説明

極低温に長期間さらされる間、哺乳動物の低体温を防止する方法および装置

【課題】寒冷条件下での哺乳動物の核心体温の変化を防止する方法および装置を提供する。
【解決手段】哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する。このような熱エネルギー入力の必要性が検出されたことに応じて、哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で哺乳動物の一部の表面を暖温媒体に接触させる。熱エネルギー入力の必要性を検出する手段と、哺乳動物の表面を陰圧条件下で暖温媒体に接触させる手段104とを少なくとも含む構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の表示
本出願は、35U.S.C.§119(e)に従い、その開示が引用によって本明細書に組み入れられる2000年6月9日に出願された米国仮特許出願第60/210,664号の出願日に対する優先権を主張する。
【0002】
序文
発明の分野
本発明は、核心エネルギー調節の分野に属する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
寒冷環境条件に長期間にわたってさらされると、様々な症状を呈する可能性のある低体温と呼ばれる状態に陥ることがある。症状は通常、最初は徐々に発現し、徐々に感覚が鈍くなっていき身体能力が失われていく可能性が高い。そればかりでなく、低体温に罹った人は、自分が緊急の治療を要する状態であることことを意識できない。症状には、無感覚または昏睡、精神錯乱、仮眠状態、調和の喪失、皮膚が青ざめ冷たくなる、ショック、呼吸低下、不明瞭な発音、抑えられない震え、体力低下が含まれる。このため、寒冷環境条件に長期間さらされると肉体的および精神的に顕著な悪影響を受けることがある。
【0004】
人が寒冷環境条件に長期間さらされることが望まれるいくつかの状況がある。たとえば、個人が寒冷条件下で作業する必要がある職業である。このような職業には、水中で長時間を費やす必要のある職業、戸外の寒冷環境で長時間を費やす必要のある職業などが含まれるがこれらに限らない。
【0005】
このため、哺乳動物の核心体温を寒冷条件下で長期間にわたって実質的に一定の値に維持できる技術の開発に関心が寄せられている。特に関心の高いのは、患者が十分耐えられる方法で、たとえば、患者が様々な作業、たとえば仕事に関係する作業を行う能力を実質的に阻害しない非侵襲的な方法で、上記の結果をもたらすような技術の開発である。
【0006】
関連文献
米国特許第5683438号(特許文献1)。国際公開公報第98/40039号(特許文献2)も参照されたい。以下の文献も関連がある。Soreideら「寒冷ストレスを受けた個人の正常体温を効果的に復元する非侵襲的手段:予備報告書(A non-invasive means to effectively restore normothermia in cold stressed individuals: a preliminary report)」J Emerg. Med.(1999年7月〜8月)17(4):725〜30(非特許文献1)およびGrahnら「手の血管を機械的に拡張させることによって軽低体温からの回復を加速することができる(Recovery from mild hypothermia can be accelerated by mechanically distending blood vessels in the hand)」J. Appl Physiol.(1998)85(5):1643〜8(非特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5683438号
【特許文献2】国際公開公報第98/40039号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Soreideら「寒冷ストレスを受けた個人の正常体温を効果的に復元する非侵襲的手段:予備報告書(A non-invasive means to effectively restore normothermia in cold stressed individuals: a preliminary report)」J Emerg. Med.(1999年7月〜8月)17(4):725〜30
【非特許文献2】Grahnら「手の血管を機械的に拡張させることによって軽低体温からの回復を加速することができる(Recovery from mild hypothermia can be accelerated by mechanically distending blood vessels in the hand)」J. Appl Physiol.(1998)85(5):1643〜8
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
