説明

構造体の製造方法

【課題】強度の向上を図りつつ比重を軽くする上で有利な構造体の製造方法を提供する。
【解決手段】マイクロバルーンに圧力をかけることで強度の弱いマイクロバルーンを破損させる加圧工程と、加圧工程で破損したマイクロバルーンの破片を除去することで破損していないマイクロバルーンを得る選別工程と、選別工程で得た前記マイクロバルーンを使用して前記構造体を成形する成形工程とを含む。圧壊強度を低下させる強度の弱いマイクロバルーンを除去することで強度の強いマイクロバルーンを用いて構造体を得ることができ、また、比重の重い破片を除去するので、構造体の圧壊強度の向上を図りつつ比重を軽くする上で有利となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からマイクロバルーン(微小中空球状体)と該マイクロバルーンが混合された状態で硬化可能な被硬化材料である樹脂とからなる構造体としてのシンタクチックフォームが提供されている(特許文献1、2参照)。
シンタクチックフォームは、海中、特に大深度で用いられる深海探査機などの浮力材として使用されることから、低密度で高強度であることが、すなわち、より軽い比重でより強い圧壊強度を有することが要求される。
【特許文献1】特開平5−64818
【特許文献2】特開平8−319368
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、シンタクチックフォームの原材料として用いられているマイクロバルーン(ガラス中空球微粉末)には、ある割合で一定の強度未満のものが含まれていることから、これを用いて製造されるシンタクチックフォームの強度の向上を図る上で限界があった。
また、マイクロバルーンには、破損した破片や、中空率の低いマイクロバルーンといった高密度成分がある割合含まれていることから、これを用いて製造されるシンタクチックフォームの比重を軽くする上で限界があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、強度の向上を図りつつ比重を軽くする上で有利な構造体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は、マイクロバルーンと該マイクロバルーンが混合された状態で硬化可能な被硬化材料とからなる構造体の製造方法であって、前記マイクロバルーンに圧力をかける加圧工程と、前記加圧工程で破損したマイクロバルーンの破片を除去することで破損していないマイクロバルーンを得る選別工程と、前記選別工程で得た前記マイクロバルーンと前記被硬化材料とから前記構造体を得る成形工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、圧力をかけてマイクロバルーンを破損させマイクロバルーンの破片を除去することにより、破損していないマイクロバルーンを得て構造体を成形するので、構造体の圧壊強度の向上を図りつつ比重を軽くする上で有利となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次に、本発明の実施の形態による構造体の製造方法について図面を参照して説明する。
なお、本明細書では、マイクロバルーン(微小中空球状体)が混合された状態で硬化可能な材料を被硬化材料という。
また、上記被硬化材料として樹脂を用いた構造体を、シンタクチックフォームというものとする。言い換えると、フィラーとしてマイクロバルーンを、マトリックスとして熱硬化性樹脂を用いた構造体をシンタクチックフォームというものとする。
図1は構造体としてのシンタクチックフォームの製造方法の工程を示す工程図である。
まず、マイクロバルーンを準備する。
本実施の形態では、マイクロバルーンとしてガラスを用いたマイクロバルーンを用いる。
また、マイクロバルーンの平均粒径は、10μm以上500μm以下である。
ここで、マイクロバルーンの平均粒径が10μmに満たないと、マイクロバルーン同士が緻密になりすぎるため、液状の熱硬化性樹脂を含浸するのが困難となる不利があり、マイクロバルーンの平均粒径が500μmを超えると、マイクロバルーンの充填率が低くなり成形されるシンタクチックフォームが高密度(高比重)となるという問題がある。
なお、マイクロバルーンを形成する材料はガラスに限定されるものではなく、従来公知のさまざまな無機物あるいは有機物を用いることができる。
無機物としては、ホウケイ酸ガラス、シリカ、カーボン、セラミックなどが挙げられる。
有機物としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂などが挙げられる。
【0007】
次いで、マイクロバルーンと液媒とを混合してスラリー状とする(ステップS10)。
