説明

検査方法および装置

【課題】医療機関内に患者が長時間居ることにより院内感染が発生したり、あるいは患者の症状が悪化したりすることを防止できる検査方法を得る。
【解決手段】被験者から採取された検体を用いて複数の疾患に対する陽性・陰性を検査装置により検査する方法において、複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を検査装置から出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者から採取した検体に基づいてその被験者の罹患状態を検査する検査方法および装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、被験物質を含有する可能性のある検体(試料)を担体に保持させ、免疫学的測定等のアッセイ法を用いてこの被験物質について簡便かつ迅速に検査するアッセイ用デバイスが数多く開発されており、体外診断薬や毒物等の検査のための各種デバイスも市販されている。このようなデバイスの一例として、特許文献1に示すようなイムノクロマトグラフ法を利用したものが挙げられる。イムノクロマトグラフ法を利用したデバイスを用いる場合は、検体溶液を担体に保持させた後、早いものであれば約5〜10分間静置するだけで検査結果が得られる。そのため、免疫学的検査等のアッセイ法を用いた検査手法は、簡便かつ迅速な検査手法として、例えば病院における臨床検査や研究室における検定試験等で広く採用されている。
【0003】
特に、医院や診療所あるいは在宅医療等の診療現場においては、臨床検査の専門家によらず簡便に検査を行うPOCT(Point of Care Testing)診療向けの検査装置として、イムノクロマトグラフ検査装置(イムノクロマトリーダー)が多く用いられている。このイムノクロマトグラフ検査装置は、装填されたデバイスの試薬の呈色状態を高感度に測定して、目視判定困難な低呈色状態においても高感度かつ信頼性の高い検査を行うことを可能とする。特許文献2には、この種の検査装置の一例が示されている。
【0004】
上述したような検査方法においては、極く微量の被験物質を高感度で検出可能とすることが求められている。そのような要求に応える検査方法として、例えば特許文献3に示される増幅(増感)処理を行うものが公知となっている。この方法は、担体上に被験物質を展開した後に、洗浄液を送液することによって、担体上の反応部位に特異的な結合により捕捉した標識物質以外を洗浄し、その後増感液を担体上に送液して増感することにより、微量の被験物質を高感度で検出可能としたものである。
【0005】
なお上記増感処理は、必要に応じて行うことができる。すなわち、通常の処理で試薬の呈色状態が測定できた場合はそこで測定を終了し、通常の処理では呈色状態が測定不可能であった場合は、さらに増感処理を行ってから呈色状態を測定するようにしてもよい。
【0006】
以上述べたようなイムノクロマトグラフ検査装置等の従来の検査装置は、試薬を担持させた担体を収めた反応容器を用いて検査を行うように構成されることが多い。この反応容器は、一般にはカートリッジ、パッケージ、検査キットなどとも称されており、複数種類の試薬により、相異なる複数の疾患に対する陽性・陰性を判定可能に構成されることも多い。
【0007】
ここで図8は、以上述べたイムノクロマトグラフ検査装置等を用いて病院等においてなされる従来の検査、およびそれに関連する処理の流れを示すものである。なお同図では、各処理が患者、医師、看護師等および検査装置のいずれにおいてなされるものであるかを、上下に延びる破線で区切って示してある。まず、例えばインフルエンザ等の感染症の自覚症状等を持つ患者が病院、医院等の医療機関に診察を受けに来る(図8中のステップS1。以下、同様)。すると医師や看護師等が、問診等を行って、感染している可能性の有る感染症検査項目を決め、その患者から検体を採取し、またその検体を例えば病院内検査センター等に送って検査オーダーを発する(ステップS2)。その検査センター等においては検査装置を用いて、所定の疾患に対する陽性・陰性を判定する検査が実施される(ステップS3)。
【0008】
検査が完了して検査結果が出るまでの間、患者は待合室等で検査結果を待ち(ステップS4)、一方医師等はその間、次の患者の診察や処置を行う(ステップS5)。
【0009】
そして医師は、検査終了予定時間が経過した後、検査センターから送られて来た検査結果を確認する(ステップS6)。その後、医師は再度患者を呼んで、診断結果とそれに基づいて行う処置の内容を患者に説明し、また診断結果および処置内容をカルテに記載する(ステップS7)。その処置を受けた後、患者は帰宅する(ステップS8)。
【0010】
なお特許文献4には、検査結果を通信手段によって医師に伝達することが記載されており、上記検査および診断を行うに際しても、そのような伝達方法を適用することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−139297号公報
【特許文献2】特開2009−133813号公報
【特許文献3】特開2009−287952号公報
