説明

標識ペプチド及び循環性IRAPのアッセイのためのその使用

本発明の主題は、IRAPタンパク質(「インスリン反応性アミノペプチダーゼ」)の循環性細胞外部分のアッセイ法であって、前記精製された分泌IRAP細胞外部分の、該前記細胞外部分と特異的に相互作用する少なくとも1つの標識ペプチドを用いる少なくとも1つの定量アッセイ段階を含んでなるアッセイ法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、標識ペプチド及び循環性IRAPタンパク質のアッセイのためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
IRAPタンパク質(インスリン調節アミノペプチダーゼ;EC 3.4.11.3)は、胎盤ロイシンアミノペプチダーゼ(P-LAP)及びロイシン-シスチニルアミノペプチダーゼ(L-CAP)としても知られ、3つのアイソフォーム(Swiss-Prot:Q9UIQ6:1、2および3;それぞれ配列番号1〜3で表される)で存在する膜貫通亜鉛メタロプロテイナーゼタンパク質である。
これは天然型形態で原形質膜に挿入されると、その細胞外ドメインが切断されて分泌され得る。
【0003】
IRAPタンパク質の未特定アイソフォームの分泌部分が、血中で、メチオニンの存在下に非特異的合成基質L-ロイシン-ニトロアニリドを用いる酵素法によりアッセイされた(Mizutani, S., Yoshino, M.及びOya, M. (1976) Clin Biochem 9(1)、16-18)。
この方法を用いて、Mizutani, Oya及びTomodaは、シスチニル-ロイシンアミノペプチダーゼを検出した。このアミノペプチダーゼは、本質的には胎盤起源であり、したがってP-LAPと呼ばれ(Tsujimoto, M., Mizutani, S., Adachi, H., Kimura, M., Nakazato, H.及びTomoda, Y. (1992) Arch Biochem Biophys 292(2)、388-392)、前記タンパク質の分泌ドメインに相当する。
【0004】
この酵素は、オキシトシン(Naruki, M.ら,(1996) Peptides 17(2)、257-261)、バソプレッシン(Wallis, M. G.ら,(2007) Am J Physiol Endocrinol Metab 293(4)、E1092-1102)、アンジオテンシンII及びIII(Matsumoto, H.ら,(2000) Eur J Biochem 267(1)、46-52)並びに一連の他のペプチド(Albiston, A. L.ら,(2007) Pharmacol Ther 116(3)、417-427)を分解する。このアミノペプチダーゼの血清濃度は、ヒトで報告されていない。
クローニング時、P-LAPはIRAPタンパク質にもアンジオテンシンIVレセプターにも相当するように見えた(Keller, S. R.ら,(1995) J Biol Chem 270(40), 23612-23618;Rogi, T.ら,(1996) J Biol Chem 271(1), 56-61;Albiston, A. L.ら,(2001) J Biol Chem 276(52)、48623-48626)。
【0005】
国際出願WO 2005/038462は、P-LAPタンパク質全体での免疫により得られる抗P-LAPポリクローナル抗体を含んでなる、癌腫の診断及び/又は予後評価用試薬を記載している。異なるアミノペプチダーゼ間の相同性を考えると、この抗体は、おそらく、IRAPに特異的ではなく、他のアミノペプチダーゼも認識するはずである。したがって、この抗体によって、IRAPの発現又は血漿濃度の改変に正確な態様で関連付けられる病状を診断することが可能になるはずはない。
IRAPタンパク質と抗癌剤に対する化学療法抵抗性の発症との間の関係が証明されている(Kondo C.ら, Int J. Cancer, 118, 1390-1394, 2006)。この論文によれば、IRAPは、実際、アポトーシス誘導因子の発現阻害及びアポトーシス阻害因子の発現増大によって、抗癌剤に対する感受性を減少させる。
【0006】
Lukaszukら(J. Med. Chem. 2008, 51, pp:2291-2296)の業績により、アンジオテンシンIVに由来するペプチドは、細胞表面に位置するIRAPタンパク質に特異的に結合することができることが示された。
現時点で、天然型形態の(すなわち、切断されておらず原形質膜に係留されている)IRAPタンパク質を測定し定量することを可能にする方法は存在していない。
【0007】
IRAPの細胞外ドメインは、ADAM9及びADAM12を含むADAMファミリーにおそらく属するメタロプロティナーゼにより切断され(Ito, N.ら,(2004) Biochem Biophys Res Commun 314(4), 1008-1013)、血液循環中に放出される。ADAM9(MDC9)は、特に脳、肝臓、心臓、腎臓及び肺で発現し(Hotoda, N.ら,(2002) Biochem Biophys Res Commun 293(2), 800-805)、このファミリーの他の幾つかのメンバーもまた筋肉及び脂肪組織で発現する。
現時点で、生物学的媒体中でのIRAP細胞外ドメインの濃度と重篤な子癇前症に関する病状及び早期分娩のリスクとの間の関係が唯一確立されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、IRAPタンパク質の循環性細胞外ドメインを正確かつ定量的にアッセイすることが必要なようである。
現時点で、循環性IRAPタンパク質は血清中で定量的にアッセイされていない。
この解決すべき課題は、一方で、血清又は血漿中における多くの要素(特に、可能性のあるIRAPリガンドを分解し得るプロテアーゼ)の存在、他方で比較的要求の厳しい手段を利用する必要性を考えれば、天然型形態のIRAPをアッセイするという課題より更に複雑である。
したがって、血清又は血漿中に含有されるプロテアーゼにより引き起こされる分解に抵抗することができる化合物により、血清又は血漿中の循環性IRAPタンパク質をアッセイする手段についての必要性が存在する。
【0009】
したがって、細胞を含まない生物学的サンプルにおけるIRAPタンパク質の定量的で信頼性のあるアッセイの実施に使用することができる特異的で安定な化合物についての必要性も存在する。
よって、本発明の目的は、循環性IRAPタンパク質の量の測定を可能にする、信頼性の高い特異的で定量的な方法を提供することである。
本発明の別の主題は、循環性IRAPの検出を可能にする循環性IRAPのリガンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
よって、本発明は、IRAPタンパク質(「インスリン反応性アミノペプチダーゼ」)の循環性細胞外部分のアッセイ法に関し、該方法は、IRAPの精製された分泌細胞外部分の、少なくとも1つの標識ペプチド(該標識ペプチドは、IRAPの前記細胞外部分と特異的に相互作用する)を用いる少なくとも1つの定量アッセイ段階を含んでなる。
前記標識ペプチドは、優先的には、少なくとも1つの放射性同位体で標識されており、
前記標識ペプチドはIRAPのリガンド、特に
− IRAPタンパク質の標識基質、又は
− IRAPタンパク質を阻害する標識ペプチド
