説明

検査装置

【課題】複数の負荷の夫々に所望の負荷電圧を高い精度で印加することが可能で、且つ廉価な検査装置を提供することにある。
【解決手段】検査装置10にリモートセンシング機能を有する単一電源11と単一電流検出回路12を備え、各負荷B1〜B3に対して該負荷B1〜B3の両端と電源11のリモートセンシング端子S(+)、S(−)を結ぶ一対の配線の夫々に抵抗RSn(+)、RSn(−)とアナログスイッチからなるセンサスイッチSWSn(+)、SWSn(−)を設け、これらセンサスイッチSWSn(+)、SWSn(−)をONすることにより所望の負荷電圧を高い精度で印加した状態で負荷電流を測定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検査装置に関するものであり、詳しくは、リモートセンシング機能を有する電源と電流検出回路を備えた検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷と負荷を駆動する直流定電圧安定化電源(以下、「電源」と略称する)が遠く離れた場所にあってその間を配線で接続した場合、負荷の両端に印加される電圧は配線の抵抗による電圧降下(ラインドロップ)によって電源の出力電圧よりも低くなる。
【0003】
そこで、配線の電圧降下分を補償して負荷の両端に所望の電圧が印加されるようにリモートセンシング機能を付加することが行われる。
【0004】
これは、負荷に電力を供給する配線と負荷の両端の電圧を検出する配線を分離し、負荷端で夫々を接続するものである。これにより、負荷の両端の電圧を検出して電源にフィードバックすることにより出力電圧を制御し、所望の電圧を高い精度で負荷に印加することが可能となる。
【0005】
このような検査装置は、例えば、ヘッドランプやリアコンビネーションランプのような複数の光源(電球等)を負荷とする車両用灯具において、夫々の負荷に同時に直流定電圧を供給することにより灯具内で全ての光源が正常に接続されているかどうかを確認するための点灯検査、或いは、夫々の負荷に個別に直流定電圧を供給することにより各光源に流れる電流が規定値内にあるかどうかを検査して合否を判定するための合否判定検査等の検査に用いられる。
【0006】
リモートセンシング機能を有する電源システムの従来例としては、複数の負荷に対してリモートセンシング機能を有する複数の電源を設け、1つの負荷を1つの電源によって駆動するような構成とした電源システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
図6は、このような電源システムの構成を、上述した検査装置に適用した場合の一例を示している。
【0008】
複数の負荷(図では負荷を電球とし、負荷の数を3個としている)50a、50b、50cで構成されるランプユニット51に対して夫々リモートセンシングの端子S(+)、S(−)を有する電源52a、52b、52cを電球50a、50b、50cの数と同数設け、各電源52a、52b、52cの入力は商用電源53に接続され、出力端子O(+)、O(−)は夫々電球50a、50b、50cの両端に配線を介して接続されている。
【0009】
このとき、各電源52a、52b、52cの出力端子O(+)と該出力端子O(+)が接続される各電球50a、50b、50cの端子の間には電流値測定用の電流測定回路54a、54b、54cが設けられている。
【0010】
そして、各電源52a、52b、52cのリモートセンシングの端子S(+)、S(−)が夫々の電源52a、52b、52cの出力端子O(+)、出力端子O(−)と配線を介して電球50a、50b、50cの両端を接続点として接続されている。
【0011】
電源52a、52b、52cと電流測定回路54a、54b、54cが検査装置55を構成する。
【0012】
