説明

構造物の内側隅肉溶接方法

【課題】 コンベヤプーリの鏡板とシェルの隅肉溶接部を内側から倣い溶接できるようにする。
【解決手段】 下端に溶接トーチ10を設けた上下方向に延びるロッド部材9を、コンベヤプーリ1の上側の鏡板4aに設けた手穴6よりコンベヤプーリ1内へ挿入する。次に、手穴6より突出するロッド部材9の上端側を、下方付勢用エアシリンダ11と前方付勢用エアシリンダ12により下方と前方へそれぞれ付勢することで、手穴6を支点としてロッド部材9の下端の溶接トーチ10を、下側の鏡板4bの内面とシェル5の後部の内周面との間の隅肉溶接部16に向けて付勢する。この状態で、トーチ先移動用電動シリンダ13によりロッド部材9の上部を動かすことで、手穴6を支点として溶接トーチ10による隅肉溶接部16の倣い溶接を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベヤプーリのシェルと鏡板の接合部のような構造物の隅肉接合部を内側から溶接するために用いる構造物の内側隅肉溶接方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ベルトコンベヤにおけるコンベヤベルトを駆動又は誘導するために用いるコンベヤプーリ1は、図7に示す如く、軸2と、該軸の両端寄りの所定位置に取り付けた左右一対のボス3と、該各ボス3の外周面にそれぞれ取りつけた鏡板4と、該左右の鏡板4の外周に取り付けた軸心方向に延びる円筒状のシェル5とからなる構成としてある。
【0003】
又、上記の構成を有するコンベヤプーリ1を製造する場合、通常は、先ず、ボス3の外周面に、リング形状としてある鏡板4の内周側端部を両面すみ肉溶接により取り付け、次に、上記鏡板4を取り付けてなるボス3を、上記軸2の両端寄りの所定個所に焼きばめする。次いで、上記左右一対の鏡板4の外周に、上記円筒形状のシェル5を配置した後、該各鏡板4の外周端部と、シェル5の内面における対応する個所とを溶接することで、各部材を一体化するようにしてある。
【0004】
ところで、上記コンベヤプーリ1は、通常は直径600〜1200mm程度、最大では直径2000mm程度の寸法であり、軸心方向の幅が、通常は1000〜2000mm程度、最大では2800mm程度の寸法としてある。更に、上記したように中心には軸2が通っているため、上記シェル5の内側は非常に狭隘となっている。したがって、上記鏡板4とシェル5との溶接部(接合部)は、コンベヤプーリ1の内側に人が入って溶接作業を行うことが不可能なため、コンベヤプーリ1の外側からの片開先溶接を行う必要がある。
【0005】
そのために、上記鏡板4とシェル5との溶接作業を行う場合は、各鏡板4とシェル5とを仮付けした状態で、広く一般にテープバッキング方式として知られている溶接手法、具体的には、鏡板4の所要個所に設けた直径100mm程度の手穴6からガラス繊維性テープ(図示せず)を挿入して、該ガラス繊維性テープを、鏡板4の外周端部とシェル5との溶接部の内側に裏当て材(バッキング材)として配置した状態で、該鏡板4の外周端部とシェル5とを外側から片開先溶接する手法により、裏波止端形状が滑らかになるように施工している。
【0006】
なお、片開先溶接を行う手法としては、上記テープバッキング方式の他に、母材同士の片開先溶接部に、溶接ワイヤを臨ませ、該溶接ワイヤのアークにより、各母材同士の当接部を溶融させ、この際、溶接電流と溶接電圧を制御することで溶融物を溶接側とは反対側に押し出して裏ビードを形成させるようにする溶接手法も提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2002−239723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記テープバッキング方式によるコンベヤプーリ1の鏡板4とシェル5との片開先溶接方法では、テープバッキングを行うためのガラス繊維製テープの取り付けを、鏡板4に設けた手穴6から行わなければならないため作業性が悪く、又、そのテープの取り付け状態を確認するには、上記鏡板4の手穴6から手鏡を挿入して目視する必要があることから、段取りに非常に手間がかかり、作業時間が嵩むというのが実状である。
【0009】
又、従来の片開先溶接方式は、熟練した技術者でも仕上がりにむらが生じ易く、溶接技量や、シェルの真円度の精度等よっても仕上がりにばらつきが生じるため、発生応力を下げて設計する必要がある。
【0010】
