説明

検索装置及び検索方法

【課題】ユーザの負担を増加させることなく、かつ、ユーザの意図を反映させ、広がりをもった検索や視点を変えた検索を実現できる検索装置を提供する。
【解決手段】ユーザが指定した第1番目の検索条件及び前記第1番目の検索条件の後に絞込検索のために段階的に指定された第2番目から第n番目の検索条件を、指定された順序とともに記憶する検索条件リスト記憶部121と、第1番目〜第n番目の検索条件をAND条件で結合させた絞込検索式を生成し、検索条件の一部をAND条件から除外した緩和検索式を生成する検索式生成部122と、検索式生成部122にて生成された絞込検索式を用いて絞込検索を行い、検索式生成部122にて生成された緩和検索式を用いて緩和検索を行う検索実行部123とを備える。検索式生成部122は、第n番目の検索条件及び第1番目から第n−2番目の検索条件をAND条件で結合させた検索式を、緩和検索式として生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データベースに記憶されている情報を検索するための検索装置及び検索方法に関し、特に、既存の検索条件に新たな検索条件を付加して絞込検索を行う検索装置及び検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、データベースに記憶された情報を検索する検索装置が知られている。ユーザは、自らの要求に合う情報を得るために、検索条件を指定して検索を行う。検索装置は、ユーザによって指定された検索条件を満たす情報をユーザに提示する。ユーザは、得られた検索結果が多すぎる場合にはAND条件で新たな検索条件を追加し、反対に、得られた検索結果が少なすぎる場合にはAND条件で結合された検索条件を減らして(もとのAND条件をOR条件に変更する場合も含む)、繰り返し検索を行うことで、所望の量の検索結果を得ることができる。
【0003】
検索の結果抽出された多数の情報の中からユーザの要求に合う情報を見つけ出しやすくするために、ユーザの特性や趣向を把握して、ユーザの特性や趣向との一致度が高いものに高い点数を与えて、点数の高い情報から順に、検索結果を表示する検索装置も知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
図20A〜図20Cは、従来の検索装置における検索画面の例である。図20A〜図20Cは、レストランの情報を記憶したデータベースから所望のレストランを検索する際の検索画面の例を示している。検索装置は、まず、ユーザに、図20A又は図20Bのような検索画面を提示する。図20Aの検索画面では、ユーザは、レストランについて、ジャンル、場所、値段、及びキーワードを検索条件として入力できる。図20Aの例では、ジャンルについて「中華」、場所について「新宿」が選択されている。図20Bの検索画面では、まず、何れの属性を指定するかを選択できる。ユーザが、図20Bの検索画面にて、「ジャンルを選ぶ」、「場所を選ぶ」、「値段を選ぶ」のいずれかを選択すると、対応する具体的な属性がユーザに提示される。例えば、「ジャンルを選ぶ」を選択した場合には、それに対応する具体的な属性として、「和食」、「フレンチ」、「中華」、「イタリアン」などのジャンルが提示される。ユーザは、これらの属性のいずれかを検索条件として選択できる。
【0005】
図20Cは、図20Aの画面で検索条件を指定して検索を行った結果を提示する画面である。図20Aでは、ジャンルについて「中華」、場所について「新宿」を指定したので、図20Cの画面では、これらの条件を満たす情報が表示される。図20Cの例では、145件の情報がこの検索条件に一致していたため、これらの情報がデータベースから抽出されて表示画面に表示されている。
【0006】
ここで、ユーザは、145件の検索結果は多すぎるため、一つ一つ見ていくのは煩わしいと感じる。そこで、検索装置は、検索結果の表示画面に、絞込検索を行うボタンを設けて、絞込検索を可能としている。ユーザは、絞込み検索を繰り返して、徐々にAND条件を追加していくことで、所望の量の検索結果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−226156号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザは、検索をするときに、自らの要求に合う情報を得ようとする一方で、自らがどのような属性を有する情報であれば満足するのかがはっきりしていないことがある。例えば、上記のレストランの検索の例では、ユーザは、新宿のレストランを検索したいという思いはあるが、そのような検索条件では該当する情報があまりに多すぎるため、ジャンルについて特に制限するつもりはないが、情報の量を減らすために、ジャンルを「中華」と指定することがある。即ち、ユーザは、検索条件を指定して検索を行い、検索条件に該当する情報の量が多すぎる場合には、さらに絞込検索を行ってAND条件を追加していくが、最終的にAND条件で結合されたすべての検索条件を満たす情報のみが、ユーザの望んでいる情報であるとは限らないことがある。
【0009】
それにもかかわらず、従来の検索装置では、ユーザが検索条件を増加させるにつれて、その検索条件に該当する情報の件数も減少するので、ユーザに提示する情報も減少させていた。従って、ユーザが検索条件として多くの条件を追加しすぎると、それらの条件をすべて満たす情報がなく、検索結果が得られないことや、それらの条件をすべて満たす情報が極端に少なく、十分な量の検索結果が得られないことがあった。
【0010】
このような場合には、ユーザが新たに追加した検索条件は無駄になってしまい、ユーザは、既存の検索条件の一部を削除して他の新たな検索条件を付加するなどにより、新たな条件で再度の検索を行い、検索結果の量を調整しなければならなかった。しかも、上述のように、そのような検索条件は必ずしもユーザが求めている情報を検索するのに適した検索条件とは限らない。
【0011】
このような問題は、レストランの検索に限らず、ショッピングをする際の商品検索、ウェブサイトの検索等において、探し出したい検索対象がユーザにおいて明確に特定されていない場合に、同様に生じる。
【0012】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、ユーザの負担を増加させることなく、かつ、ユーザの意図を反映させたうえで、広がりをもった検索や視点を変えた検索を実現できる検索装置及び検索方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様は、データベースからアイテムの検索を行う検索装置であって、この検索装置は、ユーザが指定した第1番目の検索条件、及び前記第1番目の検索条件を用いた検索の後に、絞込検索のために段階的に指定されたた第2番目から第n番目の検索条件を、指定された順序とともに記憶する検索条件リスト記憶部と、前記第1番目〜第n番目の検索条件をAND条件で結合させた絞込検索式を生成するとともに、前記検索条件の一部をAND条件から除外した緩和検索式を生成する検索式生成部と、前記検索式生成部にて生成された前記絞込検索式を用いて絞込検索を行うとともに、前記検索式生成部にて生成された前記緩和検索式を用いて緩和検索を行う検索実行部と、前記検索実行部による前記絞込検索の結果抽出されたアイテム及び前記緩和検索の結果抽出されたアイテムを、アイテムの重複がないように表示する結果画面を生成する結果画面生成部とを備え、前記検索式生成部は、第n−1番目の検索条件をAND条件から除外して、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−2番目の検索条件をAND条件で結合させた検索式を、前記緩和検索式として生成する。
【0014】
この構成により、絞込検索の過程でユーザが指定した検索条件をすべて満たすアイテムだけではなく、緩和検索によって、ユーザが指定した検索条件を含みつつも、ユーザの指定した検索条件とは完全に一致しないアイテムであって、かつ絞込検索の過程でまだ提示していないアイテムを提示できるので、ユーザに「気づき」の効果を与えることができる。
【0015】
上記の検索装置において、前記検索式生成部は、第n−1番目から第n−k番目の検索条件を前記絞込検索式のAND条件から除外して、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−k−1番目の検索条件をAND条件で結合させた検索式を、前記kを1から順に1ずつ増加させて、前記緩和検索式として生成する。
【0016】
この構成により、段階的に検索式が緩和されていき、ユーザは、自らの指定した検索条件に比較的近い検索結果から、自らの指定した検索条件から比較的遠い検索結果までを段階的に得ることができる。
【0017】
上記の検索装置において、前記検索式生成部は、前記絞込検索式を用いて絞込検索を行った結果抽出されたアイテムの件数が所定の最少件数を下回った場合に、前記緩和検索式を生成する。
【0018】