検査装置を上記リモートセンシング機能を有する回路構成とすることにより、個々の電球毎に個別に所望の電圧を高い精度で印加することができ、正確な負荷電圧下における電流測定等の電気的特性検査を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】実公平1−22370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、上述の検査装置は、負荷電圧が個々の負荷によって異なる場合には有効な回路構成であるが、負荷電圧が全て同じ場合は電源が必ずしも負荷の数だけ必要となるわけではなく、電流測定回路についても同様である。つまり、複数の負荷に対して1つの電源及び1つの電源測定回路を供用することが考えられる。
【0015】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、複数の負荷の夫々に所望の負荷電圧を高い精度で印加することが可能で、且つ廉価な検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、
複数の負荷の夫々に所定の電圧を印加したときの該負荷に流れる電流を測定する検査装置であって、
前記検査装置はリモートセンシング機能を有する1つの定電圧電源と1つの電流検出手段を有し、
前記各負荷の一端が前記電流検出手段を介して前記電源の出力端子の一端に接続されると共に該各負荷の他端が前記電源の出力端子の他端に接続され、
前記各負荷の一端と前記電流検出手段との接続間および該各負荷の他端と前記電源の出力端子の他端との接続間のうち少なくとも一方に第1のスイッチが設けられ、
前記各負荷の一端が前記電源のリモートセンサ端子の一端に接続されると共に該各負荷の他端が前記電源のリモートセンサ端子の他端に接続され、
前記各負荷の一端と前記電源のリモートセンサ端子の一端との接続間および該各負荷の他端と前記電源のリモートセンサ端子の他端との接続間のうち少なくとも一方に第2のスイッチが設けられ且つ少なくとも一方に抵抗が設けられ、
前記第1のスイッチのONで電圧が印加される負荷が選択され、前記第2のスイッチのONでリモートセンシング機能が機能する負荷が選択されて電源電圧が制御されることを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、
前記第2のスイッチはアナログスイッチであることを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1または2のいずれか1項において、
前記抵抗は全て同一の抵抗値を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明の検査装置はリモートセンシング機能を有する1つの電源と1つの電流検出手段を備え、各負荷の両端と電源の出力端子との接続間の少なくとも一方に第1のスイッチを設け、各負荷の両端と電源のリモートセンシング端子の両端との接続間の少なくとも一方に第2のスイッチを設け且つ少なくとも一方に抵抗を設けた。
【0020】
これにより、第1のスイッチのONで電圧が印加される負荷が選択され、第2のスイッチのONでリモートセンシング機能が機能する負荷が選択されて電源電圧が制御され、設定された電圧を高い精度で印加した状態において負荷電流を検出することができる。
【0021】
また、各第2のスイッチのON/OFF状態の組み合わせによっては過渡電流が流れることになる該第2のスイッチ配線の該過渡電流を抵抗によって低減し、電流容量の小さい安価なアナログスイッチが第2のスイッチとして使用できるようになった。そのため、検査装置を廉価なものとすることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る回路結線図である。
【図2】配線抵抗と電流値の関係を示すグラフである。
【図3】同じく、配線抵抗と電流値の関係を示すグラフである。
【図4】配線抵抗と出力電圧誤差の関係を示すグラフである。
【図5】同じく、配線抵抗と出力電圧誤差の関係を示すグラフである。
【図6】従来例の回路結線図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図5を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0024】
図1は本発明の実施形態の回路構成図である。