のいずれかであり、
前記ペプチドは、任意に、少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変されていてもよく、
但し、該非改変の標識ペプチドはアンジオテンシンIVとは異なり、特に該非改変標識ペプチドは、配列番号21(Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)の配列とは異なり、
但し、ヨウ素原子125Iで標識された改変ペプチドは、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0011】
本発明は、IRAPタンパク質(「インスリン反応性アミノペプチダーゼ」)の循環性細胞外部分のアッセイ法に関し、該方法は、IRAPの精製された分泌細胞外部分の、少なくとも1つの標識された改変ペプチド(該標識ペプチドは、IRAPの前記細胞外部分と特異的に相互作用する)を用いる少なくとも1つの定量アッセイ段階を含んでなる。
前記ペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変されており、
前記標識ペプチドは、優先的には、少なくとも1つの放射性同位体で標識されており、
但し、
− 該ペプチドは抗体ではなく、
− ヨウ素原子125Iで標識された改変ペプチドは、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0012】
本発明は、標識ペプチドにより循環性IRAPの細胞外部分の効果的な定量的検出が可能になるという本発明者らの予期せぬ発見に基づく。
IRAPタンパク質の「細胞外部分」は、本発明においては、IRAPタンパク質が細胞原形質膜に固定されている間、細胞の外側に曝されているIRAPタンパク質のドメイン又はアミノ酸配列と定義される。
【0013】
IRAPタンパク質の「循環性細胞外部分」は、本発明においては、IRAPタンパク質の膜貫通部分にもはや共有結合していないIRAPタンパク質の上記のような細胞外部分と定義される。この細胞外部分は循環性であると説明される。なぜならば、切断後、細胞外媒体中に見いだされ、特に血漿中、血清中、リンパ中、脳脊髄液中に又は尿中にも見出すことができるからである。
IRAPの循環性細胞外部分は、生物の全身循環中、すなわち血漿、血清、リンパ、脳脊髄液又は尿中に見出される場合、IRAPの分泌細胞外部分とも呼ばれる。
用語「IRAPの循環性細胞外部分」及び「循環性IRAPの細胞外部分」は共に、下記及び上記で、IRAPの膜部分にもはや結合しておらず、したがって細胞膜ともはや結合していないIRAPタンパク質の細胞外ドメインをいう。
【0014】
本発明に係るIRAPタンパク質は、配列番号1のアミノ酸配列により表される。
「ペプチド」とは、アミド官能基(-CO-NH-)により結合した少なくとも2つの天然若しくは非天然のアミノ酸又は天然若しくは非天然のアミノ酸誘導体の共有結合配列に相当する任意のペプチド鎖を意味する。
「標識ペプチド」とは、本発明においては、タンパク質又はペプチドの標準的な検出法以外の検出、すなわち免疫学的方法以外の方法を可能にする分子又は原子を有する、上記のようなペプチドを意味する。
よって、本発明による標識ペプチドは、蛍光分子(シアニン、クマリン、ローダミン、キサンタン、量子ドット(半導体材料のナノクリスタル)など)にカップリングしていることもあり、少なくとも1つの、すなわち1以上の放射性原子(放射性同位体とも呼ばれる)を含有することもある。本発明で使用することができる放射性同位体のうち、トリチウム(3H)、炭素14(14C)、ヨウ素131(131I)、ヨウ素125(125I)を、又はホスフェート32若しくは33(32P若しくは33P)も挙げることができる。
【0015】
以下、本発明によるペプチドは、1以上のヨウ素125原子(125I)を用いて、優先的には単一ヨウ素125原子(125I)により標識される。
放射性同位体は、崩壊し、放射線の形態の粒子を放射することができる。前記放射線は、例えばシンチレーションカウンターにより又はそれによらず測定可能であり、該放射線は放射性同位体の量に比例する。
本発明で説明するアッセイでは、IRAPの細胞外部分の定量は、精製されたIRAP細胞外部分から出発して実施する。
循環性IRAPタンパク質の精製方法は、当業者に公知の任意のタンパク質精製法であり得る。好適であるが限定されない方法は、IRAPタンパク質の細胞外部分を指向する特異抗体を用いる、循環性IRAPタンパク質の免疫学的方法、特に免疫沈降又は免疫捕捉である。循環性IRAPの細胞外部分の免疫捕捉の免疫学的方法は実施例に記載されている。
【0016】
本発明においては、「定量アッセイ」とは、個体又は動物からの生物学的サンプル中に含まれる循環性IRAPタンパク質の量を正確に決定することからなる行為を意味する。
本発明で使用する用語「IRAPの細胞外部分と特異的に相互作用する標識ペプチド」は、本発明による少なくとも1つの標識ペプチドと循環性IRAPの精製細胞外部分とが高親和性複合体を形成することを意味する。前記ペプチドと前記IRAP循環性細胞外部分との間の親和性の大きさのオーダーは、約10-10M〜10-5M、優先的には約0.1nM〜約100nMに含まれる。用語 約 は親和性の測定における変動をカバーするために使用し、この変動は概して5〜10%の測定誤差である。
【0017】
相互作用の強度は、例えばLukaszukら(J. Med. Chem. 2008, 51, pp:2291-2296)に記載されているように測定する。
相互作用は特異的であると説明される。このことは、本発明による標識ペプチドがIRAPタンパク質の循環性細胞外部分と複合体を形成し得るが、該標識ペプチドは、IRAPの細胞外部分のアミノ酸とは異なるアミノ酸配列を有する別のタンパク質と、同じ濃度で同じ親和性の複合体を形成し得ないことを意味する。
本発明の標識ペプチドは、IRAPのリガンド(特に、標識されたIRAPタンパク質基質若しくは標識されたIRAPタンパク質阻害性ペプチド)又は循環性IRAPの細胞外部分に関する親和性が約10μM以下(≦10nM)である任意のペプチドである。
【0018】
本発明によれば、上記ペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変され得る。
「非天然アミノ酸」とは、本発明においては、生存生物中又は天然のタンパク質合成機構(mRNA、tRNA、リボソームなど)を用いる無細胞系中で合成されるとき、タンパク質中に天然には見出されないアミノ酸を意味する。天然アミノ酸は当業者に公知の20アミノ酸であり、ヌクレオチドトリプレットとの対応関係は遺伝子コードに示されている。
本発明で使用する非天然アミノ酸は、限定されないが特に、シクロロイシン(Cle)、ノルロイシン(Nle)又はtert-ロイシン(Tle)のようなロイシン由来のアミノ酸である。
【0019】
用語「β-ホモアミノ酸」は、本発明においては、追加の炭素を有するアミノ酸を定義する。換言すれば、アミノ酸は2-(又はα)アミノ2-[側鎖(R)]酢酸に相当し、βホモアミノ酸は3-(又はβホモ)2-[側鎖(R)]アミノプロパン酸(β2ホモアミノ酸)又は3-(又はβホモ)3-[側鎖(R)]アミノプロパン酸(β3ホモアミノ酸)に相当する。
β2ホモアミノ酸及びβ3ホモアミノ酸の式は下記のとおりある:
【化1】

