説明

検査治具

【課題】 スイッチの導通検査を効率良く行うことができる検査治具を提供すること。
【解決手段】 最上段押圧手段28は、複数の最上段押圧ピン36と、複数の最上段押圧ピン36を支持するための最上段支持部材38と、を備え、中上段押圧手段30は、複数の中上段押圧ピン56と、複数の中上段押圧ピン56を支持するための中上段支持部材58と、を備える。最上段支持部材38がシート状基板6に近接する方向に相対的に移動されると、第1スイッチ群の各スイッチが複数の最上段押圧ピン36により同時に押圧され、また中上段支持部材58がシート状基板6に近接する方向に相対的に移動されると、第2スイッチ群の各スイッチが複数の中上段押圧ピン56により同時に押圧される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機などの電子機器の操作パネルやパソコン用キーボードなどに内蔵されるスイッチを導通検査するのに用いられる検査治具に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば携帯電話機などの電子機器の操作パネルやパソコン用キーボードなどにはメンブレンスイッチが内蔵され、このメンブレンスイッチは、シート状基板と、シート状基板に設けられた複数のスイッチと、を備えている(例えば、特許文献1参照)。シート状基板は、上部電極シートと下部電極シートとをスペーサを介して積層することにより構成されている。スイッチは、スペーサに形成された孔部において、上部電極シート及び下部電極シートの相互に対向する面に設けられた一対の電極から構成され、スペーサによって一対の電極は電気的に絶縁されている。スイッチ(即ち、上部電極シートの電極に対応する部位)を押圧すると、上部電極シートが撓んで一対の電極が相互に電気的に接触し、これによりスイッチが電気的に導通される。
【0003】
上述したメンブレンスイッチの製造工程においては、スイッチを押圧した際にスイッチが正常に電気的に導通するか否かを検査する導通検査が行われる。この導通検査は検査装置を用いて行われ、この検査装置には、複数のスイッチの各々に対応する複数の表示ランプが設けられている。この導通検査では、メンブレンスイッチをこの検査装置にセッティングした後に、複数のスイッチを1個ずつ順に検査員が指などで押圧し、スイッチが正常に電気的に導通されているときには、検査装置の対応する表示ランプが点灯し、スイッチが電気的接触不良などにより電気的に導通されていないときには、検査装置の対応する表示ランプが点滅する。
【0004】
【特許文献1】特開平9−245563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来のスイッチの導通検査では、複数のスイッチを1個ずつ順に押圧するので、非常に手間がかかり、検査効率が低下するという問題がある。
本発明の目的は、スイッチの導通検査を効率良く行うことができる検査治具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に記載の検査治具では、シート状基板に設けられ、第1及び第2スイッチ群を有する複数のスイッチを導通検査するのに用いられる検査治具であって、
前記第1スイッチ群の各スイッチを同時に押圧するための第1押圧手段と、前記第2スイッチ群の各スイッチを同時に押圧するための第2押圧手段と、を備え、前記第1押圧手段は、前記第1スイッチ群の各スイッチに対応して配設された複数の第1押圧ピンと、前記複数の第1押圧ピンを支持するための第1支持部材と、を備え、前記第2押圧手段は、前記第2スイッチ群の各スイッチに対応して配設された複数の第2押圧ピンと、前記複数の第2押圧ピンを支持するための第2支持部材と、を備え、前記第1及び第2支持部材は相互に対向して配設され、前記第1支持部材は、前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接及び離隔する方向に移動自在に支持され、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接及び離隔する方向に移動自在に支持され、前記第1及び第2押圧ピンはそれぞれ前記シート状基板の方向に延び、前記第2支持部材には、前記複数の第1押圧ピンに対応して複数の貫通孔が設けられ、前記複数の第1押圧ピンの各々は対応する貫通孔に移動自在に挿通され、