なお、特許文献1に記載された片開先溶接の手法によれば、母材同士の片開先溶接部にて各母材同士の当接部を溶融させながら、その溶融物を溶接側とは反対側に押し出すことで裏ビードを形成させることができるとされているが、溶接側とは反対側に上記溶融物を押し出すことで均一な裏ビードを形成させた溶接を施工するためには、非常に高度な技術やノウハウを必要とし、簡単には実現することができないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明は、上記コンベヤプーリにおける鏡板とシェルとの間の隅肉溶接部のような構造物の隅肉溶接部を、スキルやノウハウに依存せずに内側から均一な仕上がりの倣い溶接を行うことができるようにするための構造物の内側隅肉溶接方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、下端側に溶接トーチを取り付けた上下方向に長尺のロッド部材を、溶接対象構造物の上面板に設けた手穴を通して該溶接対象構造物内に挿入し、次に、上記手穴より上方へ突出するロッド部材の上端側を、下方に付勢すると共に、溶接対象構造物の下面板の一側に接合すべき側面板より離反する方向へ付勢するようにして、上記ロッド部材の下端側の溶接トーチを、上記上面板の手穴を支点として上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に向けて付勢するようにし、次いで、この状態にて、上記ロッド部材の上端側を、上記側面板の延びる方向と略平行な方向に移動させることにより、該ロッド部材の下端側の溶接トーチを上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に倣って移動させ、該隅肉溶接部の内側からの倣い溶接を行うようにする。
【0013】
又、上記構成において、ロッド部材の上端側の下方への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備えた上下方向のアクチュエータにより行うようにする。
【0014】
更に、上記各構成において、ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板より離反する方向への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備え且つ基端部を上記固定部側に水平方向に揺動可能に保持させて先端側を上記側面板の延びる方向に沿って変位させることができるようにしてなるアクチュエータにより行うようにする。
【0015】
上述の各構成において、ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板の延びる方向と略平行な方向への移動を、該ロッド部材の上端側と、上記側面板の延びる方向の片側に配した所要の固定部との間に水平に備えたアクチュエータにより行うようにする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の構造物の内側隅肉溶接方法によれば、以下のような優れた効果を発揮する。
(1)下端側に溶接トーチを取り付けた上下方向に長尺のロッド部材を、溶接対象構造物の上面板に設けた手穴を通して該溶接対象構造物内に挿入し、次に、上記手穴より上方へ突出するロッド部材の上端側を、下方に付勢すると共に、溶接対象構造物の下面板の一側に接合すべき側面板より離反する方向へ付勢するようにして、上記ロッド部材の下端側の溶接トーチを、上記上面板の手穴を支点として上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に向けて付勢するようにし、次いで、この状態にて、上記ロッド部材の上端側を、上記側面板の延びる方向と略平行な方向に移動させることにより、該ロッド部材の下端側の溶接トーチを上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に倣って移動させ、該隅肉溶接部の内側からの倣い溶接を行うようにしてあるので、上記溶接対象構造部における下面板と側面板との隅肉溶接部を、スキルやノウハウによることなく安定した品質で、内側から隅肉溶接を行うことができる。よって、製品としての上記溶接対象構造物を、強度や品質、信頼性等を均一なものとすることが可能になる。更に、溶接対象構造物における下面板と側面板との接合部を、内外両側から隅肉溶接することが可能になるため、接合部の強度を高めることが可能になり、よって、上記溶接対象構造物の製品の軽量化を図ることが可能になるという効果も期待できる。
(2)ロッド部材の上端側の下方への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備えた上下方向のアクチュエータにより行うようにし、又、上記ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板より離反する方向への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備え且つ基端部を上記固定部側に水平方向に揺動可能に保持させて先端側を上記側面板の延びる方向に沿って変位させることができるようにしてなるアクチュエータにより行うようにし、更に、上記ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板の延びる方向と略平行な方向への移動を、該ロッド部材の上端側と、上記側面板の延びる方向の片側に配した所要の固定部との間に水平に備えたアクチュエータにより行うようにすることにより、溶接作業を自動化することが可能になるため、上記溶接対象構造物における下面板と側面板との隅肉溶接部の内側からの隅肉溶接の溶接品質をより安定させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面を参照して説明する。
