検波回路及び変復調モジュール
【課題】RF信号とベースバンド信号との干渉を完全に回避することができると共に集中定数型のコンデンサの実装も必要としない検波回路及び変復調モジュールを提供する。
【解決手段】検波回路1はRF信号Sを入力するスロット線路2と容量を形成するDCカットライン3−1,3−2と抵抗5と整流用のショットキーバリアダイオード6とを備える。ダイオード6はカソード電極60及びアノード電極61をDC電極111及び電極110側にそれぞれ接続した状態で実装されている。RF信号Sはダイオード6で整流されて、DC電極111及び抵抗5で平滑され、ベースバンド信号Bとして出力端121に出力される。長さがRF信号Sの波長の4分の1であるショートスタブ4−1,4−2がDCカットライン3−3,3−4の付け根から4分の1波長の箇所に形成され、RF信号Sとベースバンド信号Bの干渉が防止される。
【解決手段】検波回路1はRF信号Sを入力するスロット線路2と容量を形成するDCカットライン3−1,3−2と抵抗5と整流用のショットキーバリアダイオード6とを備える。ダイオード6はカソード電極60及びアノード電極61をDC電極111及び電極110側にそれぞれ接続した状態で実装されている。RF信号Sはダイオード6で整流されて、DC電極111及び抵抗5で平滑され、ベースバンド信号Bとして出力端121に出力される。長さがRF信号Sの波長の4分の1であるショートスタブ4−1,4−2がDCカットライン3−3,3−4の付け根から4分の1波長の箇所に形成され、RF信号Sとベースバンド信号Bの干渉が防止される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波やミリ波等のRF信号(高周波信号)を検波するための検波回路及び変復調モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の検波回路としては、フィンライン技術を利用してミリ波を検波する回路がある(例えば、特許文献1参照)。この検波回路は、フィンライン回路を導波管内部に設け、フィンラインを形成する電極の一方を2本ギャップで分離し、ダイオードを一方のギャップを跨ぐように実装すると共に、2本のギャップで分離された中央の電極を検波出力端子とした構成となっている。
また、他の検波回路としては、マイクロストリップ線路を用いて、マイクロ波を検波する回路がある(例えば、特許文献2参照)。この検波回路は、被検波信号をダイオードに入力するマイクロストリップ線路と、当該ダイオードにバイアス電圧を供給するバイアス電圧供給回路とを、検波回路の入力側に備え、バイアス電圧を調整することができる構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特公平07−20024号公報
【特許文献2】特開平03−23703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、次のような問題がある。
まず、フィンライン技術を利用した検波回路では、ミリ波のRF信号がフィンラインの途中に形成されたギャップ内に漏洩するという事態を防ぐために、集中定数型のコンデンサをギャップに跨らせて実装する必要がある。しかし、集中定数型のコンデンサは、周波数が高い程、実装によるばらつきが大きくなるので、高い実装精度が要求される。このため、歩留まりが低い。さらに、このようなコンデンサでは、周波数が高くなる程、寄生インダクタンス等の余分な成分が増加し、検波回路の特性を劣化させる原因になる。また、コンデンサの実装費がコストアップの要因にもなる。
また、マイクロストリップ線路を利用した検波回路では、マイクロ波のRF信号とベースバンド信号とを同じマイクロストリップ線路上で伝送するため、これらRF信号とベースバンド信号との間に干渉が生じやすい。そして、これらの干渉を、フィルタによる帯域分離によって防止することは困難である。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、RF信号とベースバンド信号との干渉を完全に回避することができると共に集中定数型のコンデンサの実装も必要としない検波回路及び変復調モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る検波回路は、基板の表面に形成され、基部が基板縁部で開口すると共に先端が閉じ且つ振幅変調されたRF信号を開口側から入力可能なスロット線路と、このスロット線路を跨ぐように実装されたダイオードと、このダイオードの一方の端子を挟むようにスロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、ベースバンド信号を出力可能な電極を画成する第1及び第2のカットラインと、第1及び第2のカットラインにそれぞれ設けられ、RF信号がこれら第1及び第2のカットライン内へ侵入することを阻止するためのショートスタブとを具備する構成とした。
かかる構成により、振幅変調されたRF信号が開口側からスロット線路に入力されると、ダイオードで整流されて、第1及び第2のカットラインで画成された電極に至り、ベースバンド信号として出力される。この際、第1及び第2のカットライン内へのRF信号の侵入がショートスタブによって阻止されるので、RF信号とベースバンド信号との干渉は生じない。また、第1及び第2のカットラインが検波回路のコンデンサとして機能するので、集中定数型のコンデンサを実装する必要がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の検波回路において、ダイオードを、スロット線路の先端からRF信号の4分の1波長分だけ基部側に寄った位置に配設した構成とする。
かかる構成により、RF信号の最大電圧がダイオードの両端子間に効率よく印加される。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の検波回路において、ダイオードの他方の端子を挟むようにスロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、直流バイアス電圧をダイオードに印加可能な電極を画成する第3及び第4のカットラインを設けた構成とする。
かかる構成により、 第3及び第4のカットラインで画成された電極に直流バイアス電圧を印加することで、ダイオードの電流−電圧特性をオフセットすることができる。この結果、ベースバンド信号も所望値にオフセットすることもできるようになる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検波回路において、スロット線路の部位であってダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部を設けた構成とする。
かかる構成により、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部によって、スロット線路の特性インピーダンスとダイオードのインピーダンスとを整合させることができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検波回路において、スロット線路の部位であってダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス整合調整用のショートスタブを設けた構成とする。
かかる構成により、例えば、金属導体でショートスタブの一部を覆うだけで、ショートスタブの長さを調整し、スロット線路の特性インピーダンスを調整することができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の検波回路において、基板の裏面に、少なくともスロット線路と同形のスロット線路を形成して、基板をPDTL構造にした構成とする。
かかる構成により、基板裏面に少なくともスロット線路と同形のスロット線路を形成したPDTL構造にしたので、エネルギの閉じ込め性が高くなる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の検波回路において、PDTL構造は、基板の表面と裏面とで同一構造の完全対称型PDTL構造である構成とした。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の検波回路において、基板表面に実装されたダイオードと基板裏面に実装されたダイオードの一方の端子同士をスルーホールを通じて接続すると共に他方の端子同士を別体のスルーホールを通じて電気的に接続した構成とする。
