説明

検索装置,プログラム及び検索方法

【課題】ユーザが操作部を操作することなく,かつ,表示部の表示内容を見なくても,簡単に検索操作を実行可能な検索装置を提供すること。
【解決手段】名称記憶部42と;名称記憶部42に記憶されている名称データを第1の母音名称データに変換する母音変換部402と;ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化をユーザ入力信号として検出する検出部12と;ユーザ入力信号を分析して入力パターンを特定する分析部14と;特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する母音生成部404と;第1の母音名称データと第2の母音名称データとを比較して,第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する抽出部406と;抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して候補リストを作成するリスト作成部408と;を備える検索装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,名称データを検索する検索装置,プログラム及び検索方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,音楽コンテンツデータなどのデジタルコンテンツデータ(以下,単に「コンテンツ」という。)を再生可能な携帯型の再生装置(ポータブルプレーヤ)が普及している。この携帯型の再生装置では,その本体やリモートコントローラに,ボタンやタッチパネル等の操作部と,液晶ディスプレイ等の表示部を備えている。
【0003】
かかる携帯型の再生装置は,小型で持ち運びが便利であるにもかかわらず,近年の記憶媒体の記憶容量増大に伴い,多数のコンテンツを記憶可能となっている。このため,多数のコンテンツの中から,ユーザが再生を所望するコンテンツを検索する必要性が生じる。再生を所望するコンテンツを検索する場合には,ユーザは,上記表示部に表示されたコンテンツのリストを閲覧しながら,上記操作部を操作して,目的のコンテンツを検索することが一般であった。
【0004】
【特許文献1】特開2001−67375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,上記従来の再生装置では,上記表示部を閲覧しながら,上記操作部を操作しなければ,コンテンツを検索することができないので,検索操作が煩雑であるという問題があった。特に,例えば満員電車のようにユーザの身動きが制限される環境下では,ユーザの鞄や洋服のポケット等に入っている再生装置本体やリモートコントローラを,手元に取り出して,表示部を見ながら検索操作を行うのは,非常に困難であった。
【0006】
検索操作を簡単にする手法としては,特許文献1に,携帯電話に記憶されている複数の名称を母音変換して検索することで,検索操作の手間を低減する検索装置が記載されている。
【0007】
しかし,かかる検索装置であっても,ユーザは,その表示部を見ながら,一般的な操作ボタン等の操作部を操作して,検索対象の名称を入力しなければ,検索操作を行うことができなかった。従って,かかる技術を再生装置に適用したところで,結局は,表示部と操作部がなくては目的のコンテンツを検索することが困難であった。
【0008】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,ユーザが操作部を操作することなく,かつ,表示部の表示内容を見なくても,簡単に検索操作を実行することが可能な,新規かつ改良された検索装置,プログラム,検索方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,複数の名称データを記憶する名称記憶部と;名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する母音変換部と;ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する検出部と;ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する分析部と;分析部によって特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する母音生成部と;複数の第1の母音名称データと第2の母音名称データとを比較して,第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する抽出部と;抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成するリスト作成部と;を備えることを特徴とする,検索装置が提供される。
【0010】
また,上記名称データは,コンテンツデータに関連する名称を表すようにしてもよい。
【0011】
また,上記名称データは,音楽コンテンツデータの曲名,音楽コンテンツデータのアルバム名,音楽コンテンツデータのアーティスト名の少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0012】
また,上記検索装置は,記憶媒体に記憶されているコンテンツデータを再生可能な再生部と;候補リストに従って,再生部によって再生されるコンテンツデータを制御する再生制御部と;をさらに備えるようにしてもよい。
【0013】
また,上記再生制御部は,候補リストに従って,再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替えるようにしてもよい。
【0014】
また,上記候補リストは,音楽コンテンツデータの曲名,音楽コンテンツデータのアルバム名,または音楽コンテンツデータのアーティスト名のリストであってもよい。さらに,上記再生制御部は,当該候補リストに従って,音楽コンテンツデータの曲単位,音楽コンテンツデータのアルバム単位,または音楽コンテンツデータのアーティスト単位で,再生部によって再生される音楽コンテンツデータを切り替えるようにしてもよい。
【0015】
また,上記候補リストは,音楽コンテンツデータのアーティスト名のリストであり,上記再生制御部は,当該候補リストに従って,音楽コンテンツデータのアーティスト単位で,再生部によって再生される音楽コンテンツデータを切り替えるようにしてもよい。
【0016】
また,上記検索装置は,候補リストの作成時からの経過時間,または,候補リストに従ってコンテンツデータが再生開始された時からの経過時間を計測するタイマーをさらに備えてもよい。さらに,上記再生制御部は,タイマーの経過時間が所定時間以内である場合には,候補リストに従って,再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替え,タイマーの経過時間が所定時間を超えた場合には,予め選択された1又2以上のコンテンツデータを表すプレイリストに従って,再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替えるようにしてもよい。
【0017】
また,上記プレイリストは,ユーザ入力に応じて選択された1又2以上のコンテンツデータを表すプレイリストであるようにしてもよい。
【0018】
また,上記分析部は,外的衝撃の大きさ,時間間隔,回数若しくは位置の少なくともいずれか,或いは,筋電位の変化の大きさ,時間間隔,回数若しくは筋電位の変化が生じたユーザの部位の少なくともいずれかに基づいて,ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定するようにしてもよい。
【0019】
また,各母音に対してそれぞれ異なる数字が関連づけられており,上記母音生成部は,分析部によって特定された入力パターンに対応する数字列を,母音列に変換することによって,第2の母音名称データを生成するようにしてもよい。
【0020】
また,上記母音生成部は,外的衝撃の回数又は筋電位の変化の回数を表す入力パターンを数字列に変換し,さらに当該変換された数字列を母音列に変換するようにしてもよい。
【0021】
また,上記母音生成部によって生成された第2の母音名称データを,ユーザに通知する通知部をさらに備えるようにしてもよい。
【0022】
また,上記リスト作成部は,抽出部によって比較された第1の母音名称データと第2の母音名称データの類似度に応じた順序で,抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応する名称データを配列して,候補リストを作成するようにしてもよい。
【0023】
また,上記名称データは,音楽コンテンツデータのアーティスト名であり,上記リスト作成部は,抽出部によって比較された第1の母音名称データと第2の母音名称データの類似度に応じた順序で,抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応するアーティスト名を配列して,候補リストを作成するようにしてもよい。
【0024】
また,上記検出部は,検索装置に対する外的衝撃に伴う振動を検出する加速度センサであるようにしてもよい。
【0025】
また,上記検出部は,検索装置に対する外的衝撃に伴う衝撃音を検出するマイクロフォンであるようにしてもよい。
【0026】
また,上記検出部は,ユーザの所定部位に装着され,ユーザ動作に伴う筋電位を検出する筋電位センサであるようにしてもよい。
【0027】
また,上記検出部は,検索装置内に複数設けられており,検索装置に対する外的衝撃の位置及び大きさの双方を検出可能であるようにしてもよい。
【0028】
また,上記検索装置の筐体には,ユーザによる外的衝撃を受け付ける1又は2以上の衝撃受付部が設けられており,上記検出部は,衝撃受付部の位置に応じて配置されているようにしてもよい。
【0029】
また,上記検出部は,検索装置に対する外的衝撃に伴う振動を検出する加速度センサであり,この加速度センサは,ユーザによる衝撃受付部に対する外的衝撃の方向に応じた方向の振動を検出するように配置されているようにしてもよい。
【0030】
また,上記検出部及び衝撃受付部は,それぞれ複数設けられており,複数の検出部を結ぶ直線と,複数の衝撃受付部を結ぶ直線とが,検索装置に対する外的衝撃の方向に対して略垂直な平面上で直交しないように,複数の検出部と複数の衝撃受付部との相対位置が調整されているようにしてもよい。
【0031】
また,上記検索装置は,予め設定された操作パターンを記憶するパターン記憶部と:分析部によって特定された入力パターンと,パターン記憶部に記憶されている操作パターンとを比較して,該入力パターンに一致する操作パターンに対応するコマンドを生成するコマンド生成部と;をさらに備えてもよい。さらに,コマンド生成部によって生成された検索コマンドに応じて,検索処理を実行するようにしてもよい。
【0032】
また,上記検索装置は,携帯機器であるようにしてもよい。
【0033】
また,上記コンテンツデータは,オーディオコンテンツデータ又はビデオコンテンツデータの少なくともいずれかを含むようにしてもよい。
【0034】
また,上記コンテンツデータは圧縮符号化されているようにしてもよい。
【0035】
また,上記再生部は,圧縮符号化されたコンテンツデータを復号化するデコーダを備えるようにしてもよい。
【0036】
また,上記記憶媒体は,再生装置に内蔵されているようにしてもよい。
【0037】
また,上記記億媒体は,ハードディスクであるようにしてもよい。
【0038】
また,上記記億媒体は,フラッシュメモリであるようにしてもよい。
【0039】
また,上記記億媒体は,再生装置が読み取り可能なリムーバブル記憶媒体であるようにしてもよい。
【0040】
また,上記通知部は,母音生成部によって生成された第2の母音名称データを,画面表示及び/又は音声出力により,ユーザに通知するようにしてもよい。
【0041】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する処理と;ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する処理と;ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する処理と;特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する処理と;複数の第1の母音名称データと第2の母音名称データとを比較して,第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する処理と;抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成する処理と;を,コンピュータに実行させることを特徴とする,プログラムが提供される。
【0042】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,このようなプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【0043】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出するステップと;ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定するステップと;特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成するステップと;名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換するステップと;複数の第1の母音名称データと第2の母音名称データとを比較して,第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出するステップと;抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成するステップと;を含むことを特徴とする,検索方法が提供される。
【発明の効果】
【0044】
以上説明したように本発明によれば,ユーザは,操作部を操作することなく,かつ,表示部の表示内容を見ることなく,簡単に検索操作を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0046】
(第1の実施形態)
以下に,本発明の検索装置を,コンテンツを再生する再生装置に適用した例について説明する。本発明の第1の実施形態にかかる再生装置は,ユーザの入力操作を検出するための特別なセンサが搭載された携帯型の再生装置として構成されている。このセンサは,ユーザによって再生装置の筐体に加えられた外的衝撃に伴う振動や衝撃音を検出する加速度センサ,マイクロフォンや,ユーザ動作に伴う筋電位の変化を検出する筋電位センサなどである。かかる再生装置は,コンテンツの再生中に上記センサによって検出した外的衝撃または筋電位の変化を,再生装置の処理動作を指示するユーザ入力信号として取り扱う。そして,再生装置は,このユーザ入力信号を分析して得られた入力パターンと,予め設定された操作パターンとを比較し,この比較結果に基づいてコマンドを生成して,ユーザの指示した処理動作を実行することを特徴としている。以下に,かかる再生装置の構成及び動作について詳述する。
【0047】
なお,以下では,コンテンツデータの一例として,音声(Audio)コンテンツ,特に,配信サーバから配信された音楽コンテンツ,音楽CD(Compact Disc)等のリムーバブル記憶媒体に記憶されているコンテンツ,音楽CDからリッピングされてHDDや半導体メモリ,MD(Mini Disc)等の記憶媒体に記憶された音楽コンテンツの例を挙げて説明するが,本発明のコンテンツは,かかる例に限定されるものではない。また,以下では,再生装置の一例として,これらの音楽コンテンツを再生する携帯型オーディオプレーヤの例を挙げて説明するが,本発明は,かかる例に限定されるものではない。
【0048】
<1.再生装置の構成>
まず,図1に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10のハードウェア構成について説明する。なお,図1は,本実施形態にかかる再生装置10の一例である携帯型オーディオプレーヤのハードウェア構成を示すブロック図である。
【0049】
図1に示すように,再生装置10は,例えば,制御装置101と,ROM102と,バッファ103と,バス104と,入力装置106と,表示装置107と,ストレージ装置108と,CODEC(Compression/Decompression)109と,音声出力装置110と,インタフェース111と,上記特別なセンサ112とを備える。
【0050】
制御装置101は,CPU又はマイクロコントローラなどで構成され,再生装置10内の各部を制御する。ROM102は,例えば,制御装置101の動作を制御するプログラムや,コンテンツ,コンテンツの属性情報,リスト情報等の各種のデータを記憶する。また,バッファ103は,例えばSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成され,制御装置101の処理に関する各種データを一時記憶する。
【0051】
バス104は,制御装置101,ROM102,バッファ103,入力装置106,表示装置107,ストレージ装置108,CODEC109,音声出力装置110,インタフェース111およびセンサ112などを接続するデータ線である。
【0052】
入力装置106は,再生装置10に一般的に設けられる操作部に該当し,ユーザの入力操作を受け付ける。この入力装置106は,例えば,操作ボタン,タッチパネル,ボタンキー,レバー,ダイヤル等の操作具と,当該操作具に対するユーザ操作に応じてユーザ入力信号を生成して制御装置101に出力する入力制御回路などから構成されている。この入力装置106には,再生装置10本体に設置される操作部だけでなく,再生装置10本体に接続されるリモートコントローラ(図示せず。)なども含まれる。再生装置10のユーザは,この入力装置106を操作することにより,例えば,再生装置10の処理動作を指示したり,再生装置10に対して各種のデータを入力したり,或いは,コンテンツのプレイリストを作成したりすることができる。なお,この入力装置106の入力機能の一部を,後述する検出部12等によって代替できるが,詳細は後述する。
【0053】
表示装置107は,例えば液晶表示(LCD)パネルおよびLCD制御回路などのディスプレイ装置で構成されている。この表示装置107には,装置本体に設置されるメイン表示パネルや,リモートコントローラに設けられるサブ表示パネルなどが含まれる。この表示装置107は,制御装置101の制御に応じて,例えば,コンテンツのプレイリストや,検索結果を表す候補リスト,再生中のコンテンツの属性情報(曲名,アルバム名,アーティスト名,再生時間など),再生装置10の動作内容(再生中,検索モード中,巻き戻し中,早送り中)などの各種情報を,テキストまたはイメージで表示する。なお,この表示装置107は必ずしも設けられなくてもよい。