【特許文献4】特表2008−518617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図8に示したような検査処理およびそれに関連する処理の流れは、前述したように複数の疾患に対する検査を行う場合も同様とされていた。つまりその場合は、検査対象である複数の疾患全てに対する陽性・陰性が検査装置で判定されてから、その検査結果がまとめて、検査オーダーをした医師等に知らされるようになっていた。
【0013】
しかしそのようにすると、患者は医師に呼ばれるまで長い時間待合室等で待つことになり、もしその患者が罹患していた場合、特にその疾患が感染力の強いものである場合は、院内感染が発生するおそれがある。また患者が罹患している場合は、長い時間を待合室等で過ごすことにより症状が悪化するという、患者にとって不都合な事態も起こり得る。
【0014】
そこで本発明は、複数の疾患に対する検査を行う方法において、医療機関内に患者が長時間居ることにより院内感染が発生したり、あるいは患者の症状が悪化したりすることを防止できる検査方法および装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明による検査方法は、
被験者から採取された検体を用いて複数の疾患に対する陽性・陰性を検査装置により検査する方法において、
前記複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を検査装置から出力させることを特徴とするものである。
【0016】
なお一般に検体は、医師等の検査依頼者から、検査技師等の検査装置操作者に、検査用カートリッジなどの点着された状態で送られる。そのような場合は、上記検査結果が出力されるときに、その検査結果を検査依頼者宛に知らせる通知を検査装置から発生させるのが好ましい。この「検査結果を検査依頼者宛に知らせる通知」とは、届けるべき対象が検査依頼者であることを示した上で発せられる通知を全て意味するものであり、例えば前述の特許文献4に示される通信手段により宛先を検査依頼者として発せられるような通知は勿論、検査依頼者である医師と共に働く看護師宛にファクシミリや電話でなされる通知も、さらには、検査結果をプリントアウトするに当たり「△△科の○○医師にお届け下さい」といった注意書きを添えて出力することなども含むものとする。
【0017】
なお、本発明の検査方法において、上記1つの疾患に対する検査は、上記複数の疾患に対して行われる検査の中で最初に行われるものであることが望ましい。
【0018】
また、上記1つの疾患に対する検査は、上記複数の疾患に対して行われる検査の中から任意に選択可能としておくことが望ましい。
【0019】
また、上記1つの疾患について陽性を示す検査結果は、その他の疾患についての検査結果を出力する手段とは異なる手段により発生させることが望ましい。すなわち、より具体的には、例えば後者の出力を行う手段がファクシミリや電話である場合に、前者の出力つまり1つの疾患について陽性を示す出力は電子メールで行ったり、あるいはその反対にしたりすることができる。さらには、例えば後者の出力を行う手段が白いファクシミリ用紙である場合に、前者の出力を行う手段は着色されたファクシミリ用紙としたり、あるいはその反対としたりすることができる。
【0020】
また、本発明による検査方法は、検査対象である疾患が感染症である場合に適用されるのがより好ましい。
【0021】
さらに本発明による検査方法は、治療薬が同じである複数の疾患を検査対象とするものであることが好ましい。
【0022】
他方、本発明による検査装置は、
被験者から採取された検体を用いて複数の疾患に対する陽性・陰性を検査可能とした検査装置において、
前記複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を出力する手段を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明による検査方法によれば、複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を検査装置から出力させるようにしているので、医師等の検査依頼者は、長い時間をかけて全検査が終了する前に、取り敢えず特定の疾患、例えば感染力が強い感染症等に関する検査結果を知ることが可能になる。そこでその医師等は、医療機関の待合室等で待っている患者を至急呼び出し、その疾患に対する処置だけを行って、患者を帰宅させることができる。そうであれば、患者が病院等の中に長時間居ることを回避して、院内感染が発生したり、あるいは患者の症状が悪化したりすることを防止できる。
【0024】
特に、検査結果を検査依頼者宛に知らせる通知を検査装置から発生させるようにした場合は、その検査結果がより早く検査依頼者に届けられ得るようになる。
【0025】
また、本発明の検査方法において特に、上記1つの疾患に対する検査が、複数の疾患に対して行われる検査の中で最初に行われるものである場合は、患者が病院等の中に居る時間を最短とすることができるので、上記のように院内感染を防止し、また患者の症状が悪化することを防止する効果がより顕著なものとなる。
【0026】
