検出装置
【課題】コードに形成された結節部を容易に検出し、その位置を正確に把握することを可能にするコードの結節部の検出装置を提供する。
【解決手段】連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、前記コードを挟み込み、前記結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、前記ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備え、前記第一及び第二のロールが前記コードを挟んで上下方向に配置され、前記第一のロールが前記コードの上側に位置して移動し、前記検出手段が、前記第一又は第二のロールに設けられる。
【解決手段】連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、前記コードを挟み込み、前記結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、前記ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備え、前記第一及び第二のロールが前記コードを挟んで上下方向に配置され、前記第一のロールが前記コードの上側に位置して移動し、前記検出手段が、前記第一又は第二のロールに設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結節されたコードの結節部を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤなどのゴム部材を補強するためのコードは、ボビンなどに巻付けられた状態から巻出されて所定の加工がなされたのちに巻取りボビンに巻取られる。例えば、コードの加工には、コードをディッピング液に浸漬してディッピング加工を施すディッピング工程やディッピングされたコードを乾燥させる乾燥工程などが設けられる。
コードの巻出しは、加工するコードが各工程に配設され、コードの開始端を巻取りボビンに取付け、巻取りボビンがコードを巻取るときの張力でコードを引張ることにより行われる。巻取りボビンが、巻出しボビンより巻出されたコード全長分を巻取ると巻取りが終了となる。
しかし、ボビン単位で加工を施すと生産効率が悪いため、コードの巻出しが終了して空となった巻出しボビンを新たな巻出しボビンと取り替えたときに、新たな巻出しボビンのコードの開始端(巻出し開始直前のコードの前端)を、取り替え前の巻出しボビンのコードの終了端(巻取り終了直前のコードの後端)に結節させて、新たな巻出しボビンから巻出されるコードが、取り替え前の巻出しボビンのコードによって各工程に対してガイドされて連続的かつ継続的にコードが加工されるように行われる。
そこで、新たに巻出されたコードの開始端(結節部)が、巻取りボビンに巻取られた後、コードの搬送が停止される。つまり巻取りボビンの巻取りを停止させて、コードをカットし、ガイドされたコードを新たな巻取りボビンで巻取るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−348420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の加工装置では、搬送されるコードを巻取る巻取りボビンの停止タイミングが合わず、コード搬送における結節部の位置を正確に把握することを考慮していないため、結節部とともに巻取りボビンに巻取られたコードは、手作業や別の巻出機などを用いて巻取りボビンから解いて結節部の探索が行われることとなる。この結節部の探索までにボビンから解かれた加工済みのコードは廃棄され、多い場合に150m近くの廃棄長さになる。このように、手作業や別の巻出し機の使用により結節部を探索する作業効率の悪さや加工済みコードの無駄な廃棄は、生産性の向上を阻害する要因となっているためコードを加工する装置に改良が必要とされている。
【0005】
本発明では、前記課題を解決するため、連続して搬送されるコードに形成された結節部を容易に検出し、その位置を正確に把握することを可能にするコードの結節部の検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態として、連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、コードを挟み込み、結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備える構成とした。
本発明によれば、コードを挟み込み、結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備えることにより、結節部が第一のロールと第二のロールの間を通過したときに一方のロール又は両方のロールが移動して、この移動によるロールの変位量を検出手段が可動ロールの変位として検出することで結節部の通過及び位置を正確に検知することができる。
【0007】
本発明の第2の形態として、第一及び第二のロールがコードを挟んで上下方向に配置され、第一のロールがコードの上側に位置して移動する構成とした。
本発明によれば、第一及び第二のロールがコードを挟んで上下方向に配置され、第一のロールがコードの上側に位置し、移動することにより、結節部が第一のロールと第二のロールの間を通過したときに第一のロールが上方に移動し、この移動の変位量を検出手段で検出することができ、結節部の通過を検知することができる。また、第一のロールにより結節部が検出されたのち、第一のロールが自重によりもとの位置に戻り、第一及び第二のロールで再びコードを挟むように構成して結節部を検知することができる。
【0008】
本発明の第3の形態として、検出手段が、第一のロール又は第二のロールに設けられる構成とした。
本発明によれば、検出手段が、第一のロール又は第二のロールに設けられることにより、第一のロールが変位したときに結節部の通過が検知され、結節部を検出する検出手段をコンパクトにまとめることができる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群の組み合わせもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るコード加工装置の概略工程側面図。
【図2】本発明の実施形態に係るコード加工装置の概略工程上面図。
【図3】本発明の実施形態に係る検出手段の斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る検出手段の側面拡大図。
【図5】本発明の実施形態に係る検出手段の他の配置図。
【図6】本発明の実施形態に係る検出手段の他の配置図。
【図7】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図8】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図9】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図10】本発明の実施形態に係る経路拡大図。
【図11】本発明の実施形態に係る制御方法のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0012】