【0025】
本実施形態は、3つの負荷(電球)B1、B2、B3で構成されたランプユニット20を1つの電源(直流定電圧安定化電源)11及び1つの電流測定回路12を備えた検査装置10で駆動(点灯)し、駆動電流の電流値を測定するものである。
【0026】
ランプユニット20を構成する電球は全て定格電圧が同一の12.8Vとし、少なくとも電球B1の消費電力は60W、電球B2の消費電力は5Wとする。電球B1〜B3の両端は夫々ランプユニット20の負荷端子(B1(+)、B1(−))、(B2(+)、B2(−))、(B3(+)、B3(−))に接続されている。
【0027】
検査装置10を構成する電源11は入力側が商用電源30に接続され、出力側は一方の出力端子O(+)が、同様に検査装置10を構成する電流測定回路12の入力に接続されてその出力が3つの内部出力配線CO1(+)、CO2(+)、CO3(+)に分岐され、夫々出力スイッチSW1(+)、SW2(+)、SW3(+)を介して検査装置10の出力端子O1(+)、O2(+)、O3(+)に接続されている。
【0028】
一方、電源11の他方の出力端子O(−)は、3つの内部出力配線CO1(−)、CO2(−)、CO3(−)に分岐され、夫々出力スイッチSW1(−)、SW2(−)、SW3(―)を介して検査装置10の出力端子O1(−)、O2(−)、O3(−)に接続されている。
【0029】
また、電源11のリモートセンシングの一方の端子S(+)は、3つの内部センサ配線CS1(+)、CS2(+)、CS3(+)に分岐され、夫々センサスイッチSWS1(+)及び抵抗RS1(+)、センサスイッチSWS2(+)及び抵抗RS2(+)、センサスイッチSWS3(+)及び抵抗RS3(+)を介して検査装置10のセンサ端子S1(+)、S2(+)、S3(+)に接続されている。
【0030】
一方、電源11のリモートセンシングの一方の端子S(−)は、3つの内部センサ配線CS1(−)、CS2(−)、CS3(−)に分岐され、夫々センサスイッチSWS1(−)及び抵抗RS1(−)、センサスイッチSWS2(−)及び抵抗RS2(−)、センサスイッチSWS3(−)及び抵抗RS3(−)を介して検査装置10のセンサ端子S1(−)、S2(−)、S3(−)に接続されている。
【0031】
更に、検査装置10とランプユニット20の間は配線で接続されており、検査装置10の各出力端子O1(+)〜O3(+)、O1(−)〜O3(−)とランプユニット20の各負荷端子B1(+)〜B3(+)、B1(−)〜B3(−)は夫々外部出力配線OL1(+)〜OL3(+)、OL1(−)〜OL3(−)を介して接続されている。
【0032】
また、検査装置10の各センサ端子S1(+)〜S3(+)、S1(−)〜S3(−)とランプユニット20の各負荷端子B1(+)〜B3(+)、B1(−)〜B3(−)は夫々外部センサ配線SL1(+)〜SL3(+)、SL1(−)〜SL3(−)を介して接続されている。
【0033】
このとき、外部出力配線OLn(+)と外部センサ配線SLn(+)の接続点はランプユニット20の負荷端子Bn(+)又はその近傍にあり、同様に外部出力配線OLn(−)と外部センサ配線SLn(−)の接続点は負荷端子Bn(−)又はその近傍にある。
【0034】
このとき、全ての抵抗RS1(+)〜RS3(+)、RS1(−)〜RS3(−)の抵抗値を同一とし、検査装置10とランプユニット20を結ぶ外部出力端子OLn(+)と外部出力端子OLn(−)の夫々の配線抵抗の加算抵抗値を0.1Ω(断面積1mmの銅線を10m程度の長さで配線)とする。厳密には、検査装置10内の内部出力配線COn(+)とCOn(−)の夫々の配線抵抗の加算抵抗及びランプユニット20内の負荷配線の配線抵抗も含む。
【0035】
また、検査装置10のリモートセンシング端子S(+)、S(−)に繋がる該検査装置10内の電圧検出回路の入力抵抗の抵抗値を100KΩとする。
【0036】
このような回路構成の検査装置の動作は以下のようになる。
【0037】
ランプユニット20を構成する全ての電球B1、B2、B3を点灯させた状態で、所定の印加電圧における駆動電流を個々の電球B1〜B3について測定する方法を説明する。
