説明

標的タンパク質に対して活性である薬物候補が該タンパク質の変異体に対して活性であるか否かを決定するためのイン・ビトロ方法

本発明はウイルス学の分野に関する。さらに詳細には、本発明は、標的タンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定する方法を提供する(ここで、該試験化合物は、該タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られているものである)。本発明は、標的タンパク質に対して活性である薬物候補、例えば、抗ウイルス化合物(例えば、C型肝炎ウイルス:NS5B、NS3に対する化合物)が、該タンパク質の変異体(例えば、多型、遺伝子型、または突然変異体)に対して活性であるか否かを決定するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
技術分野
本発明はウイルス学の分野に関する。より正確には、本発明は、標的タンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定する方法を提供する(ここで、該試験化合物は、該タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られているものである)。本発明は、標的タンパク質に対して活性である薬物候補(例えば、抗ウイルス薬)が、該タンパク質の変異体に対して活性であるか否かを決定するのに有用である。
【0002】
背景技術
C型肝炎は、世界的な健康問題であり、世界中に1億7000万人の保菌者を有し、毎年300〜400万人の新たなケースを有する。この輸血後の非A非B型肝炎の原因であるウイルスは、フラビウイルス科(Flaviviridae)に属する一本鎖RNAウイルスであると1989年に同定された(Chooら、1989)。HCVの可能性ある自然な経過には、急性感染から長期感染への進行(患者の75〜85%)、長期疾患から肝硬変への進行(17〜20%)、および肝硬変から代償不全または肝細胞癌への進行(1〜5%)が含まれる(Mc Hutchison、2004、Walker、2002)。現在、標準的な介護は、インターフェロン、即ち、免疫調節および抗ウイルス活性を有するサイトカイン(Moussalliら、1998)と、リバビリン(Ribavirin)、即ち、合成グアノシンヌクレオシド類似体(Hugleら、2003)とを組合せることにある。HCV遺伝子型1a/1b(米国、日本および欧州に多い型)に感染した患者について、持続性のウイルス応答(抗ウイルス治療の24週間後に血清HCV RNAの減少)は、よくても42〜46%である(Walkerら、2002、Gordonら、2005、Lake-Bakaarら、2003)。その相対的に効果がないことに加え、この組合せ治療は重大な副作用を生じる(Fried Michael、2002)。新たな治療処方が求められており、研究者は、ウイルスのライフサイクルにおける特定の工程を阻害する薬剤の同定に焦点を当てている。
【0003】
ウイルスと細胞膜との相互作用および融合の際に、RNAゲノムが、新たに感染した細胞の細胞質中に放出され、RNA複製のための鋳型として働く。HCVゲノムの翻訳は、内部リボソーム侵入部位に依存し、大型のポリタンパク質を生じ、これがタンパク質分解によって切断されて10個のウイルスタンパク質を生じる。ポリタンパク質のアミノ末端の1/3は、構造タンパク質(コアタンパク質 糖タンパク質E1+E2)をコードしている。この構造領域の後に、小さい内在性タンパク質P7がある(これは、イオン化学物質として機能するようである)。ゲノムの残りは、非構造タンパク質NS2、N3、NS4A、NS4B、NS5A、およびNS5Bをコードし、これらは、ウイルスライフサイクルの細胞内過程を調整する(Lindenbachら、2005)。必須のウイルス酵素をブロックする抗ウイルス薬の開発は、新規な抗HCV薬剤の開発への直接的なアプローチである。理論的に全てのHCV酵素が治療介入に等しく適しているが、NS5B RNAポリメラーゼおよびNS3-4Aセリンプロテアーゼが、それぞれゲノム複製およびポリタンパク質プロセシングに重要であり、最も研究されていた。様々な生化学的イン・ビトロアッセイが開発され、スクリーニング操作に使用されている(Behrensら、1996、Luoら、2000、Ohら、1999、Lohmannら、1997、Yamashitaら、1998、Mc Kercherら、2004)。有用ではあるが、これらのアッセイは、生理学的な細胞内場面における酵素の活性と、阻害物質との相互作用を予測することができなかった。さらに、これらは、分子の生物学的利用能および毒性に関する情報を与えない。
【0004】
1999年まで、HCV薬物を見出すために、あらゆる細胞に基づくスクリーニング作業は、代用ウイルス系、例えばウシウイルス下痢症ウイルスによって行われていた。1999年に、R. Bartenschlagerの研究室がHCVレプリコン系を開発した場合に、HCV RNA複製の研究において大きな進展が生じた(Lohmannら、1999)。ジシストロン性の選択可能なサブゲノムHCVレプリコンであるイン・ビトロHCV RNA複製系において、伝統的な標的(例えば、NS3プロテアーゼ、ヘリカーゼ、およびNS5Bポリメラーゼ)の阻害物質の効果を試験することが可能になった(Bartenschlagerら、2002)。選択可能およびレポーター選択可能なレプリコンの第1世代は、それぞれスクリーニングに使用する作業集約的な定量RT-PCR法および低いシグナル/ノイズ比のゆえに、高処理量スクリーニングを行うことに貢献しなかった。さらに、この系は、細胞培養物適応突然変異を必要とし、なおシグナル窓の改善を必要とする(Blightら、2000、Kriegerら、2001)。最近の刊行物は、スクリーニングプラットホーム(Bourneら、2005、Zuckら、2004、O'Boyleら、2005)としてレプリコンアッセイ制限の相当な改善(Haoら、2006)を報告しており、レプリコンにおけるスクリーニングから顕になったいくつかの化合物が開発の臨床相にある。しかし、レプリコンアッセイは、単一標的アッセイではないままである。
【0005】
HCVはインビボで高い突然変異率を示すので、臨床評価されている分子の一部が、既に酵素特異的な突然変異を誘発し、これが、使用した阻害物質に対する感受性の低下を導くことは驚くべきことではなかった(Sarrazinら、2007)。即ち、抗HCV薬物の耐性プロファイル研究が、その最適化および長期的な臨床成功のために必須のようである。いくつかの異なるウイルス単離体から組換えNS5Bポリメラーゼを得るための努力が為されているが、生理学的関連性の問題に直面している。臨床的に関連するウイルス単離体からの新規レプリコが研究されているが、遺伝子型1および2に、およびある種の細胞クローンになお限定されている。耐性表現型において観察された突然変異の関与は、さらなる研究を必要とすることが多い(Trozziら、2003、Nguyenら、2003)。これらの技術的制限を知ると、抗HCV活性評価および耐性プロファイリングのための細胞スクリーニングプラットホームが緊急に必要とされている。これが本発明の目的である。
【0006】
ここに、本発明者らは、M. Mehtali(国際公開第2006/046134号パンフレット)によって開発された細胞に基づくアッセイが、阻害物質に結合した場合の標的HCVポリメラーゼおよびプロテアーゼにおける立体配座変化を検出しうることを示した。この細胞に基づくアッセイ(3Dスクリーンプラットホームと命名した)は、2-ハイブリッド系を用いてリガンド化されていない標的を特異的に結合し、標的と3Dセンサーペプチドとの間の相互作用を解離させる分子のスクリーニングを可能にする短いペプチドを同定することに基づくものである。また、本発明者らは、このHTS適合性アッセイは、HCV特異的な抗NS5B分子の迅速同定を可能にするが、それに加えて、耐性突然変異体プロファイリングを行うのに十分感受性であることを示す。
【0007】
最近の研究は、NS5Bの阻害物質として働く不自然なペプチド(Aminら、2003)を報告しているが、薬物を見出すためのツールとして使用されていなかった。いくつかの研究は、ファージ親和性選択を用いて、エストロゲン受容体の立体配座に感受性であるペプチドを同定した(Paigeら、1999)。別の特許(国際公開第02/004956号パンフレット)は、エストラジオール受容体のリガンド化された形態へのいくつかのペプチドの結合(Fowlkesら、2002)を利用して、物質の生物学的活性を、そのペプチド「指紋」を既知の参照リガンドのものと比較することによって予測した。ごく最近の刊行物には、標的受容体を認識しうるペプチドリガンドをスクリーニングするためのFRET-ハイブリッド相互作用法が報告された(Youら、2006)。しかし、本発明者らの知る限りでは、「感知される」HCVポリメラーゼおよびプロテアーゼ標的タンパク質ならびにこれらの変異体に対する薬物をスクリーニングするための3Dセンサーとしてペプチドを使用した報告は存在しなかった。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、標的タンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定するイン・ビトロ方法であって、リガンドが該標的タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られており、以下の工程を含んでなる方法を提供する:
工程(A):該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する少なくとも一つの結合ペプチドを選択し、以下の工程を含んでなる方法:
(A1)ペプチドの組合せライブラリーを供し、該結合ペプチドが該ライブラリーの構成要素であり、該ライブラリーは多数の細胞において発現され、該細胞が該ライブラリーの全構成要素を共同で発現する工程、
(A2)該ライブラリーを、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する該ライブラリーの構成要素の能力についてスクリーニングし、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合するペプチドを選択する工程、
工程(B):工程(A2)で選択したペプチドの中から、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質に結合する能力が減少するまたは該能力を持たず、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質の変異体に結合する能力が保存された少なくとも一つの結合ペプチドを選択する工程、
工程(C):工程(B)で選択したペプチドの該標的タンパク質への結合を減少させる能力について試験化合物を試験および選択し、結合能力の減少または非存在は、試験化合物が標的タンパク質の立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示す工程、および
工程(D):工程(B)で選択したペプチドの、該標的タンパク質の変異体への結合能力を調節する能力について(C)で選択した試験化合物を試験し、
−結合の減少または非存在が、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示し、該標的タンパク質の変異体が該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性ではなく、
−保存された結合は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発しないことを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節しないことを示し、該標的タンパク質の変異体は該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性である工程。
【0009】
記述の残りについては、以下の図面の説明が参照されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】NS5BΔ21と相互作用する立体配座感受性ペプチドの同定(a)酵母2-ハイブリッド系においてNS5BΔ21と相互作用するペプチドの単離 バイト(bait)(NS5BΔ21-LexA)を保持する酵母細胞を、ランダムペプチドのライブラリー(ウイルスVP16活性化ドメインを有する枠内)で示されるプレイ(prey)で形質転換した。選択培地において増殖し、青色に染まるコロニーが、ポリメラーゼと特異的に相互作用する個々のペプチドの単離を可能にした。(b)立体配座感受性ペプチドの単離 次いで、相互作用しているペプチドを、バイトNS5Bにおいて立体配座変化を誘発することが知られているリガンドの存在下において試験した。即ち、「3Dセンサー」を、標的ポリメラーゼへのその結合が既知の抗NS5Bによって妨げられているものとして同定した。対応するコロニーは、選択遺伝子またはレポーター遺伝子の発現を全く示さなかった。(c)スポット試験におけるNS5BΔ21「3Dセンサー」の特性化 ここで、二つの選択した酵母コロニーが示された。一方は、以前に単離されたERおよびその特異的ペプチド(No.30-2と称する)を保持し、これを対照として使用し、他方は、NS5BΔ21およびその特異的ペプチド(N21C272と称する)を保持した。両クローンを、ヒスチジン、ロイシンおよびトリプトファンを欠く選択培地にスポッティングし、ポリメラーゼリガンドを追加または追加せず、X-Gal染色を重ねた。NS5BΔ21+N21C272クローンを、NS5Bリガンドの非存在下において選択培地において増殖させ、LacZに対して陽性に染色した。同じ培養物に由来するコロニーは、変化量の特異的NS5Bインヒビター(ベンゾチアジアジン CVVS023477)を含む選択培地において増殖を示さなかった。非特異的ウイルスポリメラーゼインヒビター[フォスカーネット(Foscarnet)、PAA]または非関連リガンド(エストラジオール)は、増殖またはLacZ染色に対して効果を示さなかった。本発明における対照クローン(ER陽性の特異的3DセンサーNo.30.2)は、その対応する特異的リガンド(エストラジオール)に対しては感受性であったが、NS5Bまたは他のウイルスポリメラーゼインヒビターに対しては感受性ではなかった。
【図2A】哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS5BΔ21)、および(iii)複合体[NS5BΔ21/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。図2A:ベンゾサイアジアザイド薬物を用いて酵母において分離される3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 薬物の非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定(n=4)が、参照薬物cVVS-023477を用いて酵母において分離される16の3Dセンサーに対して示されている。三つのプラスミドを保持する細胞は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を、試験したペプチドの6つに対して、20より大きいシグナル/バックグラウンド比で示した。
【図2B】哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS5BΔ21)、および(iii)複合体[NS5BΔ21/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。図2B:参照ベンゾサイアジアザイド薬物に対して最も強力な3Dセンサーの反応性 ベンゾサイアジアザイドNS5B特異的リガンドcVVS-023477の存在下においてのルシフェラーゼ阻害の割合(%)(n=4)が、最良のルシフェラーゼ活性化(20より大きいシグナル/バックグラウンド比)を与える6つの3Dセンサーに対して示されている。3DセンサーN21C272を、特異的な抗NS5Bによる解離に対する比較的良好な応答性(1uM最終濃度で51%ルシフェラーゼ阻害および10uM最終濃度で90%)および最小のデータ変動のために選択した。
【図2C】哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS5BΔ21)、および(iii)複合体[NS5BΔ21/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。図2C:インドール薬物を用いて酵母において分離される3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 薬物の非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定(n=3)が、参照薬物cVVS-023476を用いて酵母において分離される22の3Dセンサーに対して示される。三つのプラスミドを保持する細胞は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を、試験したペプチドの8つに対して、20より大きいシグナル/バックグラウンド比で示した。
【図2D】哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS5BΔ21)、および(iii)複合体[NS5BΔ21/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。図2D:インドールおよびベンゾサイアジアザイド参照薬物に対して最も強力な3Dセンサーの反応性 インドールアセトアミドNS5B特異的リガンドcVVS-023476またはベンゾサイアジアザイドNS5B特異的リガンドcVVS-023477の存在下においてのルシフェラーゼ阻害の割合(%)(n=3)が、最良のルシフェラーゼ活性化(20より大きいシグナル/バックグラウンド比)を与える8つの3Dセンサーに対して示される。
【図3A】標的に対する選択した3Dセンサーの選択性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3Dセンサー、および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体のいずれかを発現するベクターにより一時的にトランスフェクトした。リガンドの非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定が示される。図3A:天然NS5Bまたは構造不安定化突然変異体の存在下においての3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 薬物の非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定は、3DセンサーN21C272との間の相互作用が、Labonte P.(2002)により記載されるL30SおよびL30R立体配座不安定化突然変異体を用いて起こらなかったことを示した。
【図3B】標的に対する選択した3Dセンサーの選択性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3Dセンサー、および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体のいずれかを発現するベクターにより一時的にトランスフェクトした。リガンドの非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定が示される。図3B:様々な耐性突然変異体の存在下においての選択した3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 3DセンサーN21C272は、試験した12種の薬物耐性突然変異体のうち10種に結合した:ベンゾチアジアジンに耐性であると記載されているM414T、S286AおよびC316Y突然変異体、インドール耐性突然変異体P495L、チオフェンズ(Tiophens)耐性突然変異体S419MおよびM423T、2'-ヌクレオシド類似体耐性突然変異体S282T、S96T、およびN142T、ならびに、ジヒドロキシピリミジンに耐性であるG152E突然変異体。
