説明

標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置

本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析するための細長い中空管状体に関し、該管状体は、液体のフロースルーを可能にする通り抜けチャネルを有し開放端に配置された支持体と、他端にマウスピースとを具備する。特に、ディスポに関連付けられた、0.1〜1mlの標準ピペットチップ形のフロースルーアレイ技術を提供する。いくつかのマーカーを予めスポットした装置は、ディスポチップを操作することができるロボット/液体ハンドリングシステムに使用することができる。ロボット/液体ハンドリングシステムは、フロースルーアレイ中のマーカーの結合を含め、システム上で注射器によって全ての液体ハンドリングステップを実施する能力を有する。さらに、全てのインキュベーションステップは、プラットフォーム上で実施することができ、このプラットフォームはインキュベーター装置と、そのシグナルを分析するための光学読取り装置を備える。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的に、生物医学試験は、標的分子または試料中の分析物と、確立された量および位置で存在する既知のプローブ分子との間の相互作用の検出に基づく。現在、試験では、プローブ分子は支持体上のライブラリの形で、マイクロアレイまたはチップの形で使用され、多数のプローブに対する標的分子の同時試験が可能である。マイクロアレイの製作は当技術分野で周知である。マイクロアレイでは、プローブは予め定められたアドレス可能位置に位置している。プローブは、事前に作製し支持体上に固定され、または支持体上に合成される。
【0002】
標的分子とプローブ分子の間の相互作用の検出は一般的に以下のように実施される。標的分子のプローブ分子への特異的結合が可能になる十分限定された条件下で、プローブ分子はマイクロアレイの形で支持体上の特定の位置に存在し、標的分子は溶液として提供される。標的分子と対応するそのプローブ分子との間の結合は、標的分子と標的分子に特異的ではないランダムプローブとの間のa−特異的相互作用よりも実質的に安定している。プローブ分子に特異的に結合しないa−特異的標的分子を除去するためには、支持体を漱ぎ、洗浄し、または加熱する。
【0003】
標的分子とプローブ分子の間の特異的相互作用の検出は、様々な方法によって実施することができ、検出は一般的に検出可能なマーカーの使用を含む。検出可能なマーカーは、プローブとの相互作用の前に標的分子に取り付けても、または標的分子がプローブ分子と相互作用した後に使用してよい。典型的には、これらのマーカーは蛍光基を含み、他のマーカーに比べて高密度であっても正確な局在化を可能にする一方で、これらのマーカーは大量に比較的低コストで使用することができる。
【0004】
確かに、臨床研究所および創薬研究は、生産性を上昇させ、コストを削減し、標本間ばらつきを排除するために、多数の検定を実施しなければならず、そのために自動化解決策が開発され設置されている。通常、システムを基にした自動化は、研究室自動化における第1のステップであり、その自動化によって所要時間が改善され、オペレーターの介入が最小限に抑えられる。例は、特に、自動ロボットプラットフォームにおいて標準スクリーニング機器を使用できるようにする、SBS(分子生物スクリーニング学会)標準型式である。例えば、96、384、または1536個のリアクター域またはウェルのアレイを有するプレート型式を使用することによって、多数の化学反応および/または生化学反応の並列処理が可能になり、非常に効率的な高処理能力反応がもたらされる。システムプレートは、識別のためにバーコード化することができる。
【0005】
しかし、例えば、既存のロボットHTS(高処理能力スクリーニング法)プラットフォーム上で標準スクリーニング機器を使用できるようにするSBS標準型式による自動化解決策は、マイクロアレイシステムには直接にはなじまないばかりか、費用がかかり、さらに設備がいる。標準機器型式に適合させることによって、手動ワークフローステップは減少し、資源の割当ては改善し、所要時間も改善し、操作費用は減少し、全体的効率および生産性が改善し、安全性も改善し、および/または過誤割合が減少する。
【0006】
WO03/059516は、アレイ工程を実施するための反応槽について記載している。典型的な形状および大きさの反応槽は、その上にプローブ分子が固定され、容器の基底表面に配置された支持体要素を具備する。この反応槽は、自動HTSには適切ではない。
【0007】
米国特許第5,545,531号および同第5,874,219号は、それぞれがマイクロアレイを含む複数の試験ウェルを備えた生物学的チッププレートを提供することによって、多数の生物学的チップを同時に処理する方法について記載している。しかし、この型式は末端使用者の融通性を減少させる。全てのマイクロアレイは、同時に使用されるが、これは必ずしも必要でなくてもよい。通常、マイクロアレイは一回の試験ごとの主たる費用となる。さらに、マイクロアレイの構成物は全て、プレートごとに固定されるが、試験次第では異なるマイクロアレイが必要となりうる。
【特許文献1】WO03/059516
【特許文献2】米国特許第5,545,531号
【特許文献3】米国特許第5,874,219号
【特許文献4】米国特許第6,383,748号
【特許文献5】欧州特許出願第0975427号
【特許文献6】米国特許第5,744,305号
【特許文献7】WO98/31836
【特許文献8】米国特許第5,525,464号
【特許文献9】WO95/09248
【非特許文献1】Harmes and Higgins, 核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization): A Practical Approach, 1985, IRL Press, Oxford, England
【非特許文献2】Sambrookら,1989(Molecular Cloning: a laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press USA)
【特許文献10】WO95/21944
【非特許文献3】1999年9月にDecision Resourcesにより出版された「分子診断学の商業的応用(The commercial applications of molecular diagnostics)」
【特許文献11】欧州特許公報第1056884号
【特許文献12】WO03/052142
【非特許文献4】Favisら(2000, Nature Biotechnology 18:561-564)
【非特許文献5】Bustiら(2002, BMC Microbiology 2:27−39)
【特許文献13】PCT/EP98/04938
【非特許文献6】Klerksら、J. Vir. Methods 93 (2001)115-125
【特許文献14】WO99/02266
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術の上記記述から自動化に適切であるが、対費用効果が高く、通例の必要性に対して融通のきく解決策を提供するマイクロアレイに対する連綿たる必要性が存在することは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、これらの要求に対処する支持体を備えた細長い中空管状体を提供する。
【0010】
本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析するための細長い中空管状体に関し、この管状体は、液体のフロースルーを可能にする通り抜けチャネルを有し開放端に配置された支持体と、他端にマウスピースとを具備している。特に、ディスポに関連付けられた、0.1〜1mlの標準ピペットチップ形のフロースルーアレイ技術を提供する。いくつかのマーカーを予めスポットした装置は、ディスポチップを操作することができるロボット/液体ハンドリングシステムに使用することができる。ロボット/液体ハンドリングシステムは、フロースルーアレイ中のマーカーの結合を含め、システム上で注射器によって全ての液体ハンドリングステップを実施する能力を有する。さらに、全てのインキュベーションステップは、プラットフォーム上で実施することができ、このプラットフォームはインキュベーター装置と、そのシグナルを分析するための光学読取り装置を備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置であって、内部流路を限定する近位端と遠位端を有する管状の収納体と、前記内部経路を妨げる、収納体の中または上に設けられたフロースルー支持部材とを備え、前記フロースルー支持部材には、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を可能にするのに適当な通り抜けチャネルが設けられている上記装置に関する。
【0012】
本明細書および添付の特許請求の範囲では、前後関係が明瞭にそうでない場合を示さない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は複数の意味を含む。特に明記しない限り、本明細書で使用する技術的および科学的用語は全て、当業者が一般に理解する意味と同じ意味を有するものとする。