【0018】
図1乃至図6は本発明の構造物の内側隅肉溶接方法の実施の一形態として、内面側溶接対象構造物としての図7に示したと同様のコンベヤプーリ1を、軸心方向を上下方向に配置した姿勢で、該コンベヤプーリ1における鏡板4とその外周に配したシェル5との隅肉溶接部に適用する場合を示すもので、以下のようにしてある。
【0019】
すなわち、上記本発明の構造物の内側隅肉溶接方法の実施に用いる装置は、図1乃至図4に示す如く、コンベヤプーリ1を軸心方向を上下に配置した姿勢で保持できるようにしてある溶接対象構造物保持部7の背面側位置に、固定部となる上下方向に延びる支持フレーム8を備える。上記支持フレーム8の前面側には、溶接対象構造物である上記コンベヤプーリ1のシェル5の軸心方向寸法よりも所要寸法長い寸法で上下方向に延び、且つ下端部に溶接トーチ10を取り付けたロッド部材9を配置する。該ロッド部材9の上端側と、上記支持フレーム8との間には、上記ロッド部材9を下方へ付勢することができるようにしてある下方付勢用のアクチュエータ11と、上記ロッド部材9の上端側を水平面内で略前方へ付勢することができるようにしてある前方付勢用のアクチュエータ12と、上記ロッド部材9の上端側を水平面内で略左右方向へ移動させることで、ロッド部材9を介してその下端部に取り付けてある上記溶接トーチ10のトーチ狙い位置を移動させるためのトーチ先移動用のアクチュエータ13を介在させて設ける。
【0020】
更に、上記ロッド部材9の下端部に取り付ける溶接トーチ10は、トーチ狙い位置が上記ロッド部材9の軸心方向に対して後方へ所要角度傾斜した構成とし、該溶接トーチ10の先端付近における外周部に、溶接トーチ10のトーチ狙い方向よりも所要角度下方、たとえば、約45度下方に向けて所要寸法突出する底面倣い部材としての底面倣い用車輪14と、トーチ狙い方向よりも所要角度後方、たとえば、約45度後方に向けて所要寸法突出する側面倣い部材としての側面倣い用車輪15とを設ける。これにより、上記溶接対象物保持部7に軸心方向を上下方向に配置した姿勢で保持させたコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aに設けてある手穴6のうち、最も後方に位置させた手穴6を通して上記ロッド部材9を上方より挿入し、且つ上記下方付勢用のアクチュエータ11により上記ロッド部材9を下方に付勢することによって、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10に設けてある底面倣い用車輪14を、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面に上方から押し付けると共に、上記前方付勢用のアクチュエータ12により、上記コンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの手穴6よりも上方へ突出している上記ロッド部材9の上端側を水平面内で略前方へ付勢することによって、上記手穴6を支点として、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10に設けてある側面倣い用車輪15を、上記コンベヤプーリ1のシェル5の後部寄りに位置している部分の内周面に内側から押し付けることで、該各倣い用車輪14と15の間にて、上記溶接トーチ10のトーチ狙い方向を、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の後部寄りに位置している部分の内周面との間の隅肉溶接部16に臨ませた配置とすることができるようにしてある。
【0021】
更に、上記のようにして底面倣い用車輪14を上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面に、又、側面倣い用車輪15を上記コンベヤプーリ1のシェル5の後部寄りに位置している部分の内周面にそれぞれ押し付けた状態で、上記トーチ先移動用のアクチュエータ13により、上記ロッド部材9の上端側を水平面内で略左右方向へ、たとえば、右から左方向へ移動させることにより、上記上側に位置する鏡板4aの手穴6を支点として、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を、下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の後部に位置している部分の内周面との間の隅肉溶接部16の周方向の湾曲に倣わせながら左から右方向へ移動させて、該隅肉溶接部16の隅肉溶接を行うことができるようにしてある。
【0022】