【図4】3Dスクリーンプラットホームにおける薬物の作用特異性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272および融合タンパク質NS5BΔ21-Gal4により一時的にトランスフェクトし、次いで特異的または非特異的リガンドのいずれかを用いて24時間インキュベートした。得られたルシフェラーゼ発現の阻害率(%)を、等量の溶媒(DMSO)に対して算出した。NS5B特異的インヒビターcVVS-023477[ベンゾチアジアジン(Pratt JK、2005)]は、10μM最終濃度においてルシフェラーゼシグナルの強力な阻害を誘発し(83.2%±7.5、n=15)、一方、別の特異的NS5BインヒビターcVVS-023476[インドール-N-アセトアミド(Harper S、2005)]は、1μM最終濃度から始まって顕著な効果を示した(67%±8.3、n=6)。フォスカーネットまたはホスホノ酢酸などの非特異的リガンドは、10μM濃度において有意のシグナル阻害を生じなかった(それぞれ、11.7%±4および−2.2%±33.8、N=3)。別の重要な陰性対照はリバビリンであり、その推定される作用機序は直接的なNS5B阻害に関連しないようであるが(Lohmann V、2000、Maag D、2001)、それは75μM最終濃度において本発明の系に顕著な効果を示さなかった(阻害8.7%±16.3、n=6)。
【図5】NS5Bリガンドに対する濃度-応答の関係。ルシフェラーゼ阻害の割合(%)が、増加濃度のcVVS023477またはcVVS023476のいずれか(0〜100μMの最終濃度)の存在下において24時間インキュベートした後の、レポータールシフェラーゼ、NS5BΔ21-Gal4融合タンパク質および3DセンサーN21C272-VP16をコードするプラスミドでトランスフェクトされた細胞に対して示されている。得られた曲線は、Michaelis-Mentenモデルに一致する双曲線関係を示した。
【図6A】参照薬物に対する突然変異体3Dスクリーンプラットホームの反応性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272、および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体(Gal4DNA結合ドメインと枠内で融合させた)のいずれかを発現するベクターにより一時的にトランスフェクトした。レポーター阻害の割合(%)が、特異的NS5Bインヒビターを増加濃度で用いて24時間インキュベートした細胞に対して示される。図6A:ベンゾサイアジアザイド化合物に対する異なる突然変異体3Dスクリーンプラットホームの反応性 天然NS5Bあるいはベンゾサイアジアザイド感受性突然変異体P495L、S423M、またはS282Tのいずれかを発現する細胞に対して、ベンゾサイアジアザイド化合物は、IC50が2〜5μMで同様のルシフェラーゼ阻害を生じた(n=2)。他方、同じ化合物は、ベンゾサイアジアザイド耐性突然変異体M414T、S368A、またはG316Yでトランスフェクトした細胞に対して、顕著なレポーター阻害を示さなかった。
【図6B】参照薬物に対する突然変異体3Dスクリーンプラットホームの反応性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272、および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体(Gal4DNA結合ドメインと枠内で融合させた)のいずれかを発現するベクターにより一時的にトランスフェクトした。レポーター阻害の割合(%)が、特異的NS5Bインヒビターを増加濃度で用いて24時間インキュベートした細胞に対して示される。図6B:インドール化合物に対する異なる突然変異体3Dスクリーンの反応性 天然NS5Bあるいはインドール感受性突然変異体のいずれかを発現する細胞に対して、インドール-N-アセトアミド化合物は、IC50が0.2〜2μMで生成したシグナルを阻害したが、インドールに対して耐性であると記載されたP495Lに対しては阻害しなかった(そのIC50は少なくとも10倍高い)(n=2)。当業者なら、図6Aに示されるベンゾチアジアジンに耐性である3種類の突然変異体が、他のインドール感受性突然変異体のようにインドール作用に反応することに気付くであろう。
【図7】アッセイのシグナル窓。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体のいずれかを発現するベクターで一時的にトランスフェクトした。特異的リガンドの存在下または非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定が示されている。天然NS5BΔ21および3Dセンサー-VP16を含まない骨格ベクターでトランスフェクトされた細胞によって放出されるバックグラウンドシグナルは、7182RLU±6643(n=17)であり、一方、等価なバックグラウンドシグナルが、3Dセンサーの存在下において変性NS5B(Labonteら、2002により記載されたL30SおよびL30A立体配座不安定化突然変異体)を用いて得られた(それぞれ、7636RLU±5932、n=5および3100RLU±1610、n=3)。別のバックグラウンドシグナルは、高濃度(毒性濃度ではない)(100μM)の抗NS5B cVVS-023477による最大阻害後に得られる残留ルシフェラーゼ発現とみなすことができる。これは、78947RLU±3071、n=7であり、未阻害シグナル(115,271RLU±60,800、n=22)よりもはるかに低い。異なるバックグラウンドシグナルはむしろ等価であり、算出したシグナル/バックグラウンドは、必要な最少3に対して16に達した。
【図8A】偽HTS実施の統計学的分析。Hela細胞を、3種類の3Dスクリーンベクターでトランスフェクトし、次いで、20の96ウエルプレートにプレーティングしてHTS実施を模倣した。細胞を、参照薬物を含むかまたは含まずに24時間インキュベートした。図8A:シグナル(0.5%DMSOとともにインキュベートした細胞)のバックグラウンド(100μM最終濃度で参照薬物cVVS-023477を添加した後の残留シグナル)に対する比を、各96ウエルプレートに対して、三つの独立した実験で示す。
【図8B】偽HTS実施の統計学的分析。Hela細胞を、3種類の3Dスクリーンベクターでトランスフェクトし、次いで、20の96ウエルプレートにプレーティングしてHTS実施を模倣した。細胞を、参照薬物を含むかまたは含まずに24時間インキュベートした。図8B:0.5%DMSOとともにインキュベートした細胞に対して測定した阻害シグナルの変動の係数を、各96ウエルプレートに対して、三つの独立した実験で示す。
【図8C】偽HTS実施の統計学的分析。Hela細胞を、3種類の3Dスクリーンベクターでトランスフェクトし、次いで、20の96ウエルプレートにプレーティングしてHTS実施を模倣した。細胞を、参照薬物を含むかまたは含まずに24時間インキュベートした。図8C:Z因子を、各96ウエルプレートに対して、三つの独立した実験で算出した。最大シグナルは、0.5%DMSOとともにインキュベートした細胞に対して測定され、最少シグナルは、50μM最終濃度で参照薬物cVVS-023477を添加した後に測定された。
【図9A】標的NS4A-NS3プロテアーゼに対する哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS4A-NS3プロテアーゼ)、および(iii)複合体[NS4A-NS3プロテアーゼ/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。図9A:ペプチド模倣薬物を用いて酵母において分離される3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 薬物の非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定(n=3)が、参照薬物cVVS-023518を用いて酵母において分離される16の3Dセンサーに対して示される。三つのプラスミドを保持する細胞は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を、試験したペプチドの四つに対して、23より大きいシグナル/バックグラウンド比で示した。
【図9B】標的NS4A-NS3プロテアーゼに対する哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS4A-NS3プロテアーゼ)、および(iii)複合体[NS4A-NS3プロテアーゼ/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。図9B:参照ペプチド模倣薬物に対する最も強力な3Dセンサーの反応性 ペプチド模倣NS3特異的リガンドcVVS-023518の存在下においてのルシフェラーゼ阻害の割合(%)(n=3)が、最良のルシフェラーゼ活性化(10より大きいシグナル/バックグラウンド比)を与える四つの3Dセンサーに対して示される。3DセンサーV7-62を、比較的高いルシフェラーゼ活性化、特異的な抗NS3による解離に対する比較的良好な応答性および最小のデータ変動のために選択した。
【図10A】標的NS4A-NS3完全長に対する哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS4A-NS3完全長)、および(iii)複合体[NS4A-NS3完全長/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。図10A:ペプチド模倣薬物を用いて酵母において分離される3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化 薬物の非存在下においてのルシフェラーゼ発現の測定(n=2)が、参照薬物cVVS-023518を用いて酵母において分離される16の3Dセンサーに対して示される。三つのプラスミドを保持する細胞は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を、試験したペプチドの8つに対して、16より大きいシグナル/バックグラウンド比で示した。
【図10B】標的NS4A-NS3完全長に対する哺乳動物細胞における3Dセンサーの検証。Hela細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合され酵母において分離される3Dセンサー、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DBDに融合したNS4A-NS3完全長)、および(iii)複合体[NS4A-NS3完全長/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドにより同時トランスフェクトした。図10B:参照ペプチド模倣薬物に対する最も強力な3Dセンサーの反応性 ペプチド模倣NS3特異的リガンドcVVS-023518の存在下においてのルシフェラーゼ阻害の割合(%)(n=2)が、最良のルシフェラーゼ活性化(10より大きいシグナル/バックグラウンド比)を与える四つの3Dセンサーに対して示される。3DセンサーH5-34を、比較的高いルシフェラーゼ活性化、特異的な抗NS3による解離に対する比較的良好な応答性および最小のデータ変動のために選択した。
【図11】3Dスクリーンプラットホームを用いる薬物の選択性決定。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーターおよびNS5BまたはNS3標的のそれぞれ(その特異的3Dセンサーと一緒に)で一時的にトランスフェクトした。増加濃度の特異的NS5BインヒビターcVVS-023476(インドール-N-アセトアミド)の添加は、NS5Bプラットホームにおいてのみ、強力な阻害を誘発した。また、特異的NS3インヒビターcVVS-023518は、有意に標的効果をなくすことなく、NS3プロテアーゼおよび完全長プラットホームを阻害した。
【図12A】NS3に対する耐性突然変異体の存在下においての選択した3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化。図12A:NS4A-NS3プロテアーゼに対する耐性突然変異体の存在下においての選択した3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化(n=2)3DセンサーV7-62と天然またはA156V突然変異NS4A-NS3プロテアーゼのいずれかの間の相互作用は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた(それは、突然変異形態に対して比較的低いものであるとしても、3Dセンサー-VP16ADを含まないバックグラウンドルシフェラーゼ活性の33倍であり、それに対し、天然のものに対しては80倍である)。
【図12B】NS3に対する耐性突然変異体の存在下においての選択した3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化。図12B:NS4A-NS3完全長に対する耐性突然変異体の存在下においての選択した3Dセンサーによるルシフェラーゼ活性化(n=2)3DセンサーH5-34と天然またはA156V突然変異NS4A-NS3完全長タンパク質のいずれかの間の相互作用は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた(天然タンパク質に対しては、3Dセンサー-VP16ADを含まないバックグラウンドルシフェラーゼ活性の42倍であり、それに対し、突然変異したものに対しては56倍である)。
【図13】ペプチド模倣参照薬物cVVS-023518に対する突然変異3Dスクリーンプラットホームの反応性。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、選択した3Dセンサーおよび天然NS3または耐性突然変異体(Gal4 DNA結合ドメインと枠内で融合させた)のいずれかを発現するベクターにより一時的にトランスフェクトした。レポーター阻害の割合(%)が、増加濃度の特異的NS3インヒビターとともに24時間インキュベートした細胞に対して示される。ペプチド模倣化合物は、天然NS4A-NS3プロテアーゼおよび完全長に対して強力なレポーター阻害を生じたが、同じ化合物は、耐性突然変異体A156Vでトランスフェクトした細胞に対しては、顕著なレポーター阻害を示さなかった。
【図14】VF-9A11ペプチドと、NS4A-NS3完全長タンパク質との異なる変異体の間の相互作用時のルシフェラーゼ活性化。3DセンサーVF-9A11と、天然または突然変異NS4A-NS3完全長タンパク質とのいずれかの間の相互作用は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた。シグナルは、R155K突然変異タンパク質を除く全ての試験した変異体に対して、バックグラウンドを超える(3を大きく超える)。
【図15】3Dスクリーン-NS4A-NS3完全長タンパク質突然変異体プロファイリングプラットホームに類似したcVVS-023518ペプチドの耐性プロファイリング。天然3Dスクリーンプラットホームは、化合物の阻害に感受性であり、文献にそのように記載されているD168VおよびR109Kも同様である。cVVS-023518に高耐性であると記載されている突然変異体A156VおよびA156Tは、3Dスクリーンプラットホームにおいて予測されるプロファイルを示す。また、ペプチド模倣cVVS-023518に中耐性であることが知られているA156S、T54A、およびV36Mも、3Dスクリーンプラットホームにおいて、野生型NS3と比較してEC50値の中程度の倍数増加を示す。
【図16】他のアッセイと比較した3Dスクリーン-NS4A-NS3完全長タンパク質プラットホームを用いるペプチド模倣cVVS-023518の耐性プロファイリング(突然変異体-対-野生型のタンパク質において得られるEC50値の倍数増加として表す)。3Dスクリーン突然変異体プロファイリングプラットホームは、Telaprevirに対して酵素またはレプリコンに基づくアッセイを用いて文献に報告されている結果と同じ範囲の結果を示す。
【図17】3Dスクリーン-NS4A-NS3完全長タンパク質突然変異体プロファイリングプラットホームを用いるペプチド模倣cVVS-023951の耐性プロファイリング。この化合物は、3Dスクリーンプラットホームにおいて、文献に報告されているものと同じ範囲において活性であり、感受性であると記載されているA156SおよびV36M変異体においても同様である。高耐性の突然変異体A156VおよびD168Vは、予測される化合物阻害活性に高耐性を示した。
【図18】他のアッセイと比較した3Dスクリーン-NS4A-NS3完全長タンパク質プラットホームを用いるペプチド模倣cVVS-023951の耐性プロファイリング(突然変異体-対-野生型のタンパク質において得られるEC50値の倍数増加として表す)。3Dスクリーン突然変異体プロファイリングプラットホームは、Ciluprevirに対して酵素またはレプリコンに基づくアッセイを用いて文献に報告されている結果と同じ範囲の結果を示す。
【図19】二つの異なる遺伝子型に由来するNS5B標的に対するインドール参照薬物への最も強力な3Dセンサーの反応性(n=3)。インドールアセトアミドNS5B特異的リガンドcVVS-023476の存在下においてのルシフェラーゼ阻害の割合(%)が、NS5B(遺伝子型1aおよび1b由来)を標的とするN21I4ペプチドに対して示される。
【発明の具体的説明】
【0011】
好ましくは、試験化合物は、薬学的に許容しうる小さい有機分子、例えば、2000ダルトン未満、好ましくは1000ダルトン未満、より好ましくは800ダルトン未満、より好ましくは500ダルトン未満の分子量を有する分子である。試験化合物は、好ましくは、組合せライブラリーとして合成するのになじみやすい化学群のものである。本発明の方法によって選択される試験化合物には、標的タンパク質を特異的に結合する能力を有するものとして既に同定されている物質に類似しているか、または「リガンド様」である物質、例えば、問題にしているタンパク質の潜在的な薬理学的アゴニスト、アンタゴニスト、コアクチベーター、およびコインヒビターが含まれる。このような「リガンド様」試験化合物は、既知のタンパク質リガンドに対して類似した作用機序および類似した生物学的活性を有することができ、既知のタンパク質リガンドの潜在的な副作用を有する(アゴニストまたはアンタゴニスト)。さらに重要なことには、本発明の方法によって選択される試験化合物には、標的タンパク質を特異的に結合する能力を有するものとして既に同定されている物質に類似していない物質が含まれる。これは、本発明の方法が、天然の立体配座にある結合ペプチドを、先行技術の方法に反して同定したためである。このリガンド様分子ではない後者化合物は、既知のタンパク質リガンドと比較して、異なる生物学的および薬理学的特性を有することが予測される。また、試験化合物は、本発明の方法によって同定された結合ペプチドまたはその変異体、あるいは該結合ペプチドに似た化学分子であってもよい。本発明の試験化合物は、当業者によって知られる異なるイン・ビトロアッセイ、例えば、特許文献国際公開第2006/046134号パンフレット(2006年5月4日公開)の特に実施例4および5に記載されている細胞に基づくアッセイなどによって、化学分子のライブラリーにおいて以前に同定されていてもよい。また、本発明は、本発明の方法によって選択された試験化合物にも関する。
【0012】
本発明の標的タンパク質は、ウイルス、微生物(細菌、菌類、藻類、および原生動物を含む)、無脊椎動物(昆虫および蠕虫を含む)、動物、特に脊椎動物(特に、哺乳動物、鳥類または魚類、哺乳動物の中では、特に、ヒト、類人猿、サル、ウシ、ブタ、ヤギ、ラマ、ヒツジ、ラット、マウス、ウサギ、モルモット、ネコ、およびイヌ)の正常または病的細胞、あるいは、植物の正常または病的細胞を含むあらゆる天然供給源からの天然物質またはそのサブユニットもしくはドメインであってよい。また、標的タンパク質は、イン・ビトロで創製または修飾された非天然タンパク質、例えば、突然変異タンパク質、キメラタンパク質、または人工タンパク質であってもよい。標的タンパク質は、糖タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、または金属タンパク質であってよい。それは、核、細胞質、膜、または分泌タンパク質であってよい。また、本発明の対象は、標的タンパク質が、タンパク質である代わりに、巨大分子の核酸、脂質、または炭水化物であってよいことである。それが核酸である場合、それはリボ核酸またはデオキシリボ核酸であってよく、また、一本鎖または二本鎖であってよい。標的タンパク質は、単一の巨大分子である必要はない。標的タンパク質は、巨大分子のホモまたはヘテロマルチマー(ダイマー、トリマー、テトラマー、・・・)であってよい。さらに、標的タンパク質は、結合パートナー、例えば、タンパク質、オリゴまたはポリペプチド、核酸、炭水化物、脂質、あるいは小さい有機または無機分子またはイオンを必要とすることもある。その例には、補因子、リボソーム、ポリソーム、およびクロマチンが含まれる。