寒冷条件下での哺乳動物の核心体温の変化を防止する方法および装置を提供する。本方法では、まず哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する。このような熱エネルギー入力の必要性が検出されたことに応じて、哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で哺乳動物の一部の表面を暖温媒体に接触させる。本装置は、熱エネルギー入力の必要性を検出する手段と、哺乳動物の表面を陰圧条件下で暖温媒体に接触させる手段とを少なくとも含む。本方法および装置は様々な用途に用いることができ、哺乳動物の核心体温を長期間にわたって低体温条件下で実質的に一定に維持する際に使用するのに特に適している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【図2】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【図3】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【図4】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【図5】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【図6】本方法を実施するために用いることのできる装置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
特定の態様の説明
寒冷条件下の哺乳動物の核心体温の変化を防止する方法および装置を提供する。本方法では、まず哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する。このような熱エネルギー入力の必要性が検出されたことに応じて、哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で哺乳動物の一部の表面を暖温媒体に接触させる。本装置は、熱エネルギー入力の必要性を検出する手段と、哺乳動物の表面を陰圧条件下で暖温媒体に接触させる手段とを少なくとも含む。本方法および装置は様々な用途に用いることができ、哺乳動物の核心体温を、長期間にわたって慢性的に低体温条件にさらされた状態で実質的に一定に維持する際に使用するのに特に適している。本発明についてさらに説明する際には、本方法および装置について詳しく論じ、次いで、本方法および装置を使用できる代表的な用途を検討する。
【0012】
本発明についてさらに説明する前に、本発明は上述の本発明の特定の態様に限らないことを理解されたい。特定の態様は変形することができ、それにもかかわらず変形態様は添付の特許請求の範囲の範囲内である。使用される用語は特定の態様について説明するための語であり、制限するための語ではないことに理解されたい。その代わり、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって確立される。
【0013】
本明細書および添付の特許請求の範囲において、単数形の「a」、「an」、および「the」は、特に断らないかぎり複数の引用を含む。特に断らないかぎり、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者が一般的に理解している意味と同じ意味を有する。
【0014】
方法
上記に概略的に述べたように、本発明は、寒冷条件下での哺乳動物の核心体温の変化を防止する方法を提供する。具体的には、本方法は、哺乳動物の核心体温の顕著な低下が寒冷条件下で起こるのを防止する。「顕著な低下」とは、脳温度が少なくとも1℃、通常少なくとも約1.5℃、多くの場合少なくとも約2℃低下することを意味する。以下に詳しく説明する多くの態様では、本方法は、哺乳動物の核心体温を長期間にわたって寒冷条件下で実質的に一定に維持する方法である。「実質的に一定の値に維持する」とは、哺乳動物の核心体温が長期間にわたって微弱な量しか変化しないことを意味する。「微弱な量」とは、約0.2℃〜5.0℃、通常約0.5℃〜4.0℃、多くの場合約1.0℃〜2.0℃の範囲の量を意味する。本方法は、寒冷環境条件で使用されるものである。「寒冷環境」とは、哺乳動物がこの条件に少なくとも5分間、通常少なくとも約60分間にわたってさらされたときに、哺乳動物を低体温に罹らせる条件、すなわち、低体温を生じさせる条件を意味する。この条件の温度は、条件の性質、たとえば、空中であるか、水中であるかなどに応じて異なるが、一般に約30未満、通常約25未満、多くの場合約20未満である。
【0015】
本方法を実施する際、第1の段階では、哺乳動物において熱エネルギーの入力の必要性を検出する。具体的には、第1の段階では、哺乳動物の核心体温の低下を防止するために哺乳動物において熱エネルギーの入力の必要性を検出する。このような熱エネルギー入力の必要性は、任意の好都合なプロトコルを用いて検出することができる。ある好都合なプロトコルでは、哺乳動物の体温調節障害が検出される。体温調節障害とは、障害に応じて哺乳動物で様々な生理学的変化が起こるような哺乳動物の体温調節における障害を意味する。体温調節障害は、障害に関連する1つまたは複数の生理学的変化を検出することによって検出することができる。関心対象の生理学的変化には、温度の変化、血管収縮、血圧の変化、振戦活動などが含まれる。特許請求の範囲内である方法のこの部分には、熱エネルギー必要性データを処理し、(以下に詳しく説明するように)それに応じて暖温媒体との接触を作動させる段階、たとえば、熱交換面と暖温媒体との接触を制御する計算手段を使用する段階が含まれる。
【0016】
熱エネルギー入力の必要性が検出された後、哺乳動物の核心に熱エネルギーが入力される。核心とは、哺乳動物の表面ではなく哺乳動物の体内領域または体内部分を意味する。熱エネルギーまたは熱を哺乳動物の核心に入力または導入する際には、哺乳動物の表面が、所望量の熱を導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で暖温媒体に接触させられる。暖温媒体に接触させられる表面は一般に、哺乳動物の核心と環境との間の熱交換手段として働く熱交換面である。本方法による関心対象の熱交換面には、哺乳動物の様々な領域、たとえば、腕、脚、掌、足の裏、頭、顔、耳などに存在する表面が含まれる。
