説明

楽曲分類装置、楽曲検索システム及びコンピュータプログラム

【課題】楽曲を概念的に検索することを可能とすると共に、楽曲の検索における付加的な情報の収集にかかるコストを抑制することを図る。
【解決手段】検索対象楽曲の歌詞データを蓄積する検索対象楽曲データ記憶部11と、歌詞データと楽曲の概念的な表現であるカテゴリ名との組から成るカテゴリ学習データを蓄積するカテゴリ学習データ記憶部12と、カテゴリ学習データを用いた学習処理によってカテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成する楽曲カテゴリ分類学習モジュール13と、該分類器に対して検索対象楽曲の歌詞データを適用し、検索対象楽曲を分類する楽曲カテゴリ分類モジュール14と、該検索対象楽曲の分類結果のデータを記憶する楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楽曲分類装置、楽曲検索システム及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の楽曲検索技術として、例えば特許文献1,2、非特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1の従来技術1では、ユーザが入力した文字列を歌詞に含む楽曲を検索し、該文字列のところから楽曲を再生する。特許文献2の従来技術2では、見た目の歌詞だけでなく、歌詞の発音(ルビ)に基づいて楽曲を検索する。非特許文献1の従来技術3では、検索の対象の楽曲のそれぞれについてアノテーション情報を予め収集し、歌詞とアノテーション情報とにより楽曲間の類似度を推定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−125583号公報
【特許文献2】特開2008−243155号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】梶克彦、平田圭二、長尾確,“状況と嗜好に関するアノテーションに基づくオンライン楽曲推薦システム”,情報処理学会研究報告,社団法人情報処理学会,2004年12月12日,Vol.2004,No.127,pp.33-38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した従来技術1,2では、検索キーワードの文字列と実際の歌詞が一致しないと楽曲の検索が成功しないので、楽曲を概念的に検索することが難しい。従来技術3では、検索の対象の楽曲のそれぞれについてアノテーション情報を収集するので、アノテーション情報の収集にかかるコストが大きいという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、楽曲を概念的に検索することを可能にすると共に、楽曲の検索における付加的な情報の収集にかかるコストを抑制することのできる楽曲分類装置、楽曲検索システム及びコンピュータプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る楽曲分類装置は、検索の対象の楽曲の歌詞データを蓄積する検索対象楽曲データ記憶手段と、歌詞データと楽曲の概念的な表現であるカテゴリ名との組から成るカテゴリ学習データを蓄積するカテゴリ学習データ記憶手段と、カテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成する楽曲カテゴリ分類学習手段と、前記分類器に対して検索対象楽曲の歌詞データを適用し、検索対象楽曲を分類する楽曲カテゴリ分類手段と、該検索対象楽曲の分類結果のデータを記憶する楽曲カテゴリ分類結果データ記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る楽曲分類装置においては、楽曲カテゴリ分類結果データ記憶手段に記憶される楽曲カテゴリ分類結果データに対し、カテゴリ名毎に、検索対象楽曲の詳細な再分類を行うカテゴリ内楽曲再分類手段と、該検索対象楽曲の再分類の結果を記憶するカテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る楽曲分類装置においては、歌詞データの特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成手段を備え、歌詞データの特徴ベクトルを用いて、前記分類器の生成及び前記検索対象楽曲の分類が行なわれることを特徴とする。
【0010】
