説明

模擬視差および視野変化を伴う仮想ウィンドウの方法、システム、およびコンピュータ・プログラムが記録された記録媒体(模擬視差および視野変化を伴う仮想ウィンドウ)

【課題】1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートする改良された方法およびシステムを提供することである。
【解決手段】1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートするためのシステムおよび方法であって、場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された1つ以上の画像を電子形式で含む記憶装置を含む。表示画面が、1人以上の個々の観察者に対して画像を表示するように適合されており、センサが、表示画面に対して観察者の位置を特定するように適合されている。コントローラが、1つ以上の画像を、表示画面に対する個々の観察者の角度または距離に基づいて選択して、選択された画像を表示画面に表示して、観察者に対して景色を場面のウィンドウを通じてシミュレートするように適合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想イメージングに関し、より特定的には、1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートする方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
過去数年にわたる平面型ディスプレイ技術における急速な質の向上およびコストの削減により、平面型ディスプレイのための数多くの新たな適用がもたらされている。そのような適用の1つとして、平面型ディスプレイを仮想ウィンドウとして使用することが挙げられる。これは、従来のウィンドウ・フレームのように見えるものの中に構築された、所望の場面を示す平面型ディスプレイとして説明されてきている。この技術は、現実世界の場面の高解像度のデジタル画像から仮想場面を作成することができる静止画像を提供する。高解像度の表示パネルで構築されると、そのような画像は、静止している観察者にとって非常に説得力のある画像となりうる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、観察者が移動すると、ウィンドウは、実際のウィンドウを通じて外を見る場合に見受けられるような視差ずれおよび視野の変化がないので、その現実味のある体裁を失ってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、先行技術の問題点および欠陥に鑑み、本発明の目的は、1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートする改良された方法およびシステムを提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、実際のウィンドウを通じて外を見る場合に見受けられるような視差ずれおよび視野の変化を使用する仮想ウィンドウを提供することである。
【0006】
本発明のさらなる目的は、1人以上の個々の観察者の位置に基づいて仮想場面に対して視野のずれおよび視野の変化を行う方法およびシステムを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる他の目的および利点は、部分的に明示的であり、明細書から部分的に明らかだろう。
【0008】
当業者にとって明らかなような上記および他の目的は、1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートする方法に向けられた本発明において実現されており、当該方法は、場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された1つ以上の画像を提供するステップと、1つ以上の画像を1人以上の個々の観察者に対して表示するための表示画面を提供するステップとを含む。本方法は、その後、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を判断するステップと、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて、1つ以上の画像を選択するステップと、選択された1つ以上の画像を表示画面に表示して、1人以上の個々の観察者に対して景色を場面のウィンドウを通じてシミュレートするステップとを含む。
【0009】
本方法は、表示画面上の表示された画像を、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を変更することに基づいて変更するステップをさらに含む。表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置は、表示画面からの1人以上の個々の観察者の距離を含んでもよく、選択された1つ以上の画像は、表示画面からの1人以上の個々の観察者の距離に基づいてもよい。表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置は、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の角度を代わりにまたは追加的に含んでもよく、選択された1つ以上の画像は、表示画面からの1人以上の個々の観察者の角度に基づいてもよい。
【0010】