かかる構成により、ダイオードへの直流バイアス電圧の印加やベースバンド信号の出力を基板の表面又は裏面の一方の面からのみ行うようにすることができる。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の検波回路において、ダイオードは、ショットキーバリアダイオードである構成とした。
【0015】
請求項10の発明に係る変復調モジュールは、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の検波回路を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0016】
以上詳しく説明したように、この発明の検波回路によれば、RF信号とベースバンド信号との干渉を完全に回避することができるので、RF信号とベースバンド信号との高アイソレーション化を達成することができる。また、集中定数型のコンデンサの実装を必要としないので、部品実装のバラツキに伴う歩留まりの低下を防止することができるだけでなく、部品数低減,回路の小型化及びコストダウンを図ることができる。そして、集中定数型のコンデンサに伴う寄生インダクタンス等の発生もなく、この結果、動作特性の優れた検波回路を提供することができるという効果がある。
【0017】
特に、請求項2の発明によれば、RF信号をダイオードに効率よく印加することができる。
また、請求項3の発明によれば、ダイオードの電流−電圧特性をオフセットすることができるので、検波回路の検波感度を向上させることができると共に、ベースバンド信号も所望値にオフセットすることもできるようになり、この結果、出力インターフェースの自由度を向上させることができる。
また、請求項4の発明によれば、スロット線路の特性インピーダンスとダイオードのインピーダンスとを整合させることができるので、検波回路の検波感度を向上させることができる。
また、請求項5の発明によれば、スロット線路の特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
また、請求項6ないし請求項8の発明によれば、基板をPDTL構造にして、エネルギの閉じ込め性を高めたので、伝送損失の低減化を図ることができる。
さらに、請求項9の発明によれば、ダイオードとして、ショットキーバリアダイオードを用いるので、検波動作を高速化することができる。
【0018】
また、請求項10の発明によれば、小型で高感度の変復調モジュールを提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、この発明の第1実施例に係る検波回路を示す分解斜視図であり、図2は、検波回路の平面図であり、図3は、図2の矢視A−A断面図であり、図4は、図2の矢視B−B断面図である。
【0021】
図1に示すように、この実施例の検波回路1は、基板100の表面100aに形成されたスロット線路2と、第1及び第2のカットラインとしてのDCカットライン3−1,3−2と、一対のショートスタブ4−1,4−2と、抵抗5と、ショットキーバリアダイオード6とを備えている。
【0022】
基板100は、平板状の誘電体基板であり、電極110がその表面に形成されている。
【0023】
スロット線路2は、振幅変調されたRF信号Sを開口から入力して伝送する線路である。図2に示すように、このスロット線路2は、基板100の電極110を長尺状に抜いて形成したもので、その基部2aが基板100の縁部で開口し、先端2bが閉じてショート状態になっている。この実施例では、60GHzの搬送波でASK(amplitude shift keying)変調されたRF信号Sを例示する。スロット線路2は、基部2aを入力ポートとして、このRF信号Sを入力する。
【0024】
DCカットライン3−1,3−2は、ベースバンド信号Bを出力させるDC電極111を電極110から切り離して画成する線路である。これらのDCカットライン3−1,3−2は、スロット線路2から直角に分岐して、基板100の上側(図1及び図2の上側)に向かって並行に延出し、基板100の縁部で開口している。ここで、DC電極111の前部中心点P1(図1参照)がスロット線路2の先端2bからλの4分の1の距離に位置するように、DCカットライン3−1,3−2の分岐位置が設定されている。なお、λは、60GHzのRF信号Sの波長である。
【0025】
ショートスタブ4−1,4−2は、RF信号SがこれらDCカットライン3−1,3−2内に侵入することを阻止するためのスタブであり、それぞれがDCカットライン3−1,3−2から直角に分岐している。具体的には、ショートスタブ4−1(4−2)は、DCカットライン3−1(3−2)の分岐点P10(P20)から波長λの4分の1の距離にある分岐点P11(P21)に設けられている。そして、ショートスタブ4−1(4−2)の長さ、即ち分岐点P11(P21)から先端P12(P22)迄の距離も波長λの4分の1に設定されている。
【0026】
抵抗5は、DC電極111から基板100外部に引き出された導体120の途中で分岐して接地されたチップ体であり、この抵抗5の後段には、ベースバンド信号Bの出力端121が設けられている。
【0027】
ショットキーバリアダイオード6は、スロット線路2を跨ぐように実装されている。具体的には、図1に示すように、ショットキーバリアダイオード6はチップ体であり、カソード電極60とアノード電極61とを下面に有している。そして、図2〜図4に示すように、カソード電極60がDC電極111の前部中心点P1上に、アノード電極61がDC電極111と向き合う電極110の部位にそれぞれバンプ62を介してフェースダウン実装されている。これにより、ショットキーバリアダイオード6の一方の端子であるカソード電極60がDCカットライン3−1,3−2によって挟まれた状態になり、しかも、ショットキーバリアダイオード6が、スロット線路2の先端2bからRF信号Sの4分の1波長分だけ基部2aに寄った位置に配設された状態になる。
【0028】
図5は、集中定数素子で示した検波回路の等価回路図である。
周知のように、正極検知の検波回路を集中定数素子で示すと、図5に示すような構成になる。すなわち、整流用のダイオードDのアノードを入力端子INに接続し、このダイオードDのカソードと出力端子OUTとの間に、平滑用の積分回路を構成するコンデンサCと抵抗Rとを組み付けた回路になる。
この実施例の検波回路1は、正極検知の検波回路であり、図5と同様の機能を有するように、ショットキーバリアダイオード6を図5の整流用のダイオードDに対応させ、また、DCカットライン3−1,3−2及び抵抗5をコンデンサC及び抵抗Rにそれぞれ対応させて平滑用の積分回路を構成している。したがって、ダイオード特性や抵抗値の調整は、ショットキーバリアダイオード6や抵抗5を取り替えることで行い、コンデンサの容量値の調整は、DCカットライン3−1,3−2の幅や長さを調整することで行うことができる。
【0029】
次に、この実施例の検波回路1が示す作用及び効果について説明する。
図6は、この実施例の検波回路1の作用及び効果を説明するために用いる等価回路図である。
図6に示すように、RF信号Sを基部2aからスロット線路2内に入力すると、高周波電流Isがスロット線路2の電極110側の縁に沿って発生し、ショットキーバリアダイオード6内に流入する。
このとき、ショットキーバリアダイオード6が、スロット線路2の先端2bからRF信号Sの4分の1波長分だけ基部2aに寄った位置に配設されているので、RF信号Sによる最大電圧がショットキーバリアダイオード6に印加されることとなる。この結果、電極110側の高周波電流Isがショットキーバリアダイオード6内に効率よく流れ込む。
そして、高周波電流Isは、ショットキーバリアダイオード6によって整流され、正の直流電流IbがDCカットライン3−1,3−2で挟まれたDC電極111に流出する。すると、この直流電流Ibは、DC電極111と基板外の導体120の抵抗5とを通じて出力端121側に出力される。
このとき、DCカットライン3−1,3−2と抵抗5とが積分回路を形成しているので、直流電流Ibは、平滑され、直流のベースバンド信号Bとして出力端121に出力される。
このようにして、ASK変調されているRF信号Sが、検波回路1によって検波(復調)され、ベースバンド信号Bとして出力端121に出力されることとなる。
【0030】
ところで、RF信号Sは、60GHzの周波数を有した電磁波である。したがって、このRF信号Sが、スロット線路2からDCカットライン3−1,3−2内に流れ込んで、ベースバンド信号Bと干渉し、ベースバンド信号Bを劣化させるおそれがある。