管状の収納体
【0013】
本発明の管状の収納体(107)(図1)は、収納体近位端(102)にマウスピース(103)と、マウスピースと反対の遠位側(101)に開放端を有する。マウスピースは、本体をハンドリング装置に固定するために使用される。マウスピースは、ハンドリング装置の円錐状突部すなわちホルダー上に本体を絞り出すための円錐状受入器でありうる。本体は、ハンドリング装置上に放出可能に固定され、その結果使用後に本体を処分し、新しい本体と交換することができる。
【0014】
したがって、本発明は、本明細書に記載するような、ホルダーに放出可能に装着された装置(100)に関する。開放端は、液体を吸引し放出するために開口している。管状の収納体は、内部流路を限定する近位端(102)および遠位端(101)を有する。主として所定の量の液体を収納体の内および外へ内部流路を介して入れ換えることは、通常、周囲圧力とハンドリング装置内圧力との間の圧力差によって見積もる。この圧力差は、エアクッションによってもたらすことができる。装置が、微小なチャネルを有する多孔質支持体など、フロースルー支持部材を備えている場合、圧力差を調節して液体の適切な流れを確保しなければならない。流体工学に関する考察は、米国特許第6,383,748号に記載されており、その全ての内容は本明細書に援用したものとする。装置(100)は、収納体(107)の遠位端(101)、例えば、図1B、または前記収納体(107)内、例えば、図1Aおよび図1Cに位置する支持部材(104)を備える。支持体平面は、収納体の縦軸に対して実質直角に伸展してよい。
【0015】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、支持部材(104)が、例えば図1Bのように収納体(107)の遠位端(101)に設けられ、または例えば図1Aおよび図1Cのように収納体(107)の遠位端(101)の近傍に設けられた装置に関する。
【0016】
本発明の装置の収納体は、円筒構造、または実験用ピペットチップに典型的な形状および大きさ、例えば、円錐円筒状本体、または円筒構造からテーパーリングする錐台構造を備えた円筒構造を有しうる。支持部材(104)を備えた典型的な実験用ピペットチップを図2A(収納体内側)および図2B(収納体遠位端上)に記載するが、図2Bではピペットチップの遠位端部が取り除かれている。本発明で企図する典型的な実験用ピペットチップは、例えば以下のピペット容量を提供することができる。Beckman Biomek、Clay Adams selectapette、Eppendorf、Finnpipette、Oxford、またはPipetmanによって製造された、例えば、1〜100μl、1〜200μl、1〜250μl、10〜500μl、100〜200μl、100〜1000μl、200〜500μl、200〜500μl、500〜1000μl、および1〜5mlの量である。図3Bは、基本的に、多量のポリプロピレンで製造された通常の1mlピペットチップの寸法を示す。長さは約7.2cmであり、マウスピースの口径は内径約8mm、遠位端口径は約1mmである。図3Aは、本発明による装置(100)の実施形態を示す。遠位端部分を取り除き、収納体長を約5.6cmに減少し、遠位端(101)の口径を約5mmに広げている。支持部材(104)は、収納体(107)遠位端に取り付けられている。この構造によって支持部材への到達が容易になる。装置遠位側の開放端は、試薬や試料などを含む容器またはウェル、例えば、SBSプレートのウェルなどに適合するのが好ましい。支持部材(104)を収納体(107)内に設けた場合は、支持部材の遠位にある収納体直径は、少なくとも支持部材直径であることが好ましい。支持部材(104)を収納体(107)中に設け、かつ支持部材の遠位にある収納体直径が支持部材直径より小さい場合、支持部材の遠位にある収納体の一部を分析前に取り除くことができる。収納体がハンドリング装置に取り付け可能であり、かつ支持部材を備えている場合、装置の他の構造および寸法も実施可能であることを当業者なら理解されよう。
【0017】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、実験用ピペットチップに典型的な形状および大きさを備える装置に関する。従って、本発明による装置は、10μl〜10mlの容量を含むことができ、好ましくは約1mlである。
【0018】
さらに、本発明は、本明細書に記載するような、直径が一定であり遠位側へテーパーリングする錐台構造を有する収納体を備えた装置であって、支持体が錐台構造内側の収納体遠位端、または直径が一定の収納体内に配置された装置に関する。
【0019】
装置の収納体は、容易に大量に費用効率が高く製造されることが好ましく、当技術分野で標準の物質から製造しうる。実施形態では、収納体本体を製造する物質は、ガラス、ガラスセラミック、プラスチックをコートしたガラス;金属、例えば、ステンレス鋼、白金、および/またはアルミニウム;ゴム、またはプラスチック、例えば、トパーズ、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレン、ポリスチロール、PET(ポリエチレンテレフタラート)、ポリカーボネート、シリコーン、ポリテトラフルオロ−エチレン、(テフロン登録商標)、ポリメチルメタクリラート、および/またはポリメタン−エチルアクレラートからなる群から選択される。他の物質も特定の必要に応じて実施可能であることは当業者なら理解されよう。
支持部材
【0020】
支持部材(104)は、例えば図1Bおよび図6Cに示すように収納体(107)の遠位端(101)に、または例えば図1Cに示すように内部経路を妨害して収納体(107)の内側に装着することができる。
【0021】
支持部材は、成形、接着、熱接着、光硬化型接着、化学接着などによって収納体に、または収納体中に配置することができる。支持部材は、完全な内部円筒空胴または本体口径に渡って収納体と連結し、それによって内部経路内にバリアを形成し、液体およびガスの流れすなわち通過を妨げるが好ましい。その結果、液体は、収納体壁と支持部材の間の隙間を通らず、少ない抵抗で支持部材のチャネルを通るように方向づけられる。支持部材と、収納体壁または収納体遠位端の間のどんな隙間も、例えば、シリコーン、ゴムなどの封止物質によって閉鎖することができる。支持部材を収納体に取付けるのに適用可能な接着剤は、当技術分野で知られており、例えば、ポリジメチルシロキサン、例えば、Sylgard 182またはSylgard 184(Dow Corning, Midland, Michigan, USA)、シロキサン系接着剤、ポリウレタン系接着剤、エポキシド樹脂系接着剤、シアンアクリラート系接着剤、アクリル系接着剤および/または熱ベース接着剤がある。
【0022】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、支持部材が収納体の口径に渡る装置に関する。
【0023】
本発明を完全に理解するために、支持部材は、好ましくは多孔質、すなわち、液体透過性があり、液体は支持部材のチャネルの内および外へ通過することができる。本発明で使用する「チャネル」という用語は、多孔質支持体部材の単一の細孔をさす。本発明で有用な孔径の特に適当な例は、約10〜500nm、50〜400nm、100〜300nm、または約200nmである。本発明の装置で有用な支持部材は、mmあたり約10〜10、10〜10本の細孔を含むことができ、または10孔が好ましい。空孔率は、約20〜80%、30〜70%、40〜60%の範囲、または約50%であってよい。厚さは、特に制限されない。支持部材、特に金属酸化物の好ましい厚さは、約20〜500μm、30〜250μm、40〜100μmの範囲であり、または約60μmである。
【0024】
支持部材は、収納体の内部経路を妨げ、支持部材のチャネルの通過を方向づける。
【0025】
従って、本発明は、チャネルが、収納体の縦軸と実質同軸に伸展する支持部材にも関する。
【0026】
多孔質という支持部材の性質は、その構造を通る加圧された流体、例えば、試料溶液の動きを容易にする。二次元支持部材とは対照的に、本明細書に記載した方法で使用される、フロースルーという三次元支持部材またはマイクロアレイの性質は、ハイブリッド形成時間を著しく減少し、シグナルおよび信号対雑音比を増加させる。さらに、陽圧または陰圧を支持部材に加えて、支持部材のチャネルを通して試料溶液を動的にポンプアップおよびポンプダウンすることができる。支持部材に繰り返し圧力差を加え、それによって支持部材のチャネルに流体を強制的に通過させ、続いてウェルに戻すことによって成分がよく混合され、したがって泡立て、攪拌、ボルテックス攪拌、または振盪などの機械的混合法の代わりとなる。効率的な使用は、支持部材のチャネルの毛細管力によって生じる。チャネルの寸法および流体の組成が、かける圧力を特に評価することは当業者なら理解されよう。
【0027】
本発明で支持部材として使用するのに適当ないくつかの物質は、当技術分野で示されている。本発明で支持部材として使用するのに特に適当な物質は、当技術分野で知られている任意の型の固体多孔質支持体を含む。支持部材は、シート、フィルム、またはメンブレンの形であってよく透過性であってよい。例えば、支持部材は、金属酸化物膜からなりうる。多孔質支持体部材は平面であることが好ましい。プローブ分子が固着する表面は、多孔質支持体部材の外表面または内表面でありうる。特に、支持部材が多孔質である場合、プローブ分子は、内表面に取り付けられる可能性が高い。固体支持体部材が多孔質である場合、システムの特質に応じて様々な孔径を使用することができる。
