説明

楽器

【課題】比重が低い木材を使用しながらも、比重が高い木材を使用する場合と同等の性能を有する楽器を提供する。
【解決手段】比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成した木製部材を備える。この木製部材の圧縮による前記板厚方向への圧縮率が0.50〜0.70であればより好ましい。このような木製部材は、高温高圧の水蒸気雰囲気中で軟化させた後、一対の金型によって板厚方向に圧縮力を加えることによって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材を圧縮成形することによって得られた木製部材を備えた楽器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木材を用いて構成されるギターやバイオリン等の楽器においては、楽器の特性や適用箇所に応じて、メープルやマホガニーのように、比重が0.7程度と高く、優れた振動特性を有する木材が用いられることが多い。この中でも、厳寒の気候下で長い年月生育したメープルには、木目が特に密に揃った虎目と呼ばれる材があり、エレキギターのボディやバイオリンのネックなどに好適とされている。
【0003】
しかしながら、上述した良質の木材は、楽器その他の木材製品用として伐採が進んだ結果、現在では入手が困難となってきている。このため、近年、良質の木材と同等の振動特性を有し、楽器用部材として好適な素材が求められていた。
【0004】
このような状況の中、楽器用部材を製造する技術として、幅方向に圧縮された圧縮木材を軟化し、その幅方向を固定しながらプレス成形し、形状の固定化を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
【特許文献1】特許第3533990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、実質的な圧縮は幅方向のみであり、板厚方向に十分な圧縮が加えられていないため、楽器用部材として要求される性能を実現するためには、結局のところ、原材として比重が高い木材を使用せざるを得なかった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、比重が低い木材を使用しながらも、比重が高い木材を使用する場合と同等の性能を有する楽器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様に係る楽器は、比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成された木製部材を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、上記発明において、前記木製部材の前記板厚方向への圧縮率が0.50〜0.70であるとしてもよい。
【0010】
また、上記発明において、前記板厚方向への圧縮率が、前記板厚方向と直交する面内の位置によって異なるとしてもよい。
【0011】
また、上記発明において、前記木製部材の長手方向が前記木材の繊維方向と略平行であるとしてもよい。
【0012】
また、上記発明において、少なくとも一部が前記木製部材からなる響板を有するとしてもよい。
【0013】
また、上記発明において、前記響板の前記木製部材からなる部分と一体に形成され、前記木製部材からなる部分を補強する突起部を有するとしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成した木製部材を備えることにより、比重が高い新素材を用いて楽器を構成することができる。したがって、比重が低い木材を使用しながらも、比重が高い木材を使用する場合と同等の性能を有する楽器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。なお、以下の説明で参照する図面はあくまでも模式的なものであって、同じ物体を異なる図面で示す場合には、寸法や縮尺等が異なる場合もある。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る楽器であるアコースティックギター(以後、単に「ギター」と称する)の構成を模式的に示す図である。また、図2は、図1に示すギターの裏側の構成を示す図である。これらの図に示すギター1は、弦Strの振動を音として外部へ伝えるボディ2と、ボディ2から延出するように取り付けられ、弦Strを張るためのネック3と、ネック3の弦Strと面する表面に設けられ、演奏者が弦Strを指で押さえるためのフィンガーボード4と、ネック3の一端に設けられ、弦Strの端部を巻きつけるヘッド5と、を備える。