前記第1支持部材が前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されると、前記第1スイッチ群の各スイッチが前記複数の第1押圧ピンにより同時に押圧され、また前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されると、前記第2スイッチ群の各スイッチが前記複数の第2押圧ピンにより同時に押圧されることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に記載の検査治具では、前記第1及び第2支持部材にはそれぞれ、前記シート状基板と反対方向に延びる第1及び第2操作部材が設けられ、前記第1支持部材には、前記第2操作部材が移動自在に挿通される挿通孔が設けられ、
前記第1操作部材を押圧操作すると、前記第1支持部材が前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動され、また前記第2操作部材を押圧操作すると、前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明の請求項3に記載の検査治具では、前記第1及び第2支持部材に関連して、前記第1支持部材を前記シート状基板と反対方向に向けて弾性的に偏倚するための複数の第1弾性偏倚手段と、前記第2支持部材を前記シート状基板と反対方向に向けて弾性的に偏倚するための複数の第2弾性偏倚手段とが設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に記載の検査治具では、前記第1押圧ピンの前記第1支持部材から前記シート状基板の方向への突出長さは、前記第2押圧ピンの前記第2支持部材から前記シート状基板の方向への突出長さよりも長く構成され、前記複数の第1及び第2押圧ピンの各先端部が前記シート状基板に当接されると、前記第1及び第2支持部材は所定の間隔を置いて相互に対向して配設されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の検査治具によれば、第1スイッチ群の各スイッチが複数の第1押圧ピンにより同時に押圧され、また第2スイッチ群の各スイッチが複数の第2押圧ピンにより同時に押圧されるので、第1スイッチ群の各スイッチ及び第2スイッチ群の各スイッチの導通検査をそれぞれ同時に行うことができる。従って、導通検査に要する時間を短縮することができ、検査効率を高めることができる。
【0011】
また、本発明の請求項2に記載の検査治具によれば、第1及び第2支持部材にはそれぞれ第1及び第2操作部材が設けられているので、これら第1及び第2操作部材を押圧操作することにより、第1及び第2支持部材の相対的移動を容易に行うことができる。
【0012】
さらに、本発明の請求項3に記載の検査治具によれば、複数の第1及び第2弾性偏倚手段が設けられているので、第1及び第2支持部材をシート状基板の方向に相対的に移動させて第1及び第2スイッチ群の各スイッチを押圧した後に、複数の第1及び第2弾性偏倚手段の弾性偏倚力によって、第1及び第2支持部材がシート状基板から離隔する方向に移動され、第1及び第2スイッチ群の各スイッチの押圧を自動的に解除することができる。
【0013】
また、本発明の請求項4に記載の検査治具によれば、第1押圧ピンの第1支持部材からシート状基板の方向への突出長さは、第2押圧ピンの第2支持部材からシート状基板の方向への突出長さよりも長く構成されているので、複数の第1及び第2押圧ピンの各先端部がシート状基板に当接されることにより、第1及び第2支持部材の離間距離として少なくとも第1及び第2支持部材の相対的移動距離を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う検査治具の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態による検査治具を示す斜視図であり、図2は、図1の検査治具を示す分解斜視図であり、図3は、図1の押圧ユニットを示す分解斜視図であり、図4は、検査前における図1の検査治具の概略断面図であり、図5は、検査時における図1の検査治具の概略断面図であり、図6は、図2のメンブレンスイッチの回路構成を簡略的に示すブロック図である。
【0015】
図1〜図6を参照して、図示の検査治具2は、例えば携帯電話機などの電子機器の操作パネルやパソコン用キーボードなどに搭載されるメンブレンスイッチ4を導通検査するのに用いられる。このメンブレンスイッチ4は可撓性を有するシート状基板6を備え、このシート状基板6には複数のスイッチ8及びコネクタ10が設けられている。
【0016】
本実施形態では、シート状基板6に設けられた複数のスイッチ8は第1〜第4スイッチ群12a〜12dを有しており、第1〜第4スイッチ群12a〜12dの各々は4個のスイッチ14a〜14dから構成されている(図2及び図6参照)。第1〜第4スイッチ群12a〜12dの各スイッチ14a〜14dの一方の電極はそれぞれ第1〜第4導通ライン16a〜16dに電気的に接続され、これら第1〜第4導通ライン16a〜16dの各一端部はそれぞれコネクタ10の第1〜第4端子部18a〜18dに電気的に接続されている。また、第1〜第4スイッチ群12a〜12dの対応するスイッチ14a〜14dの他方の電極はそれぞれ第5〜第8導通ライン16e〜16hに電気的に接続され、これら第5〜第8導通ライン16e〜16hの各一端部はそれぞれコネクタ10の第5〜第8端子部18e〜18hに電気的に接続されている。