【0028】
多孔質支持体部材の材料は、例えば、金属、金属酸化物、例えば酸化アルミニウム、セラミック金属酸化物、微細加工多孔質シリコン、または有機ポリマー、例えばナイロンフィルター、メンブレンからなる群から選択することができる。強度および強剛性を考慮して、金属またはセラミック金属酸化物を使用してもよい。耐熱性および化学薬品耐性を考慮して、金属酸化物が好ましいであろう。さらに、金属酸化物によって、チャネル密度が高く空孔率も高い支持体が得られ、試料を適用する表面1ユニットにつき異なるプローブ分子を含む高密度アレイがもたらされる。さらに、金属酸化物は可視光に対して透明度が高い。金属酸化物は、いかなる通常の微細加工技術も使用しなくてもよい比較的安価な支持体である。金属酸化物によって、支持体表面への液体分配の制御が改善される。通り抜け配向性チャネルを有する金属酸化物膜は、金属シートの電気化学エッチングによって製造することができる。金属酸化物の種類は特に限定されない。金属として、例えば、ステンレス鋼(焼結金属)の多孔質支持体部材を使用することができる。耐熱性を必要としない適用例には、有機ポリマーの多孔質支持体部材を使用することもできる。
【0029】
考えられる金属酸化物は、特に、ジルコニウム、シリカ、ムライト、菫青石、チタン、ゼオライトもしくはゼオライト類似体、タンタル、およびアルミニウムの酸化物、ならびに2種以上の金属酸化物およびドープ金属酸化物の合金、ならびに金属酸化物を含む合金である。
【0030】
実施形態では、本明細書に記載する支持部材は酸化アルミニウム支持部材である。
【0031】
多孔質の場合、透明または半透明であれば、支持部材はいかなる厚さであってもよい。金属酸化物支持体は、特に、湿っている場合は透明であり、それによって様々な光学技術を使用するアッセイが可能になる。そのような支持体は、直径が首尾よく制御され、有用な化学表面特性を備えた配向性通り抜けチャネルを有する。欧州特許出願第0975427号が、この点において例示的であり、特に本発明に援用される。
【0032】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、光学的に透明または半透明の支持部材を備えた装置に関する。
【0033】
実施形態では、収納体(107)は、気体および液体を通すことができるフィルター(105)を備え、圧力差を見積もる。フィルターは、疎水性フィルターであってよい。フィルターは、蒸気が上昇してハンドリング装置中に侵入し、これを汚染することを防止する。フィルター(105)は、収納体(107)内側の位置、支持部材(104)の位置と、近位端(102)の吸口部(103)の位置の中間、例えば、吸口部近傍(図1Aおよび図3A)に固定することができる。
【0034】
別の実施形態では、装置は収納体(107)開口部を部分的に遮蔽するシールド部材(106)をさらに備える。シールド部材(106)は、収納体(107)内の位置、支持部材(104)の位置と吸口部(103)の中間に固定することができ、好ましくはフィルター(105)の位置と支持部材(104)の中間に固定することができる。このようにして、収納体(107)内の試料流体が支持部材(104)近位側(102)に、主としてシールド部材(106)の近位に輸送された場合、遠位側(101)から支持部材をリアルタイムで読み取り、試料流体中の自由標識によって生じるいかなるバックグラウンドシグナルも回避することができる。図1Aに示す装置には、遠位端(101)開口部を部分的に遮蔽するシールド部材(106)が設けられている。示されている実施形態の楔形横断面を有するシールド部材(106)は、支持部材(104)の界面(109)に対して傾斜した好ましくは平面下面(108)を有している。このようにして、支持部材(104)の(キャピラリ)チャネルを通過する流体は、図4の横断面によれば、支持部材(104)の界面(109)に対して左から右へ傾斜した下面(108)に徐々に接触し、それによっていかなる気泡も回避される。下面(108)が傾斜したシールド部材の形は、支持部材(104)のチャネルを通して試料流体を輸送中、試料流体の混合をさらに改善する。シールド部材(106)下面(108)の斜面角度は、少なくとも5°であることが好ましい。シールド部材は、楔形横断面を備えていてよい。
【0035】
例えば、高処理能力薬物スクリーニングで分類を向上させるために、本発明は、装置が識別用コード、好ましくはバーコードを有しうることを企図している。バーコードは、収納体上に付してよい。さらに、または代わりとして、支持部材が識別用コードを有していてもよい。
支持部材上のプローブ分子
【0036】
支持部材は、標的分子と相互作用しうるプローブ分子を含むことができる。支持部材は、少なくとも一種のプローブ分子を有しうるが、1種類を超えるプローブ分子を有するのが好ましい。プローブ分子はアレイ状に配置してよい。本明細書で使用する「アレイ」という用語は、プローブ分子の収集物であって、その少なくとも2つは異なることが好ましく、空間的に限定され物理的にアドレス可能なように配置された収集物に関する。この点で、「スポット」という用語は、遠位側支持部材上のプローブまたはプローブ型の、空間的に限定され物理的にアドレス可能な位置に関する。「アレイ」および「マイクロアレイ」という語は、本記述全体にわたって互換的に使用される。プローブは、支持部材の上および/または中にアドレス可能な行と列で配列され、その場合、支持部材の寸法はプレート状試験ウェルまたは試験管の寸法と一致することが好ましい。プローブの選択およびアレイ内でのその組織化は、どの支持部材を使用するかによる。本発明のアレイは、任意の所望の大きさでよく、2個のスポットから10個のスポット、またはより多くてもよい。それより多い数および少ない数は、極めて小さいまたは大きい支持部材を用いた作業を実際に考慮することによってのみ決定される。所与の支持部材の大きさについて、上限はマイクロアレイ中にスポットを形成し検出できる能力によってのみ決定される。一般的に、マイクロアレイの好ましいスポット数は、マイクロアレイの特定の用途に依存する。例えば、ハイブリッド形成による配列決定には一般的に大きいアレイが必要とされるが、変異の検出にはほんの小さいアレイが必要とされるであろう。一般に、マイクロアレイには2〜約10個のスポット、または約4〜約10個のスポット、または約8〜約10個のスポット、または約10〜約2000個のスポット、または約20〜約1000個のスポット、または100〜500個のスポット、または約300個のスポットが含まれる。図3Cおよび図6Bに、支持部材(104)をその遠位端(101)に取り付けた収納体(107)の分解図を遠位から近位方向に示して実施形態を記載するが、その際、支持部材(104)は、プローブ分子を含む196個の個々のスポット(111)を有し、そのスポット(111)は行と列のアレイ(110)で配置されている。図3Dは、64個の個々のスポット(110)を含む別の実施形態を示す。アレイ上のスポットが全て、唯一である必要はない。実際、多くの適用例では多数の標的が検出され、さらに、スポットの重複性は内部標準として作用することを目的に使用されている。
【0037】
実施形態では、本発明は本明細書に記載するような、前記支持部材が、標的分子と相互作用するのに適当なプローブ分子を備え、好ましくは前記プローブ分子が前記通り抜けチャネル内に存在する装置に関する。
【0038】
プローブ分子は、合成し、続いて支持部材上に取り付けることができ、またはプローブ分子は基板表面に直接合成してよい。様々な技術がポリヌクレオチドのアレイを合成し、および/または固定するために記載されており、ポリヌクレオチドを基板表面に直接合成するin situ合成(例えばFodorらへの米国特許第5,744,305号参照)、および予備合成したポリヌクレオチドを基板表面の別個の位置に取付けること(例えばWO98/31836参照)が含まれる。別の方法は、WO98/31836のp.41〜45およびp.47〜48に記載されている。本発明は、これらの現在利用可能な技術または後に開発される技術のどれとも使用するのに適している。予備合成したポリヌクレオチドを異なる空間アドレスに固定化することによって、その空間アドレスによりその配列を同定できるポリヌクレオチドのアレイがもたらされる。
【0039】
本明細書で使用するような「プローブ分子」という用語は、別々の分子、および例えば蛋白質エピトープなどの分子部分、その両方をさす。本発明で使用しうるプローブ分子の非限定的な例には、それだけには限らないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、精製した抗体、合成抗体を含む抗体、特異的抗原決定基に反応する抗血清(ウイルス、細胞、他の物質など)、蛋白質、ペプチド、ポリペプチド、酵素結合部位、細胞膜受容体、脂質、プロテオリピド、薬物、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、糖類、多糖類、細胞、細胞膜および細胞オルガネラ;デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、およびペプチド核酸(PNA)、アプタマーを含む核酸、またはそれらのいかなる組合せ;補因子、レクチン、代謝産物、酵素基質、金属イオン、ならびに金属キレートが含まれる。