【0054】
ストレージ装置108は,コンテンツ等の各種のデータを記憶媒体に記憶するデータ格納用の装置であり,例えば,ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disc Drive)である。このストレージ装置108は,例えば,ハードディスクや,半導体メモリ(フラッシュメモリ等)などの記憶媒体を備えている。このようなストレージ装置108は,複数のコンテンツや,制御装置101のプログラム,処理データ等の各種のデータを格納する。このストレージ装置108は,後述するコンテンツ記憶部,及び名称記憶部の一例に相当する。
【0055】
なお,再生装置10は,例えば,CD,MD,DVD等の光ディスク,磁気ディスクまたは半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体に対して,コンテンツ等の各種データを読み書きするためのドライブ(図示せず。)を備えてもよい。これにより,再生装置10は,該ドライブにセットされたリムーバブル記憶媒体に記憶されているコンテンツを読み出して再生可能となる。即ち,上記コンテンツを記憶する記憶媒体は,このリムーバブル記憶媒体であってもよい。
【0056】
CODEC109は,コンテンツを圧縮(符号化)・解凍(復号化)する電子回路であり,例えば,後述するデコーダ及びエンコーダなどで構成される。なお,このCODEC109は,ハードウェアではなくソフトウェアで構成することもできる。
【0057】
音声出力装置110は,再生されたコンテンツを音声出力(例えば,音楽コンテンツを音声出力)する装置である。この音声出力装置110は,例えば,再生処理によって復号化及びD/A変換されたアナログ音声コンテンツデータを増幅して,イヤフォン又はヘッドフォン等(図示せず。)に出力し,このイヤフォン等に内蔵されたスピーカ(図示せず。)から音声出力する。これによって,ユーザは,再生装置10によって再生された音楽コンテンツを,イヤフォン等から聴取できる。
【0058】
インタフェース111は,情報処理装置(例えば,パーソナルコンピュータ)などといった外部装置に対して,再生装置10を通信接続するための通信部である。このインタフェース111は,例えば,USB(Univarsal Serial Bus)コントローラ等の通信コントローラ及びUSB端子等の接続端子,或いは無線通信回路などで構成される。このインタフェース111によって,再生装置10は,有線接続若しくは無線接続された情報処理装置や,筋電位センサ等との間で,コンテンツや,コンテンツの属性情報,制御信号などといった各種データを送受信可能となる。
【0059】
次に,図2に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10の機能構成について説明する。なお,図2は,本実施形態にかかる再生装置10の機能構成を示すブロック図である。
【0060】
図2に示すように,再生装置10は,例えば,再生装置12に対する外的衝撃やユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する検出部12と,このユーザ入力信号を分析して入力パターンを特定する分析部14と,予め設定された複数の操作パターンを記憶するパターン記憶部18と,上記入力パターンと操作パターンとを比較してコマンドを生成するコマンド生成部16と,上記コマンドに応じてコンテンツの再生を制御する再生制御部20と,複数のコンテンツを記憶するコンテンツ記憶部22と,コンテンツを再生する再生部30と,コンテンツの検索処理を行う検索部40と,複数のコンテンツに関する名称データを記憶する名称記憶部42と,プレイリストを設定するリスト設定部44と,設定された1又は2以上のプレイリストを記憶するリスト記憶部46と,上記コマンドの内容などをユーザに通知する通知部48と,を備える。
【0061】
検出部12は,ユーザによる再生装置10の筐体に対する外的衝撃や,ユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出するセンサ(上述した図1のセンサ112に相当する。)である。具体的には,この検出部12は,例えば,上記外的衝撃に伴い発生した振動を検出する加速度センサ,上記外的衝撃に伴い発生した衝撃音を検出するマイクロフォン,或いは,上記ユーザ動作に伴う筋電位の変化を検出する筋電位センサなどで構成される。かかる検出部12は,ユーザが手の指等で再生装置10の筐体を叩いて外的衝撃を加えたときの振動又は衝撃音,或いは,ユーザが手の指等を動かしたときの筋電位の変化を検出し,この検出結果を,再生装置10の処理動作を指示するユーザ入力信号として分析部14に出力する。
【0062】
分析部14は,上記検出部12により検出されたユーザ入力信号,即ち,再生装置10に対する外的衝撃に伴う振動又は衝撃音,或いは筋電位の変化を分析する。分析部14は,当該外的衝撃または筋電位の変化の大きさ,時間間隔,位置,回数などに基づいて分析処理を行うが,詳細は後述する。そして,分析部14は,この分析結果に基づいて,ユーザが意図した入力パターンを特定して,コマンド生成部16に出力する。この入力パターンは,上記外的衝撃または筋電位の変化の大きさ,位置,回数,或いはこれらの組み合わせのパターンである。この入力パターンは,ユーザによる入力の仕方,即ち,再生装置10に対応する外的衝撃の加え方(叩き方)や,筋電位を変化させるようなユーザ動作の内容(指の動かし方)によって異なる。
【0063】
コマンド生成部16は,上記分析部14によって特定された入力パターンと,パターン記憶部18に記憶されている複数の操作パターンとを比較し,当該複数の操作パターンのうち,上記入力パターンに一致する操作パターンを特定する。この操作パターンは,ユーザによる再生装置10に対する外的衝撃の時間間隔,大きさ,位置,回数,或いはこれらの組み合わせのパターン,或いは,ユーザ動作に伴う筋電位の変化の時間間隔,大きさ,位置,回数,或いはこれらの組み合わせなどのパターンである。この操作パターンは,再生装置10の処理動作ごとに予め設定されている。例えば,上記検出部12として加速度センサを採用した場合の「再生装置10の所定位置を軽く2回叩く(或いは,人差し指を2回動かす)」という操作パターンや,上記検出部12として筋電位センサを採用した場合の「人差し指を2回動かす」という操作パターンは,「音楽コンテンツの曲単位の再生切替(トラックジャンプ)」という処理動作に対応するように設定されている。また,上記検出部12として加速度センサを採用した場合の「再生装置10の異なる位置を交互に1回ずつ叩く」という操作パターンや,上記検出部12として筋電位センサを採用した場合の「人差し指と中指を交互に1回ずつ動かす」という操作パターンは,「音楽コンテンツのアルバム単位の再生切替」という処理動作に対応するように設定されている。
【0064】
さらに,コマンド生成部16は,上記入力パターンに一致する操作パターンに対応する処理動作を表すコマンドを生成し,当該コマンドを再生制御部20又は検索部40に出力する。このコマンドは,再生装置10の処理動作(例えばコンテンツの再生切替動作,検索処理動作,電源のオン/オフ動作など)を指示する信号である。例えば,コマンド生成部16は,再生制御部20に対し,コンテンツの再生切替コマンドを出力することにより,コンテンツの再生切替を実行するよう指示することができる。また,コマンド生成部16は,検索部40に対し,検索コマンドを出力することにより,コンテンツの検索モードを実行するよう指示することができる。
【0065】
再生制御部20は,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数のコンテンツの再生を制御する。例えば,再生制御部20は,再生装置10の電源がオンされると,予め設定されたプレイリストや後述の候補リストに従って,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数のコンテンツを順次,自動的に再生するよう再生部30を制御する。これによって,ユーザは,再生するコンテンツを個々に選択するといった煩雑な入力操作をしなくてすむので,便利である。しかし,かかる例に限定されず,再生制御部20は,ユーザによって選択された1又は2以上のコンテンツ,或いは,ユーザによって選択されたアルバム内のコンテンツを再生するように制御することもできる。
【0066】
また,再生制御部20は,上記コマンド生成部16から入力されたコマンドに応じて,再生部30によるコンテンツの再生を制御する。例えば,再生制御部20は,入力された再生切替コマンドに応じて,再生部30によって再生される音楽コンテンツを,曲単位,アルバム単位,又はアーティスト単位などで切り替えることができる。なお,音楽コンテンツのアルバムは,複数の音楽コンテンツをグループ化したものであり,例えば,市販の音楽CDに記憶されている曲の集合が上記アルバムに相当する。また,音楽コンテンツのアーティストは,例えば,当該音楽コンテンツの歌手,演奏者,作曲者,作詞者,編曲者,制作者などである。
【0067】
また,再生制御部20は,上記以外にも,入力されたコマンドの種類に応じて,再生部30による各種の再生動作(例えば,再生開始/再生停止,再生一時停止,早送り再生,巻き戻し再生,リピート再生)や,再生装置10の各種の動作(例えば,電源のオン/オフ,音声ボリュームの増減など)を制御することもできる。
【0068】
コンテンツ再生部30は,上記再生制御部20による再生制御に基づいて,コンテンツ記憶部22に記憶されているコンテンツを再生し,この再生したコンテンツを上記音声出力装置110に出力して音声出力させる。
【0069】
ここで,上記再生部30の構成例について図3に基づき説明する。図3は,本実施形態にかかる再生部30の構成例を示すブロック図である。
【0070】
図3に示すように,再生部30は,上記再生制御部20からの再生指示に応じてコンテンツ記憶部22からコンテンツを読み出すコンテンツ読出部32と,コンテンツに付随するライセンスを評価するライセンス評価部34と,暗号化されたコンテンツを解読する暗号解読部36と,圧縮符号化されているコンテンツを復号化するデコーダ38と,デジタルコンテンツをアナログコンテンツに変換するD/A変換部39と,を備える。
【0071】
より詳細に説明すると,コンテンツ読出部32は,上記再生制御部20によって再生指示されたコンテンツをコンテンツ記憶部22から順次読み出す。また,コンテンツ読出部32は,例えば,コンテンツ記憶部22や名称記憶部42から,再生対象のコンテンツに関連づけて記憶されているコンテンツ属性情報(コンテンツの曲名,アーティスト名,再生時間等のメタ情報)を読み出すこともできる。このように読み出されたコンテンツ属性情報は,必要に応じて表示装置107に表示されてもよい。
【0072】
ライセンス評価部34は,上記読み出されたコンテンツに対応するライセンスを評価して,コンテンツの再生可否を判断する。具体的には,DRM(Digital Rights Management)技術により著作権管理されているコンテンツが再生対象である場合には,当該コンテンツに対応するライセンスに記述されている再生条件(再生回数制限,再生期限等)を満たす場合でなければ,当該コンテンツを再生することはできない。そこで,ライセンス評価部34は,まず,再生対象のコンテンツに関するライセンスと鍵情報を取得し,この鍵情報でライセンスを復号し,ライセンスの正当性を評価する。この結果,ライセンス評価部34ライセンスが正当であると判断した場合には,ライセンス内の再生条件を評価して,再生可否を判断し,この判断結果を暗号解読部36に出力する。
【0073】
暗号解読部36は,上記ライセンス評価部34によって再生可能であると判断された場合に,鍵情報を用いて,暗号化されているコンテンツを解読(デクリプト)して,デコーダ38に出力する。なお,著作権管理されていないコンテンツを再生する場合(例えば,音楽CDから読み出したコンテンツを再生する場合など)には,上記ライセンス評価部34によるライセンス評価処理,及び上記暗号解読部36による暗号解読処理は省略可能である。この場合には,コンテンツ読出部32により読み出されたコンテンツは直接,デコーダ38に入力される。
【0074】
デコーダ38は,例えば,上記コンテンツ読出部32によって読み出されたコンテンツ,或いは上記暗号解読部36によって解読された著作権管理コンテンツに対して,デコード処理,サラウンド処理,PCMデータへの変換処理などを行い,D/A変換部39に出力する。なお,このデコーダ38は,例えば,上記CODEC109の一部を成すハードウェアであるが,上記復号化機能を有するソフトウェアで構成されてもよい。
【0075】
D/A変換部39は,上記デコーダ38から入力されたデジタル形式のコンテンツデータ(PCMデータ等)を,アナログ形式のコンテンツデータ(再生データ)に変換して,上記音声出力装置110に出力して,音声出力させる。
【0076】
以上のような構成の再生部30は,コンテンツを再生する処理,即ち,コンテンツ記憶部22に記憶されている所定の圧縮規格に従うデジタルコンテンツを復号化して,音声出力装置110から音声出力可能なデータ形式に変換する処理を実行できる。
【0077】
図2に戻り,検索部40は,上記コマンド生成部16から検索モード実行コマンドが入力されると,コンテンツの検索モードを実行する。この検索モードは,ユーザが再生を所望する音楽コンテンツに関する名称,例えば,音楽コンテンツの曲名,アルバム名,又はアーティスト名などを検索する処理モードである。この検索モードでは,検索部40は,上記検出部12で検出されたユーザ入力信号に基づいて,ユーザ所望の音楽コンテンツの曲名,アルバム名若しくはアーティスト名などを母音検索して,候補リストを作成する。この検索部40の詳細については後述する。
【0078】
名称記憶部42は,コンテンツに関連する名称を表す名称データを保存している。この名称データは,例えば,音楽コンテンツの曲名,アルバム名,及び/又はアーティスト名などのデータである。かかる名称データとコンテンツとは,例えば,コンテンツID等のコンテンツ識別情報によって相互に関連づけられている。即ち,上記コンテンツ記憶部22には,コンテンツと,当該コンテンツを表すコンテンツIDとが関連づけられて記憶されており,一方,名称記憶部には,コンテンツに関連する名称データと,当該コンテンツを表すコンテンツIDとが関連づけられて記憶されている。よって,名称データが特定されれば,その名称データに対応するコンテンツを特定可能である。なお,この名称記憶部42と上記コンテンツ記憶部22は,再生装置10の同一の記憶媒体(例えば上記ストレージ装置108)で構成されてもよいし,或いは,相異なる2つの記憶媒体(例えば,ストレージ装置108とリムーバブル記憶媒体)で構成されてもよい。
【0079】
リスト設定部44は,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数のコンテンツの一部又は全部の再生順序を表すプレイリストを設定し,このプレイリストをリスト記憶部46に記憶する。リスト設定部44は,ユーザ入力に応じて選択された複数のコンテンツを表すプレイリストを新規作成して,リスト記憶部46に登録設定することもできるし,或いは,外部装置から取得した既存のプレイリストをリスト記憶部46に登録設定することもできる。なお,リスト設定部44は,複数のプレイリストを設定して,リスト記憶部46に登録可能である。
【0080】
このようなリスト設定部44によるプレイリスト設定機能を利用して,ユーザは,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数のコンテンツの中から,意図的にいくつかのコンテンツを選択して,上記プレイリストを作成することができる。このプレイリストは,例えば,ユーザの嗜好に合致するコンテンツを選択したプレイリスト(例えば,2005年4月リリースの音楽コンテンツのうち,ユーザがお気に入りの音楽コンテンツのベスト10)や,同一の属性を有するコンテンツを集めたプレイリスト(例えば,ユーザの嗜好に応じて選択したアーティストAの音楽コンテンツのベストアルバム,ジャズに関する音楽コンテンツを集めたジャズリスト)など,多様に作成可能である。なお,このプレイリストは,コンテンツ単位のみならず,アルバム単位,アーティスト単位でも作成可能である。
【0081】
また,コンテンツを提供する企業(レーベル等)も,上記プレイリストを作成して,ユーザに提供することも可能である。例えば,当該企業は,最近のヒットチャート等に基づいて人気の高いコンテンツのプレイリストを作成したり,一般ユーザにはあまり知られていないが当該企業が推奨するコンテンツのプレイリストを作成したりもできる。この企業が作成したプレイリストを再生装置10が取得する手法としては,例えば,情報処理装置を用いて配信サーバからネットワークを介してプレイリストをダウンロードし,この情報処理装置から再生装置10に当該プレイリストを転送してもよいし,或いは,企業等が提供するリムーバブル記憶媒体に記憶されたプレイリストを再生装置10が読み出してもよい。
【0082】
上記再生制御部20は,特定のプレイリストの再生指示を受けた場合には,当該プレイリストに含まれる複数のコンテンツを順次,連続再生する。これにより,ユーザは,プレイリスト内の音楽コンテンツを連続して聴取できる。また,再生装置10の電源オン時には,前回までに再生していたプレイリストの続きを順次,連続再生するよう制御する。なお,上記候補リストを作成した後などの所定期間は,再生制御部20は,上記プレイリストの代わりに,当該候補リストに従って,コンテンツを順次,連続再生するよう制御するが,詳細は後述する。
【0083】
通知部48は,再生装置10に対するユーザの入力操作の内容や,このユーザ入力操作に応じた再生装置10の処理動作内容等を,ユーザに対して通知する。例えば,通知部48は,上記コマンド作成部16が生成したコマンドの内容や,上記検索部40による検索結果などの各種情報を,ユーザに通知する。この通知処理では,通知部48は,上記音声出力装置110を用いた音声出力によって該情報を通知してもよいし,或いは,再生装置10が上記表示装置107を備える場合には,この表示装置107を用いた画面表示によって該情報を通知してもよい。
【0084】
例えば,コマンド生成部16により「曲単位の再生切替コマンド」が生成された場合には,通知部48は,曲単位の再生切替を実行することを,ユーザに例えば音声通知する。これにより,ユーザは,自己が入力した操作パターンの正否と,その結果,自己の所望する動作指示が正しく実行されるか否かを確認できる。また,コマンド生成部16により「検索コマンド」が生成された場合には,通知部48は,再生装置10が検索モードを実行することを,ユーザに例えば音声通知する。これにより,ユーザは,検索モードの開始を認識し,検索対象となる名称データを入力するようになる。なお,以上のような通知部48による通知処理は,必ずしも実行されなくてもよい。
