説明

横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機

【課題】 分級機において、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを移送する。
【解決手段】 液体と固体とを含む被分級物から固体のみを下流側に移送させるために、下流側が上方になるように傾斜して配設された螺旋状の主スクリューと、該主スクリューの上流側の側方に、前記主スクリューに対して直角に配設され、前記主スクリューにより被分級物に含まれる固体が移送された際、下流側に移送されなかった残りの固体を再移送させるための横スクリューとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを移送させる分級機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを移送させる技術としては、下記特許文献1の開示技術が存在している。
特許文献1に記載のスクリューコンベアにおいては、図3に示すように、汚砂洗浄槽(10)の汚水面(11)から上方に向けて傾斜して下流側に延出するケーシング(12)を備え、汚砂洗浄槽(10)の底部に沿って配設された槽底部に沈降した洗浄砂(13)を、ケーシング(12)に沿って配設されたスクリューコンベア(14)により下流側に移動し、ケーシング(12)上部から排出するものである。
また、汚水面上流側のケーシング(12)下側の少なくとも洗浄砂進行方向に向かってスクリュー回転方向側に脱水孔(図示せず)を形成しており、脱水孔から排水を行っている。
【特許文献1】実開昭60−165046号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記方法では、スクリューコンベア(14)により一度だけ固体を移送するものであり、どうしても固体(洗浄砂)の取り残しが存在するものであった。
また脱水孔により汚水を排出するようにしているが、スクリュー羽根(15)が固体だけでなく液体も移送してしまうものであり、汚水がスクリュー羽根(15)に対して負担となり、スクリューの回転が悪くなったり、水切りが悪く汚水が十分に排出されないという問題もあった。
【0004】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で、被分級物の固体を取り残すことなく移送することができ、液体を十分に排出することのできる分級機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを下流側に移送させるために、下流側が上方になるように傾斜して配設された螺旋状の主スクリューと、該主スクリューの上流側の側方に、前記主スクリューに対して直角に配設され、前記主スクリューにより被分級物に含まれる固体が移送された際、下流側に移送されなかった残りの固体を再移送させるための横スクリューとを備えたことを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記横スクリューを複数備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記主スクリューの羽根を、メッシュ状にしたことを特徴とするものである。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記横スクリューの羽根を、メッシュ状にしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明は、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを下流側に移送させるために、下流側が上方になるように傾斜して配設された螺旋状の主スクリューと、該主スクリューの上流側の側方に、前記主スクリューに対して直角に配設され、前記主スクリューにより被分級物に含まれる固体が移送された際、下流側に移送されなかった残りの固体を再移送させるための横スクリューとを備えたものである。
これにより、主スクリューで上流側から下流側に移送しきれなかった残りの固体を横スクリューにより移送し、主スクリューの上流側に受け渡し、主スクリューで再移送することができ、被分級物から固体を取り残すことなく分級機の下流側へ確実に移送することが可能となる。
【0010】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記横スクリューを複数備えたものである。
これにより、主スクリューにより取り残された固体を複数の横スクリューで確実に主スクリューの上流側に受け渡し、再移送することができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項1に記載の発明において、前記主スクリューの羽根を、メッシュ状にしたものである。
これにより、主スクリューの羽根のメッシュ孔を、被分級物の液体が通過できるため、移送中の被分級物の水切りを十分に行うことができ、主スクリューの羽根に負担をかけることなく、固体のみを効率良く分級機の下流側へ移送することが可能となる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記横スクリューの羽根を、メッシュ状にしたものである。