【0038】
まず、出力スイッチSW1(+)〜SW3(+)、出力スイッチSW1(−)〜SW3(−)を全てON状態にする。すると、電源11の出力電圧が各電球B1〜B3に印加され、夫々の電球Bnには、電源11の出力端子O(+)から電流測定回路12を介して、順次出力スイッチSWn(+)で繋がれた内部出力配線COn(+)、外部出力配線OLn(+)、電球Bn、外部出力配線OLn(−)及び出力スイッチSWn(−)で繋がれた内部出力配線COn(−)を通って電源11の出力端子O(−)に至る電流が流れ、全ての電球Bn(B1〜B3)が点灯する。
【0039】
この全点灯モードにおいて、電球B1の両端に所定の定格電圧を印加してその時の駆動(点灯)電流を測定するためには、センサスイッチSWS1(+)とセンサスイッチSWS1(−)をON状態とする。
【0040】
すると、電球B1の(+)側端子が、抵抗RS1(+)及びセンサスイッチSWS1(+)を介して電源11のリモートセンシングの端子S(+)に接続され、電球B1の(−)側端子が、抵抗RS1(−)及びセンサスイッチSWS1(−)を介して電源11のリモートセンシングの端子S(−)に接続される。
【0041】
すると、電球B1の端子電圧がリモートセンシングの電圧検出回路で検出され、得られた検出電圧に基づいて電源11の出力電圧をフィードバック制御することにより電球B1の両端に、電圧検出回路に設定された電圧(定格電圧)が高い精度で印加される。
【0042】
このときの電流値を電流測定回路12で測定することにより、電球B1の正確な電圧−電流特性を把握することができる。
【0043】
次に、電球B2の両端に所定の定格電圧を印加してその時の駆動(点灯)電流を測定するためには、上記と同様にセンサスイッチSWS2(+)とセンサスイッチSWS2(−)をON状態とするのであるが、このとき、電球B1の電流測定の状態のまま、つまりセンサスイッチSWS1(+)とセンサスイッチSWS1(−)がOn状態のままでセンサスイッチSWS2(+)とセンサスイッチSWS2(−)をON状態にすると、その瞬間に外部センサ配線SL2(+)、内部センサ配線CS2(+)、内部センサ配線CS1(+)及び外部センサ配線SL1(+)には、配線による電圧降下が小さく電位が高い電球B2の(+)側端子から電圧降下が大きく電位が低い電球B1の(+)側に向かって電流が流れる。
【0044】
同様に、外部センサ配線SL1(−)、内部センサ配線CS1(−)、内部センサ配線CS2(−)及び外部センサ配線SL2(−)には、配線による電圧降下が大きく電位が高い電球B1の(−)側端子から電圧降下が小さく電位が低い電球B2の(−)側に向かって電流が流れる。
【0045】
このときの電流値は、内部センサ配線CS1(+)、CS2(+)の夫々に設けられた抵抗RS1(+)、RS2(+)、及び内部センサ配線CS1(−)、CS2(−)の夫々に設けられた抵抗RS1(−)、RS2(−)がショート状態にあって抵抗値が0Ωとし、内部出力配線CO1(+)に流れる電流の電流値をI1、内部出力配線CO2(+)に流れる電流をI2とすると、(I1+I2)/2−I2となる。即ち、上述の場合、I1が4.69A、I2が0.39Aであるため内部センサ配線CS1(+)とCS2(+)、及びCS1(−)とCS2(−)の夫々に流れる過渡電流は2.15Aとなる。
【0046】
なお、過渡状態後の定常状態においては、内部出力配線CO1(+)、CO2(+)、CO1(−)、CO2(−)の夫々には共に同一電流値の2.54Aの電流が流れる。
【0047】
ところで、電球B1〜B3を個別にリモートセンシングしている場合は、上述したようにリモートセンシングの内部抵抗が通常100KΩ程度であるために外部センサ配線SLn(+)及びSLn(−)に流れる電流は1mA以下であり、そのため、外部出力配線OLn(+)及びOLn(−)と比較して径の細い配線材が用いられる。
【0048】
具体的には、断面0.3mmの銅線を10m程度の長さで配線される。すると、配線抵抗は上記のような0Ωとはならず、抵抗を有することになる。配線抵抗と電流値の関係をシミュレーシュンで求めたグラフが図2及び図3である。