この構成により、絞込検索における絞込み(検索条件の追加)が足りない場合には、ユーザが指定した検索条件をすべて満たす多数のアイテムが抽出されて、緩和検索式による検索は行われないので、ユーザに絞込みを促す一方、ユーザが絞込条件を厳しくしすぎた場合には、自動的に緩和検索が行われる。よって、ユーザは、絞込検索の結果のみが提示されるか、緩和検索の結果も提示されるかを意識することなく、絞込検索における検索条件の追加をすることができる。
【0019】
上記の検索装置において、前記検索式生成部は、前記緩和検索式による検索の結果抽出されたアイテムの件数が前記最少件数以上になるまで、前記kを1から順に1ずつ増加させて、前記緩和検索式を生成する。
【0020】
この構成により、ユーザの指定した絞込条件が厳しすぎた場合にも、少なくとも最少件数以上の件数のアイテムが表示されるので、絞込検索の操作が無駄であったというユーザの失望感を軽減できる。
【0021】
上記の検索装置において、前記結果画面生成部は、前記絞込検索により抽出された条件該当アイテムと、前記緩和検索のみで抽出され、前記絞込検索では抽出されなかった提案アイテムとを分けて表示する結果画面を生成する。
【0022】
この構成により、ユーザは、自ら指定した検索条件をすべて満たすアイテムと、検索装置がユーザの意図を反映させた上で、検索条件を緩和して得られたアイテムとを区別して認識できる。
【0023】
上記の検索装置において、前記結果画面生成部は、前記条件該当アイテムと前記提案アイテムは、各アイテムが有する属性とともに表示する前記結果画面を生成する。そして、 前記提案アイテムの属性として表示された項目が新たな検索条件として指定されたときに、前記検索条件リスト記憶部は、当該新たな検索条件が指定された提案アイテムに含まれていない検索条件を削除し、前記検索式生成部は、当該新たな検索条件と前記検索条件リスト記憶部に残された検索条件とをAND条件で結合させた広がり検索式を生成し、前記検索実行部は、前記広がり検索式を用いて検索を行う。
【0024】
この構成により、ユーザが自ら検索条件の削除のための操作を行うことなく、一部の検索条件を削除して新たな検索式で検索を行うことができる。
【0025】
本発明の検索装置において、前記結果画面生成部は、前記条件該当アイテムと前記提案アイテムをスクロール表示により表示する結果画面を生成し、前記検索装置は、ユーザが前記スクロール表示のスクロール操作をするためのスクロール操作部と、前記スクロール表示により、前記条件該当アイテムの表示から前記提案アイテムへの表示に移る際に、前記操作部に対して、前記提案アイテムを表示させる前記スクロール操作部のスクロール操作を妨げる斥力を発生させるための斥力発生部とをさらに備えている。
【0026】
この構成により、ユーザが指定した検索条件による制限を山又は壁に見立てて、スクロール操作部を操作することで、この山を乗り越え、又は壁を打ち壊して、自らが指定した条件による制限を越えた検索結果を表示するという感覚をユーザに与えることができる。
【0027】
本発明の別の態様は、データベースからアイテムの検索を行う検索方法であって、この検索方法は、ユーザが指定した第1番目の検索条件、及び前記第1番目の検索条件を用いた検索の後に、絞込検索のために段階的に指定された第2番目から第n番目の検索条件を、指定された順序とともに記憶する検索条件リスト記憶ステップと、前記第1番目〜第n番目の検索条件をAND条件で結合させた絞込検索式を用いて絞込検索を行う絞込検索ステップと、前記絞込検索を行った結果抽出されたアイテムの件数が所定の最少件数を下回った場合に、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−k−1番目の検索条件をAND条件で結合させた緩和検索式を用いて、検索の結果抽出されたアイテムの件数が前記最少件数以上になるまで前記kを1から順に1ずつ増加させて、緩和検索を行う緩和検索ステップと、前記絞込検索により抽出された条件該当アイテムと、前記緩和検索のみで抽出され、前記絞込検索では抽出されなかった提案アイテムとを分けて表示する表示ステップとを含んでいる。
【0028】
この構成により、絞込検索の過程でユーザが指定した検索条件をすべて満たすアイテムが少ない場合には、緩和検索によって、ユーザが指定した検索条件を含みつつも、ユーザの指定した検索条件とは完全に一致しないアイテムであって、かつ絞込検索の過程でまだ提示していないアイテムを提示できるので、ユーザに「気づき」の効果を与えることができる。また、検索式が段階的に緩和されていくので、ユーザは、自らの指定した検索条件に比較的近い検索結果から、自らの指定した検索条件に比較的遠い検索結果までを段階的に得ることができる。また、絞込検索における絞込み(検索条件の追加)が足りない場合には、ユーザが指定した検索条件をすべて満たす多数のアイテムが抽出されて、緩和検索式による検索は行われないので、ユーザに絞込みを促す一方、ユーザが絞込条件を厳しくしすぎた場合には、自動的に緩和検索が行われる。また、ユーザは、絞込検索の結果のみが提示されるか、緩和検索の結果も提示されるかを意識することなく、絞込検索における検索条件の追加をすることができる。さらに、ユーザの指定した絞込条件が厳しすぎた場合にも、少なくとも最少件数以上の件数のアイテムが表示されるので、絞込検索の操作が無駄であったというユーザの失望感を軽減できる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、絞込検索の過程でユーザが指定した検索条件をすべて満たすアイテムだけではなく、緩和検索によって、ユーザが指定した検索条件を含みつつも、ユーザの指定した検索条件とは完全に一致しないアイテムであって、かつ絞込検索の過程でまだ提示していないアイテムを提示できるので、ユーザの負担を増加させることなく、かつ、ユーザの意図を反映させたうえで、広がりをもった検索や視点を変えた検索を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態における検索装置の構成を示すブロック図
【図2A】本発明の第1の実施の形態における検索条件1を指定する場合の絞込検索式を示す図
【図2B】本発明の第1の実施の形態における検索条件1、2を指定する場合の絞込検索式を示す図
【図2C】本発明の第1の実施の形態における検索条件1〜nを指定する場合の絞込検索式を示す図
【図3A】本発明の第1の実施の形態における3つの検索条件を満たす集合を示すベン図
【図3B】本発明の第1の実施の形態における第1番目の検索条件が指定された場合を示すベン図
【図3C】本発明の第1の実施の形態における新たに第2番目の検索条件が追加された場合に提示するアイテムを示すベン図
【図3D】本発明の第1の実施の形態における新たに第3番目の検索条件が追加された場合に提示するアイテムを示すベン図
【図4A】本発明の第1の実施の形態における除外する検索条件が1個のときの緩和検索を示す図
【図4B】本発明の実施の形態における除外する検索条件が2個のときの緩和検索式を示す図
【図4C】本発明の第1の実施の形態における除外する検索条件がk個のときの緩和検索式を示す図
【図5A】本発明の第1の実施の形態における緩和検索を行った場合に得られる検索結果を示す図
【図5B】本発明の第1の実施の形態における結果画面を説明するための図
【図6A】本発明の第1の実施の形態における各検索条件に合致するアイテムの集合と条件該当エリアに配置されるアイテムの集合との関係を示すベン図
【図6B】本発明の第1の実施の形態における各検索条件に合致するアイテムの集合と第1エリアに配置されるアイテムの集合との関係を示すベン図
【図6C】本発明の第1の実施の形態における各検索条件に合致するアイテムの集合と第2エリアに配置されるアイテムの集合との関係を示すベン図
【図6D】本発明の実施の形態における各検索条件に合致するアイテムの集合と第2エリアに配置されるアイテムの部分集合との関係を示すベン図
【図7A】本発明の第1の実施の形態における検索条件1で行った検索の結果画面の表示例を示す図
【図7B】本発明の第1の実施の形態における結果画面において表示されているアイテムの属性から追加の検索条件を選択する様子を示す図
【図7C】本発明の第1の実施の形態における検索条件1、2で行った検索の結果画面の表示例を示す図
【図7D】本発明の第1の実施の形態における結果画面において表示されているアイテムの属性から追加の検索条件を選択する様子を示す図
【図7E】本発明の第1の実施の形態における検索条件3を追加して検索を行った場合の結果画面の表示例を示す図
【図7F】本発明の第1の実施の形態における検索条件3を追加して検索を行った場合の結果画面の表示例を示す図
【図8】本発明の第1の実施の形態における検索装置の動作フロー図
【図9】本発明の第1の実施の形態における緩和検索表示プロセスのフロー図
【図10】本発明の第2の実施の形態における広がり検索の操作を行う様子を示す図
【図11】本発明の第2の実施の形態における広がり検索を行う場合の検索条件リストを示す図
【図12】本発明の第2の実施の形態における広がり検索を行った結果を示す図
【図13】本発明の第3の実施の形態における検索装置の構成を示すブロック図