また、本発明の検査方法において特に、上記1つの疾患に対する検査が、複数の疾患に対して行われる検査の中から任意に選択可能とされている場合は、例えば各年のインフルエンザ発生状況に合わせて、感染力が強化したインフルエンザに対してはより早く検査を終了させる、といった対応をとることにより、院内感染をより確実に防止できるようになる。
【0027】
また、本発明による検査方法が特に、検査対象である疾患がインフルエンザ等の感染症である場合に適用されると、既に説明した通り、その疾患の院内感染を防止することができる。ただし、この検査対象である疾患が感染症ではない場合でも、本発明を適用すれば、患者が病院等の中で長時間検査結果を待っていることにより症状が悪化することを防止できる、という効果を奏することができる。
【0028】
さらに本発明による検査方法が特に、治療薬が同じである複数の疾患を検査対象とするものである場合は、一つの検査結果が陽性と判定した時点で出力がなされ、それが医師等に通知されれば、医師等は特にその陽性と判定された疾患が何であるか知らされなくても、適切な治療薬を迅速に処方可能となる。
【0029】
他方、本発明による検査装置は前述した通り、複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を出力する手段を備えたものであるので、この装置によれば、上述した本発明の検査方法を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態によるイムノクロマトグラフ検査装置を示す斜視図
【図2】上記検査装置の一部破断側面図
【図3】上記検査装置の電気的構成を示すブロック図
【図4】上記検査装置の一部を示す正面図
【図5】上記検査装置に用いられたカートリッジの一状態を示す一部破断平面図
【図6】上記カートリッジの別の状態を示す一部破断平面図
【図7】上記カートリッジのさらに別の状態を示す一部破断平面図
【図8】従来の検査方法における処理の流れの一例を示すフローチャート
【図9】上記検査装置における検査処理の流れを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態によるイムノクロマトグラフ検査装置1の斜視形状を、図2はその一部破断側面形状を、そして図3はその電気的構成を示すものである。まず図1および図2を参照して、本装置の基本構成について説明する。
【0032】
それらの図に示されるようにイムノクロマトグラフ検査装置1は、前面に開口10aを有する筐体10と、筐体10の上面に配置された表示部11と、この表示部11に表示されたメニューの操作を行うための操作部12と、電源スイッチ13と、イムノクロマトグラフ用カートリッジ20を装置内部に装填するためのカートリッジ装填部14とを有している。また筐体10の内部には、カートリッジ装填部14を図2中で左右方向に移動自在に案内するレール15と、後述する洗浄液ポット27および増感液ポット28をそれぞれ押し潰すための押圧部30、34と、カートリッジ20から情報を取得する第1の測定部40および第2の測定部50とを有している。
【0033】
上記カートリッジ装填部14は、レール15に沿って自動あるいは手動により移動自在とされている。そして、その大部分が開口10aを通過して筐体10の外に出されたとき、その上に、後述するようにして検査溶液が供給されたカートリッジ20が載置される。その後このカートリッジ装填部14は、図2に示すように筐体10の内部に押し込まれ、それによりカートリッジ20がイムノクロマトグラフ検査装置1の内部に取り込まれる。
【0034】
図4は、上記押圧部30、34の部分を、図2中の左方側から見た状態を示す正面図である。なおここでは、カートリッジ20を破断して示してある。以下、この図4を参照して、押圧部30、34について説明する。押圧部30は、軸31aの周りをシーソー状に回動自在とされたアーム31と、このアーム31の先端下部に固定された押圧片32と、アーム31の後端下側に配置されたカム33とを有している。カム33は、モータ38によって回転される駆動軸39に、例えば図示外の電磁クラッチ等を介して接断自在に連結されている。このカム33が回転するとアーム31の後端が押し上げられて先端の押圧片32が下降動する。もう一つの押圧部34もアーム35、押圧片36およびカム37を有して、押圧部30と同様に構成されている。
【0035】
ここで押圧部30の押圧片32と、押圧部34の押圧片36はそれぞれ、カートリッジ20が筐体10の中の所定位置に配置されたとき、キット内部に配置されている洗浄液ポット27、増感液ポット28の直上位置に来るように配設されている。
【0036】
図5は、上記カートリッジ20の上面部を破断して示す平面図であり、以下、この図5も参照してカートリッジ20について説明する。カートリッジ20は、試薬を帯状に担持したテストラインA、上記試薬とは異なる試薬を帯状に担持したテストラインBおよび帯状のコントロールラインCを有する不溶性担体21と、不溶性担体21を収容するキットケース22と、不溶性担体21に検体溶液を注入するためにケース上面に形成された溶液注入口23と、不溶性担体21の検査部位(テストラインA、BおよびコントロールラインCの部分)を観察するための観察窓24とを備えている。キットケース22の上面には情報表示部25が設けられている。なおカートリッジ装填部14にも、上記観察窓24とほぼ整合する観察窓14aが設けられている。