【0085】
以上,本実施形態にかかる再生装置10の構成について説明した。かかる構成により,ユーザは,予め定められた多様な操作パターンに従って,再生装置10の筐体を指で叩いて衝撃を加えたり,筋電位センサが装着された手の指を動かしたりすることにより,再生装置10の入力装置106を操作しなくても,再生装置10の処理動作,特に,コンテンツの再生切替動作を,容易かつ迅速に指示することができる。
【0086】
なお,図2に示した検出部12,分析部14,コマンド生成部16,再生制御部20,コンテン再生部30,検索部40,リスト設定部44及び通知部48はそれぞれ,上記各処理を実行するハードウェアとして構成されてもよいし,或いは,上記各処理をコンピュータに実行させるプログラムを,再生装置10の制御装置101にインストールすることによって構成されてもよい。例えば,再生部30は,コンテンツ再生機能を有する再生回路で構成されてもよいし,或いは,制御装置101にインストールされたコンテンツ再生用ソフトウェアなどによって構成されてもよい。また,図3に示した再生部30の各部のうち,例えば,デコーダ38およびD/A変換部39を専用回路で構成し,その他の部分をソフトウェアで構成してもよい。
【0087】
また,図2に示したパターン記憶部18,コンテンツ記憶部22,名称記憶部42及びリスト記憶部46は,例えば,再生装置10に内蔵された記憶媒体(上記図1のストレージ装置108),或いは再生装置10に脱着されるリムーバブル記憶媒体(例えば,音楽CD,MD,DVD,半導体メモリ)などで構成される。
【0088】
<2.ユーザ入力検出,分析処理>
次に,本実施形態にかかる再生装置10による外的衝撃,若しくは筋電位の変化の検出,分析処理と,これに基づく入力パターンの特定処理について詳細に説明する。
【0089】
上述したように,本実施形態にかかる再生装置10は,上記センサ112で構成された検出部12によって,ユーザが再生装置10を叩いたときの外的衝撃,或いは,ユーザが手の指を動かしたときの筋電位の変化を,ユーザの操作指示を表すユーザ入力信号として検出する。さらに,上記分析部14は,検出部12によって検出された外的衝撃或いは筋電位の変化としてのユーザ入力信号を,それらの大きさ,時間間隔,位置,回数などに基づいて分析し,入力パターンを特定する。一方,このような外的衝撃或いは筋電位の変化としてのユーザ入力信号をパターン化し,再生装置10に対する操作指示に対応する複数種類の操作パターンとして,予めパターン記憶部18に記憶しておく。これによって,この操作パターンと,上記特定された入力パターンとをマッチングすることにより,再生装置10の処理動作を指示することが可能である。
【0090】
以下では,まず,上記センサ112として,再生装置10に対する外的衝撃に伴う振動を検出する加速度センサを再生装置10に搭載した例を挙げて,当該外的衝撃に伴う振動信号としてのユーザ入力信号を検出,分析及びパターン化して,ユーザの操作指示を特定する例について説明する。
【0091】
<2.1 1つの加速度センサを用いた検出,分析処理>
まず,図4に基づいて,1つの加速度センサを用いて,外的衝撃に伴う振動を検出,分析する処理について説明する。図4は,本実施形態にかかる再生装置10に1つの加速度センサ60が搭載された例を示す斜視図である。
【0092】
図4に示すように,再生装置10は,1つの加速度センサ60を内蔵している。この加速度センサ60は,ユーザによる外的衝撃の方向(図4のZ方向)に応じた方向の振動を検出できるように配置されている。
【0093】
具体的に説明すると,図4に示す再生装置10の筐体11は,例えば,Z方向に扁平な略直方体形状を有している。ユーザは,このような再生装置10を叩く場合,筐体11の六側面のうち,最も広い面積を有する側面11a,特に,この側面11aの中央部を叩き易い。さらに,ユーザがこの側面11aを叩く場合,当該側面11aに対して略垂直な方向(Z方向)に叩くので,再生装置10には,主に当該Z方向の振動が発生する。
【0094】
このため,加速度センサ60は,図4の例では,XY平面方向の配置として,ユーザが叩きやすい上記側面11aの中央部の背後,即ち,筐体11内の中央部に配置されている。さらに,加速度センサ60は,Z方向の振動を的確に検出できるように,その振動検出方向が当該側面11aに対して垂直となる方向(Z方向)となるような向きで配置されている。このように加速度センサ60を配置することにより,ユーザが筐体11の側面11aの中央部を指先で軽く叩いたときであっても,これによって生じたZ方向の微少な振動を的確に検出できるようになる。
【0095】
次に,上記図4のように加速度センサ60を1つだけ設置した場合に,当該加速度センサ60によって検出された振動を分析して,入力パターンを特定する手法について説明する。この手法としては,以下に詳述するように,加速度センサ60により検出された振動の時間間隔や,振動の大きさの差異によって,振動を分析する手法がある。
【0096】
図5は,加速度センサ60により検出された振動の時間間隔の差異に基づいて,ユーザ入力を分析する手法を示す説明図である。
【0097】
図5の振動波形図に示すように,ユーザが再生装置10の筐体11を複数回(図では4回)叩いた場合には,加速度センサ60が検出する振動の大きさには,ユーザが叩いた時間間隔に応じて4回のピーク(1)〜(4)が生じる。
【0098】
分析部14は,このような振動の各ピーク(1)〜(4)の時間間隔T1〜T3を計測し,当該振動の時間間隔T1〜T3の差異に基づいて,ユーザ入力を分析する。具体的には,分析部14は,予め設定された所定の連続入力時間Ta及び単独入力時間Tbを保有している。分析部14は,検出された2つの振動の時間間隔Tが,連続入力時間Ta未満である場合には,当該2つの振動が連続入力であると判定し,同じ操作が複数回入力されたと判定する。例えば,振動のピーク(1)と(2)の時間間隔T1は,連続入力時間Ta未満であるので,同一操作の連続入力であると判断される。
【0099】
また,検出された2つの振動の時間間隔Tが,連続入力時間Ta以上,かつ,単独入力時間Tb以下である場合には,分析部14は,当該2つの振動がそれぞれ単独の入力であると判定し,相異なる操作が一回ずつ入力されたと判定する。例えば,振動のピーク(2)と(3)の時間間隔T2,振動のピーク(3)と(4)の時間間隔T3は,連続入力時間Ta以上,かつ,単独入力時間Tb以下であるので,相互に異なる単独入力であると判断される。また,単独入力時間Tbより大きい時間が経過した場合は,分析部14は,ユーザによる入力操作が終了したと判定する。
【0100】
このように,分析部14は,検出された振動の時間間隔を分析することにより,振動としてのユーザ入力信号(ユーザが筐体11を叩く入力操作)に応じた入力パターンを特定できる。そして,この入力パターンは,ユーザによる入力装置106に対する相異なる複数種類の操作(例えば2種類のボタン操作)に置換できる。例えば,2つのボタンa,ボタンbの入力操作に置換する例を考えると,図5に示す波形の振動検出信号は,「aaba」なるボタン操作(即ち,ユーザがボタンaを2回,ボタンbを1回,ボタンaを1回押下する操作)に置換することができる。
【0101】
また,図6は,加速度センサ60により検出された振動の大きさの差異に基づいて,ユーザ入力を分析する手法を示す説明図である。
【0102】
図6の振動波形図に示すように,ユーザが,再生装置10の筐体11の同一箇所を違う大きさで叩いたり,或いは,加速度センサ60からの距離が異なる箇所を同一の大きさで叩いたりすると,加速度センサ60によって検出される振動の大きさに差が生じる。図6の例では,ユーザが叩いた強さに応じて,振動検出値に大きいピーク(1)(2)(4)と,小さいピーク(3)が生じる。
【0103】
分析部14は,このような振動の各ピーク(1)〜(4)の大きさを計測し,当該振動の大きさに基づいて,ユーザ入力を分析する。例えば,分析部14は,ノイズより大きい振動のピーク(1)〜(4)を比較し,複数種類(例えば2種類)に分類する。具体的には,分析部14は,予め設定された第1振動強度Fa及び第2振動強度Fbを保有している。そして,分析部14は,検出された振動の大きさFが,第1振動強度Fa以上である場合には,第1の操作が入力されたと判定し,また,第2振動強度Fb以上かつ第1振動強度Fa未満である場合には,第2の操作が入力されたと判定し,また,第2振動強度Fb未満である場合には,ノイズであると判定する。これによって,例えば,図6の振動波形の例では,第1の操作に該当する大きいピーク(1),(2),(4)の振動入力と,第2の操作に該当する小さいピーク(3)の振動入力という2種類に分類できる。
【0104】
このように,分析部14は,検出された振動の大きさを分析することにより,振動としてのユーザ入力信号(ユーザが筐体11を叩く入力操作)に応じた入力パターンを特定できる。そして,この入力パターンは,上記と同様に,ユーザによる入力装置106に対する相異なる複数種類の操作(例えば2種類のボタン操作)に置換できる。例えば,2つのボタンa,ボタンbの入力操作に置換する例を考えると,図6に示す波形の振動検出信号は,「aaba」なるボタン操作に置換することができる。
【0105】
以上,図5及び図6で説明したように,1つの加速度センサ60のみを設置した場合であっても,分析部14は,ユーザが筐体11を叩く時間間隔(検出される振動の時間間隔)や,叩く強さ(検出される振動の大きさ)の差異に基づいて,入力パターンを特定し,この入力パターンを例えば2種類の入力操作の組み合わせに置換できる。なお,上記図5及び図6の手法を併用して,より複雑かつ多種類の入力パターンを特定することもできる。
【0106】
<2.2 2つの加速度センサを用いた検出,分析処理>
次に,図7に基づいて,2つの加速度センサを用いて,ユーザによる再生装置10に対する外的衝撃に伴う振動を検出,分析する処理について説明する。図7は,本実施形態にかかる再生装置10に2つの加速度センサ60a,60bが搭載された例を示す斜視図である。
【0107】
図7に示すように,再生装置10は,上記図4と同様に,Z方向に扁平な略直方体形状の筐体11内に,第1及び第2の加速度センサ60a,60b(以下,「加速度センサ60」と総称する場合もある。)なる2つの加速度センサを内蔵している。また,この再生装置10の筐体11の6側面のうち,最も広い面積を有する側面11aには,ユーザによる外的衝撃を受け付ける例えば2つの衝撃受付部62a,62b(以下,「衝撃受付部62」と総称する場合もある。)が設けられている。
【0108】
この衝撃受付部62a,62bは,例えば,ユーザが例えば手の人差し指と中指で叩きやすい位置,例えば筐体11の側面11aの中央部に,ある程度離隔して配置されている。この衝撃受付部62は,ユーザが叩く位置を認識できるものであれば,例えば,筐体11をエンボス加工等して形成された凹凸部や,筐体11に付着された別部材(シール,緩衝部材等),或いは,印刷された単なる識別表示などで構成することができる。ユーザは,各撃受付部62a,62bを人差し指と中指で叩いて衝撃を加え,再生装置10の処理動作を指示する入力を行う。
【0109】
かかる再生装置10において,各加速度センサ60a,60bは,ユーザによる衝撃受付部62a,62bに対する外的衝撃の方向(図7のZ方向)に応じた方向の振動を検出できるように配置されている。具体的には,図4の例と同様に,ユーザが衝撃受付部62を叩く場合,衝撃受付部62が設けられた側面11aに対して略垂直な方向(Z方向)に叩くので,再生装置10には,当該Z方向の振動が主に発生する。このため,各加速度センサ60a,60bは,Z方向の振動を的確に検出できるように,その振動検出方向が当該側面11aに対して垂直となる方向(Z方向)となるような向きで配置されている。このように加速度センサ60を配置することにより,ユーザが筐体11の衝撃受付部62を指先で軽く叩いたときであっても,これによって生じたZ方向の微少な振動を的確に検出できるようになる。
【0110】
さらに,加速度センサ60a,60bは,上記各衝撃受付部62a,62bに対する外的衝撃に伴う振動をそれぞれ区別して検出できるように,再生装置10の筐体11内で極力離隔して配置されるとともに,上記衝撃受付部62a,62bの位置に応じて配置されている。
【0111】
具体的には,2つの加速度センサ60a,60bは,図8に示すように,再生装置10の筐体11内の対向するコーナー部分にそれぞれ配置され,相互に極力離隔するようになっている。さらに,加速度センサ60a,60bを結ぶ直線L1と,衝撃受付部62a,62bを結ぶ直線L2とが,外的衝撃の方向(Z方向)に対して垂直な平面上(XY平面上)で,相互に直交しないように,加速度センサ60a,60b及び衝撃受付部62a,62bの相対的位置が調整されている。この理由について,以下に説明する。
【0112】
上述したように,ユーザは,例えば,人差し指と中指を用いて,再生装置10の衝撃受付部62a,62bを叩いて,入力操作する。このとき,叩かれた衝撃受付部62a,62bと加速度センサ60a,60bとの距離に応じて,各加速度センサ60a,60bで検出される振動の大きさ(振動検出値)が異なる。各加速度センサ60の振動検出値は,振動源である衝撃受付部62と当該加速度センサ60との距離,及び,衝撃受付部62を叩く強さの関数となる。そこで,図7の例の再生装置10は,2つの加速度センサ60を用いて,衝撃受付部62aに対する衝撃と衝撃受付部62bに対する衝撃とを区別して,2種類の入力操作を判別する構成である。
【0113】
ところが,2つの加速度センサ60a,60bの距離が近いと,各衝撃受付部62から各加速度センサ60a,60bまでの距離にあまり差が生じないので,いずれの衝撃受付部62a,62bが叩かれたかを検出し難くなる。従って,本実施形態では,図8に示すように,双方の加速度センサ60a,60bを,再生装置10の筐体11内で極力離隔して配置して,双方で検出される振動検出値の差を大きくして,いずれの衝撃受付部62a,62bが叩かれたかを,好適に検出できるようにしている。
【0114】
また,加速度センサ60a,60bを結ぶ直線L1と,衝撃受付部62a,62bを結ぶ直線L2とが,xy平面上で相互に直交する場合(即ち,図7で,直線L2が,直線L1と直交する直線L3に一致する場合)には,振動源である衝撃受付部62aから,各加速度センサ60a,60bまでの距離と,振動源である衝撃受付部62bから,各加速度センサ60a,60bまでの距離が略同一となってしまう。この場合には,どちらの衝撃受付部62a,62bを叩いたとしても,双方の加速度センサ60a,60bの振動検出値は同一となってしまい,いずれの衝撃受付部62a,62bが叩かれたかを検出できなくなってしまう。
【0115】
そこで,本実施形態では,図8に示すように,双方の加速度センサ60a,60bの中心を結ぶ直線L1と,双方の衝撃受付部62a,62bの中心を結ぶ直線L2とが,xy平面上で相互に直交しないように,各加速度センサ60a,60b及び各衝撃受付部62a,62bの相対的位置を調整して配置している。これによって,双方の加速度センサ60a,60bで検出される振動検出値の大きさに差が生じるようにして,いずれの衝撃受付部62a,62bが叩かれたかを,好適に検出できるようにしている。
【0116】
ここで,図9及び図10に基づいて,再生装置10における加速度センサ60と衝撃受付部62の配置の具体例について説明する。なお,図9及び図10は,本実施形態にかかる再生装置10における加速度センサ60と衝撃受付部62の配置の具体例を示す斜視図である。
【0117】
図9に示す再生装置10Aは,その筐体11表面に,表示装置107が設けられていないタイプの携帯型オーディオプレーヤである。この再生装置10Aの内部には,相互に対向するコーナー部分に,上記加速度センサ60aと加速度センサ60bがそれぞれ設置されている。また,この再生装置10Aでは,筐体11表面に表示装置107が設けられていないので,筐体11の表側の側面11aと裏側の側面11bの双方に,2つの衝撃受付部62a,62bがそれぞれ設けられている。これにより,ユーザは,再生装置10Aの表側,裏側を問わず,例えば人差し指と中指を用いて,衝撃受付部62a,62bを叩いて衝撃を加え,入力操作することができる。なお,図9に示す再生装置10Aの筐体11には,例えば,電源ボタン71,イヤフォン端子72,USB端子73,及び電池挿入部74などが設けられている。
【0118】
また,図10に示す再生装置10Bは,その筐体11の表側の側面11aに,LCDパネル等の表示装置107が設けられたタイプの携帯型オーディオプレーヤである。この再生装置10Bの内部には,相互に対向するコーナー部分に,上記加速度センサ60aと加速度センサ60bがそれぞれ設置されている。また,この再生装置10Bでは,表示装置107が設けられていない裏側の側面11bにのみ,2つの衝撃受付部62a,62bが設けられている。これにより,ユーザは,例えば人差し指と中指を用いて,再生装置10Bの裏側にある衝撃受付部62a,62bを叩いて衝撃を加え,入力操作することができる。なお,図10に示す再生装置10Bの筐体11には,例えば,イヤフォン端子72,USB端子73,メニューボタン75,モードボタン76,ボリューム調整ボタン77,及び電源ボタンの機能を兼ねるホールドスイッチ78,コントロールボタン79などが設けられている。
【0119】
次に,上述したように2つの加速度センサ60を設置した場合に,当該加速度センサ60によって検出された振動を分析して,入力パターンを特定する手法について説明する。
【0120】
2つの加速度センサ60を設置した場合には,上記分析部14は,双方の加速度センサ60により検出された振動の大きさを分析して,衝撃が加えられた筐体11の位置(例えば,2つの衝撃受付部62のうちいずれが叩かれたか)を特定して,入力パターンを決定することができる。例えば,衝撃受付部62aが叩かれた時は,当該衝撃受付部62aまでの距離は加速度センサ60bよりも加速度センサ60aの方が近いので,加速度センサ60aの振動検出値が,加速度センサ60bの振動検出値よりも大きくなる。
【0121】
よって,分析部14は,双方の加速度センサ60a,60bの振動検出値を比較して,振動検出値が大きい方の加速度センサ60aに近い衝撃受付部62aが振動源である(即ち,当該衝撃受付部62aが叩かれた)と判定できる。
【0122】
例えば,分析部14は,下記の数式1を用いて,振動源の位置(いずれの衝撃受付部62が叩かれたか),及びその振動の大きさを判別することができる。なお,下記数式1で,Fa(x)は,筐体11のx位置に対する衝撃を第1の加速度センサ60aで検出したときの振動検出値であり,Fb(x)は,筐体11のx位置に対する衝撃を第2の加速度センサ60bで検出したときの振動検出値である。
【0123】
【数1】

【0124】
