説明

検出センサ及び検出センサの製造方法

【課題】フッ素樹脂からなるケースとカバーとを水密性を確保しつつ容易に組み付けることが可能な検出センサを提供する。
【解決手段】フッ素樹脂からなるケース14とカバー15とは、レーザ溶着されてその間が封止される。ケース14の開口端部14aの内周面には、カバー15の組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面14bが設けられ、カバー15の外周縁部15aの内面側部位(ケース14側部位)には、ケース側テーパ面14bと密着するカバー側テーパ面15bが設けられる。そして、カバー15の外周縁部15aには、カバー15の表面側においてカバー側テーパ面15bと連続するとともにケース側テーパ面14bから離間して該ケース側テーパ面14bとの間に間隙部Sを形成する外周側面15c(離間面)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出センサ及び検出センサの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
検出センサにおいて、回路基板等を内部に備えたケースが耐薬品性に優れるフッ素樹脂からなるものがある(例えば特許文献1参照)。ケースは、センサ主要部を組み付けるための開口端部を有する有底筒状をなしており、その開口端部はケースと同じくフッ素樹脂からなるカバーによって塞がれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−285501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の検出センサでは、薬品等に晒されることによるケースの内部部品の腐食を防ぐためにケースとカバーがフッ素樹脂にて構成されているが、内部部品の腐食を防ぐためにはケース内部の水密性も確保しなければならず、そのためにはケースとカバーとの間を確実に封止する必要がある。その方法として、ケースとカバーとを接着剤にて接着する方法が考えられるが、フッ素樹脂は接着剤に対する緩和性が低いため、フッ素樹脂同士であるケースとカバーとを接着剤で接着することは難しい。また、接着以外の方法として加熱溶着する方法が考えられるが、フッ素樹脂は耐薬品性を有するだけでなく、耐熱性も優れているために融点が高く、フッ素樹脂同士であるケースとカバーとの加熱溶着も難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、フッ素樹脂からなるケースとカバーとを水密性を確保しつつ容易に組み付けることが可能な検出センサ及び検出センサの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外周壁部と底部とからなる有底筒状のケースと、前記ケースの外周壁部における前記底部とは反対側の開口端部を塞ぐカバーとを備え、前記ケース及び前記カバーがそれぞれフッ素樹脂からなる検出センサであって、前記ケースと前記カバーとは、レーザ溶着されてその間が封止されるものであり、前記ケースの開口端部の内周面には、前記カバーの組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面が設けられ、前記カバーの外周縁部の内面側部位には、前記ケース側テーパ面と密着するカバー側テーパ面が設けられ、前記カバーの外周縁部には、前記カバーの外面側において前記カバー側テーパ面と連続するとともに前記ケース側テーパ面から離間して該ケース側テーパ面との間に間隙部を形成する離間面が設けられていることを特徴とする。
【0007】
この発明では、カバー側とケース側の各テーパ面が密着するため、この各テーパ面によってケースの開口端部とカバーとの間の組み付け方向と直交する方向の寸法誤差を吸収することができる。また、この各テーパ面の密着部分にレーザ光を照射して、フッ素樹脂からなるケースとカバーとをレーザ溶着することが可能となるため、ケース内の水密性を確保しつつケースとカバーとを容易に組み付けることが可能なる。また、ケースとカバーの外面側(表面側)の境目部分には、カバーの離間面とケース側テーパ面との間の間隙部が設けられるため、レーザ溶着の際に溶融した樹脂をその間隙部に入り込ませることができ、その結果、溶融樹脂がカバーの外面側に浮き出ることを防ぐことが可能となる。これにより、検出センサの外観の悪化を防止しつつも、レーザ溶着によりケースとカバーとの間の水密性を確保することが可能なる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の検出センサにおいて、前記カバーの前記離間面は、前記カバーの組み付け方向に沿って形成されていることを特徴とする。