【0017】
ボディ2は、表板2a、裏板2b、および側板2cを響板として備え、筐体状をなす。響板は、比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成された木製部材からなる。
【0018】
ボディ2の表面には、弦Strの振動を音波として外部へ出力するサウンドホール2dが設けられている。また、ボディ2の表面には、ピックによって表板2aが削られるのを防止するピックガード6、および弦Strの一端を取り付ける下駒7が設けられている。
【0019】
ネック3、フィンガーボード4、およびヘッド5も木材からなる。このうち、ヘッド5には、弦Strの数だけ糸巻8が取り付けられている。各部位に適用される木材の種類は、各部位の機能等に応じて定められる。これらの部位を、ボディ2と同様に形成された木製部材を用いて実現してもよい。
【0020】
次に、ボディ2の響板となる木製部材の製造方法について説明する。以下では、主として、表板2aや裏板2bの基材となる木製部材を製造する場合について説明する。木製部材を製造する際には、まず、所定の形状をなす木材を原木から形取る(形取工程)。図3は、この形取工程の概要を模式的に示す図である。図3では、原木である無圧縮状態の無垢材10(木目Gを有する)から、略円弧状に湾曲した断面形状を有し、長手方向が無垢材10の繊維方向Lと略平行な木材11を切削等によって形取る場合を模式的に示している。なお、図3では、木材11の湾曲する外周側の外側面11aが上方に位置する状態を図示している。木材11は、後述する圧縮工程によって減少する分の容積を予め加えた容積を有している。
【0021】
木材11の原材料である無垢材10は、比重が0.5以下、より好ましくは比重が0.45以下の木材であり、具体的には、ヒノキ、ヒバ、スギ、キリ、マツ等のうちのいずれかである。
【0022】
ところで、図3では、無垢材10から形取る木材11の長手方向とその木材11の繊維方向Lとが略平行であり、湾曲する外側面11aが柾目面をなすように形取りを行った場合を示しているが、木材11の長手方向がその木材11の繊維方向Lと略平行であり、外側面11aの表面が板目面または追柾面をなすように形取ることもできる。このように、木材11の長手方向が木材11の繊維方向Lと略平行であることにより、高い強度を確保することができる。なお、無垢材10から形取る木材は、平板状をなしていてもよい。
【0023】
以上説明した形取工程において、木材11を原木からどのように形取るかは、その木材11に対して要求する強度や美観等の各種条件に応じて定められる。そこで、以後の説明で参照する図面においては、木材11の木目Gを省略して記載する。
【0024】
この後、形取った木材11を、大気よりも高温高圧の水蒸気雰囲気中で所定時間放置し、水分を過剰に吸収させることによって十分に軟化させる(軟化工程)。ここでいう高温高圧とは、温度が100〜230℃、より好ましくは180〜230℃、さらに好ましくは180〜200℃程度であり、圧力が0.1〜3.0MPa(メガパスカル)、より好ましくは0.45〜2.5MPa、さらに好ましくは1.0〜1.6MPa程度の状態を指す。なお、上述した水蒸気雰囲気中で木材11を放置して軟化させる代わりに、例えばマイクロウェーブの如き高周波の電磁波によって木材11を加熱して軟化させてもよい。
【0025】
続いて、上述した軟化工程で十分に軟化した木材11を圧縮する(圧縮工程)、図4は、圧縮工程の概要を示す図である。図4では、木材11の上下が図3と逆転しており、湾曲している内周側の内側面11bが外側面11aよりも上方に位置している。木材11を圧縮する際には、木材11を一対の金型51および61によって挟持し、所定の圧縮力を加える。図4で木材11の上方から圧縮力を加える金型51は、木材11の内側面11bに当接する凸部52を備えたコア金型である。これに対し、図4で木材11の下方から圧縮力を加える金型61は、木材11の外側面11aを嵌入する凹部62を備えたキャビティ金型である。
【0026】
この圧縮工程では、軟化工程と同じ水蒸気雰囲気中で木材11を圧縮する。具体的には、金型51および61の少なくとも一方を他方に対して移動することによって木材11を挟持し、木材11を徐々に所定の3次元形状へ変形させる。以下では、説明の便宜上、金型51を下降させて金型61へ近づけていく場合を説明する。
【0027】