【0037】
上記不溶性担体21は、固定化された標識物質を有するものである。またテストラインAおよびBはそれぞれ、検体(被験物質)に対する特異的結合物質が試薬として固定されたものであり、コントロールラインCは測定の終了時を判断するためのものである。
【0038】
またこのカートリッジ20の内部には、不溶性担体21を間に挟む状態にして、送液用不溶性担体72および吸収用不溶性担体73が配設されている。そして送液用不溶性担体72の上方位置には前述した洗浄液ポット27が固定され、不溶性担体21のコントロールラインC側の端部の上方位置には増感液ポット28が固定されている。なおカートリッジ20のケース22の上面部分は、前述の押圧片32、36によって上から押されたとき、容易に変形してそれぞれ洗浄液ポット27、増感液ポット28が潰されるのを許容するようになっている。
【0039】
第1の測定部40は、カートリッジ20の観察窓24を通して検査部位(テストラインA、BおよびコントロールラインCの部分)の呈色状態を測定するものである。第1の測定部40は、図2に示すようにカメラ42および光源44を備え、カートリッジ20が検査装置1に装填された際に、これらがカートリッジ20の下方から観察窓24に対向するように構成されている。そして、第1の測定部40によって取得された検査部位における光学的情報に基づいて、該検査部位の呈色状態として光学濃度および色度が算出される(この点については後述する)。
【0040】
なお上記光学濃度は、カートリッジ20の検査部位に入射した入射光の強度をI、検査部位からの反射光の強度をIとしたとき、下記式で定義する。
【0041】
光学濃度=−log10(I/I)
また色度は、色相と彩度を数量的に表示したものであり、カメラで読み取ったRGB輝度信号から算出する。色度の表色系としては、一般的なCIE表色系を用いることができる。
【0042】
カメラ42は、例えば複数のフォトダイオードがライン状に配列された構成、あるいはエリアセンサからなるイメージセンサを有するもので、受光光量に応じた出力を生じる。カメラ42の受光範囲は、カートリッジ20の長手方向に延びた帯状範囲とされている。光源44は、例えばLEDが内蔵されたモジュールであり、白色光を発するように構成されている。なお光源44は、後述する増感処理の前後の色度の区別が付けば、例えば単色光を発するものであってもよい。また光源44は、複数のモジュールから構成される場合は、異なる波長の単色光を発する複数のモジュールを用いて構成することもできる。光源44から発せられる光は、カートリッジ20の長手方向の所定範囲を照明可能とされている。
【0043】
一方、第2の測定部50は、カートリッジ20の情報表示部25に照明光を照射し、情報表示部25に表示された情報を取得するものである。情報表示部25は、手書きまたはシール添付等により検査に関する情報が表示される。検査に関する情報とは例えば、被験物質を採取した患者に関する情報(氏名、年齢および性別等)および、検査に使用される試料・試薬に関する情報(検査対象となる検体、洗浄液および増感液等の名称等)等が挙げられる。情報を取得する方法は特に制限されず、情報表示部25をそのまま画像化したり、バーコード化された情報から読み取ったりすることができる。
【0044】
この第2の測定部50は、図2に示すようにカメラ52および光源54を備え、カートリッジ20が検査装置1に装填された際に、これらがカートリッジ20の上方から情報表示部25に対向するように構成されている。そして、第2の測定部50によって取得された検査に関する情報と検査結果とが紐付けされて管理される。カメラ52および光源54の具体的な構成は、前述したカメラ42および光源44とそれぞれ同様である。
【0045】
次に、本装置の電気的な構成について図3を参照して説明する。先に説明した表示部11、操作部12、モータ38等を含む押圧機構30、34、カメラ42、52(各々光源44、54を含む)は、同図に示す制御部80によって動作が制御される。また、本検査装置1は、例えば100〜240Vの商用電源を利用して作動可能であり、その商用電源を受け入れて12Vの直流電流に変換する電源部100と、この12Vの直流電流が入力される切替部101とを有している。また本検査装置1は、それとともに二次電池であるバッテリ102でも駆動可能とされており、このバッテリ102も上記切替部101に接続されている。切替部101は、商用電源が接続されているときは電源部100から供給される12Vの直流電流を、そして商用電源が接続されていないときはバッテリ102から供給される12Vの直流電流を各電装部品において使用するように切替を行う。
【0046】
また切替部101には、バッテリ102の残留電力量を検出する電池残量検出手段としてのバッテリ容量監視ユニット103が接続されている。一般に電池はその化学特性から、容量が低下してくると内部抵抗が大きくなって端子電圧が低下する特性があるので、その端子電圧を測定することで残留電力量を検出することができる。バッテリ容量監視ユニット103はこうしてバッテリ102の残留電力量を検出し続け、その残留電力量を示す信号を制御部80に入力する。
