説明

構造物の点検装置

【課題】 本発明は橋梁等の構造物の点検に際し、点検対象物の状態を正確かつ簡便に把握する装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 軽車両移動体に設けられた水平垂直に移動可能である自在アーム構造体上に、パン方向及びチルト方向に自在に回転可能雲台に複数の撮像カメラを搭載することで点検する撮像対象を自在に選定すると共に複数のレーザーポインタを前記撮像カメラ光軸に平行配置しレーザー光を照射することで、前記対象物の状態を把握することを特徴とする橋梁等の構造点検装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁または構造物の部位を電子カメラにより撮像して点検する構造物の点検装置に関する。
【背景技術】
【0002】
橋梁や構造物の老朽化に伴い強度の劣化が問題となっており、例えば道路の橋梁については既存の橋梁の多くは建造されてから年数も経過し掛け替えや補強が必要となってきている。
【0003】
こうした橋梁、構造物に関し、安全確認のため定期的に点検を行う必要が有り、点検の際に点検調査書類を作成していく業務が行われている。しかしながら道路等の橋梁検査は橋梁下部の点検が必要であり目視確認が困難な点検箇所であるため点検作業には大型クレーンや点検用足場といった大がかりな設備が必要であった。このことは高所の構造物やトンネル内部等の目視困難かつ危険な点検調査にもあてはまる。このような大型点検設備は作業安全または作業スペースの確保等管理コストも多大であり、また確実な点検調査検証には多くの時間と人手を要した。
【0004】
このような大掛かりな設備は点検コスト負担が大きく、改善策として目視確認が困難に対応するため水平垂直に移動及び回転可能である保持アーム(以下自在アームと表記する)構造と自在アーム先端部に撮像カメラを採用している(特許文献1〜8)。同じく特許文献1〜8には様々な点検箇所調査の必要性から移動台車に前記自在アーム及び撮像カメラを搭載している。これら移動車両は一般的に大型クレーン車と同等な大きさを持ちその占有作業スペースの大きさから、道路占有許可も要求される。
【0005】
また撮像に使用する撮像カメラは点検箇所の全体の位置関係と点検箇所の異常状態の詳細を同時に把握することも要求される。前記の同時視認性は的確な場所とその状況を認知することに有用であるが特許文献1〜8には記載されていない。同時視認性は単純に複数の電子カメラを設置することで達成できるが複数のカメラ撮像方向を点検対象にカメラ光軸を向ける機構を持つことと、それぞれのカメラ光軸方向を一致させることが必要とされ調査資料作成処理も複雑となる。また、表示器上に点検箇所の全体の位置関係と点検箇所の異常状態の詳細を同時に表示するには映像信号の同期処理等が必要であり装置的にも複雑、大型と成らざるを得ない。
【0006】
特許文献9は、複数のレーザーポインタを前記電子カメラの脇に離間配置し撮影対象物を測長する方式である。前記レーザーポインタは前記電子カメラの光軸と一致させて照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−41324号公報
【特許文献2】特開2001−20224号公報
【特許文献3】特開2003−117922号公報
【特許文献4】特開2005−90072号公報
【特許文献5】特開2005−133471号公報
【特許文献6】特開2006−2417号公報
【特許文献7】特開2007−77653号公報
【特許文献8】特開2009−275385号公報
【特許文献9】特願2009−299337号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