本実施の形態では、液媒は水であるが、液媒としては例えばベンゼン、エタノールに代表される有機溶媒などの液体が採用可能である。
【0008】
次に、図1に示すように、マイクロバルーンに圧力をかける加圧工程を行う(ステップS12)。
加圧工程について具体的に説明する。
まず、図2に示す耐圧容器10を用意する。
耐圧容器10は、容器本体12と蓋体14とを含んで構成されている。
容器本体12は、円板状の底壁1202と、底壁1202の周囲全周から起立する円筒状の側壁1204とで構成され、側壁1204の上端が上方に開放された円形の開口1206となっている。
底壁1202に孔1210が形成され、この孔1210は排出用バルブ1212によって開閉可能に閉塞されている。
蓋体14は開口1206を閉塞可能に形成され、蓋体14は開口1206を液密に閉塞するように構成されている。
蓋体14には、図示しない加圧ポンプに連通された加圧口1402と、減圧バルブ1404によって開閉される減圧口1406とが設けられている。
また、蓋体14には、回転軸1410が回転可能に貫通され、容器本体12の底壁1202の上方に位置する回転軸1410の先部には撹拌羽1412が取着されている。
【0009】
加圧工程は次のようになされる。
まず、蓋体14を取り外した状態で、スラリー状となった液媒とマイクロバルーンの混合物Sを開口1206から耐圧容器10内に充填する。
次いで、図2に示すように開口1606を蓋体14で液密に閉塞する。
次いで、図示しない加圧ポンプを作動させ前記液媒と同一成分の液媒Lを加圧口1402から耐圧容器10内に供給する。これにより、耐圧容器10内に液媒Lが高圧注入される。
したがって、液媒Lの圧力が、液媒Lを介してスラリー状の混合物Sを構成するマイクロバルーンにかかる。
本実施の形態では、マイクロバルーンにかける圧力を1MPa以上30MPa以下とした。
マイクロバルーンに圧力がかかると、該圧力に耐え得るマイクロバルーンは破損せずにその形状を維持し、該圧力に耐えられないマイクロバルーンは破損して破片となる。
マイクロバルーンにかかる圧力が微弱であっても低強度のマイクロバルーンは破壊される。
マイクロバルーンにかかる圧力が高いほど破壊されずに残存するマイクロバルーンの強度は高いものとなる。
また、液媒Lによる加圧を行う際に、回転軸1410により撹拌羽1412を回転させることでスラリー状となった液媒とマイクロバルーンの混合物Sを撹拌させると、マイクロバルーンが液媒L中に均一に拡散した状態でマイクロバルーンを加圧でき、マイクロバルーンに対する加圧のばらつきを低減する上で有利となる。
以上で加圧工程(ステップS12)が終了する。
【0010】
なお、マイクロバルーンを加圧する方法として次のような第1の変形例も可能である。
すなわち、図3に示すように、合成樹脂製などの容易に変形可能な材料で形成された容器(軟容器)50を用意する。容器50の開口はキャップ52によって密閉可能に閉塞される。
まず、スラリー状となった液媒とマイクロバルーンの混合物Sをロート54などを利用して開口から容器50に充填したのち、開口をキャップ52で密閉する。このように混合物Sが充填された容器50を複数用意する。
この第1の変形例では、加圧工程は次のようになされる。
図4に示すように、蓋体14を取り外した状態で、混合物Sが充填された複数の容器50を図2と同様の耐圧容器10に入れると共に耐圧容器10内を液媒Lで満たす。
次いで、開口1606を蓋体14で液密に閉塞する。
次いで、図示しない加圧ポンプを作動させ液媒Lを加圧口1402から耐圧容器10内に供給する。これにより、耐圧容器10内に液媒Lが高圧注入される。
したがって、液媒Lの圧力が、耐圧容器10内の液媒L、容器50、容器50内の液媒Lを介してスラリー状の混合物Sを構成するマイクロバルーンにかかる。
マイクロバルーンに圧力がかかると、該圧力に耐え得るマイクロバルーンは破損せずにその形状を維持し、該圧力に耐えられないマイクロバルーンは破損して破片となる。
この第1の変形例では、耐圧容器10の内面に塗布されたさび止め剤などにより耐圧容器10内の液媒Lが汚染されていたとしても、マイクロバルーンは容器50によって隔離されているため、汚染されることを防止でき有利となる。
なお、この第1の変形例では、容器50内の液媒と耐圧容器10内の液媒とは同一の液媒であっても異なる液媒であってもよい。すなわち、マイクロバルーンを第1の液媒と混合することによりスラリー状としたものを容器50に充填して密閉し、容器50を第1の液媒と共に耐圧容器10に充填したのち、あるいは、容器50を第1の液媒とは別の第2の液媒と共に耐圧容器10に充填したのち、耐圧容器10内に第1の液媒または第2の液媒を高圧注入してもよい。
【0011】