【図14】本発明の第3の実施の形態におけるジョイスティックの構成を示す外観図
【図15A】本発明の第3の実施の形態における画面枠と検索結果の表示との関係を示す図
【図15B】本発明の第3の実施の形態におけるスクロール方向と斥力の方向との関係を示す図
【図16A】本発明の第3の実施の形態における条件該当エリアからスクロール表示をして条件非該当エリアを画面枠に表示させる場合の検索結果の表示と斥力との関係を示す図
【図16B】本発明の第3の実施の形態における条件非該当エリアからスクロール表示をして条件該当エリアを画面枠に表示させる場合の検索結果の表示と斥力との関係を示す図
【図17】本発明の第3の実施の形態におけるボール型のスクロール操作部の構成を示す外観図
【図18】本発明の第3の実施の形態における検索結果を縦方向に一次元に配置した場合の結果画面を示す図
【図19】本発明の第3の実施の形態における検索結果を二次元的に(平面状に)配置した場合の結果画面を示す図
【図20A】従来の検索装置におけるレストランの情報を記憶したデータベースから所望のレストランを検索する際の検索画面の例を示す図
【図20B】従来の検索装置におけるレストランの情報を記憶したデータベースから所望のレストランを検索する際の検索画面の例を示す図
【図20C】従来の検索装置における検索条件を指定して検索を行った結果を提示する画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態の検索装置及び検索方法について、図面を参照しながら説明する。
【0032】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の検索装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施の形態の検索装置10は、データベース50に接続されている。検索装置10は、データベース50から、そこに記憶されている情報を検索する装置である。以下、データベース50に記憶されている各情報を「アイテム」という。各アイテムは、複数の属性を有しており、この属性に基づいて検索が行われる。例えば、データベース50にレストランの情報が記憶されている場合には、1つのレストランの情報はアイテムであり、そのレストランの場所、ジャンル、値段等はそのレストランが有する属性である。本明細書では、あるアイテムがあるAという属性を有している場合に、そのアイテムはAというグループに属しているともいう。
【0033】
検索装置10は、ユーザが検索条件を指定したり、検索実行の指示をしたり、画面をスクロールしたりするための入力部11と、検索処理を行う検索処理部12と、検索条件を指定するための画面や検索結果を提示する画面(結果画面)を表示する表示部13を有している。
【0034】
入力部11は、図示しないキーボード及びマウスを有する。ユーザは、これらを複合的に利用して、所望の検索処理部12に検索条件等の所望の入力を行う。入力部11は、キーボードやマウスの機能をソフトウェアによって実現するタッチパネルであってもよい。
【0035】
検索処理部12は、検索条件リスト記憶部121と、検索式生成部122と、検索実行部123と、結果画面生成部124とを有する。検索条件リスト記憶部121は、ユーザが入力部11を用いて最初に入力した検索条件、及び後に追加された検索条件を指定された順に記憶する。検索式生成部122は、入力部11から得たユーザの入力、検索実行部123による検索結果、及び検索条件リスト記憶部121に記憶された検索条件の順序に基づいて、検索式を生成して、生成した検索式を検索実行部123に渡す。検索実行部123は、検索式生成部122から与えられた検索式を用いて、データベース50から情報を検索してその結果を結果画面生成部124に出力する。結果画面生成部124は、検索実行部123から得た検索結果に含まれるアイテムを所定の方法で配置して結果画面を生成して、表示部13に出力する。表示部13は、結果画面生成部124から得た結果画面を表示するモニタである。
【0036】
本実施の形態では、ユーザは、検索条件を指定して検索を行い、その検索の結果抽出されたアイテムの件数が多い場合には、新たな検索条件をAND条件で追加して再度検索を行うことができる(以下、このように検索条件をAND条件で追加していく段階的な検索を「絞込検索」という)。検索装置10は、絞込検索の結果抽出されたアイテムの件数が所定の件数Cmin(以下、「最少件数」という)よりも多い場合には、ユーザが指定したすべての検索条件に合致するアイテムを検索結果としてユーザに提示する。ユーザが検索条件を追加していき、その結果抽出されたアイテムの件数が最少件数Cminを下回った場合には、検索装置10は、ユーザが指定したすべての検索条件に合致するアイテムのほか、ユーザが指定した条件と完全には一致しないがユーザが指定した条件に関連するアイテム(以下、「提案アイテム」という)をユーザに提示する。
【0037】
上記の最少件数Cminは、絞込検索の過程で、検索条件に合致するアイテムの件数が何件以下になったら提案アイテムを提示するかという件数であり、提案アイテムを積極的に提示するか、あくまでもユーザが指定した検索条件を重視するかの度合いを示すパラメータである。即ち、最少件数Cminが多いほど、提案アイテムが積極的に提示され、最少件数Cminが少ないほどユーザが指定した検索条件を重視した検索結果が提示される。
【0038】
なお、最少件数Cminをゼロとした場合には、提案アイテムが提示されることはなくなる。一方、最少件数Cminをデータベースに記憶されている全アイテム件数以上の値としたとした場合は、常に提案アイテムが提示されることになる。この最少件数Cminは、検索装置10に固定値として設定されていてもよいし、ユーザが検索装置10において変更できるようにしてもよい。特に、ユーザが検索対象について詳しくない場合や、ユーザにおいて希望する条件が明確に定まっていない場合には、この最少件数Cminを大きくして積極的に提案アイテムを提示させると、ユーザがそれまで気づかなかった視点から検索した結果が得られ、有効である。
【0039】
図2は、絞込検索式を示す図である。図2Aは、第1番目の検索条件である検索条件1を指定して検索を行う場合を示しており、図2Bは、図2Aの検索に対してさらに第2番目の検索条件として検索条件2を追加した場合を示しており、図2Cは、検索条件の追加を繰り返して、第n番目の検索条件nまで追加した場合を示している。絞込検索においては、既存の検索条件に対して新たな検索条件が追加される場合には、その新たな検索条件は、既存の検索条件に対してAND条件で追加されることになる。
【0040】
なお、本発明において、1つの「検索条件」は、1回の検索に対して指定又は追加される条件をいい、1つの条件を指定したものに限らない。1回の検索に対して、ANDやORやNOT等の条件を用いて条件を指定した場合には、そのように指定された条件をまとめて、1つの検索条件と呼ぶ。例えば、レストランの検索において、最初の検索において「値段=2000円以上、かつ、値段=3000円未満」という条件を指定するか、又はその後の絞り込み検索で前記の条件を追加して検索を行う場合、この「値段=2000円以上、かつ、値段=3000円未満」は1つの検索条件である。また、「場所=渋谷、または、場所=新宿」という条件を指定又は追加して検索を行う場合、この「場所=渋谷、または、場所=新宿」は1つの検索条件である。同様に、「場所=渋谷、かつ、ジャンル=中華」という条件を指定又は追加して検索を行う場合、この「場所=渋谷、かつ、ジャンル=中華」は1つの検索条件である。なお、「2000円以上」という条件を指定又は追加して検索を行う場合には、当然ながらこの「2000円以上」は1つの検索条件となる。但し、本実施の形態では、説明が簡明になるように、いずれの検索条件も1つの条件のみを指定する条件であるとして説明する。
【0041】
本実施の形態の検索装置10は、上記のように絞込検索を行い、検索結果におけるアイテムの件数が最少件数Cminを下回った場合に、提案アイテムを提示するが、この提案アイテムの提示にあたっては、以下のユーザ心理を仮定する。
(1)ユーザは、妥協したくない重要な検索条件ほど、先に指定又は追加する。
(2)ユーザは、最後に追加した検索条件を新しい切り口として注目している。
(3)ユーザは、検索の結果抽出されたアイテムがなく、又はその件数が極端に少ない場合に、該当なしという表示や、極端に少ない件数だけの表示がされると、その検索の操作が無駄だったと感じてしまう。
(4)ユーザは、検索の結果抽出されたアイテムがなく、又はその件数が極端に少ない場合に、提案アイテムを提示してほしいと望む一方で、絞込検索の過程で既に提示されていたアイテムと同一のアイテムを再度提示してほしくないと感じる。
【0042】
検索装置10は、ユーザ心理(1)〜(4)に基づいて検索を行って提案アイテムを提示する。換言すれば、本実施の形態の検索装置10によって提案アイテムが提示されることで、ユーザ心理(1)〜(4)を満足させることができる。このために、検索装置10の検索処理部12は、以下に説明する構成を備えている。
【0043】