これにより、横スクリューの羽根のメッシュ孔を、被分級物の液体が通過できるため、移送中の被分級物の水切りを十分に行うことができ、横スクリューの羽根に負担をかけることなく、固体のみを主スクリューに向けて移送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本実施の形態における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機について図面を参照しながら説明する。
図1は本実施の形態における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の概略側面図であり、図2は本実施の形態における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の概略上面図である。
図1に示すように、横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機(1)は、上面が開放された略直方体状のハウジング(2a)が、供給される被分級物の搬送方向の上流側が下になり、下流側が上になるように傾斜して備えられ、ハウジング(2a)は設置面に対して円柱状の支柱(3a)及び(3b)により固定されている。
なお、ハウジング(2a)の傾斜角度は15度程度である。
【0014】
ハウジング(2a)の内部空間には、螺旋状の主スクリュー(4)が、ハウジング(2a)の長手方向に延びるように回転可能に内蔵されている。
図2に示すように、ハウジング(2a)は、その上流側の幅が被分級物を供給し易いように、その下流側及び中央部の幅と比べてやや広いものである。
また、ハウジング(2a)の上流側の側面には、被分級物を供給するための切欠部(2b)が開口されている。
傾斜したハウジング(2a)及び主スクリュー(4)における被分級物の搬送方向の上流側の側面には、主スクリュー(4)に対して直角に横スクリュー(5)が配設されている。
横スクリュー(5)は羽根の直径が主スクリュー(4)の羽根の半分程度の小型のスクリューであって、主スクリュー(4)の長さ方向に沿って複数本(図示例では3本)が並設されている。
横スクリュー(5)は単数でもよいが、複数本(好ましくは2乃至5本)設けることにより、主スクリュー(4)で取り残された固体を確実に再移送できるため好ましい。
【0015】
本実施の形態においては、複数の横スクリュー(5)も上面が開放されたハウジング(2c)に覆われており、ハウジング(2c)は設置面に対して円柱状の支柱(6)により固定されている。
主スクリュー(4)のハウジング(2a)と横スクリュー(5)のハウジング(2c)とが接する部分においては、主スクリュー(4)のハウジング(2a)及び横スクリュー(5)のハウジング(2c)は開口して繋がっており、互いのハウジング(2a)及び(2c)間で被分級物の流通が可能となっている(図2は横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の概略上面図であるが、ハウジング(2a)及び(2c)が開口して繋がっている下方部分を示している)。
【0016】
横スクリュー(5)のハウジング(2c)は、内蔵された横スクリュー(5)の軸と直角方向において、水平に設けられても良いが(図1参照)、主スクリュー(4)のハウジング(2a)に合わせて若干傾斜していることが好ましい(図示せず)。これはハウジング(2a)とハウジング(2c)との間の被分級物の移送が円滑に行えるためである。
横スクリュー(5)のハウジング(2c)は、内蔵された横スクリュー(5)の軸方向において、水平に設けられても良いが、主スクリュー(4)のハウジング(2a)から離れるに従って若干下方に傾斜するように設けられることが好ましい。
即ち、ハウジング(2c)は、横スクリュー(5)の上流側が下方となるように傾斜していることが好ましい。これは、主スクリュー(4)により取り残された固体を含む被分級物を、ハウジング(2c)の底面に沿って横スクリュー(5)の上流側に流れ易くして再移送し易くするためである。
主スクリュー(4)のハウジング(2a)の上流側の底面は、近傍に位置する横スクリュー(5)の羽根より下方にあるものである。
主スクリュー(4)に最も近い横スクリュー(5)の羽根の高さは、主スクリュー(4)の羽根の高さの下半分位の位置にあるものである。
【0017】
主スクリュー(4)は、ハウジング(2a)の下流端に配設されたモータ(9)により回転駆動される。
横スクリュー(5)は、ハウジング(2c)の下流端に配設されたモータ(図示略)により回転駆動される。
【0018】
以上のように構成された本実施の形態における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の動作について説明する。
まず、傾斜した主スクリュー(4)のハウジング(2a)の上流側に固体と液体とを含む被分級物、例えば土砂を含む水を供給する。
主スクリュー(4)をモータ(9)により回転させると、主スクリュー(4)の羽根が固体を上流側から下流側へと移送する。
ここで液体は、主スクリュー(4)の羽根により移送されないので、ハウジング(2a)の上流側に溜まることになり、ハウジング(2a)の上流側に備えられたドレン(7)から機外へ排出される。
【0019】
しかし、一度の移送だけでは、被分級物から全ての固体を主スクリュー(4)の下流側へ移送することは不可能である。
そこで、本実施の形態においては、主スクリュー(4)の上流側の側方に備えられた複数の横スクリュー(5)により、主スクリュー(4)により取り残された被分級物の固体を再度移送させる構成を取っている。