橋梁等、調査しにくい構造物の点検には特許文献1〜8にあるとおり大型であり、また点検箇所の特定しにくく、かつ調査資料作成に人手が多く必要で非効率であった。本発明は橋梁や高架構造物の点検装置を小型にすると同時に点検対象位置の把握及びその詳細形状を正確に判断する点検装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明例を図1または図2に示す。橋梁または構造物の点検装置として、自在アームを搭載した移動車両による移動手段を持ち前記自在アームにパン及びチルト方向に回転可能な雲台上に撮像する複数の電子カメラを乗せた構造を有する。前記複数の電子カメラの一つは点検対象全体を把握する広角レンズの電子カメラであり、他のカメラは少なくとも一つは詳細を把握するためのズームレンズ装着の電子カメラである。前記電子カメラは発明例として前記電子カメラ2台をパン及びチルト方向に回転可能な雲台上に搭載したもので、図1の構造の前記電子カメラはチルト軸が図示されている紙面に対し垂直であり、図2の構造は前記電子カメラのチルト軸が図示されている紙面に平行である。電子カメラの水平画角は垂直画角よりも大きいため、図1に示される橋梁下部の点検には橋梁下部の点検撮像対象が道路に対し平行であることが望ましく、橋梁下部の点検撮像対象が道路に対し直交しているときは図2の電子カメラの方向が望ましい。パン及びチルト方向に回転可能な雲台上に撮像する前記電子カメラを搭載する構造は図1及び図2のような点検撮像対象の方向に対応できる。図1及び図2における前記撮像カメラに直交する撮像対象にとどまらず任意の点検撮像対象にも対応可能である。
【0010】
請求項1及び2に記載の発明例として図3に電子カメラの構造を示す。図3はパン及びチルト方向に回転可能な雲台上に撮像する複数の電子カメラを2個としての電子カメラの搭載例を示している。搭載する電子カメラの数はコストに関連し、また信号処理回路も増大するためコストを勘案し、2個の例とした。これら2つのカメラは上下に離間して搭載している。一つのカメラは点検対象の全体を把握する広角レンズを使用した広角電子カメラであり、他のカメラは詳細部を把握するためにズームレンズを使用したズーム電子カメラである。図1、図2の例での橋梁上部の移動車両には前記電子カメラの制御用PC及びディスプレイも装備されている発明例である。
【0011】
請求項3に記載の発明例として図3に電子カメラの構造を示す。本発明例として前記複数電子カメラは一つを広角電子カメラ、他の一つをズーム電子カメラとした2カメラの例を示す。図3はパン及びチルト方向に回転可能な広角レンズを搭載した広角カメラとズーミングを行うズームレンズを装着したズームカメラによって構成される。請求項6に記載の発明例としてレーザーポインタを前記電子カメラの両脇に有る距離を離間して配置する。それらのレーザーポインタの照射軸は前記電子カメラの光軸と平行である。
【0012】
図4は前記電子カメラのパン方向回転動作例でパンの回転角を示している。図5は前記電子カメラのチルト方向回転動作例でチルトの回転角を示している。
【0013】
図6は橋梁下部の撮像対象を前記電子カメラ例で撮像する状態を示している。図6の例はチルト軸が紙面に平行での撮像例である。図7は橋梁下部の撮像対象を前記電子カメラ例で撮像する状態である。図7の例はチルト軸が紙面に垂直で撮像する状態を示している。広角カメラの画角及びズームカメラを搭載したパン角及びチルト角を変更制御することにより撮像カメラの方向を自在に変化させ、様々な撮像対象映像を選択することが可能となる。
【0014】
請求項4に記載の発明例として図1または図2に構成を示す。本発明の橋梁点検装置例として上部通路の移動手段である車両台車は軽車両であることの例である。橋梁または構造物の点検部位を電子カメラにより撮像して点検する構造物の点検装置は大型になり広い作業スペースを必要となる。このため上部の道路占有許可を必要とされる。前記移動車両を小型の軽車両とすることで通路の邪魔にならず道路占有許可が不要であるため、通行の迷惑または道路占有許可の制約にならず迅速に点検が可能となる。
【0015】
請求項5に記載の発明例として図8に信号回路系の構成ブロックを示す。発明例として複数の電子カメラは広角電子カメラとズーム電子カメラの2カメラ構成としてある。信号系回路構成ブロックは撮像素子部を含むカメラヘッドユニット部と映像信号処理部、PIP(Picture In Picture)処理エンコード部及び出力選択回路の4つのブロックで構成されている。カメラヘッドユニット部における広角カメラ撮像素子とズームカメラ撮像素子は同一のクロックのタイミングジェネレータ(TG)で駆動され、前記の電子カメラは同期した映像信号を映像信号処理回路に送出する。映像信号処理回路は同期した広角カメラ及びズームカメラ撮像信号処理を行う。