図1は、コードに加工を施すコード加工装置に、本発明の結節部を検出する検出装置を設けた構成を概略的に示す概略工程の側面図を示し、図2は、図1に示すコード加工装置の上面図を示す。
図1,図2を用いてコードが加工される全工程の概略を説明する。なお、コード加工装置によって加工されるコード10は、複数の繊維(フィラメント)を撚ることで形成された撚り線として説明するが、コード10の構成(撚りの有無)や素材に依存することなく加工される。
【0013】
コード加工装置は、概略、巻出し手段35から直線状態を保って送り出されたコード10をディッピング手段60で加工後に巻取り手段80で巻取るようにし、かつ巻出し手段35からのコード10の巻出し開始のコード開始端10Bと、コード10の巻取り終了直前のコード終了端10Aとを結節する結節手段40を有するコード加工装置1において、巻取り手段80の前段に、コードの結節部12を検出する検出装置70を設け、結節部12の検出をしたのちに巻取り手段80による巻取りを停止するようにした構成である。
【0014】
図2に示すように、コード10の加工工程は、巻出しボビンに巻付けられたコード10を巻出しボビンから巻出す巻出し手段35から開始される。
巻出し手段35は、コード10を巻出す巻出しボビンが複数用意され、巻出しを行っている巻出しボビンからの巻出しが終了して空巻に近づいたときに、満巻の新しい巻出しボビンからコードの先端を結節手段40へ供給して結節させることにより巻出しボビンを切り替えて巻出しが連続的となるように行われる。
【0015】
本実施形態では、10本のコード10が平行状態を保ちつつ並べられて一方向に搬送されるように各巻出しボビンから巻出しが行われ、巻出しの完了したボビンは、随時、満巻の新たな巻出しボビンと交換される。
【0016】
結節手段40は、巻出し手段35の後段に設けられ、エアスプライサー46やタイニングマシンと呼ばれる装置により巻出しボビンからの巻出しが終了するコード10のコード終了端10Aに新たな巻出しボビンから巻出されるコード10のコード開始端10Bを結節する。
【0017】
すなわち、結節手段40は、コード10の巻出しを継続的、連続的に行うために、巻出しが終了するボビンから巻出されるコード10のコード終了端10Aと、新たな満巻の巻出しボビンから巻出しが開始されるコード10のコード開始端10Bとを結節して結節部12を形成させて、コード10同士を結節する。
これにより、コード開始端10Bは、コード終了端10Aにより引張られてバッファ手段50、ディッピング手段60、乾燥手段65、検出装置70の順にガイドされるため、コード開始端10Bを別途各手段にガイドする手間を省くことができる。
【0018】
エアスプライサー46は、巻出しの終了するボビンから巻出されるコード10とターレットを回転させて切り替えられる新たなボビンから巻出されるコード10との切替え時間を短縮するために設けられる。さらに、結節におけるコード10の材料屑等の発生を抑制して、生産性を向上させるために設けられる。
なお、エアスプライサー46による結節は、結節を行うコード10を巻出すボビンからの巻出しを一時停止させて行われ、コード10の結節に要するコード10の巻出しの停止時間は数秒〜数十秒程度である。また、結節手段40は、巻出しが終了する巻出しボビンと新たな巻出しボビンを切り替えるときのみ稼動される。
【0019】
バッファ手段50は、搬送されるコード10を一時的に蓄えるアキュームレータからなる。
アキュームレータは、固定ロール52と移動ロール53とによって構成される。
移動ロール53は、固定ロール52に対して、いずれかの移動手段によって近接、離間するようにコード10の搬送方向に対して上下直角方向に移動可能に設けられる。なお、本実施形態1では、固定ロール52と移動ロール53は、それぞれ4個ずつがコード10毎に設けられる。
アキュームレータによってバッファされる(蓄えられる)コード10は、移動ロール53、固定ロール52の順に、順々に掛けられる。
【0020】
例えば、アキュームレータにコード10をバッファするときには、固定ロール52と移動ロール53との間の距離が大きくなるように移動ロール53を移動させれば良い。つまり、固定ロール52と移動ロール53が離間する距離分だけ、コード10がバッファされる。
また、アキュームレータに蓄えられたコード10を送出するときには、固定ロール52と移動ロール53の距離が近づくように移動ロール53を移動させれば良い。
移動ロール53は、コード10毎に制御され、かつ4つのうちの1つずつがそれぞれ順番に移動することにより、コード10がバッファ又は送出される。
【0021】
なお、バッファ手段50は、上記結節手段40でコード10が結節される以前に稼動される。例えば、結節手段40が結節を行う前に、あらかじめバッファ手段を稼動させてコード10をバッファさせておき、結節手段40がコード10の結節を行う間は、バッファ手段50からコード10が後段の工程に送出される。
【0022】
なお、バッファ手段50は、後述の制御手段100の出力するバッファ開始信号105及びバッファ停止信号106に基づいて、アキュームレータを動作させ、コード10のバッファの開始や停止及びバッファされたコードの送出がなされる。
【0023】
ディッピング手段60は、コード10をディッピング液61としての、例えば、接着溶剤などに浸漬させる。ディッピング手段60においてコード10は、平行状態を保ちつつ一方向に搬送されたまま、ディップロール9にガイドされてディッピング液61の満たされた浴槽62に浸漬される。
コード10のディッピングをガイドするディップロール9が、浴槽62に満たしたディッピング液61にディップロール9の一部が浸かるように配置される。
【0024】
乾燥手段65は、乾燥装置66からなり、ディッピングされたコード10のディッピング液61の乾燥が行われる。乾燥されるコード10は、ディッピング手段60と同様に搬送されつつ行われる。なお、ディッピングされたコード10は、乾燥装置66によって十分乾燥された後、後述の巻取り手段80により巻取られる。
【0025】
図3は、本発明に係る検出装置70を示す。図4は、図3の検出装置70の側面拡大図を示す。
検出装置70は、図3に示すように、概略、第一のロールとしての可動ロール71と第二のロールとしての固定ロール72及び検出手段としての検知部75によって構成される。
可動ロール71と固定ロール72は、搬送されるコード10を挟み込むようにコードの延在方向に対して直角方向に一列にコード10毎に設けられる。
可動ロール71は、コード10の上側に変位可能に設けられ、固定ロール72は、コード10の下側に固定されて設けられる。
【0026】
具体的には、検出装置70は、上下方向に変位可能となったコード10の上側に位置して可動する可動ロール71と下側に位置して固定された固定ロール72とにより、コード10を上下から挟み込み、コード10の延在方向に対し可動ロール71と固定ロール72の回転軸が直角となるように軸支され、かつ結節部12の通過に伴い上部の可動ロール71が上方向に移動,変位したときに、可動ロール及び固定ロールに取付けられた検知部75により結節部12を検知する構成である。
なお、搬送される各コード10の結節部12が、常に同時に検出装置70を通過する場合には、コード10毎に検出装置70を設けなくても良い。