【0017】
次に、検査治具2の構成について説明する。検査治具2は、下側プレート20と、下側プレート20の上方に配設された上側プレート22と、下側プレート20と上側プレート22との間に配設された支持プレート24と、支持プレート24に支持された押圧ユニット26と、を備えている。
【0018】
押圧ユニット26は、第1スイッチ群12aの各スイッチ14aを同時に押圧するための最上段押圧手段28と、最上段押圧手段28の下側に配設され、第2スイッチ群12bの各スイッチ14bを同時に押圧するための中上段押圧手段30と、中上段押圧手段30の下側に配設され、第3スイッチ群12cの各スイッチ14cを同時に押圧するための中下段押圧手段32と、中下段押圧手段32の下側に配設され、第4スイッチ群12dの各スイッチ14dを同時に押圧するための最下段押圧手段34と、を備えている。
【0019】
最上段押圧手段28は、複数(本実施形態では4本)の最上段押圧ピン36と、複数の最上段押圧ピン36を支持するためのプレート状の最上段支持部材38と、を備えている。複数の最上段押圧ピン36はシート状基板6の方向に延び、シート状基板6の第1スイッチ群12aの各スイッチ14aに対応して配設されている。最上段支持部材38に関連して最上段弾性偏倚手段40が設けられ、この最上段弾性偏倚手段40は、最上段支持部材38を貫通して上下方向に延びるガイドスリーブ42と、ガイドスリーブ42の内側に移動自在に配設された最上段押圧ピン36と、ガイドスリーブ42と最上段押圧ピン36との間に配設されたコイルバネ44とから構成されている。最上段押圧ピン36の両端部は、ガイドスリーブ42の両端開口部よりそれぞれ外部に突出されている。コイルバネ44はその伸張方向に弾性的に偏倚されており、コイルバネ44の上端部は、ガイドスリーブ42の上端開口部に当接され、その下端部は、最上段押圧ピン36の先端部近傍に取り付けられた押圧リング46に当接されている。この最上段弾性偏倚手段40によって、最上段支持部材38はシート状基板6と反対方向に向けて弾性的に偏倚されている。また、最上段支持部材38には、シート状基板6と反対方向に延びるロッド状の最上段操作部材48が設けられている。また、最上段支持部材38には、中上段操作部材66、中下段操作部材84及び最下段操作部材102の各上端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の挿通孔50が設けられ、更に、最上段押圧手段28の下側に配設された中上段押圧手段30の中上段押圧ピン56、中下段押圧手段32の中下段押圧ピン74及び最下段押圧手段34の最下段押圧ピン92の各基端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の貫通孔52が設けられている。更に、最上段支持部材38の外周部には複数のガイド孔54が設けられている。
【0020】
中上段押圧手段30は、複数(本実施形態では4本)の中上段押圧ピン56と、複数の中上段押圧ピン56を支持するためのプレート状の中上段支持部材58と、を備え、中上段支持部材58は最上段支持部材38の下方に対向して配設されている。複数の中上段押圧ピン56はシート状基板6の方向に延び、シート状基板6の第2スイッチ群12bの各スイッチ14bに対応して配設されている。中上段押圧ピン56の中上段支持部材58からシート状基板6の方向への突出長さL2は、最上段押圧ピン36の最上段支持部材38からシート状基板6の方向への突出長さL1よりも短く構成されている。中上段支持部材58に関連して中上段弾性偏倚手段60が設けられ、この中上段弾性偏倚手段60は最上段弾性偏倚手段40と同様に、ガイドスリーブ62、中上段押圧ピン56及びコイルバネ64から構成されている。この中上段弾性偏倚手段60によって、中上段支持部材58はシート状基板6と反対方向に向けて弾性的に偏倚されている。また、中上段支持部材58には、シート状基板6と反対方向に延びるロッド状の中上段操作部材66が設けられ、その長さは最上段操作部材48の長さよりも長く構成されている。また、中上段支持部材58には、中下段操作部材84及び最下段操作部材102の各上端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の挿通孔68が設けられ、更に、中上段押圧手段30の上側に配設された最上段押圧手段28の最上段押圧ピン36の先端部並びに中上段押圧手段30の下側に配設された中下段押圧手段32の中下段押圧ピン74及び最下段押圧手段34の最下段押圧ピン92の各基端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の貫通孔70が設けられている。更に、中上段支持部材58の外周部には複数のガイド孔72が設けられている。