検索条件リスト記憶部121は、ユーザが入力部11を介して検索条件を入力すると、その検索条件を記憶する。検索条件リスト記憶部121には、最初に指定された第1番目の検索条件(検索条件1)及び検索条件1で検索した後の絞込検索の過程で段階的に追加されていった第2番目〜第n番目の検索条件(検索条件2〜検索条件n)が、その順序の情報とともに記憶される。検索式生成部122は、検索実行部123による検索結果が最少件数Cminを下回るまでは、ユーザから段階的に追加されて検索条件リスト記憶部121に記憶されているすべての検索条件をAND条件で結合させた検索式(以下、「絞込検索式」という)を生成して、検索実行部123に出力する。検索実行部123は、検索式生成部122から与えられた絞込検索式を用いてデータベース50を検索して、検索結果を得る。
【0044】
検索実行部123は、絞込検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数Cminを下回っているか否かを確認し、抽出されたアイテムの件数が最少件数Cmin以上である場合には、抽出されたアイテムを結果画面生成部124に出力する。検索実行部123は、抽出されたアイテムの件数が最少件数Cminを下回っている場合は、抽出されたアイテムを結果画面生成部124に出力するとともに、検索式生成部122に対して、検索条件が緩和された検索式(以下、「緩和検索式」という)を要求する。
【0045】
検索式生成部122は、検索実行部123からの要求に応じて、緩和検索式を生成して、検索実行部123に出力する。検索実行部123は、緩和検索式を受けると、これを用いて再度データベース50を検索し(以下、この検索を「緩和検索」という)、検索結果を得て、これを結果画面生成部124に出力する。そして、検索実行部123は、緩和検索の結果におけるアイテムの件数が最少件数Cminを下回っていないかを確認する。検索実行部123は、緩和検索の結果におけるアイテムの件数が依然として最少件数Cminを下回っている場合には、再度検索式生成部122に対して、検索条件をさらに緩和した緩和検索式を要求する。検索実行部123は、このようにして、検索結果におけるアイテムの件数がCmin以上になるまで、緩和検索を繰り返す。
【0046】
検索式生成部122は、上記のユーザ心理(1)〜(4)を踏まえて、以下のようにして緩和検索式を生成する。図3A〜Dは、緩和検索式生成の考え方を説明するためのベン図である。絞込検索において3つの検索条件が存在し、それぞれの検索条件を満たす3つの集合が存在する場合、通常、数学的には、それらの集合の関係は、図3Aのように表される。図3Aのベン図では、3つの検索条件を3つとも満たすアイテムの集合、それらのいずれか2つしか満たさないアイテムの集合、それらのいずれか1つしか満たさないアイテムの集合が存在する。すべての検索条件を満たすアイテムの集合は、3つの円が重なった部分として表現される。当然ながら、ユーザは、アイテムの検索において、条件式を全て満たすアイテムの集合に興味がある。
【0047】
本実施の形態では、図3Aのベン図の3つの円が絞込検索において段階的に指定されていった経緯を考慮して、提案アイテムを提示する。図3Bは、第1番目の検索条件である検索条件1が指定された場合を示している。この場合は、検索条件1を満たすアイテムの集合Aが得られる。当然、ユーザは、その時点で注目している検索条件1を満たすアイテムの集合Aに興味がある。
【0048】
図3Cは、新たに第2番目の検索条件である検索条件2が追加された場合を示している。この場合は、検索条件1と検索条件2を満たすアイテムの集合Cが得られる。この時点では、ユーザは、検索条件1と検索条件2をいずれも満たすアイテムの集合Cに興味がある。仮に集合Cにユーザが満足するアイテムがなかった場合には、ユーザは、新たに加えた検索条件2に該当せず、検索条件1を満たす集合Bよりも、過去の検索条件1を捨ててでも検索条件2を選択するという集合Dに注目すると考えられる。なぜなら、ユーザは、この段階では、新しく指定した検索条件2に興味を持っており、過去の検索条件1を捨てた結果得られるアイテムの集合Dに価値があるかどうか、比較を行いたいと考える一方、集合Bのアイテムは、注目している新しい検索条件2を満たさないし、ましてや、図3Aの集合Aで既出したものだからである。絞込検索におけるこの時系列的な理由により、集合Bは図3Cの検索を行った場合には、集合Bはユーザに提示するに値しないといえる。従って、この段階では、集合Dを提案アイテムとして提示するのが適当である。
【0049】
図3Dは、さらに検索条件3を追加した場合を示す。ユーザは、まず、3つのすべての検索条件を満たす集合Fのアイテムに最も興味をもつ。ユーザは、さらに、この時点で注目している検索条件である検索条件3を満たし、部分的には、以前の条件も満たしているアイテムが属する集合E、Gにも興味があると考えられる。その次に、注目の条件を満たすが、ユーザにとって相当妥協しなければいけないアイテムが属する集合Hにも興味があると考えられる。集合Hは、ユーザには、自分が固定概念としてもっていた既存の検索条件である検索条件1と検索条件2をすべて妥協してまで、注目の検索条件3を選んだ場合に得られるアイテムの集合だからである。逆に、注目の条件を満たしていないアイテムが属する集合H、I、Jは、すでに、図3Bの集合Aや、図3Cの集合Bで既出しているため、これらの集合はユーザに提示するに値しないといえる。よって、この段階では、集合E、G、Hを提案アイテムとして提示するのが適当である。
【0050】
このように、本実施の形態では、新たに加えられた検索条件を優先させる考え方と、検索の時系列的を考慮してすでに既出したアイテムを再度提案アイテムとして提示しないという考え方を採用して、図3B、図3C、図3Dの太線で囲まれた集合を検索結果としてユーザに提示する。以下、このための緩和検索式を生成する具体的方法を説明する。
【0051】
図4A〜図4Cは、緩和検索式を示す図である。図4Aは、ユーザが指定したすべての検索条件に合致するアイテムの件数が最少件数Cminを下回った場合の緩和検索式を示している。検索式生成部122は、ユーザによって最後に追加された検索条件nの1つ前に追加された検索条件n−1をAND条件から除外して、検索条件n及び検索条件1〜検索条件n−2をAND条件で結合させた緩和検索式を生成する。
【0052】
このように、最後に追加された検索条件nをAND条件から除外するのではなく、その1つ前に追加された検索条件n−1をAND条件から除外するのは、上記のユーザ心理(2)及び(3)を考慮したものである。即ち、ユーザが最後に追加した検索条件nは、ユーザがその時点で新たに注目している検索条件であり、それを無視した検索結果を出せば、ユーザは、自分の選択を否定されたように感じてしまう。また、最後に追加した検索条件nをAND条件から除外した検索式による検索は、絞込検索の過程で既にその前に行っていることから、その検索結果を再度提示すると、ユーザは、検索条件nを追加した操作は無駄であったと感じてしまう。
【0053】
また、除外する検索条件として、例えば最初に指定された検索条件1ではなく、最後に追加された検索条件nの1つ前に追加された検索条件n−1を選択するのは、ユーザ心理(1)を考慮したものである。即ち、検索条件リストの上にある検索条件ほど、即ち、絞込検索において先に追加された検索条件ほど、ユーザが重要であると考えている検索条件である。よって、最後に追加された検索条件nを除いた検索条件のうちで、最も後に追加された検索条件、即ち検索条件n−1から順に、AND条件から除外していく。
【0054】
図4Bは、検索条件n−1をAND条件から除外して検索を行った結果、抽出されたアイテムの件数が依然として最少件数Cminを下回っていた場合に生成される緩和検索式を示している。図4Bでは、検索条件n−1に加えて、それより1つ前に追加された検索条件n−2もAND条件から除外して、検索条件n及び検索条件1〜検索条件n−3をAND条件で結合させた緩和検索式を生成する。
【0055】
以上のように、ユーザが指定したすべての検索条件に合致するアイテムの件数が最少件数Cminを下回った場合には、最後に追加した検索条件nの1つ前の検索条件n−1から順に、検索条件nを除いて最も後に追加された検索条件を1つずつ除外していきながら緩和検索を行い、検索結果におけるアイテムの件数がCmin以上になるまで繰り返しこの緩和検索を行う。
【0056】
緩和検索式を一般化して示したのが図4Cである。図4Cは、除外する検索条件を1つずつ増やしていって、k個の検索条件を除外するに至った場合の緩和検索式を示している。図4Cに示すように、k個の検索条件を除外する場合には、検索条件1〜検索条件nのうちの検索条件n−k〜検索条件n−1を除外して、検索条件n及び検索条件1〜検索条件n−k−1をAND条件で結合させた緩和検索式を生成する。
【0057】