詳述すると、上記支持フレーム8の前面側には、図示しない昇降駆動機構により上下方向に移動できるようにしてある昇降フレーム17が取り付けてある。なお、該昇降フレーム17は、溶接対象構造物保持部7に軸心方向を上下方向にした姿勢で配置するコンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bから上側に位置する鏡板4aまでの高さ寸法を上回るストロークで昇降できるようにしてあるものとする。
【0023】
上記昇降フレーム17の前面の下部位置には、所要寸法前方へ張り出す水平フレーム18の後端部が、図示しないガイドに沿って上下方向に所要の短いストロークで変位可能に取り付けてある。更に、上記昇降フレーム17の幅方向中央部の前側に、上記下方付勢用のアクチュエータ11として、たとえば、下方付勢用のエアシリンダ11を上下方向に配置して、該下方付勢用エアシリンダ11の上端側の端部を、上記昇降フレーム17の上部前面の対応する個所に固定すると共に、該下方付勢用エアシリンダ11の下端側の端部を、上記水平フレーム18の後端部上面の対応する個所に取り付けた構成としてある。
【0024】
上記水平フレーム18の下面にて上記溶接対象構造物保持部7に配置するコンベヤプーリ1の軸心位置の真後ろとなる個所には、前後方向に所要寸法延びるガイド20と、図示しない駆動機構により該ガイド20の下側に沿って前後方向位置を自在に移動できるようにしたスライダ21とを具備してなるロッド前後位置調整装置19の上記ガイド20が取り付けてある。
【0025】
上記ロッド前後位置調整装置19の下方には、上記前方付勢用のアクチュエータ12として、たとえば、前方付勢用のエアシリンダ12を前向きに配置すると共に、該前方付勢用エアシリンダ12の基端部が、上記ロッド前後位置調整装置19のスライダ21の下側に、左右方向に揺動可能に取り付けてある。更に、上記前方付勢用エアシリンダ12の作動ロッド12aの先端部に、上記ロッド部材9の上端部が、前後方向に揺動可能に連結してある。
【0026】
上記水平フレーム18の左右いずれか一方の端部、たとえば、左端部には、溶接対象構造物保持部7に配置するコンベヤプーリ1の軸心位置より左右方向に所要寸法離れた位置で上下方向に所要寸法延びる側方フレーム22の上端部が一体に取り付けてある。
【0027】
上記側方フレーム22における上記ロッド部材9の上端寄りの所要個所と対応する高さ位置には、上記トーチ先移動用のアクチュエータ13として、たとえば、トーチ先移動用電動シリンダ13の基端部が、前後及び上下方向に角度変更可能に取り付けてある。更に、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の作動ロッド13aの先端部が、上記ロッド部材9の上端寄りの所要個所に球面軸受23を介して連結してある。これにより、上記ロッド部材9の上端側が、上記支持フレーム8に昇降フレーム17と下方付勢用エアシリンダ11を介して取り付けられている水平フレーム18に対して、上記前方付勢用エアシリンダ12とロッド前後位置調整装置19、及び、上記球面軸受23とトーチ先移動用電動シリンダ13と側方フレーム22をそれぞれ介して吊り下げられた状態で保持されるようにしてある。
【0028】
更に、上記したように、上記ロッド部材9は、上記水平フレーム18に、上記前方付勢用エアシリンダ12とロッド前後位置調整装置19、及び、上記球面軸受23とトーチ先移動用電動シリンダ13と側方フレーム22をそれぞれ介して吊り下げられているため、上記ロッド前後位置調整装置19、前方付勢用エアシリンダ12、トーチ先移動用電動シリンダ13のいずれを作動させても、上記ロッド部材9は自重とその下端側の溶接トーチ10の重量によりほぼ鉛直に保持されたままとなる。よって、上記溶接トーチ10を、溶接対象構造物保持部7に軸心方向を上下方向にした姿勢で保持させたコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの手穴6に挿入する際、該溶接トーチ10の角度姿勢を変化させることができない。以上の点に鑑みて、上記ロッド部材9の上端部より所要寸法離れた上部所要位置の外周に遊嵌させた筒状部材24に、溶接作業時は共に動作をフリーな状態とすることができるようにしてある左右方向のアクチュエータ26と前後方向のアクチュエータ27とを組み合わせてなる補助位置決め機構25を連結するようにしてある。なお、該補助位置決め機構25の各アクチュエータ26,27は、図示しない支持部材を介して上記水平フレーム18の下面側や、上記側方フレーム22の内側に支持させるようにすればよい。これにより、上記ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を、溶接対象構造物保持部7に軸心方向を上下方向にした姿勢で保持させたコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの手穴6に挿入したり、該手穴6から引き出したりする場合は、上記補助位置決め機構25の左右方向と前後方向の各アクチュエータ26と27を適宜動作させることで、上記ロッド部材9の角度を変化させて該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10の角度姿勢を調整できるようにしてある。