【0027】
以下、検出装置70について詳述する。
可動ロール71と固定ロール72は、支持部材73,73により支持される。
支持部材73は、一端にU字状の一部が開放した長穴を備え、両端の中間位置に孔を有し、他端は固定部材74と固定可能に形成される。
支持部材73の一端の一部がU字状に開放した長孔には、可動ロール71の回転を支持する支持軸71oを設け、中間の孔には、固定ロール72の回転を支持する支持軸72oを挿入して、可動ロール71と固定ロール72を左右から支持する。
【0028】
すなわち、可動ロール71と固定ロール72は、回転可能に支持され、かつ可動ロール71は、長孔に沿って自在に上下方向に移動可能に支持される。コード10は、固定支持される固定ロール72と、上下方向に変位可能に支持される可動ロール71が自重により下方に位置することにより挟まれつつ搬送される。
【0029】
検知部75は、近接センサ76と測定部材77で構成される。
測定部材77は、可動ロール71の側方の非回転部分、例えば可動ロール71の回転を支持する軸に取付けられ、近接センサ76は、固定ロール72の非回転部分、例えば固定ロール72の回転を支持する軸などに取付けられる。
【0030】
測定部材77は、透過性のない反射材などからなり、近接センサ76と対に用いる反射部材である。
近接センサ76には、例えば、レーザーセンサーなどが用いられる。
すなわち、上記構成によれば、検知部75は、レーザーセンサーの照射部が照射するレーザー光を測定部材77に照射させ、測定部材77からの反射光をレーザーセンサーの受光部が受光することにより、近接センサ76(レーザーセンサー)と測定部材77との距離の変化が検出される。
なお、近接センサ76としては、フォトインタラプタなど光学的に変位の検出が可能なものや、機械的に変位の検出が可能なマイクロスイッチなどを用いても良い。また、測定部材77は、使用する近接センサ76により適宜選択し用いれば良い。
【0031】
以上説明したように、図4(a),(b)に示すように、例えば、可動ロール71と固定ロール72に挟まれて搬送されるコード10の結節部12が可動ロール71と固定ロール72の間を通過すると、可動ロール71は、上方に押し上げられ、例えば結節部12の大きさ分距離dだけ変位する。距離dの変位は、検知部75によって検知されて結節部12の通過を後述する制御手段100に検出信号107が出力される。
【0032】
なお、結節部12の検出により巻取り手段80を制御する場合には、検出装置70は、巻取り手段80までの経路の長さが一定となる搬送経路上に設けることが望ましい。
本実施形態では、検出装置70を乾燥手段65の後段に設けたが、コード10を伸縮許容するバッファ手段50の後段であれば各コード10を搬送する経路上のどの位置に検出装置70を設けても良い。
【0033】
図5及び図6は搬送されるコードのコード並び幅が狭いときの検出装置70の配置を示す。
図5及び図6のように、検出装置70を取付ける場合に、複数のコード10の搬送コード間隔が狭く、互いの検出装置70が干渉して設置が困難になる場合には、図5に示すように、検出装置70をコード並び方向aに対し、傾斜方向bに沿って配置したり、図6に示すように検出装置70をコード並び方向aに千鳥状に配置して構成すれば良い。
【0034】
図7〜図9は、巻取り手段80の構成及び動作を示す。
巻取り手段80は、複数の巻取り手段80を備え、搬送されるコード10の本数分を個別に巻取る。各巻取り手段80は、ターレット81と、図示しない巻取り動力と巻取りガイドにより構成される。
【0035】
ターレット81は、一方向に回転駆動され、回転軸81oを挟んで両側にボビン82f,82eの2つを備え、一方のボビン82fで巻取りが完了すると、反転方向Rに反転して他方の空きボビン82eをコード10の巻取り位置に移動させる装置である。
なお、巻取りの完了とは、コード10の巻取りを行っているボビン82fに対して結節部12が巻取られるか、巻取られる直前か、結節部12がボビン82fに所定の距離となったときを意味する。
【0036】
図7〜図9に示すように、巻取りが完了したボビン82fは、結節部12がこれからボビン82eに巻取られるコード10のコード開始端10B側に残らないように切り取られる。つまり、結節部12は、コード終了端10Aとともにボビン82fに巻取られ、加工済みのコード10の巻取りが完了したボビン82fを次の工程で使用するときの巻出しの開始端として残される。このとき、結節部12からコード10を切り取るまでの長さLが所定長さ又は短くなるようにコード10のコード開始端10B側で切り取られる。
【0037】
コード10とともに結節部12が、ボビン82fに対して所定位置まで巻取られると、ターレット81が、反転してボビン82eをコード10の巻取り位置に切り替える。
例えば、図7で示すように結節部12が位置したときに、ターレット81は、図8に示すように反転を開始する。
ターレット81の反転により、図9に示すように、搬送されるコード10は、切り替えられるボビン82eに巻付いたときに、カッター84などにより切断されてボビン82eにより新たに巻取りが開始される。
なお、巻取りを行うボビン82e,82fはそれぞれコード10を巻付ける軸にコードを挟む溝を備えているため、カッター84により切断されても、ターレット81の回転にともなう少しの巻付きでもコード10はボビン82e又はボビン82fに拘束される。
【0038】
図外の巻取り動力は、例えば、ターレット81がボビン82eを巻取り位置に位置させたときに、巻取りを行うボビン82eと接続して、ボビン82eが回転してコード10を巻取る駆動源である。
また、図外の巻取りガイドは、例えば、ボビン82eの巻取りに伴い、コード10がボビン82eの巻取り部分に均一に巻取られるようにボビン82eの回転する軸方向に往復運動してコード10をガイドする。
【0039】
なお、巻取り手段80は、制御手段100に対して巻取り速度を示す巻取り速度信号108を出力し、制御手段100の出力する巻取り停止信号109に基づき巻取りを停止する。巻取りボビン82への巻取りによりコード加工装置1のコード10を加工する工程が終了する。なお、結節部12は、これから巻取られるコード10のコード開始端10B側に残して切り取られても良い。
巻取り手段80によって巻取られたコード10は、後のタイヤ構成部材の製造工程で用いられるコード部材となる。
【0040】
制御手段100は、コンピュータからなり、バッファ手段50と、検出装置70と、巻取り手段80とが接続され、検出装置70の検知信号に基づきバッファ手段50と、巻取り手段80とを制御する。
また、制御手段100は、検出装置70と巻取り手段80までの経路長さをあらかじめ記憶する。
【0041】
図10は、検出装置70から巻取り手段80までの経路の拡大図である。図10中におけるA〜Jは、検出装置70から巻取り手段80までの経路名を示す。
図10に示すように、検出装置70から巻取り手段80までに直角に曲がる経路が設けられた場合、各コード10が検出装置70から巻取り手段80まで搬送される経路長さ(距離)はそれぞれ異なる。このため、制御手段100は、各コード10の経路A〜Jの経路長さと、各経路に対応するコード10との対応関係を記憶する。各コード10が結節手段40から巻取り手段80まで移動する長さがそれぞれ異なる場合において、検出装置70により、結節部12が検出されたときに、制御手段100は、前記移動する長さに応じて巻取り手段80による巻取りボビンの切替え、又は、停止を行うために、結節部12が巻取り手段80に対して所定の位置になるように巻取りを停止させる制御を個別に行う。