【0040】
本発明の実施形態では、本明細書に記載した装置は、核酸、ペプチド、蛋白質、および抗体からなる群から選択されるプローブ分子を有する支持体を備える。
【0041】
本明細書で使用する「核酸」という用語は、ヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチドやリボヌクレオチドから構成したポリマーを意味する。本明細書で使用する「リボ核酸」および「RNA」という語は、リボヌクレオチドから構成したポリマーを意味する。本明細書で使用する「デオキシリボ核酸」および「DNA」という語は、デオキシリボヌクレオチドから構成したポリマーを意味する。本明細書で使用する「オリゴヌクレオチド」、「プライマー」、および「プローブ」という語は、長さ約6〜150、約10〜約100、または約12〜約60ヌクレオチドの一本鎖ヌクレオチド多量体を示す。本明細書で使用する「ポリヌクレオチド」という用語は、約10〜約100ヌクレオチド長のヌクレオチドモノマーから構成した、通常、約100ヌクレオチド長を超え約1000ヌクレオチド長までの一本鎖または二本鎖ポリマーをさす。オリゴヌクレオチドは、必ずしもではないが一般的にin vitroで合成される。約6〜150塩基長であり、大きい配列の部分配列(subsequence)である核酸セグメントはオリゴヌクレオチド配列とも呼ばれる。
【0042】
本発明の別の実施形態では、本明細書に記載した装置は、DNA分子および/またはRNA分子からなる群から選択されるプローブ分子を有する支持部材を備える。
【0043】
本発明の別の実施形態では、プローブ分子は、所定の組のオリゴヌクレオチドを含み、各組はそれぞれの標的核酸配列に特異的であるように選択される。
【0044】
本明細書で使用する「標的」という用語は、所与のプローブに親和性を有する分子を含意する。標的は、自然発生分子または人工分子であってよい。さらに、標的は未変化状態で、または他の種との凝集物として使用することができる。標的は、共有結合または非共有結合により結合メンバー、すなわち、プローブ分子に直接または特異的結合物質を介在させて取り付けることができる。本発明によって使用されうる標的の例には、それだけには限らないが、抗体、細胞膜受容体、モノクローナル抗体および(例えばウイルス、細胞、他の物質上の)特異的抗原決定基に反応する抗血清、薬物、オリゴヌクレオチド、核酸、ペプチド、補因子、レクチン、糖類、多糖類、細胞、細胞膜、およびオルガネラが含まれる。標的は、当技術分野で抗プローブと呼ばれる場合もある。標的という用語を本明細書で使用する限り、意味における相異はないものとする。
装置
【0045】
本発明による装置(100)は、ロボット装置すなわち流体ハンドリング装置による操作にかけることができ、この流体ハンドリング装置は、試料中の標的分子とプローブ分子の間の反応を行うステップ、および支持部材を調べて標的分子とプローブ分子の間の相互作用を検出する検出装置にこの装置を供するステップを自動的に実施する(例えば、図5Aおよび図5Bを参照)。このために、自動またはロボット化された分析装置のピペットシステムなど、ハンドリング装置のホルダーにこの装置を放出可能に装着することができる。一般的に、本発明装置上のマイクロアレイでのアッセイには、湿潤化し予め活性化させるステップ、続いて混合を含め、選択した反応条件下でプローブ分子を流体試料と接触させるステップ、任意に支持部材を洗浄して未反応分子を除去するステップ、および標的分子とプローブ分子の間の相互作用の形跡を求めてアレイを分析するステップが含まれる。これらのステップにはハンドリング流体が必要である。本発明の方法は、これらのステップを自動化して、例えば、試料をアレイ上の多数のプローブ分子に接触させ、試料を多数の異なるアレイに接触させ、または多数の試料のそれぞれをアレイに接触させるなど、多数のアッセイが同時に実施されるようにし、アレイは各場合で異なってもまたは同じでもよい。従って、本発明は、アッセイステップを同時に実施するための、支持部材のそれぞれが装置の収納体に取り付けられた自動流体ハンドリングシステムを使用する。流体ハンドリングによって試料の均一の処理が可能になる。マイクロタイターロボット装置および流体ハンドリング装置は、例えば、Tecan Group Ltdから市販されている。装置は、様々なプロセスおよび転位ステップを制御するプログラムを有するコンピュータを具備してよい。
【0046】
支持部材を備える装置は、流体ハンドリング装置のホルダー上に導入する。このロボット装置は、温度などの適当な反応条件をセットし、支持部材へ試料を添加し、適当な時間、支持部材をインキュベートおよび混合し、未反応試料を除去し、支持部材を洗浄し、適宜基板を加え、かつ検出アッセイを実施するようにプログラムすることができる。反応条件の項目はアッセイの目的によって決まる。
【0047】
実施形態では、本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置であって、(a)少なくとも本明細書に記載した装置と、(b)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を検出し、それによって相互作用を分析する検出装置とを備えた装置に関する。
【0048】
別の実施形態では、本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置であって、
(a)流体培養液を吸引し、および/または分注するハンドリング装置(201)を備えたハンドリングステーション(210)であって、該ハンドリング装置が、該ハンドリングステーションに装着された、本明細書に記載の装置を有するハンドリングステーションと、
(b)前記ハンドリングステーションを複数の部分に輸送する手段(211)と、
(c)標的分子を含み得る流体試料を支持部材に供与し、流体試料を有する該支持部材をインキュベートし、および/または該支持部材を洗浄するインキュベーション装置を備えた少なくとも1個のインキュベーション部(212)(例えば図6Dを参照)と、
(d)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を検出し、それによって相互作用を分析する検出装置を備えた分析部(213)とを具備する上記装置に関する。
【0049】
ハンドリングステーション(210)は、本発明による装置(100)を放出可能に固定することができるホルダー(202)を備えたハンドリング装置(201)を具備する。ホルダー(202)は、装置(100)がマウスピース(103)を介してのみハンドリング装置(201)と接触するまで、収納体(107)のマウスピース(103)がその上を摺動し押圧される円錐状突部であってよく、その間、装置(100)はマウスピース(103)を介して外部環境と接触せず、または最小限に接触する(例えば図7を参照)。ハンドリング装置(201)は、流体量を計量するのに使用でき、調節可能および制御可能な量で流体を装置中に吸引し、そこから放出する。このために、ハンドリング装置のシリンダー中にピストンを入換え可能に配置することができる。エアクッションシステムによってピストンとシリンダーはハンドリング装置に組み込まれ、本発明の装置と連通し、その結果、培養液の入れ換えがエアクッションによって見積もられる。ハンドリングステーションは、例えば、マニュアル式(例えば図7を参照)であっても、または自動操縦式(例えば図5Aおよび図5Bを参照)、例えば、コンピュータ制御であってもよい。数個のハンドリング装置を1個のハンドリングステーションに連結し、例えば、多チャネルピペットシステム(例えば図5Aおよび図5Bを参照)にすることができる。数個のハンドリング装置を連結した場合、これらのハンドリング装置は、本発明の各装置で入れ換えられる流体量が同じ、または実質上同じであるという点で共通にアドレス可能である。さらに、ハンドリング装置は、特定のアッセイ要件にしたがい本発明の各装置において入換え可能な流体量を調節できるという点で、それぞれ、別々にアドレス可能であってよい。連結されたハンドリング装置の数は、好ましくは標準的なSBSウェル数、またはそれらの一部に関係し、例えば、1、8、24、96、または386個などである。
【0050】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、単一の独立したハンドリング装置(例えば図7を参照)を備える装置に関する。
【0051】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、それぞれが個々にアドレス可能な複数の独立したハンドリング装置、好ましくは1〜8個のハンドリング装置を備える装置に関する。
【0052】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、共通にアドレス可能な複数のハンドリング装置、好ましくは8、96、または386個のハンドリング装置を備える装置に関する。
【0053】