【0013】
標的タンパク質の生物学的活性は、特定の活性、例えば、受容体または酵素活性に限定されない。標的タンパク質の非限定的な例には、核受容体、オーファン核受容体、チロシンキナーゼ受容体、Gタンパク質結合受容体、エンドテリン、エリトロポエチン受容体、FASリガンド受容体、タンパク質キナーゼ(タンパク質キナーゼC、チロシンキナーゼ、セリンキナーゼ、トレオニンキナーゼ、ヌクレオチドキナーゼ、ポリヌクレオチドキナーゼ)、タンパク質ホスファターゼ(セリン/トレオニンホスファターゼ、チロシンホスファターゼ、ヌクレオチドホスファターゼ、酸ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、ピロホスファターゼ)、細胞周期調節剤(サイクリンcdk2、CDC2、CDC25、P53、RB)、GTPアーゼ、Rac、Rho、Rab、Ras、エンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、メタロプロテアーゼ、セリンプロテアーゼ、システインプロテアーゼ、ヌクレアーゼ、ポリメラーゼ、逆転写酵素、インテグラーゼ、イオンチャンネル、シャペロニン(即ち、熱ショックタンパク質)、デアミナーゼ、ヌクレアーゼ(即ち、デオキシリボヌクレアーゼ、リボヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ)、テロメラーゼ、プリマーゼ、ヘリカーゼ、デヒドロゲナーゼ、トランスフェラーゼ(ペプチジルトランスフェラーゼ、トランスアミナーゼ、グリコシルトランスフェラーゼ、リボシルトランスフェラーゼ、アセチルトランスフェラーゼ、グアニリルトランスフェラーゼ、メチルトランスフェラーゼ、・・・)、ヒドロラーゼ、カルボキシラーゼ、イソメラーゼ、グリコシダーゼ、デアミナーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、スルファターゼ、セルラーゼ、リアーゼ、レダクターゼ、リガーゼなどが含まれる。
【0014】
本発明の標的タンパク質は、ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、植物タンパク質、動物タンパク質、およびヒトタンパク質の中から選択される構造および非構造タンパク質であってよい。好ましい態様において、標的タンパク質はウイルスタンパク質である。該ウイルスタンパク質は、好ましくはC型肝炎ウイルスタンパク質、より好ましくは、コアタンパク質、糖タンパク質E1およびE2、NS1、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5Bの中から選択されるC型肝炎ウイルスタンパク質である。好ましくは、C型肝炎ウイルスタンパク質はNS5BおよびNS3である。従って、本発明は、コアタンパク質、糖タンパク質E1およびE2、NS1、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5Bの中から、より好ましくはダイマーNS4A-NS3完全長タンパク質、またはNS4A-NS3プロテアーゼタンパク質、またはNS5Bの中から選択されるC型肝炎ウイルスタンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定するイン・ビトロ方法であって、リガンドが該標的タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られており、以下の工程を含んでなる方法に関する:
工程(A):該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する一つの結合ペプチドを選択し、以下の工程を含んでなる方法:
(A1)ペプチドの組合せライブラリーを供し、該結合ペプチドが該ライブラリーの構成要素であり、該ライブラリーが多数の細胞において発現され、該細胞が該ライブラリーの全構成要素を共同で発現する工程、
(A2)該ライブラリーを、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する該ライブラリーの構成要素の能力についてスクリーニングし、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合するペプチドを選択する工程、
工程(B):工程(A2)で選択したペプチドの中から、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質に結合する能力が減少するまたは該能力を持たず、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質の変異体に結合する能力が保存された少なくとも一つの結合ペプチドを選択する工程、
工程(C):工程(B)で選択したペプチドの該標的タンパク質への結合を減少させる能力について試験化合物を試験および選択し、結合能力の減少または非存在が、試験化合物が標的タンパク質の立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示す工程、および
工程(D):工程(B)で選択したペプチドの、該標的タンパク質の変異体への結合能力を調節する能力について(C)で選択した試験化合物を試験し、
−結合の減少または非存在が、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示し、該標的タンパク質の変異体が該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性ではなく、
−保存された結合は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発しないことを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節しないことを示し、該標的タンパク質の変異体が該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性である工程。
【0015】
該ウイルスタンパク質は、好ましくはインフルエンザウイルスタンパク質であり、好ましくはノイラミニダーゼ、M2タンパク質、およびヘマグルチニンの中から選択される。該ウイルスタンパク質は、好ましくはレンチウイルスタンパク質、例えばヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質であり、逆転写酵素、インテグラーゼ、プロテアーゼ、TAT、NEF、REV、VIF、Vpu、Vprの中から選択される。該ウイルスタンパク質は、好ましくはヒト呼吸器多核体ウイルスタンパク質であり、好ましくはタンパク質N、F、およびGの中から選択される。該ウイルスタンパク質は、好ましくはB型肝炎ウイルスタンパク質であり、好ましくはポリメラーゼである。
【0016】
第2の好ましい態様において、該タンパク質は受容体である。用語「受容体」には、表面および細胞内受容体の両方が含まれる。核受容体が特に重要である(特にヒト核受容体)。核受容体(NR)はこれまでに記載されている。(NR)は、リガンド活性化される転写アクチベーターのファミリーである。これらの受容体は、リガンド結合、二量化、トランス活性化、およびDNA結合のための別個のドメインに組織化されている。ステロイド受容体ファミリーは、グルココルチコイド、電解質コルチコイド、アンドロゲン、プロゲスチン、およびエストロゲンのための受容体から構成される大きいファミリーである。受容体の活性化はリガンド結合時に起こり、この結合が立体配座変化を誘発し、受容体二量化および共活性化タンパク質の結合を可能にする。次いで、これらのコアクチベーター(共活性化物質)は、受容体のDNAへの結合およびその後の標的遺伝子の転写活性化を容易にする。共活性化タンパク質の補充に加えて、リガンドの結合は、受容体を、受容体機能の共抑制物質として働くタンパク質の結合を移しかえるまたは妨げる立体配座に置くものとも考えられる。リガンドが薬理学的アゴニストである場合、新たな立体配座は、生物学的シグナル変換経路の他の成分(例えば、転写因子)と相互作用して、標的組織における生物学的応答を誘導する配座である。リガンドが薬理学的アンタゴニストである場合、新たな立体配座は、受容体が一つまたはそれ以上のアゴニスト(これは、他では該受容体を活性化することができる)によって活性化されることができない配座である。NRの完全ではないリストが国際公開第2006/046134号パンフレット(第14および15頁、および図1を参照)に記載されている。NRは、好ましくは、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、グルココルチコイド受容体、レチノイン酸受容体アルファ(RARα)、レチノイドX受容体(RXR)、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、肝臓X受容体アルファ(LXRα)の中から選択される。
【0017】
好ましい態様によれば、本発明の標的タンパク質および標的タンパク質の変異体は、天然の立体配座にある。好ましくは、本発明の方法の工程(A)、(B)、(C)、および(D)を、天然の立体配座にある標的タンパク質および標的タンパク質の変異体を用いて行う。天然の立体配座とは、タンパク質が、その天然リガンドにリガンド化されていないことを意味する。リガンドは、標的タンパク質に結合し、従ってアゴニストおよびアンタゴニストの両方を包含する物質である。しかし、標的タンパク質を結合するが、受容体をアゴナイズもアンタゴナイズもしないリガンドが存在する。天然のリガンドは、天然において、ヒト介入なしに、天然の標的タンパク質のアゴナイズまたはアンタゴナイズまたは結合の原因であるリガンドである。リガンド化されていない状態にある標的タンパク質は、特定の立体配座、即ち、特定の3D構造を有する。タンパク質がリガンドに複合化した場合に、該タンパク質の立体配座が変化する。
【0018】
本明細書中で使用する用語「変異体」は、用語「修飾した」、「突然変異した」、「多型」「遺伝子型」、準種または「突然変異体」を包含し、これらの用語は置換可能である。用語「変異体」は、参照の遺伝子または遺伝子産物(即ち、標的タンパク質)と比較した場合に、配列および/または機能特性における修飾(即ち、変化した特徴)を表す遺伝子または遺伝子産物(即ち、標的タンパク質)を指す(通常、参照の遺伝子または遺伝子産物は、野生型の遺伝子または遺伝子産物である)。用語「野生型」は、天然供給源から単離した場合の遺伝子または遺伝子産物の特徴を有する遺伝子または遺伝子産物を表す。野生型遺伝子は、集団の中で最も多く観察される遺伝子であり、従って、任意に「正常」または「野生型」形態の遺伝子と称される。天然の変異体を単離することができ、これらは、野生型の遺伝子または遺伝子産物と比較した場合に、変化した特徴を有することによって同定されることが特記される。
【0019】
本発明によれば、標的タンパク質の変異体には、該標的タンパク質の突然変異体が含まれる。突然変異の非限定的な例は、点突然変異、欠失、挿入、転座、ミスセンス突然変異などである。通常、突然変異は、標的タンパク質をコードしている遺伝子のコード配列を変化させ、該標的タンパク質の機能特性を変化させる。
【0020】
別の態様によれば、標的タンパク質の変異体は、該標的タンパク質の天然多型である。通常、多型は、該タンパク質の機能特性に有意に影響しない、該タンパク質をコードしている遺伝子の配列における一つまたはいくつかの修飾である(即ち、突然変異のような多型は、遺伝性であるが、必ずしも標的タンパク質の機能特性に有害ではない)。遺伝子および遺伝子産物における多型は、全ヒト集団において起こりうる。従って、本発明は、標的タンパク質(即ち、ヒト核受容体、・・・)に対して活性な薬物候補が、該標的タンパク質の多型に対して活性であるか否かを決定することを可能にする。
【0021】
同様に、本発明の方法は、あるウイルス株の標的タンパク質(例えば、インフルエンザウイルス株H1N1のノイラミニダーゼまたはHCV遺伝子型1のNS5Bポリメラーゼ)に対して活性な薬物候補が、別のウイルス株の相同タンパク質(即ち、インフルエンザウイルス株H3N2のノイラミニダーゼまたはHCV遺伝子型2のNS5Bポリメラーゼ)に対して活性であるか否かを決定することを可能にする。本発明は、あるHCV遺伝子型から同定されたHCV NS5BポリメラーゼまたはHCV NS3プロテアーゼ/ヘリカーゼに対する薬物候補が、それぞれ、他のHCV遺伝子型からのHCV NS5BポリメラーゼまたはHCV NS3プロテアーゼ/ヘリカーゼに対しても活性であるか否かを決定するのに特に有用であろう。
【0022】
別の態様によれば、標的タンパク質の変異体は、該標的タンパク質との配列相同性または構造相同性を有するタンパク質である。ここに非限定的な例を挙げると、標的タンパク質がHCVからのプロテアーゼである場合、該標的タンパク質の変異体は、該HCVプロテアーゼとの配列相同性または構造相同性を有するヒト細胞プロテアーゼであってよい。したがって、本発明は、ウイルスプロテアーゼに対する薬物候補が、ヒト細胞プロテアーゼに対しても活性であるか否かを決定するのに特に有用であろう。これは、薬物候補の潜在的な毒性および副作用を評価するのに特に重要であろう。したがって、本発明の方法は、薬物候補の毒性を予測するのに有用である。
【0023】
好ましい態様によれば、本発明の標的タンパク質は、配列番号1でコードされるかまたは配列番号51に供されるC型肝炎ウイルスNS5Bタンパク質(遺伝子型1b)の野生型配列である。該標的タンパク質(即ち、C型肝炎ウイルスNS5Bタンパク質)の変異体の非限定的な例は、M414T、S368A、C316Y、Y448H、P495L、S419M、M423T、S282T、S96T、N142T、G152E、P156Lである(配列番号51の第2アミノ酸が、これらの参照突然変異の第1位と考えられる)。第2の好ましい態様によれば、本発明の標的タンパク質は、配列番号2でコードされるかまたは配列番号52に供されるC型肝炎ウイルスNS3タンパク質の野生型配列である。C型肝炎ウイルスNS3タンパク質の変異体の非限定的な例は、A156V/S/T、D168A/V、V107A、R155K、T54A、V36M、V36M/A156T、V36A/A156、V36M/R155K、V36T/T54、V36M/T54A、A156V/R155Kである(配列番号52の第3アミノ酸が、これらの参照突然変異の第1位と考えられる)。呼吸器多核体ウイルスNタンパク質(配列番号53および54を参照)の変異体の非限定的な例は、N105D、I129L、L139I、およびI129L+L139Iである。インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの変異体の非限定的な例は、R292K、D151E、R152K、R371K、R224K、E119G、およびD198Nである(配列番号55および56を参照)。HIVプロテアーゼの変異体の非限定的な例は、L10V、I13V、E35G、M36IおよびH69Kである(配列番号57および58を参照)。HIV逆転写酵素の変異体の非限定的な例は、V179E、T69S、およびM184Vである(参照配列として、GenBankアクセッション番号AAO84275、GL37934320、アクセッションAY237815.1を参照)。
【0024】
上記した薬物耐性突然変異の命名法は、元の推定アミノ酸(コンセンサス配列中に挙げたもの)、次いでその位置に関するコドン番号、次いで突然変異によって導かれたアミノ酸(これは、抗ウイルス剤に対する感受性の減少を与える)を挙げるものである。この元の推定アミノ酸は、コンセンサス配列中に挙げたものとは異なることもある(配列を患者の血清から導いた場合、抗ウイルス薬に対する標的の活性および感受性に有意に影響することはない)。
【0025】
タンパク質中に突然変異を導入する手法は、当業者には周知であり、生物学的、物理的、または化学的手段のいずれかによって行うことができる。
【0026】
既知のタンパク質リガンドは、標的タンパク質のためのリガンドであることが知られている物質である。本発明の既知タンパク質リガンドは、タンパク質に結合した場合に、該タンパク質の立体配座を変えることができる。通常、この既知タンパク質リガンドは、標的タンパク質が由来する器官の一つまたはそれ以上の標的組織における該標的タンパク質の薬理学的アゴニストまたはアンタゴニストである。しかし、既知のタンパク質リガンドは、標的タンパク質のアゴニストでもアンタゴニストでもないこともある。例えば、それは標的タンパク質の基質であってよい(標的タンパク質が酵素である場合)。既知のタンパク質リガンドは、タンパク質の天然リガンドであってよいが、それである必要はない。本発明の既知タンパク質リガンドは、既知の標的タンパク質アゴニストおよび既知の標的タンパク質アンタゴニストの中から選択される。既知のリガンドは、工程Bの細胞に、内生的にまたは好ましくは外生的に添加する。
【0027】
好ましい態様によれば、標的タンパク質は、以下の中から選択されるC型肝炎ウイルスタンパク質である:
(a)NS3-4Aセリンプロテアーゼ、この場合、既知のタンパク質リガンドは、ピロリジン-5,5-トランスラクタム、2,4,6-トリヒドロキシ-3-ニトロ-ベンズアミドの誘導体、チアゾリジン、ベンズアニリド、BILN2061[Ciluprevir(または本発明においてはcVVS023951)とも称される]、ITMN191、TMC435350、SCH503034、およびVX950(Telaprevirまたは本発明においてはcVVS23518とも称される)の中から選択され、
(b)NS3 RNAヘリカーゼ、この場合、既知のタンパク質リガンドは、2,3,5-トリ置換-1,2,4-チアジアゾール-2-イウム塩、ヘテロ環式カルボキサミド、およびベンゾトリアゾールの中から選択され、
(c)NS5Bポリメラーゼ、この場合、既知のタンパク質リガンドは、N-1-シクロブチル-4-ヒドロキシキノロン-3-イル-ベンゾチアジアジン、1-{[6-カルボキシ-2-(4-クロロフェニル)-3-シクロヘキシル-1H-インドール-1-イル-]アセチル}-N,N-ジエチルピペリジン-4-アミニウムクロリド、HCV796、GS9190、MK3281、およびVCH759の中から選択され、
(d)他のC型肝炎ウイルスタンパク質、この場合、既知のタンパク質リガンドは、リバビリン、レボビリン、ビラミジン、メリムポジブ、サイモシンアルファ1、アマンタジンの中から選択される。
【0028】
上で参照したHCVタンパク質リガンドに関して、その構造は当業者に周知である。例えば:
−BILN2061インヒビターは、以下の構造を有する化合物に対応する:(1S、4R、6S、7Z、14S、18R)-14-シクロペンチルオキシカルボニルアミノ-18-[2-(2-イソプロピルアミノ-チアゾール-4-イル)-7-メトキシキノリン-4-イルオキシ]-2,15-ジオキソ-3,16-ジアザトリシクロ[14.3.0.04.6]ノナデカ-7-エン-4-カルボン酸(Lamarreら、2003)、
−SCH503034インヒビターは、以下の構造を有する化合物に対応する:(1R,5S)-N-[3-アミノ-1-(シクロブチルメチル)-2,3-ジオキソプロピル]-3-[2(S)-[[[(1,1-ジメチルエチル)アミノ]カルボニル]アミノ]-3,3-ジメチル-1-オキソブチル]-6,6-ジメチル-3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-2(S)-カルボキサミド(Srikanth Venkatramanら、2006)、
−VCH-759インヒビターは、文献(Beaulieu P.L.ら、2007、第621頁、図9)に示されている構造を有する化合物に対応する、
−以下の構造:
【化1】

を有するMK0608インヒビター(7-デアザ-2'-C-メチル-アデノシン)も引用することができる(Beaulieuら、2007、第616頁、図4を参照)、
−TMC435350インヒビターは、以下の構造を有する化合物に対応する:N-[17-[2-(4-イソプロピルチアゾール-2-イル)-7-メトキシ-8-メチルキノリン-4-イルオキシ]-13-メチル-2,14-ジオキソ-3,13-ジアザトリシクロ[13.3.0.04,6]オクタデカ-7-エン-4-カルボニル](シクロプロピル)スルホンアミド、これは、文献(Simmen K.ら、2007、図1)、「C型肝炎に関する第14回国際シンポジウム(14th international symposium on hepatitis C)、Glasgow、2007年9月」において開示されたP-248ポスター(図1)にも示されている、
−ITMN191インヒビターは、以下の構造:
【化2】