しかしながら、この実施例では、図2に示したように、RF信号Sの波長の4分の1の長さのショートスタブ4−1(4−2)を、DCカットライン3−1(3−2)の付け根から当該波長の4分の1の距離に設けたので、先端P12(P22)、分岐点P11(P21、分岐点P10(P20)がそれぞれ、ショート、オープン、ショートの状態になる。このため、ショートスタブ4−1(4−2)が、60GHzのRF信号Sに対するチョークとして機能し、RF信号SがDCカットライン3−1(3−2)内に侵入することを阻止する。
したがって、RF信号Sがベースバンド信号Bと干渉することはなく、RF信号Sとベースバンド信号Bとの間の高アイソレーション化を達成することができる。
【0031】
また、60GHzという高周波を扱う場合、集中定数型のコンデンサでは、寄生インダクタンスの発生を考慮しなければならない。しかし、この実施例では、DCカットライン3−1,3−2を検波回路1のコンデンサCとして機能させるので、従来のように、集中定数型のコンデンサを実装する必要がない。このため、RF信号Sがマイクロ波やミリ波等の高周波帯域の信号であっても直接検波することができると共に、部品数低減,回路の小型化,コストダウン及び動作特性の向上を図ることができる。
さらに、ショットキーバリアダイオード6は、一般のダイオードと比べて応答速度が速い。したがって、ショットキーバリアダイオード6を用いることで、検波応答の高速化を図ることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図7は、この発明の第2実施例に係る検波回路の平面図であり、図8は、図7の矢視C−C断面図である。
この実施例は、図7及び図8に示すように、DC電極112を画成する第3及び第4のカットラインとしてのDCカットライン3−3,3−4を設けた点が、上記第1実施例と異なる。
具体的には、ショットキーバリアダイオード6の他方の端子であるアノード電極61を挟むように、DCカットライン3−3,3−4をスロット線路2からそれぞれ分岐させ、基板100の縁部で開口させた。これにより、DC電極112を画成して、直流バイアス電圧をショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加することができるようにした。
【0033】
かかる構成により、 直流バイアス電圧をDC電極112を通じてショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加することで、ショットキーバリアダイオード6の電流−電圧特性をオフセットすることができる。この結果、生成するベースバンド信号Bも所望値にオフセットすることもできるようになる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例3】
【0034】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図9は、この発明の第3実施例に係る検波回路の平面図であり、図10は、図9の矢視D−D断面図である。
この実施例は、図9及び図10に示すように、スロット線路2に幅広部20を設けた点が上記第2実施例と異なる。
すなわち、インピーダンス変成器として機能する幅広部20を、ショットキーバリアダイオード6よりもスロット線路2の基部2a側に寄った部位に設けた。
【0035】
かかる構成により、この幅広部20によって、スロット線路2の特性インピーダンスとショットキーバリアダイオード6のインピーダンスとを整合させることができる。この結果、検波回路の検波感度を向上させることができる。
この実施例では、スロット線路2に幅広部20を形成して、インピーダンス変成器として利用する例を示したが、スロット線路2よりも幅が狭い幅狭部を設けて、これをインピーダンス変成器として利用することもできることは勿論である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0036】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図11は、この発明の第4実施例に係る検波回路の平面図であり、図12は、インピーダンスの調整方法を示す部分拡大平面図である。
この実施例は、スロット線路2の特性インピーダンスを調整することができる構造にした点が、上記第3実施例と異なる。
すなわち、図11に示すように、ショートスタブ21を、ショットキーバリアダイオード6よりも基部2a側に寄ったスロット線路2の部位に突設した。このショートスタブ21は、インピーダンス整合調整用のスタブであり、ショートスタブ21の長さを調整することで、スロット線路2の特性インピーダンスを変えることができる。
例えば、ショートスタブ21の長さを短くする場合には、図12の(a)に示すように、金リボン等の金属泊22をショートスタブ21の先端部を覆うように貼る。また、ショートスタブ21の長さを長くする場合には、図12の(b)に示すように、誘電体のブロック23をショートスタブ21の上に載せる。これにより、ショートスタブ21部分の実効誘電率が高くなり、ショートスタブ21の長さを等価的に長く見せることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例5】
【0037】
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図13は、この発明の第5実施例に係る検波回路の平面図であり、図14は、検波回路を裏面側から見た平面図であり、図15は、図13の矢視E−E断面図である。
この実施例は、基板100の表面側と裏面側との回路構造を、PDTL(Planer Dielectric Transmission Line)構造にした点が、上記第1ないし第4実施例と異なる。
すなわち、図13に示すように、基板100の表面100a側を上記第3実施例の検波回路の回路構造にし、図14に示すように、基板100の裏面100bに、幅広部20を有したスロット線路2と同形のスロット線路2′を形成した。具体的には、基板100の裏面100bの電極110′に、スロット線路2の幅広部20と同形の幅広部20′を有したスロット線路2′を形成した。この際、図15に示すように、スロット線路2′の形状及び位置を、基板100の中心面Lに関してスロット線路2と面対称になるように設定した。
【0038】
かかる構成により、基板100の表面100aの電極110と裏面100bの電極110′とでスロット線路2内に生じるRF信号Sの電磁波を閉じ込めることができ、この結果、RF信号Sの伝送損失の低減化を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第4実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例6】
【0039】
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図16は、この発明の第6実施例に係る検波回路の平面図であり、図17は、検波回路を裏面側から見た平面図であり、図18は、図16の矢視F−F断面図である。
この実施例は、基板100の回路構造が、表面100aと裏面100bとで同一な完全対称型PDTL構造である点が、上記第5実施例と異なる。
すなわち、図16に示すように、上記第5実施例と同様に、基板100の表面100a側を上記第3実施例の検波回路の回路構造にした。そして、図17に示すように、基板100の裏面100bも、表面100a側と同一の回路構造とした。具体的には、基板100の裏面100bの電極110′に、幅広部20′を有したスロット線路2、DC電極111′,112′をそれぞれ画成するDCカットライン3−1′,3−2′,3−3′,3−4′、ショートスタブ4−1′,4−2,4−3′,4−4′、ショットキーバリアダイオード6′を形成した。この際、図18に示すように、表面100a側の回路構造と裏面100b側の回路構造とを基板100の中心面Lに関して完全に面対称になるように設定した。
【0040】
さらに、この実施例では、図18に示すように、基板100を貫通するスルーホール113でDC電極112,112′同士を電気的に接続すると共に、別体のスルーホール114でDC電極111,111′同士を電気的に接続した。これにより、表面100a側に実装されたショットキーバリアダイオード6と裏面100b側に実装されたショットキーバリアダイオード6′のアノード電極61,61′端子同士がスルーホール113を通じて接続されると共にカソード電極60,60′同士がスルーホール114を通じて電気的に接続された状態になる。
【0041】