【0021】
中下段押圧手段32は、複数(本実施形態では4本)の中下段押圧ピン74と、複数の中下段押圧ピン74を支持するためのプレート状の中下段支持部材76と、を備え、中下段支持部材76は中上段支持部材58の下方に対向して配設されている。複数の中下段押圧ピン74はシート状基板6の方向に延び、シート状基板6の第3スイッチ群12cの各スイッチ14cに対応して配設されている。中下段押圧ピン74の中下段支持部材76からシート状基板6の方向への突出長さL3は、中上段押圧ピン56の中上段支持部材58からシート状基板6の方向への突出長さL2よりも短く構成されている。中下段支持部材76に関連して中下段弾性偏倚手段78が設けられ、この中下段弾性偏倚手段78は最上段弾性偏倚手段40と同様に、ガイドスリーブ80、中下段押圧ピン74及びコイルバネ82から構成されている。この中下段弾性偏倚手段78によって、中下段支持部材76はシート状基板6と反対方向に向けて弾性的に偏倚されている。また、中下段支持部材76には、シート状基板6と反対方向に延びるロッド状の中下段操作部材84が設けられ、その長さは中上段操作部材66の長さよりも長く構成されている。また、中下段支持部材76には、最下段操作部材102の上端部が移動自在に挿通される挿通孔86が設けられ、更に、中下段押圧手段32の上側に配設された最上段押圧手段28の最上段押圧ピン36及び中上段押圧手段30の中上段押圧ピン56の各先端部並びに中下段押圧手段32の下側に配設された最下段押圧手段34の最下段押圧ピン92の基端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の貫通孔88が設けられている。更に、中下段支持部材76の外周部には複数のガイド孔90が設けられている。
【0022】
最下段押圧手段34は、複数(本実施形態では4本)の最下段押圧ピン92と、複数の最下段押圧ピン92を支持するためのプレート状の最下段支持部材94と、を備え、最下段支持部材94は中下段支持部材76の下方に対向して配設されている。複数の最下段押圧ピン92はシート状基板6の方向に延び、シート状基板6の第4スイッチ群12dの各スイッチ14dに対応して配設されている。第4押圧ピン12dの最下段支持部材94からシート状基板6の方向への突出長さL4は、中下段押圧ピン74の中下段支持部材76からシート状基板6の方向への突出長さL3よりも短く構成されている。最下段支持部材94に関連して最下段弾性偏倚手段96が設けられ、この最下段弾性偏倚手段96は最上段弾性偏倚手段40と同様に、ガイドスリーブ98、最下段押圧ピン92及びコイルバネ100から構成されている。この最下段弾性偏倚手段96によって、最下段支持部材94はシート状基板6と反対方向に向けて弾性的に偏倚されている。また、最下段支持部材94には、シート状基板6と反対方向に延びるロッド状の最下段操作部材102が設けられ、その長さは中下段操作部材84の長さよりも長く構成されている。また、最下段支持部材94には、最下段押圧手段34の上側に配設された最上段押圧手段28の最上段押圧ピン36、中上段押圧手段30の中上段押圧ピン56及び中下段押圧手段32の中下段押圧ピン74の各先端部がそれぞれ移動自在に挿通される複数の貫通孔104が設けられている。更に、最下段支持部材94の外周部には複数のガイド孔106が設けられている。
【0023】
下側プレート20の上面には複数の位置決め用突部108が設けられ、これら複数の位置決め用突部108は導通検査すべきシート状基板6の外周部に対応して配設されている。また、下側プレート20の上面における両端部にはそれぞれ位置決め用凹部110が設けられている。
【0024】
上側プレート22には、固定用ネジ112が挿通される複数のネジ挿通孔114が設けられている。また、上側プレート22の中央部には複数の挿通孔116が設けられ、操作部材48、66、84、102の各上端部は複数の挿通孔116を通して上側プレート22の上側に延びている。
【0025】