【0017】
陰圧条件とは、この方法が実施される特定の条件下で大気圧、たとえば、平均海面で1ATMよりも低い圧力を意味する。圧力が陰圧条件下で大気圧から低下する量は、一般に少なくとも約10mmHg、通常少なくとも約20mmHg、多くの場合少なくとも約35mmHgであり、低下量は85mmHg以上程度の多い量になることもあるが、典型的には約60mmHgを超えず、通常約50mmHgを超えない。本方法を平均海面またはほぼ平均海面で実施する際、陰圧条件下での圧力は、一般に約740mmHg〜675mmHg、通常約730mmHg〜700mmHg、多くの場合約725mmHg〜710mmHgの範囲である。
【0018】
上述のように、哺乳動物の表面は、陰圧条件下で暖温媒体に接触させられる。暖温媒体とは、必要なまたは所望の核心熱エネルギー入力量または導入量を供給するのに十分な温度を有する媒体を意味する。媒体、すなわち、温度調節式固体材料、たとえば加温ブランケット、液体、気体の性質は、本方法を実施するのに用いられる特定の装置に応じて異なる。暖温媒体の温度は様々であってよい。暖温媒体の温度は、一般に約40℃〜52℃、通常約42℃〜50℃、多くの場合約44℃〜48℃の範囲である。
【0019】
接触は、所望量の核心エネルギーを入力または導入するのに十分な期間にわたって維持される。このため、接触は、一般に少なくとも約1分、通常少なくとも約2分、多くの場合少なくとも約3分間にわたって維持され、接触は最長で10時間以上維持されることもあるが、一般に、維持される時間は1日以下であり、通常1時間以下である。
【0020】
本方法を実施する際、接触中の陰圧条件は静的/一定でも、可変でもよい。したがって、ある態様では、陰圧は、表面と低温媒体が接触する間一定の値に維持される。他の態様では、陰圧値が接触中に変動、たとえば振動させられる。陰圧を変動または振動させる場合、所与の期間中の圧力変化量を変動させてよく、この変化量は、約-85mmHg〜40mmHg、通常約-40mmHg〜0mmHgであってよく、振動の周期は約0.25秒〜10分、通常約1秒〜10秒の範囲である。
【0021】
本方法を実施する際、陰圧条件は任意の好都合なプロトコルを用いて提供してもよい。多くの態様では、陰圧条件は、哺乳動物の、密封されたエンクロージャ内の低温媒体に接触させられる目標面を含む部分を密閉し、次いで、密封されたエンクロージャ内の圧力を低下させ、それによって必要な陰圧条件を提供することによって実現される。密封されたエンクロージャ内に密閉される部分は、哺乳動物の、目標熱交換面を含む部分であり、したがって、本発明の多くの態様では外肢である。このため、密封される部分は、本発明の多くの態様では、腕または脚、あるいは少なくともその一部、たとえば手や足である。エンクロージャの性質は、密閉すべき外肢の性質に応じて様々であり、代表的なエンクロージャには、手袋、靴/長靴、または袖が含まれる。これらについては、本発明を実施するのに用いることのできる代表的な装置の説明と共に詳しく説明する。
【0022】
本方法を実施する際に行われる核心熱エネルギー導入における導入量は、様々であってよいが、哺乳動物の核心体温を実質的に一定の値に維持するのに十分な量である。多くの態様では、熱導入量は、一般に少なくとも約0.5Kcal/分、通常少なくとも約1Kcal/分、多くの場合少なくとも約1.5Kcal/分であり、導入量は50Kcal/分程度の多い量になることもあるが、一般に約30Kcal/分を超えず、通常約15Kcal/分を超えない。熱を核心に導入する期間は、様々であってよいが、典型的には約1分〜24時間、通常約2分〜10時間、多くの場合約2分〜5時間の範囲である。
【0023】
本方法では、上述の各段階は、任意の所与の期間にわたって1回だけ行っても、複数回行ってもよく、すなわち、所与の期間中に1回行っても、所与の期間中に2回以上反復してもよい。上記の各段階を所与の期間または持続時間中に2回以上行う場合、複数の検出段階は、熱エネルギー入力の必要性が実質的に連続的に時間の関数として検出されるように、この期間中に実質的に連続的にユーザを監視する形をとってよい。
【0024】
本方法は、様々な哺乳動物に使用するのに適している。関心対象の哺乳動物には、競走用の動物、たとえば馬や犬など、作業用の動物、たとえば、馬や牛など、およびヒトが含まれるが、これらに限らない。たいていの態様では、本方法が実施される哺乳動物はヒトである。
【0025】
装置
上述の方法は、任意の好都合な装置を用いて実施することができる。一般に、熱エネルギー入力の必要性を検出し、陰圧を提供し、目標熱交換面に暖温媒体を必要な期間にわたって接触させることのできるあらゆる装置を使用することができる。本方法で使用される装置は、熱エネルギー入力の必要性を検出する感知要素を含む。この特定の感知要素は、熱エネルギー入力の必要性をどのように検出するかに応じて様々である。たとえば、血管収縮の発現によって示される体温調節障害を検出することによって熱エネルギーの必要性を検出する場合は、熱センサを使用することができる。関心対象の他の検出装置には、圧力センサ、EMG、温度計などが含まれるが、これらに限らない。装置は一般に、哺乳動物の核心体温を維持するうえで入力される熱エネルギーがもはや必要でなくなったときにそのことを検出する検出要素を含む。この検出要素は、熱エネルギー入力の必要性を検出する要素と同じ要素であることが多い。
【0026】