この発明では、カバーの離間面がカバーの組み付け方向に沿って形成されるため、カバーの離間面とケース側テーパ面との間の間隙部を好適な大きさとすることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、外周壁部と底部とからなる有底筒状のケースと、前記ケースの外周壁部における前記底部とは反対側の開口端部を塞ぐカバーとを備え、前記ケース及び前記カバーがそれぞれフッ素樹脂からなる検出センサの製造方法であって、前記ケースの開口端部の内周面には、前記カバーの組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面が設けられ、前記カバーの外周縁部の内面側部位には、前記ケース側テーパ面と密着するカバー側テーパ面が設けられ、前記カバーの外周縁部には、前記カバーの外面側において前記カバー側テーパ面と連続するとともに前記ケース側テーパ面から離間して該ケース側テーパ面との間に間隙部を形成する離間面が設けられ、前記ケース側テーパ面と前記カバー側テーパ面とが密着する境界面に対し前記間隙部を介してレーザ光を照射して該各テーパ面同士をレーザ溶着することを特徴とする。
【0010】
この発明では、カバー側とケース側の各テーパ面が密着するため、この各テーパ面によってケースの開口端部とカバーとの間の組み付け方向と直交する方向の寸法誤差を吸収することができる。また、この各テーパ面の密着部分(境界面)にレーザ光を照射して、フッ素樹脂からなるケースとカバーとをレーザ溶着することが可能となるため、ケース内の水密性を確保しつつケースとカバーとを容易に組み付けることが可能なる。また、ケースとカバーの外面側(表面側)の境目部分には、カバーの離間面とケース側テーパ面との間の間隙部が設けられるため、レーザ溶着の際に溶融した樹脂をその間隙部に入り込ませることができ、その結果、溶融樹脂がカバーの外面側に浮き出ることを防ぐことが可能となる。これにより、検出センサの外観の悪化を防止しつつも、レーザ溶着によりケースとカバーとの間の水密性を確保することが可能なる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の検出センサの製造方法において、前記レーザ光の光軸は、前記境界面と平行となるように設定されていることを特徴とする。
この発明では、レーザ光の光軸が各テーパ面同士の境界面と平行に設定されるため、各テーパ面同士を好適にレーザ溶着することができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の検出センサの製造方法において、前記カバーの前記離間面は、前記カバーの組み付け方向に沿って形成されていることを特徴とする。
【0013】
この発明では、カバーの離間面がカバーの組み付け方向に沿って形成されるため、カバーの離間面とケース側テーパ面との間の間隙部を好適な大きさとすることができ、その結果、間隙部を介した各テーパ面同士のレーザ溶着を良好に行うことが可能となる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項3〜5のいずれか1項に記載の検出センサの製造方法において、前記ケース側テーパ面と前記カバー側テーパ面とを遠赤外線のレーザ光にてレーザ溶着することを特徴とする。
【0015】
この発明では、フッ素樹脂同士であるケースとカバーとのレーザ溶着に遠赤外線のレーザ光を用いるため、より確実にレーザ溶着することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
従って、上記記載の発明によれば、フッ素樹脂からなるケースとカバーとを水密性を確保しつつ容易に組み付けることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態の漏液検出センサの用途の一例を示す概略図である。
【図2】漏液検出センサの斜視図である。
【図3】漏液検出センサの分解斜視図である。
【図4】漏液検出センサの上面図である。
【図5】漏液検出センサの下面図である。
【図6】漏液検出センサの断面図である。
【図7】漏液検出センサを検出部を通るように切った断面図である。
【図8】カバーの斜視図である。
【図9】投光素子からの光の進路を説明するための模式図である。