図5は、金型51の凸部52が木材11に当接し、木材11に金型51および61からの圧縮力が加わり始めた状態を示す図であり、図4に示す木材11、金型51および61のA−A線断面に相当する縦断面を示す図である。図5に示す状態から金型51を下降させていくと、木材11は、金型51および61から圧縮力を受けることによって徐々に変形していく。その結果、木材11の内側面11bは、金型51の凸部52の底面と密着した状態になる一方、木材11の外側面11aは、金型61の凹部62の底面と密着した状態になる。
【0028】
図6は、圧縮力が加わることによって木材11が金型51および61と密着した状態を示す図であり、圧縮工程における木材11の変形がほぼ完了した状態を示す図である。図6に示すように、木材11は、圧縮工程によって金型51と金型61との隙間に相当する平板状に変形する。図6に示す状態で木材11に所定時間(1〜数十分、より好ましくは5〜10分程度)圧縮力を加える。この圧縮力は、木材11の外側面11aおよび内側面11bと直交する方向すなわち木材11の板厚方向に加えられる。その後、上記水蒸気雰囲気を解いて木材11を乾燥させ、金型51と金型61を離間させて圧縮を解除する。この結果、木材11は、その形状が固定される。
【0029】
圧縮工程後の木材11の肉厚は、圧縮前の肉厚の30〜50%程度となる。換言すると、この圧縮工程における木材11の圧縮率(圧縮による木材の肉厚の減少分ΔRとその木材の圧縮前の肉厚Rの比の値ΔR/R)は、0.50〜0.70程度である。
【0030】
なお、金型51および61の少なくとも一方を他方に対して移動する際には、適当な駆動手段を用いて金型51および/または61を電気的に移動させることにより、木材11に加わる圧縮力を調整するようにすればよい。また、金型51と金型61とをねじで連結し、このねじを手動または自動で締めることによって金型51を金型61に対して上下動させるようにしてもよい。
【0031】
以上説明した圧縮工程の後、木材11に切削、研磨、つや出し等の処理を施すことにより、木材11を所定の3次元形状に整形する(整形工程)。
【0032】
図7は、以上説明した一連の工程(形取工程〜整形工程)によって製造された木製部材の構成を示す図である。同図に示す木製部材12は、ギター1のボディ2の表板2aや裏板2bとなる板材である。
【0033】
木製部材12を用いて表板2aを形成する場合には、木製部材12の所定の位置にサウンドホール2dを形成する。また、木製部材12の表面のうち、ボディ2を組み立てた時にボディ2の内側に来る面には、木製部材12を補強するとともに、木製部材12全体に振動を伝達するための力木(ギターの場合、通常「ブレーシング」と呼ばれる)が所定のパターンにしたがって設けられる。ブレーシングは、木製部材12を用いて裏板2bを形成する場合にも、その木製部材12の一方の面に設けられる。ただし、表板2aと裏板2bとでは、一般にブレーシングのパターンは異なる。
【0034】
ここまで、表板2aや裏板2bの基材となる木製部材の製造方法について説明してきたが、側板2cの基材となる木製部材についても、上記同様の処理によって形成することができる。
【0035】
側板2cに適用する木製部材を加工する場合には、その波打つ形状に鑑みて、原木から平板状に形取った木材に曲げ加工を施した後、一対の金型を用いた圧縮工程を行うようにしてもよい。この際には、木材に曲げ応力が作用しても割れ等を生じない程度にその木材が軟化していなければならない。そこで、曲げ工程を行う前に、木材を高温かつ湿潤な状態にしておくことが好ましい。この状態は、例えば木材に対して80〜100℃の水蒸気を20〜80分間吹き付けることによって実現される。なお、水蒸気の温度や吹き付け時間は、木材の種類、大きさ、形状、曲げを加える方向などを考慮して定めればよい。また、木材を煮沸したり、木材にマイクロウェーブを照射するといった周知の方法によって木材を高温かつ湿潤な状態にしてもよい。
【0036】
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成した木製部材を備えることにより、比重が高い新素材を用いて楽器を構成することができる。したがって、比重が低い木材を使用しながらも、比重が高い木材を使用する場合と同等の性能(例えば、強度や振動特性)を有する楽器を提供することが可能となる。
【0037】
また、本実施の形態1によれば、比較的入手しやすいヒノキ、ヒバ、スギ、キリ、マツ等の低比重の木材を原材としているため、入手が困難なマホガニーやメープルのような高比重の木材を用いた場合と同等の性能を、低コストで実現することができる。また、前述した低比重の木材として間伐材を利用することにより、資源の節約や有効利用といった環境問題にも寄与することができる。
【0038】