これにより、巻取られたコード10の結節部が容易に特定され、結節部12の除去作業を容易、かつ、無駄なく行うことができ、かつ、コードの生産性を向上させることができる。
なお、各コード10毎の検出装置70と巻取り手段80までの経路A〜Jの経路長さは、あらかじめ測定されてキーボードなどから入力される。
【0042】
図10において、搬送される経路A〜Jを検出装置70から巻取り手段80までとしたが、さらに詳細に制御を行うためには、巻取り手段80内において巻取りを行う各ボビンまでの距離も考慮に入れると良い。
【0043】
図11は、検出装置70の出力する検出信号107に基づき制御手段100によって各手段を制御するブロック図を示す。
図11を用いて、制御手段100が、コード加工装置1のバッファ手段50と、検出装置70と、巻取り手段80とを制御する制御方法について説明する。
【0044】
巻出し手段35から巻出されるコード10は、巻出しが終了するボビンから満巻の新たな巻出しボビンに切替えるために、新たな巻出しボビンのコード10の先端を引き出して結節手段40に供給し、結節手段40により巻出し開始のコード10のコード開始端10Bと、巻取り終了直前のコード10のコード終了端10Aとが結節されて結節部12が形成される。
【0045】
この結節部12を有したコード10が、検出装置70を通過したときに、検出装置70は、結節部12を検出した検出信号107を制御手段100に出力する。
検出信号107が入力された制御手段100は、制御手段100の記憶する各コード10毎の経路A〜Jの長さを読み出し、これと同時に、各コード10毎の巻取り手段80が出力する巻取り速度信号108を基に、結節部12が検出装置70から各巻取り手段80まで移動するのに要する各コード毎の移動時間を演算する。
【0046】
この演算結果に基づき制御手段100は、各コード10の結節部12がちょうど巻取り手段80に達したときに巻取りを停止させるように巻取り停止信号109を各巻取り手段80に対して出力する。
このように制御することにより、各コード10がバッファ手段50の作動により結節手段40から巻取り手段80まで移動する長さがそれぞれ異なる場合でも、巻取り時の結節部12の位置を正確に制御できる。
つまり、各コード10の結節部12がそれぞれの巻取りボビン82に巻取られる直前又は直後や、結節部12が巻取り手段80に対し所定の位置となるように、制御手段100は、個別に巻取り手段80の切替えを含む停止の動作をさせることができる。すなわち、コード10から結節部12が容易に探索され、コード廃棄長さが短くなるように結節部12とともに切り取られることにより、各コード10の無駄な廃棄長さを削減することができる。
【0047】
しかし、巻取りが停止したコード10は、巻出し手段35によって巻出しが継続的に行われるため、巻取り手段80が停止している間、巻出されたコード10を一時的に蓄える必要がある。
【0048】
そこで、制御手段100は、巻取り停止信号109の出力とともに、巻取りを停止したコード10のバッファ(一時的に蓄える)を行うように、バッファ開始信号105をバッファ手段50のアキュームレータに対して出力する。
【0049】
バッファ開始信号105が入力されたバッファ手段50のアキュームレータの移動ロール53は、バッファ手段50の後段にコード10が送出されないようにコード10が固定ロール52と離間するように移動を開始してバッファする。
【0050】
結節部12が巻取り手段80に達し、制御手段100の信号に基づき停止した巻取り手段80は、結節部12がこれから巻取られるコード10側に残すように切り取られ、ターレット81を回転させて巻取りボビン82を切り替える。
巻取りボビン82の切り替えが完了した巻取り手段80は、切り替え完了信号89を制御手段100に出力する。
【0051】
制御手段100は、切り替え完了信号89に基づき、新しく切り替えられた巻取りボビン82の巻取りを開始させる。
各コード10は、上記した制御方法によりそれぞれ独立して制御され、継続的にコード10の加工が行われる。
なお、各手段の間には図示しない自在に回転可能な搬送ロールが適宜設けられる。
【0052】
また、上記形態のように、各コード毎にあらかじめ設けられる搬送経路の長さが異なる場合以外にも、各コード10毎に設けられる巻出し手段35や巻取り手段80のボビンの切り替えに要する時間の差やバッファ手段50のバッファ量の違いにより、各コード10の結節部12が形成され巻取り手段80に到達するタイミングにずれが生じる場合がある。このような場合でも、検出装置70を各コード10毎に巻取り手段80までの経路長さが変化しない経路上に設けたことにより、制御手段100は、巻取りボビン82に結節部12を巻取る直前又は直後や巻取り手段80に対して所定の位置で切替えを含む停止の動作を制御し、各コード10を最も短い廃棄長さで結節部12とともに切り取るようにして、無駄な廃棄長さを削減させることができる。
なお、経路長さが変化する場合でも、変化した経路長さの変化量を把握できるように検出手段又は測定手段を設けることで変化量を勘案させて制御することも可能である。
【0053】
つまり、搬送されるコード10の本数に関わらず、各コード10毎に検出装置70をバッファ手段50の後段に設けたことにより、コード10の結節部12を確実に検出して、制御手段100が検出装置70から巻取り手段80までの経路の長さを考慮して巻取り手段80を制御することにより、後の工程で使用される加工済みのコード10の結節部12を巻取りボビン82から容易に探索でき、コード廃棄長さを短くするとともに結節部12を取り除くことができる。
【0054】
なお、検出装置70において、結節部12の通過に伴い上部の可動ロール71が上方向に移動し、固定ロール72を固定するように構成したが、可動ロール71を下方に位置させ、固定ロール72を上方に位置させて結節部12が検出されるようにしても良い。また、固定ロール72も可動ロールとして、両方の可動ロールによって結節部12が通過するときに移動するように構成して結節部12が検出されるようにしても良い。この場合、可動ロール71と可動ロールの回転を軸支する軸をスプリングなどで互いが引き合うようにすれば良い。
【0055】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 コード加工装置、10 コード、12 結節部、35 巻出し手段、
40 結節手段、50 バッファ手段、60 ディッピング手段、65 乾燥手段、
70 検出装置、71 可動ロール、72 固定ロール、75 検知部、
80 巻取り手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、結節されたコードの結節部を検出する検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤなどのゴム部材を補強するためのコードは、ボビンなどに巻付けられた状態から巻出されて所定の加工がなされたのちに巻取りボビンに巻取られる。例えば、コードの加工には、コードをディッピング液に浸漬してディッピング加工を施すディッピング工程やディッピングされたコードを乾燥させる乾燥工程などが設けられる。