を有する化合物に対応する、これは、文献(Mannsら、2007)にも示され (表1、第996頁、参照85)、および
−GS9190インヒビター(Gileadから)(Sheldon J.ら、2007、Expert Opinion on Investigational Drugs、第16巻、第8号、第1171-1181頁を参照)、
−HCV796インヒビター:
【化3】

【0029】
別の好ましい態様によれば、標的タンパク質は、以下の中から選択されるインフルエンザウイルスのウイルスタンパク質である:
(a)ノイラミニダーゼ、この場合、既知のタンパク質リガンドは、ザナミビルおよびオセルタミビルの中から選択され、および
(b)M2タンパク質、この場合、既知のタンパク質リガンドは、アマンタジンおよびリマンタジンの中から選択される。
【0030】
別の好ましい態様によれば、標的タンパク質は、以下の中から選択されるHIVウイルスタンパク質である:
(a)ウイルスプロテアーゼ、この場合、既知のタンパク質リガンドは、アムプレナビル、インジナビル、サキナビル、ロピナビル、フォサムプレナビル、リトナビル、アタザナビル、ネルフィナビルの中から選択され、および
(b)逆転写酵素、この場合、既知のタンパク質は、ラミブジン、ザルシタビン、デラビルジン、ジドブリン、エファビレンツ、ジダノシン、ネビラピン、フマル酸テノホビルジソプロキシル、アバカビル、スタブジンの中から選択される。
【0031】
好ましい態様によれば、標的タンパク質は、以下の中から選択される核受容体である:
(a)エストロゲン受容体、この場合、既知のタンパク質リガンドは、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ゲニステイン、タモキシフェン、ICI182780(Faslodex)、ラロキシフェンの中から選択することができ、および
(b)アンドロゲン受容体、この場合、既知のタンパク質リガンドは、テストステロン、ジヒドロテストステロン、プロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸シプロテロン、ミフェプリストン、デヒドロエピアンドロステロン、フルタミドの中から選択することができる、および
(c)グルココルチコイド受容体、この場合、既知のタンパク質リガンドは、デキサメタゾン、酢酸メドロキシプロゲステロン、コルチバゾール、デオキシコルチコステロン、ミフェプリストン、プロピオン酸フルチカゾン、デキサメタゾンの中から選択することができる、および
(d)ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)、この場合、既知のタンパク質リガンドは、グリタゾン類、例えばトログリタゾンの中から選択することができる、および
(e)肝臓X受容体アルファ(LXRα)、この場合、既知のタンパク質リガンドは、T1317(Tularik)であってよい、および
(f)レチノイン酸受容体(RAR)、この場合、既知のタンパク質リガンドは、全-trans-レチノイン酸、9-cis-レチノイン酸の中から選択することができる、および
(g)レチノイドX受容体(RXR)、この場合、既知のタンパク質リガンドは、全-trans-レチノイン酸、9-cis-レチノイン酸の中から選択することができる。
【0032】
本発明の結合ペプチドを選択する方法における主な制限は、立体配座感受性の結合ペプチドを同定するための既知のリガンド(即ち、薬物)の利用可能性である。例えば、ウイルスの分野において、ウイルス標的タンパク質に結合する抗ウイルス薬物が知られていない場合も多い(即ち、呼吸器多核体ウイルス)。しかし、ウイルスは、その複製のために細胞装置を使用している細胞内寄生体であるので、ウイルスタンパク質は、宿主細胞のタンパク質または分子(ATP、tRNA、リボソーム、細胞酵素、・・・)と相互作用している。非常に多くのウイルスタンパク質と、宿主細胞のそれらとの相互作用が、科学文献に報告されている(Tellinghuisen & Rice Curr Opin Microbiol.、2002、5:419-427、HIV-1、ヒトタンパク質相互作用データベース、National Institute of Allergy & Infectious Diseases、Loら、J Virol.、1996年8月、70(8):5177-82)。本発明の別の態様によれば、標的タンパク質に結合するリガンド(即ち、薬理学的アゴニストまたはアンタゴニスト)が知られていない場合には、標的タンパク質と相互作用する細胞またはウイルスタンパク質のいずれかを、立体配座感受性の結合ペプチドを同定する代わりに使用することもできる。標的タンパク質と相互作用するペプチドが同定された場合には、該標的タンパク質と相互作用する該タンパク質をコードする発現ベクターを、標的タンパク質をコードする発現ベクターおよびペプチドライブラリーをコードする発現ベクターを用いて既に修飾した酵母中に導入する。タンパク質/タンパク質相互作用によってブロックされるペプチド(標的の立体配座修飾によるか、または立体障害による標的タンパク質上の認識部位の接近不可能性による)が同定されるであろう。
【0033】
従って、本発明は、天然の立体配座にある標的タンパク質を結合する結合ペプチドを選択する方法(本発明の工程AおよびB)であって、以下の工程を含んでなる方法にも関する:
(a)ペプチドの組合せライブラリーを供し、該結合ペプチドが該ライブラリーの構成要素であり、該ライブラリーは多数の細胞において発現され、該細胞が該ライブラリーの全構成要素を共同で発現する工程、
(b)該ライブラリーを、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する該ライブラリーの構成要素の能力についてスクリーニングし、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合するペプチドを選択する工程、
(c)(b)で選択したペプチドを、該標的タンパク質と相互作用することが知られている一つのタンパク質の存在下に、該タンパク質に結合する能力についてスクリーニングする工程、および
(d)標的タンパク質と相互作用することが知られている該タンパク質の存在下において該標的タンパク質に結合する能力の減少または非存在を有し、かつ、標的タンパク質と相互作用することが知られている該タンパク質の存在下において該標的タンパク質の変異体に結合する能力の保存を有する、(c)でスクリーニングしたペプチドを選択する工程。
【0034】
標的タンパク質と相互作用するタンパク質が知られていない場合、当業者は、標的タンパク質と相互作用することができるタンパク質を同定する方法を知っている。酵母2-ハイブリッドが、タンパク質-タンパク質相互作用を同定するための有効な手法である。例えば、標的タンパク質と相互作用するタンパク質をコードするcDNAクローンを、関心あるヒト細胞からのcDNAライブラリーの酵母2-ハイブリッドスクリーニングによって単離することができる。ヒトcDNAライブラリーは、市販品から入手するか、または構築しなければならないであろう。
【0035】
本明細書において、用語「結合する」または「結合」は、ペプチドと標的タンパク質とが、意図するアッセイを行いうるよう十分に、互いに相互作用、結合、連結、または会合することを意味する。本明細書において、用語「特異的な」または「特異的に」は、ペプチドと標的タンパク質とが互いに選択的に結合し、対象成分への結合が意図されていない他の成分には通常は結合しないことを意味する。特異的な相互作用を達成するのに必要なパラメーターは、定型的に、例えば当分野における常法を用いて決定することができる。
【0036】
一般に、用語「ライブラリー」は、起源、構造、および/または機能において関連し、かつ、関心ある特性について同時にスクリーニングすることができる化学的または生物学的実体の集団を表す。用語「組合せライブラリー」は、個々の構成要素が、限定された一組の基本要素の体系的またはランダムな組合せのいずれかであるライブラリーを表す(各構成要素の特性は、それに導入される要素の選択および位置に依存する)。通常、ライブラリーの構成要素は、少なくとも同時にスクリーニングすることができる。ランダム化は、完全または部分的であってよい。即ち、一部の位置がランダム化され、他の位置が予め決められていてよく、ランダム位置においては、その選択が予め決めた様式で限定されていてよい。組合せライブラリーの構成要素は、ある種のオリゴマーまたはポリマーであってよく、この際、その変動は、オリゴマーまたはポリマーの一つまたはそれ以上の位置におけるモノマー構成要素の選択によって生じ、また恐らくは、その連結結合あるいはオリゴマーまたはポリマーの長さの点でも生じる。あるいは、該構成要素は、標準コア構造を有する非オリゴマー分子であってよく、この際、その変動は、該コア構造上の特定の変動部位における置換基の選択によって導入される。あるいは、該構成要素は、ジグソーパズルのように組立てた非オリゴマー分子であってよいが、この際、各ピースは、一つまたはそれ以上の可変部分(ライブラリー多様性に寄与する)および一つまたはそれ以上の一定部分(当該ピースが他のピースに結合するための機能性を供する)の両方を有する。
【0037】
「単純な組合せライブラリー」においては、全ての構成要素が、同じクラスの化合物(例えば、ペプチド)に属しており、同時に合成することができる。「複合組合せライブラリー」は、二つまたはそれ以上の単純なライブラリーの混合物、例えば、DNAとペプチドまたは化学的化合物である。好ましくは、組合せライブラリーは、少なくとも100、より好ましくは少なくとも1,000、なおより好ましくは少なくとも10,000、さらにより好ましくは少なくとも100,000、最も好ましくは少なくとも1,000,000個の異なる分子の多様性を有するであろう。本発明のペプチドライブラリーは組合せライブラリーである。このライブラリーの構成要素は、ペプチド結合によって連結した少なくとも3個のアミノ酸を有するペプチドである。好ましくは、これらは、少なくとも4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30個のアミノ酸の長さである。好ましくは、これらは、50未満、好ましくは25未満、より好ましくは15個未満のアミノ酸から構成される。ペプチドは、直鎖、分岐鎖または環式であってよく、非ペプチジル部分を含んでいてもよい。アミノ酸は、天然のアミノ酸に限定されない。
【0038】
本発明の細胞は、天然または非天然に、機能的に、適する標的タンパク質を発現する細胞である。好ましくは、細胞は真核細胞である。細胞は、単細胞生物、多細胞生物または中間形態(粘菌)に由来するものであってよい。多細胞生物に由来する場合、それは、無脊椎動物、下等脊椎動物(爬虫類、魚類、両生類)、高等脊椎動物(鳥類、哺乳動物)、または植物であってよい。好ましい態様によれば、本発明の方法の工程(A)、(B)、(C)、および(D)の細胞は、完全な多細胞生物または生物の組織もしくは器官に組込まれていない細胞、好ましくは単離した細胞である。
【0039】
好ましい態様によれば、結合ペプチドの選択に使用する細胞(本発明の方法の工程AおよびB)は、非哺乳動物の真核細胞、好ましくは酵母細胞である。好ましくは、酵母細胞は、以下の属のいずれかのものである:サッカロミセス(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)、カンジダ(Candida)、ハンセヌラ(Hansenula)、ピチア(Pichia)、クリュイベロミセス(Kluyveromyces)、クリプロコッカス(Cryptococcus)、ヤロウイア(Yarrowia)、およびザイゴサッカロミセス(Zygosaccharomyces)。より好ましくは、これらは、Saccharomyces cerevisiae種のものである。興味ある他の非哺乳動物細胞には、植物細胞(例えば、シロイヌナズナ)、節足動物細胞、環形動物、または線虫細胞(例えば、線虫(Caenorhabditis elegans)、プラナリア、ヒル、ミミズ、環形動物多毛類)、甲殻類(例えば、ミジンコ)、原生動物細胞(例えば、細胞性粘菌(Dictyostelium discoideum))、および下等脊椎動物(爬虫類、両生類、魚類)細胞が含まれる。
【0040】
好ましい態様によれば、試験化合物の選択および試験に使用する細胞(本発明の方法の工程CおよびD)は、動物またはヒト起源の哺乳動物細胞である。哺乳動物細胞の非限定的な例は、ヒト一次細胞、ヒト胚細胞、ヒト細胞系統である。好ましい態様において、ヒト細胞は継続ヒト細胞系統であり、ヒト細胞系統の非限定的な例には、Hela、Huh7、T47D、A549、HEK-293、MCF7が含まれる。また、該ヒト細胞は、胚細胞、好ましくは、全能性細胞(即ち、胚幹細胞、ES細胞)、多能性、複能性、および単能性細胞の中から選択される胚細胞である。特定の態様において、細胞はヒトES細胞であり、標的タンパク質は、ES細胞からヒト分化細胞への分化経路の制御に関与している重要タンパク質である。第2の態様において、該細胞は、動物細胞、例えば、動物一次細胞、動物胚細胞、および動物細胞系統の中から選択される。動物細胞系統の非限定的な例には、VERO、CHO、NSO、COS、MDCK、MDBK、および3T3が含まれる。標的タンパク質がC型またはB型肝炎ウイルスタンパク質である場合には、試験化合物の選択および試験に使用する細胞(本発明の方法の工程CおよびD)は、好ましくは、動物またはヒトの肝細胞または肝細胞系統である。肝細胞系統の非限定的な例は、Huh7、HepG2、およびHepaRGである。標的タンパク質がHIVウイルスタンパク質である場合には、試験化合物の選択および試験に使用する細胞(本発明の方法の工程CおよびD)は、好ましくは、動物またはヒトのリンパ球またはリンパ芽球様細胞系統、例えばHL60、U937、TF-1、K562、およびIM-9である。標的タンパク質がインフルエンザまたはRSVウイルスタンパク質である場合には、試験化合物の選択および試験に使用する細胞(本発明の方法の工程CおよびD)は、好ましくは、動物またはヒトの上皮細胞系統である。肺細胞系統の非限定的な例は、A549およびHEp-2である。
【0041】
結合ペプチドの選択に使用する各細胞(本発明の方法の工程AおよびB)は、
−該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分および
−該ペプチドの組合せライブラリーの一つの構成要素、
を同時発現し、
各細胞は、該ライブラリーの該構成要素が、該細胞中または該細胞上で該標的タンパク質または部分を結合したか否かの指標であるシグナルを生成するように、該標的タンパク質もしくは標的タンパク質の変異体または部分と機能的に結合したシグナル生成系をさらに供する。
【0042】
好ましくは、レポーター遺伝子発現によって生成する該シグナルは、測定可能な定量性シグナルである。
【0043】
好ましくは、測定される該シグナルの合計量は、標的タンパク質またはその変異体に特異的に結合したペプチドの数に比例し、結合の増加、保存、減少、または非存在の尺度を与える(対照または参照試料と比較して)。
【0044】
該ペプチドが該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合した場合にシグナルが生成する。該シグナルは、該ペプチドが、該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体に結合する能力が減少するまたはそれに結合することができず、該標的タンパク質に対する既知のリガンドにリガンド化される場合に、減少するかまたは非存在である。
【0045】
試験化合物の選択および試験に使用する細胞(本発明の方法の工程CおよびD)は、
(a)該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分、および
(b)工程(B)で選択され、既知のリガンドの非存在下において該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合することができる該ペプチド、
を同時発現し、
該細胞が、該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分と機能的に結合したシグナル生成系をさらに供し、それにより、
−試験化合物の存在下においての該ペプチドの該タンパク質への結合が、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与え、それにより、該ペプチドが工程(C)および(D)の細胞中または細胞上で該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体または部分を結合すること、ならびに、該試験化合物が該標的タンパク質または標的タンパク質の変異体の立体配座を修飾しないことの指標であるシグナルを生成する、あるいは
−試験化合物の存在下においての該ペプチドの該タンパク質への結合の減少または非存在が、機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を可能にせず、それにより、該試験化合物が該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体の立体配座を修飾することの指標であるシグナルを生成しない。
【0046】
本発明の方法のシグナル生成系は、細胞にとって内生的なシグナル生成系および細胞にとって外生的なシグナル生成系の中から選択される。好ましくは、該シグナル生成系は、細胞にとって内生的である。シグナル生成系は、キメラタンパク質を供給するための標的タンパク質または部分に融合させたタンパク質結合した成分ならびにキメラペプチドを供給するためのペプチドに融合させたペプチド結合した成分を含んでなり、これにより、ペプチド結合およびタンパク質結合した成分が、ペプチドの標的タンパク質への結合の結果として物理的に接近することになった場合に、シグナルを生成する。該成分はDNA結合ドメイン(DBD)であり、別の該成分は相補性トランス活性化ドメイン(AD)であり、シグナル生成系は、該DNA結合ドメインによって結合されたオペレーターに機能的に結合した少なくとも一つのレポーター遺伝子をさらに含み、ペプチドの標的タンパク質への結合は、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与える。
【0047】
本発明のシグナル生成系は、
(i)キメラペプチドを供給するためのペプチドに融合させた相補性トランス活性化ドメイン(AD)、該ADは、好ましくは、大腸菌B42、Gal4活性化ドメインII、およびHSV VP16からなる群から選択され、
(ii)キメラタンパク質を供給するための標的タンパク質に融合させたDNA結合ドメイン(DBD)、該DBDは、好ましくは、Gal4およびLexAからなる群から選択され、ならびに
(iii)該DBDによって結合されたオペレーターに機能的に結合した少なくとも一つのレポーター遺伝子を含むシグナル生成系
を含んでなり、これにより、該ペプチドの該タンパク質への結合が、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与え、これにより、該ペプチドの、該標的タンパク質または標的タンパク質の変異体またはそのリガンド結合タンパク質部分への結合の指標であるシグナルが、工程(A)、(B)、(C)、または(D)において使用する細胞中または細胞上に生成する。
【0048】
検出を行うために当業者が適応させて普通に使用する手段(即ち、ヒトの眼、分光光度計など)によってシグナルが検出可能である場合に、シグナルは「生成する」。結合が非存在であったことを示すのは、当業者がレポーター遺伝子発現の検出に普通に使用する手段によってシグナルが検出されなかった場合である。結合が減少したことを示すのは、レポーター遺伝子発現によって生成するシグナルの減少が、特異的な結合が起こった場合に生成するシグナルの少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも90%である場合である。
【0049】