式中、Rは当該アミノ酸を決定する残基のいずれか1つを表す。
【0020】
本発明は、アンジオテンシンIV、特に配列番号21の配列(Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)のヒトアンジオテンシンIVであり得る非改変の標識ペプチドの使用に関するものではない。
本発明は、アンジオテンシンIVに対応するヨウ素125I原子で標識した改変ペプチド(1位のバリンがNleで置換され、配列番号23の配列(Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)により表される)の使用に関するものではない。
【0021】
上記及び下記においては、慣例により、具体的配列は、天然アミノ酸、非天然アミノ酸及び前記天然又は非天然アミノ酸のβ2又はβ3誘導体を明らかにする。他方で、標識は配列中に現れず、したがって配列Xの標識ペプチドは配列番号Xの非標識配列により表され、標識のタイプが特定される。例えば、放射性ヨウ素で標識されたペプチドXは次のように示す:ヨウ素125Iで標識された配列番号Xの配列のペプチド。
【0022】
有利には、本発明の主題は、標識ペプチドが改変されていない、上記のようなIRAP循環性細胞外部分のアッセイ法である。但し、前記非改変の標識ペプチドはアンジオテンシンIVとは異なり、特に該非改変標識ペプチドは配列番号21の配列(Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)とは異なる。
これら非改変標識ペプチドは、非標識ペプチドと類似しているか又は等価であり、したがって循環性IRAPタンパク質の細胞外部分に強力な親和性を有するという利点がある。
【0023】
別の1つの有利な実施形態によれば、本発明は、標識ペプチドが少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変されている、上記のようなIRAP循環性細胞外部分のアッセイ法に関する。
前記改変された標識ペプチドは前記IRAP細胞外部分と特異的に相互作用し、但し、該改変ペプチド(ヨウ素125I原子で標識されている)は、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
これら改変された標識ペプチドは、循環性IRAPタンパク質の細胞外部分に強力な親和性を有し、特に多くのプロテアーゼ又はペプチダーゼを含有するサンプル中で、高度の安定性を有するという利点がある。
本発明によるペプチドの安定性は、特に、IRAPのアミノペプチダーゼ活性に対して該ペプチドが発揮する阻害特性の評価により測定することができる。この安定性の測定は実施例で説明する。
【0024】
1つの有利な実施形態において、本発明はまた、少なくとも
・IRAPの循環性細胞外部分の1つの精製段階、及び
・前段階で精製された循環性細胞外部分の、少なくとも1つの標識された改変ペプチドを用いる1つの定量段階
を含んでなる、上記のようなIRAP循環性細胞外部分のアッセイ法に関する。
よって、本発明による方法は、生物学的サンプル中のIRAP細胞外部分の少なくとも1つの精製段階を含んでなる。この精製段階の後に、前段階で精製されたIRAP細胞外部分の定量段階が続く。この第2段階は、少なくとも1つの上記改変ペプチドを用いて実施する。
【0025】
上記のように、IRAPの循環性細胞外部分の精製は、免疫学的方法、すなわちIRAPタンパク質を指向する抗体を用いる方法、特に免疫沈降法又は免疫捕捉法により実施することができる。この方法は、IRAPタンパク質の細胞外部分のみを認識する特異抗体を用いると特異的であり、純粋なIRAPタンパク質の細胞外部分の取得を可能にする。他のタンパク質による汚染の程度は、タンパク質検出法(銀染色、コロイドクーマシーブルー染色など)と組み合わせた標準のタンパク質分離法(SDS-PAGE)、当業者に公知の方法により評価することができる。免疫沈降法又は免疫捕捉法により、非常に広範に受容され得る程度(>90%)までの精製が可能になり、特にタンパク質をその環境から、例えば混入しているプロテアーゼから単離することができる。
【0026】
別の1つの有利な実施形態において、本発明は、
− 前記標識されたIRAPタンパク質阻害ペプチドが改変されており、下記:標識され改変されたアンジオテンシンIV及び標識され改変されたLVV-ヘモルフィン-7から選択されるか、又は
− IRAPタンパク質の前記標識された基質が改変されており、下記:標識され改変された[Arg]-バソプレッシン、標識され改変されたオキシトシン、標識され改変されたMet-/Leu-エンケファリン、標識され改変されたソマトスタチン、標識され改変されたCCK-8、標識され改変されたニューロキニンA、標識され改変されたニューロメディンB、標識され改変されたLys-ブラジキニン及び標識され改変されたダイノルフィンAから選択される、
上記のようなIRAP循環性細胞外部分のアッセイ法に関する。
【0027】
本発明で使用することができる標識された改変ペプチドは、IRAPタンパク質の基質又はIRAPタンパク質阻害ペプチドのいずれかに相当する。
阻害ペプチドは、LVV-ヘモルフィン-7又はアンジオテンシンIVから選択される。これら阻害ペプチドは改変され、標識される。
IRAPタンパク質はプロテアーゼであり、したがってIRAPの基質であるタンパク質を切断し得る。したがって、上記でIRAP基質と言及されたタンパク質は、IRAPにより切断され得るタンパク質である。
任意の酵素と同様に、IRAPの触媒活性は、インヒビターと呼ばれる化合物によりブロックされ得る。一般に、インヒビターは、酵素の活性部位に結合し、該酵素により代謝されず、酵素が基質にアクセスすることを妨げる。この種の阻害は競合阻害である。LVV-ヘモルフィン-7又はアンジオテンシンIVは、IRAPのこの活性を阻害するペプチドである。
【0028】
別の1つの有利な実施形態において、本発明は、IRAPタンパク質の循環性部分の前記精製がIRAPの細胞外部分に特異的である少なくとも1つの抗体を用いて、特に免疫沈降法又は免疫捕捉法により実施される、IRAPの循環性細胞外部分の上記アッセイ法に関する。
よって、生物学的サンプル中の循環性IRAPの細胞外部分を精製するために、本発明は、IRAPの細胞外部分を特異的に認識し、IRAPタンパク質の膜貫通部分も細胞内部分も認識しない抗体を使用することを提案する。
この精製法は、IRAP細胞外部分の特異抗体が糖ポリマー(アガロース、セルロース)のビーズに付着している免疫沈降法であり得る。精製法はまた、前記特異抗体が支持体、特に管の壁に固定され、該支持体上にIRAPを不動化するELISA又は放射免疫アッセイ(RIMA)に関する免疫捕捉法であり得る。
【0029】
有利には、次の物質の少なくとも1つを、IRAP細胞外部分の濃度を測定しなければならない血清、血漿、リンパ、脳脊髄液又は尿サンプルに添加することができる:
− カチオンキレート剤、例えば:EDTA、EGTA、1,10-オルトフェナントロリン、ジメルカプロール、リポ酸、BAPTA(1,2-ビス(o-アミノフェノキシ)エタン-N,N,N',N'-四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、DMPS(2,3-ジメルカプト-1-プロパンスルホン酸)、DMSA(ジメルカプトコハク酸)、ペニシラミン、デフェロキサミン、スルホサリチル酸、クエン酸、シュウ酸、酒石酸、N,N-ジメチルデシルアミン N-オキシド、ニトリロ三酢酸、ピロメリット酸、EDTMP(エチレンジアミン テトラ(メチレンホスホン酸))、フェロシアン化鉄、2,2'-ビピリジン、N,N',N'-トリス(2-ピリジルメチル)-cis,cis-1,3,5,-トリアミノシクロヘキサン(tachpyr)及びそのアナログ、アゾベンゼン及びそのアナログ、ジエチルジチオカルバメート、TPEN(N,N,N',N'-テトラキス(2-ピリジルメチル)エチレンジアミン)、1,2-シクロへキシレンジニトリロ四酢酸、マルトール、チオマルトール、エチルマルトール、エチルチオマルトール、2-メルカプトピリジンオキシド及びその他の二座キレート剤、
【0030】
− プロテアーゼ及びペプチダーゼインヒビター、例えば:AEBSF(4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニルフルオリド ハイドロクロライド)、6-アミノヘキサン酸、アンチパイン、アプロチニン、ベンズアミジン、ベスタチン、キモスタチン、E-64、ロイペプチン、ペプスタチン、ホスホラミドン、トリプシンインヒビター、ジイソプロピルフルオロホスフェート、PMSF、p-クロロメルクリ安息香酸、ジエチルピロカルボネート、2-メルカプトエチルアミン、アプスタチン、フェベスチン、ブロモエノールラクトン、エクトイン(1,4,5,6-テトラヒドロ-2-メチル-4-ピリミジンカルボン酸)、N-アセチル-エグリンC、メシル酸ガベキサート、N-トシル-L-フェニルアラニンクロロメチルケトン、Na-T-Boc-デアセチルロイペプチン、3,4-ジクロロイソクマリン、アマスタチン、(2S,3R)-3-アミノ-2-ヒドロキシ-4-(4-ニトロ-フェニル)ブタノイル-L-ロイシン、アクチノニン、エピアマスタチン、N-[(2S)-(メトキシカルボニルメチル)-4-メチルペンタノイル]-L-トリプトファン-メチルアミド、酸化2,2'-ジピリジル、L-ロイシンエチル、エピベスタチン
【0031】
− その他の化合物:メチオニン、ジチオトレイトール、ジチオエリトリトール、β-メルカプトエタノール、TCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)、システイン、N-エチルマレイミド、メルカプトエチルアミン、非イオン性界面活性剤(Triton X-100、Tween 20など)
これら全ての物質は当業者に公知であり、標準的な濃度で使用することができる。
【0032】
別の1つの有利な実施形態において、本発明は、IRAPタンパク質が
− 配列番号1の配列のIRAPタンパク質、又は
− 配列番号1の配列と少なくとも80%の配列同一性を示すIRAPタンパク質に相同なタンパク質(但し、該相同タンパク質は、上記のIRAPリガンド又はIRAP阻害性ペプチドと特異的に相互作用し得る)、又は
− 配列番号1のIRAPタンパク質をコードするRNAのオルタナティブスプライシングの産物であるIRAPタンパク質のアイソフォーム(但し、該アイソフォームは、上記のIRAPリガンド又はIRAP阻害性ペプチドと特異的に相互作用し得、配列番号1のIRAPタンパク質のアイソフォームは、特に配列番号2又は3のタンパク質によって表される)
で表される、IRAPの循環性細胞外部分の上記アッセイ法に関する。
【0033】
本発明において、IRAPタンパク質のホモログは、配列番号1の配列に相同な配列を有するがアミノ酸置換を有するタンパク質に相当する。
本発明で定義されるIRAPタンパク質のアイソフォームは、IRAPタンパク質をコードする遺伝子産物のオルタナティブスプライシング産物に相当し、その結果、得られるタンパク質は、配列番号1のIRAPタンパク質より短い配列を有する。本発明の好適なアイソフォームは、アミノ末端部分で幾つかのアミノ酸について短縮されたタンパク質に相当する。
【0034】
本発明の別の1つの有利な実施形態は、
・IRAPタンパク質の前記変形体が、配列番号4〜配列番号7の配列から選択されるアミノ酸配列を有し、
・IRAPタンパク質の前記アイソフォームが、配列番号8〜配列番号15の配列から選択されるアミノ酸配列を有する、上記アッセイ法に関する。
また、別の1つの有利な実施形態によれば、本発明は、IRAPタンパク質の循環性細胞外部分が、以下の配列:配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20から選択される配列で表されるアミノ酸配列を有する、上記アッセイ法に関する。
本発明の別の1つの有利な実施形態は、標識された改変ペプチドが、少なくとも1つのトリチウム原子又は少なくとも1つのヨウ素125I原子、すなわち1以上のヨウ素原子、優先的には単一ヨウ素125I原子で標識されている、上記アッセイ法に関する。
【0035】
1つの有利な実施形態において、本発明はまた、標識された改変ペプチドが下記一般式(III):
【化2】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
【0036】
Aは下記の群から選択され:
【化3】