本明細書に記載するように装置をさらに自動化することが含意されている。従って、装置は、さらに、試薬および/または試料を含むラックを積込むためのラックインプット領域を有するラックハンドラー集合体を備えてもよく、前記ラックはバーコード、一時的にラックを停止させるラックバイパス部、ラックを往復させる内部シャトル、および/または処理後にラックを荷下ろしするためのアウトプット部を備えることができる。
【0054】
流体ハンドリング装置、すなわち、インキュベーション装置および/または検出装置には、アレイの試料の温度を制御するために、サーモスタットによって制御されたヒーター/クーラーを備えることができる。
【0055】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、インキュベーション部が温度制御可能な装置に関する。
【0056】
システムは、コンピュータの制御下で作働し、コンピュータは検出装置によって得られた結果を処理するためのプログラムを任意で含み、アッセイ結果を解釈することができる。任意に、コンピュータは、データを別の表示型式に変換することができる。データ分析は、例えば、収集したデータから基板位置の関数として蛍光強度を定量するステップ、「異常値」(所定の統計分布から外れるデータ)を除去するステップ、および残余のデータから標的の相対的結合親和性を割り出すステップを含みうる。得られたデータは、そこでの標的とプローブの間の発光または結合親和性にしたがって異なるカラー画像として各領域で表示することができる。
【0057】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、ワークステーション用の1個の一般的な制御コンソールをさらに備える装置に関する。
【0058】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、検出装置によって検出されたシグナルを収集するようにプログラムされたコンピュータをさらに備え、検出した仮想シグナルを類似画像に転換できる装置に関する。
【0059】
本発明による装置のそれぞれ、およびラックは、バーコードなどの個々のコードによって個別に同定しうる。従って、本明細書に記載した装置は、さらに、試料ラック同定情報および/または装置同定情報を確認するためのバーコードリーダーを含んでよい。
検出
【0060】
標的分子とプローブ分子の間の相互作用のモニタリングまたは分析は、当技術分野で知られている任意の手段によって実施することができる。一般に、標的分子とプローブ分子の間の相互作用は結合であり、結果としてプローブ分子は検出可能なマーカーによって標識されることになる。相互作用によって生じたシグナルは、一時的なものでよく、すなわち極めて素早く出現し消滅へと移行する。本発明で使用する用語「一時的シグナル」は例えばパルスをさす。前記パルスのレベルおよび強度は、相互作用に直接関連付けることができる。発生したシグナルは、電磁放射スペクトルの可視、紫外、赤外、および/または他の部分の放射、あるいは磁性、電荷、質量、親和性、酵素活性、または反応性の差を含みうる。本発明により分析した相互作用は、例えば、化学発光、生物発光、放射能放射、リン光、または蛍光によってモニターできることは理解されよう。発生したシグナルの検出方法は当技術分野で周知である。シグナルは、様々な方法で検出し、または可視化することができ、その際、選択される特定の検出方式は使用するレポーター系に基づく。代表的な検出手段には、シンチレーションカウンティング、自動X線撮影、蛍光測定、比色測定、光散乱などの光学検出が含まれる。
【0061】
一般に、マイクロアレイの読取り時間は、フルオロフォアの光物理学(すなわち、蛍光量子収率および光破壊収率)および検出器の感度に依存する。フルオレセインに関して、CCD検出器でマイクロアレイ画像を読み取るのに十分な信号対雑音は、Arイオンレーザーまたはハロゲンランプからの3mW/cmおよび488nm励起を使用し、約0.001〜30秒で得ることができる。レーザーパワーを増強し、光破壊収率が低くその発光がCCD検出器最大感度により密接に適合するCy3やCy5などの色素に切り換えることによって、5秒未満で各マイクロアレイを容易に読み取ることができる。
【0062】
様々な異なる標識を使用してよく、そのような標識には蛍光標識、同位体標識、酵素標識、微粒子標識などが含まれる。例えば、適当な標識には、蛍光色素、例えば、フルオレセインイソチオシアナート(FITC)、ローダミン、テキサスレッド、フィコエリトリン、アロフィコシアニン、6−カルボキシフルオレセイン(6−FAM)、2',7'−ジメトキシ−4',5'−ジクロロ−6−カルボキシ−フルオレセイン(JOE)、6−カルボキシ−X−ローダミン(ROX)、6−カルボキシ−2',4',7',4,7−ヘキサクロロ−フルオレセイン(HEX)、5−カルボキシフルオレセイン(5−FAM)またはN,N,N',N'−テトラメチル−6−カルボキシ−ローダミン(TAMRA)、シアニン色素、例えば、Cy5、Cy3、BODIPY色素、例えば、BODIPY630/650、Alexa542などが含まれる。適当な同位体標識には放射性標識、例えば、32P、33P、35S、Hが含まれる。他の適当な標識には、光散乱蛍光特性を有し、または捕捉された多数のフルオロフォアを含むサイズ粒子が含まれる。標識は、2段階系でよく、その際、プライマーおよび/またはプローブを、高親和性結合パートナーを有するビオチン、ハプテンなど、例えば、アビジン、特異的抗体などに結合させる。結合パートナーは、検出可能な標識、例えば、基質を色素生産性生成物、蛍光標識、同位体標識などに転換できる酵素標識に結合させる。
【0063】
一実施形態によれば、支持体を備えたハンドリング装置は、支持体をスキャンするために分析部に移動する。ハンドリング装置は、多軸翻訳ステージによって検出装置に移動することができ、またはハンドリング装置は、ロボットアームなどのピックアンドプレイス機構によって輸送しうる。
【0064】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、輸送手段がロボットアームなどのピックアンドプレイス機構である装置に関する。
【0065】
検出部では、マイクロアレイを検出装置によって調査する。その結果、各装置のプローブアレイの2次元画像が得られる。装置は、同時にまたは逐次調査してよい。
【0066】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、同時または逐次検出できるように装置を配置した装置に関する。
【0067】
検出部は、マイクロアレイを固定するための、好ましくは検出装置と密接した本体を備える。第1の波長を有する励起源からの励起放射線は、アレイの下方から励起光学装置(excitation optics)を通過する。その光は、光の少なくともこの波長に対して透明であるので、その光は支持体を通過する。励起放射線は、支持部材上のマイクロアレイ領域を励起させる。呼応して、支持部材の上または中の試料の標識された物質は、励起波長とは異なる波長を有する放射線を発する。次いで、同様にアレイ下方の集光装置が、試料からの発光を集光し、それをCCDカメラまたはCMOSカメラを収容することができる検出器上に画像化する。検出器は、その上に感知された放射の量に比例してシグナルを発生する。シグナルを集合させて発光が生じた複数の領域に関連する画像を表すことができる。
【0068】
検出装置は、スキャニング過程全体にわたって支持体を励起光の焦点面に維持するためにオートフォーカスという特徴を備えることができる。さらに、温度制御装置を使用して、スキャンしている間、支持体を特定の温度に維持し、または適宜温度を変化させうる。多軸翻訳ステージ、温度制御装置、オートフォーカス特徴、ならびに画像化およびデータ収集に関連する電子機器は、適切にプログラムされたデジタルコンピュータによって巧みに処理される。
【0069】
実施形態では、蛍光プローブは、CCDまたはCMOS画像化システムと組み合せて使用される。別の実施形態では、レーザー、ハロゲン光源、または波長特異的LEDが、マイクロアレイ下方に設置され、光は透明支持体を通って方向づけられる。
【0070】
一連のRamanホログラフィックまたはノッチフィルターを光路に使用して、発光が検出器へ通過するようにしながら励起光を除去することができる。光ファイバー画像化束を使用して光をCCD検出器に運ぶこともできる。CCDアレイの選択は、各生物学的アレイのプローブ数に依存する。さらに、検出部は、それぞれが異なる励起波長を有し異なる波長を検出する各種の検出装置を備えうる。このように、異なるフルオロフォアを同時に分析することができる。
【0071】
試験性能を速めるCCD画像化システムと連結した場合、このシステムの一適用例は、結合、例えば、ハイブリッド形成の有無の割合を検査することによってアッセイ結果を得ることになる。この方法の一実施形態では、各アドレスの結合量は、プローブを試料と接触させた後、数個の時刻点で定量する。全ての結合、例えば、ハイブリッド形成の量は、各時点での結合量に基づく結合動力学の関数として決定することができる。従って、必ずしも平衡に達するまで待つ必要はない。速度および信号対雑音の条件を最大にするために、温度、試料の混合洗浄条件(例えば、pH、溶媒特性、温度)に対する結合、例えば、ハイブリッド形成、異なるオリゴヌクレオチドの割合の依存度を容易に定量することができる。
【0072】
本明細書に記載するように、本発明は、前記検出装置がカメラ、好ましくはCCDカメラまたはCMOSカメラを備える装置に関することは理解されよう。