【0049】
外部センサ配線SLn(+)とSLn(−)の加算配線抵抗を0.1Ωとすると図2より各外部センサ配線に流れる電流は約0.7Aとなり、当然、センサスイッチSWS1(+)、SWS2(+)、SWS1(−)、SWS2(−)にも0.7Aの電流が流れる。
【0050】
この電流値は、センサスイッチSWS1(+)、SWS2(+)、SWS1(−)、SWS2(−)に電流容量が最大でも100mA(0.1A)のアナログスイッチを採用することができず、高価な信号用リードリレーを使用しなければならない。そこで、本発明は、スイッチの切替時に過渡的に流れる電流を少なくして安価なアナログスイッチが使用できるようにしている。
【0051】
そのために、内部センサ配線CS1(+)〜CS3(+)、CS1(−)〜CS3(−)の夫々に抵抗RS1(+)〜RS3(+)、RS1(―)〜RS3(―)を設けた。但し、リモートセンシングの両端子(S(+)、S(−))に繋がるセンサ配線の配線抵抗は電源11の出力電圧の精度(誤差)に影響し、配線抵抗と出力電圧誤差との関係はシミュレーションにより算出すると図4及び図5のグラフのようになる。電球B1の検査時の電源11の出力電圧の誤差はマイナス値であるが、グラフでは便宜上プラス表示としている。
【0052】
そこで、センサスイッチSWS1(+)〜SWS3(+)、SWS1(−)〜SWS3(−)に流れる電流を20mA以下として十分な余裕をもってアナログスイッチが採用できるようにするためには、図3のグラフから抵抗RS1(+)〜RS3(+)、RS1(―)〜RS3(―)の抵抗値を5Ω以上とする必要があることがわかる。
【0053】
そこで、例えば、抵抗RS1(+)〜RS3(+)、RS1(―)〜RS3(―)を全て50Ωとすると、リモートセンシングの配線に流れる電流値は約2mAとなり、十分アナログスイッチが採用できる電流値の範囲に入る。
【0054】
このときの出力電圧の誤差は、図5より電球B1の検査時の電源11の出力電圧の誤差が−1.6%、電球B2の検査時の電源11の出力電圧の誤差が1.6%となる。ちなみに、リモートセンシングの配線抵抗が0.15Ωの場合、電球B1に対する出力電圧の誤差が約−1.25%、電球B2に対する出力電圧の誤差が約1.25%であるので、抵抗RS1(+)〜RS3(+)、RS1(―)〜RS3(―)を全て50Ωとしても0.35%の誤差の悪化ですむ。
【0055】
次に、ランプユニット20を構成する電球B1、B2、B3のうち、駆動電流を測定する電球のみを点灯させた状態で、所定の印加電圧における駆動電流を測定する方法は、測定する電球Bnの両端に接続された内部出力配線COn(+)を繋ぐ出力スイッチSWn(+)と内部出力配線COn(−)を繋ぐ出力スイッチSWn(−)をON状態とする。
【0056】
それと共に、測定する電球Bnの両端に併設された内部センサ配線CSn(+)を繋ぐセンサスイッチSWSn(+)と内部センサ配線CSn(−)を繋ぐセンサスイッチSWnS(−)をON状態とする。
【0057】
すると、電球Bnの端子電圧がリモートセンシングの電圧検出回路で検出され、得られた検出電圧に基づいて電源11の出力電圧をフィードバック制御することにより電球Bnの両端に、電圧検出回路に設定された電圧(定格電圧)が高い精度で印加される。
【0058】
このときの電流値を電流測定回路12で測定することにより、電球Bnの正確な電圧−電流特性を把握することができる。この測定手順で電球B1〜B3の電流値を順次測定することにより全電球B1〜B3の正確な電圧−電流特性を把握することができる。
【0059】
なお、本実施例では外部出力配線の配線抵抗を0.1Ω、負荷の定格電圧を12.8Vとしたが、実際のシステム構成によりこれら数値を変更して50Ωとした抵抗RSn(+)、RSn(−)の抵抗値を変更することも考えられる。
【0060】
また、各負荷の(−)側端子同士を接合し、1本の出力配線として電源11の出力端子O(−)に接続することも可能である。この場合、各負荷の(−)側の共通端子とリモートセンシングの端子S(−)に繋がる内部センサ配線及び外部センサ配線に負荷の駆動電流が回り込むことがないので、内部センサ配線に抵抗を設ける必要はない。