【0029】
上記溶接対象物保持部7は、直径の異なるコンベヤプーリ1であっても、コンベヤプーリ1のシェル5の最後部と、上記支持フレーム8との間隔がほぼ一定になるように、上記支持フレーム8の前側にて、溶接対象となるコンベヤプーリ1の直径に応じて、該コンベヤプーリ1の軸2を保持する位置を前後方向に移動させることができるようにしてあるものとする。
【0030】
ところで、上述したように、溶接対象物保持部7に軸心方向を上下方向に配置した姿勢で保持させたコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの手穴6からロッド部材9の下部を挿入した状態にて、トーチ先移動用電動シリンダ13を伸縮作動させることにより、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面とシェル5の内周面との隅肉溶接部16に沿わせて周方向に移動できる角度範囲は、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の作動ストローク、及び、ロッド部材9の長手方向におけるコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの手穴6に接することで該ロッド部材9の動作の支点となる位置から、ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10までの距離と、上記支点となる位置から、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の作動ロッド13aを連結した球面軸受23を設けた位置までの距離の比によって変化する。したがって、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の作動ストロークを拡大すれば、該トーチ先移動用電動シリンダ13の伸縮作動による上記溶接トーチ10の上記隅肉溶接部16に沿う周方向の移動角度範囲を拡大することができるが、上記ロッド部材9の傾きが大きくなると、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10のトーチ狙い方向の上記隅肉溶接部16からの角度ずれが大きくなり、溶接品質に影響を及ぼす虞が懸念される。よって、以上の点に鑑みて、上記トーチ先移動用電動シリンダ13を伸縮作動させることにより、ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bとシェル5との隅肉溶接部16に沿わせて周方向に移動させる角度範囲は、たとえば、60度や120度に設定するようにしてある。したがって、上記コンベヤプーリ1の鏡板4a,4bには、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の1回の伸縮作動によってロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を上記隅肉溶接部16に沿わせて移動させることが可能な周方向角度範囲と対応する周方向角度間隔で手穴6を設けるようにすればよい。
【0031】
なお、上記溶接トーチ10は、サイズを小さくするという観点からすると、溶接ワイヤ28を電極とするMIG溶接用又はMAG溶接用の溶接トーチ10とすることが好ましいが、上記コンベヤプーリ1の鏡板4に設ける手穴6を通過できるような小型の溶接トーチ10としてあれば、TIG溶接用やレーザ溶接用等、他の形式の溶接トーチを採用するようにしてもよい。
【0032】
上記溶接トーチ10に対する溶接ワイヤ28の供給や、シールドガスの供給は、上記ロッド部材9を中空とすると共に、該ロッド部材9の上部におけるコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aよりも下方とならない位置の側面に図示しない開口部を設けて、該開口部より該ロッド部材9の内側を通して実施できるようにしてあるものとする。
【0033】
その他、図7に示したものと同一のものには同一符号が付してある。
【0034】
以上の構成としてある装置を用いて本発明の構造物の内側隅肉溶接方法を実施する場合は、予め、支持フレーム8に沿わせて昇降フレーム17を上昇させて、該昇降フレーム17の前側に取り付けた水平フレーム18より吊られているロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を、溶接対象構造物保持部7に軸心方向が上下方向となる姿勢で配置する予定のコンベヤプーリ1のシェル5よりも上方となる位置に退避させた状態で、該溶接対象構造物保持部7に、各鏡板4a,4bの外周にスポット溶接等によりシェル5を仮付けしたコンベヤプーリ1を、軸心方向を上下方向にした姿勢で配置する。この際、該コンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aに周方向所要間隔、たとえば、周方向60度間隔で設けてある六つの手穴6のうちの一つが、支持フレーム8に最も近い最後方に位置するようにしておく。