かかる構成により、 直流バイアス電圧をDC電極112に入力すると、この直流電圧バイアスは、ショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加されると共に、スルーホール113を通じて裏面100b側のショットキーバリアダイオード6′のアノード電極61′にも印加される。
また、ショットキーバリアダイオード6で整流された直流電流がDC電極111に出力されると共に、裏面100b側のショットキーバリアダイオード6′で整流された直流電流もスルーホール114を通じてDC電極111に出力される。
したがって、この実施例の検波回路によれば、ショットキーバリアダイオード6,6′への直流バイアス電圧の印加や、ベースバンド信号の出力を基板100の表面100aからのみ行うようにすることができる。なお、出力端121や抵抗5が接続された導体120を裏面100b側のDC電極111′に接続することで、ショットキーバリアダイオード6,6′への直流バイアス電圧の印加や、ベースバンド信号の出力を基板100の裏面100bからのみ行うようにすることができることは勿論である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第5実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例7】
【0042】
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図19は、この発明の第7実施例に係る変復調モジュールを示すブロック図である。
この実施例の変復調モジュール7は、図19に示すように、変調部8と復調部9とを備えている。
変調部8は、ベースバンド処理回路81とASK変調回路82とグランド電極83とパワーアンプ84とアンテナ85とを有している。
これにより、入力端子80から入力したベースバンド信号Bがベースバンド処理回路81を介して、ASK変調回路82に出力される。すると、ベースバンド信号Bが、局所発振器83からの例えば60GHzの搬送波によって、ASK変調され、RF信号SとしてASK変調回路82から出力される。そして、RF信号Sは、パワーアンプ84で増幅された後、アンテナ85から送信される。
一方、復調部9は、アンテナ90とローノイズアンプ91と検波回路1とベースバンド処理回路92とを有している。
これにより、アンテナ90で受信されたRF信号Sがローノイズアンプ91を介して、検波回路1に出力される。
検波回路1は、上記第1ないし第6実施例のいずれかの検波回路であり、そのスロット線路2の基部2aをローノイズアンプ91の出力側に接続し、その出力端121をベースバンド処理回路92の入力側に接続した状態で、復調部9に組み込まれている。
したがって、ローノイズアンプ91からのRF信号Sは、この検波回路1によって、高感度で検波される。そして、検波回路1から出力されたベースバンド信号Bは、ベースバンド処理回路92で処理された後、出力端子93から出力される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第6実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0043】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、ダイオードとして、ショットキーバリアダイオード6を用いたが、ショットキーバリアダイオード6に限らず他の各種ダイオードを用いることができる。
また、上記実施例では、ショットキーバリアダイオード6のカソード電極60をDC電極111に接続した正極検知の検波回路を例示したが、ショットキーバリアダイオード6のアノード電極61をDC電極111に接続した負極検知の検波回路も、この発明の範囲に含まれる。
また、上記第3実施例は、第2実施例のスロット線路2に幅広部20を設けた検波回路を例示したが、第1実施例のようにDC電極112を有しない検波回路のスロット線路2についても、幅広部20を設けることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1実施例に係る検波回路を示す分解斜視図である。
【図2】検波回路の平面図である。
【図3】図2の矢視A−A断面図である。
【図4】図2の矢視B−B断面図である。
【図5】集中定数素子で示した検波回路の等価回路図である。
【図6】この実施例の検波回路の作用及び効果を説明するために用いる等価回路図である。
【図7】この発明の第2実施例に係る検波回路の平面図である。
【図8】図7の矢視C−C断面図である。
【図9】この発明の第3実施例に係る検波回路の平面図である。
【図10】図9の矢視D−D断面図である。
【図11】この発明の第4実施例に係る検波回路の平面図である。
【図12】インピーダンスの調整方法を示す部分拡大平面図である。
【図13】この発明の第5実施例に係る検波回路の平面図である。
【図14】検波回路を裏面側から見た平面図である。
【図15】図13の矢視E−E断面図である。
【図16】この発明の第6実施例に係る検波回路の平面図である。
【図17】検波回路を裏面側から見た平面図である。
【図18】図16の矢視F−F断面図である。
【図19】この発明の第7実施例に係る変復調モジュールを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1…検波回路、 2,2′…スロット線路、 2a…基部、 2b…先端、 3−1〜3−4,3−1′〜3−4′…DCカットライン、 4−1〜4−4,4−1′〜4−4′,21…ショートスタブ、 5…抵抗、 6,6′…ショットキーバリアダイオード、 7…変復調モジュール、 8…変調部、 9…復調部、 20,20′…幅広部、 22…金属泊、 23…ブロック、 60…カソード電極、 61…アノード電極、 62…バンプ、 100…基板、 100a…表面、 100b…裏面、 110,110′…電極、 111,112,111′,112′…DC電極、 113,114…スルーホール、 120…導体、 121…出力端、 B…ベースバンド信号、 S…RF信号。
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ波やミリ波等のRF信号(高周波信号)を検波するための検波回路及び変復調モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の検波回路としては、フィンライン技術を利用してミリ波を検波する回路がある(例えば、特許文献1参照)。この検波回路は、フィンライン回路を導波管内部に設け、フィンラインを形成する電極の一方を2本ギャップで分離し、ダイオードを一方のギャップを跨ぐように実装すると共に、2本のギャップで分離された中央の電極を検波出力端子とした構成となっている。
また、他の検波回路としては、マイクロストリップ線路を用いて、マイクロ波を検波する回路がある(例えば、特許文献2参照)。この検波回路は、被検波信号をダイオードに入力するマイクロストリップ線路と、当該ダイオードにバイアス電圧を供給するバイアス電圧供給回路とを、検波回路の入力側に備え、バイアス電圧を調整することができる構成となっている。
【0003】
【特許文献1】特公平07−20024号公報
【特許文献2】特開平03−23703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記従来の技術では、次のような問題がある。
まず、フィンライン技術を利用した検波回路では、ミリ波のRF信号がフィンラインの途中に形成されたギャップ内に漏洩するという事態を防ぐために、集中定数型のコンデンサをギャップに跨らせて実装する必要がある。しかし、集中定数型のコンデンサは、周波数が高い程、実装によるばらつきが大きくなるので、高い実装精度が要求される。このため、歩留まりが低い。さらに、このようなコンデンサでは、周波数が高くなる程、寄生インダクタンス等の余分な成分が増加し、検波回路の特性を劣化させる原因になる。また、コンデンサの実装費がコストアップの要因にもなる。
また、マイクロストリップ線路を利用した検波回路では、マイクロ波のRF信号とベースバンド信号とを同じマイクロストリップ線路上で伝送するため、これらRF信号とベースバンド信号との間に干渉が生じやすい。そして、これらの干渉を、フィルタによる帯域分離によって防止することは困難である。
【0005】