コードの巻出しは、加工するコードが各工程に配設され、コードの開始端を巻取りボビンに取付け、巻取りボビンがコードを巻取るときの張力でコードを引張ることにより行われる。巻取りボビンが、巻出しボビンより巻出されたコード全長分を巻取ると巻取りが終了となる。
しかし、ボビン単位で加工を施すと生産効率が悪いため、コードの巻出しが終了して空となった巻出しボビンを新たな巻出しボビンと取り替えたときに、新たな巻出しボビンのコードの開始端(巻出し開始直前のコードの前端)を、取り替え前の巻出しボビンのコードの終了端(巻取り終了直前のコードの後端)に結節させて、新たな巻出しボビンから巻出されるコードが、取り替え前の巻出しボビンのコードによって各工程に対してガイドされて連続的かつ継続的にコードが加工されるように行われる。
そこで、新たに巻出されたコードの開始端(結節部)が、巻取りボビンに巻取られた後、コードの搬送が停止される。つまり巻取りボビンの巻取りを停止させて、コードをカットし、ガイドされたコードを新たな巻取りボビンで巻取るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−348420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の加工装置では、搬送されるコードを巻取る巻取りボビンの停止タイミングが合わず、コード搬送における結節部の位置を正確に把握することを考慮していないため、結節部とともに巻取りボビンに巻取られたコードは、手作業や別の巻出機などを用いて巻取りボビンから解いて結節部の探索が行われることとなる。この結節部の探索までにボビンから解かれた加工済みのコードは廃棄され、多い場合に150m近くの廃棄長さになる。このように、手作業や別の巻出し機の使用により結節部を探索する作業効率の悪さや加工済みコードの無駄な廃棄は、生産性の向上を阻害する要因となっているためコードを加工する装置に改良が必要とされている。
【0005】
本発明では、前記課題を解決するため、連続して搬送されるコードに形成された結節部を容易に検出し、その位置を正確に把握することを可能にするコードの結節部の検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の形態として、連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、コードを挟み込み、結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備える構成とした。
本発明によれば、コードを挟み込み、結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備えることにより、結節部が第一のロールと第二のロールの間を通過したときに一方のロール又は両方のロールが移動して、この移動によるロールの変位量を検出手段が可動ロールの変位として検出することで結節部の通過及び位置を正確に検知することができる。
【0007】
本発明の第2の形態として、第一及び第二のロールがコードを挟んで上下方向に配置され、第一のロールがコードの上側に位置して移動する構成とした。
本発明によれば、第一及び第二のロールがコードを挟んで上下方向に配置され、第一のロールがコードの上側に位置し、移動することにより、結節部が第一のロールと第二のロールの間を通過したときに第一のロールが上方に移動し、この移動の変位量を検出手段で検出することができ、結節部の通過を検知することができる。また、第一のロールにより結節部が検出されたのち、第一のロールが自重によりもとの位置に戻り、第一及び第二のロールで再びコードを挟むように構成して結節部を検知することができる。
【0008】
本発明の第3の形態として、検出手段が、第一のロール又は第二のロールに設けられる構成とした。
本発明によれば、検出手段が、第一のロール又は第二のロールに設けられることにより、第一のロールが変位したときに結節部の通過が検知され、結節部を検出する検出手段をコンパクトにまとめることができる。
【0009】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴のすべてを列挙したものではなく、これらの特徴群の組み合わせもまた、発明となり得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るコード加工装置の概略工程側面図。
【図2】本発明の実施形態に係るコード加工装置の概略工程上面図。
【図3】本発明の実施形態に係る検出手段の斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る検出手段の側面拡大図。
【図5】本発明の実施形態に係る検出手段の他の配置図。
【図6】本発明の実施形態に係る検出手段の他の配置図。
【図7】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図8】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図9】本発明の実施形態に係る巻取り手段構成図及び作動図。
【図10】本発明の実施形態に係る経路拡大図。
【図11】本発明の実施形態に係る制御方法のブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0012】
図1は、コードに加工を施すコード加工装置に、本発明の結節部を検出する検出装置を設けた構成を概略的に示す概略工程の側面図を示し、図2は、図1に示すコード加工装置の上面図を示す。
図1,図2を用いてコードが加工される全工程の概略を説明する。なお、コード加工装置によって加工されるコード10は、複数の繊維(フィラメント)を撚ることで形成された撚り線として説明するが、コード10の構成(撚りの有無)や素材に依存することなく加工される。
【0013】
コード加工装置は、概略、巻出し手段35から直線状態を保って送り出されたコード10をディッピング手段60で加工後に巻取り手段80で巻取るようにし、かつ巻出し手段35からのコード10の巻出し開始のコード開始端10Bと、コード10の巻取り終了直前のコード終了端10Aとを結節する結節手段40を有するコード加工装置1において、巻取り手段80の前段に、コードの結節部12を検出する検出装置70を設け、結節部12の検出をしたのちに巻取り手段80による巻取りを停止するようにした構成である。
【0014】
図2に示すように、コード10の加工工程は、巻出しボビンに巻付けられたコード10を巻出しボビンから巻出す巻出し手段35から開始される。
巻出し手段35は、コード10を巻出す巻出しボビンが複数用意され、巻出しを行っている巻出しボビンからの巻出しが終了して空巻に近づいたときに、満巻の新しい巻出しボビンからコードの先端を結節手段40へ供給して結節させることにより巻出しボビンを切り替えて巻出しが連続的となるように行われる。
【0015】
本実施形態では、10本のコード10が平行状態を保ちつつ並べられて一方向に搬送されるように各巻出しボビンから巻出しが行われ、巻出しの完了したボビンは、随時、満巻の新たな巻出しボビンと交換される。