当該場面の1つ以上の画像は、場面位置にあるカメラによって提供されてもよく、本方法は、カメラが所望の平面を通じて所望の角度で回転する間に当該場面の複数の画像を取り込むことを含んでもよい。本方法は、場面の1つ以上の画像を表示画面に関連した記憶装置に記憶するステップをさらに含んでもよい。
【0011】
表示画面上に表示される1つ以上の画像は、静止画像であってもよく、表示画面は、表示画面に対する1人以上の観察者の位置の変化に基づいて、場面の画角および倍率が異なる静止画面を順次表示してもよい。場面の画像は、1人以上の個々の観察者の表示画面からの距離に基づいてデジタル拡大されてもよい。
【0012】
表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置は、超音波、赤外線、またはレーダ・センサ、カメラ、もしくは圧力センサからなる群から選ばれたセンサ装置を使用して判断されてもよい。
【0013】
好ましくは、表示画面は平面であり、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置は、表示画面の中央からの1人以上の個々の観察者の距離と、表示画面の中央と1人以上の個々の観察者との間を伸びる線の角度とに基づく。
【0014】
場面の1つ以上の画像は、場面位置にあるカメラによってリアル・タイムで提供されてもよきく、本方法は、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置に応じてカメラを移動して、1人以上の観察者に対して、リアル・タイムな景色をリアル・タイムな場面のウィンドウを通じてシミュレートするステップを含んでもよい。
【0015】
他の局面において、本発明は、1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートするためのシステムに向けられており、場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された1つ以上の画像を電子形式で含む記憶装置を含む。また、本システムは、1人以上の個々の観察者に対して1つ以上の画像を表示するように適合された表示画面と、表示画面に対して1人以上の個々の観察者の位置を特定するように適合されたセンサとを含む。本システムは、1つ以上の画像を、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて選択して、選択された1つ以上の画像を表示画面に表示して、1人以上の個々の観察者に対して景色を場面のウィンドウを通じてシミュレートするように適合されたコントローラをさらに有する。
【0016】
コントローラは、表示画面上の表示された画像を、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を変更することに基づいて変更するように適合されてもよい。コントローラは、1人以上の個々の観察者の表示画面からの距離に基づいて、場面の画像をデジタル拡大するように適合されてもよい。
【0017】
センサは、表示画面からの1人以上の個々の観察者の距離に基づいて、表示画面に対する1人以上の個々の観察者を位置を特定するように適合されてもよく、コントローラは、表示画面からの1人以上の個々の観察者の距離に基づいて、1つ以上の画像を選択するように適合されてもよい。加えてまたは代わりに、センサは、表示画面からの1人以上の個々の観察者の角度に基づいて、表示画面に対する1人以上の個々の観察者を位置を特定するように適合されてもよく、コントローラは、表示画面からの1人以上の個々の観察者の角度に基づいて、1つ以上の画像を選択するように適合されてもよい。
【0018】
本システムは、所望の平面を通じて所望の角度で回転する間に場面の複数の画像を取り込むように適合されている、場面位置にあるカメラをさらに含んでもよい。カメラは、場面の画像を表示画面に関連した記憶装置に記憶するように適合されてもよい。
【0019】
位置特定センサは、好ましくは、超音波、赤外線、またはレーダ・センサ、カメラ、もしくは圧力センサからなる群から選ばれる。
【0020】
好ましくは、表示画面は平面であり、位置特定センサは、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を、表示画面の中央からの1人以上の個々の観察者の距離と、表示画面の中央と1人以上の個々の観察者との間を伸びる線の角度とに基づいて判断するように適合されている。
【0021】
本システムは、場面の1つ以上の画像をリアルタイムで提供するように適合された、場面位置にあるカメラをさらに含んでもよく、コントローラは、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置に応じてカメラを移動して、1人以上の観察者に対して、リアル・タイムな景色をリアル・タイムな場面のウィンドウを通じてシミュレートするように適合されてよい。
【0022】