分析部14は,上記数式1で表されるf(x)の値が正の数であれば,振動源が第1の加速度センサ60aに近い位置(例えば第1の衝撃受付部62a)であり,負の数であれば,振動源が第2の加速度センサ60bに近い位置(例えば第2の衝撃受付部62b)であると判定できる。従って,分析部14は,複数のユーザ入力があったとき(複数回叩かれたとき)の各加速度センサ60の振動検出値を,上記数式1に代入した結果を比較することによって,各ユーザ入力が,同一の位置か異なる位置か(つまり,同一の衝撃受付部62が叩かれたか,異なる衝撃受付部62が叩かれたか)を判定できる。
【0125】
また,分析部14は,下記の数式2に基づいて,筐体11の同一の位置(同一の衝撃受付部62)に対する,異なる大きさのユーザ入力(振動)も判別できる。
【0126】
【数2】

【0127】
即ち,同一の衝撃受付部62が異なる力で叩かれた場合であっても,上記数式1で表されるf(x)の値と上記数式2で表されるg(x)の値は,叩かれた力に比例するので,f(x)/g(x)の値は同程度となる。分析部14は,x1位置とx2位置に対して2回のユーザ入力があった場合に,f(x1)/g(x1)≒f(x2)/g(x2)であり,かつ,上記数式2で表されるg(x)の値が異なる(g(x1)≠g(x2))である場合には,同じ位置(x1=x2)に対して,異なる大きさのユーザ入力があった(つまり,同一の衝撃受付部62が異なる力で叩かれた)と判定できる。
【0128】
以上のようにして,2つの加速度センサ60a,60bを設けた場合には,分析部12は,双方の加速度センサ60の振動検出値を分析して,例えば,外的衝撃の位置(いずれの衝撃受付部62が叩かれたか),当該外的衝撃の大きさ,及び当該外的衝撃の回数の組み合わせなどからなる入力パターンを特定できる。
【0129】
そして,この入力パターンは,上記と同様に,ユーザによる入力装置106に対する相異なる複数種類の操作(例えば2種類のボタン操作)に置換できる。例えば,2つのボタンa,ボタンbの入力操作に置換する例を考えると,「衝撃受付部62a,62bが交互に2回ずつ叩かれる」という入力操作は,「abab」なるボタン操作に置換することができる。このように2つの加速度センサ60を設置した場合には,分析部14は,入力パターンの特定処理,およびボタン操作への置換処理を,1つの加速度センサ60の場合よりも容易かつ正確に実行できる。
【0130】
なお,上記では,2つの加速度センサ60を設置した例について説明したが,本発明はかかる例に限定されず,例えば3つ以上の加速度センサ60を設置してもよい。これにより,3箇所以上の外的衝撃の位置を検出して,より複雑かつ多様な入力パターンを特定できるようになる。
【0131】
また,上記では,再生装置10に対する外的衝撃を検出する検出部12として,加速度センサ60の例について説明したが,本発明はかかる例に限定されず,例えば,再生装置10に対する外的衝撃に伴う衝撃音を検出する1又は2以上のマイクロフォン(図示せず。)を設置してもよい。これによっても,分析部14は,上記加速度センサ60の場合と同様に,マイクロフォンで検出された衝撃音を分析して,入力パターンを特定することができる。
【0132】
<2.3 筋電位センサを用いた検出,分析処理>
次に,図11に基づいて,筋電位センサを用いて,ユーザ動作に伴う筋電位の変化を検出,分析する処理について説明する。図11は,本実施形態にかかる筋電位センサ80がユーザの手首に装着された例を示す斜視図である。
【0133】
図11に示すように,ユーザの手首には,リストバンド型の装着具81が着脱可能に装着されている。この装着具81は,例えば,全体的には,手首に対して密着するように柔軟性を有する素材(例えば布状のベルト)で形成されている。この装着具81は,例えば,図示しない面ファスナーを接合/剥離することなどによって,手首に対して着脱可能となっている。
【0134】
かかる装着具81には,例えば,筋電位センサ80(一対の第1の筋電位センサ80a及び第2の筋電位センサ80bからなる。)が設けられている。この筋電位センサ80は,装着具81の内周面(手首と接する側の面)に取り付けられており,ユーザの手首の所定部位に当接している。このため,かかる筋電位センサ80は,第1の筋電位センサ80aと第2の筋電位センサ80との間の電位差を,筋電位として検出できるようになっている。
【0135】
また,かかる筋電位センサ80が検出した筋電位信号は,例えば,装着具81に設置された通信装置(図示せず。)により,再生装置10の本体に無線送信可能となっている。なお,装着具81と再生装置10の本体と有線接続して,筋電位センサ80が検出した筋電位信号を有線送信するようにしてもよい。
【0136】
また,装着具81の一部には,例えば,上記通信装置等の電子回路や,電池等の電源等などが収容される筐体82が取り付けられている。また,この筐体82には,例えば,電源ボタン71が設置されている。これにより,装着具81は,再生装置10電源制御用のリモートコントローラとしても機能する。また,上記筐体82には,例えば,イヤフォン端子72も設置されている。これにより,ユーザは,イヤフォン端子72にイヤフォンを差し込んで,再生装置10本体から装着具81に無線送信された再生された音楽コンテンツを聴取できるようになる。
【0137】
以上のような構成の筋電位センサ80は,ユーザが指を動かしたときの筋電位の変化を検出することができる。この際,ユーザが異なる指(例えば,人差し指と中指)を動かした場合には,筋電位センサ80で検出される筋電位の変化量が異なる。また,同一の指を動かす場合であっても,当該指を動かす量によって,筋電位センサ80で検出される筋電位の変化量が異なる。
【0138】
本実施形態にかかる筋電位センサ80は,上記一対の第1の筋電位センサ80a及び第2の筋電位センサ80bの配置を調整することにより,例えば,少なくとも人差し指と中指の動き,およびこれらの指を動かした量を検出できるようになっている。
【0139】
従って,上記分析部14は,この筋電位センサ80によって検出された筋電位の変化を,ユーザ入力信号として分析して,ユーザ入力パターンを特定できる。具体的には,分析部14は,例えば,筋電位の変化が生じたユーザの部位(人差し指又は中指のいずれが動いたか),筋電位の変化の大きさ(指を動かした量),筋電位の変化の回数(指を動かした回数),筋電位の変化の時間間隔(指を動かした時間間隔)などに基づいて,筋電位センサ80から入力された筋電位信号を分析して,入力パターンを特定できる。この入力パターンは,例えば,「中指を3回動かす」というパターン,「人差し指を大きく1回動かす」というパターンなどがある。
【0140】
さらに,この入力パターンは,ユーザによる入力装置106に対する相異なる複数種類の操作(例えば2種類のボタン操作)に置換できる。例えば,2つのボタンa,ボタンbの入力操作に置換する例を考えると,「人差し指と中指を交互に2回ずつ動かす」パターンは,「abab」なるボタン操作に置換することができる。このように筋電位センサ80を設置した場合には,分析部14は,ユーザの指の動きに伴う筋電位の変化に応じて,入力パターンを容易に特定することができる。
【0141】
なお,上記では,筋電位センサ80によって,人差し指と中指の2本の指の動きを検出する例を挙げたが,かかる例に限定されず,1つの指だけ,或いは,3本以上の指の動き動きを検出するようにしてもよく,また,上記以外の指の動きを検出するようにしてもよい。なお,筋電位センサ80により検出された筋電位の変化の時間間隔や大きさに基づいて,当該筋電位の変化を区別することにより,1本の指の動きに伴う筋電位の検出結果であっても,複数のボタン操作に置換できるような多様な入力パターンを得ることは可能である。
【0142】
また,筋電位センサ80による検出対象は,上記手の指の例以外にも,手首,肘,肩,膝,足首,首等の関節の動き,顔の動き,腕の動き,足の動き,足の指の動き,腹筋,胸筋の動きなど,ユーザの体の任意の部位であってよい。
【0143】
また,筋電位センサ80としては,上記のように一対の筋電位センサ80a,80bを設置するのではなく,複数対の筋電位センサを設置してもよい。これにより,ユーザの指等の動きをより複雑かつ多様に検出し,特定可能な入力パターン数を増加させることができる。
【0144】
また,検出部12として筋電位センサ80を用いた場合には,上記検出部14,コマンド生成部16及びパターン記憶部18の全部又は一部の処理機能を有する電子回路を,上記装着具81の筐体82内に設置することによって,装着具81側でコマンドを生成して再生装置10本体に有線/無線送信して,操作指示するようにしてもよい。
【0145】
なお,図11に示す再生装置10Cの筐体11には,例えば,イヤフォン端子72,USB端子73,メニューボタン75,モードボタン76,ボリューム調整ボタン77,及び電源ボタンの機能を兼ねるホールドスイッチ78,コントロールボタン79などが設けられている。
【0146】
<3.コマンド生成処理>
次に,図12及び図13に基づいて,上記再生装置10のコマンド生成部16によるコマンド生成処理について詳細に説明する。なお,図12は,本実施形態にかかるパターン記憶部18に記憶された操作パターンと,再生切替コマンドとの関係を表すテーブルであり,図13は,本実施形態にかかる操作パターンと,検索コマンド及び特別コマンドとの関係を表すテーブルである。
【0147】
図12及び図13に示すように,パターン記憶部18には,各種の操作パターンと,再生装置10の各処理動作を指示する各種のコマンド(再生切替コマンド,検索コマンド,特別コマンド等)とを関連づけたテーブルが記憶されている。
【0148】
具体的には,図12に示すように,再生切替コマンドは,コンテンツの各種の再生切替(トラックジャンプ)動作を,再生制御部20に対して指示するコマンドである。具体的には,この再生切替コマンドには,例えば,「音楽コンテンツの1曲単位若しくは2曲単位の再生切替」,「音楽コンテンツのアルバム単位の再生切替」,「音楽コンテンツのアーティスト単位の再生切替」,「再生中の音楽コンテンツの先頭に再生切替」,「前回再生していた曲への1曲単位の再生切替」などの再生切替動作を指示するコマンドが含まれる。これらの再生切替コマンドに対して,予め異なる操作パターンがそれぞれ割り当てられている。
【0149】
例えば,「音楽コンテンツの1曲単位の再生切替」を表す再生切替コマンドには,「再生装置10の筐体11の同一の箇所(例えば同一の衝撃受付部62)を2回叩く」,或いは「人差し指を2回動かす」という操作パターンが割り当てられている。この操作パターンは,上述したボタン操作に置換すると「aa又はbb」である。また,「音楽コンテンツのアルバム単位の再生切替」を表す再生切替コマンドには,「再生装置10の筐体11の異なる箇所(例えば2つの衝撃受付部62aと62b)を1回ずつ叩く」,或いは「人差し指と中指を1回ずつ動かす」という操作パターンが割り当てられている。この操作パターンは,上述したボタン操作に置換すると「ab又はba」である。また,「音楽コンテンツのアーティスト単位の再生切替」を表す再生切替コマンドには,「再生装置10の筐体11の異なる箇所(例えば2つの衝撃受付部62aと62b)を交互に2回ずつ叩く」,或いは「人差し指と中指を交互に2回ずつ動かす」という操作パターンが割り当てられている。この操作パターンは,上述したボタン操作に置換すると「abab又はbaba」である。
【0150】
また,図13に示すように,検索コマンドは,検索モードの実行開始を,検索部20に対して指示するコマンドである。この検索コマンドには,「再生装置10の筐体11の任意の箇所(例えば衝撃受付部62a)を1回強く叩く」,或いは「人差し指を大きく1回動かす」という操作パターンが割り当てられている。
【0151】
さらに,図13に示すように,特別コマンドは,上記以外の再生装置10の処理動作を実行するように,再生制御部20等に指示するコマンドである。この特別コマンドには,例えば,「再生装置10の電源のオン」,「再生装置10の電源のオフ」,「音声出力ボリュームの増加」,「音声出力ボリュームの減少」,「音楽コンテンツの1曲単位のリピート再生」,「音楽コンテンツのアルバム単位のリピート再生」,「音楽コンテンツの再生動作の開始」,「音楽コンテンツの再生動作の停止」,「音楽コンテンツの再生一時停止」,「音楽コンテンツの早送り再生」,及び「音楽コンテンツの巻き戻し再生」などの処理動作を表すコマンドが含まれる。これらの特別コマンドに対して,予め異なる操作パターンがそれぞれ割り当てられている。
【0152】
例えば,「再生装置10の電源のオン」を表す特別コマンドには,「再生装置10の筐体11の任意の箇所(例えば衝撃受付部62a)を2回強く叩く」,或いは「人差し指を大きく2回動かす」という操作パターンが割り当てられている。また,「音楽コンテンツの1曲単位のリピート再生」を表す特別コマンドには,「再生装置10の筐体11のある箇所(例えば第2の衝撃受付部62b)を1回叩いた後に,他の箇所(例えば第1の衝撃受付部62a)を2回叩き,基の箇所を1回叩く」,或いは「人差し指を1回,中指を2回,人差し指を1回動かす」という操作パターンが割り当てられている。この操作パターンは,上述したボタン操作に置換すると「baa又はabb」であるが,元のコンテンツに戻すという観点からは,右ボタンbの後に左ボタンaを押すというような方向性があるので,「baa」の方が好ましい。また,「音声出力ボリュームの増加」を表す特別コマンドには,「再生装置10の筐体11のある箇所(例えば第1の衝撃受付部62a)を1回叩いた後に,他の箇所(例えば第2の衝撃受付部62b)を連打する」,或いは「人差し指を1回動かした後に,中指を何度も動かす」という操作パターンが割り当てられている。この操作パターンは,上述したボタン操作に置換すると「abbb…」である。なお,音声出力ボリュームを増減する場合には,入力回数(叩いた回数)ではなく,入力時間(連続して叩いている時間)に基づいて音声出力ボリュームの増減量が決定される。
【0153】
上記のように,再生装置10の処理動作を指示する各コマンドに対して,異なる操作パターンがそれぞれ割り当てられている。この割り当てでは,上記例に示したように,再生装置10による音楽コンテンツの再生中に,ユーザが使用する頻度が高いコマンド(例えば,曲単位の再生切替コマンド,アルバム単位の再生切替コマンド,検索コマンドなど)に対して,入力操作が比較的容易な操作パターンが割り当てられている。これによって,ユーザは,当該高い頻度のコマンドを容易かつ迅速に入力できるので,便利である。なお,各コマンドに割り当てられた操作パターンは,例えば,ユーザの希望等に応じて変更可能となっている。
【0154】
以上のように,パターン記憶部18において,各コマンドと各操作パターンとが関連づけて記憶されている。上記コマンド生成部16は,このパターン記憶部18に記憶された操作パターンを利用して,ユーザ入力信号に応じたコマンドを生成する。
【0155】
具体的には,コマンド生成部16は,上記分析部14によって特定された入力パターンが入力されると,当該入力パターンと,パターン記憶部18に記憶されている上記複数の操作パターンとを比較して,当該複数の操作パターンのうち,当該入力パターンに一致する操作パターンを選択する。また,コマンド生成部16は,パターン記憶部18の上記テーブルを参照して,当該選択した操作パターンに対応する処理動作を表すコマンド(上記再生切替コマンド,検索コマンド,特別コマンド等)を生成する。
【0156】
さらに,コマンド生成部16は,生成した再生切替コマンドや特別コマンドを再生制御部20に出力し,コンテンツの再生切替や,再生装置10の各種の特別処理動作を実行するよう指示する。この結果,再生制御部20は,入力されたコマンドの種類に応じて,コンテンツの再生切替動作や,電源のオン/オフなどの特別処理動作を実行する。なお,上記特別処理動作を実行する制御部を再生制御部20とは別に設けてもよい。また,コマンド生成部16は,生成した検索コマンドを検索部40に出力し,コンテンツの検索モードを実行するよう指示する。この結果,検索部40は,検索コマンドの入力に応じて,後述する検索モードを実行する。
【0157】
<4.再生切替処理>
次に,再生制御部20によるコンテンツの再生切替処理について説明する。
【0158】
再生制御部20は,例えば,再生装置10の電源がオンされると,自動的に再生モードを実行するようになっている。この再生モードでは,再生制御部20は,予め設定されたプレイリストや候補リスト等に従って,コンテンツ記憶部22内の複数のコンテンツを自動的に選択して,順次,連続再生する。
【0159】
本実施形態にかかる再生装置10では,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数のコンテンツは,当該コンテンツの属性に応じて複数の大カテゴリ及び複数の小カテゴリに分類されて管理されている。例えば,音楽コンテンツの場合には,上記大カテゴリを音楽コンテンツのアーティスト名に設定し,上記小カテゴリを音楽コンテンツのアルバム名に設定することができる。1人のアーティストの大カテゴリの中には,そのアーティストに属する1又は2以上のアルバムの小カテゴリが含まれ,さらに,各アルバムの小カテゴリの中には,そのアルバムに属する複数の曲(音楽コンテンツ)が含まれている。これによって,コンテンツ記憶部22に記憶されている複数の音楽コンテンツを,音楽コンテンツの属性情報であるアーティスト名及びアルバム名単位で,階層化して分類・管理できる。
【0160】
この場合,再生モードでは,上記階層化された音楽コンテンツが,プレイリスト等に従って順次連続再生されることとなる。上記リスト記憶部46には,ユーザの嗜好等に応じて作成されたプレイリストが,再生モードでコンテンツを選択する際のデフォルトリストとして記憶されている。
【0161】
例えば,図14に示す例のプレイリストでは,アーティストAのアルバムAに属する曲A1〜A3,アーティストAのアルバムBに属する曲B1〜B4,アーティストBのアルバムCに属する曲C1〜C3の再生順で,音楽コンテンツ(曲)が配列されている。かかるプレイリストに従って再生モードを実行する場合,再生制御部20は,当該プレイリストの上位に位置する音楽コンテンツから順次,選択して,再生部30に対して再生指示して再生させる。
【0162】
かかる再生モードの実行中に,上記コマンド生成部16から再生切替コマンドが入力されると,再生制御部20は,再生切替コマンドの種類に応じて各種の再生切替動作を実行する。即ち,再生制御部20は,入力された再生切替コマンドの種類に応じて,再生されるコンテンツを,音楽コンテンツの曲単位,アルバム単位(上記小カテゴリ単位),或いはアーティスト単位(上記大カテゴリ単位)などで切り替える。
【0163】
例えば,アーティストA(大カテゴリ)のアルバムA(小カテゴリ)内の音楽コンテンツ(曲A1)の再生中に,「1曲単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)と同一のアルバムA内の次の音楽コンテンツ(曲A2)にトラックジャンプ(再生切替)して,再生させる。
【0164】
また,上記音楽コンテンツ(曲A1)の再生中に,「アルバム単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)と同一のアーティストAの次のアルバムB内の1番目の音楽コンテンツ(曲B1)にトラックジャンプして再生させる。
