像d2との整合性、及び、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定により医用画像d2に問題があるかないかの判断を行なうための検像装置3において、外部装置から、オーダ情報d1と医用画像d2とを受信する通信部34と、医用画像d2に問題があると判断された場合、NG理由情報を受け付ける操作部32及び表示部33と、NG理由情報を含む連絡情報を生成し、NG画像を送信してきた外部装置を特定し、当該特定した外部装置へ連絡情報を通信部により送信させる制御部31と、を備える検像装置3。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検像装置及び検像システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病院や診療所では、モダリティを用いた検査が行われる。「モダリティ」とは、例えばX線撮影装置、MRI撮影装置、CT撮影装置等の医療装置をいう。通常、モダリティは、撮影業務を専門に行う技師により操作され、撮影専門の技師の操作により患者を撮影して医用画像を生成する。撮影により生成された医用画像は、この後、検像装置に送信される。
【0003】
「検像装置」とは、モダリティにより撮影された医用画像を画面上に表示して検像するための装置である。「検像」とは、(1)画面上に表示された医用画像が診断において許容される範囲内であるか否かチェックすること、又は、許容範囲内でない場合にはそれを修正すること、(2)画像に付帯された情報の真正性を確認し、問題があった時修正を行うことをいう。「真正性」とは、医師の依頼内容、検査の予約内容、検査の実施内容、検査を受けた患者の情報などは何れも正確であることをいう。
【0004】
検像が行われる場所は、ダブルチェックによる安全確保、情報に関する責任の所在、画質の再現性確保等の観点から、モダリティによる撮影が行われる場所とは異なる場所であることが望ましく、また異なる場所であるのが一般的である。すなわち、多くの病院や診療所では、撮影室にて撮影専門の技師によりモダリティによる撮影が行われ、撮影により生成された医用画像はネットワークを介して撮影室とは異なる場所に設置された検像装置に集中送信される。そして、そこで検像専門の技師により検像が行われることになる。
【0005】
検像専門の技師は、迅速かつ適切に、例えば医用画像の画質低下についてチェックし、画質低下があった場合にはそれが通常の診断において許容できる範囲内か否かチェックし、許容範囲内でない場合には撮影専門の技師に対して再度の撮影を依頼するか、或いは許容範囲内になるよう画像処理等を施す。
【0006】
診断において許容範囲内であると判断された、又は許容範囲内になるよう画像処理が施された検像済み医用画像は、画像管理装置に送信され、その後医師による診断に供されることになる。なお、ここでいう画像管理装置は一般に、PACS(Picture Archiving and Communication System)と呼ばれる。
検像装置又は検像装置を含むシステムについては、例えば下記に示す特許文献1に記載の技術が存在する。
【0007】
特許文献1には、他の装置(モダリティ)から医用画像を受信して画像処理を行い、画像処理された医用画像を他の装置(PACS)に送信する医用画像処理装置(検像装置)であって、受信された医用画像の統計的性質を解析してその結果が適正範囲から外れているとき、適正範囲外であることを警告する検像装置又はシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−290329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1に記載の技術では、検像装置にて受信した医用画像が予め設定された許容範囲内でない等の問題がある場合、検像専門の技師は、撮影専門の技師に対して再撮影を依頼する必要がある。検像装置とモダリティとが物理的に離れた場所に設けられている場合には、検像専門の技師は、問題のある医用画像を撮影したモダリティが設けられている場所まで行って当該モダリティを操作している撮影専門の技師に直接口頭で再撮影を依頼したり、院内電話を用いて撮影専門の技師へ再撮影を依頼したりするのが現状である。即ち、医用画像に問題があることを撮影専門の技師に迅速に通知する手段がないために、検像専門の技師の業務負担が増加する。これでは、万全なチェックが図れるとはいえない。
【0010】