これら同期した映像信号をPIP回路で処理し、広角カメラズームカメラ映像の並列表示や親映像と子映像のPIP表示を可能とする信号を創出する。出力選択回路は橋梁上部の移動車両に搭載された外部のPCからの出力選択制御によって映像信号を出力する。出力の映像信号はケーブル等その他通信手段によって伝送されるが映像出力を選択制御することで伝送路を削減することも可能となる。またズームカメラのズーミング制御、パン及びチルトの制御も前記外部のPCから制御する。同様に電子カメラ部のパン及びチルト角はパン回転エンコーダ、チルト回転エンコーダより前記雲台の動作状態を知ること出来、点検対象体の撮像方向を把握することが可能となる。
【0016】
請求項6に記載の発明例は複数のレーザーポインタを複数電子カメラに一体装着し撮影対象物の測長する方式である。図1、図2、図3図に2つのレーザーポインタを電子カメラの脇に装着した例を示す。前記レーザーポインタは小型軽量であるため、前記雲台に搭載された複数電子カメラに一体装着することが可能である。図1、図2、図3図の発明例では2つのレーザーポインタを搭載したものであるが、レーザーポインタ数は複数あれば撮影対象物の測長機能を満足する。
【0017】
図9は点検撮像対象を図6に示すごとくチルト軸が紙面に平行で撮像したときの撮像例の表示である。電子ズームカメラの映像と広角カメラの映像を表示した例を示す。撮像対象全体を広角カメラ映像で図9の下段に表示し、撮像対象詳細のズーム映像を上段に表示した。画面上にレーザーポインタの照射点も表示されている。レーザーポインタの照射の表示点の距離は図3に示される機械的寸法を持ち、かつ前記電子カメラの光軸に平行であることから図3で表示される画面上の画素数で換算される。この時、撮像対象物の大きさ映像の画素数とレーザーポインタの照射点距離の画素数を単純比例計算することにより点検対象寸法が判明する。図10は撮像対象全体の広角カメラ映像と撮像対象詳細のズーム映像とをPIP機能により、1つの表示器に並列配置表示した例である。
【0018】
図11は点検撮像対象を図7に示すごとくチルト軸が紙面に垂直で撮像したときの撮像例の表示である。電子ズームカメラの映像と広角カメラの映像を表示した例を示す。撮像対対象全体を広角カメラ映像で図11の下段に表示し、撮像対象詳細のズーム映像を上段に表示した。画面上にレーザーポインタの照射点も表示されている。レーザーポインタの照射の表示点の距離は図3に示される機械的寸法を持ち、かつ前記電子カメラの光軸に平行であることから図3で表示される画面上の画素数で換算される。この時、撮像対象物の大きさ映像の画素数とレーザーポインタの照射点距離の画素数を単純比例計算することにより点検対象寸法が判明する。図12は撮像対象全体の広角カメラ映像と撮像対象詳細のズーム映像とをPIP機能により、1つの表示器に親画像と子画像を配置表示した例である。図7の点検対象撮像ではチルト角を持つ例で有るが、このチルト角はチルト角エンコーダデータよりチルト角度を取得可能であり、チルト角度による寸法補正が可能で有る。
【0019】
なお構成要素の任意の組み合わせ、本発明に基づく装置を他の方法への応用など発明の趣旨の範囲で他の態様としても有効である。
【発明の効果】
【0020】
このような請求項1,請求項2,請求項3,請求項4,請求項5,請求項6の発明の構成による構造物の点検装置では、危険作業を回避し調査困難な構造物の点検を小型の設備で、正確かつ迅速に視認可能であり、点検漏れや点検ミス防止すると共に点検保守の人手と時間の削減を達成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】 本発明の構造図例である。
【図2】 本発明の構造図例である。
【図3】 本発明の複数電子カメラ例の構造説明図である。
【図4】 本発明の複数電子カメラ例のパン動作説明図である。
【図5】 本発明の複数電子カメラ例のチルト動作説明図である。
【図6】 本発明の点検対象物撮像例の説明図である。
【図7】 本発明の点検対象物撮像例の説明図である。
【図8】 本発明の複数電子カメラの回路構成及び制御ブロック説明図である。
【図9】 本発明の点検対象物撮像例の撮像表示の説明図である。
【図10】 本発明の点検対象物撮像例の撮像表示の説明図である。
【図11】 本発明の点検対象物撮像例の撮像表示の説明図である。