【0165】
また,もし,当該アーティストAの最後のアルバムB内の音楽コンテンツ(曲B1〜4のいずれか)を再生中に,「アルバム単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,当該アーティストAの最初のアルバムA内の1番目の音楽コンテンツ(曲A1)にトラックジャンプして,再生させる。なお,この場合には,当該アーティストAの次のアーティストBの最初のアルバムC内の1番目の音楽コンテンツ(曲C1)に,トラックジャンプするようにしてもよい。
【0166】
また,上記音楽コンテンツ(曲A1)の再生中に,「アーティスト単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)のアーティストAとは異なる次のアーティストBの最初のアルバムCの1番目の音楽コンテンツ(曲C1)にトラックジャンプして,再生させる。
【0167】
また,上記再生モードで使用されるプレイリストは,例えば,ユーザ嗜好のアーティストリストであってもよい。このユーザ嗜好のアーティストリストは,例えば,各アーティストのアルバムの過去の再生頻度に基づいて,各アーティストに優先順位をつけて配列して作成することができる。
【0168】
そして,再生制御部20は,上記「アーティスト単位の再生切替コマンド」の入力に応じて,当該ユーザ嗜好のアーティストリストの優先順位に従って,アーティスト単位でコンテンツを再生切替することができる。具体的には,再生制御部20は,上記「アーティスト単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,上記優先順位が一番高いアーティストの音楽コンテンツに再生切替し,その後,さらに「アーティスト単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,次に優先順位が高いアーティストの音楽コンテンツに再生切替するといったように,優先順位の高いアーティスト順にトラックジャンプさせる。これによって,ユーザの嗜好に応じて効率的にトラックジャンプさせて,ユーザの嗜好に合うアーティストの音楽コンテンツを迅速に再生することができる。
【0169】
<4.検索処理>
次に,本実施形態にかかる再生装置10における検索モードでの検索処理について説明する。
【0170】
上述したように,名称記憶部42には,コンテンツ記憶部22に保存されている音楽コンテンツに関する名称として,例えば音楽コンテンツの曲名,アルバム名及びアーティスト名等を表す名称データ(コンテンツ属性情報の一種)が記憶される。本実施形態にかかる再生装置10では,ユーザ入力に応じて,この音楽コンテンツに関する名称データを検索することができ,この結果,検索された名称データ単位でコンテンツを再生切替することで,ユーザ所望のコンテンツを迅速に選択して再生することができえる。
【0171】
まず,検索手法の概要について説明する。日本語には,「あ(a)」,「い(i)」,「う(u)」,「え(e)」,「お(o)」の5つの母音がある。そこで,図15に示すように,日本語の各文字を,その発音に応じて母音化して,5つの母音に割り当てる。即ち,「あ行」の文字「あ,か,さ,た,な,は,ま,や,ら,わ」は,母音「あ」に割り当て,「い行」の文字「い,き,し,ち,に,ひ,み,り」は,母音「い」に割り当て,「う行」の文字「う,く,す,つ,ぬ,ふ,む,ゆ,る」は,母音「う」に割り当て,「え行」の文字「え,け,せ,て,ね,へ,め,れ」は,母音「え」に割り当て,「お行」の文字「お,こ,そ,と,の,ほ,も,よ,ろ,を」は「お」に割り当てる。また,濁音(「が」等)や,半濁音(「ぱ」等)も上記と同様にして各母音に割り当てる。また,文字「ん」は子音であるが,例外的にそのまま「ん」として考える。しかし,かかる例に限定されず,この「ん」は検索時に文字として取り扱わずに無視するようにしてもよい。
【0172】
さらに,各母音と「ん」に対してそれぞれ異なる数字を関連づける。例えば,図15に示すように,母音「あ」には数字「1」を関連づけ,母音「い」には数字「2」を関連づけ,母音「う」には数字「3」を関連づけ,母音「え」には数字「4」を関連づけ,母音「お」には数字「5」を関連づけ,子音「ん」には「6」を関連づける。
【0173】
以上のようにすることによって,検索対象の全ての日本語の名称を,母音名称に変換(母音化)して,さらに,1から6の数字からなる数字列に変換できる。
【0174】
例えば,図16に示すようにアーティスト名を表す名称データ「さとう いちろう」は,母音名称データ「あおう いいおう」に母音化して変換でき,さらに,数字列「153 2253」に変換できる。ここでは,名称データとして,アーティスト名を変換する例を挙げたが,音楽コンテンツの曲名やアルバム名等の名称データも,上記と同様にして母音名称データ及び数字列に変換可能である。
【0175】
なお,英語名称である場合には,例えば,ローマ字読みして母音化もよい。具体的には,アーティスト名「telephone」を母音化する場合には,「て・れ・ふぉ・ん」のようにローマ字読みして,「ええおん」に母音化することができる。また,英語名称のその他の母音化の手法としては,例えば,英語名称からアルファベットの「a」「i」「u」「e」「o」の文字だけを抽出する手法(例えば,上記「telephone」の例では,アルファベット「e・e・o」が抽出されて,「ええお」に母音化される。)や,英語の発音記号を母音として考える手法などがある。
【0176】
以上のように,名称を母音化及び数字列化することによって,再生装置10において,ユーザが再生を所望する音楽コンテンツを,上記のような曲名,アルバム名,アーティスト名等の名称データを利用して検索する場合には,上記母音名称データに対応する数字列を入力することによって,簡単かつ迅速に検索が可能となる。
【0177】
例えば,「さとう いちろう」というアーティストの音楽コンテンツを検索する場合,ユーザは,「153 2253」を入力すればよい。「1」〜「6」の数字をn回入力する場合,同じ結果が出る確率は,1/6である。このため,例えば,アーティスト名「さとう いちろう」を検索する場合,名字の「さとう」に対応する「152」だけを入力しても,「さとう」を母音化した「あおう」以外が検索される確率は,1/6=1/216であり,「さとう いちろう」を特定できる可能性が高い。
【0178】
そこで,上記検出部12により検出されたユーザ入力信号を分析部14によって分析して,入力パターンを特定し,さらにこの入力パターンを上記数字列に変換して母音名称データ化することで,アーティスト名等の名称データを,簡単な入力操作で検索可能になる。例えば,図16に示すように,上記アーティスト名「さとう」を検索する場合,上述した2つのボタンa,bからなるボタン操作で置換して考えると,ボタンaを1回,ボタンbを5回,ボタンaを3回入力する操作を行えば,「さとう」を母音化した「あおう」に対応する「153」なる数字列を入力でき,「あおう」に該当するアーティスト名を検索するよう指示することができる。
【0179】
次に,図17に基づいて,上述したような名称データの母音化手法を利用した検索処理を行う検索部40の構成について詳細に説明する。なお,図17は,本実施形態にかかる再生装置10の検索部40の機能構成を示すブロック図である。
【0180】
図17に示すように,検索部40は,上記コマンド生成部16から検索コマンドが入力されると,名称記憶部42内の名称データを検索して,名称データの検索結果を表す候補リストを作成して,再生制御部20に出力する。この検索部40は,母音変換部402と,母音生成部404と,抽出部406と,リスト作成部408と,タイマー409とを備える。
【0181】
母音変換部402は,名称記憶部42に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する。詳細には,上述したように,名称記憶部42には,音楽コンテンツに関連する名称として,例えば,各音楽コンテンツの曲名,アルバム名,アーティスト名などの名称データが保存されている。母音変換部402は,上記名称記憶部42に記憶されている複数の名称データを読み出して,当該名称データのそれぞれを,第1の母音名称データに変換する。この母音変換処理は,上記図15及び図16で説明したような,名称の母音化手法で行われる。
【0182】
また,このときの変換対象の名称データとしては,例えば,上記音楽コンテンツの曲名,アルバム名,アーティスト名のうちの一部又は全部であってよいが,検索対象の名称に対応するものだけを変換することが効率的である。以下の説明では,例えば,主にアーティスト名が検索対象である例について説明するが,この例の場合,母音変換部402は,名称記憶部18内の複数のアーティスト名を,それぞれ第1の母音名称データに母音変換する。さらに,母音変換部402は,変換した複数の第1の母音名称データを,抽出部406に出力する。
【0183】
なお,上記母音変換部402による変換処理は,検索モードが実行された後に,名称記憶部42から名称データを読み出して第1の母音名称データに変換してもよい。或いは,母音変換部402は,検索モードが実行される前(例えば,再生モード中)に予め,名称記憶部42から読み出した名称データを第1の母音名称データに変換し,この第1の母音名称データを名称記憶部42等に保存しておいてもよい。このように予め変換しておくことにより,検索モード実行時には,母音変換部402は,名称記憶部42から,変換後の複数の第1の母音名称データを読み出して,そのまま抽出部406に出力することができるので,何度も変換する手間を省略でき,効率的である。
【0184】
母音生成部404は,上記分析部14によって特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成し,抽出部406に出力する。
【0185】
詳細には,検索モードが実行されると,ユーザは,自己の所望する検索対象の名称(例えばアーティスト名)の母音名称を表すような入力操作を,再生装置10に対して行う。この入力操作は,上述したように,例えば,再生装置10の筐体11を叩いて外的衝撃を加えたり,筋電位センサが取り付けられた腕の指を動かして筋電位を変化させたりすることによってなされる。例えば,上記アーティスト名「さとう」を検索したい場合において,例えば,加速度センサ60を利用するときには,ユーザは,「再生装置10の筐体11の衝撃受付部62a(ボタンaに相当)を1回叩き,衝撃受付部62b(ボタンbに相当)を5回叩き,衝撃受付部62を3回叩く」という入力操作を行う。また,筋電位センサ80を利用するときには,ユーザは,「人差し指を1回動かし,中指を5回動かし,人差し指を3回動かす」という入力操作を行う。このような入力操作によって,「さとう」を母音化した母音名称「あおう」に対応する数字列「153」を入力できる。
【0186】
すると,上記加速度センサ60や筋電位センサ80で構成された検出部12は,上記のような入力操作に応じた外的衝撃,又は筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する。さらに,上記分析部14は,例えば,当該ユーザ入力信号に含まれる外的衝撃又は筋電位の変化の位置及び回数に基づいて,当該ユーザ入力信号を分析して入力パターンを特定する。この入力パターンは,上記のような検索対象の名称に対応した数字列を表すものである。分析部14は,このように特定した入力パターンを母音生成部404に出力する。
【0187】
この結果,母音生成部404は,上記分析部14から入力された入力パターンを数字列に変換し,さらに当該変換された数字列を母音列に変換することによって,第2の母音名称データを生成する。具体的には,母音生成部404は,図16に示したように,まず,上記ユーザの入力操作に応じた外的衝撃の回数又は筋電位の変化の回数(ボタンa,bの入力回数)等を表す入力パターンを解析して,当該入力パターンを,例えば「153」等の数字列に変換する。さらに,母音生成部404は,当該変換された数字列「153」に含まれる各数字を,その数字に対応する母音に変換することによって,当該変換された数字列「153」を母音列「あおう」に変換する。母音生成部404は,このようにして変換された母音列「あおう」を,検索対象の名称に応じた第2の母音名称データとして,抽出部406に出力する。
【0188】
また,例えば,母音生成部404は,上記のようにして生成した第2の母音名称データを通知部48にも出力する。通知部48は,この第2の母音名称データをユーザに通知する。この通知処理では,例えば,第2の母音名称データの母音列(例えば「あおう」)を表示装置107に表示してもよいし,或いは,第2の母音名称データの母音列(例えば「あおう」)を音声出力装置110から音声出力してもよい。かかる通知処理によって,ユーザは,自身の入力操作が,検索対象の名称を検索指示するための正しい操作であったか否かを確認できる。
【0189】
抽出部406は,上記母音変換部402から入力された複数の第1の母音名称データと,上記母音生成部404から入力された1つの第2の母音名称データとを比較する。さらに,抽出部406は,この比較結果に基づいて,上記複数の第1の母音名称データの中から,上記第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出して,リスト作成部408に出力する。
【0190】
この抽出部406による比較・抽出処理では,例えば,第1の母音名称データの文字列のうち,第2の母音名称データの文字数(例えば3文字)に応じた分の文字列(例えば先頭から3文字)が比較対照となる。これによって,ユーザは,アーティスト名の全てを入力しなくても,例えば名字だけを入力することによって,検索指示することが可能となる。
【0191】
また,当該比較・抽出処理では,例えば,上記第2の母音名称データ(例えば「あおう」)に一致する第1の母音名称データ(例えば「あおう」)だけを抽出するようにしてもよい。これにより,検索の正確性を向上でき,検索ノイズを低減できるというメリットがある。
【0192】
或いは,上記比較・抽出処理では,上記第2の母音名称データ(例えば「あおう」)に一致する第1の母音名称データだけでなく,所定の類似度で類似する第1の母音名称データ(例えば「あおい」)も抽出するようにしてもよい。ここで,上記「所定の類似度で類似する」とは,例えば,第1の母音名称データと第2の母音名称データとが,第2の母音名称データの全体文字数のうち所定割合以上(例えば75%以上)の文字数で一致している場合などである。このように,類似するものまでも抽出すれば,ユーザの入力ミス(例えば,1回多く再生装置10を叩いた,或いは,1回多く人差し指を動かした等)を補償することができる。
【0193】
なお,本実施形態にかかる抽出部406は,第1の母音名称データと第2の母音名称データとを相互に比較したが,かかる例に限定されない。例えば,抽出部406は,第1の母音名称データに対応する数字列と,第2の母音名称データに対応する数字列とを比較してもよい。この場合には,抽出部406は,上記母音変換部402で変換された第1の母音データを数字列に変換するとともに,上記母音生成部404から第2の母音名称データに対応する数字列の入力を受けることによって,双方の数字列を比較することができる。
【0194】
リスト作成部408は,上記抽出部406によって抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成する。この候補リストは,検索部40による検索結果を表すリストであり,ユーザ入力された検索対象の名称データに一致/類似する1又は2以上の名称データを含むものである。
【0195】
具体的には,例えば,上記母音変換部402は,名称記憶部42から読み出した名称データを第1の母音名称データに変換した後にも,変換元の名称データと,変換後の第1の母音名称データとを関連づけて記憶させている。例えば,母音変換部402は,変換前の名称データと変換後の第1の母音名称データとを,名称記憶部42に関連づけて保存してもよいし,或いは,バッファ103等に一時記憶しておいてもよい。このため,リスト作成部408は,上記抽出部406から,1又は2以上の第1の母音名称データが入力されると,当該各第1の母音名称データ(例えば「あおう いいおう」)の変換元の名称データ(例えば「さとう いちろう」)を,名称記憶部42等から読み出して取得できる。
【0196】
これにより,リスト作成部408は,上記抽出された第1の母音名称データの変換元の名称データ(例えばアーティスト名)をリスト化して,候補リスト(例えば候補アーティストリスト)を作成できる。
【0197】
この候補リスト作成時には,リスト作成部408は,例えば,抽出部406によって比較された第1の母音名称データと第2の母音名称データの類似度(例えば,一致する文字数の割合)に応じた順序で,抽出された第1の母音名称データの変換元のアーティスト名を配列して,例えば候補アーティストリストを作成する。
【0198】
これにより,例えば,候補アーティストリストの最上位には,検索対象である第2の母音名称データ(例えば「あおう」)と一致する第1の母音名称データ(例えば「あおう ○○○○」)に対応する1又は2以上のアーティスト名(例えば「さとう いちろう」,「かとう じゅんいちろう」,「さとう たろう」等)が配列される。次いで,当該候補リストの次位には,第2の母音名称データ(例えば「あおう」)と類似する第1の母音名称データ(例えば「あおい ○○○○」)に対応する1又は2以上のアーティスト名(例えば「さとい じろう」,「さとみ だいすけ」等)が,類似度に応じた順序で配列される。
【0199】
このようにして,リスト作成部408は,検索部40による検索結果を表す候補リストを作成し,この候補リストを再生制御部20に出力する。また,タイマー409は,このリスト作成部408によって候補リストが作成された時からの経過時間,または当該候補リストに従ってコンテンツが再生開始された時からの経過時間を計測する。
【0200】
以上のようにして,検索部40は,ユーザの所望する検索対象の名称を検索し,検索結果である候補リストを再生制御部20に出力する。再生制御部20は,上記リスト作成部408から入力された候補リストに従って,コンテンツ記憶部22内のコンテンツを順次,連続再生するよう再生部30を制御する。
【0201】
上述したように,通常の再生モード時には,再生制御部20は,上記プレイリストに従って複数のコンテンツを順次再生している。しかし,検索モード終了後の所定期間には,再生制御部20は,上記作成された候補リストに含まれる1又は2以上の曲名,アルバム名若しくはアーティスト名に対応する複数のコンテンツを順次再生するよう制御する。この際,候補リストが,1又は2以上のアルバム名若しくはアーティスト名のリストである場合には,再生制御部20は,当該アルバム名若しくはアーティスト名に属する音楽コンテンツを,例えば,ランダムな順序で,或いは,予め定められた順序に従って(例えば,上記プレイリスト内の対応するアーティストの部分を利用するなどして),再生するよう制御する。