本発明の課題は、検像専門の技師から撮影専門の技師への問題がある医用画像の通知の容易化及び迅速化を図り、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置又は検像システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性、及び、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定により、当該医用画像に問題があるかないかの判断を行なうための検像装置において、外部装置から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を受信する通信部と、前記医用画像に問題があると判断された場合、当該問題がある理由に関する情報を受け付ける入力部と、前記入力部により入力された前記問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を生成し、前記医用画像を送信してきた前記外部装置を特定し、当該特定した外部装置へ前記連絡情報を前記通信部により送信させる制御部と、を備える検像装置が提供される。
【0012】
本発明によれば、オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性、及び、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定により、前記医用画像に問題があるかないかの判断を行なうための検像装置と、を含む検像システムにおいて、前記検像装置は、前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を受信する通信部と、前記医用画像に問題があると判断された場合、当該問題がある理由に関する情報を受け付ける入力部と、前記入力部により入力された前記問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を生成し、前記医用画像を送信してきた前記情報処理システムを特定し、当該特定した情報処理システムへ前記連絡情報を前記通信部により送信させる制御部と、を有する検像システムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、医用画像に問題がある場合、当該問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を、当該医用画像を送信してきた外部装置へ送信することができる。そのため、検像専門の技師から撮影専門の技師へ、問題がある医用画像の通知の容易化及び迅速化を図ることができ、医用画像に問題があることを通知する業務負担を低減できるため、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置及び検像システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】検像システムの全体構成を示す図である。
【図2】検像装置の画面に表示される医用画像に問題があると判断された場合の一例を示す図である。
【図3】検像装置の画面に表示される連絡先情報の一例を示す図である。
【図4】検像装置の機能ブロック図を示す図である。
【図5】検像装置の連絡情報送信処理を示す図である。
【図6】連絡情報にNG画像のサムネイルが付帯していない場合の連絡情報画面の一例を示す図である。
【図7】連絡情報にNG画面のサムネイルが付帯する場合の連絡情報画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施形態における検像装置又は検像システムの構成及び動作について、図面を用いて詳細に説明する。なお、本実施形態は本発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
【0016】
図1に、検像システム10の全体構成を示す。
検像システム10は、RIS1、モダリティ2、検像装置3、PACS4等を備えて構成される。各装置(1〜4)はLANやWANにより通信可能に接続されており、通信規格は例えばHL7(Health Level 7)又はDICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等が採用される。
【0017】
RIS1は、患者情報又は検査情報を登録して一元管理し、登録された患者情報又は検査情報をオーダ情報d1としてモダリティ2又は検像装置3に送信するための端末である。なお、「RIS」とは、本来、「Radiology Information System」の略であり放射線情報システムを意味するが、ここでは放射線情報システムを利用して患者情報又は検査情報を一元管理する端末として説明する。