【図10】ケースとカバーとのレーザ溶着方法を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示すように、漏液検出センサ1は、工場内の製造装置Dの下方の設置面Pにボルト(図示略)にて取り付けられ、製造装置Dからの漏液を検出するためのものである。漏液検出センサ1は、図2、図3、図4及び図5に示すように、センサ本体部11と、設置面Pとセンサ本体部11との間に介在されるベース部12と、センサ本体部11を設置面Pに対して固定するとともにベース部12を保持する保持部材13とを有している。
【0019】
センサ本体部11は、略有底円筒状のケース14と、ケース14の上部を水密に閉塞するカバー15と、ケース14から導出されたケーブル16とを有する。ケース14は、耐熱性及び耐薬品性を有するPFA(パーフルオロアルコキシアルカン)等のフッ素樹脂からなり、円筒形の外周壁部21と、外周壁部21の一端を塞ぐ底部22とを有する。外周壁部21の開口端部14a(底部22とは反対側の端部)は、図8等に示す略円盤状のカバー15にて閉塞されており、このカバー15も、耐熱性及び耐薬品性を有するPFA等のフッ素樹脂からなる。
【0020】
ケーブル16は、耐熱性及び耐薬品性を有するPFA等のフッ素樹脂からなるチューブ状の外皮部材16aを有し、その外皮部材16aの内部に複数の導線(図示略)を有する。ケーブル16は、その内部の導線がケース14の内部に収容された回路基板17に電気的に接続されるとともに、ケース14に形成されたケーブル導出部23の先端部23aからケース14の外部に導出されている。ケース14内に収容された回路基板17は、その板面が高さ方向Zと直交するように設けられている。回路基板17の下面には、投光素子18と受光素子19がそれぞれ2つずつ設けられている(図7参照)。また、回路基板17の上面には、左右方向Yに並ぶ3つのLED20が設けられている(図6及び図7参照)。
【0021】
ケース14の外周壁部21の前後方向Xの後端部には、略矩形状に突出する基部24が形成されている。基部24の前後方向Xの端面24aは前後方向Xと直交する平面をなしており、その端面24aからは前後方向Xに沿って突出する前記ケーブル導出部23が形成されている。ケーブル導出部23は円筒状をなし、その内周部はケーブル16が挿通される挿通孔25となっている。
【0022】
ケーブル導出部23の先端部23aは、テーパ形状をなすとともに、先細りする形状をなしている。詳述すると、ケーブル導出部23の挿通孔25の径(ケーブル導出部23の内周径)は、ケーブル導出部23の軸方向全体に亘って一定となるように形成されている(図6参照)。尚、ケーブル導出部23の軸方向は、挿通孔25の貫通方向と一致しており、本実施形態では漏液検出センサ1の前後方向Xとも一致している。一方、ケーブル導出部23の外周径は、その基端部23bからケーブル導出部23の軸方向の中間部分までは一定であり、ケーブル導出部23の先端部23aにおいては、先端に向かうにつれて徐々に径が小さくなっている。換言すれば、ケーブル導出部23の外周面は、基端部23bからケーブル導出部23の軸方向の中間部分までにおいてはケーブル導出部23の軸方向に沿っており、先端部23aにおいてはテーパ形状をなして傾斜面となっている。即ち、ケーブル導出部23は、その基端部23bが先端部23aよりも肉厚が厚くなっており、これにより、ケーブル導出部23の剛性を確保することが可能となっている。
【0023】
尚、基部24の端面24aにおいてケーブル導出部23の左右方向Yの両側には、高さ方向Zに沿って直線状に延びる嵌合溝26がそれぞれ形成されている。また、基部24の左右方向Yの両側面には、高さ方向Zに沿って直線状に延びる係合凸部27が形成されている。
【0024】
また、ケース14の外周壁部21において左右方向Yの両側部分には、複数の突起群からなる把持部21aが形成されている(図4参照)。把持部21aは、漏液検出センサ1又はセンサ本体部11単体を持つ際の目印及び滑り止めとなる。また、ケース14の外周壁部21において把持部21aよりも前端側(反基部側)の位置には、一対の突出部21bが形成されており、図示しない固定治具にて突出部21bを下方に押しつけることで、ケース14の前端部の振動を防止するようになっている。また、この突出部21bは、高さ方向Zの中間部に形成されているため、前記固定治具で突出部21bを下方に押さえる際に、その固定治具がケース14よりも上方に突出しないように構成することが可能となっている。
【0025】