【0061】
また、本実施例では負荷を電球とし、負荷の数を3つとしたが必ずしもこれらに限られるものではない。
【0062】
以上説明したように、本発明は複数の負荷の夫々に所定の電圧を高い精度で印加し、その時に各負荷に流れる電流を測定する検査装置であって、検査装置に備えられた1つの電源及び1つの電流測定回路で全ての負荷を個別に測定することを可能としたものである。そのため、廉価な検査装置が実現できた。
【0063】
また、電源はリモートセンシングの機能を有し、夫々の負荷の両端と電源のリモートセンシング端子を接続する2本のセンサ配線のうち少なくとも1本にセンサスイッチと抵抗を設けた。これにより、リモートセンシングする負荷を選択するための各センサスイッチのON/OFFの切換えによって負荷の両端の電圧が選択的に検出され、得られた検出電圧に基づいて電源の出力電圧をフィードバック制御することにより該負荷の両端に、設定された電圧が高い精度で印加される。
【0064】
それと共に、各センサスイッチのON/OFF状態の組み合わせによっては過渡電流が流れることになるセンサ配線の該過渡電流を抵抗によって低減し、スイッチに電流容量が小さい安価なアナログスイッチが使用できるようにした。そのため、検査装置を更なる廉価なものとすることが可能となった。
【0065】
また、市販の電源が使用できるため、この点でも検査装置の廉価化に寄与するものである。
【0066】
更に、夫々の負荷の両端と電源の出力端子を接続する2本の出力配線のうち少なくとも1本に出力スイッチを設けた。これにより、各出力スイッチのON/OFFの組み合わせによって負荷に選択的に電圧が印加される。その結果、全ての負荷に電圧を印加した状態でも或いは測定する負荷のみに電圧を印加した状態でも、設定された電圧を高い精度で印加した状態において負荷電流を検出することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 検査装置
11 電源(直流定電圧安定化電源)
12 電流測定回路
20 ランプユニット
30 商用電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の負荷の夫々に所定の電圧を印加したときの該負荷に流れる電流を測定する検査装置であって、
前記検査装置はリモートセンシング機能を有する1つの定電圧電源と1つの電流検出手段を有し、
前記各負荷の一端が前記電流検出手段を介して前記電源の出力端子の一端に接続されると共に該各負荷の他端が前記電源の出力端子の他端に接続され、
前記各負荷の一端と前記電流検出手段との接続間および該各負荷の他端と前記電源の出力端子の他端との接続間のうち少なくとも一方に第1のスイッチが設けられ、
前記各負荷の一端が前記電源のリモートセンサ端子の一端に接続されると共に該各負荷の他端が前記電源のリモートセンサ端子の他端に接続され、
前記各負荷の一端と前記電源のリモートセンサ端子の一端との接続間および該各負荷の他端と前記電源のリモートセンサ端子の他端との接続間のうち少なくとも一方に第2のスイッチが設けられ且つ少なくとも一方に抵抗が設けられ、
前記第1のスイッチのONで電圧が印加される負荷が選択され、前記第2のスイッチのONでリモートセンシング機能が機能する負荷が選択されて電源電圧が制御されることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
前記第2のスイッチはアナログスイッチであることを特徴とする請求項1に記載の検査装置。
【請求項3】
前記抵抗は全て同一の抵抗値を有することを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198101(P2010−198101A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39419(P2009−39419)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】