【0018】
「患者情報」とは、患者に関する情報であり、例えば患者ID、氏名、性別、生年月日等が含まれる。また、「検査情報」とは、検査に関する情報であり、例えば、検査ID、ステーション名等を含むモダリティ情報、検査日、検査時刻、受付番号、担当医師、検査種類、検査条件(検査部位、側性(左、右)、方向(例えば、上下方向(CC)、斜位方向(MLO))、施設等が含まれる。
なお、ステーション名とは、モダリティを識別する識別情報であり、装置の世代や製造メーカ毎に異なる値(シリアル番号)等からなる装置名である。
【0019】
以下の説明では、RIS1により一元管理される患者情報又は検査情報を総称して「オーダ情報」と表現する。なお、オーダ情報は、図示しない受付端末からHIS(Hospital Information System)によりRIS1に送信されるか、或いはRIS1にて撮影専門の技師に直接入力される。
【0020】
一般に、RIS1とモダリティ2は比較的近い場所に設置されており、同一の撮影専門の技師がRIS1とモダリティ2とを操作する。撮影専門の技師は、RIS1からのオーダ情報d1をモダリティ2に送信する作業を行い、モダリティ2に送信されたオーダ情報d1に基づいて、モダリティ2を操作して患者を実際に撮影する作業を行う。
【0021】
モダリティ2は、患者を撮影して医用画像d2を生成する医療装置であり、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置、超音波診断装置等がある。モダリティ2は、RIS1からのオーダ情報d1に基づいて医用画像d2を生成する。モダリティ2は、生成された医用画像d2に付帯情報d21を付帯させ、DICOM規格に則ったデータを生成し、当該生成したデータを検像装置3に送信する。
【0022】
付帯情報d21は、患者情報、検査情報、シリーズ情報及びオブジェクト情報を含む。
患者情報及び検査情報は、オーダ情報d1に含まれる患者情報及び検査情報と同様の情報である。シリーズ情報は、一つの検査の中で生成されるモダリティ毎の一連の医用画像の単位(シリーズ)や、一つの検査に対応する所見レポートに関する情報であり、例えば、シリーズを識別するシリーズID、シリーズ番号、モダリティ名、検査部位等の情報が含まれる。オブジェクト情報は、医用画像を識別するオブジェクトID、オブジェクト番号(画像番号やレポート番号)等の医用画像に関する情報である。
【0023】
また、モダリティ2は、他の装置へデータを送信する際には、所在情報d22を付帯させて送信する。データを受信した装置は、当該所在情報d22を受信情報として用いる。
所在情報d22は、モダリティ2の所在を示す情報であり、モダリティ2のIPアドレス、PORT番号、AE(Application Entity)タイトル等を含む。AEタイトルとは、DICOM規格に則った各装置(例えば、モダリティ2)の識別名である。
【0024】
また、モダリティ2は、図1においては1つだけしか表記されていないがこれに限らず、モダリティ2及びこれに対応するRIS1を複数備えるとしてもよい。
また、RIS1及びモダリティ2は、検像装置3からすれば、各種医用情報(オーダ情報d1、医用画像d2等)を検像装置3に対して送信する一つのシステムとしてとらえることができる。よって以下の説明では、RIS1及びモダリティ2を総称して「情報処理システム11」と表現する。なお、大規模医療機関の多くは、例えばX線撮影装置、MRI装置、CT装置等のモダリティを複数備えており、複数の情報処理システム11を備える。
【0025】
検像装置3は、モダリティ2により生成された医用画像d2を検像するための端末である。検像装置3は、撮影専門の技師とは異なる検像専門の技師により操作され、検像専門の技師によるチェックのためRIS1からのオーダ情報d1及びモダリティ2からの医用画像d2を画面上に表示する。検像装置3では、主として(1)RIS1からのオーダ情報d1とモダリティ2からの医用画像d2との整合性があるか否かの判定、及び、(2)モダリティ2からの医用画像d2の画質が診断において許容できる範囲内であるか否かの判定、が行なわれ、医用画像を読影するために解決すべき事象があるか否か、即ち、医用画像に問題があるかないかの判断が行なわれる。
【0026】
図2に、検像装置3の画面に表示される医用画像に問題がある(NG)と判断された場合の一例を示す。図2に示す画面は、検像画面G1上にNG理由設定画面G2が表示されている場合の一例である。
