説明

検針機

【課題】
検出位置を認識して、その検出位置に応じた戻し量を用いることで確実に搬送ベルトの端部に被検出物を戻すことができる検針機を提供すること。
【解決手段】
検針機10は、金属針等の金属類の混入物を含んだ被検出物を搬送ベルト1により搬送し、前記被検出物中の混入物を検出する検出センサー2によって混入物が検出された場合は、前記搬送ベルト1を搬送方向に対して反対方向へ駆動する検針機10であって、前記検出センサー2は、前記搬送ベルト1上におけるその端部1Aからの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成され、さらに、当該検出位置に応じた戻し量だけ、前記搬送ベルト1を搬送方向に対して反対方向へ駆動すること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば縫製品、インテリア製品、食料品、玩具等の製造工程中において混入した縫い針等の金属類を検出する検針機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の検針機20は、図5に示すものがあり、縫製品等の被検出物を搬送ベルト11に載せて搬送し、検出ヘッド14を通過させることで、混入した縫い針等を検出するものである。この検針機20は、搬送ベルト11の端部11Aに載せられた被検出物を、一定速度で矢印の方向に搬送してゆき、検出ヘッド14で縫い針等が検出されない場合、被検出物をそのまま通過させ、搬送ベルト11の端部11Bへ搬送する。また、検出ヘッド14で縫い針等が検出された場合、搬送ベルト11を停止し搬送方向(矢印の方向)に対して反対方向(以降、反転方向と呼ぶ。)へ駆動させて、被検出物を搬送ベルト11の端部11Aまで戻す。この動作を連続して行い、検針機20は、次々と搬送されてくる被検出物に金属類の縫い針等が混入していないかを検査していく。
【0003】
この検出ヘッド14は、図5の(b)に示すように、内部に下検出センサー12Uと上検出センサー12Tからなる検出センサー12を内蔵している。この検出センサー12が縫い針等を検出する原理について簡単に説明すると、まず、この下検出センサー12Uと上検出センサー12Tとの間の検出ゾーン13中の直流磁界は、被検出物に混入した金属類の縫い針等が通過することで、乱されたり遮断されたりして変化する。そして、この変化により誘起される誘起電圧を測定することにより、検出センサー12は縫い針等を検出することができる。本明細書において、検出センサーは、金属類の縫い針等を検出する公知のものでよく、検出センサー自体の原理及び構成のより詳細な説明は省略する。
【0004】
先に述べたように、検出ヘッド14で縫い針等が検出された場合、検針機20は、搬送ベルト11を停止し反転方向に駆動させて被検出物を搬送ベルト11の端部11Aまで戻している。これは、縫い針等が混入した被検出物を搬送が開始された元の場所である搬送ベルト11の端部11Aへ戻すことで、ユーザが当該被検出物を回収しやすくし、利便性を向上させたものである。
【0005】
したがって、この利便性を向上させるためには、被検出物を搬送ベルト11の端部11Aまで戻すその「戻し量」を適切に定めることが必要である。そこで、検針機20は、一定速度で駆動している搬送ベルト11の上に載せられた被検出物が、搬送ベルト11の端部11Aから検出ヘッド14まで搬送されるのにかかる搬送時間を予め測定しておく。そして、検出ヘッド14で縫い針等が検出された場合、その搬送時間分だけ搬送ベルト11を反転方向に一定速度で駆動させれば、検出ヘッド14によって縫い針等が検出された被検出物は、搬送ベルト11の端部11Aまで戻ることとなる。すなわち、この搬送時間が、最適な戻し量となるのである。
【0006】
ここで、被検出物が搬送ベルト11に載せられる度に、その載せられた時点から検出ヘッド14で検出された時点までの経過時間を計測し、その経過時間を戻し量として、搬送ベルト11を反転方向に駆動することも考えられる。しかし、これを実現しようとすると、被検出物が搬送ベルト11に載せられた事を検知する検知器と、その載せられた時点から検出された時点までの経過時間を測定するタイマーとが必要となるので、余計なコストがかかり実用的でない。
【0007】
また、検出ヘッド14内の検出センサー12は、縫い針の混入の有無を判別するのみで、検出ヘッド14のどの位置で縫い針を検出したかを判別することはできない。しかし、図5の(a)及び(b)からわかるように、検出ヘッド14は搬送ベルト11に対して直角に設置されており、検出ヘッド14の長手方向のどの位置(検出ヘッド14の右端、左端、中央等)でも、検出ヘッド14と搬送ベルト11の端部11Aとの距離は一定となる。したがって、検出ヘッド14の長手方向のどの位置(検出ヘッド14の右端、左端、中央等)で縫い針を検出しても、常に同じ戻し量(搬送時間)だけ反転方向へ搬送すれば、被検出物は搬送ベルト11の端部11Aまで戻ることになるのである。