さらに他の局面において、本発明は、1人以上の個々の観察者に対してウィンドウを通じて景色をシミュレートするための表示装置と共に使用されるコンピュータ・プログラムが記録された記録媒体に向けられており、コンピュータが使用可能な媒体であって、媒体内に実施されたコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段を有し、当該手段は、場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された1つ以上の画像を提供するための手段である、媒体と、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を判断するためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段と、表示画面に対する1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて、1つ以上の画像を選択するためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段と、選択された1つ以上の画像を表示画面に表示して、1人以上の個々の観察者に対して景色を場面のウィンドウを通じてシミュレートするためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段とを備える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
新規と思われる本発明の特徴および本発明の特徴的な要素を、特に添付の請求項において述べる。図面は例示の目的のためだけのものであり、一定の尺度で描かれているわけではない。しかしながら、本発明自体は、構成および動作の方法の両方に関して、添付の図面と共に考慮して以下の詳細な説明を参照することによって、最もよく理解されるだろう。
【0024】
本発明の好ましい実施形態を説明する際に、本明細書において図1〜図9の図面を参照する。図面において、同様の番号は、本発明の同様の特徴を指している。
【0025】
本発明は、平面型ディスプレイを使用して視差ずれおよび視界の変化による場面の変化を仮想ウィンドウに追加することで現実のウィンドウを通じて見る幻影を大きく向上させるための方法を開示することによって、従来技術を改良するものである。視差ずれおよび視野の変化によるそのような景色の変化を、図1〜図6に示す。図1に示すように、現実の風景場面20が、窓孔28を有する壁26の外側に存在する。窓28のすぐ前に距離r分だけ離れて立っている個々の観察者または閲覧者24は、四角22aの範囲内の風景場面20の部分を見ることになろう。図2に示すように、閲覧者24が窓28に対して右にずれると、たとえ同じ距離r分だけ離れて立っていても、見られる景色は、四角22b内に示すものへとずれることになり、山は、四角22aに比べて四角22b内で右にずれる。さらに右にずれると、図3に示すように壁からまた距離r分だけ離れていても、閲覧者24は、四角22cに示すように、風景場面20のさらに異なる部分を見る。図1〜図3に示す四角22a,22b,22c内の風景場面間の相違は、視差ずれとして知られている。
【0026】
視野の変化を図4〜図6に示す。図4に示すように、壁26から距離r=0離れて立っている閲覧者24は、四角22dの範囲内の風景場面20を見ることになろう。閲覧者が壁26から距離r移動すると(図5)、閲覧者が見るであろう風景場面20の部分は、四角22eによって示すものとなり、窓孔を通して見る場面の部分は、図4の閲覧者の位置からのものよりも小さくなる。壁26からさらに距離r2移動すると(図6)、閲覧者が見る風景場面20の部分は、22fの範囲内というさらに小さいものとなる。
【0027】
本発明に係る、構築されるべき仮想ウィンドウのための画像を取得するために、まず、カメラで所望の場面を様々な角度で撮影する。使用されるカメラ32は、所望の平面型表示装置とともに使用される、所望の解像度で電子デジタル画像を取得可能なデジタル・スチルまたはビデオ・カメラであってもよい。図7に示すように、カメラ32は、矢印34で示すような、水平面において回転することが可能であるような三脚上の回転ヘッドのような回転機構上に設定されてもよい。好ましくは、回転ヘッドは、カメラを複数の互いに異なる所望の角度で静止位置に配置するためのステッパ・モータ機構を含む。そして、カメラは、場面20を互いに異なる角度で撮影するために使用され、ここでは、数多くの対象物21a,21b,21c,21d,および21eを場面内に備えるように示されている。カメラは、面36にあり、本発明においては、閲覧者の仮想ウィンドウの位置に対応する。図7に示すように、カメラ32の画角θは、θ=90度として示されており、ここで、θは、カメラ・レンズが場面20に対して直接向けられる場合のカメラ・レンズの面に対して測定される。現実世界の場面20の画像を取得するためには、カメラ32は、θ=0度とθ=180度との間で回転され、場面20内の様々な対象物21aから21eまでをそれぞれ異なるように撮影するための別個の角度で停止される。例えば、1000枚撮影したいような場合には、それぞれは、次の分と互いに0.180度異なる角度である。各写真は、場面の識別および現実世界の場面に対するカメラの距離dで角度θの景色の識別と共に、デジタル・メモリまたは他の記憶装置38に電子形式で記憶される。
【0028】
代わりに、広角レンズで写真を撮影する場合があり、表示される当該写真の部分は、閲覧者の位置と合致するように、それに従って調整される。この手法は、上述の手法ほど正確ではないものの、画像を取得するのにより簡単でより速くコストのかからないやり方であろう。この手法によって、視野をずらすことができるが、複数画像を取得する手法によって提供される真の視差ずれではない。この単一画像手法は、見られる対象物が閲覧者からはるかに離れている場合には有効だろう。加えて、本手法は、自然の風景、ランドマークなどの既存の画像を使用することができる。
【0029】