方法
【0073】
本発明の方法では、収納体を備える装置に支持部材を嵌めて提供する。支持部材は、マイクロアレイを形成しうる。標的分子を含みうる試験試料を支持部材に導入する。一般的に、試験試料は、吸引、例えば、装置内に周囲圧力に比べて陰圧をかけることによって支持部材に導入する。試験試料は、例えば、試料を直接支持体にピペッティングすることによって、または試料のフロー特性のために必要と思われるハンドリング装置によって、近位側から支持体に導入してもよい。後者の事例、すなわち、近位側から試験試料を適用する際は、試料を支持部材のチャネルに強制的に導入する陽圧をかけてよい。近位側からの試料の導入によって、所定の試料容量を支持体の表面に添加できるはずである。フィルター(105)は、試験試料を近位側から支持体に導入する場合、存在しないことが好ましい。流体ハンドリング装置は、選択した反応条件、例えば、支持部材から流体を加え、または除去する条件、おそらく所定の温度で、液体を支持部材の中および上に維持する条件、および必要に応じて支持部材中で流体を混合する条件のセットに支持部材を曝露し、それによって試験を実施する。次いで、検出装置は、支持部材のプローブアレイを調査し、それによって試験結果を得る。適当なプログラムを有するコンピュータによって試験結果をさらに分析することができる。
【0074】
標的とプローブとの間の相互作用は、動力学と熱力学の点から特徴付けることができる。そのようなものとして、標識した標的溶液と接触させながらアレイを調査する必要があるかもしれない。そのようなシステムでは、検出システムは、表面結合標的と溶液から生じた標的を区別する能力を備えて極めて選択的でなければならない。さらに、定量分析を実施するため、高密度プローブ配列には各特徴部位を識別する能力を有するシステムが必要である。システムはさらに、低シグナルに対する感度および大きい動的範囲を備える必要がある。
【0075】
通常の診断適用例では、同定すべき1種または複数の標的(すなわち患者の試料)を含む溶液をプローブアレイと接触させる。標的は、相補プローブ配列と結合し、例えばハイブリッド形成する。従って、プローブは、検出しようとする標的配列、例えば、ヒトや病原体の配列を目的とする(すなわち、少なくともいくらかの相補性を有する)配列を有するように選択する。一般的に、標的には検出可能な標識タグを付ける。検出可能な標識は、例えば、ルミネセンス標識、光散乱標識、放射性標識(上記参照)であってよい。従って、標的が相補的プローブと結合し、例えば、ハイブリッド形成する位置はマーカーを位置づけることによって同定することができる。結合、例えば、ハイブリッド形成が生じる位置に基づいて、標的配列に関する情報を抽出することができる。変異の有無は、標的配列と野生型を比較することによって決定しうる。
【0076】
本明細書で使用する「試料」という用語は、1個または複数の当該標的分子、例えば、核酸などの存在についてアッセイする物質をさす。当該核酸または核酸群は他の核酸との混合物中に存在してよい。当該核酸を含有する試料は、多数の方式で得てよい。実際、細胞ライセート、精製ゲノムDNA、ヒトや動物などから得た体液、臨床試料、食物試料などを含め、いかなる試料も本明細書による方法を使用し分析しうる。通常、試料は生物学的または生化学的試料である。本明細書で使用する「生物試料」という用語は、生物体または生物体の構成成分(例えば細胞)から得た試料をさす。試料は、いかなる生体組織または体液でもよい。試料は、患者由来の試料である「臨床試料」であることも多い。そのような試料には、それだけには限らないが、痰、脳脊髄液、血液;胎児血清(例えばSFC)や血漿を含む血清、血液細胞(例えば白血球)などの血液画分;組織または微細針生検試料、尿、腹腔液、および胸腔内液、あるいはそれらの細胞が含まれる。生物試料には、組織学を目的として取得した凍結切片など、組織切片を含めてもよい。試料は、例えば、生理学的試料であってもよい。
【0077】
従って、本発明は、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する方法であって、
(a)標的分子を含みうる試料流体を本明細書に記載する装置または本明細書に記載する装置の支持部材に供与するステップと、
(b)毛細管力によって、または前記支持部材に圧力差をかけることによって、試料流体を前記支持部材のチャネルに侵入させることによって、標的分子をプローブ分子に接触させるステップと、
(c)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を可能にする条件下で、支持部材を通る交互流を発生させることによって、試料の少なくとも一部を支持部材遠位側から支持部材近位側に強制的にチャネルを通過させ、かつ少なくとも1度戻しうる(またはその逆に)ステップと、
(d)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析するステップを含む方法に関する。
相互作用
【0078】
マイクロアレイ上に固定されるプローブ分子の型および標的分子の化学的性質(上記参照)に依存して、核酸−核酸、核酸−ペプチド、ペプチド−ペプチド、化学的薬物−ペプチド、化学薬物−核酸、化学的薬物−脂質などの間の相互作用は、こうした方法によって評価することができる。
【0079】
本発明は、特に、核酸−核酸相互作用に関する。プローブ分子を有する支持部材は、特定のアレイ型式に応じてハイブリッド形成条件下で、標識しても未標識でもよい標的分子と接触させる。「ハイブリッド形成条件」は、Watson−Crick水素結合が標的とプローブ核酸の間に生じるのを促進するのに十分な条件を意味する。条件は、完全相補ハイブリッドと、1個または複数の不適合を含むハイブリッドを区別しうる。使用する実際のハイブリッド形成条件は、特に、当該配列のG+C含有量、およびアレイを構成する固定されたポリヌクレオチドの長さによって決まる。様々なハイブリッド形成アレイについての完全相補鎖と不適合を区別するのに有用なハイブリッド形成条件が当技術分野で記載されてきた。例えば、様々な適用例において相補的ハイブリッドと不適合ハイブリッドを区別するのに有用なハイブリッド形成条件は、Drmanacらへの米国特許第5,525,464号、WO95/09248、およびWO98/31836に記載されている。低温洗浄ステップの利点の考察を含め、ハイブリッド形成条件の決定に関与する理論上および実用上の問題の詳細な考察は、WO98/31836、特にp.50〜62に見出すことができる。手引きは他に、Harmes and Higgins, 核酸ハイブリダイゼーション(Nucleic Acid Hybridization): A Practical Approach, 1985, IRL Press, Oxford, Englandに見出すことができる。ハイブリッド形成条件、例えば、ハイブリッド形成時間、温度、使用する洗浄用緩衝液などは、標的配列の効率的および特異的結合を最適化するために変更することができる。プローブに類似する配列を有する試験標的核酸は、ハイブリッド形成によって低ストリンジェンシー条件下で、例えば、50℃および6×SSC(0.9M塩化ナトリウム/0.09Mクエン酸ナトリウム、1%SDS)で検出され、55℃、1×SSC(0.15M塩化ナトリウム/0.015Mクエン酸ナトリウム、1%SDS)で洗浄した場合、結合したまま残存しうる。完全または高い配列同一性を有する試験標的分子は、ハイブリッド形成によってストリンジェントな条件下、例えば、60℃以上、6×SSC(15mM塩化ナトリウム/0.015mMクエン酸ナトリウム、1%SDS)で定量しうる。例えば、標的核酸は、アレイ上に提供されたプローブ配列に実質同一な領域を有し、ストリンジェントなハイブリッド形成条件下で選択的に結合しうる。様々な核酸対に関する他の適当なハイブリッド形成条件は、当業者によく知られ、そして例えば、Sambrookら,1989(Molecular Cloning: a laboratory manual; Cold Spring Harbor Laboratory Press USA)、およびWO95/21944に概説されており、この開示は参照により本明細書に援用される。
【0080】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、前記相互作用が結合、例えば、標的分子とプローブ分子の間のハイブリッド形成などである方法にも関する。
【0081】
さらに、本発明は、本明細書に記載するような、前記相互作用によって標的分子とプローブ分子の間の結合がもたらされる方法であって、標的分子が検出可能なタグまたはマーカーによって標識されている方法に関する。さらに、本発明は、本明細書に記載するような、それによって標的分子とプローブ分子が相互作用し、その後標的分子が検出可能なマーカーによって標識される方法、例えば、サンドイッチアッセイに関する。
【0082】
さらに、本発明は、本明細書に記載するような、前記検出可能なマーカーが、蛍光シグナルや近赤外シグナルなどの検出可能なシグナルを引き出す方法に関する。
【0083】
さらに、本発明は、本明細書に記載するような、前記検出可能なシグナルを数量化できる方法に関する。
【0084】