【0027】
検像画面G1には、検像対象となる医用画像d2と、当該医用画像のオーダ情報d1と、が表示されており、NGボタンB1及び送信ボタンB2等が設けられている。検像専門の技師により、表示されている医用画像d2に問題があると判断され、NGボタンB1が選択された場合、NG理由設定画面G2が表示される。
【0028】
NG理由設定画面G2には、NG理由選択部B3、OKボタンB4、キャンセルボタンB5が設けられている。NG理由選択部B3では、表示されている医用画像d2に対する「問題がある理由に関する情報」(以下、「NG理由情報」とも称する)が複数選択可能となっており、複数の「NG理由情報」のうちいずれか一つが、検像専門の技師により選択される。
【0029】
従って、NG理由設定画面G2を表示する検像装置3の後述する表示部及び当該画面上のボタンを操作する後述する操作部は、医用画像に問題があると判断された場合に「NG理由情報」を受け付ける入力部としての機能を実現する。
【0030】
「NG理由情報」は、オーダ情報d1と医用画像d2との整合性がとれていない理由や、医用画像d2の画質が診断において許容できる範囲外である理由を示す情報である。「NG理由情報」は、例えば、線量不足、撮影部位の間違え、ポジショニング不良、マーカー間違い等である。
【0031】
NG理由選択部B3において「NG理由情報」が選択された後、OKボタンB4が選択されると、当該「NG理由情報」を含む連絡情報が生成され、当該生成された連絡情報が医用画像を送信してきた情報処理システム11等の連絡先へ送信されることとなる。
【0032】
図3に、検像装置の画面に表示される連絡情報が送信される装置を特定するための情報(以下、連絡先情報とも称す)の一例を示す。
図3に示す画面は、連絡先情報の設定を行なう連絡先設定画面G3である。連絡先設定画面G3には、受信チャンネル欄E1と、選択された受信チャンネルに対する複数の通信設定欄E2a〜E2cとが設けられている。
【0033】
受信チャンネル欄E1には、複数の受信チャンネルが予め登録されている。各受信チャンネルは、受信した医用画像d2に付帯された所在情報d22に含まれる「AEタイトル」毎に登録されている。
【0034】
通信設定欄E2a〜E2cそれぞれは、医用画像d2の付帯情報d21に基づいて、連絡情報を送信する装置(連絡先)との通信を行なうために必要な情報が設定可能となっている。例えば、連絡情報を送信する装置が設けられている場所を示す連絡先名称、連絡情報を送信する装置名(例えば、医用画像の付帯情報に含まれるステーション名が示すシリアル番号)、連絡情報を送信する装置のIPアドレス、PORT番号等が設定可能となっている。
従って、受信チャンネル毎に設定された通信設定欄の情報が「連絡先情報」となる。
【0035】
連絡先設定画面G3を表示する検像装置3の後述する表示部及び当該画面上のボタンを操作する後述する操作部は、医用画像d2の付帯情報d21及び医用画像を受信した際の受信情報(所在情報d22)に基づいて、連絡情報を送信する装置の特定を行なうための連絡先情報の設定を行なう連絡先設定部としての機能を実現する。
【0036】
なお、本実施の形態では、通信設定欄においてIPアドレスやPORT番号の設定が可能であることから、必ずしも医用画像d2を撮影したモダリティ2が連絡先に設定されるものではない。例えば、撮影専門の技師が使用する携帯用端末や所謂パーソナルコンピュータ等の装置のIPアドレスやPORT番号を設定することにより、当該装置を連絡先として設定することも可能である。
【0037】
図4に、検像装置3の機能ブロック図を示す。
検像装置3は、制御部31、操作部32、表示部33、通信部34、記憶部35等を備えて構成される。
【0038】
制御部31は、CPU、RAM、ROM等を備えて構成され、CPUがROMに記憶されている各種プログラムをRAMに展開し、RAMに展開された各種プログラムとの協働により検像装置3の動作を集中制御する。
【0039】
操作部32は、キーボードやマウス等を備えて構成され、検像専門の技師の操作により操作信号を生成してこれを制御部31に出力する。
【0040】
表示部33は、LCDや有機EL等のディスプレイを備えて構成され、制御部31からの制御信号に基づいて、医用画像d2や各種操作画面を表示する。本実施形態では、表示部33は、検像画面G1(図2参照)、NG理由設定画面G2(図2参照)、連絡先設定画面G3(図3参照)を表示する。
【0041】