平面型ディスプレイ30を図8に示す。それと共に、平面型ディスプレイの平面から距離r、角度θ=90度である閲覧者24の初期位置を示す。現実感のある仮想景色を平面型ディスプレイ30に提供するために、メモリ記憶装置38から必要な画像を選択するには、仮想ウィンドウに対する閲覧者の位置、すなわち、平面型ディスプレイ30の画面の中央に対する閲覧者の距離rおよび角度θを判断するためのセンサ42が必要である。使用されるようなセンサは、超音波、赤外線、もしくはレーダ・センサ、ウェブ・カム、CCDデジタル・ビデオ・カメラ、または夜景のための赤外線照射を使用するようなビデオまたはスチル・カメラを含む。また、検知手段となりうるものは、床内の圧力センサ、または平面型ディスプレイ30に対して閲覧者24の相対位置を提供するための当該技術で既知の他の手段を含む。rおよびθの値がセンサ42からわかると、当該データは、マイクロプロセッサ・コントローラ40によって送信および使用されて、閲覧者24が適切な画像を見るように、平面型ディスプレイ30上に表示されるべき適切な画面をメモリ記憶装置38から選択する。平面型ディスプレイ30の中央からの閲覧者24の距離rが記憶された写真が撮影された距離rと合致すると仮定すると、平面型ディスプレイ30上に表示される画像が平面型ディスプレイ30の平面に対する閲覧者の角度θと合致すればよい。例えば、閲覧者が、図8に示すように、平面型ディスプレイ30の画面の平面に対して(ディスプレイの中央の右側に沿って)例えば45度のθで位置24’にいた場合には、図7におけるθ=45度(現実世界の場面の反対側である左側を指す)で撮影されてデジタル記憶された写真が平面型ディスプレイ30に表示される。閲覧者が平面型ディスプレイ30の中央からの一定の距離rを維持しつつ角度のみを変化させる場合には、閲覧者角度θと合致するような写真角度θをディスプレイ上で変更させればよいだろう。
【0030】
閲覧者の距離rを変更した結果、元の写真が取得された距離rと合致しない場合には、平面型ディスプレイ(仮想ウィンドウ)30上の表示された画像の倍率を調整しなければならない。図9に示すように、仮想ウィンドウ画像表示に必要な倍率(MAG)は、図9および以下に示すような、シミュレートすべき平面型ディスプレイ30と、観察者または閲覧者24および24’の遠い位置および近い位置との関係から判断されてもよい。
o=1/2対象物幅
d=「ウィンドウ」30からの対象物の距離
r=「ウィンドウ」30からの閲覧者の距離
=「ウィンドウ」からより近づい閲覧者の距離
h=閲覧者の位置がrである、「ウィンドウ」内の1/2対象物幅
=閲覧者の位置がrである、「ウィンドウ」内の1/2対象物幅
θ=閲覧者の目の位置がrである、対象物の1/2角度
θ=閲覧者の目の位置がrである、対象物の1/2角度
MAG=閲覧者がrからrへウィンドウから移動して戻る際の見かけの画像サイズの増加
【0031】
これらの定義された項を使用して、以下の関係が当てはまる。
tanθ=o/(r+d) tanθ=o/(r+d)
tanθ=ho/ro tanθ=h/r
h=rtanθ
=rtanθ
h=ro/(r+d) h=ro/(r+d)
MAG=h/h=MAGNIFICATION(倍率)
MAG={r/(r+d)}/{r/(r+d)}
d>>r,r+d=dの場合:
MAG=rd/(r+d)=r/r
【0032】
よって、平面型ディスプレイ30上の表示された画像の倍率は、ディスプレイからの個々の観察者または閲覧者の距離の変化に基づいて調整されてもよい。例えば、20インチ(約50.8cm)幅の典型的な仮想ウィンドウの場合は、近い閲覧距離rは、1フィート(約30・48cm)に等しく、典型的な遠い閲覧距離rは、20フィート(約609.6cm)に等しいだろう。仮想ウィンドウ内に示される対象物が、例えば100フィート(約3048cm)などのように、遠い閲覧距離よりも明らかにさらに遠い場合には、1フィートから10フィートの距離に移動して戻る閲覧者にとっての画像サイズの見かけの倍率h/hは、以下のように判断される。
MAG=r/r=10/1=10
【0033】
これは、遠い対象物をウィンドウを通じて見てからウィンドウから後退して、ウィンドウのサイズに対する対象物のサイズの見かけの相対的な増加に注目することによって検証されてもよい。メモリ記憶装置38に記憶された現実世界の場面の各デジタル画像は、単一の倍率で記憶されてもよく、倍率の変更は、個々の観察者または閲覧者の位置に基づいてマイクロプロセッサ・コントローラ40によって判断されて、メモリ記憶装置38からの取り出し後であって平面型ディスプレイ30上の表示の前に、記憶された画像に対して適用されてもよい。代わりに、各画像は、複数の倍率でメモリ記憶装置38に記憶されてもよく、そして、マイクロプロセッサ・コントローラ40は、必要な倍率を判断後、メモリ記憶装置38から画像の所望の倍率を選択することになる。
【0034】
1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートするための本発明の方法は、他の場合には従来のプログラム・コード内にあって他の場合には従来のプログラム記憶装置内に記憶された、上述の処理ステップおよび命令を組み込むコンピュータ・プログラムまたはソフトウェアによって実施されてもよい。図8に示すように、プログラム・コードは、任意の必要な入力情報と共に、半導体チップ、読み出し専用メモリ、ディスケットまたはコンピュータ・ハード・ドライブなどの磁気媒体、もしくはCDまたはDVD ROMなどの光学媒体などのメモリ記憶装置38上のコンピュータ内に記憶されてもよい。コンピュータ・システムは、メモリ記憶装置38上に記憶されたプログラムを読み出して実行するためのマイクロプロセッサ42を有する。
【0035】