【0047】
次に、本実施形態の検査装置1による測定について説明する。本装置においては原則として、第1段階の測定と、それに続く第2段階の測定が行われる。第1段階の測定とは、後述する増感処理を行わないで前記検査部位の呈色状態を測定するものであり、また第2段階の測定とは、後述する増感処理を行ってから検査部位の呈色状態を測定するものである。
【0048】
まず、具体的な測定の操作手順について説明する。
【0049】
《第1段階の測定》
この第1段階の測定においては、まず図5に示すように、例えば検査装置1の外においてカートリッジ20の溶液注入口23から検体溶液90が注入される。その後このカートリッジ20は前述の通りにして検査装置1内に配置され、カートリッジ20の検査部位(テストラインA、BおよびコントロールラインCの部分)の光学濃度および色度を算出するために、その部位の像がカメラ42によって撮像される。図3に示す制御部80は、このカメラ42が出力する2次元画像信号を画像処理部81に入力させる。
【0050】
画像処理部81は上記2次元画像信号に基づいて、試薬部分の呈色状態つまりその部分の光学濃度および色度を算出し、それらの値と、それらの値から判定される疾患に対する陽性・陰性等を、検出結果として表示部11に表示させる。
【0051】
《第2段階の測定》
この第2段階の測定においては、まず図2、4に示した押圧部30が駆動されて、そのアーム31の先端が下降動され、押圧片32がカートリッジ20内の洗浄液ポット27を外部から押し潰す。それにより図6に示すように、洗浄液ポット27に貯えられていた洗浄液91が不溶性担体21の検査部位を洗浄する。このとき洗浄液91は、送液用不溶性担体72で十分に拡がってから、不溶性担体21、吸収用不溶性担体73の順に送液される。
【0052】
次に、図2、4に示した押圧部34が駆動されて、そのアーム35の先端が下降動され、押圧片36がカートリッジ20内の増感液ポット28を外部から押し潰す。それにより図7に示すように、増感液ポット28に貯えられていた増感液92が不溶性担体21の検査部位に送液されて、増感処理がなされる。なおこの増感液92および上記洗浄液91については、前述した特許文献3に詳しい開示がなされており、本発明においてもそれらを適用することができる。
【0053】
この増感処理がなされた後、カートリッジ20の検査部位の像が、上述と同様にカメラ42によって撮像される。図3に示す制御部80は、このカメラ42が出力する2次元画像信号を画像処理部81に入力させる。画像処理部81は、この2次元画像信号に対して、前記第1段階の測定において行ったのと同じ処理を施す。それによりこの場合も、試薬部分の呈色状態つまりその部分の光学濃度および色度の値と、それらの値から判定される疾患に対する陽性・陰性等が、検出結果として表示部11に表示される。
【0054】
次に、以上のようにしてなされる検査処理の前後に、病院内等でなされる関連処理について、その処理の流れを示す図9を参照して説明する。この図9は、病院等に患者が来てから、処置を受けて帰宅するまでになされる処理を示しており、そのステップS1からステップS5までは図8に示したものと同様である。
【0055】
また、上に説明した検査の処理は、この図9においてステップS3として示すものであるが、この処理についてさらに詳しく説明する。本実施形態において、図5〜7に示したテストラインA、Bはそれぞれ、互いに異なる例えばインフルエンザ等の感染症a、感染症bに対する陽性・陰性を検査するものである。前述した第1段階の測定のみを行う場合も、またそれに加えて第2段階の測定を行う場合も、呈色したテストラインAの光学濃度および色度を求めて感染症aに対する陽性を検査する処理と、呈色したテストラインBの光学濃度および色度を求めて感染症bに対する陽性を検査する処理は、試薬の反応経過中に例えば1分程度の間隔で随時行われ、それぞれのテストラインA、Bの光学濃度が所定レベルを超えた時点で、対応する検査項目が陽性と判定される。最大反応時間が経過した時点で呈色反応を示さない項目は陰性と判定される。なお、例えばインフルエンザ検査の場合を例に挙げれば、上記最大反応時間は15分程度であるのに対し、陽性判定は検査開始から3〜5分程度でなされる場合が多い。
【0056】
そこで通常は、陽性の検査結果が陰性の検査結果よりも先に求められるが、図3に示した画像処理部81は、一方のテストライン(例えばテストラインA)による検査結果が感染症aに対して陽性というものであった場合は、他方のテストライン(例えばテストラインB)による検査の終了を待つことなく、直ちに表示部11において、例えば「感染症a:陽性、△△科の○○医師にお知らせ下さい」といった表示を出力させる。この表示を確認した検査技師等は、検査オーダーを出した医師(○○医師)と共に働く看護師宛に電話等をして、感染症aに対して陽性である旨を患者情報と共に通知する。なお本実施形態においては上記表示部11が、陽性を示す出力を発する手段を構成している。