また、次のように液媒Lに変えて気体を使用してマイクロバルーンを加圧する第2の変形例も可能である。
すなわち、図5に示すように、マイクロバルーンMを充填した袋60を用意する。
この変形例では、加圧工程は次のようになされる。
蓋体14を取り外した状態で、耐圧容器10内にマイクロバルーンMが充填された袋60を入れ、袋60の口は開放しておく。
次いで、開口1606を蓋体14で気密に閉塞する。
次いで、図示しないコンプレッサーを作動させ空気や希ガスなどの気体を加圧口1402から耐圧容器10内に供給する。これにより、耐圧容器10内に気体が高圧注入される。
したがって、気体の圧力が、耐圧容器10内のマイクロバルーンにかかる。
マイクロバルーンに圧力がかかると、該圧力に耐え得るマイクロバルーンは破損せずにその形状を維持し、該圧力に耐えられないマイクロバルーンは破損して破片となる。
この第2の変形例では、図1におけるマイクロバルーンと液媒Lとを混合してスラリー状とするステップS10を省く利点がある。
しかしながら、第2の変形例では、加圧による気体の体積変化が大きいため取り扱いが若干不便であるのに対して、実施の形態および第1の変形例では加圧による体積変化が少ない液媒Lを使用するため、圧力の調整に要する手間や機器の簡素化を図る上で有利である。
【0012】
次に、図1に示すように、加圧工程で破損したマイクロバルーンの破片を除去することで破損していないマイクロバルーンを得る選別工程を行う(ステップS14)。
本実施の形態では、選別工程は、加圧工程によって得られたマイクロバルーンの破片および破損していないマイクロバルーンを液媒に投入し、液媒中において沈降しないマイクロバルーンを得ることでなされる。
液媒として水を用いると、水よりも比重が重い破片は液媒中で沈降し、液媒よりも比重が軽い破損していないマイクロバルーンは液媒中で沈降せず浮かぶ。
したがって、液媒中で浮かび上がったマイクロバルーンを回収することで破損していないマイクロバルーンを得ることができる。
この選別工程においては、破損していないマイクロバルーンのうち、液媒よりも比重が重いマイクロバルーンも液媒中を沈降するため、比重が重いマイクロバルーンを排除でき、シンタクチックフォームの比重の低下を図る上で有利となる。
なお、選別工程では、マイクロバルーンの破片が液媒中で沈降することを利用してマイクロバルーンの選別を行ったが、従来公知のさまざまな粉体分級装置を用いてマイクロバルーンの破片を除去するなど任意である。
【0013】
次に、図1に示すように、選別工程で得たマイクロバルーンを使用してシンタクチックフォームを成形する成形工程を行う(ステップS16)。
成形工程について具体的に説明する。
まず、図6に示すモールド20を用意する。
本実施の形態では、モールド20は、モールド本体22と、下蓋体24と、上蓋体26とを含んで構成されている。
モールド本体22は、本実施の形態では断面形状が均一の円筒壁状を呈している。
下蓋体24は、本実施の形態では、モールド本体22の下部開口を閉塞する円盤状を呈している。
下蓋体24にはその厚さ方向に貫通する第1孔部28が形成されている。
上蓋体26は、モールド本体22の上部内周に接触しつつ挿入される大きさの外径を有する小径部2602と、小径部2602と同軸上で小径部2602よりも大きな外径を有しモールド本体22の上部開口を閉塞する大径部2604とを有している。
上蓋体26にはその厚さ方向に貫通する第2孔部30が形成されている。
すなわち、本実施の形態では、モールド20によって成形されるシンタクチックフォームは高さと、この高さよりも大きな直径とを有する扁平な円柱状を呈している。
シンタクチックフォームの直径はモールド本体22の直径によって決定され、シンタクチックフォームの高さは下蓋体24の上面および上蓋体26の小径部2602の下面との間隔によって決定されることになる。
無論、シンタクチックフォームの外径形状は扁平な円柱状に限定されるものではなく、シンタクチックフォームの外径形状として、直方体状、立方体状、球状など従来公知のさまざまな形状が採用可能である。
【0014】
成形工程は次のようになされる。
まず、モールド本体22に下蓋体24を取着し、上蓋体26を取り外した状態で、モールド本体22内に選別工程で得られたマイクロバルーンMを充填する。
次いで、モールド本体22の上部開口を上蓋体26で閉塞する。
次いで、第1孔部28から、被硬化材料としての未硬化の液状の熱硬化性樹脂Rを所定の圧力で注入すると共に、第2孔部30に負圧をかける。
本実施の形態では、熱硬化性樹脂としてエポキシ熱硬化性樹脂を用いるが、熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、ポリウレタン、熱硬化性ポリイミド、メラミン樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、不飽和ポリエステル樹脂などの従来公知のさまざまな熱硬化性樹脂が採用可能である。