【図12】 本発明の点検対象物撮像例の撮像表示の説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態1)
次に、本発明を具体化した実施形態を図に基づいて説明する。図1は本発明にかかわる構造物点検装置100の構成図で橋梁101の下部を点検する装置である。橋梁101は柵101a、橋梁上面道路101b、橋梁下部構造体101cである。橋梁上部の軽車両移動体102上には構造物点検装置を吊り下げる自在アーム104と前記構造物点検装置を制御する表示器を持つPC103を搭載する。自在アーム104は保持アーム104a、水平アーム104b、垂直方向に移動(104d)する垂直アーム104c及び橋梁下部の水平アーム104e有し、水平アーム104e上に複数の電子カメラ105を配置する構造で前記カメラ105はアーム104e上を移動(104f)する。この水平移動は複数の電子カメラ105を搭載し、水平アーム104e自身が移動(104f)してもよい。パン及びチルト機構に搭載された前記カメラ105は橋梁下部の点検対象物101dを広角撮像カメラ105a、ズームカメラ105bで撮像し、前記点検対象物101dの異常を検出する。前記カメラは広角カメラの撮像画角105e、ズームカメラの撮像画角105fを有する、また複数のレーザーポインタ105c−L、105c−Rを前記カメラ105の光軸に対し平行配置し、レーザービーム105d−L、105d−Rを照射する構造を持つ。図1では前記電子カメラ105を搭載するパン及びチルト回転駆動部、回転検出エンコーダは図示していない。図は説明の都合上模式的に描いてある。
【0022】
(実施の形態2)
次に、本発明を具体化した実施形態を図に基づいて説明する。図2は本発明に係る構造物点検装置100の構成図で橋梁101の下部を点検する装置である。橋梁101は柵101a、橋梁上面道路101b、橋梁下部構造体101cである。橋梁上部の軽車両移動体102上には構造物点検装置を吊り下げる自在アーム104と前記構造物点検装置を制御する表示器を持つPC103を搭載する。自在アーム104は水平アーム104b、垂直方向に移動(104d)する垂直アーム104c及び橋梁下部の水平アーム104e有し、水平アーム104e上に複数のカメラ105を配置する構造でカメラ105はアーム104e上を移動(104f)する。パン及びチルト機構に搭載された前記カメラ105は橋梁下部の点検対象物101dを広角撮像カメラ105a、ズームカメラ105bで撮像し、前記点検対象物101dの異常を検出する。前記カメラは広角カメラの撮像画角105e、ズームカメラの撮像画角105fを有し、また複数のレーザーポインタ105c−L、105C−Rを前記カメラ105の光軸に対し平行配置し、レーザービーム105d−L、105d−Rを照射する構造を持つ。図2では前記電子カメラ105を搭載するパン及びチルト回転駆動部、回転検出エンコーダは図示していない。図は説明の都合上模式的に描いてある。
【0023】
(実施の形態3)
図3は本発明に係るパン及びチルト回転可能の雲台に複数の電子カメラを搭載した構造105を示す。広角カメラ105a、ズームカメラ105bの光軸105j、105kは点検対象を同一方向で撮像する機能が要求されることから互いに平行である。複数のレーザーポインタ105c−L及び105c−Rを前記電子カメラの両脇に距離105j離間して配置する。さらにレーザーポインタ105c−L、105c−Rの照射ビーム105d−L、105d−Rは前記電子カメラの広角カメラ光軸105j及びズームカメラ光軸105kに平行配置される構造を持つ。パン及びチルト回転可能な雲台のパン軸は105g、チルト軸は105hで示す。
【0024】
(実施の形態4)
図4は本発明にかかわるパン及びチルト回転可能の雲台に複数の電子カメラを搭載した構造105でパン回転角をθp(1051)と図示している。同様に図5にチルト角をθt(105m)として図示している。
【0025】
(実施の形態5)