【0008】
ところで、検針機20の検出ヘッド14は搬送ベルト11に対して直角に設置され、検出ヘッド14の長手方向のどの位置でも、検出ヘッド14と搬送ベルト11の端部11Aとの距離は一定となるものであったが、検針機には、これ以外の様々なタイプのものがある。例えば、図6に示す検針機30のように、検出ヘッド24が搬送ベルト21に対して斜めに配置され、検出ヘッド24と搬送ベルト21の端部21Aとの距離が、検出ヘッド24の長手方向の位置によって異なるものもある。
【0009】
そして、この検針機30でも、検針機20と同じように、縫い針が検出ヘッド24内の検出ゾーン23に進入して検出されると、搬送ベルト21を停止し反転方向へ駆動して、被検出物を搬送ベルト21の端部21Aまで戻す工夫がなされている。なお、検出ヘッド24は検出ヘッド14と同じ構造であり、検出ヘッド24のどの位置で縫い針を検出したかは判別することができない。したがって、検出ヘッド24の長手方向のどの位置で縫い針を検出しても、常に同じ戻し量(搬送時間)だけ反転方向へ搬送することとなる。
【0010】
そうすると、搬送ベルト21を反転方向(図6の矢印と反対方向)へ駆動して被検出物を搬送ベルト21の端部21Aまで戻したとき、搬送ベルト21のK側に載せられた被検出物が端部21Aに戻る一方で、J側に載せられた被検出物は端部21Aを通り過ぎて落下することや、反対に、搬送ベルト21のJ側に載せられた被検出物が端部21Aに戻る一方で、K側に載せられた被検出物は端部21Aより手前までしか搬送されず、端部21Aまで正確に戻らないという問題がある。
【0011】
これは、検出ヘッド24がJ側又はK側で縫い針を検出したときに、それぞれの検出位置と搬送ベルト21の端部21Aとの距離L1とL2が、それぞれ異なるのにも関わらず、常に同じ戻し量(搬送時間)だけ搬送ベルト21を反転方向に駆動させるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本願発明は、上記問題に鑑み、混入物の検出位置を認識して、その検出位置に応じた戻し量を用いることで確実に搬送ベルトの端部に被検出物を戻すことができる検針機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、本願発明の検針機は、金属針等の金属類の混入物を含んだ被検出物を搬送ベルトにより搬送し、前記被検出物中の混入物を検出する検出センサーよって混入物が検出された場合は、前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動する検針機であって、前記検出センサーは、前記搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成され、さらに、当該検出位置に応じた戻し量だけ、前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動することを特徴としている。
【0014】
上記特徴によれば、搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成された検出センサーを備え、当該検出位置に応じた戻し量だけ、前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動するため、確実に搬送ベルトの端部に被検出物を戻すことができる。
【0015】
具体的には、図2に示す検針機10は、検出ヘッド4A内に個別の5つの検出センサー2A〜2E(検出ヘッド4A内に内蔵されているため不図示である)を、搬送ベルト1の端部1Aからの距離が異なるように連続して配置している。この各検出センサー2A〜2Eは、それぞれの検出ゾーン3A〜3Eに縫い針が通過することで、混入した針等を検出できる構造となっている。例えば、検出ゾーン3Eで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L1は基準となる中央のL0と比較して短いので、基準より小さくした戻し量だけ搬送ベルト1を反転方向へ駆動する。一方、検出ゾーン3Aで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L2は基準となる中央のL0と比較して長いので、基準より大きくした戻し量だけ搬送ベルト1を反転方向へ駆動する。
【0016】
このように、搬送ベルト1上におけるその端部1Aからの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成された検出センサー2A〜2Eを備えることで、各検出位置に応じて戻し量を適宜変更することができ、被検出物を搬送ベルト1の端部1Aへと確実に搬送することができるのである。
【0017】