【0035】
次に、ロッド前後位置調整装置19のスライダ21を前後方向に移動させて、上記ロッド部材9が、上記溶接対象構造物保持部7に配置したコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの最後方に位置する手穴6の上方に吊られるように配置した状態にて、補助位置決め機構25の左右方向と前後方向の各アクチュエータ26と27を適宜動作させて、上記ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10の角度姿勢を調整しながら、上記昇降フレーム17を下降させて、上記溶接対象構造物保持部7に配置したコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの最後方に位置する手穴6に、上記ロッド部材9を、上記溶接トーチ10が取り付けてある下端側より挿入する。
【0036】
次いで、上記昇降フレーム17を、上記ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10に設けてある底面倣い用車輪14が上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面に突き当たることで、該ロッド部材9の下降が止まるようになる高さ位置まで下降させた後、該昇降フレーム17を更に所要寸法低い位置まで下げることで、上記ロッド部材9を介して、上記溶接トーチ10の底面倣い用車輪14に、上記水平フレーム18の上側に取り付けてある下方付勢用エアシリンダ11による下向きの付勢力、すなわち、コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面への押し付け力が作用するようにする。
【0037】
更に、この状態で、上記補助位置決め機構25の左右方向と前後方向の各アクチュエータ26と27の動作をフリーにしてから、図5(イ)に示す如く(なお、図示する便宜上補助位置決め機構25の記載は省略してある。後述する図5(ロ)及び図6も同様)、前方付勢用エアシリンダ12を伸長作動させて、上記ロッド部材9の上端部を前方へ付勢することにより、ロッド部材9が挿通させてある上記コンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの最後方に位置する手穴6を支点として、該ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10に設けてある側面倣い用車輪15を、上記コンベヤプーリ1のシェル5の後部寄りに位置している部分の内周面に内側から押し付ける。更に、トーチ先移動用電動シリンダ13を伸長作動させて、上記ロッド部材9の上端側を、上記上側に位置する鏡板4aの手穴6よりも図上右側に配置することで、該手穴6を支点として、ロッド部材9の下端側の溶接トーチ10を、コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の後部に位置している部分の内周面との間の隅肉溶接部16における上記ロッド部材9の動作の支点となる手穴6よりも所要寸法左側位置に臨ませて配置する。
【0038】
その後、上記溶接トーチ10への溶接ワイヤ28の供給を開始して、該溶接トーチ10による溶接作業を開始させた後、上記トーチ先移動用電動シリンダ13の収縮作動を開始して上記ロッド部材9の上端側を右側から徐々に左側へ移動させる。これにより、上記下方付勢用エアシリンダ11によって底面倣い用車輪14がコンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面に、又、前方付勢用エアシリンダ12によって側面倣い用車輪15がシェル5の後部寄りに位置している部分の内周面にそれぞれ押し付けられた状態で上記溶接トーチ10が左側から右側へ徐々に移動させられるようになるため、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の後部寄りに位置している部分の内周面との間の隅肉溶接部16の隅肉溶接を、周方向の倣い溶接として実施できるようになる。
【0039】
上記のようにして、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bとシェル5の間の隅肉溶接部16の隅肉溶接を開始した後、図5(ロ)に示すように上記トーチ先移動用電動シリンダ13を収縮させると、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の内周面との間の隅肉溶接部16の隅肉溶接が、周方向所要の角度範囲で実施される。なお、図中に示した矢印Aはロッド部材9の上端部の軌跡であり、矢印Bは該ロッド部材9の上端部の移動に伴う溶接トーチ10による隅肉溶接実施個所の軌跡をそれぞれ示している。