前記標識された改変ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
Aが式IIIaにより表される場合及びa、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
*(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、
*(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
但し、前記改変ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる]
により表される、上記アッセイ法に関する。
【0037】
換言すれば、標識された改変ペプチドは、下記の3つの一般式:
【化4】

の1つに相当する。
【0038】
1つの有利な実施形態では、本発明はまた、前記標識された改変ペプチドが下記一般式(I):
【化5】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'はこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'はこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
【0039】
前記標識された改変ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
*(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、
*(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
前記改変ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる]
により表される上記アッセイ法に関する。
【0040】
換言すれば、下記式(Ia):
【化6】

のペプチドは、標識に関わらず本発明による使用から排除される。
少なくとも1つのヨウ素125原子(125I)で標識された、特に4-ヒドロキシベンジル残基の芳香環上でヨウ素125原子で標識された下記式(Ib):
【化7】

のペプチドもまた本発明による使用から排除される。
【0041】
よって、下記の式Ib1及びIb2の2つペプチドが排除される:
【化8】

【0042】
1つの有利な実施形態では、本発明は、標識された改変ペプチドが下記式のペプチドから選択される、上記アッセイ法に関する:
【化9】

【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【0043】
本発明はまた、標識された改変ペプチドが下記配列からなる上記アッセイ法に関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X3は、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
【0044】
(His-X4)は
式IIaのaba-gly
【化14】

又は
式IIbのaia-gly
【化15】

であることができ、
アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つは非天然アミノ酸及び/又は天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸であり、
但し、ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0045】
別の1つの有利な実施形態では、本発明は、標識された改変ペプチドが下記の配列からなる上記アッセイ法に関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X3は、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つは非天然アミノ酸及び/又は天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸であり、
但し、ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0046】
本発明によれば、配列番号22のアミノ酸配列により構成される標識された改変ペプチドは、全てのアミノ酸が当業者に公知のL/D命名法に従ってL型である、上記一般式(I)のペプチドに相当する。
【0047】
種々の天然又は非天然のアミノ酸及び該天然又は非天然のアミノ酸のβ2又はβ3誘導体の名称及び構造式を下記表1に示す。N欄は、対応するアミノ酸の性質を示す:天然(O)又は非天然(N)。
【表1−1】

【表1−2】

【0048】
本発明の1つの有利な実施形態は、標識された改変ペプチドが下記の配列からなる上記アッセイ法に関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
式中、アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つが天然又は非天然のβ-ホモアミノ酸である。
換言すれば、少なくとも1つのアミノ酸X1又はX2又はX3又はX4又はX4又はX5は、β2ホモバリン、β3ホモバリン、β2ホモロイシン、β3ホモロイシン、β2ホモイソロイシン、β3ホモイソロイシン、β2ホモチロシン、β3ホモチロシン、β2ホモプロリン、β3ホモプロリン、β2ホモフェニルアラニン、β3ホモフェニルアラニン、β2ホモノルロイシン、β3ホモノルロイシン、β2ホモtertロイシン、β3ホモtertロイシン、β2ホモシクロロイシン及びβ3ホモシクロロイシンから選択されるアミノ酸に相当する。
【0049】
別の1つの有利な実施形態では、本発明は、標識された改変ペプチドが
・チロシンX2上で少なくとも1つのヨウ素125I原子で、優先的には、(特にフェニル基上で)単一ヨウ素125I原子で、又は
・少なくとも1つの水素原子がトリチウム3H原子で置換されていることにより
標識されている上記アッセイ法に関する。
本発明の標識された改変ペプチドがヨウ素125原子で標識されている場合、該ペプチドは、チロシンのベンジル環のメタ位又はβ2ホモチロシン若しくはβ3ホモチロシン誘導体のベンジル環のメタ位に、少なくとも1つの125I原子又は2つの125I原子を有する。
優先的には、ペプチドは単一ヨウ素125I原子で標識される。
【0050】
本発明の別の1つの有利な実施形態は、標識された改変ペプチドが下記のペプチドから選択される上記アッセイ法に関する:
− 下記式のβ2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)
【化16】

− 下記式のβ2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)
【化17】

− 下記式のβ2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)
【化18】

− 下記式のVal-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)
【化19】

− 下記式のβ2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)
【化20】

− 下記式のβ2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)
【化21】

ここで、優先的には配列番号25のペプチドであり、該標識された改変ペプチドはヨウ素化されている。
上記ペプチドは、IRAPの循環性細胞外部分に高親和性を有し、安定であり、ヨウ素125Iが放射する放射能をカウントすることにより容易に検出することができる。
【0051】
有利には、本発明は、標識された改変ペプチドが下記ペプチドから選択される上記アッセイ法に関する:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)、
ここで、優先的には配列番号25のペプチドであり、該標識された改変ペプチドはトリチウム化されている。
上記ペプチドは、IRAPの循環性細胞外部分に高親和性を有し、安定であり、トリチウム3Hが放射する放射能をカウントすることにより容易に検出することができる。
【0052】
本発明の別の1つの有利な実施形態は、
・IRAPの循環性細胞外部分の精製段階、及び
・放射性ヨウ素125I、優先的には単一の放射性ヨウ素125I原子で標識された配列番号25のアミノ酸配列の少なくとも1つの改変ペプチドを用いる、前段階で精製された循環性細胞外部分の定量段階
を含んでなる、上記アッセイ法に関する。
本発明の別の1つの有利な実施形態は、
・IRAPの循環性細胞外部分の精製段階、及び
・配列番号25のアミノ酸配列の少なくとも1つのトリチウム化改変ペプチドを用いる、前段階で精製された循環性細胞外部分の定量段階
を含んでなる、上記アッセイ法に関する。
【0053】
本発明はまた、下記一般式(III)により表される標識された改変ペプチドに関する:
【化22】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
【0054】
Aは下記の群から選択され:
【化23】

前記標識された改変ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
Aが式IIIaにより表される場合及びa、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
*(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、
*(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
前記改変ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる]。
【0055】
本発明はまた、下記一般式(I)により表される標識された改変ペプチドに関する:
【化24】

該ペプチドは、任意に、少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変されていてもよく、
式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
【0056】
該標識ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
該標識ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる。
前記ペプチドは新規である。
【0057】
本発明の1つの有利な実施形態は、上記一般式Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、Ij、Ik、Il、Im、In、Io、IIId又はIIIeで表される上記標識ペプチドに関する。
1つの有利な実施形態では、本発明はまた、下記の配列からなる改変された標識ペプチドに関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X3は、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
【0058】
(His-X4)は
式IIaのaba-gly
【化25】

又は
式IIbのaia-gly
【化26】

であることができ、
アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つは、非天然アミノ酸及び/又は天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸であり、
但し、ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0059】
別の観点において、本発明は、上記の改変された非標識ペプチド、特に下記式IIIb1及びIIIc1のペプチドに関する:
【化27】

【0060】
本発明の1つの有利な観点は、下記の配列からなる、少なくとも1つの放射性同位体で標識された上記標識ペプチドに関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)、
ここで、該ペプチドは任意に改変されていてもよく、
式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、又はロイシンから誘導された非天然アミノ酸、特にノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)、又はこれら天然又は非天然のアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X3は、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、又はロイシンから誘導された非天然アミノ酸、特にノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)、又はこれら天然又は非天然のアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であり得、
但し、
前記非改変標識ペプチドはアンジオテンシンIVとは異なり、特に該非改変標識ペプチドは配列番号21(Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)の配列とは異なり、
ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は、配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる。
【0061】
有利には、本発明は、下記の配列からなる上記標識された改変ペプチドに関する:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)、
ここで、該ペプチドは、アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つが、天然又は非天然のβ-ホモアミノ酸であるように改変されている。
本発明の別の1つの有利な観点は、
・チロシンX2(特にフェニル基)上で少なくとも1つのヨウ素125I原子で、又は
・少なくとも1つの水素原子がトリチウム3H原子で置換されていることにより
標識されている、上記の標識された改変ペプチドに関する。
【0062】
別の1つの有利な観点では、本発明は、下記のペプチドから選択される上記標識された改変ペプチドに関する:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)、
ここで、
優先的にはペプチド配列番号25であり、
該標識された改変ペプチドは、ヨウ素化、優先的には単一ヨウ素125I原子でヨウ素化されている。
【0063】
別の1つの有利な観点では、本発明は、下記のペプチドから選択される上記標識された改変ペプチドに関する:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)、
ここで、
優先的にはペプチド配列番号25であり、
該標識された改変ペプチドはトリチウム化されている。
【0064】
本発明を、図1A〜1Q、図2A〜2Q及び下記の実施例により説明するが、本発明は実施例に限定されない。
図の説明:
【0065】
図1A〜1Qは、水/アセトニトリル溶媒の存在下、0.1%TFAを含有する移動相での逆相HPLC溶出液の215nmでの吸収スペクトルを表す。標準グラジエントは、3%〜97%アセトニトリルの20分間にわたる移動(速度1mL/分)に相当する。
図1Aは、ペプチドH-β3hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Bは、ペプチドH-Val-β3hTyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Cは、ペプチドH-Val-Tyr-β3hIle-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0066】
図1Dは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-β3hPro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Eは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Fは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの第1のジアステレオ異性体の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Gは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの第2のジアステレオ異性体ペプチドの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0067】
図1Hは、ペプチドH-Val-β2hTyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Iは、ペプチドH-Val-Tyr-β2hLeu-His-Pro-Phe-OHの第1のジアステレオ異性体の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Jは、ペプチドH-Val-Tyr-β2hLeu-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Kは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Lは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-Pro-β2hPhe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0068】
図1Mは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Nは、ペプチド
【化28】