なお、本実施の形態1に係る楽器は、エレキギターでもよい。この場合、木製部材は、フルアコースティックギターやセミアコースティックギターのボディとして適用することができる、また、木製部材を、空洞がないソリッドギターのボディとして適用することも可能である。
【0039】
(実施の形態1の変形例)
本実施の形態1の変形例に係るギターは、表板や裏板と一体に突起部が形成されていることを特徴とする。この突起部は、実施の形態1におけるブレーシングと同様の役割を果たすものである。図8は、この変形例に係るギターの裏板に設けられた突起部の例を示す図である。同図に示す裏板2eには、長手方向と短手方向にそれぞれ平行な直線部分を有し、かつ裏板2eの表面から紙面手前方向に突起した突起部2fが一体に形成されている。この意味で、図8の紙面手前側が、裏板2eの裏側である。
【0040】
突起部2fを裏板2eと一体に形成する場合には、無垢材10から木材を形取る際、突起部2fとなる突起を切削によって形成する。また、金型51の凸部52または金型61の凹部62に、突起部2fの形状に対応したくぼみを設けておき、圧縮工程において突起部も同時に形成する。
【0041】
なお、図示はしないが、表板についても、裏板2eの場合と同様、突起部に応じた形取りを行う一方、金型に適当なくぼみを形成しておき、上記実施の形態1と同様の圧縮成形を行うことにより、突起部を表板と一体に形成することができる。
【0042】
以上説明した本実施の形態1の一変形例によれば、響板と突起部が一体で形成されているため、ブレーシングを響板に接着する場合のように、経時劣化によってブレーシングとしての突起部が響板から剥がれてしまう虞がなく、耐久性に優れるとともに、両部材を接着する場合よりも大きな補強効果を得ることができる。
【0043】
また、響板と突起部とを一体で形成した利点として、従来のように接着部分で振動の不連続性が生じることがなく、弦からの振動がより的確に響板全体に伝達される点をあげることもできる。この結果、ボディから高音質の音を発生させることができる。
【0044】
本変形例においては、原木から形取る木材の形状や金型の形状を調整することにより、実質的に木材の圧縮率を部分的に変えるような調整を行った。この意味では、突起部以外の箇所に対しても、木製部材の形状や振動特性をふまえた圧縮率となるように予め調整しておけば、一段と精密な振動特性を有し、かつ高音質の音を発生させることが可能な木製部材を実現することができる。
【0045】
また、上記の如く圧縮率の調整を行うことによって、響板の表面を突起の少ない滑らかな表面としても、十分な強度が得られる可能性がある。したがって、この場合にも、優れた音質の楽器を実現することが可能となる。
【0046】
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2に係る楽器であるバイオリンの構成を示す図である。同図に示すバイオリン21は、弦Strの振動を音として外部へ伝えるボディ22と、ボディ22から延出するように取り付けられ、弦Strを張るためのネック23と、ネック23の弦Strと面する表面に設けられ、演奏者が弦Strを指で押さえるためのフィンガーボード24と、ネック23の一端に設けられ、弦Strの端部を巻きつけるヘッド25と、を備える。
【0047】
ボディ22は、表板22a、裏板、側板(裏板と側板は図示せず)を響板として備え、筐体状をなす。これらの響板は、比重が0.5以下(より好ましくは比重が0.45以下)で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成された木製部材からなる。響板を構成する表板22a等の木製部材は、上記実施の形態1で説明した木製部材の製造方法によって形成される。
【0048】
ボディ22の表面には、弦Strの振動を音波として外部へ出力する2つのf字孔22bが形成されている。また、ボディ22の表面には、弦Strを張る駒26、および弦Strの一端を取り付けるテールピース27が設けられている。
【0049】
ネック23、フィンガーボード24、およびヘッド25も木材からなる。このうち、ヘッド25には、弦Strの数だけ糸巻28が取り付けられている。各部位に適用される木材の種類は、各部位の機能等に応じて定められる。これらの部位を、ボディ22と同様に形成された木製部材を用いて実現してもよい。
【0050】