ここで、搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成された検出センサーとは、図2に示すように複数の個別の検出センサー2A〜2Eを用いて構成されるものに限られず、一体の検出センサーであっても、搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物の位置を特定できる分解能を備えるものであってもよい。
【0018】
次に、本願発明の検針機は、前記戻し量が、前記検出位置から前記搬送ベルトの端部までの距離であってもよい
【0019】
これは、図2の(b)ように、例えば検出ゾーン3Eで縫い針を検出した場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L1だけ搬送ベルト1を反転方向へ駆動して、被検出物を搬送ベルト1の端部1Aまで戻すこととなる。つまり、戻し量が、検出位置から搬送ベルトの端部までの距離となる。
【0020】
このように、戻し量を検出位置から搬送ベルト1の端部1Aまでの距離(L0、L1、L2等)とすると、搬送ベルト1の搬送速度に関係なく、常に被検出物を搬送ベルト1の端部1Aまで正確に戻すことが出来る。すなわち、戻し量が搬送時間である場合、搬送ベルト1の速度が変更されると、それに応じて搬送時間も変更する必要が生じるが、戻し量が検出位置から搬送ベルト1の端部1Aまでの距離である場合、搬送ベルト1の搬送速度が変更されても、当該距離(L0、L1、L2等)は変わらないので、戻し量を変更する必要がないのである。
【0021】
次に、本願発明の検針機は、前記検出センサーが、前記搬送ベルトの上流と下流にそれぞれ配置され、一の検出センサーと他の検出センサーが、それぞれ互いに等しくかつ対称となるように、前記搬送ベルトに対して斜めに配置されてもよい。
【0022】
検出センサーは、その検出ゾーンへ進入してくる縫い針等の混入物の進入角度で、その検出感度が異なる。仮に、上流側の検出センサーにおいて、検出感度が悪い進入角度で縫い針が進入したため検出できなかったとしても、上流側の検出センサーと対称で等しい角度で配置されている下流側の検出センサーでは縫い針を検出することができ、検出漏れを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0023】
従来の検針機は、混入物を検出した検出位置に関係なく、常に同じ戻し量によって、搬送ベルトを反転方向に駆動していたため、被検出物を搬送ベルトの端部に確実に搬送することが出来なかった。しかし、本願発明によれば、検出センサーが前記搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成され、さらに、当該検出位置に応じた戻し量だけ、前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動するため、被検出物を搬送ベルトの端部に確実に搬送することが出来るという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】(a)は、本願発明の検針機の斜視図、(b)は、同検針機の平面図である。
【図2】(a)は、図1で示した本願発明の検針機の拡大斜視図、(b)は、同検針機の拡大平面図である。
【図3】図1で示した本願発明の検針機全体を示す平面図である。
【図4】(a)は、本願発明の検針機のコントロールシステムの概略を示すブロック図、(b)は、同検針機の動作を示すフローチャートである。
【図5】(a)は、本願発明の背景技術の一例として示す検針機の斜視図、(b)は、同検針機の断面図である。
【図6】本願発明の背景技術の一例として示す検針機の拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 搬送ベルト
2 検出センサー
3 検出ゾーン
4 検出ヘッド
10 検針機
Y 縫い針
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本願発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0027】
図1の(a)は、本願発明の検針機10の斜視図、(b)は、同検針機10の平面図である。
【0028】
図1の(a)に示す検針機10は、搬送ベルト1の上流側に検出ヘッド4A、下流側に検出ヘッド4Bが、それぞれ搬送ベルト1に対して斜めに配置されている。また、図1の(b)のように、検出ヘッド4A及び検出ヘッド4Bは、搬送ベルト1に対して、それぞれ同じ角度αで対称となるように配置されている。当然、検出ヘッド4A及び4B内に内蔵されている検出センサー2A〜2Eも同じ配置となっている。なお、検針機10は、図5の(b)に示す従来の検針機20と基本的な構造が共通しており、不図示であるが、各検出センサー2A〜2Eは、搬送ベルト1の下検出センサー2Uと上検出センサー2Tとから構成されている。
【0029】