この発明は、上述した課題を解決するためになされたもので、RF信号とベースバンド信号との干渉を完全に回避することができると共に集中定数型のコンデンサの実装も必要としない検波回路及び変復調モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係る検波回路は、基板の表面に形成され、基部が基板縁部で開口すると共に先端が閉じ且つ振幅変調されたRF信号を開口側から入力可能なスロット線路と、このスロット線路を跨ぐように実装されたダイオードと、このダイオードの一方の端子を挟むようにスロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、ベースバンド信号を出力可能な電極を画成する第1及び第2のカットラインと、第1及び第2のカットラインにそれぞれ設けられ、RF信号がこれら第1及び第2のカットライン内へ侵入することを阻止するためのショートスタブとを具備する構成とした。
かかる構成により、振幅変調されたRF信号が開口側からスロット線路に入力されると、ダイオードで整流されて、第1及び第2のカットラインで画成された電極に至り、ベースバンド信号として出力される。この際、第1及び第2のカットライン内へのRF信号の侵入がショートスタブによって阻止されるので、RF信号とベースバンド信号との干渉は生じない。また、第1及び第2のカットラインが検波回路のコンデンサとして機能するので、集中定数型のコンデンサを実装する必要がない。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の検波回路において、ダイオードを、スロット線路の先端からRF信号の4分の1波長分だけ基部側に寄った位置に配設した構成とする。
かかる構成により、RF信号の最大電圧がダイオードの両端子間に効率よく印加される。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の検波回路において、ダイオードの他方の端子を挟むようにスロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、直流バイアス電圧をダイオードに印加可能な電極を画成する第3及び第4のカットラインを設けた構成とする。
かかる構成により、 第3及び第4のカットラインで画成された電極に直流バイアス電圧を印加することで、ダイオードの電流−電圧特性をオフセットすることができる。この結果、ベースバンド信号も所望値にオフセットすることもできるようになる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検波回路において、スロット線路の部位であってダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部を設けた構成とする。
かかる構成により、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部によって、スロット線路の特性インピーダンスとダイオードのインピーダンスとを整合させることができる。
【0010】
請求項5の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検波回路において、スロット線路の部位であってダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス整合調整用のショートスタブを設けた構成とする。
かかる構成により、例えば、金属導体でショートスタブの一部を覆うだけで、ショートスタブの長さを調整し、スロット線路の特性インピーダンスを調整することができる。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の検波回路において、基板の裏面に、少なくともスロット線路と同形のスロット線路を形成して、基板をPDTL構造にした構成とする。
かかる構成により、基板裏面に少なくともスロット線路と同形のスロット線路を形成したPDTL構造にしたので、エネルギの閉じ込め性が高くなる。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載の検波回路において、PDTL構造は、基板の表面と裏面とで同一構造の完全対称型PDTL構造である構成とした。
【0013】
請求項8の発明は、請求項7に記載の検波回路において、基板表面に実装されたダイオードと基板裏面に実装されたダイオードの一方の端子同士をスルーホールを通じて接続すると共に他方の端子同士を別体のスルーホールを通じて電気的に接続した構成とする。
かかる構成により、ダイオードへの直流バイアス電圧の印加やベースバンド信号の出力を基板の表面又は裏面の一方の面からのみ行うようにすることができる。
【0014】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の検波回路において、ダイオードは、ショットキーバリアダイオードである構成とした。
【0015】
請求項10の発明に係る変復調モジュールは、請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の検波回路を備えた構成とする。
【発明の効果】
【0016】
以上詳しく説明したように、この発明の検波回路によれば、RF信号とベースバンド信号との干渉を完全に回避することができるので、RF信号とベースバンド信号との高アイソレーション化を達成することができる。また、集中定数型のコンデンサの実装を必要としないので、部品実装のバラツキに伴う歩留まりの低下を防止することができるだけでなく、部品数低減,回路の小型化及びコストダウンを図ることができる。そして、集中定数型のコンデンサに伴う寄生インダクタンス等の発生もなく、この結果、動作特性の優れた検波回路を提供することができるという効果がある。
【0017】
特に、請求項2の発明によれば、RF信号をダイオードに効率よく印加することができる。
また、請求項3の発明によれば、ダイオードの電流−電圧特性をオフセットすることができるので、検波回路の検波感度を向上させることができると共に、ベースバンド信号も所望値にオフセットすることもできるようになり、この結果、出力インターフェースの自由度を向上させることができる。
また、請求項4の発明によれば、スロット線路の特性インピーダンスとダイオードのインピーダンスとを整合させることができるので、検波回路の検波感度を向上させることができる。
また、請求項5の発明によれば、スロット線路の特性インピーダンスの調整を容易に行うことができる。
また、請求項6ないし請求項8の発明によれば、基板をPDTL構造にして、エネルギの閉じ込め性を高めたので、伝送損失の低減化を図ることができる。
さらに、請求項9の発明によれば、ダイオードとして、ショットキーバリアダイオードを用いるので、検波動作を高速化することができる。
【0018】
また、請求項10の発明によれば、小型で高感度の変復調モジュールを提供することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の最良の形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0020】
図1は、この発明の第1実施例に係る検波回路を示す分解斜視図であり、図2は、検波回路の平面図であり、図3は、図2の矢視A−A断面図であり、図4は、図2の矢視B−B断面図である。
【0021】
図1に示すように、この実施例の検波回路1は、基板100の表面100aに形成されたスロット線路2と、第1及び第2のカットラインとしてのDCカットライン3−1,3−2と、一対のショートスタブ4−1,4−2と、抵抗5と、ショットキーバリアダイオード6とを備えている。
【0022】
基板100は、平板状の誘電体基板であり、電極110がその表面に形成されている。
【0023】
スロット線路2は、振幅変調されたRF信号Sを開口から入力して伝送する線路である。図2に示すように、このスロット線路2は、基板100の電極110を長尺状に抜いて形成したもので、その基部2aが基板100の縁部で開口し、先端2bが閉じてショート状態になっている。この実施例では、60GHzの搬送波でASK(amplitude shift keying)変調されたRF信号Sを例示する。スロット線路2は、基部2aを入力ポートとして、このRF信号Sを入力する。
【0024】
DCカットライン3−1,3−2は、ベースバンド信号Bを出力させるDC電極111を電極110から切り離して画成する線路である。これらのDCカットライン3−1,3−2は、スロット線路2から直角に分岐して、基板100の上側(図1及び図2の上側)に向かって並行に延出し、基板100の縁部で開口している。ここで、DC電極111の前部中心点P1(図1参照)がスロット線路2の先端2bからλの4分の1の距離に位置するように、DCカットライン3−1,3−2の分岐位置が設定されている。なお、λは、60GHzのRF信号Sの波長である。