図10は、表板22aの裏側の構成を示す図である。表板22aの裏側には、表板22aの長手方向に沿って力木(バイオリンの場合、通常「バスバー」と呼ばれる)221aが設けられている。バスバー221aは、表板22aを補強するとともに、弦Strの振動を響板全体に伝え、特に低音の響きを強める役割を果たしている。本実施の形態2においても、このバスバー221aを、表板22aと一体に突起部として形成することが可能である。これにより、ギターにおいて響板とブレーシングとしての突起部を一体に形成した場合と同様の効果を得ることができる。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成した木製部材を備えることにより、比重が高い新素材を用いて楽器を構成することができる。したがって、上記実施の形態1と同様に、比重が低い木材を使用しながらも、比重が高い木材を使用する場合と同等の性能(例えば、強度や振動特性)を有する楽器を提供することが可能となる。
【0052】
なお、以上の説明ではバイオリンを取り上げたが、他の弦楽器(ビオラ、チェロ、コントラバス等)のボディを上記同様に構成することも可能であり、得られる効果も同じである。
【0053】
ここまで、本発明を実施するための最良の形態を説明してきたが、本発明は、上述した2つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明に係る楽器としては、ピアノやチェンバロのような鍵盤楽器をあげることもできる。このような鍵盤楽器の響板を上記同様に圧縮成形することにより、比重が軽い木材を用いても優れた音質を備えた鍵盤楽器を実現することができる。
【0054】
このように、本発明は、ここでは記載していない様々な実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態1に係る楽器であるアコースティックギターの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すアコースティックギターの裏面側の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る楽器に適用する木製部材の製造方法における形取工程の概要を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る楽器に適用する木製部材の製造方法における圧縮工程の概要を示す図である。
【図5】圧縮工程において圧縮を開始した時点の状態を示す図である。
【図6】圧縮工程において木材の変形がほぼ完了した状態を示す図である。
【図7】木製部材の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態1の変形例に係る楽器であるアコースティックギターの裏板の構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る楽器であるバイオリンの構成を示す図である。
【図10】図9に示すバイオリンの表板の裏側の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 アコースティックギター(ギター)
2,22 ボディ
2a,22a 表板
2b,2e 裏板
2c 側板
2d サウンドホール
2f 突起部
3,23 ネック
4,24 フィンガーボード
5,25 ヘッド
6 ピックガード
7 下駒
8,28 糸巻
10 無垢材
11 木材
11a 外側面
11b 内側面
12 木製部材
21 バイオリン
22b f字孔
26 駒
27 テールピース
51,61 金型
52 凸部
62 凹部
221a バスバー
G 木目
L 繊維方向
Str 弦

【特許請求の範囲】
【請求項1】
比重が0.5以下で板状をなす木材の板厚方向に圧縮力を加えることによって形成された木製部材を備えたことを特徴とする楽器。
【請求項2】
前記木製部材の前記板厚方向への圧縮率が0.50〜0.70であることを特徴とする請求項1記載の楽器。
【請求項3】
前記板厚方向への圧縮率が、前記板厚方向と直交する面内の位置によって異なることを特徴とする請求項2記載の楽器。
【請求項4】
少なくとも一部が前記木製部材からなる響板を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の楽器。
【請求項5】
前記響板の前記木製部材からなる部分と一体に形成され、前記木製部材からなる部分を補強する突起部を有することを特徴とする請求項4記載の楽器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−145874(P2008−145874A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−334827(P2006−334827)
【出願日】平成18年12月12日(2006.12.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】