このような配置とすることで、検針漏れを防ぐことが出来ることを説明するために、図1の(b)では、縫い針Yが検出ヘッド4Aに対して平行の状態で搬送されてくる場合を想定する。検出ヘッド4A内の各検出センサー2は、各検出ゾーン3に対して縫い針Yが平行に進入してくると、検出感度が低下する特性があり、縫い針Yが検出ヘッド4Aを通過しても検出漏れが生じるおそれがある。しかし、下流側にある検出ヘッド4Bは、上流側にある検出ヘッド4Aに対して等しい角度αで対称に配置されているため、縫い針Yが検出ヘッド4B内の検出ゾーン3に対して平行に進入してくることがなく、最も検出感度が高い状態で進入してくることになる。そのため、この検出ヘッド4B内の検出センサー2によって縫い針Yが検出され、検出漏れを防ぐことができる。
【0030】
次に、図2の(a)は、検針機10の拡大斜視図、(b)は、同検針機10の拡大平面図である。図2の(a)及び(b)に示すように、搬送ベルト1の端部1Aからの距離が異なる検出センサー2A〜2Eが上流側の検出ヘッド4A内に5つ備えられており、その検出センサー2A〜2Eの検出ゾーン3A〜3Eにより、被検出物が搬送ベルト1上のどの位置に載せて搬送されてきても、縫い針を検出することができる構造となっている。また、下流側の検出ヘッド4Bも同じ構造となっている。なお、仕様に応じて検出センサーの数は、適宜変更が可能である。
【0031】
ここで、検出ヘッド4Aで縫い針が検出されたときの検針機10の動作について説明すると、まず、検出ゾーン3Eで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L1は、基準となる中央のL0と比較して短いので、基準の戻し量と比べて、戻し量は小さくなる。例えば、この戻し量が、搬送ベルト1を反転方向へ駆動させて、搬送ベルト1の端部1Aに被検出物を搬送する搬送時間であれば、その搬送時間は基準より短く設定される。また、戻し量を検出位置から前記搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L1とすれば、L1だけ搬送ベルトは反転方向に駆動される。
【0032】
次に、検出ゾーン3Aで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L2は、基準となる中央のL0と比較して長いので、基準の戻し量と比べて、戻し量は大きくなる。例えば、この戻し量が搬送時間であれば、その搬送時間は基準より長く設定される。また、戻し量を検出位置から前記搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L2とすれば、L2だけ搬送ベルトは反転方向に駆動される。同様に、他の各検出センサーに応じて戻し量は設定される。
【0033】
このように、搬送ベルト1上におけるその端部1Aからの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成された検出センサー2A〜2Eを備えることで、各検出位置に応じた戻し量を適宜設定することができ、被検出物を搬送ベルト1の端部1Aへと確実に搬送することができる。
【0034】
なお、隣り合う検出ゾーン3Aと3Bの重複部分Tにおいては、検出ゾーン3Aと3Bの両方で縫い針を検知することになるが、それぞれの検出感度の強度分布等を分析すれば、検出ゾーン3A又は3Bのどちら側により近く縫い針が進入したか判別でき、検出位置をより正確に特定することができる。
【0035】
次に、図3において、上流側の検出ヘッド4Aで縫い針を検出することが出来ず、下流側の検出ヘッド4Bで縫い針が検出されたときの検針機10の動作について説明する。まず、検出ゾーン3Eで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L4は、基準となる中央のL3と比較して長いので、基準の戻し量と比べて、戻し量は大きくなる。例えば、この戻し量が搬送時間であれば、その搬送時間は基準より長く設定される。また、戻し量を検出位置から前記搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L4とすれば、L4だけ搬送ベルト1は反転方向に駆動される。
【0036】
また、検出ゾーン3Aで縫い針が検出された場合、その検出位置と搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L5は、基準となる中央のL3と比較して短いので、基準の戻し量と比べて、戻し量は小さくなる。例えば、この戻し量が搬送時間であれば、その搬送時間は基準より短く設定される。また、戻し量を検出位置から前記搬送ベルト1の端部1Aまでの距離L5とすれば、L5だけ搬送ベルトは反転方向に駆動される。同様に、他の各検出センサーに応じて戻し量は設定される。
【0037】
次に、図4の(a)は、本願発明の検針機のコントロールシステムの概略を示すブロック図、(b)は、同検針機の動作を示すフローチャートである。