通信部34は、通信用インターフェイス等を備えて構成され、情報処理システム11からオーダ情報d1及び医用画像d2を受信する。また、通信部34は、連絡先設定画面により設定された連絡先情報に基づいて特定された装置へ連絡情報を送信し、検像済み医用画像d3をPACS4に送信する。
【0042】
記憶部35は、ROM等の不揮発性メモリを備えて構成され、システムプログラム、各種処理プログラム等を記憶する。また、記憶部35は、オーダ情報d1、医用画像d2、連絡先設定画面により設定された連絡先情報、検像済み医用画像d3等を記憶する。
【0043】
PACS4は、検像装置3により検像された検像済み医用画像d3を記憶して一元管理する画像管理装置である。なお、「PACS」とは、本来、「Picture Archiving and Communication System」の略であり放射線画像情報システムを意味するが、ここでは放射線画像情報システムを利用して検像済み医用画像d3を一元管理する端末として説明する。
【0044】
図5を参照して、検像装置3の連絡情報送信処理について説明する。
検像装置3の連絡情報送信処理は、検像専門の技師が検像装置3を用いて検像する際に行われる処理である。
【0045】
制御部31は、モダリティ2から医用画像d2、RIS1から当該医用画像d2に対するオーダ情報d1、をそれぞれ受信し、受信したオーダ情報d1及び医用画像d2を含む検像画面G1を表示部33に表示する(ステップS1)。
【0046】
表示部33に表示された検像画面G1に含まれる医用画像d2は、画像判定処理が行なわれる(ステップS2)。
【0047】
画像判定処理では、医用画像d2とオーダ情報d1との整合性の判定、及び、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定が行なわれる。この画像判定処理は、検像専門の技師が目視にて行なってもよく、又は、制御部31によって判定されるものであってもよい。
【0048】
制御部31による画像判定処理では、例えば、医用画像に対して各種画像信号処理を施し、当該各種画像信号処理の結果がオーダ情報d1に対して予め設定された条件に該当するか否かに基づいて、医用画像d2とオーダ情報d1との整合性の判定、及び、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定が行なわれるものである。
【0049】
制御部31によって、オーダ情報d1と医用画像d2との整合性の判定、及び、医用画像d2の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定を行なうことができることにより、検像専門の技師による検像作業の負担を軽減することができる。
【0050】
制御部31は、画像判定処理の結果に基づいて、検像専門の技師により検像画面G1のNGボタンB1が選択されたか否かを判別し、医用画像d2に問題がある(NG)と判断されたか否かを判別する(ステップS3)。
【0051】
NGボタンB1が選択されず送信ボタンB2が選択されたことにより、医用画像d2に問題がないと判断された場合(ステップS3;N)、制御部31は、医用画像d2を検像済み医用画像d3としてPACS4へ送信し(ステップS4)、本連絡情報送信処理を終了する。
【0052】
NGボタンB1が選択されたことにより、医用画像d2に問題がある(NG)と判断された場合(ステップS3;Y)、制御部31は、NG理由設定画面G2を表示部33に表示させ、複数の「NG理由情報」のうちいずれか一つの選択指示を受け付ける(ステップS5)。
【0053】
制御部31は、NG理由設定画面G2において、NG理由情報が選択され、OKボタンB4が選択されると、NG理由情報を含む連絡情報を生成する(ステップS6)。
【0054】
制御部31は、問題があると判断された医用画像(NG画像)のサムネイルを連絡情報に付帯するか否かを判断する(ステップS7)。
NG画像のサムネイルを連絡情報に付帯するか否かの情報は、予め記憶部35に記憶されている。なお、NG画像のサムネイルを連絡情報に付帯するか否かの情報は、操作部32による操作によって適宜変更可能である。
【0055】
NG画像のサムネイルを連絡情報に付帯しない場合(ステップS7)、制御部31は、ステップS9に移行する。NG画像のサムネイルを連絡情報に付帯する場合(ステップS7)、制御部31は、NG画像のサムネイルを生成し、当該サムネイルを連絡情報に付帯する(ステップS8)。
【0056】