シグナルが、問題にしている細胞の死または生存である場合には、このアッセイは選択であると言われる。シグナルが、単に検出可能な表現型(これにより、シグナル発信細胞が同じ細胞から非シグナル発信状態に分化することができる)になる場合には、このアッセイはスクリーニングである。しかし、本発明における用語「スクリーニング」は、選択を含む広い意味で使用することができる。本発明によれば、「レポーター遺伝子」は、一つの細胞における遺伝子の発現が、大きい細胞集団における該細胞の検出を可能にする遺伝子を意味する(即ち、該レポーター遺伝子を発現しているかまたは発現していない細胞の区別を可能にする)。本発明のレポーター遺伝子には、検出可能な表現型レポーター遺伝子および耐性選択遺伝子が含まれる。耐性選択遺伝子の非限定的な例には、以下の酵母遺伝子が含まれる:3-イソプロピルマレートデヒドロゲナーゼ(LEU2)、ホスホリボシルアントラニレートイソメラーゼ(TRP1)、イミダゾール-グリセロール-ホスフェートデヒドラターゼ(HIS3)、オロチジン-5'-ホスフェート(OMP)デカルボキシラーゼ(URA3)、および抗生物質耐性遺伝子。抗生物質の中では、ネオマイシン、テトラサイクリン、アンピシリン、カナマイシン、フレオマイシン、ブレオマイシン、ハイグロマイシン、クロラムフェニコール、カルベニシリン、ゲネチシン、プロマイシン、ブラスチシジンを挙げることができる。抗生物質耐性遺伝子は、当業者にとって周知である。例えば、ネオマイシン遺伝子は、細胞培養培地に添加したG418抗生物質に対する耐性を有する細胞を与える。また、検出可能な表現型レポーター遺伝子の非限定的な例には、以下の遺伝子が含まれる:DHFR、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ベータ-ラクタマーゼ、アデニル酸シクラーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼ、および自己-蛍光タンパク質(例えば、緑色蛍光タンパク質、赤色蛍光タンパク質、青色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、ならびにその全ての変異体および誘導化蛍光タンパク質)。シグナル生成系は、レポーター遺伝子の他に、シグナルの生成において協力する追加の遺伝子または生化学要素を含むことができる。このような要素は、例えば、酵素であるレポーター遺伝子の基質であることができる。
【0050】
一つを超えるシグナル生成系が存在することができ、該系は一つを超えるレポーター遺伝子を含むことができる。
【0051】
好ましい態様によれば、結合ペプチドを選択する方法(本発明の方法の工程AおよびB)を、酵母細胞において行い、シグナル生成系は、少なくとも二つのレポーター遺伝子を直列して含み、一つの耐性選択遺伝子を、HIS3、LEU2、TRP1、URA3の中から選択し、一つのレポーター遺伝子を、ルシフェラーゼ、自己-蛍光タンパク質、およびベータ-ガラクトシダーゼの中から選択する。別の好ましい態様において、本発明の試験化合物を選択する方法(本発明の方法の工程CおよびD)を、哺乳動物細胞、好ましくはヒト細胞において行い、シグナル生成系は、ルシフェラーゼ、自己-蛍光タンパク質およびベータ-ガラクトシダーゼの中から選択される少なくとも一つのレポーター遺伝子を含んでいる。試験化合物は、内生的に、または好ましくは、工程(C)および(D)の細胞に外生的に添加する。
【0052】
本発明は、候補薬物が標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に対して活性であるか否かを予測するために、ならびに、最も広い作用範囲を有する薬物候補を選択するために有用である。
【0053】
また、本発明は、本発明の方法によって選択した試験化合物にも関する。本発明の選択した試験化合物を、アッセイのヒットとして、薬物開発のための新たな候補分子を構成するヒットの同定のために使用することができる。また、本発明は、標的タンパク質の野生型、標的タンパク質の多型、標的タンパク質の耐性突然変異体に対して広い作用スペクトルを有する薬物として、特に、疾患、例えば、限定することなく例としてヒトおよび動物のウイルス疾患ならびにヒトおよび動物の癌の予防および治療処置のために、本発明の選択した試験化合物を使用することにも関する。
【0054】
また、本発明は、
・DGCARCVASVQLYGD (配列番号59)、
・WRPYYTVLCALASWH (配列番号60)、
・PSNHRQSTRSTPWLW (配列番号61)、
・YCCPWNKLRLVFQS (配列番号62)、
・THLVLCDARTCLNYV (配列番号63)、
・GTQKEAVIYPCYVPW (配列番号64)、
・VNAWAWGW (配列番号65)、
・TLPIGTKADFLWLPF (配列番号66)、
・LLGPYPNLTTLCPPW (配列番号67)、および
・LLHLLAHHLRHIARA (配列番号68)、
からなる群から選択される単離したペプチドあるいは該ペプチドを含んでなる組換えベクターまたは宿主細胞にも関する。
【0055】
また、本発明は、本発明に従ってC型肝炎ウイルスタンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定するための方法であって、ペプチド:
−DGCARCVASVQLYGD(配列番号59)またはYCCPWNKLRLVFQS(配列番号62):これは標的タンパク質がHCV NS5Bである場合、
−WRPYYTVLCALASWH(配列番号60)またはTHLVLCDARTCLNYV(配列番号63):これは標的タンパク質がHCV NS3プロテアーゼである場合、および
−PSNHRQSTRSTPWLW(配列番号61)、GTQKEAVIYPCYVPW(配列番号64)、VNAWAWGW(配列番号65)、TLPIGTKADFLWLPF(配列番号66)、LLGPYPNLTTLCPPW(配列番号67)またはLLHLLAHHLRHIARA(配列番号68):これは標的タンパク質がHCV完全長NS3である場合、
の結合を減少させる能力について、該試験化合物を試験する工程を含んでなることを特徴とする方法にも関する。
【実施例】
【0056】
実施例1:原材料
1.1.化学物質:
エストラジオール、リバビリン、ホスホノ酢酸、およびフォスカーネットは、Sigma-Aldrich(Lyon、仏国)から購入した。
化合物cVVS-023477(N-1-シクロブチル-4-ヒドロキシキノロン-3-イル-ベンゾチアジアジン)は、Pratt JK (2005)に記載されているように合成した。
化合物cVVS-023476(1-{[6-カルボキシ-2-(4-クロロフェニル)-3-シクロヘキシル-1H-インドール-1-イル-]アセチル}-N,N-ジエチルピペリジン-4-アミニウムクロリド)は、Harper S (2005)に記載されているように合成した。
化合物cVVS-023518(2-(2-{2-シクロヘキシル-2-[(ピラジン-2-カルボニル)-アミノ]-アセチルアミノ}-3,3-ジメチル-ブチリル)-オクタヒドロ-シクロペンタ[c]ピロール-1-カルボン酸(1-シクロプロピルアミノオキサリル-ブチル)-アミド)[これは、TelaprevirRまたはVX-950(Vertex Pharmaceuticals Inc.)とも称される]は、国際公開第02/183A2号(Babine R、2002)に記載されているように合成した。
X-Gal(5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリル-β-D-ガラクトピラノシド)は、Sigma-Aldrich(Lyon、仏国)から購入した。
【0057】
以下の実施例において表示および使用した立体配座感受性ペプチド(3Dセンサー)のアミノ酸配列:
【表1】

【0058】
1.2.緩衝液:
溶解緩衝液:トリス-リン酸pH7.8(25mM)+EDTA(2mM)+DTT(1mM)+グリセロール(10%)+トリトン(1%)。
ルシフェリン緩衝液:トリス-リン酸pH7.8(20mM)+DTT(500mM)+MgCl2(1.07mM)+MgSO4(2.7mM)+EDTA(0.1mM)+ATP(0.53mM)+アセチル補酵素A(0.27mM)+ルシフェリン(0.47mM)。
全ての成分をSigma-Aldrich(Lyon、仏国)から購入した、ただし、ルシフェリンはPromega(Charbonnieres、仏国)から購入した。
X-Gal溶液:10mlの0.5M Na2HPO4+NaH2PO4+50μlの20%SDS+100μlの2%X-Gal(DMF中)。
【0059】
1.3.PCR用のオリゴヌクレオチドは、Invitrogen(Cergy Pontoise、仏国)から入手した。
【0060】
1.4.酵素:
制限および連結酵素は、Promega(Charbonnieres、仏国)から購入し、製造元の推奨に従って使用した。PCRは、製造元の指示に従ってUptithermポリメラーゼを用いて行った(Interchim、Montlucon、仏国)。
【0061】
1.5.酵母株および培養条件:
Saccharomyces cerevisiae酵母株L40(MATa、his3-Δ200、Ieu2-3,112、trp1-901、[plexAop]4::HIS3、[plexAop]8::lacZ))(ATCC、Molsheim、仏国)は、液体(激しい震盪を伴う)または固体YPDもしくはSD培地(アミノ酸を補足する)のいずれかにおいて30℃で培養した。YPD培地は、以下のように構成されていた:バクト-酵母抽出物1%、バクト-ペプトン2%、グルコース2%(バクト-寒天2%を含むかまたは含まない)(Difcoから購入)。SD培地は、以下のように構成されていた:酵母窒素ベース(アミノ酸を含まない)0.67%、グルコース2%(バクト-寒天2%を含むかまたは含まない)(Difco、パリ、仏国から購入)。アミノ酸は、Sigma-Aldrich(Lyon、仏国)から購入し、以下のように添加した:硫酸アデニン(20mg/l SD)、L-トリプトファン(50mg/l SD)、L-ヒスチジン(50mg/l SD、L-ロイシン、L-イソロイシン、L-バリン(それぞれ60mg/l SD)。
【0062】
実施例2:組換えプラスミド
2.1.酵母発現プラスミド
pVVS468は、遺伝子型1b HCV NS5BΔ21の配列(GenBank D89872)を、pBTM116(Bartel & Fields、1995)のポリリンカーのXhoIおよびPstI制限部位の間に、LexA(Genbank U89960)と枠内であるように挿入することによって得た。融合タンパク質の発現は、ADH1プロモーターの制御下にある。遺伝子型1b HCV NS5BD21の配列は、遺伝子型1bのHCV NS5B完全長を保持するpIV294プラスミド(Dr Catherine Schusterの寄贈品、Strasbourg、仏国)のPCR増幅によって得た。以下のオリゴヌクレオチドプライマーを使用した:
順方向プライマー:
5' TATCTCGAGTCAATGTCCTACACATGGACAGGTG 3' (配列番号3)、
逆方向プライマー:
5' AGATCTGCAGTTAACGGGGTCGGGCACGAG 3' (配列番号4)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(thermocycler)(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間)を行った。
【0063】
pVVS601は、遺伝子型1b HCV NS3の配列(GenBank D89872)を、pBTM116(Bartel & Fields、1995)のポリリンカーのXhoIおよびBamHI制限部位の間に、LexA(Genbank U89960)と枠内であるように挿入することによって得た。融合タンパク質の発現は、ADH1プロモーターの制御下にある。遺伝子型1b HCV NS3の配列は、遺伝子型1bのHCV NS3プロテアーゼを保持するpIV294プラスミド(Dr Catherine Schusterの寄贈品、Strasbourg、仏国)のPCR増幅によって得た。実のところ、NS3プロテアーゼは、最適の立体配座および活性のために、NS4Aに複合化する(二つのタンパク質の間のシス切断後)ことが示されている(Linら、1995)。一本鎖組換えNS4A-NS3プロテアーゼドメインは、完全なタンパク質分解活性を示す(Taremiら、1998)。以下のオリゴヌクレオチドプライマーを、一本鎖構築物NS4A(残基21〜32)、GSGSリンカーおよびNS3プロテアーゼ(残基3〜181)を得るために使用した:
順方向プライマー:
5' TACTCGAGGGTTCTGTTGTTATTGTTGGTAGAATTATTTTATCTGGTAGTGGTAGT
ATCACGGCCTATTCCCAACAAACGCGGG 3' (配列番号5)、
逆方向プライマー:
5' ACCTCGAGCAGCGCCTATCACGGCCTATTCCC 3' (配列番号6)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間)を行った。
【0064】
pVVS775は、遺伝子型1b HCV NS3完全長の配列(GenBank D89872)を、pBTM116(Bartel、1995)のポリリンカーのXhoIおよびBglII制限部位の間に、LexA(Genbank U89960)と枠内であるように挿入することによって得た。融合タンパク質の発現は、ADH1プロモーターの制御下にある。遺伝子型1b HCV NS3の配列は、遺伝子型1bのHCV NS3完全長を保持するpIV294プラスミド(Dr Catherine Schusterの寄贈品、Strasbourg、仏国)のPCR増幅によって得た。NS3プロテアーゼは、最適の立体配座および活性のために、NS4Aに複合化することが示されているので(Linら、1995)、一本鎖組換えNS4A-NS3完全長タンパク質は、完全なタンパク質分解およびヘリカーゼ活性を示す(Howeら、1999)。さらに、このような組換え一本鎖タンパク質の結晶構造は、天然の複合NS3-NS4Aに重ねられることが示されている(Yaoら、1999)。以下のオリゴヌクレオチドプライマーを、一本鎖構築物NS4A(残基21〜32)、GSGSリンカー、およびNS3完全長(残基3〜631)を得るために使用した:
順方向プライマー:
5' TACTCGAGGGTTCTGTTGTTATTGTTGGTAGAATTATTTTATCTGGTAGTGGTAGT
ATCACGGCCTATTCCCAACAAACGCGGG 3' (配列番号7)、
逆方向プライマー:
5' ATAGATCTTTTAAGTGACGACCTCCAGG 3' (配列番号8)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間)を行った。
【0065】
pVVS625は、pVP16(Hollenbergら、1995)から、SfiIによる消化およびPCRによって創製したランダム15アミノ酸ペプチドライブラリーの挿入によって誘導した。
【0066】
2.2.哺乳動物発現プラスミド
pVVS578は、プラスミドpUASLuc(Thielら、2000)から誘導した。これは、5つのGal4-結合部位およびヒト-βグロビン遺伝子の最小プロモーター、それに続くホタルルシフェラーゼコード配列から構成されるレポーター構築物を含んでいる。
【0067】
pVVS478は、pG4mポリII(Webster N J G、1989)から、ポリリンカーをXhoおよびBamH1で消化し、酵母Gal4 DBD(GenBank AY647987)のカルボキシ末端と枠内であるように遺伝子型1b HCV NS5BΔ21配列を挿入することによって誘導した。融合タンパク質の発現は、構成的SV40早期プロモーターの制御下にある。NS5BΔ21挿入体は、以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるpIV294プラスミドのPCR増幅によって得た:
順方向プライマー:
5' TTC CTC GAG GAT CAA TGT CCT ACA CAT GG 3' (配列番号9)、
逆方向プライマー:
5' GCT CGG ATC CCA GCT CTC AAC GGG GTC GGG 3' (配列番号10)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間および72℃で2分間)を行った。
【0068】
QuickChange II XL部位指向性突然変異誘発キットを製造元の指示(Stratagene、アムステルダム、オランダ国)に従って使用して、NS5BΔ21配列中に単一突然変異を導入した。
【0069】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS474を創製した:
L30S突然変異のための順方向プライマー:
5' AATCCGTTGAGCAACTCTTCGCTGCGTCACCACAGTATG 3' (配列番号11)、
L30S突然変異のための逆方向プライマー:
5' ATACTGTGGTGACGCAGCGAAGAGTTGCTCAACGGATT 3' (配列番号12)。
【0070】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS475を創製した:
L30R突然変異のための順方向プライマー:
5' AATCCGTTGAGCAACTCTCGGCTGCGTCACCACAGTATG 3' (配列番号13)、
L30R突然変異のための逆方向プライマー:
5' CATACTGTGGTGACGCAGCCGAGAGTTGCTCAACGGATT 3' (配列番号14)。
【0071】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS517を創製した:
H95R突然変異のための順方向プライマー:
5' CTGACGCCCCCACGCTCGGCCAAATCC 3' (配列番号15)、
H95R突然変異のための逆方向プライマー:
5' CTGACGCCCCCACGCTCGGCCAAATCC 3' (配列番号16)。
【0072】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS516を創製した:
M414T突然変異のための順方向プライマー:
5' GGCAATATCATCACCTATGCGCCCACC 3' (配列番号17)、
M414T突然変異のための逆方向プライマー:
5' GGCAATATCATCACCTATGCGCCCACC 3' (配列番号18)。
【0073】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS789を創製した:
G152E突然変異のための順方向プライマー:
5' GGCAATATCATCACCTATGCGCCCACC 3' (配列番号19)、
G152E突然変異のための逆方向プライマー:
5' GGCAATATCATCACCTATGCGCCCACC 3' (配列番号20)。
【0074】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS795を創製した:
M423T突然変異のための順方向プライマー:
5' CTATGGGCGAGGACGATTCTGATGACT 3' (配列番号21)、
M423T突然変異のための逆方向プライマー:
5' AGTCATCAGAATCGTCCTCGCCCATAG 3' (配列番号22)。
【0075】
以下のプライマーを使用してプラスミドpWS788を創製した:
N142T突然変異のための順方向プライマー:
5' ATCATGGCAAAAACTGAGGTTTTCTG 3' (配列番号23)、
N142T突然変異のための逆方向プライマー:
5' CAGAAAACCTCAGTTTTTGCCATGAT 3' (配列番号24)。
【0076】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS790を創製した:
P156L突然変異のための順方向プライマー:
5' GAGGCCGCAAGCTAGCTCGCCTTATCG 3' (配列番号25)、
P156L突然変異のための逆方向プライマー:
5' CGATAAGGCGAGCTAGCTTGCGGCCTC 3' (配列番号26)。
【0077】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS797を創製した:
P495L突然変異のための順方向プライマー:
5' GGAAACTTGGGGTACTACCCTTGCGAG 3' (配列番号27)、
P495L突然変異のための逆方向プライマー:
5' CTCGCAAGGGTAGTACCCCAAGTTTCC 3' (配列番号28)。
【0078】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS791を創製した:
S282T突然変異のための順方向プライマー:
5' GGTGCCGCGCGACCGGCGTGCTGA 3' (配列番号29)、
S282T突然変異のための逆方向プライマー:
5' TCAGCACGCCGGTCGCGCGGCACC 3' (配列番号30)。
【0079】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS799を創製した:
S368A突然変異のための順方向プライマー:
5' GTCATGCTCCGCCAATGTGTCG 3' (配列番号31)、