支持プレート24の上面には、押圧ユニット26の下端部が収容される収容凹部117が設けられている。この収容凹部117には、複数の押圧ピン36、56、74、92の各先端部に対応して複数の貫通孔118が設けられている。また、収容凹部117にはシート状基板6と反対方向に延びる複数のガイドポスト120が設けられ、このガイドポスト120の上端部には離脱防止用ネジ122が螺着されるネジ孔124が設けられている。このガイドポスト120は支持部材38、58、76、94の各ガイド孔54、72、90、106に移動自在に挿通され、これにより支持部材38、58、76、94の各々は、シート状基板6に近接及び離隔する方向に相対的に移動自在に支持されている。各押圧ピン36、56、74、92のシート状基板6の方向への突出長さL1〜L4は上述のように構成されているので、押圧ピン36、56、74、92の各先端部がシート状基板6の上面に当接されると、各支持部材38、58、76、94は所定の間隔を置いて相互に対向して配設される。なお、各支持部材38、58、76、94の相互に隣接する離間距離は、各支持部材38、58、76、94の相対的移動距離又はこれよりも大きく構成されている。
【0026】
支持プレート24の上面には、複数の支柱126が上方に延びて設けられている。この支柱126の上端部にはネジ孔128が設けられ、固定用ネジ112が上側プレート22のネジ挿通孔114を通して支柱126のネジ孔128に螺着されている。また、支持プレート24の下面における両端部にはそれぞれ、下方に延びる位置決め用突部130が設けられている。
【0027】
また、支持プレート24には、複数の弾性支持手段132を介して押圧プレート134がシート状基板6に近接及び離隔する方向に移動自在に支持されている。この弾性支持手段132は、支持プレート24を貫通して上下方向に延びるガイドスリーブ136と、ガイドスリーブ136の内側に移動自在に配設されたガイドピン138と、ガイドスリーブ136とガイドピン138との間に配設されたコイルバネ140とから構成されている。ガイドピン138の両端部は、ガイドスリーブ136の両端開口部よりそれぞれ外部に突出されている。ガイドピン138の下端部にはネジ孔142が設けられ、またその上端部には、ガイドスリーブ136の上端開口部に着脱自在に係止される係止リング144が設けられている。コイルバネ140はその伸張方向に弾性的に偏倚されており、コイルバネ140の下端部は、ガイドピン138の下端部近傍に設けられた押圧リング146に当接され、その上端部は、ガイドスリーブ136の上端開口部に当接されている。この弾性支持手段132によって、押圧プレート134は支持プレート24から離隔する方向に弾性的に偏倚されている。
【0028】
押圧プレート134には複数の貫通孔148が設けられ、複数の押圧ピン36、56、74、92の各先端部は、支持プレート24の複数の貫通孔118及び押圧プレート134の複数の貫通孔148を通して押圧プレート134の下側に延びている。また、押圧プレート134には複数のネジ挿通孔150が設けられ、固定用ネジ152がこのネジ挿通孔150を通してガイドピン138のネジ孔142に螺着されている。また、押圧プレート134の両端部にはそれぞれ挿通孔(図示せず)が設けられており、支持プレート24の位置決め用突部130はこの挿通孔を通して押圧プレート134の下側に延び、下側プレート20の位置決め用凹部110に挿脱自在に挿入される。また、押圧プレート134の下面には、下側プレート20の位置決め用突部108が挿入される挿入凹部155が設けられている。
【0029】
上述した検査治具2を用いてスイッチ8の導通検査を行う方法について説明すると、次の通りである。支持プレート24の位置決め用突部130を下側プレート20の位置決め用凹部110から離脱した状態にて、シート状基板6を位置決め用突部108に沿って下側プレート20の上面に位置決め載置し、シート状基板6のコネクタ10と検査装置(図示せず)とを通信ケーブル(図示せず)を介して電気的に接続する。この検査装置には、第1〜第4スイッチ群12a〜12dの各スイッチ14a〜14dに対応してそれぞれ複数の表示ランプ(図示せず)が設けられており、例えば、第1スイッチ群12aの各スイッチ14aに対応する複数の表示ランプは、第1端子部18aと第5〜第8端子部18e〜18hとの間にそれぞれ電気的に接続され、第2スイッチ群12bの各スイッチ14bに対応する複数の表示ランプは、第2端子部18bと第5〜第8端子部18e〜18hとの間にそれぞれ電気的に接続されている。
【0030】
このようにシート状基板6を位置決め載置した後に、支持プレート24の位置決め用突部130を下側プレート20の位置決め用凹部110に挿入すると、シート状基板6が押圧プレート134と下側プレート20との間に挟持され、複数の押圧ピン36、56、74、92の各先端部がシート状基板6の上面に当接される(図4参照)。この状態から支持プレート24を押圧プレート134に対してシート状基板6の方向に移動させると、弾性支持手段132の弾性偏倚力によってシート状基板6が押圧プレート134により下方に押圧されるとともに、収容凹部117と最下段支持部材94との間に移動用空間156が形成される(図5参照)。この移動用空間156は、最下段支持部材94の相対的移動距離又はこれよりも大きく構成されている。