の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Oは、ペプチドH-β2hNle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Pは、ペプチドH-β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図1Qは、ペプチドH-β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0069】
図2A〜2Qは、水/メタノール溶媒の存在下、0.1%TFAを含有する移動相での逆相HPLC溶出液の215nmでの吸収スペクトルを表す。標準グラジエントは3%〜97%のメタノールの20分間にわたる移動(速度1mL/分)に相当する。
図2Aは、ペプチドH-β3hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Bは、ペプチドH-Val-β3hTyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Cは、ペプチドH-Val-Tyr-β3hIle-His-Pro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0070】
図2Dは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-β3hPro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Eは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Fは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの第1のジアステレオ異性体の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Gは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHの第2のジアステレオ異性体ペプチドの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0071】
図2Hは、ペプチドH-Val-β2hTyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Iは、ペプチドH-Val-Tyr-β2hLeu-His-Pro-Phe-OHの第1のジアステレオ異性体の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Jは、ペプチドH-Val-Tyr-β2hLeu-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Kは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Lは、ペプチドH-Val-Tyr-Ile-His-Pro-β2hPhe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0072】
図2Mは、ペプチドH-β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHの時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Nは、ペプチド
【化29】

の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Oは、ペプチドH-β2hNle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Pは、ペプチドH-β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-Phe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
図2Qは、ペプチドH-β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe-OHのラセミ化合物の混合物の時間関数としてのUV吸収スペクトルを表す。
【0073】
図3A〜3Dは、ペプチドNo.6、11及び17並びにアンジオテンシンIVのヨウ素化のHPLCプロフィールを表す。X軸は保持時間(分)を表し、Y軸は強度(mV/I*)を表す。
図3Aは、アンジオテンシンIVのペプチドのプロフィールを表す。
図3Bはリガンド6のプロフィールを表す。
図3Cはリガンド11のプロフィールを表す。
図3Dはリガンド16のプロフィールを表す。
【0074】
図4は、モノヨウ素化ペプチドNo.17のヨウ素化のHPLCプロフィールを表す。X軸は保持時間(分)を表し、Y軸は強度(mV/I*)を表す。
図5は、アンジオテンシンIV及びペプチド誘導体(リガンド6、11及び17)の組換えIRAP-Hisタンパク質への結合を表す。X軸はμg/mLで表される組換えIRAPの量を表し、Y軸はB/Bmaxで表されるヨウ素125の放射能を表す。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】水/アセトニトリル溶媒の存在下、0.1%TFAを含有する移動相での逆相HPLC溶出液の215nmでの吸収スペクトルを表す。
【図2】水/メタノール溶媒の存在下、0.1%TFAを含有する移動相での逆相HPLC溶出液の215nmでの吸収スペクトルを表す。
【図3−1】ペプチドNo.6及びアンジオテンシンIVのヨウ素化のHPLCプロフィールを表す。
【図3−2】ペプチドNo.11及び17のヨウ素化のHPLCプロフィールを表す。
【図4】モノヨウ素化ペプチドNo.17のヨウ素化のHPLCプロフィールを表す。
【図5】アンジオテンシンIV及びペプチド誘導体(リガンド6、11及び17)の組換えIRAP-Hisタンパク質への結合を表す。
【実施例】
【0076】
実施例
実施例1:ペプチドの合成
全てのペプチドの合成は、tert-ブトキシカルボニル(Boc)又はN-9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)により末端アミノ位で保護したアミノ酸を用いる固相ペプチド合成により行った。
ペプチドは、メリフィールドBoc-Phe樹脂(0.57mmol/g)、ワングFmoc-Phe樹脂(0.76mmol/g)又は2-クロロトリチルクロリド樹脂(1.5mmol/g)上で合成した。
側鎖の保護基は、Fmoc合成についてはTyr(t-Bu)、β3-hTyr(t-Bu)及びHis(Trt)であり、Boc合成についてはTyr(2,6-ジ-Cl-Bzl)及びHis(Tos)であった。
【0077】
Fmoc保護基は、ジメチルホルムアミド(DMF)中ピペリジンの20%溶液で洗い流し(2×5分間)、Boc保護基の切断は、ジクロロメタン(DCM)中トリフルオロ酢酸(TFA)の50%溶液中で行い(2×10分間)、DCM中トリエチルアミン(TEA)の10%溶液を中和に使用した(2×5分間)。
アミノ酸のカップリングは、DMF/DCM(1v/1v)中、O-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム テトラフルオロボレート(TBTU)(3当量)及びジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(6当量)を用いて行った。
【0078】
合成プロトコルは下記のとおりであった:
標準Fmocサイクル:
【表2】

【0079】
3当量のアミノ酸(樹脂に関して)及び6当量のDIPEA(樹脂に関して)を、必要であればアミノ酸の溶解を容易にするために少量のDMFを含有する、CH2Cl2(1gの樹脂に対して10mL)中に溶解した。2-クロロトリチルクロリド樹脂をCH2Cl2中で1時間予め安定化し、上記混合物の添加後、樹脂を30〜120分間混合した。その後、樹脂をCH2Cl2/MeOH/DIPEA混合物(17:2:1)で3回、次いでDMFで2回、CH2Cl2で3回洗浄した。
【0080】
標準Bocサイクル:
【表3】

【0081】
Boc-アミノ酸をEtOH(2mL/mmol)中及び水(0.5mL/mmol)中で溶解し、Cs2CO3の2M水溶液でpHを7に調整した。乾燥により溶液を蒸発させ、残留物をジオキサンで2回蒸発させた。メリフィールド樹脂をCH2Cl2中で1時間予め安定化し、DMFで洗浄した。DMF中のアミノ酸セシウム塩(1.2当量)を樹脂に添加し、反応媒体を50℃にて一晩加熱した。反応の終りに、樹脂をDMF中で3回、DMF/水混合物(1:1)中で3回、DMF中で3回、CH2Cl2中で3回、MeOH中で3回洗浄した。
【0082】
両ストラテジ(Boc及びFmoc)において、3当量のアミノ酸、3当量のTBTU及び6当量のDIPEAを混合し、3分間放置して活性化させた。その後、溶液を樹脂に加え、2時間又は一晩撹拌した。
比色試験はカイザー試験に対応する。この試験は3溶液からなる:
A:100mLのn-BuOH中5gのニンヒドリン;
B:20mLのn-BuOH中80gのフェノール;
C:98mLのピリジン中2mLの0.001M水性KCN
【0083】
数個の樹脂ビーズを試験管中に配置する。各溶液を3滴加え、試験管を100℃で5分間加熱する。樹脂又は溶液が無色になるか又は黄色がかったら、結果は陰性である。青色は一級アミンの存在を示し、茶/赤色は二級アミンの存在を示す。
TFA/H2O/トリエチルシラン(TES)混合物(95:2.5:2.5)での2時間の処理により、又はメリフィールド樹脂の場合にはフッ化水素酸HF若しくはTFA/トリフルオロメタンスルホン酸(TFMSA)/TES混合物(20:2:3)での処理により、ペプチドを樹脂から切断した。両方の場合で、ペプチドを沈殿させるためにエタノールを添加する。沈殿物はEtOHで洗浄する。
【0084】
C18 Supelco Discovery BIO Wide Poreカラムでの逆相HPLCによりペプチドを精製した。水/アセトニトリル溶媒中(図1A〜1Q)又は水/メタノール溶媒中(図2A〜2Q)での薄層クロマトグラフィー試験(TLC)及び逆相HPLC分析後、各ペプチドは少なくとも98%純粋であった。
分子量は、エレクトロスプレーイオン化-質量分析(ESI-MS)により確証した。
【0085】
下記の表に合成したペプチドの特性をまとめる。「M calc」は予想質量に対応し、「ESI MS」は質量分析により得られた質量に対応し、「R%」は粗製ペプチドに対する収率(%)に対応し、「Time Ret1」は水/アセトニトリル溶出の間の保持時間に対応し、「Purity%1」は水/アセトニトリル溶出後に得られる生成物の純度に対応し、「Time Ret2」は水/メタノール溶出の間の保持時間に対応し、「Purity%2」は水/メタノール溶出後に得られる生成物の純度に対応する。
【0086】
【表4】