本発明に係る楽曲分類装置においては、前記特徴ベクトル生成手段は、歌詞データの特徴ベクトルに対して、楽曲の特徴的な区間を強める、又は、楽曲の特徴的な区間以外の区間を弱める、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る楽曲検索システムは、前述のいずれかの楽曲分類装置と、前記楽曲分類装置による検索対象楽曲の分類の結果を利用して、ユーザから指定された楽曲の概念的な表現に合致する楽曲を検索する楽曲検索装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係る楽曲検索システムにおいては、前記楽曲検索装置は、複数の楽曲を含む検索結果をユーザに提示する手段と、該複数の楽曲について連続的再生又は電子商取引による購入を支援する手段と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るコンピュータプログラムは、歌詞データと楽曲の概念的な表現であるカテゴリ名との組から成るカテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成するステップと、前記分類器に対して検索対象楽曲の歌詞データを適用し、検索対象楽曲を分類するステップと、該検索対象楽曲の分類結果のデータを記憶手段に格納するステップと、をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであることを特徴とする。
これにより、前述の楽曲分類装置がコンピュータを利用して実現できるようになる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、楽曲を概念的に検索することを可能にすると共に、楽曲の検索における付加的な情報の収集にかかるコストを抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る楽曲検索システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る楽曲分類処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施形態に係るカテゴリ名選択画面100の構成例である。
【図4】同実施形態に係るサブカテゴリ名選択画面110の構成例である。
【図5】同実施形態に係る楽曲リスト表示画面120の構成例である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る楽曲検索システムの構成を示すブロック図である。図1において、楽曲検索システムは、楽曲分類装置1と楽曲検索装置2を備える。楽曲検索装置2は、音楽再生装置3に対して楽曲の検索結果を供給する。音楽再生装置3は、音楽の再生のための楽曲データをスピーカ4で再生する。例えば、音楽再生装置3は、携帯型音楽再生装置であり、通信回線を介して楽曲検索装置2に接続することができるものである。或いは、音楽再生装置3は、携帯電話機に具備され、携帯電話機の通信機能を利用して楽曲検索装置2に接続するものであってもよい。また、スピーカ4は、据置き型、ヘッドホン型、イヤホン型など、各種の形状のものが利用可能である。
【0017】
はじめに、楽曲分類装置1について説明する。
【0018】
楽曲分類装置1は、検索対象楽曲データ記憶部11、カテゴリ学習データ記憶部12、楽曲カテゴリ分類学習モジュール13、楽曲カテゴリ分類モジュール14、楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15、カテゴリ内楽曲再分類モジュール16、及び、カテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶部17を有する。
【0019】
検索対象楽曲データ記憶部11は、検索の対象の楽曲のデータ(以下、検索対象楽曲データと称する)を蓄積する。検索対象楽曲データは、少なくとも、楽曲の歌詞のテキストデータ(以下、歌詞データと称する)を含む。なお、本実施形態では、検索対象楽曲データは、歌詞データと共に、音楽再生装置3で再生可能な楽曲データを含むものとする。これにより、音楽再生装置3は、楽曲分類装置1が有する楽曲データを利用して音楽の再生を行うことができる。
【0020】
カテゴリ学習データ記憶部12は、カテゴリ学習データを蓄積する。カテゴリ学習データは、歌詞を用いて楽曲を分類するための学習処理に利用されるデータである。カテゴリ学習データは、歌詞データとカテゴリ名の組から成る。カテゴリ名は、楽曲の分類先の名称である。一つの歌詞データに対して複数のカテゴリ名が組になってもよい。
【0021】