これにより、モールド本体22内に充填されたマイクロバルーンMに熱硬化性樹脂Rが含浸する。
やがて、第2孔部30から未硬化の液状の熱硬化性樹脂Rがあふれてきたならば、第1孔部28からの熱硬化性樹脂Rの注入を停止する。
そして、図7に示すように、第1、第2孔部28、30をそれぞれ第1、第2閉塞部材32、34で閉塞する。
このようにして、熱硬化性樹脂Rが含浸されたマイクロバルーンMが収容されたモールド20を加熱用のオーブンに入れ、所定の温度で所定時間加熱することで、熱硬化性樹脂Rが熱硬化する。
熱硬化性樹脂の硬化が終了したならば、モールド本体22から下蓋体24、上蓋体26を取り外し、成形されたシンタクチックフォームを取り出す。
これにより、成形工程が終了する。
なお、モールド本体22内に選別工程で得られたマイクロバルーンMを充填したのち、第1孔部28を第1閉塞部材32で閉塞し、その状態で、モールド20をオーブンに入れると共に、オーブンの雰囲気温度を40度乃至80度程度にした状態で上蓋体26の第2孔部30に負圧をかけることにより、モールド20内に充填されたマイクロバルーンMの湿気を除去し乾燥させる乾燥工程を行ってもよい。
このような乾燥工程によりマイクロバルーンMを乾燥させると、熱硬化性樹脂の硬化を安定して行う上で有利となる。
また、本実施の形態では、モールド20内への熱硬化性樹脂Rの注入に際してモールド20内に負圧を与えるVaRTM成形(Vacuum Assisted Resin Transfer Molding)を採用したが、モールド20内への熱硬化性樹脂Rの注入に際してモールド20内に負圧を与えないRTM成形(Resin Transfer Molding)を採用してもよいことは無論である。
【0015】
(実施例)
次に実施例について説明する。
図8は、本実施の形態の製造方法を適用して製造した実施例のシンタクチックフォームと従来の製造方法で製造した比較例のシンタクチックフォームの測定結果を示す図である。
比較例のシンタクチックフォームとして、比較例1乃至8の8個を作成し、実施例のシンタクチックフォームとして、実施例1乃至14の14個を作成し、それら比較例および実施例のシンタクチックフォームの密度ρ(g/cc)および圧壊強度F(MPa)を測定した。
そして、上記各比較例および各実施例の測定データ(密度ρ(g/cc)および圧壊強度F(MPa))から、最小二乗法を用いて近似式をそれぞれ求め、それら近似式と測定データのばらつきを考慮して、本発明の製造方法によって得られるシンタクチックフォームの密度ρ(g/cc)と圧壊強度F(MPa)との関係式を下記の(1)式として求めた。
F>882ρ−425……(1)
(ただし、0.45≦ρ、かつ、40≦F)
したがって、各比較例および各実施例の密度ρ(g/cc)と、(882ρ−425)との大小関係は図8に示すとおりであり、各比較例の密度ρ(g/cc)は(1)式を満たさない値となっており、各実施例の密度ρ(g/cc)は(1)式を満たす値となっている。
【0016】
図8からも明らかなように、各比較例に比べて各実施例のシンタクチックフォームは、圧壊強度Fが高く、かつ、比重ρが軽いものとなっている。
すなわち、2つのシンタクチックフォームの比重ρが同じであれば、圧壊強度Fが高いほど浮力材としての性能がよいといえる。
また、2つのシンタクチックフォームの圧壊強度Fが同じであれば、比重ρが軽いほど浮力材としての性能がよいといえる。
特に、深海探査機などにおいては、浮力材を装着するために確保できるスペースは限定されている。
したがって、そのような狭いスペースに装着可能なシンタクチックフォームの体積は限定されており、体積が同じシンタクチックフォームであっても軽い比重ρの方がより大きな浮力を得ることができるため有利である。
あるいは、同じ浮力を得るのであれば、より軽い比重ρのシンタクチックフォームの方がより少ない体積で済むことから、深海探査機において占有するスペースを節約できるため有利である。
【0017】
以上説明したように本実施の形態によれば、圧力をかけてマイクロバルーンを破損させ、マイクロバルーンの破片を除去することで破損していないマイクロバルーンを得ると共に、そのようにして選別したマイクロバルーンを使用して構造体を成形するようにした。
したがって、圧壊強度を低下させる強度の弱いマイクロバルーンを除去すると共に、比重の重い破片を除去するので、構造体の圧壊強度の向上を図りつつ比重を軽くする上で有利となる。
【0018】
なお、本実施の形態では、被硬化材料として熱硬化性樹脂を用い、構造体がシンタクチックフォームである場合について説明した。