【0087】
合成の間、使用したβ2ホモアミノ酸は全てがラセミ化合物の形態であり、合成後に2つのジアステレオ異性体が得られた。これらジアステレオ異性体の分別は、文字「a」及び「b」の存在により示される。ジアステレオ異性体を分別できないときは、「ab」で表す。慣例により、「a」ジアステレオ異性体は、逆相HPLCの間に、「b」ジアステレオ異性体より前に溶出する。
【0088】
実施例2:トリチウムでの標識
新たに合成した非精製ペプチドを、Toth Gら(1997, Methods Mol Biol., vol 73, pp:219-30)に記載された手順に従う触媒飽和によりトリチウム化した。
使用した気体状トリチウム化二水素3H2はTechnobexport(ロシア)から入手し、98%以上の量のトリチウムを含有する。
粗製ペプチドの放射能は、トルエン-Triton X-100混合物を含んでなる閃光剤(scintillant)中でTRI-CARB 2100TRシンチレーションカウンターを用いて測定した。放射能の測定値は約100mCi(3.7 GBq)であった。
トリチウム化ペプチドは、Grace Vydac 218TP54 C18カラムを用いるHPLCにより精製し、シンチレーション液の検出は、Ultima-Flo M閃光剤を用いるCanberra Packard Radiomatic 505TR Flow Radiochromatography検出器で行った。トリチウム化精製ペプチドの比活性は、標準曲線を用いてHPLCにより測定した。得られた比活性は、約30.0 Ci mmol-1〜約45.0 Ci mmol-1であった。
【0089】
実施例3:ヨウ素125(125I)での標識
ペプチドのヨウ素化は、当業者に公知の幾つかのプロトコルに従って行うことができる。タンパク質のヨウ素化の原理は、酸化剤(例えば、クロラミン-T、ヨードゲン(1,3,4,6-テトラクロロ-3α,6α-ジフェニル-グリコールウリル)、N-クロロ-ベンゼンスルホンアミド又はラクトペルオキシダーゼ)の存在下でのI-(NaI)からI+又はI3-への転換に基づく。I+又はI3-は、「Antibodies: a laboratory manual」E. Harlow及びD. Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988 pp. 324-339に記載されるように、メタ位でチロシンの芳香環を攻撃する反応種である。
【0090】
N-クロロ-ベンゼンスルホンアミドでのヨウ素化の材料
放射性ヨウ素125Iは、塩基性溶液中においてNa125Iの形態で、約1mCi(37MBq)/10μlヨウ素-125(Amersham;IMS30)で使用する。
試薬
・0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)
・Tris緩衝化生理食塩水(TBS)緩衝液
・TBS中5%BSA
・安定化溶液(10%チオ硫酸ナトリウム+0.1N NaOH)
・IODO-BEADTM(PIERCE):酸化剤(N-クロロ-ベンゼンスルホンアミド)をグラフトしたビーズ
・ハミルトンマイクロシリンジ(モデル702、25μl、ニードル22S、スタイル2)
・脱塩カラム(Bio-rad DG-10など)
【0091】
手順
1.プラスチック管中で、200μLの0.1Mリン酸緩衝液(pH7)を、500μCiのNa125I(5μL)及び1〜2用量のIODO-BEADと混合する。
2.混合物を周囲温度にて5分間インキュベートする。
3.ペプチドを溶液に添加する(1〜100μgのペプチド)。
4.新たな混合物を周囲温度にて10〜25分間インキュベートする。
5.上清を取り出し、遊離塩、Na125I及びI+又はI3-を除去するために脱塩カラムに入れる。
6.カラムの画分を集め、シンチレーションカウンターを用いて各画分の放射能を測定する。
7.放射性画分に、照射による分解を防止するために1/4容量の5%BSA溶液を添加する。
【0092】
代替のヨウ素化手順
試薬
・標識緩衝液=250mM酢酸アンモニウム緩衝液(pH5.3)
・コンディショニング緩衝液=PBS+0.1%BSA
・精製緩衝液=20%アセトニトリル+0.5%TFA
・HPLC精製、C18カラム
・標識緩衝液中でのリガンドの再構成 [リガンド]=100μg/ml
【表5】

【0093】
標識
比活性=500μCi/μg又は18.5MBq/μgリガンド
・5μg(50μL)のリガンド
・92.5MBqのヨウ素
・15μgのChT
・接触時間=60s
・15μgのMBS
・接触時間=30s
・精製=下記のグラジエント後、275nmでのODをモニタリングしながら逆相HPLC:
【表6】