本装置は、目標熱交換面に陰圧環境を設ける陰圧要素も含む。多くの態様では、陰圧環境を設けるこの手段は、陰圧条件を生成することのできる密閉された環境に哺乳動物の外肢を密封する密封要素を含む。代表的な密閉手段または密封手段には、密封されたエンクロージャ内に上述の陰圧環境を生成することのできる陰圧誘発手段、たとえば真空と作動関係にある袖、長靴/靴、手袋などが含まれる。陰圧誘発要素は、モータ駆動吸引や、密封された環境で陰圧を発生させるのに十分な方法における哺乳動物の移動により移動する弁およびポンプのシステムなどを含む、いくつかの異なる方法で作動させることができる。
【0027】
上述のように、本装置は、熱交換面を暖温媒体に接触させる要素も含む。この表面を加温媒体に接触させる代表的な手段には、加温ブランケット、温水浸漬手段、暖気手段などが含まれる。多くの態様では、装置は、暖温媒体を生成する手段をさらに含み、この手段は、暖温媒体の性質に応じて様々であってよい。たとえば、ブランケット内の抵抗加熱要素が作動することによって温度が調節される加温ブランケットが暖温媒体である場合、暖温媒体を生成するこの手段は、加温ブランケットに電流を供給する手段である。あるいは、暖温媒体が暖気、たとえば空気である場合、暖温媒体を生成する手段は、この気体を加熱する手段、たとえばマイクロファーネスなどである。
【0028】
本方法で使用できるように容易に適合させることのできる代表的な装置は米国特許第5683438号に記載された装置であり、その開示は、引用によって本明細書に組み込まれている。ある態様では、装置は、米国特許出願第09/839,590号に記載された装置を本発明に適合させた装置であり、その開示は引用によって本明細書に組み入れられている。
【0029】
図1から図6は、本発明を実施するのに用いることのできる装置の他の態様の様々な図である。AVACore Technologies, Inc.(カリフォルニア州、パロアルト)の製品である図1から図6に示すシステムの特徴は、本明細書に記載された方法を実施するのに好ましい。本明細書に記載されたシステムは、ヒトの患者に熱エネルギーを加えるか、またはヒトの患者から熱エネルギーを除去するための陰圧チャンバを含んでいる。このチャンバとその外部環境との間の改良されたインタフェースが設けられている。
【0030】
Aquarius, Inc.(アリゾナ州、スコッツデール)は、上述の方法で使用できるか、または上述の方法で使用できるように様々な修正を施すことのできるシステムを生産している。しかし、このシステムは、ユーザとの「ハード」シール・インタフェースを利用している。本明細書で説明するシステムは「ソフト」シールを利用することができる。「ハード」シールは、それが形成する境界を超えた空気の漏れを完全に無くすように構成されることを特徴とする。理論的には、「ハード」シールでは、本方法で使用される陰圧チャンバを1回真空排気することができる。しかし、実際には、「ハード」シールは止血帯効果をもたらすことがある。さらに、完全なシールを維持することができない場合、完全なシールの維持を必要とするシステムでは問題が起こる。
【0031】
本明細書で説明する「ソフト」シールは、ユーザ/シール・インタフェースで近似シールすなわち不完全なシールを形成することを特徴とする。このようなシールは、そのインタフェースにおいてユーザの動きによりうまく追従する。実際、このようなシールでは、ユーザの動きに応じて、ユーザ/シール・インタフェースにおいていくらかの空気が漏れ、すなわち通過することができる。ソフト・シールと共に使用できるように構成された陰圧システムでは、ソフト・シール、調整器、または他のフィードバック機構/ルーチンによって、真空ポンプ、真空発生装置、吸出し扇風機、または真空引きすることのできるあらゆる他のそのような機構が、チャンバ内の圧力を安定させる必要に応じて応答し排気して、チャンバ内の圧力を所望のレベルに戻す。真空圧を「ソフト」シールに関連してリアルタイムでまたは所定の間隔で能動的に制御すると、真空圧を維持するために単なる真空引きに依存する「ハード」シール・システムに勝る顕著な利点が得られる。
【0032】
Aquariusシステムに対する他の欠点は、その障壁機能よりもシール形態と関連が深い。Aquariusシールへの出入りは困難である。本システムは、機能が「ハード」であるかそれとも「ソフト」であるかにかかわらず、両面シール形態を実現する。この意味は、以下の図および説明文を考慮すれば明らかになろう。
【0033】
図1および図2は、陰圧熱交換モジュール(100)の前後斜視図を示している。図3はこのモジュールの分解図である。これらの図に示されていないシステム要素には体温調節ユニットまたは灌流ユニットが含まれる。このようなユニットは、高温の水、低温の水、その両方などの熱交換媒体の流れを供給するように適合させることができる。さらに、任意にモジュール(100)と共に使用される真空源および調整器は図示されていない。当業者には明らかなように任意の種類の真空源または調整器/制御機構をモジュール(100)と共に使用してよい。これらの構成要素は協働して、使用時のモジュール(100)内の圧力をH2O約20インチ〜25インチに相当する値に維持すると共に、約19℃〜22℃の核心冷却用温度または約40℃〜45℃の核心加熱用温度を維持するように働く。
【0034】
図示のように、モジュール(100)は、陰圧チャンバ(104)を形成するハウジング(102)と、熱交換要素(106)と、シール・フレーム要素(110)によって支持されている軟性の両面シール(108)とを含んでいる。
【0035】