標的分子は、ほとんど検出不可能なシグナルを発生しながら、少量で存在し、例えば生物試料中に存在するかもしれない。標的分子またはシグナルを特異的に増幅する方法は当技術分野で周知である。特に企図されるものは、全て1999年9月にDecision Resourcesにより出版された「分子診断学の商業的応用(The commercial applications of molecular diagnostics)」に記載されるNASBA、Qβ−レプリカーゼ、PCR、転写介在増幅法(TMA)、およびリガーゼ連鎖反応(LCR)、ならびに欧州特許公報第1056884号に記載されるTyrasによる増幅方法である。
【0085】
さらに、本発明による方法では、標的核酸はリガーゼ検出反応(LDR)を使用し増幅しうる。LDRによる増幅は、前記標的核酸の特徴的な部分に相補的な第1の核酸プローブ、および前記標的核酸の前記特徴的な部分に基本的に隣接して位置する前記標的核酸の第2部分に相補的な第2の核酸プローブを含み、その際、前記第1の核酸プローブは5'に位置するプライマー結合部およびおそらく充填物をさらに含み、かつ前記第2の核酸プローブは3'に位置し、前記標的核酸に本質的に非相補的なZipComcode(相補的Zipコード)タグ、およびZipComcodeから3'に位置するプライマー結合部を含むことができ、方法は、相補的核酸のハイブリッド形成を可能にする前記核酸のインキュベーションステップ、基本的に隣接するいかなるプローブも(ライゲーションにより)接続するステップ、およびおそらくいかなる接続したプローブ核酸も増幅するステップをさらに含み、その際、増幅はプライマー結合部に特異的な核酸プライマーが結合することによって開始する。続いて、ZipComcodeを含む増幅された標的分子を本発明の支持体上に存在する相補的Zipコードにハイブリッド形成する。ライゲーション検出反応は、Keygene NVによるWO03/052142に例示され、これは特に参照により本明細書に援用される。
【0086】
従って、本発明は、本明細書に記載するような、前記インキュベーションがライゲーションステップおよび/または増幅ステップを含む方法、例えばNASBA、Tyras、LCR、Qβ−レプリカーゼ、またはPCRに関する。
【0087】
本発明の実施形態では、プローブ分子は同定を可能にするZIPコードを含む。
使用
【0088】
本発明の方法は、低、中、または高拡張性試料処理能力が必要であっても特定の用途を見出す。特に、本発明は、臨床設定、および多数のDNA試料のハイブリッド形成による配列確認、例えば、ヒトゲノムプロジェクトに関連する配列確認で有用である。さらに、本発明は、融通性が自動化または標準化設備と共に要求される場合に有用である。
【0089】
装置は、遺伝子発現試験およびプロファイリング、変異に関する試験、SNP試験、遺伝子試験、例えば、遺伝子疾患に関する試験、蛋白質プロファイリング、キナーゼ活性に関する試験などで特に有用である。
【0090】
臨床設定では、多くの患者試料で同じ試験を実施する必要がある。本発明の自動化された方法は、試験がマイクロアレイで適切に実施されるものである場合、こうした使用に役立つ。例えば、DNAアレイは、病原体の特定の株を株のDNA配列の特徴に基づき判定することができる。今回、これらのアッセイに基づく先進的技術を臨床に導入することができる。数人の患者から得た流体試料を本発明の装置のマイクロアレイに存在させ、アッセイを同時に実施することができる。
【0091】
本発明の方法は、タグ付き標的分子とプローブの結合を含む。タグは、例えば、蛍光マーカー、化学発光マーカー、光散乱マーカー、または放射性マーカーでよい。ある実施形態では、プローブは、DNA分子やRNA分子などの核酸である。この方法は、HCVやHIVなどの病原体を検出し、または同定するために、あるいはヒト遺伝子変異体、例えば、嚢胞性線維症、糖尿病、筋ジストロフィーなどの遺伝病、またはある種の癌の素因などの遺伝子を検出するために使用することができる。
【0092】
自動化での使用を見出す特定のアッセイは、HCVやHIVなどの病原体の特定の変異体を特異的に検出し、または同定するために設計されたアッセイを含む。ヒト、動物、または微生物の遺伝子を検出し、または同定するためのアッセイも企図される。一実施形態では、アッセイは、個々のDNA中の後天的変異にまたは遺伝変異による遺伝病の存在または素因を示すヒト遺伝子変異体の検出である。これらには、嚢胞性線維症、糖尿病、および筋ジストロフィーなどの遺伝病、および癌などの疾患が含まれる。
【0093】
従って、本発明の一実施形態は、標的分子とプローブ分子を相互作用させるための、本発明の装置または本明細書に記載するような装置の使用に関する。
【0094】
本発明は、多重リガーゼ検出反応(上記参照)で、または好ましくは多重リガーゼ検出反応と多重ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の組合せにおいてさらに使用しうる。リガーゼ検出反応(LDR)は、特に参照により本明細書に援用されるFavisら(2000, Nature Biotechnology 18:561-564)に記載されるように、一塩基多型(SNP)を検出する敏感なアッセイである。ZipComcode(ZCc)は、増幅可能な生成物の同定に特有の配列である。ZCcは、例えばマイクロアレイに存在するその相補鎖Zipコードとハイブリッド形成する(上記参照)。特に参照により本明細書に援用されるBustiら(2002, BMC Microbiology 2:27−39)は、Zipコードを含み、標的分子に対してZCcを使用する普遍的なDNAマイクロアレイについて詳述する。例えば、16S rRNAに伴う一塩基の差異は、異なる微生物の配列間の識別に使用しうる。同様に、18S、23S、または28S rRNAに伴う一塩基の差異は、異なる微生物の配列間の識別に使用しうる。
【0095】
従って、本発明の一実施形態は、本明細書に記載するような、リガーゼ検出反応について本発明の装置または装置を使用することに関する。
一般
【0096】
本発明による装置は、一キット中に別個にまたは集合的に、すなわち、1個を超える装置(100)として梱包し出荷しうる。装置は、伝導性であってよく、ラック、例えば、プラスチックチップラックで提供しうる。装置は、ラック中に規則的な形態で、例えば、流体ハンドリング装置のホルダーと同じ位置で配置してよい。そのようなものとして、ホルダーへ本体を手動で適合化する必要はない。ラックまたはホルダーは、これを強く丈夫なものにするために構造的な支えを提供する。ラック(303)は、例えば蓋(302)付き外部プラスチックシェル(301)(例えば図6Aを参照)で梱包し出荷してもよい。
【0097】
従って、本発明の一実施形態は、少なくとも1個の本発明による装置を含むキットに関する。
【0098】
従って、本発明の一実施形態は、本明細書に記載するような、多数の本発明の装置を備えるキットであって、好ましくは前記装置が規則的な形態で、例えば、ホルダーまたはラックに配置されているキットに関する。
【0099】
本発明は、生物学的マイクロアレイでアッセイを実施するための実質新規な装置および方法を提供する。具体例を提供してきたが、上記説明は例示的であり限定的ではない。本明細書の概説によって本発明の多くの変形形態が当業者には明白となる。従って、本発明の範囲は、上記説明に関して決定されるのではなく、添付の特許請求の範囲および同等物のそれらの完全な範囲に関して決定されるべきである。
【0100】
本出願で引用された全ての刊行物および特許文書は、それぞれの個々の刊行物または特許文書がそのように個々に示されているものとして同程度に、目的にかかわらずその全体を参照により援用される。
【実施例1】
【0101】
蛍光顕微鏡(オリンパス、日本国東京都)を使用し検出を実施した。
【0102】
PCT/EP98/04938に既に述べられているように、オリゴヌクレオチドを調製し支持部材に結合させた。ジャガイモ葉巻き病RNAウイルス(PLRV)−S2配列由来非ヒト植物ウイルス配列を内部基準IRPとして使用した(Klerksら、J. Vir. Methods 93 (2001)115-125を参照)。
標準1mlピペットチップを近位端から約5.2cmで切断した。オリゴヌクレオチドを含む支持部材をピペットチップの遠位端に取り付け、すなわち接着してパムチップ(pamtip)、すなわち、本発明による装置(100)を得た。
それ以上の実験構成は、基本的に、本明細書に特に参照により援用されるWO99/02266に記載されている通りであった。
装置のアレイ上で試料をインキュベートした後、特異的結合を検出した。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】装置の側面図である。(A)近位端(102)に位置するマウスピース(103)と、収納体(107)内遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを具備する収納体(107)を備え、さらに、フィルター(105)とシールド部材(106)とを備える装置(100)。(B)近位端(102)に位置するマウスピース(103)と、遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを具備する収納体(107)を備える装置(100)。(C)近位端(102)に位置するマウスピース(103)と、収納体(107)内遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを具備する収納体(107)を備える装置(100)。