【0025】
ショートスタブ4−1,4−2は、RF信号SがこれらDCカットライン3−1,3−2内に侵入することを阻止するためのスタブであり、それぞれがDCカットライン3−1,3−2から直角に分岐している。具体的には、ショートスタブ4−1(4−2)は、DCカットライン3−1(3−2)の分岐点P10(P20)から波長λの4分の1の距離にある分岐点P11(P21)に設けられている。そして、ショートスタブ4−1(4−2)の長さ、即ち分岐点P11(P21)から先端P12(P22)迄の距離も波長λの4分の1に設定されている。
【0026】
抵抗5は、DC電極111から基板100外部に引き出された導体120の途中で分岐して接地されたチップ体であり、この抵抗5の後段には、ベースバンド信号Bの出力端121が設けられている。
【0027】
ショットキーバリアダイオード6は、スロット線路2を跨ぐように実装されている。具体的には、図1に示すように、ショットキーバリアダイオード6はチップ体であり、カソード電極60とアノード電極61とを下面に有している。そして、図2〜図4に示すように、カソード電極60がDC電極111の前部中心点P1上に、アノード電極61がDC電極111と向き合う電極110の部位にそれぞれバンプ62を介してフェースダウン実装されている。これにより、ショットキーバリアダイオード6の一方の端子であるカソード電極60がDCカットライン3−1,3−2によって挟まれた状態になり、しかも、ショットキーバリアダイオード6が、スロット線路2の先端2bからRF信号Sの4分の1波長分だけ基部2aに寄った位置に配設された状態になる。
【0028】
図5は、集中定数素子で示した検波回路の等価回路図である。
周知のように、正極検知の検波回路を集中定数素子で示すと、図5に示すような構成になる。すなわち、整流用のダイオードDのアノードを入力端子INに接続し、このダイオードDのカソードと出力端子OUTとの間に、平滑用の積分回路を構成するコンデンサCと抵抗Rとを組み付けた回路になる。
この実施例の検波回路1は、正極検知の検波回路であり、図5と同様の機能を有するように、ショットキーバリアダイオード6を図5の整流用のダイオードDに対応させ、また、DCカットライン3−1,3−2及び抵抗5をコンデンサC及び抵抗Rにそれぞれ対応させて平滑用の積分回路を構成している。したがって、ダイオード特性や抵抗値の調整は、ショットキーバリアダイオード6や抵抗5を取り替えることで行い、コンデンサの容量値の調整は、DCカットライン3−1,3−2の幅や長さを調整することで行うことができる。
【0029】
次に、この実施例の検波回路1が示す作用及び効果について説明する。
図6は、この実施例の検波回路1の作用及び効果を説明するために用いる等価回路図である。
図6に示すように、RF信号Sを基部2aからスロット線路2内に入力すると、高周波電流Isがスロット線路2の電極110側の縁に沿って発生し、ショットキーバリアダイオード6内に流入する。
このとき、ショットキーバリアダイオード6が、スロット線路2の先端2bからRF信号Sの4分の1波長分だけ基部2aに寄った位置に配設されているので、RF信号Sによる最大電圧がショットキーバリアダイオード6に印加されることとなる。この結果、電極110側の高周波電流Isがショットキーバリアダイオード6内に効率よく流れ込む。
そして、高周波電流Isは、ショットキーバリアダイオード6によって整流され、正の直流電流IbがDCカットライン3−1,3−2で挟まれたDC電極111に流出する。すると、この直流電流Ibは、DC電極111と基板外の導体120の抵抗5とを通じて出力端121側に出力される。
このとき、DCカットライン3−1,3−2と抵抗5とが積分回路を形成しているので、直流電流Ibは、平滑され、直流のベースバンド信号Bとして出力端121に出力される。
このようにして、ASK変調されているRF信号Sが、検波回路1によって検波(復調)され、ベースバンド信号Bとして出力端121に出力されることとなる。
【0030】
ところで、RF信号Sは、60GHzの周波数を有した電磁波である。したがって、このRF信号Sが、スロット線路2からDCカットライン3−1,3−2内に流れ込んで、ベースバンド信号Bと干渉し、ベースバンド信号Bを劣化させるおそれがある。
しかしながら、この実施例では、図2に示したように、RF信号Sの波長の4分の1の長さのショートスタブ4−1(4−2)を、DCカットライン3−1(3−2)の付け根から当該波長の4分の1の距離に設けたので、先端P12(P22)、分岐点P11(P21、分岐点P10(P20)がそれぞれ、ショート、オープン、ショートの状態になる。このため、ショートスタブ4−1(4−2)が、60GHzのRF信号Sに対するチョークとして機能し、RF信号SがDCカットライン3−1(3−2)内に侵入することを阻止する。
したがって、RF信号Sがベースバンド信号Bと干渉することはなく、RF信号Sとベースバンド信号Bとの間の高アイソレーション化を達成することができる。
【0031】
また、60GHzという高周波を扱う場合、集中定数型のコンデンサでは、寄生インダクタンスの発生を考慮しなければならない。しかし、この実施例では、DCカットライン3−1,3−2を検波回路1のコンデンサCとして機能させるので、従来のように、集中定数型のコンデンサを実装する必要がない。このため、RF信号Sがマイクロ波やミリ波等の高周波帯域の信号であっても直接検波することができると共に、部品数低減,回路の小型化,コストダウン及び動作特性の向上を図ることができる。
さらに、ショットキーバリアダイオード6は、一般のダイオードと比べて応答速度が速い。したがって、ショットキーバリアダイオード6を用いることで、検波応答の高速化を図ることができる。
【実施例2】
【0032】
次に、この発明の第2実施例について説明する。
図7は、この発明の第2実施例に係る検波回路の平面図であり、図8は、図7の矢視C−C断面図である。
この実施例は、図7及び図8に示すように、DC電極112を画成する第3及び第4のカットラインとしてのDCカットライン3−3,3−4を設けた点が、上記第1実施例と異なる。
具体的には、ショットキーバリアダイオード6の他方の端子であるアノード電極61を挟むように、DCカットライン3−3,3−4をスロット線路2からそれぞれ分岐させ、基板100の縁部で開口させた。これにより、DC電極112を画成して、直流バイアス電圧をショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加することができるようにした。
【0033】
かかる構成により、 直流バイアス電圧をDC電極112を通じてショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加することで、ショットキーバリアダイオード6の電流−電圧特性をオフセットすることができる。この結果、生成するベースバンド信号Bも所望値にオフセットすることもできるようになる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例3】
【0034】
次に、この発明の第3実施例について説明する。
図9は、この発明の第3実施例に係る検波回路の平面図であり、図10は、図9の矢視D−D断面図である。
この実施例は、図9及び図10に示すように、スロット線路2に幅広部20を設けた点が上記第2実施例と異なる。
すなわち、インピーダンス変成器として機能する幅広部20を、ショットキーバリアダイオード6よりもスロット線路2の基部2a側に寄った部位に設けた。
【0035】
かかる構成により、この幅広部20によって、スロット線路2の特性インピーダンスとショットキーバリアダイオード6のインピーダンスとを整合させることができる。この結果、検波回路の検波感度を向上させることができる。
この実施例では、スロット線路2に幅広部20を形成して、インピーダンス変成器として利用する例を示したが、スロット線路2よりも幅が狭い幅狭部を設けて、これをインピーダンス変成器として利用することもできることは勿論である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第2実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例4】
【0036】
次に、この発明の第4実施例について説明する。
図11は、この発明の第4実施例に係る検波回路の平面図であり、図12は、インピーダンスの調整方法を示す部分拡大平面図である。
この実施例は、スロット線路2の特性インピーダンスを調整することができる構造にした点が、上記第3実施例と異なる。