【0202】
さらに,再生制御部20は,再生制御部20は,上記候補リストに従って,音楽コンテンツの曲単位,アルバム単位またはアーティスト単位で,再生される音楽コンテンツを切り替える。具体的には,再生制御部20は,上記のように候補リストに従って音楽コンテンツを連続再生しているときに,上記コマンド生成部16から再生切替コマンドが入力されると,上記候補リストにリスト化されている曲順,アルバム順またはアーティスト順に従って,再生される音楽コンテンツを切り替える。例えば,アーティスト単位での再生切替コマンドが入力された場合には,候補リストの次の順位のアーティストの音楽コンテンツにトラックジャンプして再生させる。
【0203】
このように候補リストに従って再生切替(トラックジャンプ)することで,ユーザは,再生切替後の音楽コンテンツを順次視聴して,上記検索結果として複数の名称(例えばアーティスト名)を含む候補リストの中から,ユーザが所望している名称(例えばアーティスト名)に属する音楽コンテンツを探し出すことができる。
【0204】
さらに,再生制御部20は,上記タイマー409の経過時間が所定の検索猶予時間以内である場合には,検索モードが継続中であるので,上記候補リストに従って,再生される音楽コンテンツを切り替える。一方,上記タイマー409の経過時間が上記検索猶予時間を超えている場合には,再生制御部20は,検索モードが終了し通常の再生モードに移行しているので,上記リスト設定部44により予め設定されてリスト記憶部46に保存されているプレイリストに従って,再生される音楽コンテンツを切り替える。
【0205】
このようにタイマー409の経過時間が上記所定の検索猶予時間(例えば3分)以内であれば,候補リストの作成後,或いは候補リストに基づくコンテンツ再生開始後,あまり時間が経過していないことになる。このときには,ユーザは,コンテンツの再生切替操作を何度か行って,例えば,再生されるコンテンツを,上記検索結果である候補リスト内のアーティスト単位で,順次切り替えて聴取しているといったように,自己が検索を所望したアーティストのコンテンツを探索している途中である可能性がある。
【0206】
従って,再生制御部20は,タイマー409が上記所定の検索猶予時間内である場合には,ユーザの探索時間を確保するために,検索モードを終了させずに,候補リストに従って再生切替を行う。一方,タイマー409が上記所定の検索猶予時間を超えた場合には,再生制御部20は,既定のプレイリストに従って再生切替を行う。なお,上記所定の検索猶予時間は,ユーザが,再生されるコンテンツを切り替えて順次視聴することによって,候補リスト内の複数の名称データの中から検索対象の名称データに対応するコンテンツを探索するために必要な時間(例えば3分)に設定される。
【0207】
以上,本実施形態にかかる検索部40の構成と,この検索部40の検索結果に応じてコンテンツを再生制御する手法について詳細に説明した。
【0208】
以上のような検索処理によれば,母音名称データを利用して,再生装置10に記憶されているコンテンツに関する名称を検索するので,検索処理を効率的に実行できるとともに,入力すべき検索キーワードを単純化できる。従って,再生装置10の筐体11を指で叩く,或いは,筋電位センサ80が装着された腕の指を動かすといった簡単な入力操作であっても,必要な検索結果を得ることができる。よって,検索を行うためのユーザ入力手間を大幅に低減できる。また,類似する名称データも検索できるので,ユーザの入力ミスを補償できる。
【0209】
さらに,検索結果である候補リストに基づいて再生切替することで,ユーザは,再生装置10の表示装置107等で検索結果を閲覧しなくても,再生切替されるコンテンツを順次聴取するだけで,検索結果の1又は2以上の候補名称の中から,真の検索対象の名称のコンテンツを見つけだすことができる。
【0210】
このように,本実施形態にかかる再生装置10を利用すれば,ユーザは,指先を動かすという小さい動作による簡単な操作で,コンテンツの検索指示および検索結果の確認ができる。従って,再生装置10を取り出して操作したり,表示装置107を閲覧したりすることが困難な場所(満員電車内など)で検索を行いたい場合などに,特に有益である。
【0211】
なお,上記では,検索部40は,主に,アーティスト名で検索して,検索結果として候補アーティストリストを出力する例について説明したが,かかる例に限定されない。例えば,検索部40は,音楽コンテンツの曲名で検索して,検索結果の曲名のリストである候補曲リストを検索結果として出力し,再生制御部20は,この候補曲リストに従って,コンテンツ単位で再生切替(曲単位のトラックジャンプ)するようにしてもよい。或いは,音楽コンテンツのアルバム名で検索して,検索結果のアルバム名のリストである候補アルバムリストを検索結果として出力し,再生制御部20は,この候補アルバムリストに従って,アルバム単位で再生切替(アルバム単位のトラックジャンプ)するようにしてもよい。
【0212】
<5.再生装置の基本処理フロー>
次に,本実施形態にかかる再生装置10の処理フローについて説明する。まず,図18及び図19に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10における基本的な処理フローについて説明する。なお,図18は,本実施形態にかかる再生装置10における基本的な処理フローを示すフローチャートであり,図19は,本実施形態にかかる再生装置10におけるコマンドの種類に応じた処理フローの概要を示すフローチャートである。
【0213】
図18に示すように,まず,ステップS10では,ユーザによって再生装置10の電源がオンされる(ステップS10)。例えば,再生装置10の上記電源ボタン71(図4,図7,図9等参照)が押下されると,再生装置10の電源がオンとなる。なお,この電源ボタン71は,例えば,電源のオン/オフ切替(例えば,電源オンの状態で電源ボタン71を長押しするとオフになる。),再生開始(電源オンの状態で電源ボタン71をもう一回押下する。),再生停止(再生モード中に電源ボタン71押下する。)させる操作ボタンとしても使用可能である。
【0214】
次いで,ステップS12では,再生装置10によって再生モードが実行される(ステップS12)。例えば,再生装置10は,電源がオンになる(或いは,例えば,再生ボタンが押下される,電源ボタン71が再度押下される)と,上述した再生モードを自動的に実行し,前回の再生時に再生していた音楽コンテンツの先頭から開始して,設定されたプレイリストに従って,順次,連続再生する。このように,再生装置10は,電源がオンの状態で,かつ,特別なユーザ入力操作がない限り,音楽コンテンツを継続的に再生する再生モードを実行している。この再生モードは,ユーザ入力操作待ちという観点では待機モードとなる。
【0215】
さらに,ステップS14では,上記再生モードの実行中に,再生装置10に対するユーザ入力操作があると,検出部12は,当該ユーザ入力操作に伴うユーザ入力信号を検出する(ステップS14)。例えば,ユーザが,再生装置10の筐体11の衝撃受付部62を叩いて,再生装置10に対して外的衝撃を加えると,加速度センサ60等によって,当該外的衝撃に伴う振動をユーザ入力信号として検出する。或いは,ユーザが,例えば,手の指を動かすと,ユーザの手首に装着された筋電位センサ80によって,当該手首の筋電位の変化をユーザ入力信号として検出する。
【0216】
その後,ステップS16では,分析部14は,上記ステップS14で検出されたユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する(ステップS16)。例えば,分析部14は,上記ユーザ入力信号に含まれる外的衝撃や筋電位の変化の大きさ,時間間隔,位置若しくは回数などに基づいて当該ユーザ入力信号を分析して,ユーザ入力操作に対応する入力パターンを特定する。この入力パターンは,上述したように,例えば,2つのボタン操作a,bに置換することもできる。
【0217】
次いで,ステップS18では,コマンド生成部16は,上記ステップS16で特定された入力パターンに対応するコマンドを生成する(ステップS18)。詳細には,コマンド生成部16は,上記ステップS16で特定された入力パターンと,パターン記憶部18に記憶されている複数の操作パターンとを比較し,当該複数の操作パターンのうち,上記入力パターンに一致する操作パターンを特定する。さらに,コマンド生成部16は,上記特定した操作パターンに対応する処理動作を表すコマンドを生成し,当該コマンドを再生装置10の各部(例えば再生制御部20又は検索部40)に出力する。なお,本ステップS18で,入力パターンに一致する操作パターンが設定されていないと判断された場合には,ユーザ入力に誤りがあったと判断され,例えばエラー通知を行って,上記再生モード(ステップS12)を続行する。
【0218】
さらに,ステップS20では,再生装置10の各部によって,上記ステップS18で生成されたコマンドに対応する処理が実行される(ステップS20)。ここで,このステップS20の処理について図19に基づいて具体的に説明する。
【0219】
上記コマンドの種類としては,上述したように,コンテンツの再生切替(トラックジャンプ)を指示する再生切替コマンドと,検索モードの実行を指示する検索コマンドと,その他の処理(電源オフ等)を指示する特別コマンドなどがある(図12及び図13参照)。
【0220】
そこで,図19に示すように,再生装置10は,上記のようにして生成されたコマンド(ステップS18)が,再生切替コマンドである場合(ステップS202)には,再生切替コマンドの種類に応じた再生切替処理を実行する(ステップS30)。また,当該コマンドが,検索コマンドである場合(ステップS204)には,例えば,検索モードを実行する旨をユーザに対して音声又は表示で通知した後(ステップS205),検索モードを実行する(ステップS40)。また,当該コマンドが,特別コマンドである場合(ステップS206)には,特別コマンドの種類に応じた特別処理を実行する(ステップS50)。なお,上記いずれのコマンドにも該当しない場合には,ステップS12に戻り再生モードを継続する。
【0221】
図18に戻り,上記ステップS20での処理終了後には,電源がオフでなければ(ステップS22),上記ステップS12に戻り,再生モードを継続実行し,コンテンツを順次連続再生する。また,電源がオフされた場合には(ステップS22),再生装置10の全ての処理動作を終了する。
【0222】
<6 再生切替処理フロー>
次に,図20に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10における再生切替処理(上記図19のステップS30)の詳細なフローについて説明する。なお,図20は,本実施形態にかかる再生装置10における再生切替処理フロー(再生制御方法)を示すフローチャートである。
【0223】
図20に示すように,この再生切替処理では,概略的には,まず,再生切替コマンドの種類を判別し(ステップS300),この結果,曲単位の再生切替コマンドである場合には,曲単位での再生切替を行い(ステップS304),一方,アルバム単位又はアーティスト単位での再生切替コマンドである場合には,アルバム単位又はアーティスト単位での再生切替を行い(ステップS318),再生モード(ステップS12)に戻る。このアルバム単位又はアーティスト単位での再生切替では,上述したタイマー409の経過時間に応じて,既定のプレイリストの一例であるユーザ嗜好のアーティストリストに従って再生切替するか(ステップS314),検索モードで作成された候補リストに従って再生切替するか(ステップS316)が異なる点が特徴的である。以下に,この再生切替処理の各ステップについて詳述する。
【0224】
まず,ステップS300では,再生制御部20は,上記図18のS18で生成された再生切替コマンドの種類を判別する。(ステップS300)。具体的には,再生制御部20は,入力された再生切替コマンドが,例えば,音楽コンテンツの曲単位の再生切替コマンド,アルバム単位の再生切替コマンド,またはアーティスト単位の再生切替コマンドのいずれであるかを判別する。
【0225】
このステップS300での判別の結果,音楽コンテンツの曲単位の再生切替コマンドであると判別された場合には,ステップS302に進み,通知部48によって,曲単位の再生切替を行う旨をユーザに通知する(ステップS302)。なお,この通知処理は必ずしも行われなくてもよい。
【0226】
さらに,ステップS304では,再生制御部20は,再生される音楽コンテンツを曲単位で再生切替(曲単位のトラックジャンプ)する(ステップS304)。例えば,図14に示したようなプレイリストに従う再生モードの実行中に,「1曲単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)と同一のアルバムA内の次の音楽コンテンツ(曲A2)に再生切替する。この結果,再生部30は,切替後の音楽コンテンツ(曲A2)の先頭から再生を開始し,再生モードに戻る(ステップS12)。なお,複数曲単位の再生切替コマンドが入力された場合には,再生制御部20は,複数曲単位で再生切替(例えば2曲単位でトラックジャンプ)する。
【0227】
一方,上記ステップS300での判別の結果,音楽コンテンツのアルバム単位若しくはアーティスト単位の再生切替コマンドであると判別された場合には,ステップS310に進み,通知部48によって,アルバム単位若しくはアーティスト単位の再生切替を行う旨をユーザに通知する(ステップS310)。なお,この通知処理は必ずしも行われなくてもよい。
【0228】
次いで,ステップS312では,再生制御部20は,上記タイマー409の経過時間が,上記所定の検索猶予時間以内であるか否かを判定する(ステップS312)。上述したように,検索部40による検索モード実行後には,タイマー408によって,候補リストが作成された時,若しくは候補リストに従って音楽コンテンツが再生開始された時からの経過時間が計測されている。この経過時間が,所定の検索猶予時間(例えば3分)である場合には,ユーザが候補リストを利用して所望のアーティスト等を探索中であると考えられるので,候補リストを有効にしておく必要がある。
【0229】
そこで,このステップS312での判定の結果,上記タイマー409の経過時間が上記検索猶予時間を超えている場合や,タイマー40が経過時間を計測していない場合には,再生制御部20は,既存のプレイリスト,例えば,ユーザ嗜好のアーティストリストを,アルバム単位若しくはアーティスト単位の再生切替を行う基準となるデフォルトリストに設定する(ステップS314)。このユーザ嗜好のアーティストリストは,例えば,それまで再生モードに使用されていたプレイリストのアーティスト部分等を抽出して作成されたものであってもよいし,或いは,ユーザ入力若しくはアルバムごとの再生頻度などに基づいて,ユーザの嗜好に合致するアーティストを再生頻度が高い順に配列して作成されたものであってもよい。
【0230】
一方,上記ステップS312での判定の結果,上記タイマー409の経過時間が上記検索猶予時間以内である場合には,再生制御部20は,検索部40により作成された候補リスト,例えば候補アーティストリストを,当該デフォルトリストに設定する(ステップS316)。
【0231】
その後,ステップS318では,再生制御部20は,上記設定されたデフォルトリストに従って,再生される音楽コンテンツを,アルバム単位若しくはアーティスト単位で再生切替(アルバム,アーティスト単位のトラックジャンプ)する(ステップS318)。
【0232】
例えば,上記ステップS314で,図14に示したような一般的なプレイリストがデフォルトリストに設定された場合を考える。この場合,再生制御部20は,再生モードの実行中に,「アルバム単位の再生切替コマンド」が入力された時には,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)と同一のアーティストAの次のアルバムB内の1番目の音楽コンテンツ(曲B1)にトラックジャンプして再生させる。この結果,再生部30は,切替後の音楽コンテンツ(曲B1)の先頭から再生を開始し,上記再生モードに戻る(ステップS12)。また,例えば,「アーティスト単位の再生切替コマンド」が入力された場合には,再生制御部20は,再生中の音楽コンテンツ(曲A1)のアーティストAとは異なる次のアーティストBの最初のアルバムCの1番目の音楽コンテンツ(曲C1)にトラックジャンプして再生させる。この結果,再生部30は,切替後の音楽コンテンツ(曲C1)の先頭から再生を開始し,上記再生モードに戻る(ステップS12)。
【0233】
一方,上記ステップS316で,候補アーティストリストがデフォルトリストに設定された場合には,再生制御部20は,上記設定された候補アーティストリストに従って,再生される音楽コンテンツを,アルバム単位若しくはアーティスト単位で再生切替する。これにより,ユーザは,検索結果である候補アーティストリスト内のアーティストの音楽コンテンツを聴取して,所望のアーティストのコンテンツを探すことができる。
【0234】
<7 検索処理フロー>
次に,図21に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10における検索モード(上記図19のステップS40)の詳細なフローについて説明する。なお,図21は,本実施形態にかかる再生装置10における検索モードの処理フロー(検索方法)を示すフローチャートである。
【0235】
図21に示すように,まず,ステップS400では,上記検索モードへの移行後に,再生装置10に対するユーザ入力操作があると,検出部12は,当該ユーザ入力操作に伴うユーザ入力信号を検出する(ステップS400)。例えば,ユーザが,再生装置10の筐体11の衝撃受付部62を叩いて,再生装置10に対して外的衝撃を加えると,加速度センサ60等によって,当該外的衝撃に伴う振動をユーザ入力信号として検出する。或いは,ユーザが,例えば,手の指を動かすと,ユーザの手首に装着された筋電位センサ80によって,当該手首の筋電位の変化をユーザ入力信号として検出する。このような入力操作では,ユーザは,自身が検索を所望する名称データ,例えば,検索を所望するアーティスト名の母音名称(数字列)を表す入力操作を行う。
【0236】
例えば,ユーザがアーティスト名「さとう いちろう」の検索を所望する場合,アーティスト名のフルネームに相当する母音名称「あおう いいろう」に対応する操作入力を行ってもよいし,或いは,アーティスト名の一部,例えば名字(Family Name)に相当する「あおう」に対応する操作入力のみを行ってもよい。後者の場合には,後で,名前(First Name)を追加入力して,正確な検索を実行することが可能である。
【0237】