【0057】
この連絡を受けた看護師等は、次に診察カードを入れ替える等の順番入替え処置をして(ステップS11)、上記検査の被験者である患者を、現在診察あるいは処置を受けている患者の次に医師の元に呼ぶようにする。そこで医師は、陽性項目とそれに対する処置内容を患者に説明し(ステップS12)、またその処置を行う。その処置を受けた後、患者は帰宅することになる(ステップS8)。
【0058】
その後、検査を行った検査技師等からは、感染症bに関する陽性・陰性の判定も含めて、全部の検査結果が医師宛に届けられるので、医師は上記処置内容や、全部の検査結果をカルテに記載して(ステップS13)、当該患者に関する一連の診断処理を完了する。
【0059】
以上述べたように本実施形態によれば、1つの感染症aについて陽性が確認されたとき、その他の感染症bに対する検査終了を待たずに、該陽性を示す出力を発生させ、そしてその出力は検査依頼者である医師に向けて通知されるようになっているので、医師は、長い時間をかけて全検査が終了する前に、取り敢えず感染症aに対して陽性という検査結果を知ることが可能になる。そこでその医師は、患者に対して上述の通りの説明、処置を行って、患者を早く帰宅させることができる。そうであれば、患者が病院等の中に長時間居ることを回避して、院内感染が発生したり、あるいは患者の症状が悪化したりすることを防止できる。
【0060】
なお本発明の検査方法では、複数の疾患に対する陽性・陰性の検査を行うことも可能である。そして、そのような複数の疾患のいずれが陽性となっても治療薬が同じ場合がある。例えば、A型インフルエンザとB型インフルエンザの検査の場合、A型インフルエンザ陽性の場合とB型インフルエンザ陽性の場合のどちらでも、治療は同じ抗ウイルス薬の投与となる。そのような場合、一つの検査結果が陽性と判定した時点で検査結果が出力されれば、それが通知された医師等は、特にその陽性と判定された疾患が何であるか知らされなくても、適切な治療薬を迅速に処方可能となる。
【0061】
なお、本実施形態においては2つの疾病に対する検査が行われるようになっているが、3つ以上の疾病に対する陽性・陰性を検出する場合も、本発明は適用可能である。そのような場合、検査依頼者に優先的に検査結果を知らせる検査は、最初に行われる検査でなくても、とにかく最後になされる検査以外の検査であればよい。しかし、優先的に検査結果を知らせる検査を最初に行うようにしておけば、その検査結果が陽性であった場合に患者が病院等の中に居る時間を最短とすることができるので、院内感染を防止し、また患者の症状が悪化することを防止する効果がより顕著なものとなる。
【0062】
また、本発明の検査方法において特に、優先的に検査結果を知らせる検査を、複数の検査の中から任意に選択可能としておけば、例えば各年のインフルエンザ発生状況に合わせて、感染力が強化したインフルエンザに対してはより早く検査を終了させる、といった対応をとることにより、院内感染をより確実に防止できるようになる。
【0063】
また、図3に示した表示部11が、記録用紙を出力する手段を兼ね備えているような場合は、上述した「感染症a:陽性 △△科の○○医師にお知らせ下さい」という表示を出すとともに、同じ内容を記録用紙に記録して出力させるようにしてもよい。そうする場合、通常の検査結果出力を白い用紙に行うなら、上記出力は着色した用紙に行うようにすれば、その記録が至急検査依頼者に届けるべきものであることが明示されるので、特に好ましい。
【0064】
さらに、上記のように感染症aに対して陽性という検査結果が得られたとき、音による警報等を発するようにしておけば、至急検査依頼者に届けるべき検査結果が出たことを、検査技師等に確実に知らせることが可能になる。
【0065】
ここで、上記測定に関わる事項について以下簡単に説明する。
【0066】
(検体溶液)
本発明の検査装置を用いて分析することのできる検体溶液としては、被験物質(天然物、毒素、ホルモンまたは農薬等の生理活性物質あるいは環境汚染物質等)を含む可能性のあるものである限り、特に限定されるものではなく、例えば、生物学的試料、特には動物(特にヒト)の体液(例えば、血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、または喀痰)若しくは排泄物(例えば、糞便)、臓器、組織、粘膜や皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、または動植物それ自体若しくはそれらの乾燥体を後述の希釈液で希釈したもの等を挙げることができる。
【0067】
検体溶液はそのままで、あるいは、検体溶液を適当な抽出用溶媒を用いて抽出して得られる抽出液の形で、さらには、この抽出液を適当な希釈剤で希釈して得られる希釈液の形、若しくは抽出液を適当な方法で濃縮した形で用いることができる。
【0068】
(標識物質)
本発明で使用することができる標識物質としては、一般的なイムノクロマトグラフ法で用いられるような金属微粒子(または金属コロイド)、着色ラテックス粒子、酵素など、有色で視認できる、または、反応により検査できるようになる標識物であれば特に限定されることなく用いることができるが、標識物質を触媒とした金属イオンの還元反応によって、標識物質への金属の沈着でシグナルを増感する場合には、その触媒活性の観点から金属微粒子が好ましい。