本発明の仮想ウィンドウ平面型または映像投影表示システムは、景色が乏しいか全くない住居、病室、窓のない仕事場内などにおいて使用されてもよい。そのような応用において、見られる場面は、閲覧者が楽しくなる任意の所望の場面であってもよい。
【0036】
加えて、本発明の仮想ウィンドウは、ライブ映像を含む現実世界のリアル・タイムな場面を表示するために使用されてもよい。そのような場合には、画像を取得するカメラは、表示画面に対する個々の観察者24の位置に基づいて、マイクロプロセッサ・コントローラ40からのコマンドに応じて、閲覧者が角度θを通って移動するのと同時に角度θを通って移動することになり、適切な倍率が、上述のように、コントローラによって判断されることになろう。この倍率は、画像をデジタル・ズームすること、またはカメラのレンズを物理的にズームすることによって達成されてもよい。他の現実世界のリアル・タイムでの応用は、医学分野における非侵襲性の手術および内視鏡検査、平面型ディスプレイが患者の体内部の画像を示す遠隔操作手術、ならびに、平面型ディプレイが車両の後部から見る画像を示すトラクター・トレーラー・トラック、客車、またはバスでの輸送などにおけるものである。
【0037】
本発明の仮想ウィンドウ表示システムは、閲覧者が通り過ぎるに連れてその後についていく広告を可能にするような広告上の応用においてさらに使用されてもよい。加えて、広告上の応用は、例えば画面を見つめていると判断される人を選択するというように、閲覧者に照準を合わせることもできるし、第2の人物が画面を見つめている場合には画像を静止させることもできる。これらの要因は、部屋の他の人々に対して気が散ることを最小限にするために様々なものであってもよい。加えて、本発明の仮想ウィンドウの逆の応用をポスター広告において使用して、通行者の辺縁視を刺激することもできよう。例えば、ある人が頭を回して見ると、画像が停止し、ある人が広告から目をそらすと、再び広告が動き出すといった具合である。
【0038】
本発明を特定の好ましい実施形態と共に特に説明してきたが、上述の説明に照らして、数多くの代替物、修正、および変形が当業者にとって明らかだろう。したがって、添付の請求項がそのような代替物、修正、および変形を本発明の真の範囲および精神の範疇に含むことになることが想定されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】ウィンドウ越しの現実世界の正面場面を見る個々の観察者の上面図であって、ウィンドウの前の中央位置から見るような場面の部分を示す。
【図2】図1の現実世界の場面を見る観察者の上面図であって、ウィンドウの前の右にずれた位置から見るような場面の部分を示す。
【図3】図1の現実世界の場面を見る観察者の上面図であって、ウィンドウの前の図2よりも右にずれた位置から見るような場面の部分を示す。
【図4】図1の現実世界の場面を見る観察者の上面図であって、ウィンドウの前の接写中央位置から見るような場面の部分を示す。
【図5】図1の現実世界の場面を見る観察者の上面図であって、図4のウィンドウからさらに離れた中央位置から見るような場面の部分を示す。
【図6】図1の現実世界の場面を見る観察者の上面図であって、図5のウィンドウからさらに離れた中央位置から見るような場面の部分を示す。
【図7】本発明に係る、様々な角度に渡って所望の場面の画像を取得するための装置の使用の上面図である。
【図8】現実場面の仮想画像を見る参加者の相対位置の上面図であって、観察者の平面型ディスプレイに対する検出された角速度を示す。
【図9】平面型ディスプレイ上の現実場面の仮想画像を見る参加者の相対位置の上面図であって、ディスプレイに対する観察者の距離に必要な倍率パラメータを示す。
【符号の説明】
【0040】
24,24’ 観察者または閲覧者
30 平面型ディスプレイ(仮想ウィンドウ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートする方法であって、
場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での前記場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での前記場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された前記1つ以上の画像を提供するステップと、
前記1つ以上の画像を1人以上の個々の観察者に対して表示するための表示画面を提供するステップと、
前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を判断するステップと、
前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて、1つ以上の前記画像を選択するステップと、