次いで,ステップS402では,分析部14が,上記ステップS400で検出されたユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する(ステップS402)。例えば,分析部14は,上記ユーザ入力信号に含まれる外的衝撃又は筋電位の変化の大きさ,時間間隔,位置若しくは回数などに基づいて当該ユーザ入力信号を分析して,ユーザ入力操作に対応する入力パターンを特定する。この入力パターンは,上述したように,例えば,2つのボタン操作a,bに置換することもできる。
【0238】
さらに,ステップS404では,上記検索部40の母音生成部404が,上記ステップS402で特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する(ステップS404)。例えば,母音生成部404は,例えば,図16に示したように,上記ボタン操作a,bに置換された入力パターンを,数字列(例えば,「153」)に変換し,さらにこの数字列を母音列に変換して,検索対象のアーティスト名(例えば「さとう」)に対応する第2の母音名称データ(例えば「あおう」)を生成する。
【0239】
また,ステップS406では,上記母音変換部402が,名称記憶部42に予め記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する(ステップS406)。本実施形態では,例えば,アーティスト名を用いて検索するので,本ステップS404では,名称記憶部42に記憶されている複数のアーティスト名(例えば「さとう いちろう」)が,母音変換されて第1の母音名称データ(例えば「あおう いいおう」)となる。
【0240】
なお,このステップS406の母音変換ステップは,上記ステップS400のユーザ入力検出ステップ後(つまり検索モードに移行後)であって,上記ステップS404の母音生成ステップ処理よりも前に実行されてもよいし,或いは,上記ステップS400の入力検出ステップ前(つまり検索モード移行前)に予め実行されていてもよい。
【0241】
次いで,ステップS408では,上記抽出部406は,上記ステップS406で変換された複数の第1の母音名称データと,上記ステップS404で生成された第2の母音名称データとを比較する。(ステップS408)。この比較の結果,抽出部406は,当該第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する。本実施形態では,第2の母音名称データ(例えば「あおう」)に完全に一致する第1の母音名称データだけでなく,上記所定の類似度以上で第2の母音名称データに類似する第1の母音名称データ(例えば「あおい」)も抽出される。なお,一致/類似する第1の母音名称データが一つもない場合には,その旨をユーザに通知して,ユーザの再入力を促すようにしてもよい。
【0242】
さらに,ステップS410では,上記リスト作成部408は,上記ステップS408で抽出された1又は2以上の第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リスト,例えば候補アーティストリストを作成する(ステップS410)。上述しように,リスト作成部408は,例えば名称記憶部42を参照するなどして,上記抽出された第1の母音名称データに対応する変換元の名称データをそれぞれ取得して,候補アーティストリストを作成可能である。
【0243】
この候補アーティストリストは,上記ステップS408での比較結果に応じて,母音名称データの類似度(マッチング度)が高いアーティスト名から順に配列される。例えば,入力された第2の母音名称データと完全に一致している第1の母音名称データに対応するアーティスト名は,候補アーティストリストの上位に配置され,入力された第2の母音名称データと部分的に一致する(即ち,類似する)第1の母音名称データに対応するアーティスト名は,上記完全に一致するものの下位に,その類似度に応じた順序で配列される。このように作成された候補アーティストリストは,例えば,通知部48によって,ユーザに通知(表示又は音声出力)される。
【0244】
その後,ステップS412では,例えば再生制御部20は,上記作成された候補アーティストリスト内に,入力された第2の母音名称データと完全に一致している第1の母音名称データに対応するアーティスト名が1つだけ含まれているか否かを判定する(ステップS412)。
【0245】
この判定の結果,候補アーティストリスト内に,当該アーティスト名が1つだけしか含まれていない場合には,ユーザが所望する検索対象のアーティストが特定されたことになる。この場合は,例えば,ユーザがアーティスト名「さとう いちろう」の検索を所望して,このアーティストの名字の母音名称「あおう」を入力した場合に,当該母音名称「あおう」に完全に一致するアーティスト名が「さとう いちろう」しか検索されなかった場合などである。
【0246】
そこで,かかる場合には,ステップS416に進み,再生制御部20は,ユーザ確認をすることなく自動的に,そのアーティストの最初のアルバムの第1番目の音楽コンテンツ(曲)を再生開始し(ステップS416),タイマー409を設定する(ステップS418)。このタイマー409の設定により,作成された候補アーティストリストに従う音楽コンテンツの再生開始時からの経過時間が計測され,この経過時間は,前述の再生切替に関するデフォルトリストの設定基準として利用される。その後は,上記再生モードに戻り(ステップS12),検索モード(ステップS40)を終了する。
【0247】
一方,ステップS412での判定の結果,候補アーティストリスト内に,上記完全に一致しているアーティスト名が2つ以上含まれていると判定された場合には,ステップS414に進む。この場合は,例えば,上記のような例で,上記母音名称「あおう」に完全に一致するアーティスト名が,検索対象のアーティスト名である「さとう いちろう」だけでなく,その他の「かとう たろう」,「さとう ゆうじ」なども検索された場合などである。
【0248】
そこで,かかる場合には,候補アーティストリスト内の最上位のアーティストを選択することの是非に関し,ユーザの確認の有無を判定するために,ユーザによる確認を表す入力操作を待つ(ステップS414)。上記のように,作成された候補アーティストリストの内容を,表示又は音声出力等してユーザ通知することで,ユーザは,候補リスト内の最上位のアーティストを認識して,その是非を確認可能である。
【0249】
このステップS414での判定の結果,ユーザによる確認を表す入力操作が検出されない場合には,ユーザは上記最上位のアーティストには満足していないと考えられるので,ステップS400に戻り,例えば,ユーザによるアーティストのフルネームの追加入力を検出する,又は他のアーティスト名の再入力を検出する等して,ユーザ確認が得られるまで,上述した検出処理を繰り返す(S400〜S414)。
【0250】
一方,上記ステップS414での判定の結果,ユーザが,例えば,再生装置10の筐体11を強く叩く,或いは筋電位センサ80が装着された手の指を大きく動かすなどして,確認を表す入力操作をした結果,かかる入力操作を検出した場合には,ステップS416に進む。この結果,上記と同様に,再生制御部20は,候補リストの最上位のアーティストの最初のアルバムの第1番目の音楽コンテンツ(曲)を再生開始し(ステップS416),タイマー409を設定した後(ステップS418),上記再生モードに戻る(ステップS12)。
【0251】
なお,ステップS414のユーザ確認の有無の判定処理は,上記の例のような特別なユーザ入力操作を検出する手法に限定されず,多様に設計変更可能である。例えば,ユーザによる追加入力操作が所定期間ないことをタイマー409でチェックして,「ユーザ確認」有りと判定するようにしてもよい。つまり,例えば,候補アーティストリストをユーザに通知(表示等)してから所定時間(例えば3秒)が経過しても,何らのユーザ入力操作も検出されない場合には,ユーザが黙示的に合意しており,「ユーザ確認」有りと判断して,ステップS416に進むようにし,一方,何らかのユーザ入力操作が検出された場合には,ユーザによる追加入力があるので「ユーザ確認」無しと判断して,ステップS400に戻るようにしてもよい。また,この手法の他にも,候補アーティストリストに含まれる完全に一致するアーティストが所定の適当数(例えば3つ)以下に絞られた場合に,「ユーザ確認」有りと判定するようにしてもよい。
【0252】
次に,図22に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10における検索モード(上記図19のステップS40)の詳細なフローの別の例について説明する。なお,図22は,本実施形態にかかる再生装置10における検索モードの処理フロー(検索方法)の別の例を示すフローチャートである。
【0253】
図22に示す検索処理フローの概要について説明する。この検索処理フローでは,ユーザが,検索対象の名称(例えばアーティスト名)に対応する母音名称を先頭から1文字ずつ入力するような入力操作を行う度毎に(即ち,当該母音名称の母音列に対応する数字列の各数字を入力するような入力操作を行う度毎に),候補アーティストリストを更新作成して,検索結果である候補アーティストリスト内のアーティストを徐々に絞っていき,この結果,候補アーティストリスト内のアーティスト数が所定数以下(例えば3人以下)となったときに,候補アーティストリストの最上位のアーティストの曲を再生開始する。以下に,この検索処理フローの各ステップについて詳述する。
【0254】
図22に示すように,まず,上記検索モードへの移行後に,ユーザ入力を検出し(S450),次いで,入力パターンを特定して(S452),この入力パターンに基づき第2の母音名称データを生成し(S454),さらに,複数の名称データを第1の母音名称データに変換し(S456),その後,第1と第2の母音名称データを比較して(S458),候補アーティストリストを作成する(S460)。このような,ステップS450〜S460は,母音名称を1文字ずつ入力する度毎に候補アーティストリストを再作成する点を除いては,上記図21で説明したステップS400〜S410と同様な処理で実現できるので,詳細説明は省略する。
【0255】
次いで,ステップS462では,例えば再生制御部20は,上記ステップS460で作成された候補アーティストリスト内に,本ステップでの判定時までに入力された文字数の第2の母音名称データと完全に一致している第1の母音名称データに対応するアーティスト名が,1つ以上,所定数以下(例えば3つ以下)含まれているか否かを判定する(ステップS462)。
【0256】
このステップS462での判定の結果,上記候補アーティストリスト内に当該アーティストが含まれていない(即ち,検索結果無し)と判定された場合(ステップS464)には,ステップS468に進み,その旨をユーザに通知して(ステップS468),再生モードに戻る(ステップS12)。
【0257】
また,上記ステップS462での判定の結果,上記候補アーティストリスト内に当該アーティストが4つ以上含まれていると判定された場合には,未だ十分に候補アーティストが絞られていないので,ステップS464を経て,ユーザに対して更なる文字列の追加入力を促す旨の通知(例えば音声通知)を行った後(ステップS465),ステップS450に戻り,ユーザによって,検索対象のアーティスト名の母音名称の次の文字の追加入力がなされる。この結果,再度ステップS450〜S460を経て,より詳細な第2の母音名称データで検索されて,候補アーティストリスト内のアーティスト数が更に絞られることとなる。
【0258】
かかる処理を繰り返して,上記ステップS462での判定の結果,上記候補アーティストリスト内に当該アーティストが1つ以上,例えば3つ以下含まれていると判定された場合には,十分に候補アーティストが絞られているので,候補アーティストリスト内の最上位のアーティストの曲を再生すべく,ステップS470に進む。
【0259】
次いで,ステップS470では,ステップS470に移行してから所定の待機時間以内(例えば3秒以内)に,再生装置10に対する更なるユーザ入力操作が検出されるか否かを判断する(ステップS470)。
【0260】
この結果,検索結果を絞るための更なるユーザ入力が検出された場合には,ステップS476に進み,上記と同様にして,より多くの文字数の母音列からなる第2の母音名称データを用いて検索して,より正確な候補アーティストリストを再作成した後(ステップS476〜S482),ステップS470に戻る。
【0261】
また,上記ステップS470で,上記所定の待機時間以内に,更なるユーザ入力操作が検出されなかった場合には,再生制御部20は,候補アーティストリストの最上位のアーティストの最初のアルバムの第1番目の音楽コンテンツ(曲)を自動的に再生開始し(ステップS472),タイマー409を設定した後(ステップS474),上記再生モードに戻る(ステップS12)。
【0262】
なお,上記図22の検索処理フローでは,ステップS470,S476〜S482を省略して,候補アーティストが三人以下になったら,後のユーザ入力を受け付けず,すぐに候補アーティストリストの最上位のアーティストの曲を再生するようにしてもよい。
【0263】
また,図21及び図22の検索処理フローで使用されるタイマー409は,上述したように,トラックジャンプの基準となるデフォルトリストを,「候補リスト」または「ユーザ嗜好のアーティストリスト」のいずれに設定するかを決定する際に利用される。即ち,候補リストは,少なくとも上記所定の検索猶予時間内は,再生装置10内の記憶媒体に保存されており,この期間は,再生制御部20は,「アーティスト単位の再生切替コマンド」が生成されると,当該候補リストの次位のアーティストの曲に再生切替する。なお,この候補リストは,検索モード終了後,適当な時間(例えば,上記所定の検索猶予時間)が経過すると,自動的に消去されるようにしてもよい。
【0264】
以上,図21及び図22に基づき,検索モードの処理フローの2種類の例について説明した。上記検索モードでは,検索結果を上記候補リストとして出力するので,ユーザが多少の入力ミスを行ったとしても,好適に検索対象の名称を検索できる。
【0265】
また,候補リストの最上位のアーティストが,ユーザ所望のアーティストではない場合であっても,候補リストが上記所定の検索猶予期間内は残存している。このため,再生モードに戻った後に,ユーザが「アーティスト単位の再生切替コマンド」に対応する入力操作を行うことで,類似度が次に高いアーティストの最初の曲までトラックジャンプして再生できる。従って,再生モードで再生中の曲が,ユーザ所望のアーティストのものでないとしても,当該候補アーティストリストに従って,ユーザ所望のアーティストの曲までトラックジャンプして再生可能となる。
【0266】
<8 特別処理フロー>
次に,図23に基づいて,本実施形態にかかる再生装置10における特別処理(上記図19のステップS50)の詳細なフローについて説明する。なお,図23は,本実施形態にかかる再生装置10における特別処理フローを示すフローチャートである。
【0267】
図23に示すように,まず,ステップS500では,例えば再生制御部20等の制御部は,上記図18のステップS18で生成された特別コマンドの種類を判別する(ステップS500)。具体的には,制御部は,入力された特別コマンドが,例えば図13に示した各種の特別コマンド(例えば,電源オンコマンド,電源オフコマンド,曲単位若しくはアルバム単位のリピート再生コマンド,音声ボリューム増加コマンド,音声ボリューム減少コマンドなど)のいずれであるかを判別する。なお,図13に示すコマンド以外にも,再生装置10が有する各種の機能処理を指示する特別コマンドを設定可能である。
【0268】
次いで,ステップS502では,通知部48は,上記制御部によって判別された特別コマンドに対応する処理を行う旨をユーザに通知する(ステップS502)。また,この通知の結果,当該処理の実行の可否を,ユーザに確認し,ユーザの確認を表す入力操作を受け付けることを条件に,下記のステップS504での処理を実行するようにしてもよい。なお,この通知処理は必ずしも行われなくてもよい。
【0269】
さらに,ステップS504では,再生制御部20等の制御部は,上記判別された特別コマンドに応じた処理を実行する(ステップS504)。
【0270】
以上のような特別処理フローにより,ユーザは,簡単な入力操作で,各種の特別処理を再生装置10に指示して実行させることができる。このため,従来のユーザ入力操作のように,再生装置10やそのリモートコントローラを取り出し,さらに,その電源ボタン71や,モードボタン76,ボリューム調整ボタン77,コントロールボタン79等の操作部の位置を確認してから,押下するといった煩雑な入力作業を行わなくてもよいので,ユーザ入力操作の手間と時間を低減できる。
【0271】
以上,本実施形態にかかる再生装置10およびその処理動作フローについて詳細に説明した。本実施形態にかかる再生装置10によれば,例えば,再生装置10の筐体11を指で叩く,或いは,筋電位センサ80が装着された腕の指を動かすといった簡単な入力操作で,再生装置10で再生されるコンテンツを所望のコンテンツに切り替えることができる。このため,ユーザの鞄や洋服のポケット等に入っている再生装置10本体やリモートコントローラを,手元に取り出して,操作部のボタン等の位置を確認してから操作したり,表示装置107を閲覧したりする必要がない。従って,満員電車内のような限られたスペースであっても,ユーザは,コンテンツの再生中に高頻度で行われる操作であるコンテンツ再生切替操作を,操作ボタン等の操作部を操作することなく,簡単な操作で容易かつ迅速に実行することができる。また,この再生切替以外の処理動作を指示するための操作も,簡単な操作で実行することができる。
【0272】
さらに,本実施形態にかかる入力操作は,上記のように,再生装置10の筐体11を指先で叩く,或いは,筋電位センサ80が装着された腕の指を動かすといった操作であるので,ユーザが再生装置10を「振る」場合と比べて,ユーザ動作が大幅に小さく,簡単である。このため,上記満員電車等の混雑した場所であっても,ユーザは再生装置10に対する入力操作を円滑に実行可能であり,また,人目を気にする必要もない。
【0273】
さらに,本実施形態にかかる再生装置10に対する入力操作(再生装置10の筐体11を指先で叩く操作)は,ユーザが再生装置10の筐体11に対して直接接触しなくても実行可能である。従って,再生装置10が,ユーザの洋服のポケット(胸ポケット等),鞄,再生装置用ケース等に収容されたままの状態であっても,これらの洋服の生地,鞄の素材,ケース等を介して間接的に,再生装置10に対して外的衝撃を与えて,入力操作を行うことが可能である。よって,ユーザは,満員電車等の混雑した場所において,洋服のポケット,鞄,再生装置用ケース等から,再生装置10を取り出さずとも,容易に入力操作が可能であるという利点がある。
【0274】
さらに,上記再生装置10は,検索モードにおいて,母音名称データを利用して,再生装置10に記憶されているコンテンツに関する名称を検索するので,検索処理を効率的に実行できるとともに,入力すべき検索キーワードを単純化できる。従って,ユーザは,上記のような再生装置10の筐体11を指で叩く,或いは,筋電位センサ80が装着された腕の指を動かすといった簡単な入力操作で,検索内容を指示して,所望の検索結果を得ることができる。従って,ユーザは,検索指示を入力したり,検索結果を確認したりするために,わざわざ再生装置10を取り出して,再生装置10の表示装置10を閲覧する必要がない。