ケース14の外周壁部21の開口端部14aには、ケース14内の水密性を確保すべくカバー15が装着されている。図7に示すように、外周壁部21の開口端部14aの内周面には、高さ方向Zの底部22側に向かうにつれて縮径するケース側テーパ面14bが全周に亘って形成されている。一方、カバー15の外周縁部15aの内面側部位(裏面側部位)には、ケース側テーパ面14bと当接するカバー側テーパ面15bが形成されている。カバー側テーパ面15bは、ケース側テーパ面14bと同様の傾斜を有している。即ち、テーパ面14b,15b同士が当接している境界面は、カバー15の組み付け方向(高さ方向Zの下方)に縮径するテーパ状をなしている。
【0026】
また、カバー15の外周縁部15aには、該カバー15の外面側(図7中、上側であって外面側)においてカバー側テーパ面15bと連続する外周側面15c(離間面)が形成されている。外周側面15cは、カバー15の組み付け方向に沿って形成されるとともに、平面視で円形をなしている。カバー側テーパ面15bがケース側テーパ面14bに密着している状態において、外周側面15cは、ケース側テーパ面14bから離間しており、それにより、外周側面15cとケース側テーパ面14bとの間に断面V字状をなす間隙部Sが形成されている。
【0027】
保持部材13には、固定用の前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔31aを有する固定部31が形成されている。また、保持部材13には、固定部31から高さ方向Zに延びるとともにケース14のケーブル導出部23の周囲を囲う包囲部32と、包囲部32から延びてケース14の基部24を保持する保持片33とが形成されている。尚、ケース14のケーブル導出部23から導出されたケーブル16は、包囲部32に形成された切り欠き32aに挿通されている。
【0028】
保持片33には、図3に示すように、高さ方向Zに延び前方に突出する一対の嵌合凸部34が形成され、この各嵌合凸部34はケース14の基部24の各嵌合溝26に嵌合される。嵌合凸部34は、先端にかけて幅広となる形状をなすとともに、嵌合するケース14の嵌合溝26も嵌合凸部34に対応する形状をなし、これにより、ケース14が保持部材13から前方へ外れてしまうことが防止されるようになっている。
【0029】
また、保持片33には、左右方向Yに対向する一対の係合溝35が形成され、この各係合溝35はケース14の基部24の各係合凸部27に係合される。各係合凸部27の高さ方向Zの中央部には、左右方向Yに突出する突起27aが形成され、この突起27aは、係合溝35に形成された係止孔35aに係止される。これにより、センサ本体部11が保持部材13から高さ方向Zに外れてしまうことが防止されるようになっている。
【0030】
ケース14の底部22と設置面Pとの間に介在されるベース部12は略円盤状をなし、高さ方向Zから見てセンサ本体部11のケース14と略同形をなしている。また、ベース部12は、ケース14と同様に耐熱性及び耐薬品性を有するPFA等のフッ素樹脂からなる。ベース部12の後部(前後方向Xの端部)には、左右方向Yの両側にそれぞれ突出する一対の凸部12aが形成されている。一方、保持部材13において凸部12aと対応する位置には、固定部31から前方に延びる一対の係止部31bが形成され、この係止部31bはベース部12の凸部12aにそれぞれ係止されている。これにより、ベース部12が保持部材13から前方へ外れてしまうことが防止されるようになっている。
【0031】
また、ベース部12には、その外縁から上方に突出する係止凸部12bが形成され、この係止凸部12bがケース14の外周壁部21の下端に形成された係止凹部21cに周方向に係止されることにより、ケース14に対するベース部12の周方向の回り止めがされるようになっている。
【0032】
カバー15の表面には、外周縁部15aに向かうほど下るような曲面をなす湾曲凸面41が形成されるとともに、その湾曲凸面41には前後方向X及び左右方向Yに沿う十字溝42が形成されている。湾曲凸面41及び十字溝42は、付着した液体を外周縁部15aにガイドするようになっている。また、湾曲凸面41には、左右方向Yに並ぶ3つの表示部43が十字溝42と重なるように形成されている。尚、十字溝42の中心はカバー15の中心と一致し、真ん中の表示部43は十字溝42の中心と重なっている。
【0033】
各表示部43の下方には、図7及び図8に示すように、裏面側から高さ方向Zに沿ってカバー15のケース内部側に延びる導光部44が形成されている。各導光部44の下端は、回路基板17のLED20の上方に接近しており、各LED20からの光は主に対応する導光部44を通過し、各表示部43から出射されるようになっている。尚、この表示部43の点灯状態によって、漏液検出センサ1の漏液の検出状態が示されるようになっている。