【0016】
結節手段40は、巻出し手段35の後段に設けられ、エアスプライサー46やタイニングマシンと呼ばれる装置により巻出しボビンからの巻出しが終了するコード10のコード終了端10Aに新たな巻出しボビンから巻出されるコード10のコード開始端10Bを結節する。
【0017】
すなわち、結節手段40は、コード10の巻出しを継続的、連続的に行うために、巻出しが終了するボビンから巻出されるコード10のコード終了端10Aと、新たな満巻の巻出しボビンから巻出しが開始されるコード10のコード開始端10Bとを結節して結節部12を形成させて、コード10同士を結節する。
これにより、コード開始端10Bは、コード終了端10Aにより引張られてバッファ手段50、ディッピング手段60、乾燥手段65、検出装置70の順にガイドされるため、コード開始端10Bを別途各手段にガイドする手間を省くことができる。
【0018】
エアスプライサー46は、巻出しの終了するボビンから巻出されるコード10とターレットを回転させて切り替えられる新たなボビンから巻出されるコード10との切替え時間を短縮するために設けられる。さらに、結節におけるコード10の材料屑等の発生を抑制して、生産性を向上させるために設けられる。
なお、エアスプライサー46による結節は、結節を行うコード10を巻出すボビンからの巻出しを一時停止させて行われ、コード10の結節に要するコード10の巻出しの停止時間は数秒〜数十秒程度である。また、結節手段40は、巻出しが終了する巻出しボビンと新たな巻出しボビンを切り替えるときのみ稼動される。
【0019】
バッファ手段50は、搬送されるコード10を一時的に蓄えるアキュームレータからなる。
アキュームレータは、固定ロール52と移動ロール53とによって構成される。
移動ロール53は、固定ロール52に対して、いずれかの移動手段によって近接、離間するようにコード10の搬送方向に対して上下直角方向に移動可能に設けられる。なお、本実施形態1では、固定ロール52と移動ロール53は、それぞれ4個ずつがコード10毎に設けられる。
アキュームレータによってバッファされる(蓄えられる)コード10は、移動ロール53、固定ロール52の順に、順々に掛けられる。
【0020】
例えば、アキュームレータにコード10をバッファするときには、固定ロール52と移動ロール53との間の距離が大きくなるように移動ロール53を移動させれば良い。つまり、固定ロール52と移動ロール53が離間する距離分だけ、コード10がバッファされる。
また、アキュームレータに蓄えられたコード10を送出するときには、固定ロール52と移動ロール53の距離が近づくように移動ロール53を移動させれば良い。
移動ロール53は、コード10毎に制御され、かつ4つのうちの1つずつがそれぞれ順番に移動することにより、コード10がバッファ又は送出される。
【0021】
なお、バッファ手段50は、上記結節手段40でコード10が結節される以前に稼動される。例えば、結節手段40が結節を行う前に、あらかじめバッファ手段を稼動させてコード10をバッファさせておき、結節手段40がコード10の結節を行う間は、バッファ手段50からコード10が後段の工程に送出される。
【0022】
なお、バッファ手段50は、後述の制御手段100の出力するバッファ開始信号105及びバッファ停止信号106に基づいて、アキュームレータを動作させ、コード10のバッファの開始や停止及びバッファされたコードの送出がなされる。
【0023】
ディッピング手段60は、コード10をディッピング液61としての、例えば、接着溶剤などに浸漬させる。ディッピング手段60においてコード10は、平行状態を保ちつつ一方向に搬送されたまま、ディップロール9にガイドされてディッピング液61の満たされた浴槽62に浸漬される。
コード10のディッピングをガイドするディップロール9が、浴槽62に満たしたディッピング液61にディップロール9の一部が浸かるように配置される。
【0024】
乾燥手段65は、乾燥装置66からなり、ディッピングされたコード10のディッピング液61の乾燥が行われる。乾燥されるコード10は、ディッピング手段60と同様に搬送されつつ行われる。なお、ディッピングされたコード10は、乾燥装置66によって十分乾燥された後、後述の巻取り手段80により巻取られる。
【0025】
図3は、本発明に係る検出装置70を示す。図4は、図3の検出装置70の側面拡大図を示す。
検出装置70は、図3に示すように、概略、第一のロールとしての可動ロール71と第二のロールとしての固定ロール72及び検出手段としての検知部75によって構成される。
可動ロール71と固定ロール72は、搬送されるコード10を挟み込むようにコードの延在方向に対して直角方向に一列にコード10毎に設けられる。
可動ロール71は、コード10の上側に変位可能に設けられ、固定ロール72は、コード10の下側に固定されて設けられる。
【0026】
具体的には、検出装置70は、上下方向に変位可能となったコード10の上側に位置して可動する可動ロール71と下側に位置して固定された固定ロール72とにより、コード10を上下から挟み込み、コード10の延在方向に対し可動ロール71と固定ロール72の回転軸が直角となるように軸支され、かつ結節部12の通過に伴い上部の可動ロール71が上方向に移動,変位したときに、可動ロール及び固定ロールに取付けられた検知部75により結節部12を検知する構成である。
なお、搬送される各コード10の結節部12が、常に同時に検出装置70を通過する場合には、コード10毎に検出装置70を設けなくても良い。
【0027】
以下、検出装置70について詳述する。
可動ロール71と固定ロール72は、支持部材73,73により支持される。
支持部材73は、一端にU字状の一部が開放した長穴を備え、両端の中間位置に孔を有し、他端は固定部材74と固定可能に形成される。
支持部材73の一端の一部がU字状に開放した長孔には、可動ロール71の回転を支持する支持軸71oを設け、中間の孔には、固定ロール72の回転を支持する支持軸72oを挿入して、可動ロール71と固定ロール72を左右から支持する。
【0028】
すなわち、可動ロール71と固定ロール72は、回転可能に支持され、かつ可動ロール71は、長孔に沿って自在に上下方向に移動可能に支持される。コード10は、固定支持される固定ロール72と、上下方向に変位可能に支持される可動ロール71が自重により下方に位置することにより挟まれつつ搬送される。
【0029】
検知部75は、近接センサ76と測定部材77で構成される。
測定部材77は、可動ロール71の側方の非回転部分、例えば可動ロール71の回転を支持する軸に取付けられ、近接センサ76は、固定ロール72の非回転部分、例えば固定ロール72の回転を支持する軸などに取付けられる。
【0030】
測定部材77は、透過性のない反射材などからなり、近接センサ76と対に用いる反射部材である。
近接センサ76には、例えば、レーザーセンサーなどが用いられる。
すなわち、上記構成によれば、検知部75は、レーザーセンサーの照射部が照射するレーザー光を測定部材77に照射させ、測定部材77からの反射光をレーザーセンサーの受光部が受光することにより、近接センサ76(レーザーセンサー)と測定部材77との距離の変化が検出される。