【0040】
その後は、溶接作業を一旦中断した後、上記補助位置決め機構25の左右方向と前後方向の各アクチュエータ26と27を作動させてロッド部材9の下端側の溶接トーチ10の角度姿勢を調整しながら、上記昇降フレーム17を上昇させて、上記ロッド部材9及び溶接トーチ10を、上記コンベヤプーリ1より一旦引出し、この状態で、上記コンベヤプーリ1を軸を中心に所要角度、具体的には、上記隅肉溶接が実施された角度範囲と対応する角度回転させて、該コンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aの別の手穴6を最後方に配置し、この状態で、上記と同様の手順を繰り返すことで、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の内周面との間の隅肉溶接部16の周方向の倣い溶接による隅肉溶接を、周方向所要の角度範囲に亘り実施し、更に同様の手順を順次繰り返して、上記コンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の内周面との間の隅肉溶接部16の所要の角度範囲ずつの隅肉溶接を順次繋げることで、該隅肉溶接部16を周方向の全周に亘り内側から溶接する。
【0041】
しかる後、上記シェル5との間の隅肉溶接部16の内側からの隅肉溶接作業が終了したコンベヤプーリ1の下側に位置していた鏡板4bが、新たな上側の鏡板4aとなり、且つシェル5との隅肉溶接がまだ行われていないコンベヤプーリ1の上側に位置していた鏡板4aが、新たな下側の鏡板4bとなるように、上記コンベヤプーリ1を上下方向に反転させた後、上述した手順と同様の手順を繰り返すことで、この新たにコンベヤプーリ1の下側に配された鏡板4bについても、上記シェル5との間の隅肉溶接部16の内側からの倣い溶接を実施し、しかる後、上記各鏡板4(4a,4b)と、シェル5との間を外側からも隅肉溶接することで、各鏡板4(4a,4b)とシェル5とが両面隅肉溶接されたコンベヤプーリ1が製造されるようになる。
【0042】
又、直径が異なるコンベヤプーリ1、たとえば、直径がより大きく且つ鏡板4a,4bに設けてある手穴6と、シェル5との間隔がより長いコンベヤプーリ1を対象として、鏡板4(4a,4b)とシェル5との間の隅肉溶接部16の内側からの隅肉溶接を実施する場合は、図6に示す如く、直径がより大きいコンベヤプーリ1のシェル5の最後部と、支持フレーム8との間隔が、図5(イ)(ロ)に示したコンベヤプーリ1のシェル5の最後部と支持フレーム8との間隔とほぼ等しくなるように、上記直径がより大きいコンベヤプーリ1を、溶接対象物保持部7に、軸心位置をより前方にずらした状態で、軸心方向が上下方向となる姿勢で配置する。次いで、ロッド前後位置調整装置19のスライダ21を前方に移動させることで、予め上記ロッド部材9が、上記直径がより大きいコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aに設けてある手穴6のうちの最後方の手穴6の上方位置に吊られるように配置した状態とし、その後、前述したと同様の手順で、上記直径がより大きいコンベヤプーリ1の上側に位置する鏡板4aに設けてある手穴6のうちの最後方に位置する手穴6に、ロッド部材9を、溶接トーチ10が取り付けてある下端側から挿入して、上記直径がより大きいコンベヤプーリ1について、下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の内周面との間の隅肉溶接部16の内側からの隅肉溶接を実施するようにすればよい。
【0043】
このように、本発明の構造物の内側隅肉溶接方法によれば、上記コンベヤプーリ1の各鏡板4(4a,4b)とシェル5との間の隅肉溶接部16を内側から溶接することができ、しかも、各鏡板4(4a,4b)とシェル5との間の隅肉溶接部16の周方向の湾曲に沿う倣い溶接を実施できる。
【0044】
しかも、溶接作業自体は自動化することができるため、スキルやノウハウによることなく品質の安定した内面隅肉溶接を実施することができる。よって、製品としてのコンベヤプーリ1の強度や品質、信頼性を均一なものとすることができて、該コンベヤプーリ1を使用するベルトコンベヤの故障を低減させる効果も期待できる。
【0045】
更に、従来、外側からの溶接しか行うことができなかったコンベヤプーリ1の各鏡板4(4a,4b)とシェル5との接合部の強度を高めることが可能になるため、従来と同等の強度が必要とされる場合に、コンベヤプーリ1の製品としての軽量化を図ることが可能になるという効果も期待できる。
【0046】
更には、コンベヤプーリ1の製品としての軽量化や、溶接作業の自動化を行うことで、コスト削減効果が期待できる。
【0047】