検索実行部123は、上記のようにして、緩和検索の結果得られるアイテムの件数が最少件数Cmin以上になるまで、除外する検索条件を1個ずつ増加させながら(kを1ずつ増加させながら)緩和検索を繰り返す。図5Aは、除外する検索条件を1個ずつ増加させながら緩和検索を行った場合に得られる検索結果を示す図である。最も小さい集合Gk=0は、ユーザが指定したすべての検索条件をAND条件で指定した場合(k=0の場合)に検索結果として抽出されるアイテムの集合、即ちユーザが指定したすべての検索条件を満たすアイテムの集合である。集合Gk=1は、1個の検索条件を除外した場合(k=1の場合)に検索結果として抽出されるアイテムの集合であり、集合Gk=2は、2個の検索条件を除外した場合(k=2の場合)に検索結果として抽出されるアイテムの集合である。検索実行部123は、検索結果のアイテムの件数が最少件数Cmin以上になると(以下、このときの除外した検索条件の数をmとする)、そこで緩和検索を終了する。
【0058】
結果画面生成部124は、検索実行部123から集合Gk=0、Gk=1、……が入力されると、検索実行部123から入力された集合Gk=0、Gk=1、……を用いて結果画面を生成する。図5Aから明らかなように、集合Gk=0は集合Gk=1に包含されており、集合Gk=1は集合Gk=2に包含されており、集合Gk=m−1は集合Gk=mに包含されている。即ち、集合Gk=1の中には、集合Gk=0と重複するアイテムが含まれており、集合Gk=2の中には、集合Gk=1と重複するアイテムが含まれており、集合Gk=mの中には、集合Gk=m−1と重複するアイテムが含まれている。従って、Gk=0、Gk=1、Gk=2、……Gk=mに含まれるアイテムをそのまま順に並べて表示すると、一部のアイテムについては重複して表示されることになる。そこで、結果画面生成部124は、除外する検索条件を増加させながら緩和検索をして得られた複数の検索結果の集合Gk=0、Gk=1、Gk=2、……Gk=mにおいて、重複するアイテムについては、除外する検索条件が最も少ない状況で検索したときの検索結果としてユーザに提示する。
【0059】
図5Bは、結果画面生成部124が生成する結果画面を説明するための図である。結果画面において、検索結果として抽出されたアイテムを表示する領域は、条件該当エリアと条件非該当エリアに分けられる。条件該当エリアには、ユーザが指定したすべての検索条件に合致するアイテムが表示される。条件非該当エリアには、提案アイテムが表示される。
【0060】
ここで、上述したように、仮に条件非該当エリアに、集合Gk=1に含まれるすべてのアイテム、集合Gk=2に含まれるすべてのアイテム、……集合Gk=mに含まれるすべてのアイテムを表示すると、一部のアイテムが重複して表示されることになってしまう。そこで、結果画面生成部124は、集合Gk=0、集合Gk=1、集合Gk=2、……集合Gk=mを用いて次のようにして結果画面を生成する。
【0061】
まず、条件該当エリアには、Gk=0に含まれるすべてのアイテムを配置する。次に、条件非該当エリアにおける、条件該当エリアに最も近い位置に第1エリアを設定して、その第1エリアに、集合Gk=1に含まれるが、集合Gk=0には含まれないアイテムの差集合Dk=1に含まれるアイテムを配置する。同様にして、条件非該当エリア内において、条件該当エリアから遠ざかる方向に第2エリア、第3エリア、……第mエリアを設けて、それぞれのエリアに差集合Dk=2、Dk=3、……Dk=mに含まれるアイテムを配置する。一般的には、第kエリアに配置されるアイテムの差集合Dは、集合Gを用いて次のように表現される。
【数1】

なお、第0エリア(k=0)は、条件該当エリアである。
【0062】
図6A〜Cは、各検索条件に合致するアイテムの集合と結果画面の各エリアに配置されるアイテムの集合との関係を示すベン図である。図6A〜Cは、n=3、m=2の場合を示している。図6Aに示すように、差集合Dk=0は、検索条件1〜3のすべてを満たすアイテムの集合である。図6Bに示すように、差集合Dk=1は、検索条件1及び3を満たすアイテムの集合から、検索条件1〜3のすべてを満たすアイテムの集合を引いた集合である。図6Cに示すように、差集合Dk=2は、検索条件3を満たすアイテムの集合から、検索条件1を満たすアイテムの集合を引いた集合である。
【0063】
なお、第2エリア〜第mエリアにそれぞれ表示される差集合Dk=2〜Dk=mには、緩和検索式においてAND条件から除外された検索条件を満たすアイテムも含まれ場合がある。図6Cを参照すると、差集合Dk=2には、検索条件2を満たすものが含まれる。図6Dは、差集合Dk=2における、検索条件2を満たす部分集合Dk=2(1)及び検索条件2を満たさない部分集合Dk=2(2)を示す図である。
【0064】
結果画面生成部124は、これらの部分集合Dk=2(1)と部分集合Dk=2(2)を分けて、AND条件から除外された検索条件2を満たす部分集合Dk=2(1)を、検索条件2を満たさない部分集合Dk=2(2)よりも第1エリアに近い側に配置する。
【0065】
なお、k=3の場合は、差集合Dk=3には、検索条件n−1、検索条件n−2、又はその両方を満足するアイテムが存在する場合があるので、この場合には、両方を満足する部分集合Dk=3(1)を最も第2エリアに近いところに配置し、次に、検索条件n−1又は検索条件n−2のいずれかを満足する部分集合Dk=3(2)、Dk=3(3)を配置し、第2エリアから最も遠いところに、検索条件n−1も検索条件n−2も満たさない部分集合Dk=3(4)を配置する。
【0066】
一般的には、差集合Dには、検索条件リストにある検索条件n−1〜検索条件n−k+1のいずれかを満足するアイテムが存在する場合があるので、この場合には、検索条件n−1〜検索条件n−k+1のすべてを満足する部分集合Dk(1)を上位のエリアに近いところに配置し、次に、検索条件リストにある検索条件n−1〜検索条件n−k+1のうちのk−2個の検索条件を満足する部分集合Dk(2)、Dk(3)、……Dk(k−1)を配置し、下位のエリアに最も近いところに検索条件n−1〜検索条件n−k+1の何れも満足しない集合を配置する。こうすることで、各エリアにおいて、ユーザが既に指定又は追加した検索条件をより多く含むものをより上位のエリアに近い位置に配置することができる。
【0067】
図7A〜Fは、結果画面の表示例を示す図である。図7A〜Fを参照して、絞込検索における表示例と絞込の操作方法、及び緩和検索を行った場合の提案アイテムの表示例を説明する。ここで、図7A〜Fの説明において、最少件数Cmin=50とする。
【0068】
図7Aは、ユーザによって最初に指定された検索条件1で行った検索の結果の表示例を示している。この例では、ユーザは、検索条件1として属性Aを有する(グループAに属する)という条件を指定した。その結果、図7Aに示すように、属性Aを有するグループAのアイテムがすべて抽出され、条件該当エリアに配置される。表示される各アイテムの具体的内容として、そのアイテムが属するグループ(そのアイテムが有する属性)が表示される。なお、図7Aの例では、検索条件1で検索を行った場合に得られるアイテムの件数は124件であり、最少件数Cmin=50よりも多いため、検索結果画面に条件非該当エリアは含まれていない。
【0069】
図7Aに示すグループAに属するアイテム、即ち、ユーザが指定した検索条件を満たすアイテムが多すぎる場合には、ユーザは、AND条件で検索条件2を追加して、絞込検索を行う。このとき、AND条件で追加する検索条件2は、表示されているアイテムの属性、即ち属しているグループから選択することができる。
【0070】
図7Bは、表示されているアイテムの属性から追加の検索条件を選択する様子を示す図である。図7Bでは、例えば、アイテム4については、グループAの他にも、グループB、F、H、Kが表示されておいる。ユーザは、これらの属性から次に検索条件として追加しようとする属性として、例えばグループBを選択して指定する。具体的には、入力部11がマウスを含む場合には、ポインタをグループBに合わせてクリックし、入力部11がタッチパネルで構成される場合には、グループBをタッチする。なお、ユーザは、表示されているアイテムの中に含まれない属性については、図示しない通常の指定ボックスにて指定できる。
【0071】
図7Cは、属性Bを検索条件として追加した結果得られる結果画面の表示例を示している。この場合は、条件該当エリアに、検索条件1(グループAに属する)及び検索条件2(グループBに属する)を満たすアイテムが表示される。この条件該当エリアに表示されるアイテムの件数は、図7Aにて検索条件1のみで検索をした場合のアイテムの件数よりも少なくなっている。但し、この絞込検索によっても抽出されるアイテムの件数(83件)は依然として最少件数Cmin=50を下回らないため、結果画面に条件非該当エリアは含まれない。
【0072】
図7Dは、図7Bと同様にして、表示されたいずれかのアイテムに含まれる属性を選択することで、検索条件を追加する様子を示す図である。図7Dの例では、アイテム1に含まれる属性Fが検索条件3として追加される。図7E及び図7Fは、検索条件3を追加して検索を行った場合の結果画面の表示例を示している。検索条件3を追加して絞込検索を行うと、検索条件1〜3をすべて満たすアイテムを検索するが、このようなアイテムの件数はわずか7件であり、最少件数Cmin=50を下回ることになる。そこで、緩和検索が行われて、条件非該当エリアに提案アイテムが表示される。