図6は本発明例で橋梁101の構造を示す。上部道路101b、橋梁下部構造体101c、橋梁下部の点検対象101dで構成される。自在アームの一部は省略しチルト軸が紙面平行の時の前記電子カメラ105を自在水平アーム104c上に置き、点検対象物101dを撮像調査する状態を示している。前記電子カメラは広角画角105e、ズーム画角105fを持ち、複数のレーザーポインタ105c−L、105c−Rを前記電子カメラ105aまたは105bの近傍に搭載しレーザーポインタの照射光軸105d−L、105d−Rを前記カメラの光軸に平行配置する構造を持つ。撮像された映像信号は映像信号A(105g)、映像信号B(105h)またはPIP信号105iが選択出力される。
【0026】
(実施の形態6)
図7は本発明例で橋梁101の構造を示す。上部道路101b、橋梁下部構造体101c、橋梁下部の点検対象101dで構成される。自在アームの一部は省略しチルト軸が紙面垂直の時の前記電子カメラ105を自在水平アーム104c上に置き、点検対象物101dを撮像調査する状態を示している。前記電子カメラは広角画角105e、ズーム画角105fを持ち、複数のレーザーポインタ105c−L、105c−Rを前記電子カメラ105a、105bの脇に搭載しレーザーポインタの照射光軸105d−L、105d−Rを前記カメラの光軸に平行配置する構造を持つ。撮像された映像信号は映像信号A(105g)、映像信号B(105h)またはPIP信号105iが選択出力される。
【0027】
(実施の形態7)
図8は本発明例で、信号回路系の構成ブロックを示す。信号系回路構成ブロックは撮像素子部を含むカメラヘッドユニット部と映像信号処理部、PIP処理エンコード部及び出力選択回路の4つのブロックとパン/チルト機構及びその制御部分で構成されている。この回路ブロックとは別に道路上部の移動車両操作部を有している。図8の発明例は2台の電子カメラによる回路構成例である。広角電子カメラ201とズーム電子カメラ202がパン/チルト機構203に搭載される。広角カメラ201の撮像素子204とズームカメラ202の撮像素子205はタイミングジェネレータTG206により同一クロックで駆動され同期した撮像を行う。前記の電子カメラは同期した映像信号を映像信号処理回路207に送出する。映像信号処理回路207は同期した広角カメラ及びズームカメラ撮像信号処理を行う。これら同期した映像信号をPIP(Picture In Picture)回路208で処理し、広角カメラ映像信号214、ズームカメラ映像信号216、並列表示や親映像と子映像のPIP表示を可能とするPinP信号215を出力選択回路209経由で送出する。出力選択回路209は橋梁上部の移動車両に搭載された外部のPCからの出力選択制御217によって映像信号を選択出力する。出力の映像信号はケーブル等その他通信手段によって伝送されるが映像出力を選択制御することで伝送路を削減することも可能となる。またズームカメラのズーミング制御210、パン及びチルトの制御211も前記外部のPC301から制御する。同様に前記電子カメラ部のパン及びチルト角はパン回転エンコーダ212、チルト回転エンコーダ212より前記雲台の動作状態を知ること出来、点検対象体の撮像方向を把握することが可能となる。
【0028】
(実施の形態8)
図9及び図10は本発明例での点検対象の撮像映像表示例である。点検撮像対象101dを図6に示すごとく前記電子カメラのチルト軸が紙面に平行で撮像したときの撮像例の表示である。図9の下段に前記電子カメラの広角カメラによる撮像対象の全体映像を表示器401に表示している。表示画面上に撮像対象403aの全体とレーザーポインタのビーム照射点404La、404Raも併せて表示されている。図3に示される如くレーザーポインタ105c−L、105c−Rは距離105i離間して配置され、それらの照射ビーム105d−L、105d−Rは前記電子カメラ光軸と平行であるから表示器401上の照射ビーム点間距離は常に一定である。この照射ビーム点間の映像画素数は画像処理から容易に得ることができる。撮像対象101dの大きさは、
101dの横寸法=101dの横方向の画素数/照射ビーム点間の映像画素数xレーザ ーポインタの離間配置距離