【0094】
結果:ヨウ素125で標識した合成IRAPリガンド及びアンジオテンシンIVのHPLCプロフィールを図3A〜3Dに示す。
・「モノ-ヨウ素化」画分の決定
−第1段階=リガンド17の「非放射性」ヨウ素での標識、HPLCによる精製、得られた画分の質量分析による分析、「モノ-ヨウ素化」画分の収集
−第2段階=第1段階の間に得られた「モノ-ヨウ素化」画分及びヨウ素125で標識されたリガンド17の画分F1の同時注入
−第3段階=I125で標識されたリガンドの画分F1と「モノ-ヨウ素化」画分との同時溶出
図4は、画分F1が確かに「モノ-ヨウ素化」されていることを示す。
【0095】
実施例4:ペプチドの特異性:標識ペプチド/IRAPの細胞外部分の結合の測定
標識ペプチドとIRAPの細胞外ドメインとの間の結合の測定は、Demaegdtら(Demaegdtら,2004, Biochem. Pharmacol., 68, 885-892)により記載された試験から適合させた結合試験により行った。
親和性精製昆虫細胞(HighFive)中で産生させた組換えIRAPの細胞外ドメインを、140mMのNaClを含有する50mM結合緩衝液Tris-HCl(pH7.4)中に採取した。
100μLのIRAP細胞外部分、50μlのEDTA/1,10-フェナントロリン混合物(500μMのEDTA及び100μMの1,10-フェナントロリンの最終濃度)及び下記:
− 50μlの結合緩衝液、又は
− 競合試験用の非標識ペプチドを含有する50μlの結合緩衝液
のいずれかを含んでなる24ウェルプレート(300μLの最終容量)中でインキュベーションを行った。
【0096】
50μlの標識ペプチドを、飽和試験については0.5〜0.8nMの最終濃度で、その他の試験については3nMの濃度で添加した。
インキュベーションは、37℃にて60分間までの可変(動力学的)時間で行った。
次いで、IRAPの細胞外部分が吸着しているウェルを、遊離の放射能を除去するためにインキュベーション緩衝液で数回洗浄した。
その後、閃光液の存在下でシンチレーションカウンターを用い、放射能を個別に測定した。
IRAP細胞外部分に関する標識ペプチドの親和性は、1〜100nMの間と評価した。
【0097】
実施例5:標識ペプチドの安定性
アンジオテンシンIVから誘導した標識ペプチドの安定性を測定するために、非放射性ヨウ素(127I)で標識したホモログを、プロテアーゼインヒビターで事前に処理していない血清サンプル中で100μMの濃度にて40分間インキュベートした。
次いで、ペプチドをゲル濾過により血清から分離し、[125I]-AngIV(0.1〜1nM)又は[125I]-Nle-AngIV(0.1〜1nM)並びにペプチダーゼインヒビター及びプロテアーゼインヒビターの存在下、IRAPの精製細胞外ドメインと0.1nM〜1μMの範囲の濃度でインキュベートした。
その後、血清サンプル中のペプチドの安定性を、IRAP細胞外ドメインに対する125I標識ペプチドと[125I]-AngIV又は[125I]-Nle-AngIVとの競合を測定することにより間接的に測定する(A. Lukaszukら,Med Chem. 51, 2291-2296, 2008を参照)。
【0098】
実施例6:IRAP RIA
手順の原理
本発明によるIRAPの循環性細胞外部分(extIRAPc)のアッセイは、免疫放射線測定法に基づく。患者に由来するサンプル又は標準物に存在するIRAPの循環性細胞外部分は、IRAPの細胞外部分に特異的であり、ポリスチレンチューブの内表面に結合させたモノクローナル抗体(Mab)により認識される。
extIRAPcに対して高親和性を有するヨウ素125又はトリチウム標識ペプチド(ペプチド*)の添加は、固相(チューブ)に結合したサンドイッチ複合体:Mab−extIRAPc−ペプチド*の形成を誘導する。
インキュベーションの終時に、吸引及び洗浄により、固相に結合しなかったペプチド*の画分を除去する。複合体の形成はextIRAPcの存在下でのみ生じ、固相(チューブ)に結合した放射能は、サンプル中のextIRAPcの濃度に正比例する。標準化曲線により、アッセイすべきサンプル中のextIRAPcの濃度を内挿決定することが可能になる。
【0099】
サンプルのサンプリング、調製及び保存
アッセイはヒト血清について行うことができる。アッセイをサンプリング後24時間内に行う場合、サンプルは2〜8℃で保存することができる。その他の場合には、サンプルは小分けし、最大5ヶ月間、−20℃以下の温度で凍結させなければならない。凍結させた場合、サンプルは、アッセイ前に、完全に解凍してホモジナイズしなければならない。凍結及び解凍サイクルの繰返しは回避しなければならない。
高レベルのextIRAPcが予想される場合、ゼロ標準物(下記参照)でサンプルを希釈する必要がある。希釈物の調製の間、プラスチックチューブを使用することが推奨される。
【0100】
凍結乾燥試薬の再構成調剤の手順
・5mLの蒸留水でゼロ標準物(extIRAPcを有さないサンプルに相当)を再構成する
・標準物1〜6(extIRAPc量が既知の血清サンプル)並びにコントロールG1及びG2(extIRAPcを含有する溶液に相当)を1mLの蒸留水で再構成する
使用の数分前に試薬を再構成し、穏やかに混合する(泡の形成を回避)。
【0101】
洗浄緩衝液の希釈:900mLの蒸留水を100mLの濃縮洗浄緩衝液に添加する。泡の形成を回避する(洗浄緩衝液:PBS、アルブミン0.1%、pH7.4)。
【0102】
アッセイプロトコル
使用前に、コートしたチューブ、標準物、コントロール血清及び分析すべき血清を、周囲温度(18〜25℃)に少なくとも30分間置く;次いで、内容物をボルテックスで混合する。分析は、標準物、コントロール血清及びサンプルのいずれについても2回行うことが推奨される。試薬の使用順序を几帳面に守る:
1.50μLの各サンプル(標準物、コントロール血清及びサンプル)をピペッティングし、採取したサンプルと同じ数のMab被覆チューブ及び非被覆チューブの底に堆積させる。
2.200μLのペプチド*を各チューブ(総活性評価用非被覆チューブを含む)に分配する。
3.周囲温度(18〜25℃)にて2時間±5分間、水平撹拌(200〜300rpm)しながらインキュベートする
4.チューブを以下のとおり洗浄する:チューブ(総活性評価用を除く)の内容物を注意深く吸引し、各チューブ(総活性評価用を除く)に1mLの希釈した洗浄緩衝液を添加し、洗浄溶液を吸引する。この洗浄を2回繰り返す。再現性及び信頼性のある結果を得るために、洗浄は正確に行う必要がある。インキュベーション時間の注意深い遵守及び洗浄溶液の完全な除去が、分析成功の基礎である。
5.全てのチューブ(総活性評価用を含む)の活性を、ガンマカウンターを用いて測定する。
【0103】
質コントロール
得られる結果の質を検証するために、コントロールサンプルを各々の分析に含ませることが推奨される。
全てのサンプルは同様に取り扱わねばならず、結果は適切な統計学的方法で分析する。コントロール血清の値が指示された許容範囲内にない場合には、アッセイを再度行わなければならない。
【0104】
結果の計算
1.標準物、コントロール又はサンプルの各々についてカウントの平均を算出する。
2.x軸上のそれぞれインスリン濃度の関数としてy軸上に記録した各標準物の平均カウントを使用して標準曲線をプロットする。
3.(適切な場合には、使用した希釈係数で較正した)それぞれの平均カウントを用いる標準曲線の内挿によって、コントロール及びサンプルの濃度を算出する。
【0105】
RIAの例
* 4G6:ペプチド配列QKKGKELFIQQER(IRAPペプチドNo.3の配列)を指向する抗IRAPモノクローナル抗体(IgG3a)
* チューブ:BSA−ビオチン−アビジン−4G6-biot
* 410μg/mlのIRAP-HIS組換えタンパク質(lot712-CAP-05p)
0〜12.5μg/mlの範囲
* 緩衝液範囲「IRAP-HIS」:PBS(11mM PO4+140mM NaCl)+1% プロテアーゼ不含BSA+0.1% プロクリン+5mM EDTA
* トレーサーコンディショニング緩衝液=緩衝液 IRAP-HIS+120-Mフェナントロリン
* トレーサー、1μci/mlで標識したリガンドの画分F1
* リガンド6
* リガンド11
* リガンド17
* アンジオテンシンIV
* 洗浄溶液:H2O+0.05%Tween 20
【0106】
プロトコル
* 200μl/チューブのIRAP-His
撹拌(750rpm)しながら周囲温度で4時間のインキュベーション
* 2回の洗浄=吸引+(2×2ml/チューブ)
* 200μlのリガンド*/チューブ
周囲温度で一晩のインキュベーション
* 2回の洗浄=吸引+(2×2ml/チューブ)
* 1mnを超える放射能のカウント
結果を図5に示す。
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】

【図1E】

【図1F】

【図1G】

【図1H】

【図1I】

【図1J】

【図1K】

【図1L】

【図1M】

【図1N】

【図1O】

【図1P】

【図1Q】

【図2A】

【図2B】

【図2C】

【図2D】

【図2E】

【図2F】

【図2G】

【図2H】

【図2I】

【図2J】

【図2K】

【図2L】

【図2M】

【図2N】

【図2O】

【図2P】

【図2Q】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
IRAPタンパク質(「インスリン反応性アミノペプチダーゼ」)の細胞外部分と特異的に相互作用する少なくとも1つの標識された改変ペプチドを用いる、IRAPの精製された分泌細胞外部分の少なくとも1つの定量アッセイ段階を含んでなり、
前記ペプチドは、少なくとも1つの非天然アミノ酸及び/又は少なくとも1つの天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸の存在により改変され、該標識ペプチドは、優先的には少なくとも1つの放射性同位体で標識されており、但し、
−該ペプチドは抗体ではなく、
−ヨウ素125I原子で標識された改変ペプチドは、配列 Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる、IRAPタンパク質の循環性細胞外部分のアッセイ法。
【請求項2】
前記標識された改変ペプチドが
−下記:
・標識され改変された[Arg]-バソプレッシン、
・標識され改変されたオキシトシン、
・標識され改変されたMet-/Leu-エンケファリン、
・標識され改変されたソマトスタチン、
・標識され改変されたCCK-8、
・標識され改変されたニューロキニンA、
・標識され改変されたニューロメディンB、
・標識され改変されたLys-ブラジキニン、及び
・標識され改変されたダイノルフィンA
から選択されるIRAPタンパク質の標識基質であるか、又は
−下記:
・標識され改変されたアンジオテンシンIV、及び
・標識され改変されたLVV-ヘモルフィン-7
から選択されるIRAPタンパク質を阻害する標識ペプチドであるか
のいずれかのIRAPのリガンドである、請求項1に記載のIRAPの循環性細胞外部分のアッセイ法。
【請求項3】
少なくとも
・IRAPの循環性細胞外部分の精製段階、及び
・前段階で精製された循環性細胞外部分の、請求項1又は2で規定された少なくとも1つの標識された改変ペプチドを用いる定量段階
を含んでなる、請求項1又は2に記載のIRAPの循環性細胞外部分のアッセイ法。
【請求項4】
IRAPタンパク質の循環性部分の前記精製がIRAPの細胞外部分に特異的な少なくとも1つの抗体を用いて、特に免疫沈降又は免疫捕捉により行われる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のIRAPの循環性細胞外部分のアッセイ法。
【請求項5】
前記IRAPタンパク質が、
−配列番号1の配列のIRAPタンパク質、又は
−配列番号1の配列と少なくとも80%の配列同一性を示し、IRAPリガンド若しくはIRAP阻害性ペプチドと特異的に相互作用し得る、IRAPタンパク質と相同なタンパク質、又は
−配列番号1のIRAPタンパク質をコードするRNAのオールタナティブスプライシングの産物であり、IRAPリガンド若しくはIRAP阻害性ペプチドと特異的に相互作用し得る、特に配列番号2又は3のタンパク質により表されるIRAPタンパク質のアイソフォーム
により表される、請求項1〜4のいずれか1項に記載のIRAPの循環性細胞外部分のアッセイ法。
【請求項6】
・IRAPタンパク質の前記変形体が配列番号4〜配列番号7の配列から選択されるアミノ酸配列を有し、
・IRAPタンパク質の前記アイソフォームが配列番号8〜 配列番号15の配列から選択されるアミノ酸配列を有する、請求項5に記載のアッセイ法。
【請求項7】
IRAPタンパク質の循環性細胞外部分が以下の配列:配列番号16、配列番号17、配列番号18、配列番号19及び配列番号20から選択される配列により表されるアミノ酸配列を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項8】
前記標識された改変ペプチドが少なくとも1つのトリチウム原子又は少なくとも1つのヨウ素125I原子、優先的には単一ヨウ素125I原子で標識されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項9】
前記標識された改変ペプチドが下記一般式(III):
【化1】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
Aは下記の群から選択され:
【化2】