【0073】
提案アイテムを表示するために、検索実行部123にて、まず、k=1として緩和検索が行われ、その結果得られたアイテムが結果画面生成部124に出力される。図7Eは、このときに結果画面生成部124にて生成された結果画面の例である。検索条件3を追加した絞込検索で得られたアイテムが条件該当エリア(第0エリア)に配置される。条件非該当エリアの第1エリアには、k=1として行われた緩和検索で得られたアイテムのうち、条件該当エリア(第0エリア)に表示されたアイテムを除いたアイテムが表示される。
【0074】
検索実行部123は、上記のようにk=1の緩和検索の結果を結果画面生成部124に出力する一方で、その抽出されたアイテムの件数を確認する。この例では、k=1の緩和検索の結果得られたアイテムの件数は、28件であり、依然として最少件数Cmin=50を下回っているため、k=2として緩和検索が行われる。
【0075】
図7Fは、このときに結果画面生成部124にて生成された結果画面の例である。この例では、k=2の緩和検索の結果得られたアイテムの件数は56件であり、最少件数Cmin=50以上となったため、緩和検索はこのk=2で終了する。k=2の緩和検索の結果を表示するために、条件非該当エリアには第2エリアが設定される。第2エリアには、k=2として行われた緩和検索で得られたアイテムのうち、条件該当エリア(第0エリア)又は条件非該当エリアの第1エリアに表示されたアイテムを除いたアイテムが表示される。
【0076】
一般的には、検索実行部123は緩和検索により抽出されるアイテムの件数が最少件数Cmin以上になる(このときk=mとする)まで緩和検索を行い、抽出されたアイテムをその都度結果画面生成部124に出力する。そうすると、第mエリアには、k=mとして行われた緩和検索で得られたアイテムのうち、条件該当エリア(第0エリア)及び条件非該当エリアの第1エリア〜第m−1エリアのいずれかに表示されたアイテムを除いたアイテムが表示されることになる。
【0077】
上記のように構成された検索装置10の動作を説明する。図8は、検索装置10の動作フロー図である。検索装置10は、まず、ユーザから入力部11を介して検索条件を受け取り、この検索条件を検索条件リストに追加する(ステップS71)。検索条件リストに検索条件を加えたら、検索条件リスト記憶部121に記憶されている検索条件の数nをインクリメントする(ステップS72)。なお、nの初期値は0であり、従って、最初にユーザが最初に検索条件を指定したときには、ステップS72にて、n=1となる。次に、n=1であるか否か、即ち、ユーザがまだ検索条件を追加しておらず、最初に指定した検索条件のみであるか否かを判断する(ステップS73)。
【0078】
n=1であるときは(ステップS73にてYES)、検索式生成部122は、そのときの検索条件で検索式を生成し、検索実行部123はその検索式で検索を行い、結果画面生成部124は検索実行部123における検索の結果を表示する画面を生成する(ステップS74)。一方、ステップS73にてn=1でないとき、即ちユーザが既に絞込検索のための検索条件を追加しているときは(ステップS73にてNO)、検索式生成部122は、k=0(初期値)で検索式を生成し(即ち、検索条件リストにあるすべての検索条件をAND条件で結合させた検索式を生成し)、検索実行部123はその検索式で検索を行い、その検索の結果得られたアイテムの集合Gk=0を得る(ステップS75)。
【0079】
次に、検索の結果抽出されたアイテムの件数Cが最低件数Cminを下回るかを判断する(ステップS76)。C<Cminである場合は(ステップS76にてYES)、kの値をインクリメントする(ステップS77)。次に、k<nであるか否か、即ち緩和検索が最大限まで行われていないか否かを判断する(ステップS78)。緩和検索が最大限まで行われていない場合には(ステップS78にてYES)、緩和検索を行ってその結果を表示する緩和検索プロセス(ステップS79)に移行する。
【0080】
緩和検索表示プロセスが終了したら、ステップS76に戻って、緩和検索の結果抽出されたアイテムの件数Cが最低件数Cminを下回るかを判断する。このステップS76からステップS79のループを繰り返し、ステップS76にてC≧Cminとなると(ステップS76にてNO)、kを0にリセットして(ステップS80)、ステップS71に戻って、ユーザからの入力を待つ。また、ステップS78にて、k=nである場合、即ち緩和検索が最大限まで行われている場合も(ステップS78にてNO)、kを0にリセットして(ステップS80)、ステップS71に戻ってユーザからの入力を待つ。
【0081】
図9は、緩和検索表示プロセスのフロー図である。緩和検索表示プロセスでは、まず、検索式生成部122は、検索条件リストにあるn個の検索条件のうち、第1番目から第n−k−1番目まで、及び第n番目の検索条件をAND条件で結合させた緩和検索式を生成する(ステップS81)。次に、検索実行部123はその緩和検索式で検索を行い、アイテムの集合Gを得る(ステップS82)。そして、検索実行部123が、検索結果である集合Gを結果画面生成部124に出力すると、結果画面生成部124は、上記の式(1)を用いて差集合Dを求めて、差集合Dに属するアイテムを表示する結果画面を生成して、表示部13に出力する(ステップS83)。表示部13は、結果画面を表示する(ステップS84)。
【0082】
第1の実施の形態の検索装置10によれば、絞込検索の過程でユーザが指定した検索条件をすべて満たすアイテムが少ない場合には、緩和検索によって、ユーザが指定した検索条件を含みつつも、ユーザの指定した検索条件とは完全に一致しないアイテムであって、かつ絞込検索の過程でまだ提示していないアイテムを提示できるので、ユーザに「気づき」の効果を与えることができる。また、検索式が段階的に緩和されていくので、ユーザは、自らの指定した検索条件に比較的近い検索結果から、自らの指定した検索条件に比較的遠い検索結果までを段階的に得ることができる。
【0083】
また、絞込検索における絞込み(検索条件の追加)が足りない場合には、ユーザが指定した検索条件をすべて満たす多数のアイテムが抽出されて、緩和検索式による検索は行われないので、ユーザに絞込みを促す一方、ユーザが絞込条件を厳しくしすぎた場合には、自動的に緩和検索が行われる。また、ユーザは、絞込検索の結果のみが提示されるか、緩和検索の結果も提示されるかを意識することなく、絞込検索における検索条件の追加をすることができる。さらに、ユーザの指定した絞込条件が厳しすぎた場合にも、少なくとも最少件数以上の件数のアイテムが表示されるので、絞込検索の操作が無駄であったというユーザの失望感を軽減できる。
【0084】
なお、上記の実施の形態において、検索実行部123は、緩和検索により抽出されるアイテムの件数が最少件数Cmin以上となるまでkを1ずつ増加させながら緩和検索を行い、結果画面生成部124は、集合Gk=0、Gk=1、……Gk=mを用いて差集合Dk=1〜Dk=mを求めて、条件該当エリア及び条件非該当エリアを含む検索画面を生成したが、ユーザの操作に応じてkを増加させながら緩和検索を行ってもよい。
【0085】
例えば、検索結果をスクロールして表示する場合において、スクロール操作によって条件該当エリアがすべて表示され、さらにその続きを見るようスクロール操作が行われたときに、検索実行部123がk=1として緩和検索を行い、結果画面生成部124が条件非該当エリアの第1エリアに表示する差集合Dk=1を求めてその第1エリアに表示する表示画面を生成し、スクロール操作によって第1エリアがすべて表示され、さらにその続きを見るようスクロール操作が行われたときに、検索実行部123がk=2として緩和検索を行い、結果画面生成部124が第2エリアに差集合Dk=1を求めてその第2エリアに表示する表示画面を生成するというように、段階的に提案アイテムを提示してもよい。
【0086】
また、検索実行部123によって、先に、緩和検索により抽出されるアイテムの件数が最少件数Cmin以上となるまでkを1ずつ増加させながら緩和検索を行って集合Gk=0、Gk=1、……Gk=mを得ておき、結果画面生成部124がユーザの操作に応じて差集合Dk=1〜Dk=mを段階的に求めて、それらの差集合を上記のようなユーザの操作によって段階的に表示するよう結果画面を生成してもよい。
【0087】
上記の実施の形態では、検索装置10は、絞込検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数を下回った場合に、ユーザが指定した条件と完全には一致しないがユーザが指定した条件に関連するアイテム(提案アイテム)を提示したが、絞込検索の検索結果における件数に関らずに、常に絞込検索を行って提案アイテムを提示してもよい。
【0088】