【図2−A】収納体と支持部材(104)を備える装置の様々な実施形態を示す図である。(A)支持部材(104)を収納体内の位置に備える装置。
【図2−B】収納体と支持部材(104)を備える装置の様々な実施形態を示す図である。(B)支持部材(104)を収納体遠位端の位置に備える装置。
【図3−1】標準ピペットチップならびに本発明による装置の側面図および下面図である。(A)近位端(102)に位置するマウスピース(103)と、遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを具備する収納体(107)を備え、さらにフィルター(105)を備える装置(100)の側面図。(B)標準1mlピペットチップ側面図。(C)支持部材(104)を収納体(107)の遠位端(101)の位置に備え、かつスポット(111)を有するアレイ(110)を備える装置(100)の下面図(遠位から近位方向)。
【図3−2】(D)支持部材(104)を収納体(107)遠位端上の位置に備え、かつスポット(111)を有するアレイ(110)を備える装置(100)の分解下面図(遠位から近位方向)。
【図4】シールド部材を備える装置の横断面である。収納体(107)と、収納体(107)の遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを備え、さらにシールド部材(106)を備える装置(100)。
【図5−A】装置を備える装置の様々な実施形態を示す図である。(A)8個の別々にアドレス可能なハンドリング装置(201)と、輸送手段(211)と、インキュベーション部(212)と、1個の検出装置を具備する分析部(213)とを具備するハンドリングステーション(210)を備える装置。
【図5−B】装置を備える装置の様々な実施形態を示す図である。(B)96個の共通にアドレス可能なハンドリング装置と、輸送手段(211)と、インキュベーション部(212)と、4個の検出装置を有する分析部(213)を具備するハンドリングステーション(210)を備える装置。
【図6】ラック中の装置を示す図である。(A)96個の装置(100)を有する取り外し可能蓋(302)付き外部プラスチックシェル(301)内のラック(303)。(B)支持部材(104)を収納体(107)遠位端上の位置に備え、かつ96個のスポット(111)を有するアレイ(110)を備える装置(100)の分解下面図(遠位から近位方向)。(C)マウスピース(103)を近位端(102)の位置に具備し、支持部材(104)を収納体(107)遠位端上の位置に具備し、かつ96個のスポット(111)を有するアレイ(110)を具備する収納体(107)を備える装置(100)。(D)収納体(107)と、収納体(107)遠位端に位置する支持部材(104)とを備える装置(100)。装置はインキュベーション部(212)に存在する。流体(220)は、支持部材(104)を通してポンプアップおよびポンプダウンされる。
【図7−A】ハンドリングステーションに装着された装置を示す図である。(A)ホルダー(202)と、ホルダーに装着した装置(100)とを具備する1個の個別にアドレス可能なハンドリング装置(201)を備えた手働式ハンドリングステーション(210)。
【図7−B】ハンドリングステーションに装着された装置を示す図である。(B)ホルダー(202)にマウスピース(103)を装着した装置(100)であって、装置は収納体(107)と、収納体(107)の遠位端(101)に位置する支持部材(104)とを具備し、さらにフィルター(105)を具備する装置の分解図。流体(220)が支持部材(104)の中および上に存在する。
【符号の説明】
【0104】
100 装置
101 遠位端
102 近位端
103 マウスピース
104 支持部材
105 フィルター
106 シールド部材
107 収納体
108 下面
109 界面
110 アレイ
111 スポット
201 ハンドリング装置
202 ホルダー
210 ハンドリングステーション
211 輸送手段
212 インキュベーション部
213 分析部
220 流体
301 外部プラスチックシェル
302 蓋
303 ラック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置であって、
内部流路を限定する近位端と遠位端を有する管状の収納体と、
前記内部経路を妨げる、収納体の中または上に設けられたフロースルー支持部材とを備え、
前記フロースルー支持部材には、標的分子とプローブ分子の間の相互作用を可能にするのに適当な通り抜けチャネルが設けられている、装置。
【請求項2】
前記支持部材が、標的分子と相互作用するのに適当なプローブ分子を備えている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記支持部材が、収納体の遠位端または遠位端近傍に設けられている、請求項1または2のいずれかに記載の装置。
【請求項4】
前記支持部材が、金属、セラミック金属酸化物、シリコン、有機ポリマー、および金属酸化物からなる群から選択され、好ましくは酸化アルミニウムである、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記支持部材が、光学的に透明または半透明である、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記チャネルが、収納体の縦軸と実質同軸に伸展する、請求項1または5のいずれかに記載の装置。
【請求項7】
前記支持部材の平面が、収納体の縦軸に対して実質直角に伸展する、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記支持部材が収納体の口径に跨る、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する装置であって、
(a)流体培養液を吸引し、および/または分注するハンドリング装置を備えたハンドリングステーションであって、該ハンドリング装置が、該ハンドリングステーションに装着された、請求項1〜8のいずれかに記載の装置を有するハンドリングステーションと、
(b)前記ハンドリングステーションを複数の部分に輸送する手段と、
(c)標的分子を含む流体試料を支持部材に供与し、流体試料を有する該支持部材をインキュベートし、および/または該支持部材を洗浄するインキュベーション装置を備えた少なくとも1個のインキュベーション部と、
(d)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を検出し、それによって相互作用を分析する検出装置を備えた分析部と、を具備する装置。
【請求項10】
標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析する方法であって、
(a)標的分子を含みうる試料流体を、請求項1〜8のいずれかに記載の装置または請求項9に記載の装置の支持部材に、供与するステップと、
(b)毛細管力によって、または前記支持部材に圧力差をかけることによって、試料流体を前記支持部材のチャネルに侵入させることによって、標的分子をプローブ分子に接触させるステップと、
(c)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を可能にする条件下で、支持部材を通る交互流を発生させることによって、試料の少なくとも一部を支持部材遠位側から支持部材近位側に強制的にチャネルを通過させ、かつ少なくとも1度戻しうるステップと、
(d)標的分子とプローブ分子の間の相互作用を分析するステップと、を含む方法。

【図1】
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【図2−A】
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【図2−B】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5−A】
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【図5−B】
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【図6】
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【図7−A】
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【図7−B】
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【公表番号】特表2007−534936(P2007−534936A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552529(P2006−552529)
【出願日】平成17年2月8日(2005.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2005/001267
【国際公開番号】WO2005/077537
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(506274729)
【Fターム(参考)】