カテゴリ名としては、楽曲の情景または世界観など、楽曲の概念的な表現とする。例えば、「春」、「夏」、「秋」及び「冬」といった季節名、「恋愛」及び「青春」などの心情を表す言葉、などがカテゴリ名として利用可能である。
【0022】
楽曲カテゴリ分類学習モジュール13は、カテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成する。分類器の生成には、例えば、サポートベクターマシン(Support Vector Machine:SVM)を利用可能である。サポートベクターマシンを利用する場合、分類器は、カテゴリ名で特定される分類先毎に生成される。サポートベクターマシンにより生成された分類器のことを「カテゴリ分類器」と称する。
【0023】
あるカテゴリ名に係るカテゴリ分類器の生成では、まず、カテゴリ学習データにおいて当該カテゴリ名と組である歌詞データのそれぞれについての特徴ベクトルを生成する。次いで、その特徴ベクトル群を用いて、サポートベクターマシンにより、当該カテゴリ名に係るカテゴリ分類器を生成する。
【0024】
あるカテゴリ名に係るカテゴリ分類器に対して楽曲の歌詞データの特徴ベクトルを入力すると、当該カテゴリ名で特定される分類先へ当該楽曲を分類することの適正度が出力される。この適正度によって、当該楽曲を当該カテゴリ名で特定される分類先へ分類することの是非を判断することができる。
【0025】
なお、歌詞データの特徴ベクトルの生成方法としては、例えば、形態素解析により歌詞を単語に分割し、各単語の出現頻度またはTF*IDF値を要素とするベクトルを生成することが挙げられる。
【0026】
また、歌詞データの特徴ベクトルに対して、楽曲の特徴的な区間を強める、又は、楽曲の特徴的な区間以外の区間を弱めるようにしてもよい。例えば、歌詞データに対して楽曲の最も盛り上がる部分(サビ)を示す情報が付加されている場合には、歌詞データ中のサビの区間に含まれる単語の出現頻度またはTF*IDF値に対し、重み係数によって重要度を高くしてもよい。これにより、歌詞データの特徴ベクトルに対して、楽曲のサビの区間の歌詞の特徴を強調させることができる。或いは、その逆に、楽曲の特徴的な区間以外の区間(例えば、Rapの区間)に含まれる単語の出現頻度またはTF*IDF値に対し、重み係数によって重要度を低くしてもよい。これにより、歌詞データの特徴ベクトルに対して、楽曲の特徴的な区間以外の区間の歌詞の特徴を弱めることができる。
【0027】
以後、本実施形態ではカテゴリ分類器を利用するとして説明する。
【0028】
楽曲カテゴリ分類学習モジュール13は、各カテゴリ名に係るカテゴリ分類器を楽曲カテゴリ分類モジュール14へ供給する。
楽曲カテゴリ分類モジュール14は、各カテゴリ名に係るカテゴリ分類器に対して検索対象楽曲データに含まれる歌詞データを適用し、検索対象楽曲データを分類する。具体的には、まず、検索対象楽曲データに含まれる歌詞データの特徴ベクトルを生成する。次いで、該特徴ベクトルをカテゴリ分類器に入力して適正度を取得する。次いで、該適正度に基づいて、該カテゴリ分類器に係るカテゴリ名の分類先へ、当該検索対象楽曲データを分類するか否かを判断する。この結果、分類すると判断した場合には、当該カテゴリ名に関連付けて当該検索対象楽曲データを楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15に格納する。
【0029】
この楽曲カテゴリ分類処理は、全てのカテゴリ名について逐一行う。つまり、一検索対象楽曲データに対して、全てのカテゴリ名に係るカテゴリ分類器を使用し、各カテゴリ名に係る適正度を取得し、各カテゴリ名の分類先へ分類するか否かを判断し、分類すると判断した全てのカテゴリ名に関連付けて楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15に格納する。従って、一検索対象楽曲データに対し複数のカテゴリ名が関連付けされて楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15に格納されることもあり得る。
【0030】
楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部15は、楽曲カテゴリ分類モジュール14による検索対象楽曲データの分類結果のデータ(以下、楽曲カテゴリ分類結果データと称する)として、カテゴリ名に関連付けた検索対象楽曲データを記憶する。
【0031】