制御部31は、記憶部35に記憶されている連絡先情報を参照し、医用画像d2に付帯されている付帯情報d21及び所在情報d22に基づいて、連絡先情報に該当する装置(モダリティ2等)を連絡先として特定する(ステップS9)。制御部31は、特定した連絡先へ連絡情報を送信し(ステップS10)、PACS4への医用画像d2の送信を保留し(ステップS11)、本連絡情報送信処理を終了する。
【0057】
図6、図7に、連絡情報を受信した装置(例えば、モダリティ2)に表示される画面の一例を示す。
【0058】
まず、図6に示す画面について説明する。図6に示す画面は、連絡情報にNG画像のサムネイルが付帯していない場合の連絡情報画面G3aの一例である。図6に示すように、連絡情報画面G3aには、連絡情報一覧領域E3、連絡情報表示領域E4a、了解ボタンB6等が設けられている。
【0059】
連絡情報一覧領域E3は、受信した連絡情報をリスト表示する領域である。
連絡情報一覧領域E3には、連絡情報毎に、連絡情報を受信した「受信日時」、患者情報(例えば、「患者ID」,「患者氏名」,「性別」等)、NG画像の有無を示す「連絡事項」、NG理由情報を示す「NG理由」、連絡情報を受信したことを検像装置3へ返信したか否か示す「返信」等の項目に対する情報が表示される。
連絡情報一覧領域E3内における網掛け部分C1は、操作部32により選択された連絡情報である。操作部32により選択されると、選択された連絡情報の背景が網掛けに切り替わって表示される。
【0060】
連絡情報表示領域E4aは、操作部32により選択された網掛け部分C1の連絡情報を表示する領域である。また、連絡情報表示領域E4aは、「連絡事項」が「NG画像有」の場合、問題がある理由に関する情報(NG理由情報)を示すメッセージMを表示する。
例えば、「連絡事項」が「NG画像有」、「NG理由」が「線量不足」である場合には、「当該画像は線量不足でNGです。再撮影してください。」等のメッセージMが連絡情報表示領域E4aに表示される。
【0061】
了解ボタンB6は、連絡情報表示領域E4aに表示されている連絡情報を、例えば、撮影専門の技師が確認した場合に選択されるボタンである。了解ボタンB6が選択されると、連絡情報表示領域E4aに表示された連絡情報を受信したことを示す情報が検像装置3へ送信される。
【0062】
図7に示す画面は、連絡情報にNG画面のサムネイルが付帯する場合の連絡情報画面G3bの一例である。
図7に示すように、連絡情報画面G3bは、連絡情報一覧領域E3、了解ボタンB6、連絡情報表示領域E4b等が設けられている。なお、連絡情報一覧領域E3及び了解ボタンB6は、図6に示す連絡情報画面G3aと同様であるため、同一符号を付し、説明は省略する。
【0063】
連絡情報表示領域E4bは、操作部32により選択された網掛け部分C1の連絡情報を表示する領域である。また、連絡情報表示領域E4bは、「連絡事項」が「NG画像有」の場合、問題がある理由に関する情報を示すメッセージMと、NG画像のサムネイルDとを表示する。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、医用画像に問題がある場合、当該問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を、当該医用画像を送信してきたモダリティ等の装置へ送信することができる。そのため、検像専門の技師から撮影専門の技師への問題がある医用画像の通知の容易化及び迅速化を図ることができ、医用画像に問題があることを通知する業務負担を低減できるため、検像専門の技師による検像の強化を図り得る検像装置及び検像システムを提供することができる。
また、問題のある医用画像の通知の迅速化が図られることにより、患者が施設内にいる間に再撮影を行うことが可能となる機会が増加するため、再撮影を行うために再来院するという患者に対する負担を低減することもできる。
【0065】
また、問題があると判断された医用画像(NG画像)のサムネイルを含む連絡情報を送信することができる。そのため、連絡情報を受信した装置側の撮影専門の技師に対して、どの医用画像に問題があるかを容易かつ迅速に把握させることができる。
【0066】
また、連絡情報を送信する装置の特定を行なうための連絡先情報の設定を、医用画像d2の付帯情報d21及び所在情報d22に基づいて連絡先設定画面G3にて行うことができる。そのため、医用画像に関係する装置へ連絡情報を送信することができる。
【0067】
また、情報処理システム11は、医用画像d2をDICOM通信により検像装置3に送信することができる。
【0068】