S368A突然変異のための逆方向プライマー:
5' CGACACATTGGCGGAGCATGAC 3' (配列番号32)。
【0080】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS794を創製した:
S419M突然変異のための順方向プライマー:
5' ATGCGCCCACCATGTGGGCGAGGATG 3' (配列番号33)、
S419M突然変異のための逆方向プライマー:
5' CATCCTCGCCCACATGGTGGGCGCAT 3' (配列番号34)。
【0081】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS787を創製した:
S96T突然変異のための順方向プライマー:
5' ACGCCCCCACATACGGCCAAATCCAAA 3' (配列番号35)、
S96T突然変異のための逆方向プライマー:
5' TTTGGATTTGGCCGTATGTGGGGGCGT 3' (配列番号36)。
【0082】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS796を創製した:
Y448M突然変異のための順方向プライマー:
5' GTAGCAGGCCCCCATGATCTGACA 3' (配列番号37)、
Y448M突然変異のための逆方向プライマー:
5' GTAGCAGGCCCCCATGATCTGACA 3' (配列番号38)。
【0083】
pVVS602は、pG4mポリII(Webster N J G、1989)から、ポリリンカーをXhoIおよびBamH1で消化し、酵母Gal4 DBD(GenBank AY647987)のカルボキシ末端と枠内であるように遺伝子型1b HCV NS3の配列を挿入することによって誘導した。融合タンパク質の発現は、構成的SV40早期プロモーターの制御下にある。一本鎖構築NS4A(残基21〜32)、GSGSリンカー、およびNS3プロテアーゼ(残基3〜181)(Taremiら、1998)は、以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるpIV294プラスミドのPCR増幅によって得た:
順方向プライマー:
5' TACTCGAGCAGGTTCTGTTGTTATTGTTGGTAGAATTATTTTATCTGGTAGTGGTA
GTATCACGGCCTATTCCCAACAAACGCGGG 3' (配列番号39)、
逆方向プライマー:
5' ACCTCGAGCAGCGCCTATCACGGCCTATTCCC 3' (配列番号40)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間)を行った。
【0084】
QuickChange II XL部位指向性突然変異誘発キットを製造元の指示(Stratagene)に従って使用して、NS4A-NS3プロテアーゼ配列中に単一突然変異を導入した。
【0085】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS781を創製した:
A156V突然変異のための順方向プライマー:
5' GGCATCTTCCGGGTTGCTGTGTG 3' (配列番号41)、
A156V突然変異のための逆方向プライマー:
5' CACACAGCAACCCGGAAGATGCC 3' (配列番号42)。
【0086】
pVVS772は、pG4mポリII(Webster N J G、1989)から、ポリリンカーをXhoおよびBamH1で消化し、酵母Gal4 DBD(GenBank AY647987)のカルボキシ末端と枠内であるように遺伝子型1b HCV NS3完全長配列(GenBank D89872)を挿入することによって誘導した。融合タンパク質の発現は、構成的SV40早期プロモーターの制御下にある。一本鎖構築物NS4A(残基21〜32)、GSGSリンカーおよびNS3プロテアーゼ(残基3〜631)(Howeら、1999)は、以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるpIV294プラスミドのPCR増幅によって得た:
順方向プライマー:
5' TACTCGAGCAGGTTCTGTTGTTATTGTTGGTAGAATTATTTTATCTGGTAGTGGTA
GTATCACGGCCTATTCCCAACAAACGCGGG 3' (配列番号43)、
逆方向プライマー:
5' ATAGATCTTTTAAGTGACGACCTCCAGG 3' (配列番号44)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で2分間)を行った。
【0087】
QuickChange II XL部位指向性突然変異誘発キットを製造元の指示(Stratagene、アムステルダム、オランダ国)に従って使用して、NS4A-NS3完全長配列中に単一突然変異を導入した。
【0088】
以下のプライマーを使用してプラスミドpVVS783を創製した:
A156V突然変異のための順方向プライマー:
5' GGCATCTTCCGGGTTGCTGTGTG 3' (配列番号45)、
A156V突然変異のための逆方向プライマー:
5' CACACAGCAACCCGGAAGATGCC 3' (配列番号46)。
【0089】
pVVS527は、ウイルスVP16活性化ドメイン(GenBank AF294982)のカルボキシ末端を含む枠と枠内で、選択したペプチドの受容体であるように、pCINeo(Promega)から誘導した。
【0090】
pVVS550は、pVVS527から、SfiI消化および選択したペプチドN21C272コード配列の挿入によって誘導した。融合タンパク質の発現は、構成的CMVプロモーターの制御下にある。
【0091】
挿入体を、以下のオリゴヌクレオチドプライマーを用いるPCR増幅によって得た:
順方向プライマー:
5' TCCTTAAGGGAGATGTGAGCAT 3' (配列番号47)、
逆方向プライマー:
5' CAAGGCGATTAAGTTGGTAAC 3' (配列番号48)。
PCR増幅は、T1サーモサイクラー(Biometra)を用いて、96℃で3分間、続いて35サイクル(94℃で1分間、60℃で1分間、および72℃で1分間)を行った。
【0092】
実施例3:バイトと相互作用するペプチドの同定
ナイーブな酵母を、酢酸リチウム形質転換プロトコール(Schiestlら、1989)に従って、pVVS468(LexAに融合したNS5BΔ21)で形質転換した。形質転換体を、選択圧(トリプトファンを含まないSD培地)下に液体培養で増殖させ、次いでpVVS625(ウイルスVP16活性化ドメインと枠内にあるランダムペプチドのライブラリー)で形質転換した。得られた二重形質転換体を、トリプトファンおよびロイシンを欠くSD寒天培地に広げ、30℃で48時間インキュベートした。次いで、コロニーを剥ぎ取り、混合した。得られた1/500の懸濁液を、トリプトファン、ロイシンおよびヒスチジンを欠くSD寒天培地にプレーティングしてHIS3レポーターの活性化を同定した。増殖の3〜5日後に、X-Galを重ねてLacZ活性化を同定した。X-Gal溶液を、50℃に冷却した等容量の1%アガロースと混合し、次いで寒天プレート表面の酵母コロニー上にゆっくり注いだ。青色に染まった個々のクローンを拾い上げ、深いウエルにおいて一晩増殖させ、さらに分析した。
【0093】
3.1.3Dセンサーの同定
バイトと相互作用するペプチドを含む酵母コロニーを、96ウエルの深いウエル中のtrp-leu-液体培地において一晩増殖させた。次いで、これらを、プラガー(充填器)を用いて、異なる濃度の特異的または非特異的薬物あるいは等量の溶媒(DMSO)を補足したtrp-leu-his-固体培地またはtrp-leu-固体培地のいずれかの上にスポッティングした。レポーター遺伝子の発現を解き放つ酵母コロニーを選択した。結果を、少なくとも3回確認した。
【0094】
使用した別の方法は、半定量的β-ガラクトシダーゼ液体アッセイであった。酵母コロニーを、異なる濃度の参照薬物を含むかまたは含まない液体選択培地において、上記のように増殖させた。細胞ペレットを、Y-PERタンパク質抽出試薬(Pierce、Brebieres、仏国)(100ul)に再懸濁させた。300rpmで30分間の震盪の後、上清を透明化し、全タンパク質濃度を、Micro BCAタンパク質アッセイ試薬キット(Pierce、製造元の指示に従う)を用いて測定した。0.66mg/mlのONPG(O-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド)溶液(Sigma-Aldrich、Lyon、仏国)(180ul)を添加することにより、タンパク質抽出物(5ul)を用いてLacZ活性を測定した。黄色の発色が現れたとき直ちにNa2CO3の1モル溶液(75ul)を加えることによって反応を停止させた。分光光度計において420nmでODを測定し、以下の式を用いて比活性を算出した:
比活性(nmol/mg/分)=OD420×Vt/(0.0045×Protein×Ve×Time)
[式中、Vtは全反応量(160ul)であり、Proteinは酵母抽出物のタンパク質濃度(mg/ml)であり、Veはアッセイされた抽出物容量(ml)であり、Timeは反応時間(分)である]。
【0095】
3.2.プラスミドレスキュー
プラスミド抽出のために、レポーター発現が特異的薬物によって阻害された酵母クローンを、trp-leu-液体培地において増殖させた。一晩飽和培養物(2ml)を、微量遠心機で5分間沈降させ、ペレットを、2500単位/mlのLyticase(Sigma-Aldrich、Lyon、仏国)(20μl)を補足した溶解緩衝液(80ul)に再懸濁させた。懸濁液を、220rpmで震盪しながら37℃で1時間インキュベートした。20%SDS(20μl)を添加し、混合物を1分間渦撹拌した。次いで、混合物を、Nucleospin Plasmid Quickpureを製造元の指示(Macherey Nagel、Hoerdt、仏国)に従って用いて精製した。精製した溶出物に対して、以下のプライマーを用いてPCRを行った:
順方向プライマー:5' TCCTTAAGGGAGATGTGAGCAT 3' (配列番号49)、
逆方向プライマー:5' CAAGGCGATTAAGTTGGTAAC 3' (配列番号50)。
PCR生成物を配列決定し、pVVS527ベクターにおいてクローンした(上記のように)。プラスミドを、酵素制限およびDNA配列決定によって精製および確認した。
【0096】
3.3.細胞系統および培養条件
Hela細胞(ATCC、Molsheim、仏国)を、10%FBS(JRH)、2mMグルタミン(Biowhittaker/Cambrex)、1%非必須アミノ酸(Biowhittaker/Cambrex)、100単位/mlペニシリンおよび100ug/mlストレプトマイシンを補足したEMEM(Eagleの最小必須培地、Earleのバランス塩溶液を含みL-グルタミンを含まない、Biowhittaker/Cambrex、East Rutherford、New Jersey、米国)において維持した。細胞を、湿度調節した5%CO2雰囲気において37℃で維持し、80〜90%全面に達したときにトリプシン-EDTA(IX)を用いて分離した。
【0097】
Huh7肝癌由来細胞(Nakabayashi Hら、1982)を、10%FBS(SAFC、米国)、1mMグルタミン(Lonza、Basel、スイス国)、0.5mMピルビン酸ナトリウム(Lonza、Basel、スイス国)、100単位/mlペニシリンおよび100ug/mlストレプトマイシンを補足した、半分容量のDMEM(Dulbeccoの最小必須培地、L-グルタミンを含まないEagle培地、Lonza、Basel、スイス国)および半分容量のHamのF12培地(Lonza、Basel、スイス国)において維持した。細胞を、湿度調節した5%CO2雰囲気において37℃で維持し、80〜90%全面に達した場合にトリプシン-EDTA(IX)を用いて分離した。
【0098】
3.4.HelaおよびHuh7細胞のトランスフェクション実験
N/P比が8でjetPEI(PolyPLusトランスフェクション、Illkirch、仏国)に複合させた5〜20ugの合計DNAを用いて、200万〜400万細胞において、100mm皿中で2時間、トランスフェクションを行った。ルシフェラーゼレポーター、標的および選択した3Dセンサーをコードするプラスミドの間の最適比は、3ug/1ug/0.5ugであった。細胞を分離し、ウエルあたり25000細胞を、96ウエル培養処理プレート(BD Biosciences、Erembodegem、ベルギー国)に蒔いた。
【0099】
3.5.小分子ライブラリーのスクリーニング
化合物ライブラリーのプレートを室温で解凍した。薬物をGenesisワークステーション(Tecan、Lyon、仏国)によって取り扱い、細胞に5uM(0.5%DMSO中)最終濃度で添加した。20プレートの実施によってスクリーニングを行った。ルシフェラーゼ活性の測定によってヒットを同定した。
【0100】
3.6.ルシフェラーゼアッセイ
細胞培養上清を捨て、溶解緩衝液(100ul)を各ウエルに加えた。10分間の激しい震盪の後、溶解液を白色不透明な96ウエルプレートに移し、ルシフェリン緩衝液(100ul)を加えた。直ちに、Microlumat LB96照度計(Berthold、Thoiry、仏国)を用い、1秒または10秒の積分時間で化学発光測定を行った。
【0101】
3.7.細胞毒性アッセイ
上記のようにトランスフェクトされ、96ウエルプレートに蒔かれ、薬物とともに24時間インキュベートされた細胞において、生存性測定を行った。0.15mg/mlのXTT溶液(Roche Diagnostics、Meylan、仏国)を各ウエルに添加し、プレートを、37℃で1時間インキュベートした。各ウエルの細胞培養上清の光学密度を、分光光度計を用いて分析した(450nmにおいて、690nmにおけるバックグラウンドシグナルを差し引く)。
【0102】
3.8.IC50測定実験
選択したヒットを、0.01uM〜100uM最終濃度に変化する濃度で合成および試験して、そのIC50を三つの独立した実験において測定した。
【0103】
実施例4:3Dスクリーン-NS5Bプラットホーム
4.1.酵母においてNS5BΔ21と相互作用する立体配座感受性ペプチドの同定
[lexA/C末端21アミノ酸を欠く先端切除HCVポリメラーゼ]融合タンパク質をバイトとして、およびVVS001ペプチドライブラリーをプレイとして用いて形質転換したL40株(ATCC、Molsheim、仏国)において、酵母2-ハイブリッド実験を行った。このC末端21アミノ酸ドメインは、タンパク質を細胞膜に固定し、2-ハイブリッドアプローチの実現可能性を低下させる(Yamashitaら、1998、Dimitrivaら、2003)。この21アミノ酸ドメインの除去は、NS5B活性を低下させず、全体のタンパク質立体配座に小さな変化を導入する(Yamashitaら、1998、Tomeiら、2000)。合計して576のコロニーを、選択条件下で増殖するその能力に対して選択した(図1a)。次いで、cVVS-023477またはcVVS-023476の選択した個々の酵母コロニーに、標的ポリメラーゼにおいて立体配座変化を誘発することが知られている二つの抗NS5B薬物を添加することによって、立体配座感受性ペプチドまたは「3Dセンサー」を同定した(図1b)。16コロニーの増殖およびLacZ発現を、cVVS-023477、ベンゾチアジアジンのファミリーに属する化合物(Prattら、2005)の添加によって停止させた。また、別の22コロニーを、半定量的アプローチを用いて、cVVS-023476、インドール-N-アセトアミド化合物(Harperら、2005)により同定した(データは示さず)。
【0104】
選択したペプチドをコードするプラスミドを単離し、酵母において標的に結合する各3Dセンサーの能力を確認するため、ならびに相互作用の特異性を調べるために使用した。図1cは、ヒスチジンの非存在下およびcVVS-023477(ベンゾサイアジアザイド抗NS5B)または非特異的ウイルスポリメラーゼリガンドのいずれかの存在下においての、増殖およびN21C272(最も感受性の高いペプチド)のlacZ発現を示す。フォスカーネット、抗CMV/HIVポリメラーゼ(Crumpackerら、1992、Lietmanら、1992)およびその類似体、ホスホノ酢酸(PAA)(Crumpackerら、1992)は、この選択したクローンに効果を有していなかった。また、エストラジオールを陰性対照として使用したが、これは、本発明者らのグループによって以前に報告された3DセンサーNo.30.2-ER相互作用(国際公開第2006/046134号パンフレットを参照)に活性であった(即ち、上記した抗NS5Bによって影響を受けない)。
【0105】
ペプチド配列のいずれも、既知のタンパク質(National Center for Biotechnology Information databaseのBLASTサーチ)との有意の相同性を示さなかった。全ての配列を、発現ベクターにVP16ADと枠内で挿入して、哺乳動物細胞における小分子のスクリーニングを行った。
【0106】
4.2.ヒト細胞における3Dセンサーの検証
酵母において確認された3Dセンサーを、ヒト細胞においてさらに調べた。Hela細胞を選択した理由には、その広い用途、操作の容易性、およびサブゲノムHCVレプリコンを複製する能力が挙げられる(Zhuら、2003、Katoら、2005)。細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合した3Dセンサーペプチド候補、(ii)標的ポリメラーゼ(酵母Gal4-DNA結合ドメインに融合したNS5BΔ21)、および(iii)複合体[NS5BΔ21/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。選択した3Dセンサーのうち6つが、リガンドの非存在下においてルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性化を支持した(図2A)。この結果は、これらペプチドと哺乳動物関連のNS5BΔ21との相互作用を確認するものである。予測されるように、ルシフェラーゼ活性は、ベンゾチアジアジジンcVVS-023477の添加時に大きく低下した(図2B)。(i)シグナル強度、(ii)cVVS-023477の存在下においてのシグナルの阻害(1uMで51%ルシフェラーゼ阻害および10uM最終濃度で90%阻害)に基づいて、3DセンサーN21C272を選択し、3Dスクリーンプラットホームを創製した。図2Cおよび2Dは、cVVS-023476を用いて同定した3Dセンサーの特異的および非特異的ポリメラーゼインヒビターによるルシフェラーゼ発現および阻害を示すものである。
【0107】
4.3.NS5B-3Dスクリーンプラットホームの開発
4.3.1.NS5BΔ21 3Dセンサーペプチドの選択性
3Dスクリーンプラットホームをさらに特性化するために、ペプチドN21C272の結合の選択性を調べた。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272、および天然NS5BΔ21または異なる突然変異体のいずれかを発現するベクターで一時的にトランスフェクトした(図3A)。天然NS5BΔ21と、3DセンサーN21C272との間の相互作用は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導き、それは、3Dセンサー-VP16ADを含まないバックグラウンドルシフェラーゼ活性の17倍を示した。しかし、この3Dセンサーは、Labonte P (2002)により記載されるL30SおよびL30A立体配座不安定化突然変異体を結合しなかった。
【0108】
他方において、図3Bに示すように、3DセンサーN21C272は、試験した12種の薬物耐性突然変異体のうち10種に結合した:ベンゾチアジアジンに耐性であると記載されている突然変異体(M414T、S266A、およびC316Y)(Tomeiら、2005、Luら、2007)、インドール耐性突然変異体P495L(Tomeiら、2005)、チオフェンズ耐性突然変異体(S419MおよびM423T)(Tomeiら、2005)、2'-ヌクレオシド類似体耐性突然変異体S282T、S96T、およびN142T(Tomeiら、2005、Le Pogamら、2006)、ならびに、ジヒドロキシピリミジンに耐性であるG152E突然変異体(Tomeiら、2005)。
【0109】
4.3.2.3Dスクリーンプラットホームにおける薬物の作用特異性