前記標識された改変ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
Aが式IIIaにより表される場合及びa、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
*(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、
*(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
前記改変ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる]
により表される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項10】
前記標識された改変ペプチドが下記の配列:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
[式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X3は、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、ノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)又はこれらアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
(His-X4)は
式IIaのaba-gly
【化3】

又は
式IIbのaia-gly
【化4】

であることができ、
アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つが非天然アミノ酸及び/又は天然若しくは非天然のβ-ホモアミノ酸であり、但し、ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる]
からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項11】
前記標識された改変ペプチドが下記の配列:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
[式中、アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つは天然又は非天然のβ-ホモアミノ酸である]
からなる、請求項9又は10に記載のアッセイ法。
【請求項12】
前記標識された改変ペプチドが、
・チロシンX2上で少なくとも1つのヨウ素125I原子で、優先的には単一ヨウ素125I原子で、特にフェニル基上で、又は
・少なくとも1つの水素原子がトリチウム3H原子で置換されていることにより
標識されている、請求項9〜11のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項13】
前記標識された改変ペプチドが下記のペプチド:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)
から選択され、優先的には配列番号25のペプチドであり、
該標識された改変ペプチドがヨウ素化され、優先的には単一ヨウ素125I原子によりヨウ素化されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項14】
前記標識された改変ペプチドは下記のペプチド:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)、
から選択され、優先的には配列番号25のペプチドであり、
該標識された改変ペプチドがトリチウム化されている、請求項9〜12のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項15】
・IRAPの循環性細胞外部分の精製段階、及び
・前段階で精製された循環性細胞外部分の、放射性ヨウ素125Iで、優先的には単一ヨウ素125I原子で標識された配列番号25のアミノ酸配列の少なくとも1つの改変ペプチドを用いる定量段階
を含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項16】
・IRAPの循環性細胞外部分の精製段階、及び
・前段階で精製された循環性細胞外部分の、配列番号25のアミノ酸配列の少なくとも1つのトリチウム化標識された改変ペプチドを用いる定量段階
を含んでなる、請求項1〜14のいずれか1項に記載のアッセイ法。
【請求項17】
下記一般式(III):
【化5】

[式中、
a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjは、(a+b)≦1、(c+d)≦1、(e+f)≦1、(g+h)≦1及び(i,j)≦1であるように0又は1であることができ、ここで、(a,b)、(c,d)、(e,f)、(g,h)及び(i,j)は互いに独立し、
(R1,R1')は、
−R1が-CH(CH3)2基、-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、-(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択され、R1'は水素原子であるか、又は
−R1及びR1'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
(R2,R2')は、
−R2が-CH2-CH(CH3)2基、-CH(CH3)-CH2-CH3基、(CH2)3-CH3基及びC(CH3)3基から選択される場合、R2'は水素原子であるか、又は
−R2及びR2'がこれらを有する炭素と一緒になってシクロペンチルを形成するものであり、
ここで、対(R1,R1')及び(R2,R2')は互いに独立して選択され、
Aは下記の群から選択され:
【化6】

前記標識された改変ペプチドは、ラセミ化合物、そのエナンチオマーのいずれか1つ、又はラセミ化合物及びエナンチオマーに対応する異なる互変異性体のいずれか1つの形態であり、
但し、
Aが式IIIaにより表される場合及びa、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0である場合、
*(R1,R1')=(-CH(CH3)2;H)であれば、(R2,R2')は(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)とは異なり、
*(R2,R2')=(-CH(CH3)-CH2-CH3;H)であれば、(R1,R1')は(-CH(CH3)2;H)とは異なり、
前記改変ペプチドがヨウ素125I原子で標識されている場合、a、b、c、d、e、f、g、h、i及びjが0であれば、(R1,R1')は(-(CH2)3-CH3;H)とは異なる]
により表される標識された改変ペプチド。
【請求項18】
ペプチドが下記の配列:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
[式中、
X1は、バリン(Val)、ロイシン(Leu)、イソロイシン(Ile)、又はロイシンに由来する非天然アミノ酸、特にノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)、又はこれら天然若しくは非天然のアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X2は、チロシン又はチロシンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X3は、ロイシン(Leu)、又はロイシンに由来する非天然アミノ酸、特にノルロイシン(Nle)、シクロロイシン(Cle)若しくはtert-ロイシン(Tle)、又はこれら天然若しくは非天然のアミノ酸の1つのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X4は、プロリン又はプロリンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
X5は、フェニルアラニン又はフェニルアラニンのβ2若しくはβ3誘導体であることができ、
(His-X4)は
式IIaのaba-gly
【化7】

又は
式IIbのaia-gly
【化8】

であることができ、
但し、
前記標識された非改変ペプチドはアンジオテンシンIVとは異なり、特に前記標識された非改変ペプチドは配列番号21(Val-Tyr-Ile-His-Pro-Phe)の配列とは異なり、
ヨウ素125I原子で標識された配列番号22の配列は配列Nle-Tyr-Ile-His-Pro-Phe(配列番号23)とは異なる]
からなる少なくとも1つの放射性同位体で標識されている、標識された改変ペプチド。
【請求項19】
下記の配列:
X1-X2-X3-His-X4-X5 (配列番号22)
からなり、アミノ酸X1〜X5の少なくとも1つが天然又は非天然のβ-ホモアミノ酸であるように改変されている、請求項18に記載の標識された改変ペプチド。
【請求項20】
前記標識された改変ペプチドが、
・チロシンX2上で少なくとも1つのヨウ素125I原子で、優先的には単一ヨウ素125I原子で、特にフェニル基上で、又は
・少なくとも1つの水素原子がトリチウム3H原子で置換されていることにより
標識されている、請求項18又は19に記載の標識された改変ペプチド。
【請求項21】
前記標識された改変ペプチドが下記のペプチド:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)
から選択され、優先的には配列番号25のペプチドであり、
該標識された改変ペプチドがヨウ素化され、優先的には単一ヨウ素125I原子によりヨウ素化されている、請求項18〜20のいずれか1項に記載の標識された改変ペプチド。
【請求項22】
前記標識された改変ペプチドは下記のペプチド:
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-Phe- (配列番号24)、
− β2hVal-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号25)、
− β2hLeu-Tyr-Ile-His-Pro-β3hPhe- (配列番号26)、
− Val-Tyr-Ile-His-β2hPro-Phe- (配列番号27)、
− β2hVal-Tyr-Ile-Aba-Gly-Phe- (配列番号28)、及び
− β2hVal-Tyr-Ile-Aia-Gly-Phe- (配列番号29)、
から選択され、優先的には配列番号25のペプチドであり、
該標識された改変ペプチドがトリチウム化されている、請求項8〜20のいずれか1項に記載の標識された改変ペプチド。

【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−527437(P2012−527437A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511327(P2012−511327)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【国際出願番号】PCT/FR2010/050967
【国際公開番号】WO2010/133806
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(509316028)ユニヴェルシテ ジョセフ フーリエ (8)
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITE JOSEPH FOURIER
【住所又は居所原語表記】621,avenue Centrale,Domaine Universitaire,B.P.53,F−38041 Grenoble Cedex09,FRANCE
【出願人】(511281578)フレイエ ユニヴェルシテイト ブリュッセル (1)
【氏名又は名称原語表記】VRIJE UNIVERSITEIT BRUSSEL
【住所又は居所原語表記】Pleinlaan 2, B−1050 Elsene, Belgium
【Fターム(参考)】