前記選択された1つ以上の画像を前記表示画面に表示して、前記1人以上の個々の観察者に対して景色を前記場面のウィンドウを通じてシミュレートするステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記表示画面上の前記表示された画像を、前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を変更することに基づいて変更するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の前記位置は、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の距離を含み、選択された前記1つ以上の画像は、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の前記距離に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の前記位置は、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の角度を含み、選択された前記1つ以上の画像は、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の前記角度に基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の前記位置は、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の距離と、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の角度とを含み、選択された前記1つ以上の画像は、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の前記距離と、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の前記角度とに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記場面の前記1つ以上の画像は、場面位置にあるカメラを提供して前記カメラが所望の平面を通じて所望の角度で回転する間に前記場面の複数の画像を取り込むことによって、提供される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記場面の前記1つ以上の画像を前記表示画面に関連した記憶装置に記憶するステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記表示画面上に表示される前記1つ以上の画像は、静止画像であり、前記表示画面は、前記表示画面に対する前記1人以上の観察者の位置の変化に基づいて、前記場面の画角および倍率が異なる静止画面を順次表示する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置は、超音波、赤外線、またはレーダ・センサ、カメラ、もしくは圧力センサからなる群から選ばれたセンサ装置を使用して判断される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記表示画面は平面であり、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の前記位置は、前記表示画面の中央からの前記1人以上の個々の観察者の距離と、前記表示画面の前記中央と前記1人以上の個々の観察者との間を伸びる線の角度とに基づく、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記場面の前記画像は、前記1人以上の個々の観察者の前記表示画面からの距離に基づいてデジタル拡大される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記場面の前記1つ以上の画像は、場面位置にあるカメラによってリアル・タイムで提供され、前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置に応じて前記カメラを移動して、前記1人以上の観察者に対して、リアル・タイムな景色を前記リアル・タイムな場面のウィンドウを通じてシミュレートするステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
1人以上の個々の観察者に対して表示画面を使用してウィンドウを通じて景色をシミュレートするためのシステムであって、
場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での前記場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での前記場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された前記1つ以上の画像を電子形式で含む記憶装置と、
1人以上の個々の観察者に対して前記1つ以上の画像を表示するように適合された表示画面と、
前記表示画面に対して1人以上の個々の観察者の位置を特定するように適合されたセンサと、
1つ以上の前記画像を、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて選択して、前記選択された1つ以上の画像を前記表示画面に表示して、前記1人以上の個々の観察者に対して景色を前記場面のウィンドウを通じてシミュレートするように適合されたコントローラと
を備える、システム。
【請求項14】