【0034】
尚、カバー15の後端部の裏面には、ケース14に形成された凹部(図示略)と係合する位置決め突起45(図4及び図8参照)が形成され、この位置決め突起45によりケース14に対するカバー15の位置決めがなされるようになっている。また、カバー15の裏面には、補強リブ46が形成されており、カバー15の剛性が向上されるようになっている(図8参照)。
【0035】
このような漏液検出センサ1は、設置面Pとベース部12との間の液体を検出するための2つの検出部51を有している(図5及び図7参照)。2つの検出部51は、前後方向Xに並設されており、一方は漏液検出センサ1の前縁寄りの位置に形成され、もう一方は漏液検出センサ1の中央寄りの位置に形成されている。
【0036】
各検出部51はそれぞれ、一対のケース側隆起部52、一対のベース部側隆起部53、投光素子18及び受光素子19を備えている。一対のケース側隆起部52は、ケース14の底部22に左右方向Yに並設されるとともに、それぞれ下方に向かって凸となるように形成されている(図7参照)。一対のベース部側隆起部53も同様に、ベース部12に左右方向Yに並設され、それぞれ下方に向かって凸となるように形成されている。各ケース側隆起部52と各ベース部側隆起部53とは、高さ方向Zに重なるように構成されており、各ベース部側隆起部53は一部が設置面Pに当接するようになっている。また、投光素子18及び受光素子19は、各ケース側隆起部52の上方にそれぞれ配置されている。このような検出部51では、各ベース部側隆起部53の内側面が設置面P上の液体を検出するための検出面51aとなっている。
【0037】
図9に示すように、このような漏液検出センサ1では、検出部51の検出面51aに液体が接触していなければ、投光素子18から出射された光は、一方(図9において左側)のケース側隆起部52及びベース部側隆起部53を通過する。このとき、その通過した光は検出面51aで屈折し、もう一方のケース側隆起部52及びベース部側隆起部53を通過して受光素子19にて受光される。一方、検出面51aに液体が接触する状態では、検出面51aでの屈折率が変化するため、受光素子19での受光量は、検出面51aに液体が接触していない状態から変化する。即ち、受光素子19での受光量は、ベース部側隆起部53間の液体の有無に応じて変化し、受光素子19はその受光量に応じた受光信号を図示しない制御部に出力する。そして、制御部は、受光素子19からの受光信号に基づき液体(漏液)の有無を検出し、液体を検出した場合には、例えばケーブル16を介して停止信号を製造装置Dに送信して製造装置Dを停止させるようになっている。
【0038】
次に、漏液検出センサ1の製造方法について説明する。
まず、開口端部14aからケース14内に回路基板17等のセンサ主要部を組み付け、ケーブル16をケーブル導出部23の挿通孔25に挿通した後、ケーブル16の導線を回路基板17に接続する。次に、ケース14の開口端部14aにカバー15をレーザ溶着し、その後、ケース14のケーブル導出部23とケーブル16とをレーザ溶着する。
【0039】
ここで、ケース14に対するカバー15の組み付け時における本実施形態の作用について説明する。
まず、カバー15は、ケース14の開口端部14aの上側から高さ方向Zに沿って下方に組み付けられる。このとき、カバー側テーパ面15bはケース側テーパ面14bと密着し、この各テーパ面14b,15bによりケース14の開口端部14aとカバー15との間の径方向の寸法誤差が吸収される。
【0040】
次に、図10に示すように、カバー15をケース14の開口端部14aに対して押し付けた状態で、ケース側及びカバー側のテーパ面14b,15bが当接している境界面を全周に亘ってレーザ装置(図示略)にてレーザ溶着する。このレーザ装置からのレーザ光は、その光軸Lが境界面と平行となるように設定されるとともに、そのレーザ光の焦点がケース14の開口端部14aとカバー15の外周側面15cとからなる間隙部SのV字の頂点部分T(間隙部Sの最奥部)に合うように設定されている。
【0041】
このレーザ溶着において、各テーパ面14b,15bの境界面に照射されたレーザ光のエネルギーは、ケース14側及びカバー15側でそれぞれ吸収され、エネルギーを吸収して発熱した部分が溶融・溶着される。図7に示すように、この溶着の過程で溶融した樹脂の一部(溶融樹脂R)が間隙部Sに入り込み、その間隙部S内で固形化される。
【0042】