次に、本発明者らは、ポリメラーゼからの3Dセンサーの解離が、関連薬物の結合に起因することを確認した。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272/VP16、および融合タンパク質NS5BΔ21-Gal4により一時的にトランスフェクトした。特異的NS5BインヒビターcVVS-023477およびcVVS-023476の添加は、図4に示すように、10uM最終濃度でルシフェラーゼシグナルの強力な阻害を誘発した(それぞれ、83.2%±7.5、n=15および82.6%±8.3、n=6)。cVVS-023476は、比較的低い濃度においても、ルシフェラーゼシグナルの強力な阻害を示した(1uM最終濃度において67%±8.3、n=6)。対照的に、レポーターの発現は、抗CMV/HIVポリメラーゼインヒビター、例えばフォスカーネットまたはホスホノ酢酸(Crumpackerら、1992、Lietmanら、1992)の10uM濃度での添加によって阻害されなかった(それぞれ、11.7%±4および−2.2%±33.8、N=3)。標準のHCV治療(インターフェロンと組合せて)であるリバビリンの作用機序は、ポリメラーゼの直接的な阻害に関係しているようには見えない(Lohmannら、2000、Maagら、2001)。従って、75uM最終濃度(そのEC50)で使用して、リバビリンは、ルシフェラーゼシグナルに対して顕著な効果を示さなかった(阻害8.7%±16.3、n=6)。即ち、本発明者らは、酵母においてと同様にヒト細胞において、3Dセンサーペプチドは、選択的な様式でポリメラーゼと相互作用することができるが、特異的アロステリック抗NS5Bリガンドと複合化したポリメラーゼとは相互作用することができないことを確認した。
【0110】
4.3.3.濃度-応答の関係
本発明者らの系における薬物の作用がストキオメトリック(stokiometric)であったか否かを確認するために、Hela細胞を、レポーター遺伝子ルシフェラーゼ、標的タンパク質および立体配座感受性ペプチドN21C272をコードする三つの発現プラスミドにより一時的にトランスフェクトした。増加量の参照薬物cVVS-023476またはcVVS-023477とともにインキュベートした後、ルシフェラーゼ発現を測定した。図5は、Michaelis-Mentenモデルに従う濃度-効果の関係が得られたことを示す。cVVS-023476およびcVVS-023477のIC50値は、それぞれ0.3および3.2uMであった。
【0111】
4.3.4.突然変異体プロファイリング
3Dスクリーンプラットホームにおける薬物作用の特異性は、耐性突然変異体において活性である分子のスクリーニングに有用でありうるので、本発明者らは、Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーN21C272および天然NS5BΔ21または文献に記載される異なる突然変異体のいずれかを発現するベクターでトランスフェクトした。増加濃度のcVVS023477(ベンゾチアジアジンのファミリーに属する化合物)またはcVVS-023476(インドール-N-アセトアミドのファミリーに属する化合物)とともに24時間インキュベートした後、ルシフェラーゼ発現を測定した。図6Aは、ベンゾサイアジアザイド化合物が、天然NS5BΔ21あるいはP495L、S423MまたはS282T突然変異体(ベンゾチアジアジンに感受性である)のいずれかに対しては、IC50が2〜5uMで、相当なレポーター阻害を生じた(n=2)ことを示す。他方において、同じ化合物は、ベンゾチアジアジンに耐性であると記載されている突然変異体でトランスフェクトした細胞に対しては、顕著なレポーター阻害を示さなかった。実際には、M414TおよびC316Y突然変異体については、50%シグナル阻害には到達せず、S368Aについては、IC50は天然NS5Bにおいて観察される値の10倍である。インドール-N-アセトアミド化合物を試験した場合に、本発明者らは、これが、天然NS5BΔ21および全ての試験した突然変異体を選択的に阻害することに気付いた(IC50が0.2〜2uM)[ただし、インドールに耐性であると記載されているP495L(少なくとも10倍のIC50の増加を有する)除く](図6B、n=2)。
【0112】
これらの結果は、不安定化突然変異によって乱されない限り、標的の立体配座に選択的である細胞プラットホームを創製しうることを示す。さらに、本発明の耐性突然変異体プラットホームは、標的の耐性プロファイルに従って、活性薬物と不活性薬物とを識別することを可能にする。
【0113】
同じ手法で同定されたいくつかの他のペプチド[その一つをN21 I4と命名した(配列番号62に対応する)]は、化合物cVVS-023476およびcVVS-0234777に対して、3DセンサーN21C272と同じように感受性であった。この3Dセンサーを用いて、HelaおよびHuh7肝癌由来細胞において、3Dスクリーン-NS5B突然変異体プロファイリングプラットホームを創製した。
【0114】
4.3.5.NS5BΔ21/N21C272-3Dスクリーンプラットホームの高処理量スクリーニングとの適合性
シグナル窓から始めて高処理量の要求を満たすために、アッセイをさらに最適化した。図7は、最大ルシフェラーゼ阻害後の残留シグナルが、プラットホームのバックグラウンドと同じように低かったことを示す(cVVS023477に対して8947RLU±3071、n=7、これに対し、3Dセンサーを含まない基本ルシフェラーゼ活性に対して7182RLU±6643、n=17)。また、レポーター、3DセンサーおよびL30SまたはL30R NS5B変性突然変異体のいずれかでトランスフェクトした細胞によって放出されるシグナルも、プラットホームのバックグラウンドに等価であった(L30S突然変異体に対して7636RLU±5932、n=5、および、L30R突然変異体に対して3100RLU±1610、N=3)。
【0115】
アッセイの変動性を評価するために、ルシフェラーゼレポーター、NS5BΔ21および3DセンサーN21C272をコードするプラスミドでトランスフェクトした細胞を含む20の96ウエルプレートを、三つの独立した実験において、0.5%DMSOの存在下において24時間プレーティングした。算出したS/Bは、14±0.9に達し(図8A)、CVは9.3%±1に達した(図8B)。平均Z値0.67±0.03が得られ(図8C)、大きい動的範囲にわたる低い変動性を示した。
【0116】
4.4.試験化合物ライブラリーの高処理量スクリーニング
4.4.1.一次スクリーニング
VIVALIS所有の組合せライブラリー(即ち、Vivatheque)に由来する23510のオリジナル化合物を、HeLa細胞においてスクリーニングした。三つの発現プラスミド[ルシフェラーゼレポーター、NS5BΔ21-Gal4および3Dセンサー/VP16AD(N21C272)]を、10cm皿中、400万のHela細胞において同時トランスフェクトした。2時間後に、細胞を分離し、25,000細胞/ウエルを96ウエルプレートに蒔いた。細胞付着後に化学的化合物を添加した。ルシフェラーゼ活性を24時間後に測定した。40%のルシフェラーゼ阻害を生じた1437のヒットを、一次スクリーニング中に同定した(ヒット率6.1%)。
【0117】
4.4.2.二次スクリーニング
342のヒット(スクリーニングした全化合物の1.45%)を、2回目および3回目のトランスフェクションにおいて確認した(これは23.8%の確認率である)。これらの中で、215の化合物が40%未満の細胞毒性を示した。
【0118】
4.4.3.IC50測定実験
102の選択した化合物を、純粋な粉末として購入し、その50%阻害濃度を測定した。29が、細胞毒性とは独立して、興味ある用量応答プロファイルを示した。18分子について、IC50値は10uM以下であり、該濃度で20%未満の毒性を有していた。これらのうち8つのウイルス阻害潜在能力を、Huh7(5,2)におけるレポーターレプリコン系およびHuh7(9,13)におけるRT-PCR定量的レプリコン系の両方を用いて確認した。本発明者らのプラットホームによって同定した分子のうち三つは、その抗HCV特性のために以前に特許されている。第1のcVVS013005(アミノチアゾール)は国際公開第2006/122011号パンフレットに報告されており、第2のcVVS019534(チオセミカルバゾン)は国際公開第2004/060308号パンフレットに記載されており、第3のチエノピリジンは国際公開第2006/019832号パンフレットに記載されている。
【0119】
実施例5:3Dスクリーン-NS3プラットホーム
5.1.立体配座感受性ペプチドの同定
5.1.1.酵母においてNS4A-NS3プロテアーゼと相互作用する立体配座感受性ペプチドの同定
[lexA/HCV NS4A-NS3プロテアーゼドメイン(アミノ酸1〜181)]融合タンパク質をバイトとして、およびVVS001ペプチドライブラリーをプレイとして用いて形質転換したL40/yDG1株において、酵母2-ハイブリッド実験を行った。本発明者らは、参照薬物cVVS023518[臨床試験の第2相にあるペプチド模倣インヒビター(50uM濃度)](Perniら、2006)の存在下または非存在下において、864の相互作用ペプチドをスクリーニングした。これらのうち23を、定量的β-ガラクトシダーゼ液体アッセイを用いて参照薬物の存在下において、そのシグナル消光について選択した。
【0120】
選択したペプチドをコードするプラスミドを単離し、酵母において標的に結合する各3Dセンサーの能力を確認するため、ならびに相互作用の特異性を調べるために使用した。cVVS023518を用いて同定した3Dセンサーペプチドのアミノ酸配列を決定した。ペプチド配列のいずれも、既知のタンパク質(National Center for Biotechnology Information databaseのBLASTサーチ)との有意の相同性を示さなかった。全ての配列を、発現ベクターにVP16ADと枠内で挿入して、哺乳動物細胞における小分子のスクリーニングを行った。
【0121】
5.1.2.酵母においてNS4A-NS3完全長タンパク質と相互作用する立体配座感受性ペプチドの同定
[lexA/HCV NS4A-NS3完全長(アミノ酸1〜632)]融合タンパク質をバイトとして、およびVVS001ペプチドライブラリーをプレイとして用いて形質転換したL40株において、酵母2-ハイブリッド実験を行った。本発明者らは、参照薬物cVVS023518[臨床試験の第2相にあるペプチド模倣インヒビター(50uM濃度)](Perniら、2006)の存在下または非存在下において、768の相互作用ペプチドをスクリーニングした。これらのうち15を、定量的β-ガラクトシダーゼ液体アッセイを用いて、参照薬物に対するその反応性について選択した。選択したペプチドをコードするプラスミドを単離し、酵母において標的に結合する各3Dセンサーの能力を確認するため、ならびに相互作用の特異性を調べるために使用した。
【0122】
cVVS023518を用いて同定した3Dセンサーペプチドのアミノ酸配列を決定した。ペプチド配列のいずれも、既知のタンパク質(National Center for Biotechnology Information databaseのBLASTサーチ)との有意の相同性を示さなかった。全ての配列を、発現ベクターにVP16ADと枠内で挿入して、哺乳動物細胞における小分子のスクリーニングを行った。
【0123】
5.2.ヒト細胞における3Dセンサーの検証
5.2.1.NS4A-NS3プロテアーゼと相互作用する3Dセンサーの検証
酵母において確認された3Dセンサーを、Hela細胞においてさらに調べた。細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合した3Dセンサーペプチド候補、(ii)酵母Gal4-DNA結合ドメインに融合した標的NS4A-NS3プロテアーゼ、および(iii)複合体[NS4A-NS3プロテアーゼ/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子、を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。
【0124】
23の試験した3Dセンサーのうち4つが、リガンドの非存在下において、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性化を支持した(図9A)。この結果は、これらペプチドと哺乳動物関連のNS4A-NS3プロテアーゼとの相互作用を確認するものである。予測されるように、ルシフェラーゼ活性は、ペプチド模倣インヒビターcVVS-023518の添加時に大きく低下した(図9B)。
【0125】
(i)シグナル強度、(ii)cVVS-023518の存在下においてのシグナルの阻害(2uM最終濃度で90%ルシフェラーゼ阻害)に基づいて、3DセンサーV7-62を選択し、3Dスクリーンプラットホームを創製した。
【0126】
5.2.2.NS4A-NS3完全長タンパク質と相互作用する3Dセンサーの検証
酵母において確認された3Dセンサーを、Hela細胞においてさらに調べた。細胞を、(i)トランス活性化ドメイン(VP16-AD)に融合した3Dセンサーペプチド候補、(ii)酵母Gal4-DNA結合ドメインに融合した標的NS4A-NS3完全長タンパク質、および(iii)複合体[NS4A-NS3完全長タンパク質/3Dセンサー-VP16]によって発現を誘発しうるルシフェラーゼレポーター遺伝子、を発現するプラスミドで同時トランスフェクトした。
【0127】
16の同定した3Dセンサーのうち8つが、リガンドの非存在下において、ルシフェラーゼレポーター遺伝子の活性化を支持した(図10A)。この結果は、これらペプチドと哺乳動物関連のNS4A-NS3完全長タンパク質との相互作用を確認するものである。予測されるように、ルシフェラーゼ活性は、ペプチド模倣インヒビターcVVS-023518の添加時に大きく低下した(図10B)。
【0128】
(i)シグナル強度、(ii)cVVS-023518の存在下においてのシグナルの阻害(2uM最終濃度で60%ルシフェラーゼ阻害)に基づいて、3DセンサーH5-34を選択し、3Dスクリーンプラットホームを創製した。
【0129】
5.3.3Dスクリーンプラットホームを用いる薬物の選択性決定
本発明者らは、NS3標的からの3Dセンサーの解離が、関連薬物の結合に起因し、特異的な事象によらないことを確認した。Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーターならびにNS5BおよびNS3標的のそれぞれ(その特異的3Dセンサーと一緒に)で一時的にトランスフェクトした。増加濃度の特異的NS5BインヒビターcVVS-023476(インドール-N-アセトアミド)の添加は、NS5Bプラットホームのみの強力な阻害を誘発した。また、特異的NS3インヒビターcVVS-023518は、標的効果を有意になくすことなく、NS4A-NS3プロテアーゼおよび完全長プラットホームを阻害した(図11)。これらの結果は、本発明のスクリーニングプラットホームを使用して、細胞関連の異なる標的における薬物の選択性を試験しうることを示すものである。
【0130】
5.4.突然変異体プロファイリングNS4A-NS3プロテアーゼ3Dスクリーンプラットホーム
3Dスクリーンプラットホームにおける薬物作用の特異性は、耐性突然変異体において活性である分子のスクリーニングに有用でありうるので、本発明者らは、Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーV7-62、および天然NS4A-NS3プロテアーゼまたは文献(Linら、2005)に記載されるVX950に耐性である最も頻繁に記載される突然変異体のいずれかを発現するベクターでトランスフェクトした。3DセンサーV7-62と天然またはA156V突然変異NS4A-NS3プロテアーゼのいずれかの間の相互作用は、突然変異形態については比較的低いとしても、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた(3Dセンサー-VP16ADを含まないバックグラウンドルシフェラーゼ活性の33倍、これに対し、天然のものについては80倍)(図12A)。増加濃度のcVVS-023518とともに24時間インキュベートした後に、ルシフェラーゼ発現を測定した。図13は、ペプチド模倣化合物が、天然NS4A-NS3プロテアーゼに対して強力なレポーター阻害を生じたが、同じ化合物が、耐性突然変異体A156Vでトランスフェクトした細胞に対しては、顕著なレポーター阻害を示さなかったことを示す。
【0131】
同じ手法で同定されたいくつかの他のペプチド[その一つをT1E7と命名した(配列番号63に対応する)]は、TelaprevirおよびCiluprevirに対して、3DセンサーV7-62と同じように感受性であった。この3Dセンサーを用いて、3Dスクリーン-NS4A-NS3プロテアーゼ突然変異体プロファイリングプラットホームを創製した。
【0132】
5.5.突然変異体プロファイリングNS4A-NS3完全長タンパク質3Dスクリーンプラットホーム-Hela細胞:
本発明者らは、Hela細胞を、ルシフェラーゼレポーター、3DセンサーH5-34、および天然NS4A-NS3完全長タンパク質または文献(Linら、2005)に記載されるペプチド模倣体に耐性である最も頻繁に記載される突然変異体のいずれかを発現するベクターでトランスフェクトした。3DセンサーH5-34と天然またはA156V突然変異NS4A-NS3完全長タンパク質のいずれかの間の相互作用は、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた(天然タンパク質に対しては、3Dセンサー-VP16ADを含まないバックグラウンドルシフェラーゼ活性の42倍、これに対し、突然変異したものに対しては56倍)(図12B)。増加濃度のcVVS-023518とともに24時間インキュベートした後に、ルシフェラーゼ発現を測定した。図13は、ペプチド模倣化合物が、天然NS4A-NS3完全長タンパク質に対して強力なレポーター阻害を生じたが、同じ化合物が、耐性突然変異体A156Vでトランスフェクトした細胞に対しては、顕著なレポーター阻害を示さなかったことを示す。
【0133】
これらの結果は、不安定化突然変異によって乱されない限り、標的の立体配座に選択的である細胞プラットホームを創製しうることを示す。さらに、本発明の耐性突然変異体プラットホームは、標的の耐性プロファイルに応じて、活性薬物と不活性薬物を区別することができた。
【0134】
5.6.突然変異体プロファイリングNS4A-NS3完全長タンパク質3Dスクリーンプラットホーム-Huh7細胞:
本発明者らは、Huh7肝癌細胞を、ルシフェラーゼレポーター、酵母において分離される3DセンサーVF-9A11(配列番号64)および天然NS4A-NS3完全長タンパク質または文献(Linら、2005)に記載されるペプチド模倣体に耐性である最も頻繁に記載される突然変異体のいずれかを発現するベクターによりトランスフェクトした。3DセンサーVF-9A11と天然または突然変異NS4A-NS3完全長タンパク質のいずれかの間の相互作用は、図14に示すように、ルシフェラーゼレポーターの強力な活性化を導いた(R155K突然変異タンパク質を除いてシグナル/バックグラウンドは3を大きく超える)。
【0135】
VF-9A11ペプチドと標的変異体との相互作用は、ペプチド模倣化合物cVVS-023518が試験された多くの3Dスクリーンプラットホームとして創製することを可能にする。図15に示すように、天然3Dスクリーンプラットホームは、化合物の阻害ならびに文献(Linら、2004)においてそのように記載されたD168VおよびR109Kに感受性である。高耐性であると記載された突然変異体A156VおよびA156Tは、3Dスクリーンプラットホームにおいて予測されるプロファイルを示す(Linら、2005、Sarrazinら、2007)。
【0136】
また、ペプチド模倣cVVS-023518に中耐性であることが知られているA156S、T54AおよびV36Mも、3Dスクリーンプラットホームにおいて、野生型NS3と比較して、EC50値の中程度の倍数増加を示す。図16に示すように、3Dスクリーンを用いて測定した耐性を反映するEC50値の倍数増加は、酵素またはレプリコンアッセイによって測定したものと同じ範囲内にある(Linら、2004 & 2005、Sarrazinら、2007、Welshら、2008)。
【0137】
これらの結果は、3Dスクリーン手法を利用してプロファイリングプラットホームを開発し、臨床的に記載された耐性突然変異体に対する所与の薬物の活性スペクトルを予測することができるという考えを支持する。このようなプロファイリングプラットホームは、単離したヒットをその抗ウイルス活性の範囲に従ってランク付けすることを可能にし、早期段階において最も有望な分子を選択する機会を高める。
【0138】