【0275】
さらに,検索結果である候補リストに基づいて,アーティスト単位若しくはアルバム単位で再生切替することで,ユーザは,再生装置10の表示装置107等で検索結果を閲覧しなくても,再生されるコンテンツを候補リストに従って順次切り替えることで,所望のアーティスト又はアルバムの音楽コンテンツを見つけだすことができる。また,一致する名称だけでなく類似する名称も検索結果である候補リストに含めることにより,ユーザの入力ミスを補償できる。
【0276】
このように,本実施形態にかかる再生装置10を利用すれば,ユーザは,指先を動かすという小さい動作による簡単な操作で,コンテンツの検索指示および検索結果の確認ができる。このため,一般的な操作部を操作することなく,かつ,表示装置107を閲覧することもなく,ユーザの嗜好に合うコンテンツのアーティスト名,アルバム名などを簡単に検索することができる。従って,再生装置10内に膨大な数(例えば数千曲)のコンテンツが保存されている場合であっても,ユーザ所望のコンテンツを容易かつ迅速に検索して再生することができる。このような再生装置10における検索操作の容易性は,特に,再生装置10を取り出して操作したり,表示装置107を閲覧したりすることが困難な場所(満員電車内など)で検索を行いたい場合などに有益である。
【0277】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0278】
例えば,本発明のコンテンツデータは,上記音楽コンテンツの例に限定されず,例えば,ラジオ番組,講演等の音声(Audio)コンテンツや,映画,テレビジョン番組,ビデオプログラム,写真,絵画,図表等を構成する静止画若しくは動画からなる映像(Video)コンテンツ,電子図書(E−book),ゲーム,ソフトウェアなど,任意の種類のコンテンツデータであってよい。
【0279】
また,上実施形態では,検索装置を再生装置に適用した例,特に,携帯型のオーディオプレーヤに適用した例を挙げて説明したが,本発明はかかる例に限定されない。本発明の検索装置は,例えば,携帯型の映像プレーヤ,携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant),携帯型ゲーム機などの各種の携帯機器に適用できる。さらに,本発明の検索装置は,例えば,HDDプレーヤ,DVDプレーヤ,メモリプレーヤなどの各種の据え置き型の再生機器や,パーソナルコンピュータ(Presonal Computer)等のコンピュータ装置(ノート型,デスクトップ型を問わない。),家庭用ゲーム機,情報家電,カーオーディオ機器,カーナビゲーション機器,KIOSK端末などといった各種の電子機器にも適用することもできる。
【0280】
特に,本発明の検索装置は,通信先の名称データを頻繁に検索する必要がある携帯電話,PHS,携帯端末などに好適に適用可能である
【図面の簡単な説明】
【0281】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかる再生装置の一例である携帯型オーディオプレーヤのハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態にかかる再生装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】同実施形態にかかる再生部の構成例を示すブロック図である。
【図4】同実施形態にかかる再生装置に1つの加速度センサが搭載された例を示す斜視図である。
【図5】同実施形態にかかる加速度センサにより検出された振動の時間間隔の差異に基づいて,ユーザ入力を分析する手法を示す説明図である。
【図6】同実施形態にかかる加速度センサにより検出された振動の大きさの差異に基づいて,ユーザ入力を分析する手法を示す説明図である。
【図7】同実施形態にかかる再生装置に2つの加速度センサが搭載された例を示す斜視図である。
【図8】同実施形態にかかる再生装置に搭載された2つの加速度センサの配置例を示す平面図である。
【図9】同実施形態にかかる再生装置における加速度センサと衝撃受付部の配置の具体例を示す斜視図である。
【図10】同実施形態にかかる再生装置における加速度センサと衝撃受付部の配置の別の具体例を示す斜視図である。
【図11】同実施形態にかかる筋電位センサがユーザの手首に装着された例を示す斜視図である。
【図12】同実施形態にかかるパターン記憶部に記憶された操作パターンと,再生切替コマンドとの関係を表すテーブルである。
【図13】同実施形態にかかるパターン記憶部に記憶された操作パターンと,検索コマンド及び特別コマンドとの関係を表すテーブルである。
【図14】同実施形態にかかる再生装置のプレイリストの一例を示す説明図である。
【図15】同実施形態にかかる検索モードで利用される文字と母音と数字の対応関係を示す説明図である。
【図16】同実施形態にかかる検索モードで名称データを母音名称データに変換する手法を示す説明図である。
【図17】同実施形態にかかる再生装置の検索部の機能構成を示すブロック図である。
【図18】同実施形態にかかる再生装置における基本的な処理フローを示すフローチャートであり
【図19】同実施形態にかかる再生装置におけるコマンドの種類に応じた処理フローの概要を示すフローチャートである。
【図20】同実施形態にかかる再生装置における再生切替処理フロー(再生制御方法)を示すフローチャートである。
【図21】同実施形態にかかる再生装置における検索モードの処理フロー(検索方法)を示すフローチャートである。
【図22】同実施形態にかかる再生装置における検索モードの処理フロー(検索方法)の別の例を示すフローチャートである。
【図23】同実施形態にかかる再生装置における特別処理フローを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0282】
10 再生装置
11 筐体
11a 側面
12 検出部
14 分析部
16 コマンド生成部
18 パターン記憶部
20 再生制御部
22 コンテンツ記憶部
30 再生部
40 検索部
42 名称記憶部
44 リスト設定部
46 リスト記憶部
60 加速度センサ
60a 第1の加速度センサ
60b 第2の加速度センサ
62 衝撃受付部
62a 第1の衝撃受付部
62b 第2の衝撃受付部
80 筋電位センサ
81 装着具
82 筐体
106 入力装置
107 表示装置
108 ストレージ装置
110 音声出力装置
112 センサ
402 母音変換部
404 母音生成部
406 抽出部
408 リスト作成部
409 タイマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の名称データを記憶する名称記憶部と;
前記名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する母音変換部と;
ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する検出部と;
前記ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する分析部と;
前記分析部によって特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する母音生成部と;
前記複数の第1の母音名称データと前記第2の母音名称データとを比較して,前記第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する抽出部と;
前記抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成するリスト作成部と;
を備えることを特徴とする,検索装置。
【請求項2】
前記名称データは,コンテンツデータに関連する名称を表すことを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項3】
前記名称データは,音楽コンテンツデータの曲名,音楽コンテンツデータのアルバム名,音楽コンテンツデータのアーティスト名の少なくともいずれかを含むことを特徴とする,請求項2に記載の検索装置。
【請求項4】
記憶媒体に記憶されているコンテンツデータを再生可能な再生部と;
前記候補リストに従って,前記再生部によって再生されるコンテンツデータを制御する再生制御部と;
をさらに備えることを特徴とする,請求項2に記載の検索装置。
【請求項5】
前記再生制御部は,前記候補リストに従って,前記再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替えることを特徴とする,請求項3に記載の検索装置。
【請求項6】
前記候補リストは,音楽コンテンツデータの曲名,音楽コンテンツデータのアルバム名,または音楽コンテンツデータのアーティスト名のリストであり,
前記再生制御部は,当該候補リストに従って,音楽コンテンツデータの曲単位,音楽コンテンツデータのアルバム単位,または音楽コンテンツデータのアーティスト単位で,前記再生部によって再生される音楽コンテンツデータを切り替えることを特徴とする,請求項5に記載の検索装置。
【請求項7】
前記候補リストは,音楽コンテンツデータのアーティスト名のリストであり,
前記再生制御部は,当該候補リストに従って,音楽コンテンツデータのアーティスト単位で,前記再生部によって再生される音楽コンテンツデータを切り替えることを特徴とする,請求項5に記載の検索装置。
【請求項8】
前記候補リストの作成時からの経過時間,または,前記候補リストに従ってコンテンツデータが再生開始された時からの経過時間を計測するタイマーをさらに備え,
前記再生制御部は,
前記タイマーの経過時間が所定時間以内である場合には,前記候補リストに従って,前記再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替え,
前記タイマーの経過時間が前記所定時間を超えた場合には,予め選択された1又2以上のコンテンツデータを表すプレイリストに従って,前記再生部によって再生されるコンテンツデータを切り替えることを特徴とする,請求項5に記載の検索装置。
【請求項9】
前記プレイリストは,ユーザ入力に応じて選択された1又2以上のコンテンツデータを表すプレイリストであることを特徴とする,請求項8に記載の検索装置。
【請求項10】
前記分析部は,前記外的衝撃の大きさ,時間間隔,回数若しくは位置の少なくともいずれか,或いは,前記筋電位の変化の大きさ,時間間隔,回数若しくは前記筋電位の変化が生じたユーザの部位の少なくともいずれかに基づいて,前記ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定することを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項11】
各母音に対してそれぞれ異なる数字が関連づけられており,
前記母音生成部は,前記分析部によって特定された入力パターンに対応する数字列を,母音列に変換することによって,前記第2の母音名称データを生成することを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項12】
前記母音生成部は,前記外的衝撃の回数又は前記筋電位の変化の回数を表す入力パターンを数字列に変換し,さらに当該変換された数字列を母音列に変換することを特徴とする,請求項11に記載の検索装置。
【請求項13】
前記母音生成部によって生成された前記第2の母音名称データを,ユーザに通知する通知部をさらに備えることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項14】
前記リスト作成部は,前記抽出部によって比較された前記第1の母音名称データと前記第2の母音名称データの類似度に応じた順序で,前記抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応する名称データを配列して,前記候補リストを作成することを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項15】
前記名称データは,音楽コンテンツデータのアーティスト名であり,
前記リスト作成部は,前記抽出部によって比較された前記第1の母音名称データと前記第2の母音名称データの類似度に応じた順序で,前記抽出部によって抽出された第1の母音名称データに対応するアーティスト名を配列して,前記候補リストを作成することを特徴とする,請求項14に記載の検索装置。
【請求項16】
前記検出部は,前記検索装置に対する外的衝撃に伴う振動を検出する加速度センサであることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項17】
前記検出部は,前記検索装置に対する外的衝撃に伴う衝撃音を検出するマイクロフォンであることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項18】
前記検出部は,ユーザの所定部位に装着され,ユーザ動作に伴う筋電位を検出する筋電位センサであることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項19】
前記検出部は,前記検索装置内に複数設けられており,前記検索装置に対する外的衝撃の位置及び大きさの双方を検出可能であることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項20】
前記検索装置の筐体には,ユーザによる外的衝撃を受け付ける1又は2以上の衝撃受付部が設けられており,
前記検出部は,前記衝撃受付部の位置に応じて配置されていることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項21】
前記検出部は,前記検索装置に対する外的衝撃に伴う振動を検出する加速度センサであり,
前記加速度センサは,ユーザによる前記衝撃受付部に対する外的衝撃の方向に応じた方向の振動を検出するように配置されていることを特徴とする,請求項20に記載の検索装置。
【請求項22】
前記検出部及び前記衝撃受付部は,それぞれ複数設けられており,
前記複数の検出部を結ぶ直線と,前記複数の衝撃受付部を結ぶ直線とが,前記検索装置に対する外的衝撃の方向に対して略垂直な平面上で直交しないように,前記複数の検出部と前記複数の衝撃受付部との相対位置が調整されていることを特徴とする,請求項20に記載の検索装置。
【請求項23】
予め設定された操作パターンを記憶するパターン記憶部と:
前記分析部によって特定された入力パターンと,前記パターン記憶部に記憶されている操作パターンとを比較して,該入力パターンに一致する操作パターンに対応するコマンドを生成するコマンド生成部と;
をさらに備え,
前記コマンド生成部によって生成された検索コマンドに応じて,検索処理を実行することを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項24】
前記検索装置は,携帯機器であることを特徴とする,請求項1に記載の検索装置。
【請求項25】
前記コンテンツデータは,オーディオコンテンツデータ又はビデオコンテンツデータの少なくともいずれかを含むことを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項26】
前記コンテンツデータは圧縮符号化されていることを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項27】
前記再生部は,前記圧縮符号化されたコンテンツデータを復号化するデコーダを備えることを特徴とする,請求項25に記載の再生装置。
【請求項28】
前記記憶媒体は,前記再生装置に内蔵されていることを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項29】
前記記億媒体は,ハードディスクであることを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項30】
前記記億媒体は,フラッシュメモリであることを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項31】
前記記億媒体は,前記再生装置が読み取り可能なリムーバブル記憶媒体であることを特徴とする,請求項1に記載の再生装置。
【請求項32】
前記通知部は,前記母音生成部によって生成された前記第2の母音名称データを,画面表示及び/又は音声出力により,ユーザに通知することを特徴とする,請求項13に記載の再生装置。
【請求項33】
名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換する処理と;
ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出する処理と;
前記ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定する処理と;
前記特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成する処理と;
前記複数の第1の母音名称データと前記第2の母音名称データとを比較して,前記第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出する処理と;
前記抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成する処理と;
を,コンピュータに実行させることを特徴とする,プログラム。
【請求項34】
ユーザによる検索装置に対する外的衝撃,又はユーザ動作に伴う筋電位の変化を,ユーザ入力信号として検出するステップと;
前記ユーザ入力信号を分析して,入力パターンを特定するステップと;
前記特定された入力パターンに対応する第2の母音名称データを生成するステップと;
名称記憶部に記憶されている複数の名称データを,それぞれ第1の母音名称データに変換するステップと;
前記複数の第1の母音名称データと前記第2の母音名称データとを比較して,前記第2の母音名称データに一致/類似する1又は2以上の第1の母音名称データを抽出するステップと;
前記抽出された第1の母音名称データに対応する名称データをリスト化して,候補リストを作成するステップと;
を含むことを特徴とする,検索方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−323690(P2006−323690A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147207(P2005−147207)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】