即ち、主スクリュー(4)のハウジング(2a)の上流側において、取り残された固体及び液体を含む被分級物が堆積するが、主スクリュー(4)のハウジング(2a)の上流側において、横スクリュー(5)のハウジング(2c)が備えられているため、取り残された被分級物が横スクリュー(5)のハウジング(2c)に向かって流れることになる。
そして、横スクリュー(5)をモータを駆動させ回転させることにより、横スクリュー(5)のハウジング(2c)の上流側から下流側に向かって固体を移送させる。
また、横スクリュー(5)の下流側まで移送された固体は、主スクリュー(4)の上流側に受け渡され、再度、主スクリュー(4)により上流側から下流側へ向かって移送される。
この動作を繰り返すことにより、被分級物から固体を取り残すことなく移送することができる。
なお、横スクリュー(5)のハウジング(2c)の上流側に溜まった液体は、ハウジング(2c)の上流側に備えられたドレン(8)から機外へ排出される。
【0020】
次に、本実施の形態における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の変更例について説明する。
本実施の形態における主スクリュー(4)は、メッシュ状の羽根(図示せず)を備えるようにしても良い。
即ち、主スクリュー(4)により、固体を上流側から下流側へ移送する際、被分級物に含まれる液体も同時に主スクリュー(4)の羽根により移送されるので重たくなり、主スクリュー(4)に対して負担になったり、水切りが悪くなることがあったが、主スクリュー(4)の羽根をメッシュ状にすれば、液体を主スクリュー(4)が無駄に移送することがなく、水切りも良くなる。
尚、メッシュ孔の大きさは上流側に移送すべき固体の粒径よりも小さくすることは言うまでもない。
【0021】
また、この変更例ではメッシュ状の主スクリュー(4)の上流側の側面に当該主スクリュー(4)に対して直角に横スクリュー(5)を備えている。
これにより、液体を主スクリュー(4)により無駄に移送することがなく、水切りも良くなるだけでなく、メッシュ状の主スクリュー(4)により取り残された固体を横スクリュー(5)により再度移送させることが可能である。
【0022】
更に、冒頭で述べた通常のメッシュ状でない主スクリュー(4)の上流側の側面に、当該主スクリュー(4)に対して直角に、メッシュ状の横スクリュー(図示せず)を備えることも可能である。
これにより、メッシュ状でない主スクリュー(4)により取り残された固体を再移送させる際に、メッシュ状の横スクリューの羽根が液体を無駄に移送することがなく、水切りも良くなり、効率良く液体と固体とを分級することができる。
【0023】
また、メッシュ状の主スクリュー(図示せず)の上流側の側面に、当該主スクリューに対して直角に、メッシュ状の横スクリュー(図示せず)を備えることも可能である。
これにより、メッシュ状の主スクリューにより取り残された固体を再移送させる際にも、液体をメッシュ状の横スクリューの羽根が無駄に移送することがなく、水切りも良くなり、より一層効率良く液体と固体とを分級することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、分級機において、液体と固体とを含む被分級物から固体のみを移送するために好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の概略側面図
【図2】本発明における横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機の概略上面図
【図3】従来の分級機の概略側面図
【符号の説明】
【0026】
1 横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機
2a,2c ハウジング
3a,3b,6 支柱
4 主スクリュー
5 横スクリュー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体と固体とを含む被分級物から固体のみを下流側に移送させるために、下流側が上方になるように傾斜して配設された螺旋状の主スクリューと、
該主スクリューの上流側の側方に、前記主スクリューに対して直角に配設され、前記主スクリューにより被分級物に含まれる固体が移送された際、下流側に移送されなかった残りの固体を再移送させるための横スクリューとを備えたことを特徴とする横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機。
【請求項2】
前記横スクリューを複数備えたことを特徴とする請求項1に記載の横スクーリュー付スパイラルスクリュー分級機。
【請求項3】
前記主スクリューの羽根を、メッシュ状にしたことを特徴とする請求項1に記載の横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機。
【請求項4】
前記横スクリューの羽根を、メッシュ状にしたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の横スクリュー付スパイラルスクリュー分級機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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