すなわち、図11に示すように、ショートスタブ21を、ショットキーバリアダイオード6よりも基部2a側に寄ったスロット線路2の部位に突設した。このショートスタブ21は、インピーダンス整合調整用のスタブであり、ショートスタブ21の長さを調整することで、スロット線路2の特性インピーダンスを変えることができる。
例えば、ショートスタブ21の長さを短くする場合には、図12の(a)に示すように、金リボン等の金属泊22をショートスタブ21の先端部を覆うように貼る。また、ショートスタブ21の長さを長くする場合には、図12の(b)に示すように、誘電体のブロック23をショートスタブ21の上に載せる。これにより、ショートスタブ21部分の実効誘電率が高くなり、ショートスタブ21の長さを等価的に長く見せることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第3実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例5】
【0037】
次に、この発明の第5実施例について説明する。
図13は、この発明の第5実施例に係る検波回路の平面図であり、図14は、検波回路を裏面側から見た平面図であり、図15は、図13の矢視E−E断面図である。
この実施例は、基板100の表面側と裏面側との回路構造を、PDTL(Planer Dielectric Transmission Line)構造にした点が、上記第1ないし第4実施例と異なる。
すなわち、図13に示すように、基板100の表面100a側を上記第3実施例の検波回路の回路構造にし、図14に示すように、基板100の裏面100bに、幅広部20を有したスロット線路2と同形のスロット線路2′を形成した。具体的には、基板100の裏面100bの電極110′に、スロット線路2の幅広部20と同形の幅広部20′を有したスロット線路2′を形成した。この際、図15に示すように、スロット線路2′の形状及び位置を、基板100の中心面Lに関してスロット線路2と面対称になるように設定した。
【0038】
かかる構成により、基板100の表面100aの電極110と裏面100bの電極110′とでスロット線路2内に生じるRF信号Sの電磁波を閉じ込めることができ、この結果、RF信号Sの伝送損失の低減化を図ることができる。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第4実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例6】
【0039】
次に、この発明の第6実施例について説明する。
図16は、この発明の第6実施例に係る検波回路の平面図であり、図17は、検波回路を裏面側から見た平面図であり、図18は、図16の矢視F−F断面図である。
この実施例は、基板100の回路構造が、表面100aと裏面100bとで同一な完全対称型PDTL構造である点が、上記第5実施例と異なる。
すなわち、図16に示すように、上記第5実施例と同様に、基板100の表面100a側を上記第3実施例の検波回路の回路構造にした。そして、図17に示すように、基板100の裏面100bも、表面100a側と同一の回路構造とした。具体的には、基板100の裏面100bの電極110′に、幅広部20′を有したスロット線路2、DC電極111′,112′をそれぞれ画成するDCカットライン3−1′,3−2′,3−3′,3−4′、ショートスタブ4−1′,4−2,4−3′,4−4′、ショットキーバリアダイオード6′を形成した。この際、図18に示すように、表面100a側の回路構造と裏面100b側の回路構造とを基板100の中心面Lに関して完全に面対称になるように設定した。
【0040】
さらに、この実施例では、図18に示すように、基板100を貫通するスルーホール113でDC電極112,112′同士を電気的に接続すると共に、別体のスルーホール114でDC電極111,111′同士を電気的に接続した。これにより、表面100a側に実装されたショットキーバリアダイオード6と裏面100b側に実装されたショットキーバリアダイオード6′のアノード電極61,61′端子同士がスルーホール113を通じて接続されると共にカソード電極60,60′同士がスルーホール114を通じて電気的に接続された状態になる。
【0041】
かかる構成により、 直流バイアス電圧をDC電極112に入力すると、この直流電圧バイアスは、ショットキーバリアダイオード6のアノード電極61に印加されると共に、スルーホール113を通じて裏面100b側のショットキーバリアダイオード6′のアノード電極61′にも印加される。
また、ショットキーバリアダイオード6で整流された直流電流がDC電極111に出力されると共に、裏面100b側のショットキーバリアダイオード6′で整流された直流電流もスルーホール114を通じてDC電極111に出力される。
したがって、この実施例の検波回路によれば、ショットキーバリアダイオード6,6′への直流バイアス電圧の印加や、ベースバンド信号の出力を基板100の表面100aからのみ行うようにすることができる。なお、出力端121や抵抗5が接続された導体120を裏面100b側のDC電極111′に接続することで、ショットキーバリアダイオード6,6′への直流バイアス電圧の印加や、ベースバンド信号の出力を基板100の裏面100bからのみ行うようにすることができることは勿論である。
その他の構成、作用及び効果は、上記第5実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【実施例7】
【0042】
次に、この発明の第7実施例について説明する。
図19は、この発明の第7実施例に係る変復調モジュールを示すブロック図である。
この実施例の変復調モジュール7は、図19に示すように、変調部8と復調部9とを備えている。
変調部8は、ベースバンド処理回路81とASK変調回路82とグランド電極83とパワーアンプ84とアンテナ85とを有している。
これにより、入力端子80から入力したベースバンド信号Bがベースバンド処理回路81を介して、ASK変調回路82に出力される。すると、ベースバンド信号Bが、局所発振器83からの例えば60GHzの搬送波によって、ASK変調され、RF信号SとしてASK変調回路82から出力される。そして、RF信号Sは、パワーアンプ84で増幅された後、アンテナ85から送信される。
一方、復調部9は、アンテナ90とローノイズアンプ91と検波回路1とベースバンド処理回路92とを有している。
これにより、アンテナ90で受信されたRF信号Sがローノイズアンプ91を介して、検波回路1に出力される。
検波回路1は、上記第1ないし第6実施例のいずれかの検波回路であり、そのスロット線路2の基部2aをローノイズアンプ91の出力側に接続し、その出力端121をベースバンド処理回路92の入力側に接続した状態で、復調部9に組み込まれている。
したがって、ローノイズアンプ91からのRF信号Sは、この検波回路1によって、高感度で検波される。そして、検波回路1から出力されたベースバンド信号Bは、ベースバンド処理回路92で処理された後、出力端子93から出力される。
その他の構成、作用及び効果は、上記第1ないし第6実施例と同様であるので、その記載は省略する。
【0043】
なお、この発明は、上記実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において種々の変形や変更が可能である。
例えば、上記実施例では、ダイオードとして、ショットキーバリアダイオード6を用いたが、ショットキーバリアダイオード6に限らず他の各種ダイオードを用いることができる。
また、上記実施例では、ショットキーバリアダイオード6のカソード電極60をDC電極111に接続した正極検知の検波回路を例示したが、ショットキーバリアダイオード6のアノード電極61をDC電極111に接続した負極検知の検波回路も、この発明の範囲に含まれる。
また、上記第3実施例は、第2実施例のスロット線路2に幅広部20を設けた検波回路を例示したが、第1実施例のようにDC電極112を有しない検波回路のスロット線路2についても、幅広部20を設けることができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1実施例に係る検波回路を示す分解斜視図である。
【図2】検波回路の平面図である。
【図3】図2の矢視A−A断面図である。
【図4】図2の矢視B−B断面図である。
【図5】集中定数素子で示した検波回路の等価回路図である。
【図6】この実施例の検波回路の作用及び効果を説明するために用いる等価回路図である。
【図7】この発明の第2実施例に係る検波回路の平面図である。