ハウジング(102)は、カバー(112)およびベース(114)で構成することができる。陰圧チャンバ(104)は好ましくは、熱交換要素(106)とカバー(112)との間に設けられる。図示の態様は、ヒトのユーザの手に合うようになっている。チャンバ(104)は好ましくは、ヒトの、任意のサイズの手に合うように構成されている。しかし、より空間効率的なパッケージを形成するために、より好ましくは、ヒトの手の様々なサイズの95%に合うようなサイズにしてよい。あるいは、子供のようなより特定のグループ向けのサイズにしてよい。足の裏面も熱交換面として有効に使用できるので、ハウジングをヒトの足に合うように構成することも考えられる。
【0036】
ハウジング(102)は、図示のようなエンド・キャップ(116)を含む複数の部材で構成しても、単体構造として構成してもよい。キャップ(116)は、ポート(118)を含むように図示されている。第1のポートは真空源との連結に利用することができ、一方、第2のポートは真空計に利用することができる。もちろん、他のポート配置も可能である。
【0037】
好ましくは、ハウジング(102)はプラスチックで作られる。最も好ましくは、モジュール(100)の少なくとも一部の材料および構造が、真空形成技術または真空成形技術によって得られうるハウジング(102)等である。
【0038】
互いに離散したカバー(112)部およびベース(114)部を使用する場合、それらをボルト穴(120)を通して互いに機械的に固定することができる。このような例では、ガスケットまたはコーキングを用いてハウジング(102)の周辺を密封することができる。
【0039】
分離可能なカバー(112)およびベース(114)または熱交換要素(106)を設けると、有利なことに、使用後にモジュール(100)を清掃する際にこれらの要素に手を届かせることができる。しかし、モジュールの上部と下部を、たとえば超音波溶接、化学結合などによって融合することが考えられる。さらに、上記で指摘したように、ハウジング(102)を単一の部材として設けることが考えられる。
【0040】
ハウジング(102)は、その構成、サイズ、または全体的な外観にかかわらず、チャンバ(104)の一部を形成する。ユーザに熱負荷を供給するかまたはユーザからの熱負荷を受け入れる熱交換面(122)も、チャンバ(104)の一部を形成する。ユーザは、熱交換面(122)に直接接触することができる。あるいは、ユーザは手袋または靴下を着用するか、あるいは他の予防措置を講じてよい。熱交換面(122)は、中間箔層、金属化マイラー、その他の材料などによって熱交換部材(106)から分離された部材によって形成することができる。
【0041】
熱交換要素(106)は好ましくは、アルミニウムまたは他の高熱伝導性材料で作られる。熱交換要素(106)は、ペルチエ素子、乾燥剤冷却装置、あるいは吸熱化学反応または発熱化学反応と連絡して温度差をもたらすことができる。しかし、より好ましくは、熱交換部材(106)は、入口および出口(124)と連絡して熱交換面(122)の後方の灌流液体の流れに対処する。冷水または湯を用いてこの要素の接触面を所望の温度に維持することができる。最適には、灌流流体は要素(106)とベース(114)との間のキャビティ(126)内の一連のスイッチバックを通って流れる。
【0042】
ハウジング(102)および熱交換部材(106)の背部をプレート(128)によって形成することができる。図示のように、この部分には、熱交換キャビティ(126)の入口および出口(124)ならびにチャンバ(104)の開口部(130)を設けることができる。シール(108)を構成する好ましい方法をプレート(128)に関連して開示する。
【0043】
シール(108)の好ましい形状局面を詳しく示す図が図4、図5、および図6に示されている。図4はシール(108)の端面図である。好ましくは、シール(108)の少なくとも一部は卵形である。楕円形が好ましいこともある。円形を使用してもよい。それにもかかわらず、シール(108)の少なくともウエスト開口部(136)には、長軸(132)および短軸(134)を有する形状が好ましい。卵形は、ユーザの手首または前腕の形状に概ね対応する。チャンバ開口部(130)およびシール開口部(138)のところにも、長軸(132)および短軸(134)を有する形状が好ましい。これは、モジュール(100)の手入口および出口用のすきまを設ける助けになる。さらに、シール・ウェッビング(140)の構成も簡略化される。
【0044】
シール(108)に卵形を用いるか否かにかかわらず、シール(108)は概ね砂時計形である。シール(108)は、開口部(130)、(136)、および(138)が円形である場合に砂時計の形状に最も近くなる。卵形を適用すると、線A-Aに沿った断面の図5や線B-Bに沿った断面の図6のような、シール(108)の様々な投影図に砂時計の形状が示される。
【0045】
もちろん、図示の形状を「砂時計」以外の形状として特徴付けてよい。たとえば、シール(108)の形状を双曲線または放物線とみなしてよい。さらに、シール(108)を形成する際に簡単な丸い断面または半円形断面を利用することができる。さらに、特に開口部(130)および(138)とウエスト(136)との間に直線状区間を使用してよい。
【0046】
いずれの場合も、外側の開口部が内側の開口部よりも大きなサイズを有する両面シールをモジュール(100)で使用すべきである。この形状によって、外肢の出入り用の斜面または遷移区間が形成される。これらの形状は、手または足をモジュール(100)に挿入すると共にモジュール(100)から取り出すために通過させるのに十分な幅にシール・インタフェースすなわちウエスト(136)を伸ばすうえで助けになる。
【0047】