【0069】
その金属微粒子の材料としては、金属単体、金属硫化物、その他金属合金、または金属を含むポリマ−粒子標識を用いることができる。粒子(またはコロイド)の平均粒径は、1nm〜10μmの範囲にあることが好ましい。ここで、平均粒径とは、透過型電子顕微鏡(TEM)により実測された複数の粒子の径(粒子の最長径)の平均値である。より詳細には、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、鉄コロイド、水酸化アルミニウムコロイド、およびこれらの複合コロイドなどが挙げられ、好ましくは、金コロイド、銀コロイド、白金コロイド、およびこれらの複合コロイドであることが望ましい。特に、金コロイドと銀コロイドが適当な粒径において、金コロイドは赤色、銀コロイドは黄色を示し視認度が高いという観点からより好ましい。金コロイドを用いることにより、銀イオン含有化合物を用いた増感工程を行うことにより増感の前後で標識の色度が変化する(金コロイドは赤く呈色し、増感後は還元された銀イオンが金コロイドに沈着し黒くなる)ため、後述するようにこの変化を検査のエラー判定に用いることができるようになる。金属コロイドの平均粒径としては、約1〜500nmが好ましく、さらには1〜100nmがより好ましい。
【0070】
(特異的結合物質)
特異的結合物質としては、被検物質に対して親和性を持つものならば特に限定されることはなく例えば、被験物質が抗原である場合には当該抗原に対する抗体、被験物質がたんぱく質、金属イオンまたは低分子量有機化合物である場合にはこれらに対するアプタマー、被験物質がDNAやRNAなど核酸である場合にはこれらに対して相補的な配列を持つDNAやRNA等の核酸分子、被験物質がアビジンである場合にはビオチン、被験物質が特定のペプチドの場合にはこれに特異的に結合する錯体、等を挙げることができる。また、上記した例では特異的結合物質と被験物質との関係を入れ替えることもでき、例えば被験物質が抗体である場合には当該抗体に対する抗原を、特異的結合物質として用いることもできる。さらに、上記のような被検物質に対して親和性を持つ物質を一部に含有する化合物等を特異的結合物質として用いることもできる。
【0071】
上記抗体としては具体的に、その被験物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被験物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、またはFv]を用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行うことができる。
【0072】
(不溶性担体)
不溶性担体21の材料は、多孔性であることが好ましく、例えば、ニトロセルロース膜、セルロース膜、アセチルセルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、ナイロン膜、ガラス繊維、不織布、布、または糸等が好ましく挙げられる。
【0073】
クロマトグラフ担体には、被験物質に対する特異的結合物質を固定化させて検査ラインや所望によりコントロール部位が作製される。特異的結合物質は、特異的結合物質をクロマトグラフ担体の一部に物理的または化学的結合により直接固定化させてもよいし、特異的結合物質をラテックス粒子などの微粒子に物理的または化学的に結合させ、この微粒子をクロマトグラフ担体の一部にトラップさせて固定化させてもよい。
【0074】
(増感液)
増感液は、含まれる薬剤が標識物質や被験物質の触媒作用によって反応することにより、呈色あるいは発光する化合物などを生じ、シグナルの増感を起こすことができる溶液である。例えば、金属標識上で、物理現像により金属銀の析出を起こす銀イオン溶液である。詳細には、写真化学の分野での一般書物(例えば、「改訂写真工学の基礎-銀塩写真編-」(日本写真学会編、コロナ社)、「写真の化学」(笹井明、写真工業出版社)、「最新処方ハンドブック」(菊池真一他、アミコ出版社))に記載されているような、いわゆる現像液を用いることができる。例えば、増感液として銀イオン含有化合物を含む物理現像液を用いれば、銀イオンの還元剤により液中の銀イオンを、現像の核となるような金属コロイド等を中心に還元させることができる。
【0075】
また別の例としては、酵素反応を用いた例がある。例えば、ペルオキシダーゼ標識と過酸化水素の作用により色素となる、フェニレンジアミン化合物とナフトール化合物の溶液などが挙げられる。さらに、非特許文献「臨床検査 Vol.41 no.9 p.1020 H−POD系を利用した染色」に記載されているような、西洋わさびペルオキシダーゼ検出の発色基質などでもよい。また、特開2009−156612号公報に記載の発色基質は特に好ましく用いることができる。なお、酵素の代わりに白金微粒子などの金属触媒を用いる系でもよい。
【0076】