3Dスクリーン突然変異体プロファイリングプラットホームの関連性を、ナノモル範囲でプロテアーゼに対して活性であると記載され、臨床試験の第1相において実証されている第2のペプチド模倣インヒビターcVVS-23591(Lamarreら、2003)を用いてさらに検討した。図17に示すように、この化合物は、文献に報告されているものと同じ範囲で3Dスクリーンプラットホームにおいて、ならびに、感受性であると記載されているA156SおよびV36M変異体(Linら、2004)において活性である。
【0139】
高耐性の突然変異体A156VおよびD168V(Linら、2004 & 2005)は、図18に示すように、酵素またはレプリコンアッセイにおいて以前に報告されているものと同じ範囲で耐性を示した。
【0140】
同じ手法で同定され、VFII-N4、VFII-N13、T4C11、およびT3G5(それぞれ、配列番号65、66、67および68に対応する)と命名したいくつかの他のペプチドは、TelaprevirおよびCiluprevirに対して、3DセンサーVF-9A11と同じように感受性であった。これら全ての3Dセンサーを用いて、3Dスクリーン-NS4A-NS3完全長突然変異体プロファイリングプラットホームを創製した。
【0141】
即ち、これらの結果は、臨床的に記載された耐性突然変異体に対する所与の薬物の活性スペクトルを予測するための、確固とした信頼できるプロファイリングプラットホームの創製を示すものである。3Dスクリーン突然変異体プロファイリングプラットホームを、二つの異なるインヒビターを用いてNS5Bポリメラーゼに対して開発および実証した。また、それをNS3タンパク質に対しても開発し、二つの参照プロテアーゼインヒビターを用いて実証した。その耐性表現は、正確であり、予言的であり、酵素またはレプリコンに基づくアッセイを用いて文献に報告されている結果と関連していた。さらに、細胞に基づく3Dスクリーンプラットホームは、実施の迅速性および単純性ならびに高処理量の利点を有する。
【0142】
実施例6:3Dスクリーンプラットホームを用いる遺伝子型プロファイリング
HCV変異体は、6つの遺伝子型(1〜6)に分類され、サブタイプを示すための小文字を伴う(Le Guillou-Guillemetteら、2007)。薬物に対する感受性は、一つのHCV遺伝子型と他の遺伝子型では変化することができるため(Mannsら、2007)、本発明者らは、3Dスクリーンプラットホームが、薬物候補の予備臨床プロファイリングに非常に重要であるそのような相違を識別することができるか否かを試験した。即ち、本発明者らは、3DセンサーN21I4が、遺伝子型1aおよび1b由来のポリメラーゼNS5Bと、HelaおよびHuh7細胞において、等価な様式で相互作用することを確認した。
【0143】
Huh7細胞を、レポーター遺伝子ルシフェラーゼ、遺伝子型1aまたは1b由来の標的NS5Bおよび立体配座感受性ペプチドN21I4をコードする三つの発現プラスミドで一時的にトランスフェクトした。増加量のcVVS-023476とともにインキュベートした後、ルシフェラーゼ発現を測定した。図19は、二つの異なる遺伝子型に由来するNS5Bが、3DセンサーペプチドN21I4の存在下において、参照インドール薬物cVVS-023476に対してわずかに異なる感受性を有することを示す。
【0144】
これらの結果は、異なる遺伝子型に由来する場合であっても標的の立体配座に選択的である細胞プラットホームを創製しうることを示す。さらに、本発明のスクリーニングプラットホームを用いて、標的の遺伝子型バックグラウンドに応じて活性薬物と低活性薬物とを識別することができた。同じ原理を、標的NS4A-NS3プロテアーゼおよびNS4A-NS3完全長タンパク質に適用した。
【参考文献】
【0145】







【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的タンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定するイン・ビトロ方法であって、リガンドが該標的タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られており、以下の工程を含んでなる方法:
工程(A):該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する少なくとも一つの結合ペプチドを選択し、以下の工程を含んでなる方法:
(A1)ペプチドの組合せライブラリーを供し、該結合ペプチドが該ライブラリーの構成要素であり、該ライブラリーは多数の細胞において発現され、該細胞が該ライブラリーの全構成要素を共同で発現する工程、
(A2)該ライブラリーを、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する該ライブラリーの構成要素の能力についてスクリーニングし、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合するペプチドを選択する工程、
工程(B):工程(A2)で選択したペプチドの中から、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質に結合する能力が減少するまたは該能力を持たず、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質の変異体に結合する能力が保存された少なくとも一つの結合ペプチドを選択する工程、
工程(C):工程(B)で選択したペプチドの該標的タンパク質への結合を減少させる能力について試験化合物を試験および選択し、結合能力の減少または非存在は、試験化合物が標的タンパク質の立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示す工程、および
工程(D):工程(B)で選択したペプチドの、該標的タンパク質の変異体への結合能力を調節する能力について(C)で選択した試験化合物を試験し、
−結合の減少または非存在は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示し、該標的タンパク質の変異体が該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性ではなく、
−保存された結合は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発しないことを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節しないことを示し、該標的タンパク質の変異体が該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性である工程。
【請求項2】
工程(A)、(B)、(C)、および(D)を、完全な多細胞生物または生物の組織もしくは器官に組込まれていない細胞において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(A)および(B)を酵母細胞において行い、工程(C)および(D)を、ヒト一次細胞、ヒト胚細胞、ヒト細胞系統の中から選択される哺乳動物細胞において行う、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
工程(A)および(B)において、各細胞が、
−該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分、および
−該ペプチドの組合せライブラリーの一つの構成要素、
を同時発現し、
各細胞が、該ライブラリーの該構成要素が、該細胞中または該細胞上で該標的タンパク質または部分を結合したか否かの指標であるシグナルを生成するように、該標的タンパク質もしくは標的タンパク質の変異体または部分と機能的に結合したシグナル生成系をさらに供する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
既知のリガンドを、内生的に、または好ましくは外生的に工程Bの細胞に添加する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
該ペプチドが該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する場合に該シグナルが生成し、該ペプチドが該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体に結合することができず、該標的タンパク質に対する既知のリガンドにリガンド化される場合に該シグナルが減少するかまたは非存在である、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
工程(C)および(D)を細胞において行い、該細胞が、
(a)該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分および
(b)工程(B)で選択され、既知のリガンドの非存在下において、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合することができる該ペプチド
を同時発現し、
該細胞が、該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分と機能的に結合したシグナル生成系をさらに供し、それにより、
−試験化合物の存在下においての該ペプチドの該タンパク質への結合が、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与え、それにより、該ペプチドが工程(C)および(D)の細胞中または細胞上において、該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体または部分を結合すること、ならびに、該試験化合物が該標的タンパク質または標的タンパク質の変異体の立体配座を修飾しないことの指標であるシグナルを生成する、あるいは
−試験化合物の存在下においての該ペプチドの該タンパク質への結合の減少または非存在が、機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を可能にせず、それにより、該試験化合物が該標的タンパク質または該標的タンパク質の変異体の立体配座を修飾することの指標であるシグナルを生成しない、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
該シグナル生成系が、
−キメラタンパク質を供給するための、該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分に融合させた、タンパク質結合した成分および
−キメラペプチドを供給するための該ペプチドに融合させた、ペプチド結合した成分
を含んでなり、これにより、ペプチド結合およびタンパク質結合した成分が、ペプチドの標的タンパク質への結合の結果として物理的に接近することになった場合に、シグナルを生成する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
成分の一つがDNA結合ドメイン(DBD)であり、他の成分が相補性トランス活性化ドメイン(AD)であり、シグナル生成系が、該DNA結合ドメインによって結合されたオペレーターに機能的に結合した少なくとも一つのレポーター遺伝子をさらに含み、ペプチドの標的タンパク質への結合が、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与えるものである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
該シグナル生成系が、
(i)キメラペプチドを供給するための該ペプチドに融合させた相補性トランス活性化ドメイン(AD)、
(ii)キメラタンパク質を供給するための、該標的タンパク質もしくは該標的タンパク質の変異体、またはそのリガンド結合タンパク質部分に融合させたDNA結合ドメイン(DBD)、および
(iii)該DBDによって結合されたオペレーターに機能的に結合した少なくとも一つのレポーター遺伝子を含むシグナル生成系
を含んでなり、これにより、該ペプチドの該タンパク質への結合が、該レポーター遺伝子の発現を活性化する機能的なトランス活性化アクチベータータンパク質の構成を与え、これにより、該ペプチドの、該標的タンパク質または標的タンパク質の変異体またはそのリガンド結合タンパク質部分への結合の指標であるシグナルが、工程(A)、(B)、(C)、または(D)において使用する細胞中または細胞上に生成する、請求項4〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
DBDが、Gal4、およびLexAからなる群から選択され、ADが、大腸菌B42、Gal4活性化ドメインII、およびHSV VP16からなる群から選択されるものである、請求項4〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
レポーター遺伝子が、酵母遺伝子HIS3、LEU2、TRP1、URA3、および抗生物質耐性遺伝子からなる群から選択される耐性選択遺伝子である、請求項6〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
工程(C)および(D)において試験化合物のスクリーニングおよび選択に使用するレポーター遺伝子が、DHFR、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコールアセチル-トランスフェラーゼ、ベータ-ラクタマーゼ、アデニル酸シクラーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、およびベータ-ガラクトシダーゼ、および自己-蛍光タンパク質をコードする遺伝子からなる群から選択されるものである、請求項4〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
試験化合物を、内生的に、または好ましくは外生的に工程(C)および(D)の細胞に添加する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
標的タンパク質が、ウイルスタンパク質、細菌タンパク質、植物タンパク質、動物タンパク質、およびヒトタンパク質の中から選択されるものである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
該標的タンパク質の変異体が、標的タンパク質を含む突然変異、該標的タンパク質の多型、該標的タンパク質との配列相同性を含むタンパク質の中から選択されるものである、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
該標的タンパク質が、コアタンパク質、糖タンパク質E1およびE2、NS1、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5Bの中から選択されるC型肝炎ウイルスタンパク質である、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
コアタンパク質、糖タンパク質E1およびE2、NS1、NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、NS5Bの中から選択されるC型肝炎ウイルスタンパク質の変異体の生物学的活性を調節する試験化合物の能力を決定するイン・ビトロ方法であって、リガンドが該標的タンパク質の生物学的活性を調節することが予め知られており、以下の工程を含んでなる方法:
工程(A):該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する一つの結合ペプチドを選択し、以下の工程を含んでなる方法:
(A1)ペプチドの組合せライブラリーを供し、該結合ペプチドは該ライブラリーの構成要素であり、該ライブラリーは多数の細胞において発現され、該細胞は該ライブラリーの全構成要素を共同で発現する工程、
(A2)該ライブラリーを、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合する該ライブラリーの構成要素の能力についてスクリーニングし、該標的タンパク質および該標的タンパク質の変異体に結合するペプチドを選択する工程、
工程(B):工程(A2)で選択したペプチドの中から、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質に結合する能力が減少するまたは該能力を持たず、該既知のリガンドの存在下において該標的タンパク質の変異体に結合する能力が保存された少なくとも一つの結合ペプチドを選択する工程、
工程(C):工程(B)で選択したペプチドの該標的タンパク質への結合を減少させる能力について試験化合物を試験および選択し、結合能力の減少または非存在は、試験化合物が標的タンパク質の立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示す工程、および
工程(D):工程(B)で選択したペプチドの、該標的タンパク質の変異体への結合能力を調節する能力について(C)で選択した試験化合物を試験し、
−結合の減少または非存在は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発することを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節することを示し、該標的タンパク質の変異体は該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性ではなく、
−保存された結合は、該試験化合物が、該標的タンパク質の変異体に立体配座変化を誘発しないことを示すものであり、該試験化合物が該標的タンパク質の生物学的活性を調節しないことを示し、該標的タンパク質の変異体は該試験化合物による該生物学的活性の調節に耐性である工程。
【請求項19】
該標的タンパク質が、C型肝炎ウイルスタンパク質NS5Bであり、該NS5Bの変異体が、好ましくは、M414T、S368A、C316Y、Y448H、P495L、S419M、M423T、S282T、S96T、N142T、G152E、P156Lからなる群から選択されるNS5B変異体の中から選択されるものである、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
C型肝炎標的タンパク質NS5Bの既知のリガンドが、ベンゾチアジアジン(N-1-シクロブチル-4-ヒドロキシキノロン-3-イル-ベンゾチアジアジン)、N-インドールアセトアミド(1-{[6-カルボキシ-2-(4-クロロフェニル)-3-シクロヘキシル-1H-インドール-1-イル-]アセチル}-N,N-ジエチルピペリジン-4-アミニウムクロリド)、HCV796、GS9190、MK3281、およびVCH759からなる群から選択されるものである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
該標的タンパク質が、C型肝炎ウイルスタンパク質NS3であり、該NS3の変異体が、好ましくは、A156V/S/T、D168A/V、V107A、R155K、T54A、V36M、V36M/A156T、V36A/A156、V36M/R155K、V36T/T54、V36M/T54A、A156V/R155Kからなる群から選択されるNS3変異体の中から選択されるものである、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
C型肝炎標的タンパク質NS3の既知のリガンドが、ペプチド模倣抗NS3プロテアーゼ(2-(2-{2-シクロヘキシル-2-[(ピラジン-2-カルボニル)-アミノ]-アセチルアミノ}-3,3-ジメチル-ブチリル)-オクタヒドロ-シクロペンタ[c]ピロール-1-カルボン酸(1-シクロプロピルアミノオキサリル-ブチル)-アミド)、BILN2061、ITMN191、TMC435350、およびSCH503034からなる群から選択されるものである、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2011−517397(P2011−517397A)
【公表日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550220(P2010−550220)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/053101
【国際公開番号】WO2009/112592
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(504341128)
【Fターム(参考)】