しかしながら、被硬化材料は熱硬化性樹脂に限定されるものではなく、被硬化材料はマイクロバルーンが混合された状態で硬化可能な材料であればよい。
例えば、被硬化材料として繊維強化樹脂(FRP)を用いてもよく、その場合には構造体を自動車部品などに採用することができる。
また、被硬化材料としてセメントを用いてもよく、その場合には構造体を建築材などに採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】構造体としてのシンタクチックフォームの製造方法の工程を示す工程図である。
【図2】耐圧容器10を用いた加圧工程の説明図である。
【図3】第1の変形例における容器50の説明図である。
【図4】第1の変形例における加圧工程の説明図である。
【図5】第2の変形例における加圧工程の説明図である。
【図6】モールド20の説明図である。
【図7】モールド20にマイクロバルーンMを充填した説明図である。
【図8】本実施の形態の製造方法を適用して製造した実施例のシンタクチックフォームと従来の製造方法で製造した比較例のシンタクチックフォームの測定結果を示す図である。
【符号の説明】
【0020】
M……マイクロバルーン、R……熱硬化性樹脂。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロバルーンと該マイクロバルーンが混合された状態で硬化可能な被硬化材料とからなる構造体の製造方法であって、
前記マイクロバルーンに圧力をかける加圧工程と、
前記加圧工程で破損したマイクロバルーンの破片を除去することで破損していないマイクロバルーンを得る選別工程と、
前記選別工程で得た前記マイクロバルーンと前記被硬化材料とから前記構造体を得る成形工程とを含む、
ことを特徴とする構造体の製造方法。
【請求項2】
前記被硬化材料は樹脂であり、
前記構造体はシンタクチックフォームである、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項3】
前記加圧工程は、前記マイクロバルーンを液媒と混合することによりスラリー状としたものを耐圧容器に充填したのち、前記耐圧容器内に前記液媒と同一成分の液媒を高圧注入することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項4】
前記加圧工程は、前記マイクロバルーンを第1の液媒と混合することによりスラリー状としたものを変形可能な容器に充填して密閉し、前記容器を前記第1の液媒と共に耐圧容器に充填したのち、あるいは、前記容器を前記第1の液媒とは別の第2の液媒と共に耐圧容器に充填したのち、前記耐圧容器内に前記第1の液媒または前記第2の液媒を高圧注入することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項5】
前記加圧工程は、前記マイクロバルーンを耐圧容器に充填したのち、前記耐圧容器内に気体を高圧注入することでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項6】
前記選別工程は、前記加圧工程によって得られた前記マイクロバルーンの破片および破損していないマイクロバルーンを液媒に投入し、前記液媒中において沈降しないマイクロバルーンを得ることでなされる、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項7】
前記マイクロバルーンの平均粒径は、10μm以上500μm以下である、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項8】
前記マイクロバルーンを形成する材料がガラスである、
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。
【請求項9】
前記成形工程で成形された構造体の密度ρ(g/cc)と圧壊強度F(MPa)が(1)式を満たす、
F>882ρ−425……(1)
(ただし、0.45≦ρ、かつ、40≦F)
ことを特徴とする請求項1記載の構造体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−65178(P2010−65178A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234459(P2008−234459)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(504194878)独立行政法人海洋研究開発機構 (110)
【出願人】(000006714)横浜ゴム株式会社 (4,905)
【Fターム(参考)】