このようなシールを設ける際には材料の選択が重要である。材料が伸縮可能でなければならないことは明確である。さらに、空気流に対する実質的な障壁を形成しなければならない。これらの各基準を満たすうえで、Malden Mills(マサチューセッツ州モールデン)から販売されているウレタンで裏打ちされたリクラ(lycra)が有効であることが証明されている。しかし、他の材料を使用することが考えられる。ウエェッビング(140)用に選択される材料は好ましくは、モジュール(100)からの出入りを面倒にするようにユーザと噛み合うことのない仕上げを有する。引用した材料のウレタン・スキンはサテン仕上げを有する。これによって、ユーザの皮膚および毛髪との摩擦が低減する。
【0048】
シール・ウェッビング材料は、十分な伸縮が可能であるだけでなく、真空を形成したときにキャビティ(104)内に過度に引き込まれるのを避けるのに十分な強度も有さなければならない。使用時には、シール(108)の開放構成により、チャンバ(104)内の部分真空にさらされたキャビティ側ウェッビング材料が大気圧によって内側に押し込まれる。シールのチャンバ側に観測されるこの自己膨張現象は、ユーザがシールを開放するうえで助けになる。しかし、過度に多くの材料が内側に屈曲した場合、ユーザの手または足が装置内にずれ、ユーザが不快感または驚きを感じる。したがって、材料を適切に選択することにより、シール(108)の、チャンバ(104)の反対側は、出入り用の遷移区間を形成するだけでなく、シール位置を安定させる形状を形成する。
【0049】
シール(108)は好ましくは、ウェッビング材料(140)の2つの断片を縫い合わせることによって作られた袖によって形成される。これらの断片は、図3の分解図では破線で示されている。袖を2つ以上の断片で構成することによって、複雑な形状を容易に作製することができる。袖ウェッビング(140)を所定の位置に固定してシール(108)を形成する場合、ウェッビング(140)は、様々な図に示されているように、リング(142)上の各端部で折り畳まれる。次いで、キャビティ側のリングおよびウェッビングがプレート(128)の開口部(130)に挟められる。反対側のシール・ウェッビング(140)は外側のリング(142)とリテーナ部材(144)との間に挟められる。スタンドオフ(146)または同等な構造によってプレート(128)とリング・リテーナ(144)が離隔され、シール(108)の全長が形成されている。もちろん、シール(108)の、ヒトの手に合わせるための他のパラメータと共に、スタンドオフまたはシールの長さを変えてよい。
【0050】
なお、場合によってはシールの全長を長くすることが望ましいことに留意されたい。全長を長くすると、シール形状の設計上の融通性が増す。このことは、ウエスト(134)の長さを長くし、ユーザと接触するシール面を大きくすることによって最もうまく利用することができる。これにより、有利なことに、望ましくないくびれ効果を低減させることができる。さらに、有利なことに、シール・ウェッビング(140)に用いられる材料の性質として様々な性質を選択できることを理解されたい。上記で指摘したリクラ・ベースの材料は等方性であるので、ウェッビングには異方性材料または効果が好ましい場合がある。すなわち、袖の半径方向の膨張を大きくすることが望ましく、一方、長手方向のコンプライアンスが望ましくない場合がある。コンプライアンスを半径方向成分に対して袖の軸に沿って低減させることにより、真空を形成したときに袖がチャンバ(104)内に引き込まれる程度が低くなる傾向がある。伸縮性の非常に高い材料の場合、これにより、前述の両面シールによる1組の利点のすべてを犠牲にすることなしに、より小さなシール開口部で同じユーザ群に合わせることが可能になる(依然としてウェッビング(140)を半径方向に伸ばし、所望のシールを形成するのに十分な程度に戻すことができるからである)。
【0051】
このような異方性効果はいくつかの方法で実現することができる。たとえば、ウェッビングに関連する長手方向補強部材を設けることによって実現することができる。このような補強部材は、編組技術、袖表面への補強材の結合/取付け、または当業者に明らかな他の手段によって組み込むことができる。
【0052】
シール構成の詳細にかかわらず、また、シール構成を利用して「ハード」ユーザ・インタフェースを形成するかそれとも「ソフト」ユーザ・インタフェースを形成するかにかかわらず、本明細書で開示する両面シールにより、上記で指摘した方法を実施する優れた態様が実現される。快適に使用でき、かつ効果が実証されているので、各図に示す「ソフト」両面シールが好ましいが、場合によっては、「ハード」シール手法またはより複雑な「ソフト」シール手法が望ましい。
【0053】
両面シールを「ハード」手法で利用するには、補助的な押込み手段を設けてシール・ウエスト(134)の周りに圧力をかけることができる。ストラップ、ベルト、またはシンチのうちの少なくとも1つなどの機械的手段を用いてよい。あるいはシールの周囲の膨張不能なカフ部またはブラダー部を用いてよい。補助的な圧力をかけ、自動化手段または手動手段によってこの圧力を調節する機構のためにシステムの複雑さは増すが、ある潜在的な利点がもたらされる。すなわち、一定のあるいは定期的な真空補充に依存する代わりにチャンバ(104)用の単一真空排気手順が可能になる。また、シール(108)の設計上の融通性が増す。特に、設計上の決定で利用すべき他の変数を設けることにより、補助的な押込み容量を用いてシールを使用時の必要に応じて形作ることができるので、ウェッビング材料の選択や開口部のサイズをそれほど重視しなくて済むようになる。さらに、シール・フレーム(110)を構成するハード要素のような、所与の構成のハード要素の場合に、より広い範囲のユーザにシール(108)を合わせることが可能になる。