となる。このように点検対象101dの全体位置の把握とその寸法を知ることが出来る。図9の上部にズームカメラによる撮像対象の詳細映像を表示器402に表示している。図9上部の表示画面上に撮像対象403bの拡大映像とレーザーポインタのビーム照射点404Lb、404Rbも併せて表示されている。表示器402上の照射ビーム点404Lbと404Rbの距離は常に一定であるから、点検対象101dの詳細図と共にその形状寸法を得ることが可能となる。点検対象101dの大まかな大きさに応じて、図3におけるレーザーポインタ105c−L、105c−Rは距離105iを選択し離間配置することが必要とされる。図3においてのレーザーポインタ配置例として離間距離は、約100〜150mmに設定した。図10は図9下部の撮像対象全体の広角カメラ映像と図9上部の撮像対象詳細のズーム映像とをPIP機能により、1つの表示器501に並列配置表示した例である。
【0029】
(実施形態9)
図11及び図12は本発明例での点検対象の撮像映像表示例である。点検撮像対象101dを図7に示すごとく前記電子カメラのチルト軸が紙面に垂直平行で撮像したときの撮像例の表示である。図11の下段に前記電子カメラの広角カメラによる撮像対象の全体映像を表示器601に表示している。表示画面上に撮像対象603aの全体とレーザーポインタのビーム照射点604La、604Raも併せて表示されている。図3に示される如くレーザーポインタ105c−L、105c−Rは距離105i離間して配置され、それらの照射ビーム105d−L、105d−Rは前記電子カメラ光軸と平行であるから表示器601上の照射ビーム点間距離は常に一定である。この照射ビーム点間の映像画素数は画像処理から容易に得ることができる。撮像対象101dの大きさは、
101dの縦寸法=101dの縦方向の画素数/照射ビーム点間の映像画素数xレーザ ーポインタの離間配置距離
となる。このように点検対象101dの全体位置の把握とその寸法を知ることが出来る。図11の上部にズームカメラによる撮像対象の詳細映像を表示器602に表示している。図11上部の表示画面上に撮像対象603bの拡大映像とレーザーポインタのビーム照射点604Lb、604Rbも併せて表示されている。表示器602上の照射ビーム点604Lbと604Rbの距離は常に一定であるから。点検対象101dの詳細図と共にその形状寸法を得ることが可能となる。点検対象101dの大まかな大きさに応じて、図3におけるレーザーポインタ105c−L、105c−Rは距離105iを選択し離間配置することが必要とされる。図12は図11下部の撮像対象全体の広角カメラ映像と図11上部の撮像対象詳細のズーム映像とをPIP機能により、1つの表示器701に親画像と子画像をPIP配置表示した例である。図7の点検対象撮像では前記電子カメラはチルト角を持つ例で有るが、チルト角エンコーダデータよりチルト角度を取得可能であり、チルト角度による寸法補正が可能である。
【0030】
以上の構成により橋梁等構造物の点検に際し、点検対象物の全体位置と詳細部を同時に撮影し視認出来ると同時に形状寸法を把握し、点検対象の現場状態や異常状態の詳細を的確かつ迅速に判断することが出来る。また映像データ、寸法データを記録可能であり、調査点検資料作成にも即座に反映できる。
【符号の説明】
【0031】
100 構造物点検装置構成
101 橋梁
101a 橋梁柵
101b 橋梁部上面道路
101c 橋梁部下部構造体
101d 点検対象物
102 軽車両移動体
103 制御PC
104 自在アーム
104a 保持アーム
104b 水平アーム
104c 垂直アーム
104d 垂直アームの移動方向
104e 橋梁下部に水平アーム
104f 橋梁下部の水平アームの移動方向
105 電子カメラ
105a 広角カメラ
105b ズームカメラ
105c−L レーザーポインタ
105c−R レーザーポインタ
105d−L レーザーポインタの照射ビーム
105d−R レーザーポインタの照射ビーム
105e 広角カメラの画角
105f ズームカメラの画角
105g パン回転軸
105h チルト回転軸
105i レーザーポインタの配置距離
105j 広角カメラの光軸
105k ズームカメラの光軸
105l パン角度
105m チルト角度
200 信号回路系の構成ブロック
201 広角カメラ
202 ズームカメラ
203 パン/チルト機構
204 広角カメラ撮像素子
205 ズームカメラ撮像素子
206 タイミングジェネレータ TG
207 映像信号処理回路
208 PIP(PinP)回路
209 出力選択回路
210 ズームカメラのズーミング制御部
211 パン/チルト制御
212 パン回転エンコーダ
213 チルト回転エンコーダ