また、情報処理システム11を、オーダ情報d1を検像装置3に送信するRIS1と、医用画像d2を生成して検像装置3に送信するモダリティ2と、から構成することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 RIS
2 モダリティ
3 検像装置
4 PACS
10 検像システム
11 情報処理システム
31 制御部
32 操作部
33 表示部
34 通信部
35 記憶部
B1 NGボタン
B2 送信ボタン
B3 理由選択部
B4 OKボタン
B5 キャンセルボタン
B6 了解ボタン
D サムネイル
d1 オーダ情報
d2 医用画像
d21 付帯情報
d22 所在情報
d3 検像済み医用画像
E1 受信チャンネル欄
E2a〜E2c 通信設定欄
E3 連絡情報一覧領域
E4a 連絡情報表示領域
E4b 連絡情報表示領域
G1 検像画面
G2 理由設定画面
G3 連絡先設定画面
G3a 連絡情報画面
G3b 連絡情報画面
M メッセージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダ情報と当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像との整合性、及び、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定により、当該医用画像に問題があるかないかの判断を行なうための検像装置において、
外部装置から、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を受信する通信部と、
前記医用画像に問題があると判断された場合、当該問題がある理由に関する情報を受け付ける入力部と、
前記入力部により入力された前記問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を生成し、前記医用画像を送信してきた前記外部装置を特定し、当該特定した外部装置へ前記連絡情報を前記通信部により送信させる制御部と、
を備えること、を特徴とする検像装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記問題がある理由に関する情報に加え、前記問題があると判断された医用画像を含む前記連絡情報を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の検像装置。
【請求項3】
前記医用画像の付帯情報及び前記医用画像を受信した際の受信情報に基づいて前記連絡情報を送信する前記外部装置の特定を行なうための連絡先情報の設定を行なう連絡先設定部を備え、
前記制御部は、
前記医用画像の付帯情報及び受信情報と前記連絡先情報とに基づいて、前記連絡情報を送信する前記外部装置を特定すること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の検像装置。
【請求項4】
オーダ情報及び当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を送信する情報処理システムと、前記オーダ情報と前記医用画像との整合性、及び、前記医用画像の画質が診断において許容範囲内であるか否かの判定により、前記医用画像に問題があるかないかの判断を行なうための検像装置と、を含む検像システムにおいて、
前記検像装置は、
前記情報処理システムから、前記オーダ情報、当該オーダ情報に基づいて撮影された医用画像を受信する通信部と、
前記医用画像に問題があると判断された場合、当該問題がある理由に関する情報を受け付ける入力部と、
前記入力部により入力された前記問題がある理由に関する情報を含む連絡情報を生成し、前記医用画像を送信してきた前記情報処理システムを特定し、当該特定した情報処理システムへ前記連絡情報を前記通信部により送信させる制御部と、を有すること、
を特徴とする検像システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、
前記医用画像をDICOM通信により前記検像装置に送信すること、
を特徴とする請求項4に記載の検像システム。
【請求項6】
前記情報処理システムは、
前記オーダ情報を検像装置に送信するRISと、
前記医用画像を検像装置に送信するモダリティと、
から構成されること、
を特徴とする請求項4又は5に記載の検像システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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