【0054】
補助的な押込み部材またはシール整形手段を用いて、上述の「ソフト」シールよりも複雑な「ソフト」シールを作製することもできる。「ハード」シール手法と同様に、この場合も、設計上の可能性、およびユーザにシールを合わせることに関する可能性がもたらされる。この場合も、押込みパラメータまたはシール整形パラメータを手動で調節しても、自動的に調節してもよい。ただし、複雑な「ソフト」シールにおいて、ウエスト(134)にかかる圧力の調節は、ユーザが不快感を感じないように、またはシールをユーザに円滑に合わせられるように行われる。両面構成を利用する、複雑な「ソフト」シール手法と「ハード」シール手法との違いは、シールとユーザとのインタフェースへの圧力のかけ方だけであるので、たとえば可変圧力調節を行うことによって、同じ装置をどちらの方法でも機能するように構成することができる。
【0055】
上述の陰圧手段および暖温媒体接触手段は、典型的には、哺乳動物の核心体温を維持するのに熱エネルギー入力が必要であるかどうかに応じて陰圧手段および暖温媒体の作動を制御する制御手段によって作動可能であり、すなわちオン・オフを切り換えられる。制御手段は一般に、検出手段からの出力データ、すなわち、哺乳動物の核心体温を維持するのに熱エネルギー入力が必要であるか否かに関するデータを取り込み、このデータを処理して、陰圧手段/加熱手段を作動させるべきか否かを判定し、次いで、それに従って装置のこれらの構成要素を作動させることのできる処理手段である。
【0056】
有用性
上述のように、本方法は、哺乳動物の核心体温を寒冷条件下で実質的に一定の値に維持する手段を実現する。本方法は、哺乳動物の核心体温の低下を避けるために、哺乳動物の核心に熱エネルギーまたは熱を導入する必要があることが検出されたことに応じてそのような導入を行うことによって、哺乳動物の核心体温を寒冷条件に維持することができる。このため、本方法は、様々な用途に用いるのに適している。代表的な用途には、哺乳動物の核心体温を長期間にわたって寒冷条件下で実質的に一定の値に維持することが含まれる。このため、本方法および装置によって、哺乳動物は、対照、たとえば、本方法および装置を有さない同様な装備が施された個人と比べて、個人が悪影響を受けずにより長い期間にわたって寒冷環境に止まることができる。より長い期間とは、少なくとも約1.2倍、通常少なくとも約1.5倍、多くの場合少なくとも約2.0倍長くなることを意味する。本方法を用いて避けることのできる悪影響には、身体能力の低下、精神力の低下などが含まれる。したがって、本方法および装置は、個人が長期間にわたって寒冷条件に止まることが望ましい用途、たとえば、個人が寒冷条件、たとえば低温の海水中や寒冷気候で作業する用途に用いることができる。
【0057】
上記の結果および議論から、本発明が、寒冷条件下で哺乳動物の核心体温を維持する好都合な手段を提供することが明らかである。具体的には、本発明は、哺乳動物に実質的に干渉せずに、すなわち、哺乳動物が十分に耐えることができ、かつ哺乳動物が実質的に気づかないように、哺乳動物の核心体温を好都合に維持する、非侵襲的で、簡単に実施できる方法および容易に使用できる装置である。本方法および装置の利点には、哺乳動物を、肉体的および/または精神的な障害を含む悪影響を経験せずに寒冷条件にさらすことのできる期間を大幅に延ばす能力が含まれる。このため、本方法および装置は、寒冷条件、たとえば水中作業環境や寒冷気候作業環境で作業者の健康および成果を向上させるのに用いられる用途を含む様々な用途に使用することができる。上記の議論および結果を考慮すれば、本発明が当技術分野に対する顕著な寄与を表すことが容易に明らかになると思われる。
【0058】
本明細書で引用したすべての公開特許出願および特許出願は、個々の各公開出願または特許出願を引用によって組み入れることを特定的かつ個別に示す場合と同様に引用によって本明細書に組み入れられている。あらゆる公開特許出願の引用は、出願日よりも前の、その開示についての引用であり、本発明が、従来の発明のためにそのような公開特許出願に先行する資格を有さないことを認める引用と解釈すべきではない。
【0059】
前述の発明については、理解を明確するために図および例によってある程度詳しく説明したが、当業者には、本発明の開示を考慮することにより、添付の特許請求の範囲の趣旨または範囲から逸脱せずに本発明にある変更および修正を加えうることが明らかになると思われる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寒冷条件下で哺乳動物の核心体温の変化を防止する方法であって、
(a)該哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する段階と、
(b)該必要性が存在することに応じて該哺乳動物の一部の表面を、該哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で暖温媒体に接触させる段階とを含み、
それによって該哺乳動物の核心体温が該寒冷条件下で変化するのを防止する方法。
【請求項2】
必要性が、哺乳動物に体温調節障害が存在することを検出することによって検出される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
体温調節障害が、哺乳動物に血管収縮が存在することを検出することによって検出される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