カテゴリ内楽曲再分類モジュール16は、楽曲カテゴリ分類結果データに対し、カテゴリ名毎に、検索対象楽曲データの詳細な再分類を行う。具体的には、まず、同じカテゴリ名に関連付けされた検索対象楽曲データ毎に、検索対象楽曲データに含まれる歌詞データに対して、形態素解析により歌詞を単語に分割し、各単語の出現頻度またはTF*IDF値を要素とする特徴ベクトルを生成する。次いで、各検索対象楽曲データの特徴ベクトルに基づいてクラスタリング処理を行い、検索対象楽曲データを再分類する。次いで、該再分類毎に、各検索対象楽曲データの特徴ベクトルに基づいて重要単語(以下、サブカテゴリ重要単語と称する)を抽出し、サブカテゴリ重要単語の重要度を算出し、最も重要度の高いサブカテゴリ重要単語をサブカテゴリ名とする。
【0032】
例えば、カテゴリ名「恋愛」に関連付けされた各検索対象楽曲データが、その歌詞データに基づいてクラスタリング処理を行った結果、サブカテゴリ名「愛」、「別れ」又は「片思い」に再分類される。これにより、同じカテゴリ名「恋愛」であっても、さらに詳細なサブカテゴリ名「愛」、「別れ」又は「片思い」に検索対象楽曲データを分類することが可能となる。
【0033】
なお、クラスタリング処理の結果、適当な再分類先が得られなかった検索対象楽曲データについては、当該検索対象楽曲データの再分類先はなしとする。
【0034】
カテゴリ内楽曲再分類モジュール16は、検索対象楽曲データの再分類の結果をカテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶部17に格納する。
カテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶部17は、検索対象楽曲データの再分類の結果のデータ(以下、カテゴリ内楽曲再分類結果データと称する)として、カテゴリ名毎に、サブカテゴリ名に関連付けた検索対象楽曲データを記憶する。さらに、サブカテゴリ名毎に、サブカテゴリ重要単語と重要度の組を記憶する。
【0035】
図2は、本実施形態に係る楽曲分類処理の手順を示すフローチャートである。図2において、ステップS1では、楽曲カテゴリ分類学習モジュール13が、カテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ分類器を生成する。ステップS2では、楽曲カテゴリ分類モジュール14が、カテゴリ分類器を用いて検索対象楽曲データを分類する。この分類処理は、全ての検索対象楽曲データについて行う。ステップS3では、全ての検索対象楽曲データに対し、ステップS2の分類処理が終了したか判断する。全ての検索対象楽曲データに対し、ステップS2の分類処理が終了した場合には、ステップS4に進む。
【0036】
ステップS4では、カテゴリ内楽曲再分類モジュール16が、楽曲カテゴリ分類結果データに対し、カテゴリ名毎に、検索対象楽曲データの再分類を行う。この再分類処理は、カテゴリ名毎に、該当する全ての検索対象楽曲データについて行う。ステップS5では、再分類対象のカテゴリ名に該当する全ての検索対象楽曲データに対し、ステップS4の再分類処理が終了したか判断する。該当する全ての検索対象楽曲データに対し、ステップS4の再分類処理が終了した場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、全てのカテゴリ名に対し、ステップS4の再分類処理が終了したか判断する。全てのカテゴリ名に対し、ステップS4の再分類処理が終了した場合には、図2の処理を終了する。
【0037】
上述した楽曲分類装置1による楽曲分類処理は、実際に楽曲の検索が行われる前の準備段階として行われる。
【0038】
次に、楽曲検索装置2について説明する。
【0039】
ユーザは、楽曲検索装置2を操作して楽曲の検索を行う。図3は、楽曲検索装置2の表示装置の画面上に表示されるカテゴリ名選択画面100の構成例である。カテゴリ名選択画面100上には、各カテゴリ名の表示領域101が設けられる。楽曲検索装置2は、楽曲分類装置1から楽曲カテゴリ分類結果データに含まれる全てのカテゴリ名を取得し、カテゴリ名選択画面100を生成する。
【0040】
ユーザは、ポインタ102を操作して、カテゴリ名選択画面100上で、検索したいカテゴリ名の表示領域101を指定することができる。楽曲検索装置2は、ポインタ102により指定された表示領域101に係るカテゴリ名について、全てのサブカテゴリ名と、各サブカテゴリ名に係るサブカテゴリ重要単語と重要度の組を楽曲分類装置1から取得し、サブカテゴリ名選択画面を生成する。
【0041】