このようなレーザ溶着は、重ね合わせた2部材に対してその積層方向からレーザ光を照射する方法ではなく、間隙部Sを介してケース14とカバー15との境界面に直にレーザ光を照射する方法であるため、同材質(フッ素樹脂)同士のレーザ溶着であっても良好に溶着することが可能となっている。
【0043】
ケーブル導出部23とケーブル16とのレーザ溶着については、ケーブル導出部23の先端部23aを鉛直方向上側に向かせた状態で、ケーブル導出部23の軸中心にケース14及びケーブル16を回転させながら、前記レーザ装置にて側方からケーブル導出部23の先端部23aにレーザ光を照射する。
【0044】
尚、レーザ溶着に用いる前記レーザ装置には、溶着対象物の材質に適した波長(エネルギーが吸収されやすい波長)のレーザ光を出射するものを用いるのが望ましく、本実施形態のPFA等のフッ素樹脂に対しては炭酸ガスレーザ等の遠赤外線のレーザ光(波長がおよそ10.64μm)を出射するレーザ装置を用いる。即ち、レーザ装置には、炭酸ガスレーザをそのまま用いてもよく、また、YAGレーザを用いてその波長(1.064μm)を10倍に増幅して出射するレーザ装置を用いてもよい。
【0045】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)フッ素樹脂からなるケース14とカバー15とは、レーザ溶着されてその間が封止される。ケース14の開口端部14aの内周面には、カバー15の組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面14bが設けられ、カバー15の外周縁部15aの裏面側部位(ケース14側(内面側)部位)には、ケース側テーパ面14bと密着するカバー側テーパ面15bが設けられる。そして、カバー15の外周縁部15aには、カバー15の表面側においてカバー側テーパ面15bと連続するとともにケース側テーパ面14bから離間して該ケース側テーパ面14bとの間に間隙部Sを形成する外周側面15c(離間面)が設けられる。この構成によれば、カバー15側とケース14側の各テーパ面14b,15bが密着するため、この各テーパ面14b,15bによってケース14の開口端部14aとカバー15との間の組み付け方向と直交する方向の寸法誤差を吸収することができる。また、この各テーパ面14b,15bの密着部分にレーザ光を照射して、フッ素樹脂からなるケース14とカバー15とをレーザ溶着することが可能となるため、ケース14内の水密性を確保しつつケース14とカバー15とを容易に組み付けることが可能なる。また、ケース14とカバー15の表面側の境目部分には、カバー15の外周側面15cとケース側テーパ面14bとの間の間隙部Sが設けられるため、レーザ溶着の際に溶融した樹脂をその間隙部Sに入り込ませることができ、その結果、溶融樹脂がカバー15の表面側に浮き出ることを防ぐことが可能となる。これにより、漏液検出センサ1の外観の悪化を防止しつつも、レーザ溶着によりケース14とカバー15との間の水密性を確保することが可能なる。
【0046】
(2)カバー15の外周側面15cは、カバー15の組み付け方向に沿って形成されるため、外周側面15cとケース側テーパ面14bとの間の間隙部Sを好適な大きさとすることができ、その結果、間隙部Sを介したレーザ照射(間隙部SのV字の頂点部分Tに対するレーザ照射)を良好に行うことが可能となる。
【0047】
(3)ケース14とカバー15とのレーザ溶着に用いるレーザ光の光軸Lは、各テーパ面14b,15b同士の境界面と平行となるように設定されるため、その境界面を好適にレーザ溶着することができる。
【0048】
(4)ケース側テーパ面14bとカバー側テーパ面15bとが遠赤外線のレーザ光にてレーザ溶着されるため、フッ素樹脂同士であるケース14とカバー15とをより確実にレーザ溶着することが可能となる。
【0049】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、カバー15の外周側面15cが組み付け方向(高さ方向Z)に沿って形成されたが、これに特に限定されるものではなく、外周側面15cの形状は構成に応じて適宜変更してもよい。
【0050】
・上記実施形態では、ケース14とカバー15とのレーザ溶着の際のレーザ光の光軸L方向が、各テーパ面14b,15b同士の境界面と平行となるように設定されたが、これに特に限定されるものではない。例えば、レーザ光の光軸Lが間隙部SのV字の開き角(ケース側テーパ面14bと外周側面15cとのなす角度)の範囲内に位置するように設定してもよい。
【0051】