【0031】
第1スイッチ群12aの各スイッチ14aの導通検査を行う際には、最上段弾性偏倚手段40の弾性偏倚力に抗して最上段操作部材48の上端部を指などで押圧操作することにより、最上段支持部材38がシート状基板6に近接する方向に相対的に移動され、第1スイッチ群12aの各スイッチ14aが複数の最上段押圧ピン36の各先端部により同時に押圧される。第1スイッチ群12aの各スイッチ14aの全てが正常に電気的に導通されている場合には、第1スイッチ群12aの各スイッチ14aに対応する複数の表示ランプが全て点灯され、また、例えば第1スイッチ群12aの各スイッチ14aのうち特定のスイッチ14aが電気的接触不良などにより電気的に導通されていない場合には、この特定のスイッチ14aに対応する表示ランプが点滅されるとともに、残りのスイッチ14aに対応する表示ランプが点灯される。
【0032】
従って、メンブレンスイッチ4の製造工程において、検査員などが表示ランプの点灯状態を目視で確認することにより、第1スイッチ群12aの各スイッチ14aの導通検査を同時に行うことができ、検査効率を高めることができる。また、最上段操作部材48の上端部から指などを離すと、最上段弾性偏倚手段40の弾性偏倚力によって最上段支持部材38がシート状基板6から離隔する方向に相対的に移動され、複数の最上段押圧ピン36による第1スイッチ群12aの各スイッチ14aの押圧が解除される。
【0033】
上述と同様に、第2(第3)(第4)スイッチ群12b(12c)(12d)の各スイッチの導通検査を行う際には、中上段弾性偏倚手段60(中下段弾性偏倚手段78)(最下段弾性偏倚手段96)の弾性偏倚力に抗して中上段操作部材66(中下段操作部材84)(最下段操作部材102)の上端部を指などで押圧操作することにより、中上段支持部材58(中下段支持部材76)(最下段支持部材94)がシート状基板6に近接する方向に相対的に移動され、第2(第3)(第4)スイッチ群12b(12c)(12d)の各スイッチ14b(14c)(14d)が複数の中上段押圧ピン56(中下段押圧ピン74)(最下段押圧ピン92)の各先端部により同時に押圧される。
【0034】
なお、本実施形態において、最上段押圧手段28を第1押圧手段としたときには、中上段押圧手段30、中下段押圧手段32及び最下段押圧手段34のいずれかが第2押圧手段となり、中上段押圧手段30を第1押圧手段としたときには、中下段押圧手段32及び最下段押圧手段34のいずれか一方が第2押圧手段となり、また、中下段押圧手段32を第1押圧手段としたときには、最下段押圧手段34が第2押圧手段となる。例えば、最上段押圧手段28を第1押圧手段としたときには、最上段押圧ピン36が第1押圧ピンを構成し、最上段支持部材38が第1支持部材を構成し、最上段弾性偏倚手段40が第1弾性偏倚手段を構成し、最上段操作部材48が第1操作部材を構成する。また例えば、中上段押圧手段30を第2押圧手段としたときには、中上段押圧ピン56が第2押圧ピンを構成し、中上段支持部材58が第2支持部材を構成し、中上段弾性偏倚手段60が第2弾性偏倚手段を構成し、中上段操作部材66が第2操作部材を構成する。
【0035】
以上、本発明に従う検査治具の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0036】
例えば、上記実施形態では、メンブレンスイッチ4は第1〜第4スイッチ群12a〜12dを有するように構成したが、スイッチ群の数は適宜設定することができる。また、押圧ピン36、56、74、92の配置や本数は、メンブレンスイッチ4のスイッチ8の配置や個数に応じて適宜設定すればよい。
【0037】
また例えば、上記実施形態では、メンブレンスイッチ4を導通検査する場合について説明したが、シート状基板6に複数の押圧スイッチ8が設けられている形態のものであれば、メンブレンスイッチ4以外のものに対しても適用することができる。
【0038】
また例えば、上記実施形態では、押圧ユニット26は4つの押圧手段28、30、32、34を備えるように構成したが、これらのうち2つ又は3つを備えるように構成してもよく、あるいは5つ以上備えるように構成してもよい。
【0039】
また例えば、上記実施形態では、操作部材48、66、84、102を指などを用いて手作業で押圧するようにしたが、例えば電磁ソレノイドなどを用いて自動的に押圧するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態による検査治具を示す斜視図である。
【図2】図1の検査治具を示す分解斜視図である。
【図3】図1の押圧ユニットを示す分解斜視図である。