図4は、楽曲検索装置2の表示装置の画面上に表示されるサブカテゴリ名選択画面110の構成例である。このサブカテゴリ名選択画面110の構成例は、カテゴリ名「恋愛」についてのものであり、そのサブカテゴリ名として「愛」、「別れ」及び「片思い」が設定されている。サブカテゴリ名選択画面110上には、各サブカテゴリ名の表示領域111が設けられる。図4の例では、サブカテゴリ名「別れ」の表示領域111a、「愛」の表示領域111b及び「片思い」の表示領域111cが設けられる。さらに、各表示領域111上には、当該サブカテゴリ名に係るサブカテゴリ重要単語が表示される。例えば、「愛」の表示領域111b上には、そのサブカテゴリ重要単語「好き」、「愛情」、「感情」及び「キミ」が表示される。さらには、サブカテゴリ重要単語は、その重要度に応じて強調表示される。強調表示の方法としては、文字サイズ、文字色などを変えることが挙げられる。図4の例では、重要度が大きいほど、文字サイズが大きい。
【0042】
なお、図4中には例示していないが、サブカテゴリ名なし(再分類先なし)の検索対象楽曲データがある場合には、サブカテゴリ名選択画面110上に、サブカテゴリ名なしの表示領域111を設ける。
【0043】
ユーザは、ポインタ102を操作して、サブカテゴリ名選択画面110上で、検索したいサブカテゴリ名の表示領域111又はサブカテゴリ名なしの表示領域111を指定することができる。楽曲検索装置2は、ポインタ102により指定された表示領域111に係るサブカテゴリ名又はサブカテゴリ名なしについて、検索対象楽曲データの楽曲のリストを作成する。この楽曲リストが楽曲の検索結果として画面表示される。
【0044】
図5は、楽曲検索装置2の表示装置の画面上に表示される検索結果の楽曲リスト表示画面120の構成例である。楽曲リスト表示画面120上には、検索検索の楽曲について、識別番号(ID)の欄と、楽曲名(Title)の欄と、アーティスト名(Artist)の欄と、楽曲の再生を指示するための再生ボタン(PLAY)の欄とが設けられる。
【0045】
ユーザは、ポインタ102(図5中には図示せず)を操作して、楽曲リスト表示画面120上で、所望の楽曲の再生ボタンを指定することができる。楽曲検索装置2は、ポインタ102により指定された再生ボタンに係る楽曲の楽曲データを楽曲分類装置1から取得し、該楽曲データを音楽再生装置3へ供給する。音楽再生装置3は、該楽曲データを再生する。これにより、ユーザは、検索結果の楽曲を聴くことができる。
【0046】
なお、検索結果の楽曲のリストとして、ユーザが指定したカテゴリ名に係る検索対象楽曲データの楽曲のリストを作成してもよい。
【0047】
また、楽曲検索装置2が検索結果の楽曲のリストに含まれる楽曲の楽曲データを、順次、楽曲分類装置1から取得して音楽再生装置3へ供給し、音楽再生装置3が該楽曲データを順次、連続的に再生するようにしてもよい。
【0048】
また、楽曲検索装置2が検索結果の楽曲のリストをユーザに提示し、ユーザが該楽曲リストに含まれる楽曲の全て又は一部を電子商取引により購入することができるように構成してもよい。
【0049】
上述したように本実施形態によれば、ユーザは、自分が聴きたい楽曲を表す概念的な表現(カテゴリ名、サブカテゴリ名)を指定することにより、楽曲の検索結果を得ることができる。従って、ユーザは、検索したい楽曲の歌詞を知らなくても、或いは、特定の楽曲を検索したいのではなくとも、楽曲の雰囲気などのあいまいな表現により楽曲を検索することができる。
【0050】
また、本実施形態によれば、検索対象楽曲データのそれぞれについてアノテーション情報を収集する必要がなく、アノテーション情報の収集にかかるコストを抑制することができる。
【0051】
また、歌詞データの特徴ベクトルに対して楽曲のサビの区間の歌詞の特徴を強調させるようにすることにより、楽曲の音楽的表現上の特徴をうまく捉えた楽曲分類を行うことが可能となる。これにより、楽曲の検索結果がユーザの検索意図に対しより一層合致することが期待できる。
【0052】
なお、本実施形態に係る楽曲分類装置1及び楽曲検索装置2は、専用のハードウェアにより実現されるものであってもよく、あるいはパーソナルコンピュータ等のコンピュータシステムにより構成され、図1に示される各装置1,2の各部の機能を実現するためのプログラムを実行することによりその機能を実現させるものであってもよい。
【0053】
また、その楽曲分類装置1及び楽曲検索装置2には、周辺機器として入力装置、表示装置等(いずれも図示せず)が接続されるものとする。ここで、入力装置とはキーボード、マウス等の入力デバイスのことをいう。表示装置とはCRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等のことをいう。