上記の実施の形態では、検索装置10は、絞り込み検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数を下回った場合に、kを1ずつ増加させて緩和検索を行い、緩和検索の結果抽出されるアイテムの件数が最少件数Cmin以上になったら緩和検索を終了したが、絞り込み検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数を下回って緩和検索を行う場合に、緩和検索により抽出されるアイテムの件数にかかわらず、kを1から所定の固定値(最大値を含む)まで段階的に増加させながら緩和検索を行ってもよい。
【0089】
上記の実施の形態では、結果画面において条件該当エリアと条件非該当エリアとを設けて、ユーザが指定したすべての検索条件を満たすアイテム(条件該当アイテム)と、提案アイテムとを明確に分けて表示したが、条件該当アイテムと提案アイテムとの境を明確にしなくてもよい。
【0090】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の検索装置20において、絞込検索を行い、絞込検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数Cminを下回った場合に緩和検索を行うための構成及び動作は、第1の実施の形態と同様である。本実施の形態の検索装置は、提示された提案アイテムを用いて、広がり検索を行う。
【0091】
図10は、第1の実施の形態と同様にして表示された図7Fの結果画面に対して、本実施の形態の広がり検索の操作を行う様子を示す図である。第1の実施の形態で説明したように、図7Fの検索画面に対して、ユーザは、検索画面に表示された各アイテムが有する属性(各アイテムが属するグループ)をクリック又はタッチすることで、絞込検索における新たな検索条件を追加できる。
【0092】
本実施の形態では、ユーザが特に条件非該当エリアにおいて、あるアイテムに含まれる新たな属性をクリック又はタッチすると、検索式生成部122は、新たな広がり検索のための検索式を生成する。図10の例では、ユーザは、条件非該当エリアに表示されたアイテム29に含まれるグループMを指定している。そうすると、検索条件リスト記憶部121は、その指定された新たなグループMの検索条件と、アイテム29に含まれ、かつその時点の検索条件リストに含まれている(即ち、過去に指定又は追加されている)グループF及びグループBの検索条件を残して、その時点の検索条件リストに挙げられているがアイテム29には含まれていない検索条件であるグループAの検索条件を検索条件リストから削除する。検索式生成部122は、その指定された新たなグループMの検索条件と、残されたグループFの検索条件及びグループBの検索条件とをAND条件で結合させた検索式(以下、「広がり検索式」という)を生成して、検索実行部123に渡す。
【0093】
その後は、検索実行部123が広がり検索式を用いて、第1の実施の形態と同様にして検索を行い、検索の結果抽出されたアイテムの件数が最少件数Cminよりも少ない場合には緩和検索を行い、検索結果を表示する。
【0094】
図11は、広がり検索式を示す図である。図11に示すように、緩和検索の結果、条件該当エリアと条件非該当エリアに分けてアイテムが提示された場合に、条件非該当エリアにて新たな検索条件が指定されると、その指定された検索条件(検索条件4)と、検索条件リスト記憶部121に記憶された検索条件(検索条件1〜3)のうち、新たに指定された検索条件を含むアイテムに含まれる検索条件(検索条件2、3)とが残されて、当該アイテムには含まれない検索条件(検索条件1)は検索条件リストから削除される。検索式生成部14は、上記の検索条件リストに基づいて広がり検索式を生成し、検索実行部123は、その検索式を用いて検索を行う。
【0095】
図12は、図11の広がり検索式で検索を行った結果を示す図である。条件該当エリアには、新たに指定した検索条件(検索条件4)に対応するグループ(グループM)と、その新たに追加した検索条件を含んでいたアイテム(アイテム29)に含まれており、かつ検索条件リストに挙げられていた検索条件(検索条件2、3)に対応するグループ(グループB、F)とに属するアイテムが表示される。そして、広がり検索式で検索した結果抽出されたアイテムの件数が最少件数を下回っているため、条件非該当エリアには、差集合Dk=1及びDk=2に含まれるアイテムも結果画面に表示されている。
【0096】
上記のように、本実施の形態によれば、ユーザは、自ら手動で検索条件リストを修正して、一部の検索条件を削除したり新たな検索条件を追加したりといった作業をしなくても一部の検索条件を検索条件リストから削除して新たな視点での検索を行うことができる。
【0097】
なお、図10の例で、グループMは、アイテム7及びアイテム9でも表示されており、ユーザは、グループMに注目する場合には、これらのアイテムに含まれるグループMを新たな検索条件として指定することもできる。但し、アイテム7のグループMを指定した場合には、アイテム7は条件該当エリアに表示されているので、通常の絞込検索が行われて、その結果を示す結果画面では、条件該当エリアにグループA、B、F、Mのいずれにも含まれるアイテムが表示されることになる。
【0098】
一方、アイテム9のグループMを指定した場合には、アイテム9は条件非該当エリアに表示されているので、アイテム9に含まれていない検索条件は、検索条件リストから削除される。図10の例では、アイテム9にはグループBが含まれていないので、検索条件2が検索条件リストから削除され、広がり検索では、検索条件1、3、4がAND条件で結合した広がり検索式が生成される。
【0099】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図13は、第3の実施の形態の検索装置の構成を示すブロック図である。第3の実施の形態の検索装置20は、第1の実施の形態の検索装置10の構成に加えて、斥力発生部14を備えている。また、入力部11は、キーボード及びマウスのほかに、ジョイスティックを備えている。ジョイスティックには、その傾倒操作に対して斥力を与える斥力付与機構が設けられており、斥力発生部14は、ジョイスティックの斥力付与機構に対して斥力を付与するための制御信号を発生させて、斥力付与機構を制御する。ジョイスティックは、結果画面をスクロール表示するのに用いられるスクロール操作部として機能する。
【0100】
図14は、ジョイスティックの構成を示す外観図である。図5B等で説明したように、結果画面において、抽出されたアイテムが横方向に一次元に配置されて表示される場合には、ユーザはジョイスティック111を左右に傾倒することで、画面をスクロールさせることができる。
【0101】
図15Aは、画面枠と検索結果の表示との関係を示す図である。図15Aの例では、ユーザの指定した検索条件により近い検索結果がより左に配置されている。ユーザがジョイスティック111を左に傾倒することで、検索結果が左に移動し(相対的に画面枠FRが右に移動し)、ジョイスティック111を右に傾倒することで検索結果が右に移動する(相対的に画面枠FRが左に移動する)。画面枠FRの中央付近には、基準線RLが設定されている。
【0102】
図15Bは、スクロール方向と斥力の方向との関係を示す図である。ユーザがジョイスティック111を左に傾倒させて検索結果を左に移動させ、条件該当エリアと条件非該当エリアとの境界が、画面枠FRの基準線RLに達すると、斥力発生部14は、ジョイスティック111に対して、条件非該当エリアが基準線RLを超えて左に移動するためのジョイスティック111の操作を妨げる方向、即ち、画面枠FRの基準線RLが条件該当エリアから条件非該当エリアに進入するためのジョイスティック111の操作を妨げる方向(図14Bの例の場合は右方向)の斥力を発生させる制御信号を送る。ジョイスティック111の斥力付与機構は、この制御信号を受けて、斥力を付与する。ユーザがこの斥力に抗してジョイスティック111をさらに左に傾倒すると、この斥力を乗り越えて、画面枠FRの基準線RLは、条件該当エリアから条件非該当エリアに進入し、条件非該当エリアは、基準線RLより左に移動する。
【0103】
上記のように、条件非該当エリアには、第1エリア、第2エリア、……第mエリアが設けられている。これらのエリアの境界でも同様にして斥力を発生する。即ち、画面枠FRの基準線RLが第1エリアから第2エリアに進入する際には、斥力発生部14は、ジョイスティック11に対して、その進入のためのジョイスティック111の操作を妨げる方向に斥力を発生させる。
【0104】
図16Aは、条件該当エリアからスクロール表示をして条件非該当エリアを画面枠FRに表示させる場合の検索結果の表示と斥力との関係を示す図であり、図16Bは、条件非該当エリアからスクロール表示をして条件該当エリアを画面枠FRに表示させる場合の検索結果の表示と斥力との関係を示す図である。図16A及び図16Bにおいて、横軸は、画面枠FRの基準線RLの位置を示し、縦軸は斥力Fを示す。
【0105】
図16Aに示すように、条件該当エリアから条件非該当エリアに移行する場合には、基準線RLが条件該当エリアから条件非該当エリアに進入する際に大きな斥力を発生させる。具体的には、境界線が条件非該当エリアに近づくにつれて徐々に斥力を大きくしていき、基準線RLが条件非該当エリアに進入したら斥力をゼロにする。条件非該当エリア内で各エリアを跨ぐ際(即ち、kの値が増加する際)にも同様に斥力を発生させるが、この場合は条件該当エリアから条件非該当エリアに移行する場合の斥力よりも小さい斥力を発生させる。