別の酵素を用いた例としては、アルカリホスファターゼを標識とし、5−ブロモ−4クロロ−3−インドリル−リン酸二ナトリウム塩(BCIP)を基質として発色させるような系もある。以上、呈色する反応を代表に挙げたが、一般的にエンザイムイムノアッセイで用いられるような、酵素と基質の組み合わせであればなんでも良く、化学発光する基質であっても、蛍光を発する基質であってもよい。
【0077】
(銀イオン含有化合物)
銀イオン含有化合物としては、有機銀塩、無機銀塩、もしくは銀錯体を用いることができる。好ましくは、水などの溶媒に対して溶解度の高い銀イオン含有化合物であり、硝酸銀、酢酸銀、乳酸銀、酪酸銀、チオ硫酸銀などが挙げられる。特に好ましくは硝酸銀である。銀錯体としては、水酸基やスルホン基など水溶性基を有する配位子に配位された銀錯体が好ましく、ヒドロキシチオエーテル銀等が挙げられる。無機銀塩、もしくは銀錯体は、銀として一般に0.001モル/m〜0.2モル/m、好ましくは0.01モル/m〜0.05モル/m含有されることが好ましい。
【0078】
(銀イオンの還元剤)
銀イオンの還元剤は、銀イオンを銀に還元することができれば、無機・有機のいかなる材料、またはその混合物でも用いることができる。
【0079】
無機還元剤としては、Fe2+、V2+、Ti3+、などの金属イオンで原子価の変化し得る還元性金属塩、還元性金属錯塩を好ましく挙げることができる。無機還元剤を用いる際には、酸化されたイオンを錯形成するか還元して、除去するか無害化する必要がある。例えば、Fe2+を還元剤として用いる系では、クエン酸やEDTAを用いて酸化物であるFe3+の錯体を形成し、無害化することができる。本系ではこのような無機還元剤を用いることが好ましく、より好ましくはFe2+の金属塩が好ましい。
【0080】
なお、上記実施形態においては、呈色状態の増感方法として銀イオン含有化合物を還元剤で還元することにより標識物質を増感させる方法を用いたが、本発明における増感方法はこれに限定されない。増感液は、含まれる薬剤が標識物質や被験物質の触媒作用によって反応することにより、呈色あるいは発光する化合物などを生じ、シグナルの増感を起こすことができる溶液であればよく、例えば上記したような酵素を用いた用液などが挙げられる。
【0081】
また上記実施形態においては、アッセイ法としてイムノクロマトグラフ法について説明したが、本発明で適用するアッセイ法はこれに限定されない。いわゆる免疫反応を用いない系でもよく、例えば、抗体を用いずにDNAやRNAなどの核酸で被験物質を捕捉する系でもよいし、さらには被験物質に対する親和性を持つ別の小分子やペプチド、たんぱく質、錯体形成物質等、によって被験物質を捕捉する系であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 イムノクロマトグラフ検査装置
10 筐体
11 表示部
12 操作部
13 電源スイッチ
14 カートリッジ装填部
20 イムノクロマトグラフ用カートリッジ
21 不溶性担体
22 カートリッジケース
23 溶液注入口
26 シート材
27 洗浄液ポット
28 増感液ポット
30、34 押圧部
32、36 押圧片
33、37 カム
38 モータ
40、50 測定部
87、88 刃
80 制御部
81 画像処理部
90 検体溶液
91 洗浄液
92 増感液
A、B テストライン
C コントロールライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者から採取された検体を用いて複数の疾患に対する陽性・陰性を検査装置により検査する方法において、
前記複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を検査装置から出力させることを特徴とする検査方法。
【請求項2】
前記1つの疾患に対する検査を、前記複数の疾患に対して行われる検査の中から任意に選択可能としておくことを特徴とする請求項1記載の検査方法。
【請求項3】
前記1つの疾患について陽性を示す検査結果を、その他の疾患についての検査結果を出力する手段とは異なる手段により出力することを特徴とする請求項1または2記載の検査方法。
【請求項4】
検査対象である前記疾患が感染症であることを特徴とする請求項1から3いずれか1項記載の検査方法。
【請求項5】
前記複数の疾患が、治療薬が同じ疾患であることを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載の検査方法。
【請求項6】
被験者から採取された検体を用いて複数の疾患に対する陽性・陰性を検査可能とした検査装置において、
前記複数の疾患の中のある1つの疾患について陽性が確認されたとき、その他の疾患に対する検査終了を待たずに、該陽性を示す検査結果を出力する手段を備えたことを特徴とする検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−78157(P2012−78157A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222248(P2010−222248)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】