また、上記周辺機器については、各装置1,2に直接接続するものであってもよく、あるいは通信回線を介して接続するようにしてもよい。
【0054】
また、図1に示す楽曲分類装置1又は楽曲検索装置2の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、楽曲分類処理又は楽曲検索処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disk)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0055】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0056】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、上述の実施形態では、検索対象楽曲データが楽曲データを含む構成としたが、検索対象楽曲データが楽曲データを含まない構成とした場合には、音楽再生装置3は、通信ネットワークを介して楽曲データベースにアクセスして楽曲データをダウンロードしたり、或いは、楽曲データが記録された記録媒体から楽曲データを読み込むなどしたりすることで、楽曲データを取得すればよい。
【符号の説明】
【0057】
1…楽曲分類装置、2…楽曲検索装置、11…検索対象楽曲データ記憶部、12…カテゴリ学習データ記憶部、13…楽曲カテゴリ分類学習モジュール、14…楽曲カテゴリ分類モジュール、15…楽曲カテゴリ分類結果データ記憶部、16…カテゴリ内楽曲再分類モジュール、17…カテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索の対象の楽曲の歌詞データを蓄積する検索対象楽曲データ記憶手段と、
歌詞データと楽曲の概念的な表現であるカテゴリ名との組から成るカテゴリ学習データを蓄積するカテゴリ学習データ記憶手段と、
カテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成する楽曲カテゴリ分類学習手段と、
前記分類器に対して検索対象楽曲の歌詞データを適用し、検索対象楽曲を分類する楽曲カテゴリ分類手段と、
該検索対象楽曲の分類結果のデータを記憶する楽曲カテゴリ分類結果データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とする楽曲分類装置。
【請求項2】
楽曲カテゴリ分類結果データ記憶手段に記憶される楽曲カテゴリ分類結果データに対し、カテゴリ名毎に、検索対象楽曲の詳細な再分類を行うカテゴリ内楽曲再分類手段と、
該検索対象楽曲の再分類の結果を記憶するカテゴリ内楽曲再分類結果データ記憶手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の楽曲分類装置。
【請求項3】
歌詞データの特徴ベクトルを生成する特徴ベクトル生成手段を備え、
歌詞データの特徴ベクトルを用いて、前記分類器の生成及び前記検索対象楽曲の分類が行なわれることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の楽曲分類装置。
【請求項4】
前記特徴ベクトル生成手段は、歌詞データの特徴ベクトルに対して、楽曲の特徴的な区間を強める、又は、楽曲の特徴的な区間以外の区間を弱める、
ことを特徴とする請求項3に記載の楽曲分類装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の楽曲分類装置と、
前記楽曲分類装置による検索対象楽曲の分類の結果を利用して、ユーザから指定された楽曲の概念的な表現に合致する楽曲を検索する楽曲検索装置と、
を有することを特徴とする楽曲検索システム。
【請求項6】
前記楽曲検索装置は、
複数の楽曲を含む検索結果をユーザに提示する手段と、
該複数の楽曲について連続的再生又は電子商取引による購入を支援する手段と、
を有することを特徴とする請求項5に記載の楽曲検索システム。
【請求項7】
歌詞データと楽曲の概念的な表現であるカテゴリ名との組から成るカテゴリ学習データを用いた学習処理によって、カテゴリ名で特定される分類先へ楽曲の歌詞に基づき該楽曲を分類するための分類器を生成するステップと、
前記分類器に対して検索対象楽曲の歌詞データを適用し、検索対象楽曲を分類するステップと、
該検索対象楽曲の分類結果のデータを記憶手段に格納するステップと、
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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