・上記実施形態では、ケース14の開口端部14aとカバー15とをレーザ溶着した後に、ケーブル導出部23の先端部23aとをレーザ溶着するが、これに特に限定されるものではなく、反対にケース14の開口端部14aとカバー15とをレーザ溶着する前に、ケーブル導出部23の先端部23aとをレーザ溶着してもよい。
【0052】
・上記実施形態では、ケーブル16は、センサ主要部と外部との電気的接続のためのものであるが、これに特に限定されるものではなく、光ファイバ用のケーブルとしてもよい。
【0053】
・上記実施形態では、本発明を漏液検出センサ1に適用したが、これに特に限定されるものではなく、他の検出センサに適用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…漏液検出センサ、14…ケース、14a…開口端部、14b…ケース側テーパ面、15…カバー、15a…外周縁部、15b…カバー側テーパ面、15c…外周側面(離間面)、21…外周壁部、22…底部、L…レーザ光の光軸、S…間隙部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周壁部と底部とからなる有底筒状のケースと、
前記ケースの外周壁部における前記底部とは反対側の開口端部を塞ぐカバーと
を備え、前記ケース及び前記カバーがそれぞれフッ素樹脂からなる検出センサであって、
前記ケースと前記カバーとは、レーザ溶着されてその間が封止されるものであり、
前記ケースの開口端部の内周面には、前記カバーの組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面が設けられ、
前記カバーの外周縁部の内面側部位には、前記ケース側テーパ面と密着するカバー側テーパ面が設けられ、
前記カバーの外周縁部には、前記カバーの外面側において前記カバー側テーパ面と連続するとともに前記ケース側テーパ面から離間して該ケース側テーパ面との間に間隙部を形成する離間面が設けられていることを特徴とする検出センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の検出センサにおいて、
前記カバーの前記離間面は、前記カバーの組み付け方向に沿って形成されていることを特徴とする検出センサ。
【請求項3】
外周壁部と底部とからなる有底筒状のケースと、
前記ケースの外周壁部における前記底部とは反対側の開口端部を塞ぐカバーと
を備え、前記ケース及び前記カバーがそれぞれフッ素樹脂からなる検出センサの製造方法であって、
前記ケースの開口端部の内周面には、前記カバーの組み付け方向に縮径するテーパ状をなすケース側テーパ面が設けられ、
前記カバーの外周縁部の内面側部位には、前記ケース側テーパ面と密着するカバー側テーパ面が設けられ、
前記カバーの外周縁部には、前記カバーの外面側において前記カバー側テーパ面と連続するとともに前記ケース側テーパ面から離間して該ケース側テーパ面との間に間隙部を形成する離間面が設けられ、
前記ケース側テーパ面と前記カバー側テーパ面とが密着する境界面に対し前記間隙部を介してレーザ光を照射して該各テーパ面同士をレーザ溶着することを特徴とする検出センサの製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の検出センサの製造方法において、
前記レーザ光の光軸は、前記境界面と平行となるように設定されていることを特徴とする検出センサの製造方法。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の検出センサの製造方法において、
前記カバーの前記離間面は、前記カバーの組み付け方向に沿って形成されていることを特徴とする検出センサの製造方法。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1項に記載の検出センサの製造方法において、
前記ケース側テーパ面と前記カバー側テーパ面とを遠赤外線のレーザ光にてレーザ溶着することを特徴とする検出センサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−215528(P2012−215528A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82164(P2011−82164)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000106221)パナソニック デバイスSUNX株式会社 (578)
【Fターム(参考)】