なお、近接センサ76としては、フォトインタラプタなど光学的に変位の検出が可能なものや、機械的に変位の検出が可能なマイクロスイッチなどを用いても良い。また、測定部材77は、使用する近接センサ76により適宜選択し用いれば良い。
【0031】
以上説明したように、図4(a),(b)に示すように、例えば、可動ロール71と固定ロール72に挟まれて搬送されるコード10の結節部12が可動ロール71と固定ロール72の間を通過すると、可動ロール71は、上方に押し上げられ、例えば結節部12の大きさ分距離dだけ変位する。距離dの変位は、検知部75によって検知されて結節部12の通過を後述する制御手段100に検出信号107が出力される。
【0032】
なお、結節部12の検出により巻取り手段80を制御する場合には、検出装置70は、巻取り手段80までの経路の長さが一定となる搬送経路上に設けることが望ましい。
本実施形態では、検出装置70を乾燥手段65の後段に設けたが、コード10を伸縮許容するバッファ手段50の後段であれば各コード10を搬送する経路上のどの位置に検出装置70を設けても良い。
【0033】
図5及び図6は搬送されるコードのコード並び幅が狭いときの検出装置70の配置を示す。
図5及び図6のように、検出装置70を取付ける場合に、複数のコード10の搬送コード間隔が狭く、互いの検出装置70が干渉して設置が困難になる場合には、図5に示すように、検出装置70をコード並び方向aに対し、傾斜方向bに沿って配置したり、図6に示すように検出装置70をコード並び方向aに千鳥状に配置して構成すれば良い。
【0034】
図7〜図9は、巻取り手段80の構成及び動作を示す。
巻取り手段80は、複数の巻取り手段80を備え、搬送されるコード10の本数分を個別に巻取る。各巻取り手段80は、ターレット81と、図示しない巻取り動力と巻取りガイドにより構成される。
【0035】
ターレット81は、一方向に回転駆動され、回転軸81oを挟んで両側にボビン82f,82eの2つを備え、一方のボビン82fで巻取りが完了すると、反転方向Rに反転して他方の空きボビン82eをコード10の巻取り位置に移動させる装置である。
なお、巻取りの完了とは、コード10の巻取りを行っているボビン82fに対して結節部12が巻取られるか、巻取られる直前か、結節部12がボビン82fに所定の距離となったときを意味する。
【0036】
図7〜図9に示すように、巻取りが完了したボビン82fは、結節部12がこれからボビン82eに巻取られるコード10のコード開始端10B側に残らないように切り取られる。つまり、結節部12は、コード終了端10Aとともにボビン82fに巻取られ、加工済みのコード10の巻取りが完了したボビン82fを次の工程で使用するときの巻出しの開始端として残される。このとき、結節部12からコード10を切り取るまでの長さLが所定長さ又は短くなるようにコード10のコード開始端10B側で切り取られる。
【0037】
コード10とともに結節部12が、ボビン82fに対して所定位置まで巻取られると、ターレット81が、反転してボビン82eをコード10の巻取り位置に切り替える。
例えば、図7で示すように結節部12が位置したときに、ターレット81は、図8に示すように反転を開始する。
ターレット81の反転により、図9に示すように、搬送されるコード10は、切り替えられるボビン82eに巻付いたときに、カッター84などにより切断されてボビン82eにより新たに巻取りが開始される。
なお、巻取りを行うボビン82e,82fはそれぞれコード10を巻付ける軸にコードを挟む溝を備えているため、カッター84により切断されても、ターレット81の回転にともなう少しの巻付きでもコード10はボビン82e又はボビン82fに拘束される。
【0038】
図外の巻取り動力は、例えば、ターレット81がボビン82eを巻取り位置に位置させたときに、巻取りを行うボビン82eと接続して、ボビン82eが回転してコード10を巻取る駆動源である。
また、図外の巻取りガイドは、例えば、ボビン82eの巻取りに伴い、コード10がボビン82eの巻取り部分に均一に巻取られるようにボビン82eの回転する軸方向に往復運動してコード10をガイドする。
【0039】
なお、巻取り手段80は、制御手段100に対して巻取り速度を示す巻取り速度信号108を出力し、制御手段100の出力する巻取り停止信号109に基づき巻取りを停止する。巻取りボビン82への巻取りによりコード加工装置1のコード10を加工する工程が終了する。なお、結節部12は、これから巻取られるコード10のコード開始端10B側に残して切り取られても良い。
巻取り手段80によって巻取られたコード10は、後のタイヤ構成部材の製造工程で用いられるコード部材となる。
【0040】
制御手段100は、コンピュータからなり、バッファ手段50と、検出装置70と、巻取り手段80とが接続され、検出装置70の検知信号に基づきバッファ手段50と、巻取り手段80とを制御する。
また、制御手段100は、検出装置70と巻取り手段80までの経路長さをあらかじめ記憶する。
【0041】
図10は、検出装置70から巻取り手段80までの経路の拡大図である。図10中におけるA〜Jは、検出装置70から巻取り手段80までの経路名を示す。
図10に示すように、検出装置70から巻取り手段80までに直角に曲がる経路が設けられた場合、各コード10が検出装置70から巻取り手段80まで搬送される経路長さ(距離)はそれぞれ異なる。このため、制御手段100は、各コード10の経路A〜Jの経路長さと、各経路に対応するコード10との対応関係を記憶する。各コード10が結節手段40から巻取り手段80まで移動する長さがそれぞれ異なる場合において、検出装置70により、結節部12が検出されたときに、制御手段100は、前記移動する長さに応じて巻取り手段80による巻取りボビンの切替え、又は、停止を行うために、結節部12が巻取り手段80に対して所定の位置になるように巻取りを停止させる制御を個別に行う。
これにより、巻取られたコード10の結節部が容易に特定され、結節部12の除去作業を容易、かつ、無駄なく行うことができ、かつ、コードの生産性を向上させることができる。
なお、各コード10毎の検出装置70と巻取り手段80までの経路A〜Jの経路長さは、あらかじめ測定されてキーボードなどから入力される。
【0042】
図10において、搬送される経路A〜Jを検出装置70から巻取り手段80までとしたが、さらに詳細に制御を行うためには、巻取り手段80内において巻取りを行う各ボビンまでの距離も考慮に入れると良い。
【0043】
図11は、検出装置70の出力する検出信号107に基づき制御手段100によって各手段を制御するブロック図を示す。
図11を用いて、制御手段100が、コード加工装置1のバッファ手段50と、検出装置70と、巻取り手段80とを制御する制御方法について説明する。
【0044】
巻出し手段35から巻出されるコード10は、巻出しが終了するボビンから満巻の新たな巻出しボビンに切替えるために、新たな巻出しボビンのコード10の先端を引き出して結節手段40に供給し、結節手段40により巻出し開始のコード10のコード開始端10Bと、巻取り終了直前のコード10のコード終了端10Aとが結節されて結節部12が形成される。
【0045】
この結節部12を有したコード10が、検出装置70を通過したときに、検出装置70は、結節部12を検出した検出信号107を制御手段100に出力する。