214 広角カメラ映像
215 PinP映像
216 ズームカメラ映像
217 出力選択制御信号
218 ズームカメラのズーミング制御信号
219 パン/チルト制御信号
220 パン回転エンコーダ信号
221 チルト回転エンコーダ信号
300 道路上部移動体部の制御PCブロック
301 制御PCブロック
302 表示器(ディスプレイ)
303 PC制御信号
304 映像信号
401 表示器
402 表示器
403a 点検対象物
403b 点検対象物
404La レーザーポインタの照射点(左側)
404Lb レーザーポインタの照射点(左側)
404Ra レーザーポインタの照射点(右側)
404Rb レーザーポインタの照射点(右側)
501 表示器
503a 点検対象物
503b 点検対象物
504La レーザーポインタの照射点(左側)
504Lb レーザーポインタの照射点(左側)
504Ra レーザーポインタの照射点(右側)
504Rb レーザーポインタの照射点(右側)
601 表示器
602 表示器
603a 点検対象物
603b 点検対象物
604La レーザーポインタの照射点(左側)
604Lb レーザーポインタの照射点(左側)
604Ra レーザーポインタの照射点(右側)
604Rb レーザーポインタの照射点(右側)
701 表示器
703a 点検対象物
703b 点検対象物
704La レーザーポインタの照射点(左側)
704Lb レーザーポインタの照射点(左側)
704Ra レーザーポインタの照射点(右側)
704Rb レーザーポインタの照射点(右側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高架構造物の下面点検を上部通路から移動して行う点検装置において上部通路の移動手段である車両台車に付設される水平垂直に移動及び回転可能である自在アーム構造を持ち、前記自在アームにパン方向及びチルト方向に回転制御可能な雲台上に複数の電子カメラを搭載することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記複数カメラはパン方向及びチルト方向に回転制御する可能な雲台上に一体に搭載され、そのカメラの一つは点検対象全体を撮像把握する広角カメラであり、他の少なくとも一つはズームカメラからなり、前記広角カメラとズームカメラの光軸は平行であることを特徴とする請求項1の装置。
【請求項3】
前記複数カメラのズーム電子カメラのズーミング制御と前記複数の電子カメラ搭載した雲台のパン方向及びチルト方向を回転制御する通信手段を持ち、その通信手段によって外部のPCからの命令でズームレンズのズーミングを制御すること、また前記複数電子カメラ搭載するパン方向及びチルト方向に回転制御を行うこと同時にズームレンズのズーミング状態のデータと前記雲台のパン方向及びチルトの方向の位置データを外部に出力する事を特徴とする請求項1または請求項2の装置。
【請求項4】
上部通路の移動手段である車両台車が軽車両であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の装置。
【請求項5】
前記複数電子カメラの映像出力は映像同期した信号であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の装置。
【請求項6】
前記複数電子カメラを搭載するパン方向及びチルト方向に回転制御可能な雲台に複数のレーザーポインターを装着し、前記ポインターのレーザー光束方向を複数カメラの撮像光軸に平行一致させて照射し点検対象物を計測する事を特徴とする請求項1乃至請求項5の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−231602(P2011−231602A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115772(P2010−115772)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(508129399)アドバス株式会社 (9)
【出願人】(504264816)ユタカ電建工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】