【図4】検査前における図1の検査治具の概略断面図である。
【図5】検査時における図1の検査治具の概略断面図である。
【図6】図2のメンブレンスイッチの回路構成を簡略的に示すブロック図である。
【符号の説明】
【0041】
2 検査治具
6 シート状基板
8 スイッチ
12a〜12d 第1〜第4スイッチ群
14a〜14d スイッチ
28 最上段押圧手段
30 中上段押圧手段
32 中下段押圧手段
34 最下段押圧手段
36 最上段押圧ピン
38 最上段支持部材
48 最上段操作部材
56 中上段押圧ピン
58 中上段支持部材
66 中上段操作部材
74 中下段押圧ピン
76 中下段支持部材
84 中下段操作部材
92 最下段押圧ピン
94 最下段支持部材
102 最下段操作部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状基板に設けられ、第1及び第2スイッチ群を有する複数のスイッチを導通検査するのに用いられる検査治具であって、
前記第1スイッチ群の各スイッチを同時に押圧するための第1押圧手段と、前記第2スイッチ群の各スイッチを同時に押圧するための第2押圧手段と、を備え、前記第1押圧手段は、前記第1スイッチ群の各スイッチに対応して配設された複数の第1押圧ピンと、前記複数の第1押圧ピンを支持するための第1支持部材と、を備え、前記第2押圧手段は、前記第2スイッチ群の各スイッチに対応して配設された複数の第2押圧ピンと、前記複数の第2押圧ピンを支持するための第2支持部材と、を備え、前記第1及び第2支持部材は相互に対向して配設され、前記第1支持部材は、前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接及び離隔する方向に移動自在に支持され、前記第2支持部材は、前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接及び離隔する方向に移動自在に支持され、前記第1及び第2押圧ピンはそれぞれ前記シート状基板の方向に延び、前記第2支持部材には、前記複数の第1押圧ピンに対応して複数の貫通孔が設けられ、前記複数の第1押圧ピンの各々は対応する貫通孔に移動自在に挿通され、
前記第1支持部材が前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されると、前記第1スイッチ群の各スイッチが前記複数の第1押圧ピンにより同時に押圧され、また前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されると、前記第2スイッチ群の各スイッチが前記複数の第2押圧ピンにより同時に押圧されることを特徴とする検査治具。
【請求項2】
前記第1及び第2支持部材にはそれぞれ、前記シート状基板と反対方向に延びる第1及び第2操作部材が設けられ、前記第1支持部材には、前記第2操作部材が移動自在に挿通される挿通孔が設けられ、
前記第1操作部材を押圧操作すると、前記第1支持部材が前記第2支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動され、また前記第2操作部材を押圧操作すると、前記第2支持部材が前記第1支持部材に対して前記シート状基板に近接する方向に移動されることを特徴とする請求項1に記載の検査治具。
【請求項3】
前記第1及び第2支持部材に関連して、前記第1支持部材を前記シート状基板と反対方向に向けて弾性的に偏倚するための複数の第1弾性偏倚手段と、前記第2支持部材を前記シート状基板と反対方向に向けて弾性的に偏倚するための複数の第2弾性偏倚手段とが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検査治具。
【請求項4】
前記第1押圧ピンの前記第1支持部材から前記シート状基板の方向への突出長さは、前記第2押圧ピンの前記第2支持部材から前記シート状基板の方向への突出長さよりも長く構成され、前記複数の第1及び第2押圧ピンの各先端部が前記シート状基板に当接されると、前記第1及び第2支持部材は所定の間隔を置いて相互に対向して配設されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の検査治具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−272118(P2009−272118A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−121194(P2008−121194)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(591124123)大西電子株式会社 (14)
【Fターム(参考)】