【0038】
本願発明の検針機10は、大別すると、図4の(a)に示すように、搬送ベルト1を駆動するモータMと、それを制御するモータコントローラ5とで構成される駆動系システム、及び、検出センサー2と、戻し量が記憶されているメモリ7と、これらを統合するメインコントローラ6とで構成される制御系システムとから構築されている。
【0039】
このメインコントローラ6は、全ての検出センサー2A〜2Eに接続されており、各検出センサー2から送信される検出信号を受け取る。また、メモリ7は、各検出センサーの検出位置に応じた戻し量を記憶している。例えば、戻し量が搬送ベルトの搬送時間であれば、各検出センサーの検出位置に応じた最適な搬送時間(段落[0031]〜[0036]を参照)を記憶している。同様に、戻し量が検出位置から搬送ベルトの端部までの距離であれば、各検出センサーの検出位置に応じた最適な距離(図2のL1、L2、図3のL4、L5等の距離。段落[0031]〜[0036]を参照)を記憶している。
【0040】
また、メインコントローラ6は、各検出センサー2からの信号を基に、検出位置に応じた最適な戻し量(搬送時間、距離)をメモリ7から読み出し、その戻し量をモータコントローラ5に送る。そして、このモータコントローラ5は、この戻し量に基づいて、モータを制御している。なお、本願発明の検針機10のモータM及び搬送ベルト1は、図5の(b)に示す従来の検針機20のものと同じ構造であり、モータMは搬送ベルト11を水平方向に張設している駆動ローラRに接続され、搬送ベルト上の被検出物を任意の方向に搬送することが出来る。
【0041】
次に、検針機10の一連の動作について、図4の(b)のフローチャートを用いて説明する。まず、搬送ベルト1上に被検出物を載せて検針機10を稼動させる(ステップ1)。搬送ベルト1が搬送方向に一定速度で被検出物を搬送するように、モータコントローラ5はモータMを制御する(ステップ2)。
【0042】
次に、各検出センサー2が混入物を検出したかどうか、メインコントローラ6は判断する(ステップ3)。そして、すべての検出センサー2が混入物を検出していないと判断された場合(No)、引き続き搬送ベルト1が搬送方向に被検出物を搬送するように、メインコントローラ6はモータコントローラ5へ指令を送り、モータコントローラ5はモータMを搬送方向に一定速度で駆動するように制御する(ステップ2)。
【0043】
もし、いずれかの検出センサー2が混入物を検出したと判断した場合(Yes)、メインコントローラ6は、モータコントローラ5へ搬送ベルト1を停止するように指令を送り、モータコントローラ5はモータMを停止する(ステップ4)。そして、メインコントローラ6は、混入物を検出した検出センサー2の検出位置に応じた戻し量をメモリ7から読み出し、モータコントローラ5へ送る(ステップ5)。
【0044】
次に、モータコントローラ5は、受け取った戻し量(搬送時間、距離)に基づいて、モータMを制御して、反転方向に搬送ベルト1を駆動する(ステップ6)。そして、戻し量分だけ搬送ベルト1を駆動させて停止すれば、ちょうど搬送ベルト1の端部1Aに被検出物が戻されて、検針機10の動作は終了となる(ステップ7)。
【0045】
なお、本願発明の検針機は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属針等の金属類の混入物を含んだ被検出物を搬送ベルトにより搬送し、
前記被検出物中の混入物を検出する検出センサーよって混入物が検出された場合は、
前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動する検針機であって、
前記検出センサーは、前記搬送ベルト上におけるその端部からの距離が異なる2以上の位置において、混入物を検出可能に構成され、
さらに、当該検出位置に応じた戻し量だけ、前記搬送ベルトを搬送方向に対して反対方向へ駆動することを特徴とする検針機。
【請求項2】
前記戻し量は、前記検出位置から前記搬送ベルトの端部までの距離であることを特徴とする請求項1に記載の検針機。
【請求項3】
前記検出センサーは、前記搬送ベルトの上流と下流にそれぞれ配置され、
一の検出センサーと他の検出センサーが、それぞれ互いに等しくかつ対称となるように、
前記搬送ベルトに対して斜めに配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の検針機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−189412(P2012−189412A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52514(P2011−52514)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000140096)株式会社ハシマ (10)
【Fターム(参考)】