【0106】
このように、条件該当エリアから条件非該当エリアに移行する場合に、斥力を発生させることで、ユーザが指定した検索条件による制限を山又は壁に見立てて、ジョイスティック111に力を加えることで、この山を乗り越え、又は壁を打ち壊して、自らが指定した条件による制限を越えた検索結果を表示するという感覚をユーザに与えることができる。これにより、ユーザは、直感的な解釈で検索結果の閲覧の操作をできる。
【0107】
一方、図16Bに示すように、基準線RLが条件非該当エリアから条件該当エリアに進入する際、及び条件非該当エリア内にて条件の厳しい方に移行する際には、斥力は発生させない。これは、上記のように、ジョイスティック111に対する斥力は、自らが指定した検索条件の制限の山を乗り越え、壁を打ち壊していくという感覚をユーザに与える作用を有するものであるところ、より自らの指定した条件に合致する方向にスクロールする場合には、ユーザにそのような感覚を与える必要がないからである。
【0108】
また、スクロール操作部としては、ジョイスティックに限らず、例えば、図17に示すようなボール型のものであってもよい。ボール型のスクロール操作部の場合には、ユーザは、ボールを回転させることで画面をスクロールする。斥力発生部14は、このボールの回転動作に対して斥力を発生させる。
【0109】
さらに、スクロール操作部は、ジョイスティックやボールのようにユーザが物理的に力を加えるものに限らず、斥力も物理的な斥力に限らない。例えば、入力部11がタッチパネルである場合において、検索結果が表示された部分を指でスライドさせることでスクロールを実現するときには、タッチパネルに対する指のスライド量に対して、検索結果のスクロール量を減らすことで、ユーザに擬似的な斥力を感じさせてもよい。マウスで画面上の矢印を指示することで画面をスクロールさせる場合にも同様に、条件該当エリアと条件非該当エリアの境界でスクロール速度を遅くすることにより、ユーザに擬似的な斥力を感じさせてもよい。本発明の斥力には、物理的な斥力のほか、これらのような擬似的な斥力も含まれる。
【0110】
上記の実施の形態では、結果画面において検索結果を横方向に一次元に(直線状に)配置したが、本発明の結果画面における検索結果の配置方法はこれに限られない。第3の実施の形態は、検索結果が縦方向に一次元に並べられてスクロール表示をする際にも同様に適用でき、さらに、検索結果が二次元的に配置されてスクロール表示を行う場合にも同様に適用できる。図18は、検索結果を縦方向に一次元に配置した場合の結果画面を示す図である。また、図19は、検索結果を二次元的に(平面状に)配置した場合の結果画面を示す図である。このような結果画面の場合にも、上記と同様に、画面枠FRの基準線が条件該当エリアから条件非該当エリアに移行する際に、斥力を発生することができる。
【0111】
上記の実施の形態の検索装置は、レストランの検索のほか、音楽、映画、本、目的地、ウェブサイト等、どのようなアイテムの検索にも応用できる。アイテムの属性も、値段、キーワード(例えば、レストランについて「夜景がきれい」など)、タグ、ジャンル、距離、人気度等、アイテムの内容に応じて任意に設定できる。
【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明は、ユーザの負担を増加させることなく、かつ、ユーザの意図を反映させたうえで、広がりをもった検索や視点を変えた検索を実現できるという優れた効果を有し、既存の検索条件に新たな検索条件を付加して絞込検索を行う検索装置等に適用することができる。
【符号の説明】
【0113】
10、20 検索装置
11 入力部
12 検索処理部
121 検索条件リスト記憶部
122 検索式生成部
123 検索実行部
124 検索画面生成部
13 表示部
14 斥力発生部
50 データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データベースからアイテムの検索を行う検索装置であって、
ユーザが指定した第1番目の検索条件、及び前記第1番目の検索条件を用いた検索の後に、絞込検索のために段階的に指定された第2番目から第n番目の検索条件を、指定された順序とともに記憶する検索条件リスト記憶部と、
前記第1番目〜第n番目の検索条件をAND条件で結合させた絞込検索式を生成するとともに、前記検索条件の一部をAND条件から除外した緩和検索式を生成する検索式生成部と、
前記検索式生成部にて生成された前記絞込検索式を用いて絞込検索を行うとともに、前記検索式生成部にて生成された前記緩和検索式を用いて緩和検索を行う検索実行部と、
前記検索実行部による前記絞込検索の結果抽出されたアイテム及び前記緩和検索の結果抽出されたアイテムを、アイテムの重複がないように表示する結果画面を生成する結果画面生成部とを備え、
前記検索式生成部は、第n−1番目の検索条件をAND条件から除外して、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−2番目の検索条件をAND条件で結合させた検索式を、前記緩和検索式として生成することを特徴とする検索装置。
【請求項2】
前記検索式生成部は、第n−1番目から第n−k番目の検索条件を前記絞込検索式のAND条件から除外して、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−k−1番目の検索条件をAND条件で結合させた検索式を、前記kを1から順に1ずつ増加させて、前記緩和検索式として生成することを特徴とする請求項1に記載の検索装置。
【請求項3】
前記検索式生成部は、前記絞込検索式を用いて絞込検索を行った結果抽出されたアイテムの件数が所定の最少件数を下回った場合に、前記緩和検索式を生成することを特徴とする請求項1又は2に記載の検索装置。
【請求項4】
前記検索式生成部は、前記緩和検索式による検索の結果抽出されたアイテムの件数が前記最少件数以上になるまで、前記kを1から順に1ずつ増加させて、前記緩和検索式を生成することを特徴とする請求項3に記載の検索装置。
【請求項5】
前記結果画面生成部は、前記絞込検索により抽出された条件該当アイテムと、前記緩和検索のみで抽出され、前記絞込検索では抽出されなかった提案アイテムとを分けて表示する結果画面を生成することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の検索装置。
【請求項6】
前記結果画面生成部は、前記条件該当アイテムと前記提案アイテムを、各アイテムが有する属性とともに表示する前記結果画面を生成し、
前記提案アイテムの属性として表示された項目が新たな検索条件として指定されたときに、
前記検索条件リスト記憶部は、当該新たな検索条件が指定された提案アイテムに含まれていない検索条件を削除し、
前記検索式生成部は、当該新たな検索条件と前記検索条件リスト記憶部に残された検索条件とをAND条件で結合させた広がり検索式を生成し、
前記検索実行部は、前記広がり検索式を用いて検索を行う
ことを特徴とする請求項5に記載の検索装置。
【請求項7】
前記結果画面生成部は、前記条件該当アイテムと前記提案アイテムをスクロール表示により表示する結果画面を生成し、
前記検索装置は、
ユーザが前記スクロール表示のスクロール操作をするためのスクロール操作部と、
前記スクロール表示により、前記条件該当アイテムの表示から前記提案アイテムへの表示に移る際に、前記操作部に対して、前記提案アイテムを表示させる前記スクロール操作部のスクロール操作を妨げる斥力を発生させるための斥力発生部と
をさらに備えることを特徴とする請求項5又は6に記載の検索装置。
【請求項8】
データベースからアイテムの検索を行う検索方法であって、
ユーザが指定した第1番目の検索条件、及び前記第1番目の検索条件を用いた検索の後に、絞込検索のために段階的に指定された第2番目から第n番目の検索条件を、指定された順序とともに記憶する検索条件リスト記憶ステップと、
前記第1番目〜第n番目の検索条件をAND条件で結合させた絞込検索式を用いて絞込検索を行う絞込検索ステップと、
前記絞込検索を行った結果抽出されたアイテムの件数が所定の最少件数を下回った場合に、最後に追加された第n番目の検索条件及び第1番目から第n−k−1番目の検索条件をAND条件で結合させた緩和検索式を用いて、検索の結果抽出されたアイテムの件数が前記最少件数以上になるまで前記kを1から順に1ずつ増加させて、緩和検索を行う緩和検索ステップと、
前記絞込検索により抽出された条件該当アイテムと、前記緩和検索のみで抽出され、前記絞込検索では抽出されなかった提案アイテムとを分けて表示する表示ステップと、
を含むことを特徴とする検索方法。


【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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