前記コントローラは、前記表示画面上の前記表示された画像を、前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を変更することに基づいて変更するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記センサは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の距離に基づいて、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者を位置を特定するように適合され、前記コントローラは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の距離に基づいて、前記1つ以上の画像を選択するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記センサは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の角度に基づいて、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者を位置を特定するように適合され、前記コントローラは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の角度に基づいて、前記1つ以上の画像を選択するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記センサは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の距離と、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の角度とに基づいて、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者を位置を特定するように適合され、前記コントローラは、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の距離と、前記表示画面からの前記1人以上の個々の観察者の角度とに基づいて、前記1つ以上の画像を選択するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
所望の平面を通じて所望の角度で回転する間に前記場面の複数の画像を取り込むように適合されている、場面位置にあるカメラをさらに含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項19】
前記カメラは、前記場面の前記画像を前記表示画面に関連した記憶装置に記憶するように適合されている、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記位置特定センサは、超音波、赤外線、またはレーダ・センサ、カメラ、もしくは圧力センサからなる群から選ばれる、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記表示画面は平面であり、前記位置特定センサは、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の位置を、前記表示画面の中央からの前記1人以上の個々の観察者の距離と、前記表示画面の前記中央と前記1人以上の個々の観察者との間を伸びる線の角度とに基づいて判断するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラは、前記1人以上の個々の観察者の前記表示画面からの距離に基づいて、前記場面の前記画像をデジタル拡大するように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記場面の前記1つ以上の画像をリアルタイムで提供するように適合された、場面位置にあるカメラをさらに含み、前記コントローラは、前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の位置に応じて前記カメラを移動して、前記1人以上の観察者に対して、リアル・タイムな景色を前記リアル・タイムな場面のウィンドウを通じてシミュレートするように適合されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
1人以上の個々の観察者に対してウィンドウを通じて景色をシミュレートするための表示装置と共に使用されるコンピュータ・プログラムが記録された記録媒体であって、
コンピュータが使用可能な媒体であって、前記媒体内に実施されたコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段を有し、当該手段は、場面の1つ以上の画像であって、互いに異なる角度での前記場面の1つ以上の画像と、互いに異なる倍率での前記場面の1つ以上の画像とからなる群から選択された前記1つ以上の画像を提供するための手段である、前記媒体と、
前記表示画面に対する1人以上の個々の観察者の位置を判断するためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段と
前記表示画面に対する前記1人以上の個々の観察者の角度または距離に基づいて、1つ以上の前記画像を選択するためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段と、
前記選択された1つ以上の画像を前記表示画面に表示して、前記1人以上の個々の観察者に対して景色を前記場面のウィンドウを通じてシミュレートするためのコンピュータ読み出し可能なプログラム・コード手段と
を備える、コンピュータ・プログラムが記録された記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−97599(P2008−97599A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−252451(P2007−252451)
【出願日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】