【図8】図7の矢視C−C断面図である。
【図9】この発明の第3実施例に係る検波回路の平面図である。
【図10】図9の矢視D−D断面図である。
【図11】この発明の第4実施例に係る検波回路の平面図である。
【図12】インピーダンスの調整方法を示す部分拡大平面図である。
【図13】この発明の第5実施例に係る検波回路の平面図である。
【図14】検波回路を裏面側から見た平面図である。
【図15】図13の矢視E−E断面図である。
【図16】この発明の第6実施例に係る検波回路の平面図である。
【図17】検波回路を裏面側から見た平面図である。
【図18】図16の矢視F−F断面図である。
【図19】この発明の第7実施例に係る変復調モジュールを示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
1…検波回路、 2,2′…スロット線路、 2a…基部、 2b…先端、 3−1〜3−4,3−1′〜3−4′…DCカットライン、 4−1〜4−4,4−1′〜4−4′,21…ショートスタブ、 5…抵抗、 6,6′…ショットキーバリアダイオード、 7…変復調モジュール、 8…変調部、 9…復調部、 20,20′…幅広部、 22…金属泊、 23…ブロック、 60…カソード電極、 61…アノード電極、 62…バンプ、 100…基板、 100a…表面、 100b…裏面、 110,110′…電極、 111,112,111′,112′…DC電極、 113,114…スルーホール、 120…導体、 121…出力端、 B…ベースバンド信号、 S…RF信号。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の表面に形成され、基部が基板縁部で開口すると共に先端が閉じ且つ振幅変調されたRF信号を上記開口側から入力可能なスロット線路と、
このスロット線路を跨ぐように実装されたダイオードと、
このダイオードの一方の端子を挟むように上記スロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、ベースバンド信号を出力可能な電極を画成する第1及び第2のカットラインと、
上記第1及び第2のカットラインにそれぞれ設けられ、上記RF信号がこれら第1及び第2のカットライン内へ侵入することを阻止するためのショートスタブと
を具備することを特徴とする検波回路。
【請求項2】
請求項1に記載の検波回路において、
上記ダイオードを、上記スロット線路の先端から上記RF信号の4分の1波長分だけ上記基部側に寄った位置に配設した、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の検波回路において、
上記ダイオードの他方の端子を挟むように上記スロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、直流バイアス電圧を上記ダイオードに印加可能な電極を画成する第3及び第4のカットラインを設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検波回路において、
上記スロット線路の部位であって上記ダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部を設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検波回路において、
上記スロット線路の部位であって上記ダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス整合調整用のショートスタブを設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の検波回路において、
上記基板の裏面に、少なくとも上記スロット線路と同形のスロット線路を形成して、当該基板をPDTL構造にした、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項7】
請求項6に記載の検波回路において、
上記PDTL構造は、基板の表面と裏面とで同一構造の完全対称型PDTL構造である、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項8】
請求項7に記載の検波回路において、
基板表面に実装されたダイオードと基板裏面に実装されたダイオードの上記一方の端子同士をスルーホールを通じて接続すると共に上記他方の端子同士を別体のスルーホールを通じて電気的に接続した、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の検波回路において、
上記ダイオードは、ショットキーバリアダイオードである、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の検波回路を備えた、
ことを特徴とする変復調モジュール。
【請求項1】
基板の表面に形成され、基部が基板縁部で開口すると共に先端が閉じ且つ振幅変調されたRF信号を上記開口側から入力可能なスロット線路と、
このスロット線路を跨ぐように実装されたダイオードと、
このダイオードの一方の端子を挟むように上記スロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、ベースバンド信号を出力可能な電極を画成する第1及び第2のカットラインと、
上記第1及び第2のカットラインにそれぞれ設けられ、上記RF信号がこれら第1及び第2のカットライン内へ侵入することを阻止するためのショートスタブと
を具備することを特徴とする検波回路。
【請求項2】
請求項1に記載の検波回路において、
上記ダイオードを、上記スロット線路の先端から上記RF信号の4分の1波長分だけ上記基部側に寄った位置に配設した、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の検波回路において、
上記ダイオードの他方の端子を挟むように上記スロット線路からそれぞれ分岐して基板縁部で開口し、直流バイアス電圧を上記ダイオードに印加可能な電極を画成する第3及び第4のカットラインを設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の検波回路において、
上記スロット線路の部位であって上記ダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス変成器として機能する幅広部又は幅狭部を設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検波回路において、
上記スロット線路の部位であって上記ダイオードよりも基部側に寄った部位に、インピーダンス整合調整用のショートスタブを設けた、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の検波回路において、
上記基板の裏面に、少なくとも上記スロット線路と同形のスロット線路を形成して、当該基板をPDTL構造にした、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項7】
請求項6に記載の検波回路において、
上記PDTL構造は、基板の表面と裏面とで同一構造の完全対称型PDTL構造である、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項8】
請求項7に記載の検波回路において、
基板表面に実装されたダイオードと基板裏面に実装されたダイオードの上記一方の端子同士をスルーホールを通じて接続すると共に上記他方の端子同士を別体のスルーホールを通じて電気的に接続した、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれかに記載の検波回路において、
上記ダイオードは、ショットキーバリアダイオードである、
ことを特徴とする検波回路。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の検波回路を備えた、
ことを特徴とする変復調モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−281645(P2007−281645A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−102777(P2006−102777)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
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