方法が、密封されたエンクロージャ内に哺乳動物の部分を密閉して該哺乳動物の密閉部分を形成する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項5】
方法が、哺乳動物の該核心体温を少なくとも約60分の持続時間にわたって実質的に一定に維持する方法であり、該方法が、該持続時間中に段階(a)および段階(b)を少なくとも2回実行する段階を含む、請求項1記載の方法。
【請求項6】
哺乳動物の部分が四肢またはその一部である、請求項1記載の方法。
【請求項7】
四肢が、腕および脚からなる群より選択される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
密封されたエンクロージャが、約-20mmHg〜-80mmHgの範囲の圧力を有する、請求項4記載の方法。
【請求項9】
暖温媒体が約44℃〜48℃の範囲の温度を有する、請求項1記載の方法。
【請求項10】
期間が約1分〜600分の範囲である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
哺乳動物がヒトである、請求項1記載の方法。
【請求項12】
寒冷条件下で少なくとも約60分の時続時間にわたって哺乳動物の核心体温を実質的に一定に維持する方法であって、
(a)該持続時間の間、該哺乳動物に体温調節障害が存在するかどうかを監視する段階と、
(b)該体温調節障害が存在することに応じて該哺乳動物の密閉部分の表面を、該哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入するのに十分な期間にわたって陰圧条件下で暖温媒体に接触させる段階とを含み、
それによって該持続時間の間、該哺乳動物の核心体温が実質的に一定に維持される方法。
【請求項13】
体温調節障害が、哺乳動物に血管収縮が存在することを検出することによって検出される、請求項12記載の方法。
【請求項14】
方法が、密閉されたエンクロージャ内に哺乳動物の部分を密閉して該哺乳動物の密閉部分を形成する段階をさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項15】
哺乳動物の部分が四肢またはその一部である、請求項12記載の方法。
【請求項16】
四肢が、腕および脚からなる群より選択される、請求項15記載の方法。
【請求項17】
密封されたエンクロージャが、約-20mmHg〜-80mmHgの範囲の圧力を有する、請求項14記載の方法。
【請求項18】
暖温媒体が約44℃〜48℃の範囲の温度を有する、請求項12記載の方法。
【請求項19】
期間が約5分〜600分の範囲である、請求項12記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物がヒトである、請求項12記載の方法。
【請求項21】
寒冷条件下で少なくとも約60分の時続時間にわたってヒトの核心体温を実質的に一定に維持する方法であって、
(a)該持続時間の間、該哺乳動物に血管収縮が存在するかどうかを監視する段階と、
(b)該血管収縮が存在することに応じて該哺乳動物の密閉部分の表面を、約1分〜600分の範囲の期間にわたって約-20mmHg〜-80mmHgの範囲の陰圧条件下で暖温媒体に接触させる段階とを含み、
それによって該持続時間の間、該ヒトの核心体温が実質的に一定に維持される方法。
【請求項22】
寒冷条件下で哺乳動物の核心に熱エネルギーを導入する装置であって、
(a)該哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する手段と、
(b)該哺乳動物の一部を密閉する密封可能なエンクロージャと、
(c)該密封可能なエンクロージャ内に陰圧条件を提供する手段と、
(d)該密封可能なエンクロージャ内に暖温媒体を形成する加熱手段とを含む装置。
【請求項23】
哺乳動物の部分が四肢またはその一部である、請求項22記載の装置。
【請求項24】
四肢が、腕および脚からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する手段が、該哺乳動物において体温調節障害を検出する手段である、請求項22記載の装置。
【請求項26】
哺乳動物において熱エネルギー入力の必要性を検出する手段が、血管収縮検出手段である、請求項25記載の装置。
【請求項27】
密封されたエンクロージャ内で陰圧を提供する手段によって、約-20mmHg〜-80mmHgの範囲の陰圧を提供することができる、請求項22記載の方法。
【請求項28】
哺乳動物がヒトである、請求項22記載の装置。
【請求項29】
密封可能なエンクロージャが、袖、手袋、および長靴からなる群より選択される形態を有する、請求項22記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−206572(P2011−206572A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−139027(P2011−139027)
【出願日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【分割の表示】特願2002−501364(P2002−501364)の分割
【原出願日】平成13年6月7日(2001.6.7)
【出願人】(503115205)ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティ (69)
【Fターム(参考)】