なお、本発明は、上記実施の形態にのみ限定されるものではなく、下方付勢用と前方付勢用とトーチ先移動用の各アクチュエータ11,12,13は、それぞれ電動、エア圧、油圧のいかなる動力を用いるようにしてもよい。
【0048】
更に、ロッド部材9の上部と、固定部との間に該ロッド部材9の下方付勢用と前方付勢用とトーチ先移動用の各アクチュエータ11,12,13を備えていれば、支持フレーム8、昇降フレーム17、水平フレーム18、側方フレーム22の形状や配置は適宜変更してもよい。又、溶接対象構造物保持部7が、溶接対象構造物としてのコンベヤプーリ1を昇降させる機能を備えていれば、昇降フレーム17は省略してもよい。
【0049】
溶接トーチ10に設ける底面倣い部材と側面倣い部材は、それぞれコンベヤプーリ1の下側に位置する鏡板4bの内面と、シェル5の内周面に倣って移動させることができるようにしてあれば、底面倣い用車輪14と側面倣い用車輪15以外の構成を採用してもよい。
【0050】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の構造物の内側隅肉溶接方法の実施に用いる装置の一形態を示す一部切断概略斜視図である。
【図2】図1におけるロッド部材の上部側を拡大して示す図である。
【図3】図1の装置の切断概略側面図である。
【図4】図1の装置のロッド部材の下端部を拡大して示す側面図である。
【図5】図1の装置を用いて実施する本発明の構造物の内側隅肉溶接方法の手順を示すもので、(イ)はコンベヤプーリの鏡板とシェルとの隅肉溶接部における溶接開始地点に向けて溶接トーチを配置した状態を、(ロ)は隅肉溶接部の周方向に沿う倣い溶接を実施した状態をそれぞれ示す一部切断概略平面図である。
【図6】図1の装置を用いて径の異なるコンベヤプーリを対象として該コンベヤプーリの鏡板とシェルとの隅肉溶接部の溶接を行う場合の状態を示す一部切断概略平面図である。
【図7】コンベヤプーリの一般的な構造を示す一部切断概略斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 コンベヤプーリ(溶接対象構造物)
4a 上側に位置する鏡板(上面板)
4b 下側に位置する鏡板(下面板)
5 シェル(側面板)
6 手穴
8 支持フレーム(固定部)
9 ロッド部材
10 溶接トーチ
11 下方付勢用エアシリンダ(アクチュエータ)
12 前方付勢用エアシリンダ(アクチュエータ)
13 トーチ先移動用電動シリンダ(アクチュエータ)
16 隅肉溶接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端側に溶接トーチを取り付けた上下方向に長尺のロッド部材を、溶接対象構造物の上面板に設けた手穴を通して該溶接対象構造物内に挿入し、次に、上記手穴より上方へ突出するロッド部材の上端側を、下方に付勢すると共に、溶接対象構造物の下面板の一側に接合すべき側面板より離反する方向へ付勢するようにして、上記ロッド部材の下端側の溶接トーチを、上記上面板の手穴を支点として上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に向けて付勢するようにし、次いで、この状態にて、上記ロッド部材の上端側を、上記側面板の延びる方向と略平行な方向に移動させることにより、該ロッド部材の下端側の溶接トーチを上記溶接対象構造物の下面板と側面板との間の隅肉溶接部に倣って移動させ、該隅肉溶接部の内側からの倣い溶接を行うようにすることを特徴とする構造物の内側隅肉溶接方法。
【請求項2】
ロッド部材の上端側の下方への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備えた上下方向のアクチュエータにより行うようにする請求項1記載の構造物の内側隅肉溶接方法。
【請求項3】
ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板より離反する方向への付勢を、該ロッド部材の上端側と所要の固定部との間に備え且つ基端部を上記固定部側に水平方向に揺動可能に保持させて先端側を上記側面板の延びる方向に沿って変位させることができるようにしてなるアクチュエータにより行うようにする請求項1又は2記載の構造物の内側隅肉溶接方法。
【請求項4】
ロッド部材の上端側の溶接対象構造物の側面板の延びる方向と略平行な方向への移動を、該ロッド部材の上端側と、上記側面板の延びる方向の片側に配した所要の固定部との間に水平に備えたアクチュエータにより行うようにする請求項1、2又は3記載の構造物の内側隅肉溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−220126(P2009−220126A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64685(P2008−64685)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【出願人】(000198363)石川島運搬機械株式会社 (292)
【Fターム(参考)】