検出信号107が入力された制御手段100は、制御手段100の記憶する各コード10毎の経路A〜Jの長さを読み出し、これと同時に、各コード10毎の巻取り手段80が出力する巻取り速度信号108を基に、結節部12が検出装置70から各巻取り手段80まで移動するのに要する各コード毎の移動時間を演算する。
【0046】
この演算結果に基づき制御手段100は、各コード10の結節部12がちょうど巻取り手段80に達したときに巻取りを停止させるように巻取り停止信号109を各巻取り手段80に対して出力する。
このように制御することにより、各コード10がバッファ手段50の作動により結節手段40から巻取り手段80まで移動する長さがそれぞれ異なる場合でも、巻取り時の結節部12の位置を正確に制御できる。
つまり、各コード10の結節部12がそれぞれの巻取りボビン82に巻取られる直前又は直後や、結節部12が巻取り手段80に対し所定の位置となるように、制御手段100は、個別に巻取り手段80の切替えを含む停止の動作をさせることができる。すなわち、コード10から結節部12が容易に探索され、コード廃棄長さが短くなるように結節部12とともに切り取られることにより、各コード10の無駄な廃棄長さを削減することができる。
【0047】
しかし、巻取りが停止したコード10は、巻出し手段35によって巻出しが継続的に行われるため、巻取り手段80が停止している間、巻出されたコード10を一時的に蓄える必要がある。
【0048】
そこで、制御手段100は、巻取り停止信号109の出力とともに、巻取りを停止したコード10のバッファ(一時的に蓄える)を行うように、バッファ開始信号105をバッファ手段50のアキュームレータに対して出力する。
【0049】
バッファ開始信号105が入力されたバッファ手段50のアキュームレータの移動ロール53は、バッファ手段50の後段にコード10が送出されないようにコード10が固定ロール52と離間するように移動を開始してバッファする。
【0050】
結節部12が巻取り手段80に達し、制御手段100の信号に基づき停止した巻取り手段80は、結節部12がこれから巻取られるコード10側に残すように切り取られ、ターレット81を回転させて巻取りボビン82を切り替える。
巻取りボビン82の切り替えが完了した巻取り手段80は、切り替え完了信号89を制御手段100に出力する。
【0051】
制御手段100は、切り替え完了信号89に基づき、新しく切り替えられた巻取りボビン82の巻取りを開始させる。
各コード10は、上記した制御方法によりそれぞれ独立して制御され、継続的にコード10の加工が行われる。
なお、各手段の間には図示しない自在に回転可能な搬送ロールが適宜設けられる。
【0052】
また、上記形態のように、各コード毎にあらかじめ設けられる搬送経路の長さが異なる場合以外にも、各コード10毎に設けられる巻出し手段35や巻取り手段80のボビンの切り替えに要する時間の差やバッファ手段50のバッファ量の違いにより、各コード10の結節部12が形成され巻取り手段80に到達するタイミングにずれが生じる場合がある。このような場合でも、検出装置70を各コード10毎に巻取り手段80までの経路長さが変化しない経路上に設けたことにより、制御手段100は、巻取りボビン82に結節部12を巻取る直前又は直後や巻取り手段80に対して所定の位置で切替えを含む停止の動作を制御し、各コード10を最も短い廃棄長さで結節部12とともに切り取るようにして、無駄な廃棄長さを削減させることができる。
なお、経路長さが変化する場合でも、変化した経路長さの変化量を把握できるように検出手段又は測定手段を設けることで変化量を勘案させて制御することも可能である。
【0053】
つまり、搬送されるコード10の本数に関わらず、各コード10毎に検出装置70をバッファ手段50の後段に設けたことにより、コード10の結節部12を確実に検出して、制御手段100が検出装置70から巻取り手段80までの経路の長さを考慮して巻取り手段80を制御することにより、後の工程で使用される加工済みのコード10の結節部12を巻取りボビン82から容易に探索でき、コード廃棄長さを短くするとともに結節部12を取り除くことができる。
【0054】
なお、検出装置70において、結節部12の通過に伴い上部の可動ロール71が上方向に移動し、固定ロール72を固定するように構成したが、可動ロール71を下方に位置させ、固定ロール72を上方に位置させて結節部12が検出されるようにしても良い。また、固定ロール72も可動ロールとして、両方の可動ロールによって結節部12が通過するときに移動するように構成して結節部12が検出されるようにしても良い。この場合、可動ロール71と可動ロールの回転を軸支する軸をスプリングなどで互いが引き合うようにすれば良い。
【0055】
以上、本発明を実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0056】
1 コード加工装置、10 コード、12 結節部、35 巻出し手段、
40 結節手段、50 バッファ手段、60 ディッピング手段、65 乾燥手段、
70 検出装置、71 可動ロール、72 固定ロール、75 検知部、
80 巻取り手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、
前記コードを挟み込み、前記結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、
前記ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第一及び第二のロールが前記コードを挟んで上下方向に配置され、
前記第一のロールが前記コードの上側に位置して移動することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出手段が、前記第一又は第二のロールに設けられることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項1】
連続して搬送されるコードの結節部を検出する検出装置であって、
前記コードを挟み込み、前記結節部の通過に伴い少なくとも一方が移動可能な第一及び第二のロールと、
前記ロールが移動したときにロールの変位量を検出する検出手段とを備えることを特徴とする検出装置。
【請求項2】
前記第一及び第二のロールが前記コードを挟んで上下方向に配置され、
前記第一のロールが前記コードの上側に位置して移動することを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記検出手段が、前記第一又は第二のロールに設けられることを特徴とする請求項1に記載の検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−189789(P2010−189789A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33837(P2009−33837)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】
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